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TZ受信機のブロックダイヤグラム Dewarの外にあるAmpCiao wireless社製4-8GHz28dB程度増幅する。受信機全系の周波数特性を測定 するときは同じAmpをもう一つ加えて、IF信号をHEMTも合わせた計3個の増幅器で増幅して測定する。Lo6倍され2SBミクサへ入力される。 Corrugated Horn Isolator HEMT Gain +30 HEMT Gain +30 SIS Mixer Block IF 90deg Hybrid coupler 2SB Unit Isolator HEMT Gain +30 HEMT Gain +30 Isolator Isolator x2 x3 x3 x3 2SB Unit SIS Mixer Block IF 90deg Hybrid coupler Voltage:+15V Current:380mA Gain:28dB 4-8GHz Amp Voltage:+15V Current:380mA Gain:28dB 4-8GHz Beam 2 Beam 1 V-pol H-pol V-pol CH8 CH5 CH7 CH6 CH3 CH2 CH4 CH1 H-pol 1HL 1VU Dewar OMT OMT 1VL 1HU 2HL 2HU 2VU 2VL x2 TZ受信機 TZ受信機は昨年まで野辺山45 m電波望遠鏡に搭載され、100 GHz帯の受信機として共同利用観測に提供されていた。本受信機は遠方銀河からの高赤 方偏移スペクトルなどを観測するためのZ受信機である。本受信機の特徴は、①2 beamDewar内に二つの冷却ホーンを搭載)であること、②各beamOMT(直交偏波分離機)により水平偏波(以下H-pol)と垂直偏波(以下V-pol)に分離されるということ、③2SBミクサを搭載しており2 beamHV-polをさらに USBLSBに分離できることである。そして計8個のIF信号を同時受信可能である。 本受信機には以下のような不具合があり次のように改修や検査を行った。 SISDC電圧電流特性を確認できないものが3個ある→Dewar内のケーブルを交換。 冷却時にHEMTが作動しない(CH1,2を除く)受信機から取り外し常温でHEMTの周波数特性の確認。 再度冷却しバイアス設定ができない(全て)。→HEMTGND-VD間とGND-VG間の抵抗値検査。 また、改修後以下の結果を得ている。 SISに関してはPhoton stepを確認。 Beam 2V-polに関してSBR測定。 野辺山45 m電波望遠鏡による3帯域同時観測に向けたTZ受信機の改造 堤稔喜(山口大学4年) 藤澤健太 新沼浩太郎 甘利涼湖 (山口大学)小川英夫 岡田望 増井翔 (大阪府立大学) introduction 野辺山45 m電波望遠鏡では3帯域(22/43/86 GHz帯)同時観測に向けたプロジェクトHINOTORI (Hybrid Installation Project in Nobeyama, Triple-band Oriented) が進められている。野辺山45 m電波望遠 鏡による3帯域同時観測を実現することにより、KVN などの東アジアVLBI観測網と連携し多周波同時VLBI観測が可能となる。 我々は現在、22/43 GHz帯にH22/H40受信機を搭載し22/43 GHz2帯域での同時観測を達成している。次の段階として86 GHz帯の受信機としてTZ受信機(野辺山45 m電波望遠鏡で遠方銀河を100 GHz帯で観測するために開発され、去年まで共同利用で使用されていた受信機)の再登載を目指している。本発表ではTZ受信機の再登載に向けた受信機改修について報告する。 今後 HEMTケーブル(CH2)の交換 SBRの測定 Trx測定 PC制御システムの構築 ・野辺山45 m電波望遠鏡への搭載 VLBI懇談会(熊本大学) 2018121-2TZ受信機外観 受信機直上からの信号は受信機上部中心の反射 鏡に反射され左右に分かれる。さらにホーン上部に ある反射鏡に反射しホーンへ導波される。VDIでは LO6逓倍しlocal inputへ導波している。 