保護者等から学校に寄せられる要望や苦情等への対応の中には,学校の初期対応や事
実確認,保護者等の思いや願いに対する受け止め方や問題に対する認識等が不十分であ
ったことなどから,問題をこじれさせ大きくしてしまったりしているケースが見られま
す。
ここでは具体的な対応事例をあげ,対応の経過とポイントを示しています。また,事
例9,10については,実際に保護者と教員とのやりとりが対話型でまとめてあります。
ぜひ保護者の立場・心情になって教員の対応を受け止めてみましょう。
※ ここで紹介する事例は,これまでに学校に寄せられた要望・苦情等のうち,
解決に至るまでに時間を要した事例等を参考に,一部をアレンジして作成
しています。
1 事例からつかむ対応のポイント
① 事 例
【対応事例】
事例1 不登校児童への学校の対応に不満を訴えてきたケース(小学校)
事例2 学級担任の思い込みによりいじめへの対応が遅れたケース(中学校)
事例3 学校徴収金をめぐり保護者とトラブルになったケース(中学校)
事例4 部活動における指導への不満を訴えてきたケース(中学校)
事例5 給食指導に対する不満を訴えてきたケース(小学校)
事例6 登下校時の児童の行動に対して苦情が寄せられたケース(小学校)
事例7 盗難の疑いに対して保護者が補償を要求してきたケース(小学校)
事例8 児童の把握が不十分であったケース(特別支援学校)
【対話型事例】
事例9 登校を渋る生徒の保護者から相談があったケース(中学校)
事例 10 登校時のトラブルに対して保護者が強く抗議してきたケース
(小学校)
② 校内研修等での事例の活用について
・事例研修の進め方【事例1~事例8】
・事例研修用ワークシート【事例1~事例8】
・事例研修の進め方【事例9・事例 10】
・【事例9】ロールプレイ指令書(保護者役用・学級担任役用・記録者用)
・【事例 10】ロールプレイ指令書(保護者役用・学級担任役用・記録者用)
■要望・苦情等の概要
夏休み後から登校できなくなった6年生の児童の父親から,「子どもが休んでいても担任の家庭訪問
もほとんどなく何の連絡もなかった。突然,卒業文集の原稿依頼を配達証明郵便で届けてきた。学校は
何をやっているんだ。」と,教頭に対して抗議の電話がかかってきました。
□初期対応
教頭は,学級担任から事実を確認し,直ちに学級担任とともに家庭訪問を行いました。
これまで学級担任は定期的に家庭訪問を繰り返してきましたが,留守のことが多かったため,児童本
人と保護者に接触する機会を作れなかったこと,夜間に家庭訪問をするといった時間的な制約や担任一
人での対応ということもあって配達証明郵便送付に及んでしまった経緯を説明し,これまでの対応や安
易に郵便で送付したことを謝罪しましたが,保護者は納得せず,学校への不信感をあらわにしました。
□組織的な対応
校長は,改めて不登校対策委員会を開き,不登校に至った経緯等について調査をするとともに,学級
担任や学年職員を中心とした支援体制を早急に整備し,組織的に対応するよう指示しました。
また,校長は保護者への対応については,教頭が窓口となり積極的に関わることを指示しました。
□関係機関等との連携
保護者は,学校の対応に不信感をもっており,学校側の説明には理解を示そうとしないことから,校
長は市教育委員会に相談したところ,まずは児童の不登校への対応を優先して対応するよう,スクール
カウンセラーによるカウンセリングと,児童相談所の相談窓口の活用についての助言を得ました。
●事後の対応等
教頭は保護者と接触する機会を多くもち,不満を丁寧に受け止め,学校として問題解決に向けた取組
を説明し,不信感の払拭に努めました。
また,別室登校を含めた具体的な支援策や対応策を検討し,担任や学年職員を中心にして構成した支
援チームによる家庭訪問を繰り返し,本人との会話に努めながら学習指導に取り組みました。そして,
本人や保護者の要望を聞きながら,スクールカウンセラーによるカウンセリングと児童相談所の相談窓
口を紹介するなどの対応をしました。
■対応のポイント
・教頭と学級担任がすぐに家庭訪問したことは迅速な対応といえます。学校がこうした早い対応や丁寧
な対応をすることは,新たな保護者の怒りの感情を育てないことにつながります。
しかし,これまでの学校の対応を一方的に説明したのでは理解は得られません。まずは,これまでの
学校の対応に保護者がなぜ応じてくれなかったのか,何に対して不信感をもっているのかなどを丁寧
に聴きこれまでの対応を振り返るとともに,保護者の内面を理解することが大切です。
・このケースには不登校への対応の問題,担任の家庭への対応の問題という2つの問題があります。そ
れぞれの問題の真意をとらえ解決を図ることが,保護者からの信頼回復につながります。
・担任一人で抱え込まずに,管理職への報告・連絡・相談・確認を密にします。そして,支援体制を整
え組織的な対応を図ることで,児童本人や保護者と接触する機会を多く作ることが大切です。
事例1 不登校児童への学校の対応に不満を訴え
てきたケース(小学校)
事例2 学級担任の思い込みによりいじめへの
対応が遅れたケース(中学校)
■ 要望・苦情等の概要
学級懇談会で,ある保護者から「学級にいじめがあるらしい」との話題が出されましたが,学級担任
は,日頃から生徒の様子は把握できているという気持ちもあり,「そんなことはないと思いますが・・・」
とすぐに話題を変えてしまいました。数日後,先日の保護者から「うちの子が学級でいじめを受けてい
る。学級のいじめの実態を明らかにしてほしい。」と学級担任に電話が入りました。
□初期対応
学級担任は,いじめについてアンケート調査を行いましたが,いじめの事実は確認できなかったこと
から,生徒と保護者の思い込みであり,生徒に怠学傾向があるのではないかと考えて保護者に話をした
ため,保護者は「子どもの言うことと食い違いがある。」と学級担任の説明に不満をもちました。その
結果,保護者は学級担任への不信感を募らせ学級担任の変更を校長に訴えてきました。
□組織的な対応
校長は,学級担任に学級のいじめの実態と保護者と生徒の様子を報告させ,学年主任を中心に再度い
じめの調査をするように指示しました。再調査の結果を学年主任と学級担任が家庭訪問をして報告しま
したが,保護者の認識と学校の回答には大きな隔たりがあり,同じ説明を繰り返す学校の対応に保護者
の怒りは増幅し,市教育委員会にも「いじめの実態を明らかにしろ」と訴えるようになりました。
□関係機関等との連携
市教育委員会と学校は今後の保護者への対応策について協議し,学校は,保護者との話し合いの場を
継続的に設定して,保護者の訴えを丁寧に受け止めるとともに,市教育委員会は,教育相談員を学校に
派遣しいじめの問題に対応していくことにしました。
●事後の対応等
校長は,話し合いの中で保護者の訴えを共感的に受け止めるように心がけ,養護教諭と教育相談員は,
定期的に家庭訪問を行い生徒の心のケアをしていくことで,この親子のいじめ問題に対する精神的な苦
痛を取り除くことに努めました。
■対応のポイント
・学級担任がいじめの事実を把握するためにアンケート調査を行っていますが,いじめ対応の難しさと
して,調査の結果がいつも正しいとは限りません。また,生徒に怠学傾向があると考えて保護者に対
応したことに問題があります。
・学校は「いじめの実態を明らかにしてほしい」という保護者の要望の中身を丁寧に聴き取り,具体的
