愛知産業大学言語・情報共育センター
栗 原 健 太 郎 + 岩 月 美 穂
kentaro kurihara + miho iwatsukiStudio velocityの栗原・岩月と申します。本日はよろしくお願い致します。早速ですが、プレゼンテーションにうつりたいと思います。
建築を外の密度に近づける
開学20周年を迎える愛知産業大学の記念事業としてキャ
ンパスの中心に位置する中庭を再整備する計画である。も
ともと中庭の中央に高低差4mの崖が走り、視線も動線も
分断され一体的な場所性が希薄だったため使われにくい状
況にあった。
そこで、まず高低差のある崖地をならし、中庭の敷地全体
を緩やかな連続した丘状の公園とし、同時に公園全体を建
築化することで、内部・半外部・外部が混ざり合った一つ
の大きな場所をつくれないかと考えた。
加えてスクールバスの発着場が北側に建つ校舎からこの中
庭へと変更される予定だったので、中庭がキャンパスの玄
関口となることでそれを囲む各校舎へのアプローチ動線が
明快なものとなりキャンパス全体のアクティビティのリノ
ベーションとなるよう、発着場を敷地際の最下レベルに配
置した。
この場所に求められた機能は全部で5つ バスの発着場かこの場所に求められた機能は全部で5つ。バスの発着場か
ら丘状の空間を登るとすぐ『バス待合』があり、少し歩く
と3Dプリンターやカッティングプロッタなどの最新設備
が配備された『ものづくりラボ』、wi-fi機能のある『情報
ラボ』を通り 学生が授業成果を発表する『プレゼンテーラボ』を通り、学生が授業成果を発表する『プレゼンテ
ションルーム』、最後に留学生との交流を目的とした『言
語ラボ』がある。
敷地面積約3500㎡に対して必要な機能は廊下を除くと約
500㎡であった。これを1つの建築ボリュームで置くと、500㎡であった。これを1つの建築ボリュ ムで置くと、
構内道路に近接する配置に限定されるだけでなく、約7倍
もある大きな外部空間との対比により場所の一体性が損な
われるため、「内と外」の関係が反復されるように機能を
4つのヴォリュームに分けて敷地全体に分散配置した。
高低差をならすにあたっては、敷地境界4辺の既存レベル
と擦り合うように繋ぎながら途中途中の場所で家具が置け
るフラットな場所や寝そべれる急勾配の場所など、どの程
度削ってどこに盛り土するかを検討しながら約50m×70m
の大きさの丘に幾つもの小さな状況をつくっていった。
均質に近い柱径やスパンの中にランダムなランドスケー
プや大小様々な庭が重なることで公園とも建築ともなるよ
うな自由な場ができればと考えている。
旧アプローチ図 アクティビティのリノベーション図
1号館 1号館アプローチ動線
既存のループ動線
学食棟 学食棟バス停留所 バス待合
2号館中庭
2号館中庭バス待合
バス停留所
中庭全体の面的動線
3号館 3号館アプローチ動線
中庭の最下点にバス発着所を配置することで、キャンパス全体をつなぎアプローチが明快なものとなるようにアクティビティのリノベーションをしている。
一体性と独立性、均質性とランダム性といった、相反することを同時に実現することで公園とも建築ともいえる場を作ることが必要であった。しかし、大きな建築から大小様々な開口を切り抜かれた形態は、屋根面のボリュームが大きい内部と、小さい半外部がランダムに存在し、また、自然地形に合わせた基礎と単純勾配とした屋根にはさまれた柱長がまちまちとなる為、合理的な柱径の統一が困難であった。全体計画の一体性及び均質性という要求に対し、合理的な解法として、離散的に配置された小さなコアと、そこに荷重を伝達させる為の、鋼板溶接により面内剛性を高めた水平構面を採用した。この構法により、各部分の荷重が別のゾーンにまで伝達する構造となり、柱が受ける水平力は30%程度まで低減することが可能となった。その結果、柱は軸力の違いに応じ鋼管と無垢材を使い分けることによって、合理的に約60φという柱径を実現できた。外装をすべて引きサッシュにしたことも、揺れを屋根面に伝達しないことで構造的な負担を軽くしている。