Beam1 Beam2 反射鏡 VDI 反射鏡 反射鏡 Local input Local input IF output RF signal Dewarネットワーク アナライザ バイアス ボックス 10dB 入力レベルは -50dB-30dB HEMT常温時周波数特性 全てのHEMTにおいて →Gain25dB程度 リターンロス:1020dB →HEMTに常温時に異常がないことを確認 4GHz 8GHz 0dB 10dB 20dB -10dB -20dB -30dB -40dB Local信号が92GHzのときLSB(84-88GHz),USB(96-100GHz)に感度を持つ。その中心周波数(それぞれ 86GHz,98GHz)を疑似信号として受信機に入力し、SBRを測定した。 疑似信号 SBR測定時の疑似信号の進入経路 LSB86GHz)を入力→20dBのサイドバンド比を確認。 4GHz 8GHz -30dBm -40dBm 信号の漏れ込み -25dBm程度 4GHz 8GHz -30dBm -40dBm 疑似信号 -8dBm程度 LSB側のIF周波数特性 USB側のIF周波数特性 USB98GHz)を入力→45dBのサイドバンド比を確認。 調整が必要である。 4GHz 8GHz -30dBm -40dBm 信号の漏れ込み -12dBm程度 4GHz 8GHz -30dBm -40dBm 疑似信号 -8dBm程度 USB側のIF周波数特性 LSB側のIF周波数特性 ・正常な状態のGND-VD間、GND-VG間の抵抗値は それぞれ1030Ω100kΩ程度。 Dewarに搭載したまま、Dewar D-subから抵抗値を 測定。 →CH2 GND-VG(TR1)のみ測定不可。その他は許容 範囲内。 →CH2は冷却時に断線の可能性。 CH2以外はバイアスボックスのアースをDewarにと ることによってバイアスを設定できない問題を解決。 →CH2を除くHEMTが正常に。 TZ HEMT バイアス ボックス Amp Heコンプレッサーへ Gain Return loss Local信号を入力した際のSISの電流電圧特性を確認した。 →CH3を除く7個のSISphoton step検出 生存を確認 ステップ幅 0.3mV×3=0.9mV検出 LOあり 電圧(mV0 2 4 6 8 10 LOなし 電流(μA0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 SBR測定時のブロック図 Signal Generator からの信号をハーモニックミクサにより5逓倍し受信機へ疑似信号として入力。V偏波を2SBUSBLSBに分離しスペクト ルアナライザで周波数特性を測定しSBRを計測する。 CH6 問題のあったCH3,4,6Dewar内のケーブルの交換を行った結果 CH4CH6→断線が原因だと判明。 CH3→交換の必要性あり。2SBユニットのためCH2とセットでの交換になる。 SIS Bais box DC電源 Dewar 異常のあった3個のSISのケーブル①、 ②を新しいものに交換 SISDC電圧電流特性 CH4 0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 電流(μA電圧(mV0 2 4 6 8 10 電圧(mV0 20 40 60 電流(μA0 20 40 60 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 0 20 40 60 電流(μA電圧(mVDewar TZ受信機DewarRF signal (Beam2) RF signal (Beam1) OMT OMT 2SB mixers 2SB mixers Corrugated horn Corrugated horn HEMT isolators IF signals LO signal LO signal 40K shield 4K stage CH1 CH2 CH3 CH4 CH5 CH6 CH7 CH8 Local 15.333…GHz 18dBm ×2 ×3 疑似信号 疑似信号 17.2GHz×5=86GHz(LSB)5dBm19.6GHz×5=98GHz(USB)10dBmLSBUSB2SB mixer スペアナ 3dB Dewar SIS bias=7.5mV OMT 3dB スペアナ 92 GHz ×5 2SB -10dBm -10dBm