に確認して実態を把握するように努めていくことが大切です。
・いじめを受けて嫌な思いをしているのであれば,すぐにその思いを取り除く気遣いや言葉がけが必要
です。いじめの事実が把握できない場合でも保護者の苦情に対して「それは違います」「全くの誤解
です」と返していたのでは問題は解決しません。まずは,否定的な言葉ではなく,保護者や生徒の立
場に立った肯定的な言葉を使い対応しましょう。
・いじめ調査の結果に対する保護者の苦情はきちんと記録をしておきます。また,調査の結果と生徒の
言い分に違いがあった場合も,記録しておき再調査に活かします。
事例3 学校徴収金をめぐり保護者とトラブル
になったケース(中学校)
■ 要望・苦情等の概要
学校徴収金(修学旅行積立金・卒業準備金)が未納となっている保護者に対して,学級担任は学年主
任と話し合い,文書で納入を依頼しましたが,1人だけ納入されませんでした。
その保護者は,これまでにも学校に対して非協力的な面が見られたことから,学級担任は,再度,督
促状と題して納入期限を定めて文書を郵送したところ,保護者が「一方的な納入の要求は恐喝だ。」と
して担任に謝罪を要求するとともに,学校徴収金についても「義務教育なのだから支払うつもりはな
い。」と怒りをあらわに来校してきました。
□初期対応
学級担任,学年主任とも授業中であったため教務主任が対応し,旅行積立金の納金がなければ,修学
旅行にも参加できないし,その後の卒業準備金も未納であれば卒業アルバムも手にすることができない
ことを説明したところ,かえって保護者の気分を害してしまいました。
放課後,学級担任と学年主任が家庭訪問をして修学旅行を楽しみにしている生徒が参加できないこと
で大きく傷つくことが予想されること,入学当初より会計が未納の月には,文書にて納入依頼してきた
が納入してもらえなかったことなどを丁寧に説明しましたが,保護者は,突然,督促状という形で文書
を郵送してきた学校の対応に不満をあらわにし,理解しようとしませんでした。
□組織的な対応
学年主任は,家庭訪問での様子を校長に報告し,問題の状況を説明しました。その結果,保護者への
説明,説得が不十分であったと判断し,保護者に来校してもらい,教頭を交えて再度話合いをもつこと
にしました。
また,事務担当職員と連携し,分割納入の計画案を提示し,保護者に納入を促しました。
●事後の対応等
管理職が窓口となり,保護者への納入依頼や学校教育への協力等について継続的に話し合いをもった
ところ,保護者は納得し,分割の形で納入することになりました。
管理職は,担任に対して,これまでの学校への不信感や関係の希薄さが起因してトラブルが生じたこ
とを指摘し,早期対応と学校全体で取り組むことの大切さを指導しました。
■対応のポイント
・未納になっている原因が家庭環境や経済的な状況にあるのか,また,保護者の一方的な主張で支払わ
ないのかなどを,家庭訪問や保護者と面会の機会を設けるなどして把握しておくとともに,日常的に
保護者との良好な関係を築いておく必要があります。
・「これまでにも保護者が非協力的であった。」という先入観をもたずに,長期的に未納の状態が続いて
いる場合には,事務的・高圧的な印象を与えないよう,話し合いを重視した接し方が大切です。
また,このような場合,未納であることが他の生徒に分からないよう教育的な配慮も必要です。
・学校徴収金の未納対策については,学級担任が一人で問題を抱えずに,学年主任や管理職にも報告・
相談し,学校として組織的に対応することが大切です。
・長期的な未納の場合には,専門的な判断が必要なことも想定されることから,早期に市町村教育委員
会に報告を入れておくことも必要です。
事例4 部活動における指導への不満を訴えてきた
ケース(中学校)
■要望・苦情等の概要
新任のA教諭は,強豪として地域でも知られる中学校に赴任し剣道部の顧問となりました。A教諭は,
大学で剣道部に所属し,自ら選手として活躍した経験もあることから,自分なりの指導法で一生懸命指
導していましたが,剣道部保護者会の会長から教頭に「子どもが今の練習方法ではついていけない。先
生の教え方はおかしい。前の顧問の指導法のほうがよかったと言っている。他の子もそう言っているよ
うだ。」と電話が入りました。
□初期対応
教頭は,保護者会の会長からの話を聞き,学校としてもA教諭の指導方法を確認し,改善することを
約束し納得してもらいました。
その後,教頭は,廊下ですれ違ったA教諭を呼び止め,「保護者から部活動の指導が厳しいと苦情が
あった。」とだけ伝えました。
1ヶ月後,再度保護者会の会長から電話があり,「何も変わっていないのではないか,子どもがつら
い思いをしているのになぜ学校は放っておくのか,顧問を替えないのであれば,子ども全員の部活動の
参加をやめさせる,市教育委員会にも訴える。」と別な要求に発展してしまいました。
□組織的な対応
教頭は,2度目の電話があって初めて校長に報告しました。校長は,体育科主任に剣道部の指導の実
態を把握するよう指示しました。また,市教育委員会には,匿名の保護者から「部活動の顧問から体罰
を受けている」と相談があったことがわかりました。
剣道部の保護者会を開催し,保護者の要望等を聞くとともに,生徒に対しても体罰があったのかどう
か調査を行ったが,指導は厳しいが体罰はないことがわかりました。
●事後の対応等
再度保護者会を開催し,顧問の指導が大学での経験を活かしたもので,中学生の指導には体力的にも
難しかったことを謝罪し,今後の指導方針等をよく説明しました。また,生徒一人一人の思いなどを十
分に把握するよう努めていくことで,保護者の理解を得ることができました。
さらに,地区スポーツ少年団の大会に教頭とともに参加して審判をしたり,大会後の稽古をしたりし
たことで,次第に地域の剣道関係者や保護者から信頼を得られるようになりました。
■対応のポイント
・最初は部活動顧問の指導方法への不満であったものが,初期対応を誤った結果,部活動顧問の体罰に
まで話が発展し,問題が大きくなってしまった事例であり,最初に電話を受けた教頭が保護者の声に
対して事実を確認するなど,すぐに対応しなかったことに問題があります。
・また,新任の教員(部活動の顧問)に対しても,保護者から苦情があったことをたいしたことはない
ようなニュアンスで伝えており,問題意識が欠如しているといわれてもしかたありません。
・校長への報告も問題が大きくなってからではなく,最初の時点で報告しておくことが重要です。この
場合,報告書等の作成にはこだわらず,まずは口頭で報告・相談をしておくなど,情報は迅速に伝え
ることに心がけます。
■要望・苦情等の概要
給食の時間に魚介類が入った食べ物を残してしまう児童に対して,学級担任が食べ物の好き嫌いや栄
養等について指導したところ,保護者から「うちの子どもは食物アレルギーがあり,家庭でも魚介類は
食べさせていない。無理に食べさせてアナフィラキシーショックを起こしたらどうするのか,給食を食
べるのも,残すのも子どもの自由にしてもらいたい。」と手紙が届きました。
□初期対応
手紙の内容を学年主任に報告するとともに,保護者に電話を入れ,すぐに家庭訪問をしたいことを伝
え,学年主任とともに家庭訪問を行いました。
保護者は,家庭訪問をしてもらったことに対して恐縮した様子であったが,子どもが給食の時間に食
べ物を残したことについて,他の児童の前で注意されたことをかわいそうに思って手紙を書いたことが
