リニアコライダー実験用細分割電磁カロリメータのビームテストに
よる性能試験と π0 中間子生成事象の再構成
筑波大学博士前期課程 修士論文発表会2009/2/12
素粒子実験研究室200720458 須藤 裕司
1
The International Linear Collider (ILC)重心系エネルギー 1TeV e+ e- 衝突型線形加速器 Motivation
• Higgs 粒子の精密測定• 超対称性粒子などの標準理論を超える新しい物
理の探索
現在のレイアウト全長 31km 、衝突点 1 ヵ所、ダンピングリング中
央
2
International Large Detector concept (ILD)
ILD とは ILC のための 3 つある検出器案の内の一つ
ILD の構成はe+e- 衝突点を中心に内側から
• 崩壊点検出器• シリコン飛跡検出器• 中央飛跡検出器• 電磁カロリメータ• ハドロンカロリメータ• ソレノイドコイル• μ 粒子検出器
3
ILD カロリメータに要求される性能
• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
ジェットに対するエネルギー分解能目標は 30%/√E(GeV)
目標達成のためジェットエネルギーの再構成法としてParticle Flow Algorithm (PFA) を用いる• ジェットを構成する粒子 π±, K± 等の荷電粒子、 光子、 KL
0,n 等の中性ハドロン Eparton = Echarged + Eγ + Eneutral
• PFA -ジェット中の粒子に対して 荷電粒子は飛跡検出器で運動量を測定
中性粒子はカロリメータでエネルギーを測定
カロリメータ内での荷電粒子のエネルギーは飛跡検出器の情報と合わせることで測定でき、光子のエネルギーは電磁カロリメータで測定できるので、 Eneutral = Ejet - Echarged - Eγ
PFA を使うためには各粒子をカロリメータ内で区別できることが必要4
ILD カロリメータ ( ScECal )• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発がすすめられている
電磁カロリメータ
吸収体: W
吸収体 W
10mm
2mm
40mmシンチレータ
波長変換ファイバー
光検出器
• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発がすすめられている
• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発がすすめられている
• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発がすすめられている
• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発がすすめられている
• PFA を活かすためには 1x1cm2 の 分割が必要• 1x4x0.2cm3 のストリップシンチ
レータを交差するよう積層し細分化することで実質的に 1x1cm2 の分割を実現
• 細かな分割のために 膨大なチャンネル数 (~1 千万 ch)
• ジェット中の粒子を良く分離するため ~3.5T の磁場中で使用
• 光電子増倍管に代わる小型・安価・磁場に強い光検出器が必要
• 新型半導体光検出器 MPPC ( Multi-Pixel Photon Counter ) の研究開発が進められている 5
4mm
3mm
1mm
1mm
Multi-Pixel Photon Counter (MPPC)
逆バイアス電圧 60~80 V
半導体光検出器共同開発研究筑波大学、浜松ホトニクス、KEK 測定器開発室
ガイガーモード APD を2次元に並列接続した構造。1600 pixels, Pixel size 25x25μm2
Gain > 105
原理的に応答は飽和する
pedestal
1 p.e.
2 p.e.