x2 野辺山45 m電波望遠鏡による3帯域同時観測に向けたTZ受 …...OMT OMT 2VU 2VL 2HU 2HL 1HU 1VL x2 TZ受信機 TZ受信機は昨年まで野辺山45 m電波望遠鏡に搭載され、100

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Page 1: x2 野辺山45 m電波望遠鏡による3帯域同時観測に向けたTZ受 …...OMT OMT 2VU 2VL 2HU 2HL 1HU 1VL x2 TZ受信機 TZ受信機は昨年まで野辺山45 m電波望遠鏡に搭載され、100

図 TZ受信機のブロックダイヤグラムDewarの外にあるAmpはCiao wireless社製4-8GHzを28dB程度増幅する。受信機全系の周波数特性を測定

するときは同じAmpをもう一つ加えて、IF信号をHEMTも合わせた計3個の増幅器で増幅して測定する。Loは6逓倍され2SBミクサへ入力される。

Corrugated

Horn

Isolator

HEMTGain +30

HEMTGain +30

SIS MixerBlock

IF 90degHybridcoupler

2SB Unit

Isolator

HEMTGain +30

HEMTGain +30

IsolatorIsolator

x2

x3x3x3

2SB Unit

SIS

MixerBlock

IF 90deg

Hybridcoupler

Voltage:+15VCurrent:380mA

Gain:28dB4-8GHz Amp

Voltage:+15VCurrent:380mA

Gain:28dB4-8GHz

Beam 2 Beam 1

V-pol

H-pol

V-pol

CH8 CH5 CH7 CH6 CH3 CH2 CH4 CH1

H-pol

1HL 1VU

Dewar

OMT OMT

1VL1HU2HL2HU2VU 2VL

x2

TZ受信機TZ受信機は昨年まで野辺山45 m電波望遠鏡に搭載され、100 GHz帯の受信機として共同利用観測に提供されていた。本受信機は遠方銀河からの高赤方偏移スペクトルなどを観測するためのZ受信機である。本受信機の特徴は、①2 beam(Dewar内に二つの冷却ホーンを搭載)であること、②各beamがOMT(直交偏波分離機)により水平偏波(以下H-pol)と垂直偏波(以下V-pol)に分離されるということ、③2SBミクサを搭載しており2 beam、HV-polをさらにUSBとLSBに分離できることである。そして計8個のIF信号を同時受信可能である。本受信機には以下のような不具合があり次のように改修や検査を行った。

SISのDC電圧電流特性を確認できないものが3個ある。→Dewar内のケーブルを交換。

冷却時にHEMTが作動しない(CH1,2を除く)。→受信機から取り外し常温でHEMTの周波数特性の確認。

再度冷却しバイアス設定ができない(全て)。→HEMTのGND-VD間とGND-VG間の抵抗値検査。また、改修後以下の結果を得ている。

SISに関してはPhoton stepを確認。

Beam 2のV-polに関してSBR測定。

野辺山45 m電波望遠鏡による3帯域同時観測に向けたTZ受信機の改造堤稔喜(山口大学4年)

藤澤健太 新沼浩太郎 甘利涼湖 (山口大学)小川英夫 岡田望 増井翔 (大阪府立大学)

introduction野辺山45 m電波望遠鏡では3帯域(22/43/86 GHz帯)同時観測に向けたプロジェクトHINOTORI (Hybrid Installation Project in Nobeyama, Triple-band Oriented) が進められている。野辺山45 m電波望遠鏡による3帯域同時観測を実現することにより、KVN などの東アジアVLBI観測網と連携し多周波同時VLBI観測が可能となる。我々は現在、22/43 GHz帯にH22/H40受信機を搭載し22/43 GHzの2帯域での同時観測を達成している。次の段階として86 GHz帯の受信機としてTZ受信機(野辺山45 m電波望遠鏡で遠方銀河を100

GHz帯で観測するために開発され、去年まで共同利用で使用されていた受信機)の再登載を目指している。本発表ではTZ受信機の再登載に向けた受信機改修について報告する。

今後 ・HEMTケーブル(CH2)の交換 ・SBRの測定 ・Trx測定・PC制御システムの構築 ・野辺山45 m電波望遠鏡への搭載

VLBI懇談会(熊本大学) 2018年12月1-2日

図 TZ受信機外観

受信機直上からの信号は受信機上部中心の反射鏡に反射され左右に分かれる。さらにホーン上部にある反射鏡に反射しホーンへ導波される。VDIではLOを6逓倍しlocal inputへ導波している。