わかり,子どもを介して給食指導が間違って保護者に伝わっていると感じた担任は,そのときの様子を
丁寧に説明しました。また,心身の健やかな成長を願って指導したことを伝えました。
さらに,保護者にアレルギーをおこす食品を詳しく聞いたところ,実際は,食物アレルギーではなく,
以前にエビを食べた後に気分が悪くなりおう吐をしてしまったことから,魚介類が嫌いで食べられない
ことがわかりました。
すぐに家庭訪問をして事実を確認したことにより,学校での指導に理解を示してくれました。
□関係機関等との連携
学校医から食物アレルギーについての指導を受け,生命の危機につながる可能性もあることを全職員
で確認をし,緊急時の対応方法について職員会議で検討しました。
食物アレルギーをおこす食品を取り扱う際の留意事項について,給食センターと確認をしました。
●事後の対応等
給食だより等で,「好き嫌い」や「食物アレルギー」に関する記事を計画的・継続的に取り扱い,食
育の推進に取り組んでいることや安全への配慮を十分に行っていることを広報しました。
また,児童が嫌いな食品を食べることができた時には,保護者に連絡するなど,児童のがんばりを学
校と家庭で共有するよう心がけました。
事例5 給食指導に対する不満を訴えてきた
ケース(小学校)
■対応のポイント
・手紙では,保護者の意図がつかめない場合があります。そのようなときは,電話で済ませることなく,
家庭訪問をして,face to faceで対応したほうが,解決が早いこともあります。
・この事例は,すぐに家庭訪問をして保護者に対して給食の様子や指導の内容を丁寧に説明したことで,
保護者の理解が得られ,苦情が苦情でなくなった事例です。
・保護者は子どものことを何よりも一番に考えています。子どもから聞く内容と学級担任の指導に違い
があることを想定して,丁寧に説明することが大切です。
・今回の事例は,場合によっては生命にかかわる事項です。日ごろから,児童生徒の様子などをよく把
握しておくとともに,保護者とのよりよい関係をつくっておくことが大切です。
事例6 登下校時の児童の行動に対して苦情が
寄せられたケース(小学校)
■要望・苦情等の概要
地域のAさんから,「下校途中の小学生に家の花壇を荒らされた。以前にも同様のことがあったが,
そのときは,子どもがやったことだからと目をつぶっていた。でも,今回は我慢できない。学校ではど
のような指導をしているんだ。犯人を見つけて謝りに来い,そして折れた草木を弁償しろ。」と電話が
ありました。
□初期対応
最初に電話を受けた教職員が,Aさんのあまりの怒りに,花壇を荒らした児童を確認し,謝罪させる
ことを約束してしまいました。翌日,各学級担任がAさんの家の前を通学路としている児童全員に確認
したところ,どの児童も知らないという返答であり指導するまでに至りませんでした。
教頭がそのことをAさんに電話で報告したところ「学校は何もできないのか。これから学校へ行って
話を付ける。」と激怒してしまいました。
□組織的な対応
校長は教頭から苦情内容の報告を受け,教頭に対してすぐにAさん宅を訪問して現状を確認すること
などを指示しました。
教頭と生徒指導主事はすぐにAさん宅を訪問し,荒らされた花壇を確認するとともに,児童が花壇を
荒らした事実を確認できなかったことを安易に電話で報告してしまうなど,学校の対応が適切ではなか
ったことを謝罪しました。また,このようなことが二度と起きないよう学校の指導方針を伝えましたが,
納得はしてもらえませんでした。
□関係機関等との連携
「スクールサポーター」や「通学ボランティア」の方に,登下校時のルールやマナーなどについても,
必要に応じて声かけをしてもらうように依頼しました。
●事後の対応等
Aさんはその後,学校に対して花壇を復旧するよう求めてきましたが,教職員が花壇をもとに戻すこ
とや児童の通学時の指導を徹底し再発防止を図るなどの学校の対応を伝えたところ,徐々に落ち着いて
話に応じてくれるようになりました。
■対応のポイント
・自分の学校の児童がしたかどうかの確認がとれなくても,まずは訪問して現場を確認することが大切
です。学校として対応することにより,相手方にも誠意が伝わります。
・電話での苦情については,事実関係をきちんと確認した後,改めてこちらから連絡(電話あるいは訪
問)することを伝えるべきであり,安易にすぐに謝罪させることを約束してしまった初期対応に問題
があります。
・さらに,花壇を荒らした児童が確認できなかったことに対して,教頭がその事実のみを伝えている
ことから,相手の怒りを大きくしてしまっています。苦情を言ってきた方からすると,学校は事実を
隠している,地域住民の声は受け止めてくれないと思ってしまうのではないでしょうか。
・住民の方もできれば学校に苦情を言いたくはないが,2回も花壇を荒らされたことから意を決して電
話をしてきたかもしれません。そうした心情をくみ取り丁寧な対応を心がける必要があります。
事例7 盗難の疑いに対して保護者が補償を要
求してきたケース(小学校)
■要望・苦情等の概要
学級内で現金が盗難にあったかもしれない件について,友人たちから疑いをかけられているという話
が保護者からありました。「自分の子どもが犯人にされているがそんなことはない。真犯人を見つけて
子どもの潔白を証明せよ。」という苦情から,精神的な苦痛に対する補償を要求するようになりました。
□初期対応
最初はお便り帳を通した「噂をたてられて困っている。」旨の相談でしたが,盗難の事実をはっきり
とつかめないでいた担任は,保護者に直接話を聞いた方が良いと思い,何度か家庭に連絡を入れたがつ
ながらなかったため,やむを得ず自分の携帯電話番号を保護者に伝えました。
その後,朝夕を問わず両親や祖父母から電話が入るようになり,さらに,ファミリーレストランに呼
び出され,親戚だという男から精神的な苦痛に対する補償として金銭を要求されるようになりました。
□組織的な対応
金銭の要求に発展してしまったことから学級担任は初めて管理職に相談し,学年主任を中心に学級の
保護者会を開催することにしました。保護者会では,盗難についての事実がはっきりしない状況ではあ
りましたが,これまでの学級内の状況を説明して噂等にまどわされないよう児童への指導の協力をお願
いしました。また,苦情を申し立てている保護者に対しては,電話での対応をやめ,必ず管理職が同席
のうえ,学校で話合いを進めるようにしました。
□関係機関等との連携
学校での話合いには保護者以外の方も来校すること,また,盗難事件の疑いもあることを考慮し,市
教育委員会の担当者及び,警察署の生活安全課職員にも同席してもらうようにしました。
●事後の対応等
盗難の事実については,学校側の調査についてきちんと説明するとともに,児童の聴取には限界があ
ることを丁寧に説明しました。また噂等についても,学校がおこなった具体的な指導の内容を説明し,
クラスの現況も丁寧に説明を行うことや,該当児童の人間関係を上手に調整し,学校が楽しくなるよう
な支援を続けた結果,補償の要求はなくなりました。
■対応のポイント
・保護者との緊急連絡や勤務時間外の連絡方法等については教職員全員が共通認識のもと,例えば,特
別の場合を除き,電話連絡の時間帯を○時までと制限し,保護者に協力を依頼することも必要です。
・この事例には盗難に関する指導の在り方と電話による話合いの課題,面談の3原則(①約束した決め