1mm
6
細分割電磁カロリメータ試作機 (ScECal)のビームテスト FNAL 2008
Main Injector &Recycler
CDF
D0
Tevatron
米国フェルミ国立加速器研究所 Meson Test Beam Facility (イリノイ州、シカゴ郊外)ScECal 試作機の性能試験を行った。( e-, μ-, pi- beam )
MT6
7
ビームテストの目的基本性能試験電磁カロリメータのエネルギー分解能の目標値
• e- に対して σstochastic ≤ 15% σconstant ≤ 1%• 応答の線形性からのずれが 1%以内
ScECal が上記の性能を満たしているか評価する
π0 中間子生成事象の再構成• ジェット中の光子のほとんどは π0 中間子に由来しているため、 π0 中間子を 再構成することでジェットエネルギー分解能を向上させることができる• 終状態に π0 が現れる物理に対して感度の高い測定が行える。
ScECal による π0 中間子生成事象の再構成能力を検証する
σE
E=
√E(GeV)σstochastic σconstant
8
ScECal の構成1x4.5x0.3cm3
18cm
18cm
18x4 (= 72 ) strips / layer
ScECal の構成• ストリップサイズ 1x4.5x0.3cm3
• 1 層あたり 18x4 = 72 strips• 全 30 層• 読み出しチャンネル数• 18x4x30 = 2160 チャンネル• 波長変換ファイバー + MPPC
9
MPPC
ストリップシンチレータ
ScECal の構成
Beam の向き
18x4x30 = 2160 strips奥行き 26.1cm
18cm
18cm
• 吸収層 タングステン ( W 87.5%, Co 12%, Li 0.5% )• 奥行き 26.1cm• ScECalサイズ ~22x22x26 cm3
• 厚さ ~22X0 ( X0 : 輻射長)
10
e- に対する ScECal 応答1GeV
3GeV
6GeV
12GeV16GeV
25GeV 32GeV
• 32GeV/c の μ- によって MIP 応答の較正• 現場で LED による MPPC 応答の測定 結果を用いて較正
• 線形関数による fit(1~12GeV) の結果 (SeECal 応答 ) = aX(GeV) + b MIP a = 151.24 ± 0.10 MIP/GeV b = 0.45 ± 0.57 MIP
• 線形性からのずれは最大で ~5%• 目標の 1%以内を達成できていない
11
e- に対する ScECal 応答(シミュレーション)
• シミュレーションは Mokka という Geant4 を基礎として作られた ILC 実験用のフルシミュレータを使用• 32GeV/c の μ- によって MIP 応答の較正• MPPC 応答の効果無し
• 線形関数による fit(1~12GeV) の結果 (SeECal 応答 ) = aX(GeV) + b MIP a = 151.49 ± 0.11 MIP/GeV b = -0.07 ± 0.37 MIP
• 線形性からのずれは最大で ~0.4%• 目標の 1%以内を達成している
ビームテストのデータに対して • MPPC 応答の較正の見直しが必要• 粒子ビームの運動量の較正が必要
12
シミュレーション
ビームテスト• シミュレーションは Mokka という Geant4 を基礎として作られた ILC 実験用のフルシミュレータを使用• 32GeV/c の μ- によって MIP 応答の較正• MPPC 応答の効果無し
• 線形関数による fit(1~12GeV) の結果 (SeECal 応答 ) = aX(GeV) + b MIP a = 151.49 ± 0.11 MIP/GeV b = -0.07 ± 0.37 MIP
• 線形性からのずれは最大で ~0.4%• 目標の 1%以内を達成している
ビームテストのデータに対して • MPPC 応答の較正の見直しが必要• 粒子ビームの運動量の較正が必要
• シミュレーションは Mokka という Geant4 を基礎として作られた ILC 実験用のフルシミュレータを使用• 32GeV/c の μ- によって MIP 応答の較正• MPPC 応答の効果無し
• 線形関数による fit(1~12GeV) の結果 (SeECal 応答 ) = aX(GeV) + b MIP a = 151.49 ± 0.11 MIP/GeV b = -0.07 ± 0.37 MIP
• 線形性からのずれは最大で ~0.4%• 目標の 1%以内を達成している
ビームテストのデータに対して • MPPC 応答の較正の見直しが必要• 粒子ビームの運動量の較正が必要
エネルギー分解能
13
ビームテストσstochastic = ( 14.41 ± 0.12 ) %σconstant = ( 1.68 ± 0.05 ) %
シミュレーションσstochastic = ( 11.93 ± 0.11 ) %σconstant = ( 0.66 ± 0.14 ) %
σE
E=
√E(GeV)σstochastic σconstant
