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「外国人を対象とした日本酒の嗜好調査」結果報告
天野悟、小森真幸:地酒検証研究会 「外国人の日本酒嗜好調査プロジェクトチーム」
長田卓:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)研究室
1.はじめに
財務省貿易統計によると、2018年の日本酒の輸出量は25,746kl で、前年比10%の伸びを示し9年連続で増加している。金額
ベースでは 222 億 3,200 万円と初めて 200 億円の大台を超え、10 年前と比べると約 3 倍になり、外国人が日本酒を飲む機会が
本格化してきたことがうかがえる。また、日本政府観光局によると、2018年の訪日外国人数は3119万人、6年連続で過去 高を
記録したと報告されている。2020 年の東京オリンピック・パラリンピック、2025 年の大阪での万国国際博覧会に向けて、ますます
訪日外国人数が増加すると見込まれる中、インバウンド旅行者を日本酒の新たな販売先として誰もが見込んでいるのは周知の
通りである。
しかしながら、外国人が求める日本酒や、好む飲み方などについての情報は皆無であり、どのようなサービスやセールスが有
効であるかを知る術がない。
そこで当研究会では、訪日外国人客に対して有効な日本酒のサービス、セールスを提供することを目的に、主に外国人(海
外在住日本人を含む)を対象とした日本酒の嗜好調査を実施した。本レポートは、この調査から明らかになったことを報告すると
ともに、外国人に対して有効と考えられる日本酒の提供方法について提言を行うものである。
2.調査の概要
本アンケート調査の概要を表-1 に示す。
本アンケートの質問項目は、①回答者の属性(居住地、年代、性別、世帯収入など)、②日本酒の飲み方(飲んだきっかけ、
飲む頻度、飲む温度、日本酒と一緒に食べる料理、普段好んで飲む酒類)、③日本酒の選好(好きなタイプ、選ぶ際に重視す
る要素、飲みたい場所)、④日本酒の購入・注文(購入場所、購入サイズと価格、レストランで注文するサイズと価格)、⑤日本産
と外国産の比較(日本産へのこだわり、日本産と外国産の評価)、⑥日本産日本酒の今後の需要と普及(今後の需要、ファンを
増やすための方策)、⑦日本酒に対する自由意見・提案から構成されている。
3. 回答者の属性
3.1 居住地域
有効回答数 439 件の居住地について、表-2 に示すように、回答数の多い順に 9 地域に分類した。図-1 は、地域分類した居
住地の回答者の割合を示したものである。
表-1 アンケート調査の概要
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3.2 年代構成
図-2および図-3は回答者の年代構成を、それぞれ全地域および地域別に示したものである。全地域での年代構成は、30代
(38%、166 件)、20 代(27%、117 件)、40 代(24%、106 件)の順で、50 代以上は約 1 割となっている。一方、地域別の年代構成を
見ると、韓国では 20 代が約 8 割を占めており、他の地域とは明らかに異なる年代構成となっている。これは、韓国でのアンケー
ト回答が SSI インターナショナルの提携校であるスンシル大学の学生を中心に集まったからである。
3.3 性別構成
図-4 は回答者の性別構成を示したものであり、男性約 6 割、女性約 4 割となっている。
3.4 世帯収入構成
図-5 および図-6 は回答者の世帯収入を、為替レート(1US$=100 円、1NT$=3.6 円、10 韓国ウォン=1 円)によって日本円に換
算し、それぞれ全地域および地域別に示したものである。全地域での世帯収入構成をみてみると、450万円未満が41%(183件)
を占めているものの、1,001 万円以上(26%、113 件)と高額の世帯収入の回答が多いことが分かる。一方、地域別の世帯収入構
成をみてみると、北米、香港、中国で高額の世帯収入の回答も多くなっている。また、韓国では 450 万円未満が 48%(41 件)を占
めているのは、回答者のほとんどが学生だからである。
表-2 地域分類した居住地の内訳
図-1 地域分類した居住地の割合
39%
20%11%
9%
7%6%
4% 3% 1% 台湾韓国北⽶⾹港欧州中国東南アジア⽇本その他
図-2 回答者の年代構成(全地域)
図-3 回答者の年代構成(地域別)
27%
38%
24%
8%
3%20代
30代
40代
50代
60代以上 24
14
37
366
27
15
513
1415
1210
92
15
66
413
195
46
1
24
74
1035
1
11
4232
0% 20% 40% 60% 80% 100%その他
⽇本東南アジア
中国欧州⾹港北⽶韓国台湾
20代 30代 40代 50代 60代以上
60%38%
2%男性
⼥性
無回答他
図-4 回答者の性別構成
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以上、回答者の属性についてアンケート結果をまとめたが、韓国の回答については、20 代の学生がほとんどで、他の居住地