られた時間を守って対応する。(時間),②話合いや協議は学校や公民館等の公の場所で行う。(場所)
③約束した人間以外の参加は認めない。(人))が守られていないなどいくつかの反省すべきポイント
があります。また,金銭の要求などに発展するなど,学校のみでの対応が困難な場合には,早期に市
町村教育委員会等に報告し,指導助言を求めることが必要です。その際,要求の内容等をしっかりと
記録しておくことも必要です。
・盗難に関する指導については,児童等の心情に配慮しながらも,二次被害を防ぐためにも事実確認を
きちんと行わなければなりません。その上で保護者になるべく早く状況等を説明し,児童に問題意識
を持たせると同時に指導の協力を得ることが大切です。
■要望・苦情の概要
保護者から教頭に「同じクラスの友だちに危害を加えられ,腕にひっかき傷ができている。安心して
学校に通わせることができないので,危害を加えた児童とはクラスを別にしてほしい」との電話があり
ました。
□初期対応
担任は児童の腕にひっかき傷ができていることに気付かず,保護者からの電話で初めて事実を知るこ
とになりました。保護者は,クラスの児童から被害を受けたと思いこんでおり,担任が状況を把握して
いなかったことに対しても不満をもっていました。
電話の後,すぐに教頭,部主事,担任が家庭訪問をし,保護者の話を聞きました。被害を受けた児童
は知的障害があり,原因について本人が説明することは難しい状況ですが,傷の状態を確認しました。
□組織的な対応
家庭訪問後,管理職,部主事,学年主任,生徒指導主事で対応を協議し,下記4点を確認しました。
①傷の原因について調査すること,②スクールバス乗務員から車内の様子を聴き取ること,③他学年
の教師への周知を図ること,④児童から目を離さないように他学年との連携体制を図ること
担任は傷の原因を調査しましたが,自傷行為が起因している可能性もあり,特定することはできませ
んでした。教頭,部主事,担任が再度家庭訪問を行い,傷の原因の特定はできなかったこと,校内の連
携を強化し,児童の把握に十分留意すること,必要に応じて学校の様子を見学していただくことを保護
者に伝え理解を求めました。
□関係機関等との連携
スクールバスの車内で起きた可能性もあるので,乗務員から当日の車内の様子を確認するとともに,
今後,スクールバスの乗務員に登下校時の車内の様子を注意して観察してもらうことにしました。
●事後の対応
児童の把握が十分でなかったことにより,保護者に説明ができなかったことが学校側の問題点である
ことから,児童を掌握するための他学年の教員との連携体制をより図るよう努めました。
学校の様子などについて保護者との連絡を密にとりあい,学校でのきめ細かな指導を実感させること
によって,保護者の理解を得ることができました。
■対応のポイント
・学校から帰ってきた子どもが,けがをしていれば保護者が心配するのは当然です。
・学級担任がきめ細かな指導に心がけていても気づかない状況はあると思いますが,この事例では,保
護者から連絡があった後にすぐに家庭訪問をし,けがの程度を確認するといった迅速な対応がとられ
ています。また,教員の目の届かないスクールバス車内での様子を観察してもらうよう乗務員にも情
報を伝えるなど,想定される対応をきちんと行っています。
・けがの原因がはっきりとわからない場合でも,曖昧な対応はせず,学校として組織で対応していくこ
と,また,今後も,学校全体で児童を見守っていくという姿勢を見せることで保護者の理解を得られ
た事例です。
事例8 児童の把握が不十分であったケース
(特別支援学校)
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事例9 登校を渋る生徒の保護者から相談があった
ケース(中学校)
■要望・苦情等の概要
1週間ほど登校を渋っていた修一君の保護者から,「子どもが今朝は「学校に行きたくない」と言って
布団から出てきません。」少し前から学級の誰かからノートに落書きをされたり,鉛筆や消しゴムを取ら
れたりするといったいじめを受けていたようで,しばらく様子を見守っていたそうですが,朝の出来事に
驚き,学級担任に電話が入りました。
ケース1(A先生の場合)
保1:「おはようございます。お忙しい時間にすみません。」
A1:「いえ,でも,すぐに教室に行くので,短めにお願いします。」
保2:「実は,1週間前から修一が,朝起き渋っていたのですが,今朝は「学校に行きたくない」と言って布
団から出てきません。今日は休ませますが,学校で何かあったのですか。」
A2:「はぁ。学校では別に気になることはありませんけど…。」
保3:「少し前に「ノートに落書きされて嫌だ」と言っていたのですが,先生はご存じですか。」
A3:「何も聞いていません。やったのは誰ですか。」
保4:「それはわかりません。鉛筆や消しゴムもなくなっているそうです。」
A4:「自分で置き忘れたということはありませんか?」
保5:「そんなことはありません。それに,自分で落書きをするはずはありません。」
A5:「でも,修一君は授業中によく絵を描いていますよ。」
保6:「えっ。先生は注意してくれないのですか。」
A6:「してはいますけど,いつも修一君を見ているわけではありませんから…。」
保7:「先生,ちょっと家に来て,修一から話を聞いてもらえないでしょうか。」
A7:「今日はちょっと時間がとれないので,明日,修一君が学校に来られたら聞いてみます。明日登校で
きないときは,行くようにします。」
保8:「こんな状態で,行ける訳ないじゃないですか。なんとかしてください。」
解説・対応法等
朝の忙しい時間帯での電話対応は,できるだけ短時間で済ませたいと考えてしまいますが,その対応を急
ぐと問題をより複雑にし,対応を困難にしてしまいます。
教室に行かなければならない事情は,思い詰めて電話をかけてきた保護者にはなかなか理解してもらえ
ません。対応できる時間に限りがある場合は,対応できる時刻を伝え,今は問題の概要を聞くだけであると
いうことを理解してもらいます。
A教諭は,その点の配慮が不足し,保護者からのいじめ被害の訴えも正面から受け止めようとはしていま
せん。そして,保護者の不安や心配に寄り添うことにも思いが至っていません。その結果から,保護者は不
信感を次第に募らせていくことになってしまいます。
今後の対応の見通しも示していないことから,保護者の不安は怒りへと変わり,問題解決のための連携が
かなわないばかりか,教師批判につながる対応になってしまいます。
ケース2(B先生の場合)
保1:「おはようございます。お忙しい時間にすみません。」
B1:「いえ,大丈夫ですよ。何かありましたか。」
保2:「実は,1週間前から修一が,朝起き渋っていたのですが,今朝は「学校に行きたくない」と言って布
団から出てきません。今日は休ませますが,学校で何かあったのですか。」
B2:「そうでしたか。それはご心配ですね。申し訳ありませんが,今から教室に行くところなので,この
お電話でお話を十分に伺う時間がありません。概要だけお聞かせいただいて,詳しいお話について
は,後ほどこちらからお電話を差し上げます。」
保3:「わかりました。先週から行き渋っていたのですが,今朝は布団から出てきません。学級でノートに
落書きされたり,鉛筆や消しゴムを取られたりしているようです。」
B3:「そんなことがありましたか。知らずにいて,申し訳ありませんでした。もう少し詳しくお聞かせい
ただけますか。」