ビームテスト ●シミュレーション ●
• ビームテストの結果、統計項は目標値である 15% を達成しているが、 定数項は目標値の 1% に対して 0.68% 大きい。 • シミュレーションではエネルギー分解能の目標値を達成しているので、 MPPC の影響が大きいことがわかる。
π0 Run• ScECal を用いて π0 の再構成が可能か検証した。• π0 を生成するために π- を 厚さ 6cm の鉄( 10x10x6cm3 )に入射• ScECal の上流~ 185cm の地点に設置 ( ILD の衝突点から電磁カロリメータ までの距離が 185cm)
9月 23,24日 π- beam 16GeV, 419,114 events9月 24日 π- beam 25GeV, 341,882 events9月 24,25日 π- beam 32GeV, 337,838 events 合計 1,098,834 events
~185cm
14
鉄ブロック
6 cm
10 cmπ-
2 光子系での不変質量の再構成
Target の中心( xt, yt, zt ) = ( 0, 0, -185 )として計算
π- beam
targetcluster1
cluster2
Cluster のエネルギーの重心
( x1, y1, z1 )
( x2, y2, z2 ) Target から Ecal までの距離 ~185cm
φ
( Invariant Mass ) = sqrt( 2*E1*E2*(1-cos(φ) ) )
E1
E2
Ecal 第 1 layer の表面 ( 0, 0, 0 )
15
π0 のエネルギー (GeV) 3 4 5 10 15
クラスター間の距離 (cm)
16.7 12.5 10.0 5.0 3.3
18cm
18cm
2つの γ のもつエネルギーが等しいとき
Strip Clustering1.シンチレータの幅が狭い方向で X, Y 層 に分ける
2. X 層で Energy deposit の最も大きなストリップを見つける(種)
3.そのストリップを元に3次元に(上下、左右、前後) 隣り合っているヒットのあったストリップを結合する ( 隣のストリップの Energy <= 1.2*Energy (種) )
4.結合できたストリップをそれぞれ新しい種として 結合できなくなるまで3をくり返す
5 . 残りのストリップを使って 2-4 をくり返す。
6. Y 層に対しても同様に 2-5 の操作をする。
7. X 層の cluster の重心を中心に X-Y平面で ±2.85cm 四方の中に Y 層の cluster の重心が あった場合 Y 層の cluster を X 層 cluster と結合し 最終的な cluster にする。
X layer Y layer
1
2
Layer i
Layer i-2 Layer i+216
Strip Clustering
X layer Y layer
1
3
Layer i
Layer i-2 Layer i+2
1.シンチレータの幅が狭い方向で X, Y 層 に分ける
2. X 層のそれぞれで Energy deposit の最も大きなストリップを見つける(種)
3.そのストリップを元に3次元に(上下、左右、前後) 隣り合っているヒットのあったストリップを結合する ( 隣のストリップの Energy <= 1.2*Energy (種) )
4.結合できたストリップをそれぞれ新しい種として 結合できなくなるまで3をくり返す
5 . 残りのストリップを使って 2-4 をくり返す。
6. Y 層に対しても同様に 2-5 の操作をする。
7. X 層の cluster の重心を中心に X-Y平面で ±2.85cm 四方の中に Y 層の cluster の重心が あった場合 Y 層の cluster を X 層 cluster と結合し 最終的な cluster にする。
17
Strip Clustering
X layer Y layer
1
4
Layer i
Layer i-2 Layer i+2
1.シンチレータの幅が狭い方向で X, Y 層 に分ける
2. X 層のそれぞれで Energy deposit の最も大きなストリップを見つける(種)
3.そのストリップを元に3次元に(上下、左右、前後) 隣り合っているヒットのあったストリップを結合する ( 隣のストリップの Energy <= 1.2*Energy (種) )
4.結合できたストリップをそれぞれ新しい種として 結合できなくなるまで3をくり返す
5 . 残りのストリップを使って 2-4 をくり返す。
6. Y 層に対しても同様に 2-5 の操作をする。
7. X 層の cluster の重心を中心に X-Y平面で ±2.85cm 四方の中に Y 層の cluster の重心が あった場合 Y 層の cluster を X 層 cluster と結合し 最終的な cluster にする。
18
4
Strip Clustering
X layer Y layer
1
Layer i
Layer i-2 Layer i+2
1.シンチレータの幅が狭い方向で X, Y 層 に分ける
2. X 層のそれぞれで Energy deposit の最も大きなストリップを見つける(種)