Beam1Beam2反射鏡

VDI

反射鏡反射鏡

Localinput

Localinput

IF output

RF signal

Dewar内

ネットワークアナライザ

バイアスボックス

10dB

※入力レベルは-50dB〜-30dB

②HEMT常温時周波数特性

全てのHEMTにおいて→Gain:25dB程度→リターンロス:10〜20dB→HEMTに常温時に異常がないことを確認

4GHz 8GHz

0dB

10dB

20dB

-10dB

-20dB

-30dB

-40dB

Local信号が92GHzのときLSB(84-88GHz),USB(96-100GHz)に感度を持つ。その中心周波数(それぞれ86GHz,98GHz)を疑似信号として受信機に入力し、SBRを測定した。

疑似信号

図 SBR測定時の疑似信号の進入経路

LSB(86GHz)を入力→20dBのサイドバンド比を確認。

4GHz 8GHz

-30dBm

-40dBm

信号の漏れ込み-25dBm程度

4GHz 8GHz

-30dBm-40dBm

疑似信号-8dBm程度

LSB側のIF周波数特性 USB側のIF周波数特性

USB(98GHz)を入力→4〜5dBのサイドバンド比を確認。調整が必要である。

4GHz 8GHz

-30dBm-40dBm

信号の漏れ込み-12dBm程度

4GHz 8GHz

-30dBm

-40dBm

疑似信号-8dBm程度

USB側のIF周波数特性LSB側のIF周波数特性

・正常な状態のGND-VD間、GND-VG間の抵抗値はそれぞれ10〜30Ω、100kΩ程度。・Dewarに搭載したまま、Dewar D-subから抵抗値を測定。→CH2 GND-VG(TR1)のみ測定不可。その他は許容範囲内。→CH2は冷却時に断線の可能性。

・CH2以外はバイアスボックスのアースをDewarにとることによってバイアスを設定できない問題を解決。→CH2を除くHEMTが正常に。

TZHEMT

バイアスボックス

Amp

Heコンプレッサーへ

Gain

Returnloss

Local信号を入力した際のSISの電流電圧特性を確認した。→CH3を除く7個のSISでphoton step検出→生存を確認

ステップ幅0.3mV×3=0.9mV検出

LOあり

電圧(mV)0 2 4 6 8 10

LOなし電流(μA)

0 2 4 6 8 10

0

20

40

60

図 SBR測定時のブロック図Signal Generator からの信号をハーモニックミクサにより5逓倍し受信機へ疑似信号として入力。V偏波を2SBでUSBとLSBに分離しスペクトルアナライザで周波数特性を測定しSBRを計測する。

CH6

問題のあったCH3,4,6のDewar内のケーブルの交換を行った結果CH4&CH6→断線が原因だと判明。CH3→交換の必要性あり。2SBユニットのためCH2とセットでの交換になる。

SIS Bais box DC電源

中継

Dewar 異常のあった3個のSISのケーブル①、②を新しいものに交換

① ②

①SISのDC電圧電流特性

改修後

改修後

CH4

0 2 4 6 8 10

02040

60

電流(μA)

電圧(mV)0 2 4 6 8 10 電圧(mV)

02040

60

電流(μA)

02040

60

0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10

0 2 4 6 8 10

02040

60

電流(μA)

電圧(mV)

Dewar

図 TZ受信機Dewar内

RF signal(Beam2) RF signal

(Beam1)

OMTOMT

2SB mixers 2SB mixers

Corrugated hornCorrugated horn

HEMT

isolators

IF signals

LO signalLO signal

40K shield

4K stage

CH1 CH2

CH3CH4

CH5 CH6

CH7CH8

Local15.333…GHz18dBm

×2 ×3

疑似信号

疑似信号・17.2GHz×5=86GHz(LSB)(5dBm)・19.6GHz×5=98GHz(USB)(10dBm)

(LSB)

(USB)

2SBmixer

スペアナ

3dBDewar

SIS bias=7.5mV

OMT

3dB スペアナ92 GHz

×5

2SB

-10dBm -10dBm