保4:「はい。誰にやられたかはわからないそうなのですが,ノートに嫌なことを書かれたり,鉛筆が数本
と消しゴムが一つなくなったということでした。」
B4:「そうですか。修一君に嫌な思いをさせてしまいましたね。それはいつ頃のことでしょうか。」
保5:「半月ほど前だったと思います。修一もはっきり言わないので,詳しくはわからないのです。」
B5:「わかりました。こちらでも調べてみます。それでは,午前 10 時にこちらからお電話を差し上げま
す。そして,放課後にお宅に伺わせていただきたいのですが,よろしいでしょうか。時間は後ほどの
お電話でお伝えします。」
保6:「はい,わかりました。では 10 時のお電話をお待ちしています。」
B6:「今日はご連絡ありがとうございました。」
保7:「よろしくお願いします。」
解説・対応法等
問題を初めて知らされた際の対応として,次の4点に心がけましょう。
① 電話で対応するときには「あいづち」を大切にします。対面の際のうなずきや表情に代わるものが「あ
いづち」です。「あいづち」のうち方,口調や声の調子で,理解し,受け止めているかどうかが電話の向こう
に伝わります。
② 保護者の気持ちをしっかりと受け止めます。感情を受け止める対応に心がけると「親身になって話を
聴いてくれている」という安心感が生まれ,信頼につながっていきます。
③ 問題の概要を正しく理解します。思い込みで聴くことなく,保護者の伝えようとすることを正しく受け
とめていく努力が求められます。確認(明確化)をしながら聴くことは,話し手と聴き手のずれを小さく
していくうえで大切なことです。
④ 今後の対応の見通しを保護者と確認します。特に短時間で対応せざるを得ない状況の場合は,その事情
をきちんと説明し,その後の対応の見通しをはっきりと示すことが大切です。そのことが保護者の不安感
を和らげ,冷静で建設的な対応を可能になります。対応の見通しとしては,次の連絡の方法と時刻,対応の
主な内容など具体的に示してみましょう。あいまいな伝え方は保護者の不安や苛立ちにつながってしま
います。
事例 10 登校時のトラブルに対して保護者が強く
抗議してきたケース(小学校)
ケース1(C先生の場合)
保1:うちの一郎がけがさせられて帰ってきたんです。(廊下でC先生を見つけて話し始めた。)
C1:三郎君とぶつかって転んだって話ですね。後で連絡しようと思ってたんですよ。
保2:違いますよ。三郎君に転ばされて,けがさせられたんです。連絡もないですよね。
C2:はあ,すいません。でも,三郎君,わざとやったわけじゃないと言っていたみたいで・・・
保3:何を言ってるんですか,いじめられるから一緒の班にしないでくれと頼んだのに,ちゃんとやって
くれなかったからこんなことになったんです。
C3:一緒にしないでくれという話は聞いていましたが,その後話をしたし,トラブルもなかったので・
保4:あれほど登校班をかえてくださいと言ったのに,学校の責任ですよ。
C4:登校班の担当の先生には話したんですけど・・・。登校班の先生を呼んできますか。
保5:登校班の先生は関係ないでしょう。先生は知っているでしょう?うちの子が三郎君にいじめられて
いたことも。連絡もしないし病院にも連れて行かないなんて,どういうつもりなの?
C5:一郎君,元気そうだったので。けがの程度もたいしたことはなく・・・
保6:頭でも打ってたらどうするんですか?これじゃ,安心して学校へ行かせられないでしょう?
C6:はあ,すいません。足をすりむいただけなので,そんなにひどいわけでは・・・
保7:ひどいかどうか,あなたが決めるんですか?三郎君の親も呼んで謝らせてください。
C7:そうは言ってもすぐには・・・
保8:わざとけがをさせたんだから,謝るのが当然でしょう。三郎君の親を学校に呼んでください。
C8:そう言われましても,わざとかどうかわからないし。呼ぶのはちょっと・・・。三郎君の担任の先
生に話してみますけど・・・
保9:誰がわざとじゃないと言ったんですか?いったいこの学校は何なんですか?先生が当てにならない
んだったら,それなりに考えがありますよ。安心して通わせられません。当分休ませます。
■要望・苦情等の概要
一郎君は登校時に1学年上の三郎君にからかわれたりすることがあったことから,一郎君の保護者は
「同じ登校班にしないでほしい」と学級担任に要望していました。学級担任はその後トラブルがないこと
から様子を見ることにしました。
ある日,登校時に一郎君と三郎君がぶつかり,一郎君は足をすりむくけがをしました。母親は三郎君が
わざと転ばせたと思い,学校の責任を問うとともに,三郎君の保護者を学校に呼んでの謝罪を要求してき
ました。
解説・対応法等
保護者はこれまでのトラブルのこともあり,心配のあまり冷静さを失った状態で来校したようです。し
かし,C先生は突然の来校と激しい口調に困惑し,保護者の心情を思いやることもできないまま,内容を
よく把握せず曖昧な受け答えや責任逃れとも取れる応対をしています。
こうした対応により,保護者はさらに不安や不信感を増幅させ,次第に激しい口調になり,落ち着いた
話し合いができなくなっています。また,「相手の親を呼ぶ」「わざと転ばされた」という主張に対する
曖昧な受け答えが原因で,三郎君の保護者との新たなトラブルに発展することも予想されます。
このような場合,冷静に話をしてもらえるよう,「まず話をよく聞く,言い訳をしない,対応をあせら
ない。」などの適切な初期対応が必要ですが,まず,「子を思う親の心」に思いを馳せることが対応のス
タートといえます。
ケース2(D先生の場合)
保1:うちの一郎がけがさせられて帰ってきたんです。(廊下でD先生を見つけて話し始めた。)
D1:御心配をおかけしました。様子はいかがですか?痛がっていましたか?
保2:まあ,そうでもないんですけど。でも,うちの子は三郎君に転ばされたんです。先生知っています
か?学校から連絡もないんですよ。
D2:あまり痛がってはいないようで,少し安心しました。学校では比較的元気でしたので,しばらく様
子を見ていましたが心配でした。ご連絡もせずに申し訳ございませんでした。三郎君がぶつかって
きて転んでしまったと,一郎君から聞きましたが,一郎君は転ばされたと話しているんですか?
保3:一郎は三郎君とぶつかって転んだといっています。今までもいじめられることがあったし,きっと
わざとですよ。
D3:三郎君がわざと転ばせたと思ってらっしゃるんですね。もう少し詳しく聞かせていただけますか?
ここでは詳しい話をお聞きすることもできませんので,会議室へどうぞ。(会議室へ案内)
保4:一郎は,前から登校班で三郎君にいじめられていたんですよ。たたかれたり悪口を言われたり。し
ばらくは我慢してたんですけど,一郎がかわいそうで。だから,先生には三郎君と一緒の班にしな
いでくれと頼んだんですよ。学校の責任です。三郎君の親にも謝ってもらいます。
D4:そうですか。トラブルもなかったのでしばらく様子を見ていましたが,一郎君の気持ちを考えるこ
とが足りなかったようですね。その後もいやな思いをするようなことが続いたんですか?
保5:いえ,しばらくはなかったみたいで,私も少し安心してたんですけど,やっぱりこんなことが起こ
ってしまったでしょう?学校の責任ですよ。
D5:しばらくはなかったのですね。しかし今回のことが起こったので,またいじめられたのではないか
とお考えなんですね。一郎君も三郎君がわざと転ばせたと話をしているんですか?