3.そのストリップを元に3次元に(上下、左右、前後) 隣り合っているヒットのあったストリップを結合する ( 隣のストリップの Energy <= 1.2*Energy (種) )
4.結合できたストリップをそれぞれ新しい種として 結合できなくなるまで3をくり返す
5 . 残りのストリップを使って 2-4 をくり返す。
6. Y 層に対しても同様に 2-5 の操作をする。
7. X 層の cluster の重心を中心に X-Y平面で ±2.85cm 四方の中に Y 層の cluster の重心が あった場合 Y 層の cluster を X 層 cluster と結合し 最終的な cluster にする。
19
Strip Clustering
X layer Y layer
1
7
X (cm)
Y (cm)
Z (layer)
π0
γ
γ
1.シンチレータの幅が狭い方向で X, Y 層 に分ける
2. X 層のそれぞれで Energy deposit の最も大きなストリップを見つける(種)
3.そのストリップを元に3次元に(上下、左右、前後) 隣り合っているヒットのあったストリップを結合する ( 隣のストリップの Energy <= 1.2*Energy (種) )
4.結合できたストリップをそれぞれ新しい種として 結合できなくなるまで3をくり返す
5 . 残りのストリップを使って 2-4 をくり返す。
6. Y 層に対しても同様に 2-5 の操作をする。
7. X 層の cluster の重心を中心に X-Y平面で ±2.85cm 四方の中に Y 層の cluster の重心が あった場合 Y 層の cluster を X 層 cluster と結合し 最終的な cluster にする。
20
2 光子事象から不変質量を再構成するための事象の選別
π- 16GeV 25GeV 32GeV total
All events 419,114 341,882 337,838 1,098,834
> 30 hits,> 50 MIPs,> 60% of total E 83,319 66,823 65,856 215,998
clsx=2 & clsy=2 * 11,594 12,688 14,928 39,165
40% <= Ecls1 <=85% ** 9,540 9,820 11,302 30,662
15% <= Ecls2 <=60% 8,396 9,099 10,572 28,067
Ecls3 <= 5% 2,957 3,038 3,382 9,377
Sum. E other cls <= 13% 2,691 2,819 3,134 8,644
-7 <= cluster center <= 7 cm
1,549 1,418 1,584 4,551
21
* X,Y 各 cluster のエネルギー >= 8% of Etot
** ScECal で測定された全エネルギーのうち cluster が占めるエネルギーの割合
2 クラスターから再構成した不変質量分布
22
π0 事象候補数 757 ± 72Chi2/NDF = 61.36/69 p1 = Mpi0 = 128.86 ± 0.81 (MeV/c2) p2 = σpi0 = 14.38 ± 0.99 (MeV/c2)
Fitting function p0*exp(-(x-p1)2/2p2
2) + p3*exp(-x/p4) + p5*exp(-x/p6)
シミュレーションChi2/NDF = 105.1/69 p1 = Mpi0 = 134.93 ± 0.64 (MeV/c2) P2 = σpi0 = 14.64 ± 0.81 (MeV/c2)
シミュレーション
ビームテスト
Summary
23
• ILC 実験のためのシンチレータストリップ細分割電磁カロリメータ 試作機の性能試験と π0 中間子生成事象の再構成を行った。
• シミュレーションにおける e- に対する応答の線形性は 1%以内 エネルギー分解能は
• ビームテストの結果は線形性からのずれが 5% エネルギー分解能は
• シミュレーションにおいて再構成した π0 の不変質量は Mπ0 = 134.93 ± 0.64 (MeV/c2)• ビームテストの結果は Mπ0 = 128.86 ± 0.81 (MeV/c2)• π0 質量の 4.5%ずれは較正不足のためと考えられるが、電磁カロリメータ による π0 中間子生成事象の再構成が可能であることが初めて実証された。
δEE
=√E(GeV)
(11.93±0.11)% (0.66±0.14)%
δEE
=√E(GeV)
(14.41±0.12)%(1.68±0.05)%
Backup
24
ILD カロリメータに要求される性能
• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
ジェットに対するエネルギー分解能目標は 30%/√E(GeV)
目標達成のためジェットエネルギーの再構成法としてParticle Flow Algorithm (PFA) を用いる• ジェットを構成する粒子 π±, K± 等の荷電粒子、 光子、 KL