域と年代や世帯収入の構成が大きく異なったため、これ以降では韓国に居住する人を除いた 347 件のデータを用いて分析を
行った。
4. 調査結果
4.1 日本酒を飲んだきっかけ
外国人が初めて日本酒を飲んだきっかけについて尋ねてみた( 大2つまで選択可)。図-7に示すように、「日本食に関心が
あって」および「日本文化に関心があって」の回答が多いという結果になった。さらに「日本旅行で」の回答も含めれば、日本食・
日本文化を中心とする「日本そのものへの興味」が日本酒を初めて飲んだきっかけの 大要因となっている。したがって、日本
酒を飲むきっかけとして、日本食への関心は重要な要素であり、外国人が日本食に何を期待しているかを今後検討してみる価
値が十分ある。一方、「レストランスタッフの勧め」や「テレビやインターネットの宣伝」は少ないが、「酒類が好きだから」と「日本食・
日本酒のイベント」がきっかけとなっている場合も多かった。なお、地域による有意な差はみられなかった。
4.2 日本酒を飲む頻度
次に、日本酒を飲んでいる頻度についてみてみる。図-8 に示すように、アンケート回答者は、「ほとんど飲まない」(13%)と「月
に 1、2 回」(45%)という、たまに日本酒を飲む人が約 6 割、「週に 1、2 回」(27%)と「それ以上飲んでいる」(15%)という日常的に日
本酒を飲む人約 4 割に大きく分けることができる。地域別でみてみると、図-9 に示すように、週に 1、2 日以上飲んでいると答え
たのは、香港(61%)、中国(50%)、その他(50%)、台湾(43%)で多くなっている。
図-5 回答者の世帯収入構成(全地域)
41%
12%21%
26%
〜450万円未満
450〜582万円
583〜1,000万円
1,001万円以上
2
5
2
1
102
1
41
33
1
2
4
3
41
3
13
21
2
7
7
1014
7
19
69
3
2
17
824
36
13
47
0% 20% 40% 60% 80% 100%
その他⽇本
東南アジア中国欧州⾹港北⽶韓国台湾
〜450万円未満 450〜582万円 583〜1,000万円 1,001万円以上
46%37%
33%
23%
17%
4%3%
3%
2%
0% 10% 20% 30% 40% 50%
⽇本⾷に関⼼があって⽇本⽂化に関⼼があって
酒類が好きだから
⽇本⾷・⽇本酒のイベントで
⽇本旅⾏で家族・友⼈の勧め
レストランスタッフの勧め
仕事関係の付き合いで
TV・インターネットの宣伝
図-7 日本酒を初めて飲んだきっかけ(数字は回答者数に対するパーセント)
図-6 回答者の世帯収入構成(地域別)
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4.3 日本酒を飲む温度
外国人が普段どのような温度で日本酒を飲んでいるか調べてみた。図-10に示すように、「冷やして」が約6割ある一方で、「そ
の時と場合による」が 23%を占めており、時、場所、場合によって日本酒を飲む温度も様々なようだ。外国人に対しては日本酒を
冷やして提供することを基本としつつも、香味特性や料理に合った温度で提供することも意識すべきである。常温で(10%)、温め
て(5%)と決めて飲む人は少なく、かつての HOT SAKE スタイルは少なくなっているようだ。
さらに、地域によって飲む温度に違いがあるかどうかを探るためにコレスポンデンス分析を行った。コレスポンデンス分析とは、
相対的に関連性が強いものが近くなるように、関連性が弱いものが遠くになるように数値化した散布図で示すことによって、直感
的に分かりやすく視覚化する手法である。なお、この分析では度数の低い「その他」の居住地域は分析対象から外している。図-
11 が示すように、台湾と中国では冷やして、北米、欧州、日本、香港ではシーンよって様々な温度で日本酒を飲む人の比率が
高くなっていることがわかる。
4.4 日本酒と一緒に食べる料理
食事をしながら日本酒を飲むかどうか聞いてみた。図-12に示すように、「食事とは別」と答えた人は4%と少なく、「そうしている」
(56%)と「その時と場合による」(40%)が回答の大半を占めたことから、ワインと同じように食中酒として日本酒を飲んでいる外国人
が多いことがわかる。
さらに、食事をしながら日本酒を飲んでいると回答した 194 名に日本酒と一緒に食べる料理について尋ねたところ、図-13 に
示すように、73%が日本料理と答えており、自国の料理という回答は 8%と少ない。やはり、外国人への提供を考えた場合、先の質
問の「日本酒を飲んだきっかけ」と同じように、日本食・日本料理が重要なキーワードになると考えられる。
図-8 日本酒を飲む頻度(全地域)
13%
45%27%
15%ほとんど飲まない
⽉に1,2⽇
週に1,2⽇
それ以上飲んでいる3
14
113
1211
75
139
1622
85
22313
517
647
133
13
8625
0% 20% 40% 60% 80% 100%
その他⽇本
東南アジア中国欧州⾹港北⽶台湾
ほとんど飲まない ⽉に1,2⽇週に1,2⽇ それ以上飲んでいる
62%23%
10%5%
冷やして
その時と場合による
常温で
温めて
図-10 日本酒を飲む温度(全地域)
図-11 日本酒を飲む温度(地域別)
56%40%
4%そうしている