保6:いえ,はっきりとは・・・。でも登校班で去年から意地悪をされていたんですよ。学校の責任はど
う考えているんですか?とにかく,三郎君の親も呼んで謝らせてください。
D6:おっしゃることはわかりました。事情のわからない点もありますので,三郎君の担任から事情を聞
いてみます。また,三郎君のご家庭にも今日のことを詳しくお話しなければなりませんので,少し
お時間をいただけますか?
保7:ちゃんとやってくれるんでしょうね。
D7:まず事実関係をよくつかんでからご自宅に御説明にあがります。また,転んでしまったいきさつに
ついて,一郎君からも詳しく聞いていただけますか?
都合のよいお時間にうかがいたいと思います。何時ごろがよろしいでしょうか。
保8:7時ごろなら大丈夫です。
D8:わかりました。では早速調べて,後ほどうかがいます。大変ご心配をおかけしました。
解説・対応法等
D先生は興奮して学校への不信感を持って来校した保護者に対して,以下のように対応しています。
・一郎君を心配し,来校をねぎらう言葉をかけている。
・ある程度話を聞いた後,様子を見て落ち着いて話ができる場所に場を移している。
・言葉を繰り返すなど,話(気持ち)をしっかりと受け止めているというメッセージを返している。
・よく話を聞いて保護者の主訴を捉えるとともに,曖昧な事柄は確認を取っている。
⇒ ・同じ話の繰り返しに対して,それを指摘せずにじっくりと聞き,心情を汲み取っている。
・「わざと」と思い込んでいる点については,焦って否定せず,まず全面的に受け止め,再度
調査することの承諾を得ている。
・学校全体の責任として受け止め,責任逃れをしていない。
・「相手の親を呼べ」という要求に対して即答せず,まず事実確認を行うことを確認している。
相手の話を遮ったり反論したりせずに誠意をもって聞くことで,保護者は落ち着きを取り戻すことがで
きました。さらに,適切な質問により事実関係を確認するとともに,わざと転ばせたことや相手の保護者
に謝罪させることなどについては曖昧な回答をせず,新たなトラブルを回避しています。
初期対応を誤らないためには,こうした事態を想定した研修を行い教職員の対応力を高めるとともに,
どんな案件でも対応者が誠意をもって対応するという当事者意識をもつことが必要です。
② 校内研修等での事例の活用について
事例研修の進め方【事例1~事例8】 事例研修用ワークシートを活用する!
【手順(例)】
1 まず少人数(4~5人)のグループを編成します。(教職経験年数等を考慮しバランスよく)
2 事例研修用ワークシートを配布します。また,プリントアウトした事例シートは伏せて配布します。
3 研修の手順等を説明します。
(説明手順等)
Ⅰ ワークシートをご覧ください。研修時間は発表も含め概ね40分程度です。
Ⅱ 研修の進め方は,ワークシートの①から順に⑥まで,時間を区切って行います。
Ⅲ 事例シートは,「要望・苦情等の概要」,「初期対応」,「組織的対応」,「関係機関との連携」,「事後の対応」,
「対応のポイント」に分かれて構成されています。
また,ワークシートの①から順に進めますが,事例シートについては該当項目部分より下が見えないように,ワーク
シートを重ねて隠しながら進めてください。
ワークシートの①から④までは個人の考え方をまとめ,⑤と⑥はグループで話し合ってまとめます。
Ⅳ それでは,事例シートをひらいて①から始めてください。時間は5分間です。
5分たちました②に移ってください。
・・
Ⅴ ⑥でまとめた対応方法等についてグループごとに発表してもらいます。
【ワークシート活用(例)】
■要望・苦情等の概要
夏休み後から登校できなくなった6年生の児童の父親から,「子どもが休んでいても担任の家庭訪問
もほとんどなく何の連絡もなかった。突然,卒業文集の原稿依頼を配達証明郵便で届けてきた。学校は
何をやっているんだ。」と,教頭に対して抗議の電話がかかってきました。
□初期対応
教頭は,学級担任から事実を確認し,直ちに学級担任とともに家庭訪問を行いました。
これまで学級担任は定期的に家庭訪問を繰り返してきましたが,留守のことが多かったため,児童本
人と保護者に接触する機会を作れなかったこと,夜間に家庭訪問をするといった時間的な制約や担任一
人での対応ということもあって配達証明郵便送付に及んでしまった経緯を説明し,これまでの対応や安
易に郵便で送付したことを謝罪しましたが,保護者は納得せず,学校への不信感をあらわにしました。
□組織的な対応
校長は,改めて不登校対策委員会を開き,不登校に至った経緯等について調査をするとともに,学級
担任や学年職員を中心とした支援体制を早急に整備し,組織的に対応するよう指示しました。
また,校長は保護者への対応については,教頭が窓口となり積極的に関わることを指示しました。
□関係機関等との連携
保護者は,学校の対応に不信感をもっており,学校側の説明には理解を示そうとしないことから,校
長は市教育委員会に相談したところ,まずは児童の不登校への対応を優先して対応するよう,スクール
カウンセラーによるカウンセリングと,児童相談所のメンタルフレンド派遣制度の活用についての助言
を得ました。
●事後の対応等
教頭は保護者と接触する機会を多く持ち,不満を丁寧に受け止め,学校として問題解決に向けた取組
を説明し,不信感の払拭に努めました。
また,別室登校を含めた具体的な支援策や対応策を検討し,担任や学年職員を中心にして構成した支
援チームによる家庭訪問を繰り返し,本人との会話に努めながら学習指導に取り組みました。そして,
本人や保護者の要望を聞きながら,スクールカウンセラーによるカウンセリングとメンタルフレンドを
派遣するなどの対応をしました。
■対応のポイント
・教頭と学級担任がすぐに家庭訪問したことは迅速な対応といえます。学校がこうした早い対応や丁寧
な対応をすることは,新たな保護者の怒りの感情を育てないことにつながります。
しかし,これまでの学校の対応を一方的に説明したのでは理解は得られません。まずは,これまでの
学校の対応に保護者がなぜ応じてくれなかったのか,何に対して不信感を持っているのかなどを丁寧
に聴きこれまでの対応を振り返るとともに,保護者の内面を理解することが大切です。
・このケースは不登校への対応の問題,担任の家庭への対応の問題という2つの問題があります。それ
ぞれの問題の真意をとらえ解決を図ることが,保護者からの信頼回復につながります。
・担任一人で抱え込まずに,管理職への報告・連絡・相談・確認を密にします。そして,支援体制を整
え組織的な対応を図ることで,児童本人や保護者と接触する機会を多く作ることが大切です。
事例1 不登校児童への学校の対応に不満を訴え
てきたケース(小学校)
ワークシートで該当項目より下が見えないように重ねて隠しながら進めます。
項目ごとにワークシートをずらしてください。
事例シート
ワークシート事例研修用ワークシート【事例1~事例8】 平成 年 月 日
事例テーマ
① 要望・苦情等の概要を読み、予想される背景を推測し記入する。【5分】
② 初期対応を読み、何が問題であるかを考察し、その対応策を記入する。【5 分】
③ 組織的な対応、関係機関との連携を読み、自分の考え(対応)との違いについてまとめる。【5 分】
④ 事後の対応等、対応のポイントを読み、今後の対応方法について自分の言葉でまとめる。【5 分】
⑤ 自分の学校であればどのように対応するのか検討する。【10分】
⑥ まとめを発表し合い、それに対する感想をシェアする。【10分】
事例研修用ワークシート【事例1~事例8】 平成 年 月 日
事例テーマ
① 要望・苦情等の概要を読み、予想される背景を推測し記入する。【5分】
② 初期対応を読み、何が問題であるかを考察し、その対応策を記入する。【5 分】
③ 組織的な対応、関係機関との連携を読み、自分の考え(対応)との違いについてまとめる。【5 分】
④ 事後の対応等、対応のポイントを読み、今後の対応方法について自分の言葉でまとめる。【5 分】
⑤ 自分の学校であればどのように対応するのか検討する。【10分】
⑥ まとめを発表し合い、それに対する感想をシェアする。【10分】
事例研修の進め方【事例9・事例10】 ワークショップを行う!