0,n 等の中性ハドロン Eparton = Pcharged + Eγ + Eneutral
• PFA -ジェット中の粒子に対して 荷電粒子は飛跡検出器で運動量を測定
中性粒子はカロリメータでエネルギーを測定
カロリメータ内での荷電粒子のエネルギーは飛跡検出器の情報と合わせることで測定でき、光子のエネルギーは電磁カロリメータで測定できるので、(中性ハドロンの E ) = (全 E )-(荷電粒子の E )-(光子の E )
PFA を使うためには各粒子をカロリメータ内で区別する必要がある 25
1x4.5x0.3cm3
26
ビームラインの構成
27
e- 選別の条件
28
e- 選別の結果 ( ビームテスト )
29
e- に対する ScECal 応答( MPPC補正前)
1GeV
3GeV
6GeV
12GeV16GeV
25GeV 32GeV
• 32GeV/c の μ- によって MIP 応答の較正• MPPC 応答の較正
• 線形関数による fit(1~12GeV) の結果 (SeECal 応答 ) = aX(GeV) x b MIP a = 142.2 ± 0.1 MIP/GeV b = 13.0 ± 0.6 MIP
• 線形性からのずれは最大で ~12%• 目標の 1%以内を達成できていない
30
エネルギー分解能
統計項 σstochastic = ( 14.41 ± 0.12 ) %定数項 σconstant = ( 1.68 ± 0.05 ) %
統計項は目標値である 15% を達成しているが、定数項は目標値の 1% に対して 0.68% 大きい。 MPPC 応答の特性が影響していると考えられる。 31
エネルギー分解能(シミュレーション)
統計項 σstochastic = ( 11.93 ± 0.11 ) %定数項 σconstant = ( 0.66 ± 0.14 ) %
統計項、定数項もとに目標値を達成している。シミュレーションの結果から、 MPPC 応答の影響が大きいことがわかる。
32
π0 中間子生成事象の選別条件
33
π0 中間子生成事象の選別結果
34
MPPC 応答の較正
35
MPPC の応答を補正するために LED を用いて MPPC の応答曲線を測定した。MPPC のピクセルは約 4ns の時定数で出力が回復するため時間幅の広い入力に対してピクセルは複数回出力することができ、MPPC は見掛け上ピクセル数が増加したような応答をする。MPPC の応答を単純な式で表すと( MPPC の応答) = Npixel( 1- exp[ - N/Npixel ] )であり、 Npixel は見掛け上のピクセル数、 N は MPPC が線形な応答をした場合の出力の大きさである。 LED 、シンチレータ及びWLSF の発光は一定の崩壊時間を持って起きるため MPPC 応答の効果があらわれる。LED を用いた測定の結果はNpixel = 3217 ± 22であった。MPPC の補正は MPPC 応答の式を N について解いた式を用いて行った。N = -Npixel ln( 1 – (MPPC の応答 ) / Npixel )
クラスターエネルギーと補正値
36
運動量(GeV/c)
補正値 範囲( MIP )
1 0.892 <150
3 0.900 450
6 0.908 910
12 0.916 1810
16 0.917 2420
25 0.922 3770
32 0.923 3770<
クラスターエネルギーの補正
37
クラスターエネルギーに対して補正を行うために、 e- に対するクラスターのエネルギーと ScECal 全体のエネルギーの比を、クラスターエネルギーの補正値とした。運動量が 1.5GeV/c などの場合は表の 1GeV/c から 3GeV/cまでの補正値を線形な関数で補完した。 クラスター 1 のエネルギーを Ecls1 、クラスター 2 のエネルギーを Ecls2 、Ecls1及び Ecls2 に対する補正項を c1 、 c2 、クラスターのなす角を φとしたとき、 Mγγ = √2 Ecls1/c1 Ecls2/c2 (1-cosφ)となる。
Mγγ 、 Eγγ 、 φ ( 2 クラスター)
38
ビームテスト左下 : Mγγ - Eγγ右下 : Mγγ - Eγγ右 : Eγγ - φ
2clusters Etot, Ecls1, Ecls2
39
ビームテスト左 : Ecls1 - Ecls2
左下 : Etot - Ecls1
右下 : Etot - Ecls2
Mγγ 、 Eγγ 、 φ
40
シミュレーション左下 : Mγγ - Eγγ右下 : Mγγ - Eγγ右 : Eγγ - φ
2clusters Etot, Ecls1, Ecls2
41
シミュレーション左 : Ecls1 - Ecls2
左下 : Etot - Ecls1
右下 : Etot - Ecls2
Mokka
42
ヨーロッパグループ が開発している ILC 実験のための Full SimulatorGeant4 が base になっている。
FNAL Beam Test のシミュレーションも CALICE に入れるために Mokka の準備もしているが、ここでは ScECal単独での結果。
1 GeV electron 1 GeV electron