屋根断面図屋根断面図
サンドイッチプレ ト吊りこみの様子
屋根材:鉄板t=3.2mm
サンドイッチプレート吊りこみの様子。
梁:H-125×125mm
柱 Φ柱:Φ=60,60.5,65,80mm
基礎
x
z
そこに荷重を伝達させるための、鉄板溶接により剛性を高めた屋根面とすることで、各部分の荷重が別ゾーンにまで伝達する構造となり、柱が受ける水平力は30%まで低減している。
鉄板溶接の様子。
屋根材:鉄板t=3.2mm
梁:H-125×125mm
柱・梁接合部 柱 Φ柱・梁接合部現場溶接とすることで、上下フランジのプレートを無くしている。
柱:Φ=60,60.5,65,80mm
基礎
x
z
スパンが長い梁は製作H鋼とすることで全ての梁成を125mm角に統一している。
屋根材:鉄板t=3.2mm
梁:H-125×125mmダイアフラム t=16mm孔空け加工ダイアフラム t=25mm135
9
H-125×125×6.5×9mmグラインダーにて開先完全溶け込み溶接
16
ノンスカラップ工法裏当て(2枚割れ)FB-9×25mm
完全溶け込み溶接
16
完全溶け込み溶接
BH-125×125×9×16mm
25
20
35
33
65 35
135
135
3 3
ノンスカラップ工法裏当て(2枚割れ)FB-9×25mm
完全溶け込み溶接
柱:Φ=60,60.5,65,80mm107
9
125
グラインダーにて開先完全溶け込み溶接
1699131
ミニスカラップ(現場溶接埋め)
セラミックス製裏当て(溶接後撤去)
9316
125
4 0 60 40
8125
131
φ=65mm(無垢材)
ミニスカラップ(現場溶接埋め)
セラミックス製裏当て(溶接後撤去)
完全溶け込み溶接完全溶け込み溶接
基礎
x
z
グラインダーにて開先完全溶け込み溶接
φ=60.5mm、t=5.5mm
φ=60.5mm、t=5.5mm
完全溶け込み溶接
φ=65mm(無垢材)
φ=65mm(無垢材)
柱は全体の9割がΦ60~60.5mmの柱で構成されている。
▽基礎梁天端
無収縮モルタル
▽基礎梁天端
無収縮モルタル
屋根材:鉄板t=3.2mm
梁:H-125×125mm
柱 Φ
3次元的に組まれた基礎。
柱:Φ=60,60.5,65,80mm
x
z部分断面図
基礎
基礎をランドスケープの起伏に合わせて3次元的に組み柱を必要以上に長くしないことで、柱径を絞っている。
公園とも建築とも言える場を目指した言語・情報共育センターでは、丘の上でご飯を食べたり、仲間とパソコンをしたり、中庭を横切って校舎間を移動したりする学生の姿があり、内部と外部の活動が混ざり合った環境となっている。
所在地 愛知県岡崎市岡町原山12-5
主要用途 大学
設計─────────────────
建築 栗原健太郎+岩月美穂/studio velocity一級建築士事務所建築 栗原健太郎 岩月美穂 y 級建築 事務所
担当/栗原健太郎 岩月美穂 境原桃太 鈴木隆介
構造 藤尾建築構造設計事務所
担当/藤尾篤 熊谷真伍
施工─────────────────
建築 熊谷組
担当/内田圭 泉貴之 田所直樹
規模─────────────────
敷地面積 14,402.76m2
建築面積 1,170.01m2
延床面積 452.77m2
1階 452.77m2
寸法─────────────────
栗 原 健 太 郎 + 岩 月 美 穂
kentaro kurihara + miho iwatsuki
最高高 3,916mm
階高 3,840mm
天井高 平均天井高2,541mm