【手順(例)】
1 進行役(ファシリテータ)を1名選びます。
研修時間は発表も含め概ね40分程度です。
2 グループ分けを行います。
1グループの人数は3名以上とします。
グループ分けをする際は,教職経験年数や性別,担当学年などの違う教職員の組み合わせで行います。
3 ロールプレイを行う
① グループ内で,役割分担を決めます。
保護者役,学級担任役,記録者に役割分担します。
② ロールプレイ指令書(役割分担ごとに)を配布します。
③ 要望・苦情等の概要を読んで,内容・状況などを確認します。
保護者役,学級担任役を演じる方は,その役になりきって行います。
記録係の方は,担任役,保護者役の発言内容・反応や表情から心の動きを推察しながら記録します。
④ ロールプレイ開始
事例9は電話対応の事例です。保護者役と学級担任役はお互いに背を向けるなどして,見えない相手であることを
意識して行います。
事例10は,保護者が突然来校した場合の対応です。
【進行例】
・ケース1の事例で始めます。時間は3分間です。それでは始めてください。
・時間です。それぞれの立場で感想を記入してください。時間は5分間です。
・次にケース2の事例で始めます。時間は3分間です。それでは始めてください。
・時間です。それぞれの立場で感想を記入してください。時間は5分間です。
・それでは,それぞれの役割を演じて,感想や意見をグループ内で伝え合い,まとめを行ってください。
時間は20分間です。
・まとめが終わりましたら,それぞれのグループの記録者から発表してもらいます。
【留意点等】
ロールプレイの内容については,次のようなやり方が考えられます。
・事例に示してある会話に感情(喜怒哀楽)を込めて行う場合
・事例の内容を斟酌して,会話をアレンジして行う場合 など
感 想
感 想
【ケース1(A先生の場合)】
保1:「おはようございます。お忙しい時間にすみません。」→A先生
保2:「実は,1週間前から修一が,朝起き渋っていたのですが,今朝は「学校に行きたくない」と言って布
団から出てきません。今日は休ませますが,学校で何かあったのですか。」→A先生
保3:「少し前に「ノートに落書きされて嫌だ」と言っていたのですが,先生はご存じですか。」→A先生
保4:「それはわかりません。鉛筆や消しゴムもなくなっているそうです。」→A先生
保5:「そんなことはありません。それに,自分で落書きをするはずはありません。」→A先生
保6:「えっ。先生は注意してくれないのですか。」→A先生
保7:「先生,ちょっと家に来て,修一から話を聞いてもらえないでしょうか。」→A先生
保8:「こんな状態で,行ける訳ないじゃないですか。なんとかしてください。」
【ケース2(B先生の場合)】
保1:「おはようございます。お忙しい時間にすみません。」→B先生
保2:「実は,1週間前から修一が,朝起き渋っていたのですが,今朝は「学校に行きたくない」と言って布
団から出てきません。今日は休ませますが,学校で何かあったのですか。」→B先生
保3:「わかりました。先週から行き渋っていたのですが,今朝は布団から出てきません。学級でノート
に落書きされたり,鉛筆や消しゴムを取られたりしているようです。」→B先生
保4:「はい。誰にやられたかはわからないそうなのですが,ノートに嫌なことを書かれたり,鉛筆が数本
と消しゴムが一つなくなったということでした。」→B先生
保5:「半月ほど前だったと思います。修一もはっきり言わないので,詳しくはわからないのです。」
→B先生
保6:「はい,わかりました。では 10時のお電話をお待ちしています。」→B先生
保7:「よろしくお願いします。」
【事例9】ロールプレイ指令書(電話対応:保護者役用)
■要望・苦情等の概要
1週間ほど登校を渋っていた修一君の保護者から,「子どもが今朝は「学校に行きたくない」と言って
布団から出てきません。」少し前から学級の誰かからノートに落書きをされたり,鉛筆や消しゴムを取ら
れたりするといったいじめを受けていたようで,しばらく様子を見守っていたそうですが,朝の出来事に
驚き,学級担任に電話が入りました。
感 想
感 想
【ケース1(A先生の場合)】
A1:「いえ,でも,すぐに教室に行くので,短めにお願いします。」→保護者
A2:「はぁ。学校では別に気になることはありませんけど…。」→保護者
A3:「何も聞いていません。やったのは誰ですか。」→保護者
A4:「自分で置き忘れたということはありませんか?」→保護者
A5:「でも,修一君は授業中によく絵を描いていますよ。」→保護者
A6:「してはいますけど,いつも修一君を見ているわけではありませんから…。」→保護者
A7:「今日はちょっと時間がとれないので,明日,修一君が学校に来られたら聞いてみます。明日登校で
きないときは,行くようにします。」→保護者
【ケース2(B先生の場合)】
B1:「いえ,大丈夫ですよ。何かありましたか。」→保護者
B2:「そうでしたか。それはご心配ですね。申し訳ありませんが,今から教室に行くところなので,この
お電話でお話を十分に伺う時間がありません。概要だけお聞かせいただいて,詳しいお話について
は,後ほどこちらからお電話を差し上げます。」→保護者
B3:「そんなことがありましたか。知らずにいて,申し訳ありませんでした。もう少し詳しくお聞かせ
いただけますか。」→保護者
B4:「そうですか。修一君に嫌な思いをさせてしまいましたね。それはいつ頃のことでしょうか。」
→保護者
B5:「わかりました。こちらでも調べてみます。それでは,午前 10時にこちらからお電話を差し上げま
す。そして,放課後にお宅に伺わせていただきたいのですが,よろしいでしょうか。時間は後ほど
のお電話でお伝えします。」→保護者
B6:「今日はご連絡ありがとうございました。」→保護者
【事例9】ロールプレイ指令書(電話対応:学級担任役用)
■要望・苦情等の概要
1週間ほど登校を渋っていた修一君の保護者から,「子どもが今朝は「学校に行きたくない」と言って
布団から出てきません。」少し前から学級の誰かからノートに落書きをされたり,鉛筆や消しゴムを取ら
れたりするといったいじめを受けていたようで,しばらく様子を見守っていたそうですが,朝の出来事に
驚き,学級担任に電話が入りました。
感 想
感 想
【ケース1(A先生の場合)】
【ケース2(B先生の場合)】
【事例9】ロールプレイ指令書(電話対応:記録者用)
■要望・苦情等の概要
1週間ほど登校を渋っていた修一君の保護者から,「子どもが今朝は「学校に行きたくない」と言って
布団から出てきません。」少し前から学級の誰かからノートに落書きをされたり,鉛筆や消しゴムを取ら
れたりするといったいじめを受けていたようで,しばらく様子を見守っていたそうですが,朝の出来事に
驚き,学級担任に電話が入りました。
感 想
感 想
【ケース1(C先生の場合)】
保1:うちの一郎がけがさせられて帰ってきたんです。(廊下で話し始めた。)→C先生
保2:違いますよ。三郎君に転ばされて,けがさせられたんです。連絡もないですよね。→C先生
保3:何を言ってるんですか,いじめられるから一緒の班にしないでくれと頼んだのに,ちゃんとやっ
てくれなかったからこんなことになったんです。→C先生
保4:あれほど登校班をかえてくださいと言ったのに,学校の責任ですよ。→C先生
保5:登校班の先生は関係ないでしょう。先生は知っているでしょう?うちの子が三郎君にいじめられ
ていたことも。連絡もしないし病院にも連れて行かないなんて,どういうつもりなの?→C先生
保6:頭でも打ってたらどうするんですか?これじゃ,安心して学校へ行かせられないでしょう?