2 クラスターから再構成した不変質量分布(クラスター補正
前)
43
Fitting function p0*exp(-(x-p1)2/2p22) + p3*exp(-x/p4) + p5*exp(-x/p6)
π0 生成以外のシャワー事象
複数 π0 生成時の miss combination
Chi2/NDF = 64.88/69P1 = Mpi0 = 115.78 ± 0.75 (MeV/c2)P2 = σpi0 = 13.59 ± 0.95 (MeV/c2)
2 クラスターから再構成した不変質量分布
44
π0 事象候補数 757 ± 72Chi2/NDF = 61.36/69 p1 = Mpi0 = 128.86 ± 0.81 (MeV/c2) p2 = σpi0 = 14.38 ± 0.99 (MeV/c2)
Fitting function p0*exp(-(x-p1)2/2p22) + p3*exp(-x/p4) + p5*exp(-x/p6)
2 光子事象から不変質量を再構成するための事象の選別(シミュレーション)
π- 16GeV 25GeV 32GeV total
All events 267,000 241,252 200,141 708,393
> 30 hits,> 50 MIPs,> 60% of total E 41,701 50,598 44,283 136,582
clsx=2 & clsy=2 * 6,641 12,275 11,884 30,800
40% <= Ecls1 <=85% ** 5,381 9,615 9,173 24,169
15% <= Ecls2 <=60% 4,856 9,044 8,708 22,608
Ecls3 <= 5% 1,725 3,173 2,932 7,830
Sum. E other cls <= 13% 1,683 3,052 2,776 7,511
-7 <= cluster center <= 7 cm 781 1,475 1,393 3,649
45
* X,Y 各 cluster のエネルギー >= 8% of Etot
** ScECal で測定された全エネルギーのうち cluster が占めるエネルギーの割合
2 クラスターから再構成した不変質量分布 (シミュレーション)
46
π0 事象候補数 978 ± 75Chi2/NDF = 105.1/69 Mpi0 = 134.93 ± 0.64 (MeV/c2) σpi0 = 14.64 ± 0.81 (MeV/c2)
ビームテストのデータのπ- のトリガー数とシミュレーションのπ- 生成数で規格化するとπ0 事象候補数は 1517 ± 116となりビームテストの 2 倍
ILD に要求される性能• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
• 効率的な重いフレーバー( cや b )ジェットの識別能力
• 優れた荷電粒子に対する運動量分解能
• 背景事象となる 2 光子衝突を効率よく排除するため 検出器の被覆率が良いこと
• 崩壊点検出器• シリコン飛跡検出器• 中央飛跡検出器• 電磁カロリメータ• ハドロンカロリメータ• μ 粒子検出器
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ILD に要求される性能• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
• 効率的な重いフレーバー( cや b )ジェットの識別能力
• 優れた荷電粒子に対する運動量分解能
• 背景事象となる 2 光子衝突を効率よく排除するため 検出器の被覆率が良いこと
• 崩壊点検出器• シリコン飛跡検出器• 中央飛跡検出器• 電磁カロリメータ• ハドロンカロリメータ• μ 粒子検出器
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ILD に要求される性能• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
• 効率的な重いフレーバー( cや b )ジェットの識別能力
• 優れた荷電粒子に対する運動量分解能
• 背景事象となる 2 光子衝突を効率よく排除するため 検出器の被覆率が良いこと
• 崩壊点検出器• シリコン飛跡検出器• 中央飛跡検出器• 電磁カロリメータ• ハドロンカロリメータ• μ 粒子検出器
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ILD に要求される性能• ハドロン崩壊モードの W と Z を 2 ジェット不変質量を用いて 分けることができる良いエネルギー分解能
• 効率的な重いフレーバー( cや b )ジェットの識別能力
• 優れた荷電粒子に対する運動量分解能
• 背景事象となる 2 光子衝突を効率よく排除するため 検出器の被覆率が良いこと
• 崩壊点検出器• シリコン飛跡検出器• 中央飛跡検出器• 電磁カロリメータ• ハドロンカロリメータ• μ 粒子検出器
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