→C先生
保7:ひどいかどうか,あなたが決めるんですか?三郎君の親も呼んで謝らせてください。→C先生
保8:わざとけがをさせたんだから,謝るのが当然でしょう。三郎君の親を学校に呼んでください。
→C先生
保9:誰がわざとじゃないと言ったんですか?いったいこの学校は何なんですか?先生が当てにならな
いんだったらそれなりに考えがありますよ。安心して通わせられません。当分休ませます。
→C先生
【ケース2(D先生の場合)】
保1:うちの一郎がけがさせられて帰ってきたんです。(廊下で話し始めた。)→D先生
保2:まあ,そうでもないんですけど。でも,うちの子は三郎君に転ばされたんです。先生知っていま
すか?学校から連絡もないんですよ。→D先生
保3:一郎は三郎君とぶつかって転んだといっています。今までもいじめられることがあったし,きっ
とわざとですよ。→D先生
保4:一郎は,前から登校班で三郎君にいじめられていたんですよ。たたかれたり悪口を言われたり。
しばらくは我慢してたんですけど,一郎がかわいそうで。だから,先生には三郎君と一緒の班に
しないでくれと頼んだんですよ。学校の責任です。三郎君の親にも謝ってもらいます。→D先生
保5:いえ,しばらくはなかったみたいで,私も少し安心してたんですけど,やっぱりこんなことが起
こってしまったでしょう?学校の責任ですよ。→D先生
保6:いえ,はっきりとは・・・。でも登校班で去年から意地悪をされていたんですよ。学校の責任は
どう考えているんですか?とにかく,三郎君の親も呼んで謝らせてください。→D先生
保7:ちゃんとやってくれるんでしょうね。→D先生
保8:7時ごろなら大丈夫です。→D先生
【事例 10】ロールプレイ指令書(面接対応:保護者役用)
■要望・苦情等の概要
一郎君は登校時に1学年上の三郎君にからかわれたりすることがあったことから,一郎君の保護者は
「同じ登校班にしないでほしい」と学級担任に要望していました。学級担任はその後トラブルがないこと
から様子を見ることにしました。ある日,登校時に一郎君と三郎君がぶつかり,一郎君は足をすりむくけ
がをしました。母親は三郎君がわざと転ばせたと思い,学校の責任を問うとともに,三郎君の保護者を学
校に呼んでの謝罪を要求してきました。
感 想
感 想
【ケース1(C先生の場合)】
C1:三郎君とぶつかって転んだって話ですね。後で連絡しようと思ってたんですよ。→保護者
C2:はあ,すいません。でも,三郎君,わざとやったわけじゃないと言っていたみたいで→保護者
C3:一緒にしないでくれという話は聞いていましたが,その後話をしたし,トラブルもなかったので
→保護者
C4:登校班の担当の先生には話したんですけど・・・。登校班の先生を呼んできますか。→保護者
C5:一郎君,元気そうだったので。けがの程度もたいしたことはなく・・・→保護者
C6:はあ,すいません。足をすりむいただけなので,そんなにひどいわけでは・・・→保護者
C7:そうは言ってもすぐには・・・→保護者
C8:そう言われましても,わざとかどうかわからないし。呼ぶのはちょっと・・・。三郎君の担任の
先生に話してみますけど・・・→保護者
【ケース2(D先生の場合)】
D1:御心配をおかけしました。様子はいかがですか?痛がっていましたか?→保護者
D2:あまり痛がってはいないようで,少し安心しました。学校では比較的元気でしたので,しばらく
様子を見ていましたが心配でした。ご連絡もせずに申し訳ございませんでした。三郎君がぶつか
ってきて転んでしまったと,一郎君から聞きましたが,一郎君は転ばされたと話しているんです
か?→保護者
D3:三郎君がわざと転ばせたと思ってらっしゃるんですね。もう少し詳しく聞かせていただけますか。
ここでは詳しい話をお聞きすることもできませんので,会議室へどうぞ。→保護者
D4:そうですか。トラブルもなかったのでしばらく様子を見ていましたが,一郎君の気持ちを考える
ことが足りなかったようですね。その後もいやな思いをするようなことが続いたんですか?→保
護者
D5:しばらくはなかったのですね。しかし今回のことが起こったので,またいじめられたのではない
かとお考えなんですね。一郎君も三郎君がわざと転ばせたと話をしているんですか?→保護者
D6:おっしゃることはわかりました。事情のわからない点もありますので,三郎君の担任から事情を
聞いてみます。また,三郎君のご家庭にも今日のことを詳しくお話しなければなりませんので,
少しお時間をいただけますか。→保護者
D7:まず事実関係をよくつかんでからご自宅に御説明にあがります。また,転んでしまったいきさつ
について,一郎君からも詳しく聞いていただけますか?都合のよいお時間にうかがいたいと思い
ます。何時ごろがよろしいでしょうか。→保護者
D8:わかりました。では早速調べて,後ほどうかがいます。大変ご心配をおかけしました。→保護者
【事例 10】ロールプレイ指令書(面接対応:学級担任役用)
■要望・苦情等の概要
一郎君は登校時に1学年上の三郎君にからかわれたりすることがあったことから,一郎君の保護者は
「同じ登校班にしないでほしい」と学級担任に要望していました。学級担任はその後トラブルがないこと
から様子を見ることにしました。ある日,登校時に一郎君と三郎君がぶつかり,一郎君は足をすりむくけ
がをしました。母親は三郎君がわざと転ばせたと思い,学校の責任を問うとともに,三郎君の保護者を学
校に呼んでの謝罪を要求してきました。
感 想
感 想
【ケース1(C先生の場合)】
【ケース2(D先生の場合)】
【事例 10】ロールプレイ指令書(面接対応:記録者用)
■要望・苦情等の概要
一郎君は登校時に1学年上の三郎君にからかわれたりすることがあったことから,一郎君の保護者は
「同じ登校班にしないでほしい」と学級担任に要望していました。学級担任はその後トラブルがないこと
から様子を見ることにしました。
ある日,登校時に一郎君と三郎君がぶつかり,一郎君は足をすりむくけがをしました。母親は三郎君が
わざと転ばせたと思い,学校の責任を問うとともに,三郎君の保護者を学校に呼んでの謝罪を要求してき
ました。