その時と場合による
⾷事とは別 73%
18%
8%
1% 1% ⽇本料理
世界各国の料理
⾃国の料理
デザート
⽇本酒に合わせる
図-9 日本酒を飲む頻度(地域別)
図-12 食事をしながら日本酒を飲むか? 図-13 日本酒と一緒に食べる料理(全地域)
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その一方、「世界各国の料理」という回答が 18%を占めていた。地域別にみてみると、図-14 に示すように、台湾、香港の比率
が高くなっており、台湾、香港の人には、日本酒と各国料理との組合せを提案するのがよさそうだ。
4.5 普段好んで飲む酒類
外国人が普段好んで飲んでいる酒類についてみてみる。図-15 に示すように、日本酒に関するアンケートであるため日本酒
(37%)の回答が も多いが、ワイン(32%)の回答が次に多い点に注目したい。
さらに、その酒類を好んで飲む理由を尋ねたところ、図-16 に示すように、「美味しい」(58%)、「飲み慣れている」(20%)、「入手
しやすい」(16%)と答えた人が合わせて 94%を占めたことから、外国人に日本酒を勧める際にはその人の好みを確認することを忘
れないようにすべきだ。
4.6 好きな日本酒の香味タイプ
日本酒の香味特性別(4 タイプ)を基に、外国人が好む香味特性を調べた結果を図-17 に示す。フルーティな香りの高い薫酒
タイプ(28%)、軽快な爽酒タイプ(20%)、コクのある醇酒タイプ(24%)の回答がほぼ同程度を占め、熟成感がある熟酒タイプは 3%と
少なかった。このことから、日本人のビギナーのようにフルーティな香りの高い吟醸酒あるいは大吟醸酒が好みだろうと決めつけ
ないで、日本酒には 4 つの香味特性のタイプがあると説明することが重要と思われる。また、タイプにこだわらないという回答も
22%と多かったので、季節、飲用シーンや料理との相性を考えた日本酒提案も有効となろう。なお、熟酒タイプの回答数が少な
かったのは、海外での飲用機会がほとんどないためと推測される。
さらに、地域によって好きな日本酒のタイプに違いがあるかどうかコレスポンデンス分析を行った。図-18 に示すように、薫酒を
好む人が多いのが香港、爽酒を好む人が多いのは台湾、醇酒を好む人が多いのは欧州、中国、東南アジア、北米であることが
わかった。
349
1613
1522
60
21
41
8
12
61
24 11
0% 20% 40% 60% 80% 100%
その他⽇本
東南アジア中国欧州⾹港北⽶台湾
⽇本料理 ⾃国の料理 世界各国の料理デザート ⽇本酒に合わせる
図-15 普段好んで飲む酒類(全地域) 図-16 その酒類を好んで飲む理由(全地域)
58%20%
16%
2%2% 1%
1% 0% 美味しい飲み慣れている⼊⼿しやすい
安い多様性がある興味がある
健康に良い料理に合う
37%
32%
14%
7%
4%2% 1%
1%1% 1%
1%⽇本酒ワインビールウィスキーリキュール⽇本産焼酎その他醸造酒その他蒸留酒その時と場合による⽼酒カクテル
図-14 日本酒と一緒に食べる料理(地域別)
- 6 -
4.7 日本酒を選ぶ際に重視する要素
日本酒を選ぶ際に外国人が重視する要素(価格、人気、香味特性、入手しやすさなど)を調べた結果を図-19 に示す。「香り・
味わい」を重視するという回答が 65%を占め、次に「料理との相性」が 19%と多かった。「価格が安い(高い)」、「人気がある」、「銘
柄」を重視している外国人は少ない。このことから、香味特性をわかりやすく伝えることと、料理との相性を考慮した日本酒の提案
が有効であることがわかった。
4.8 日本酒を味わいたい場所
日本酒を味わいたい場所を調べた結果を図-20 に示す。レストラン等の外食(53%)と自宅(41%)が合わせて 94%を占め、予想
以上に自宅で日本酒を味わいたい外国人が多いことがわかった。地域別でみてみると、図-21 に示すように、台湾だけが外食よ
りも自宅が多くなっている。
図-17 好きな日本酒のタイプ(全地域)
図-18 好きな日本酒のタイプ(地域別)
図-19 日本酒を選ぶ際に重視する要素
28%
24%22%
20%
3% 3%フルーティなタイプ
旨味の多いタイプ
タイプにこだわらない
爽やかなタイプ
分からない
熟成感があるタイプ
65%
19%
6%
4%3% 2% 1% 1% 0% 1% ⾹り・味わい
料理との相性酒販店やレストランの勧め価格が安い銘柄⼈気がある特に重視することはないコストパフォーマンス価格が⾼い⼊⼿しやすさ
53%41%
2%1% 1%
1% 1% 外⾷⾃宅外⾷と⾃宅パーティ友⼈と⼀緒場所は問わない⽇本で 4
912
171622
3171
24
39
1117
1283
22
3
13
15
1
4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
その他⽇本
東南アジア中国欧州⾹港北⽶台湾
外⾷ ⾃宅 外⾷と⾃宅パーティ 友⼈と⼀緒 場所は問わない⽇本で
図-21 日本酒を味わいたい場所(地域別)
図-20 日本酒を味わいたい場所(全地域)
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4.9 日本酒の購入場所
日本酒を購入する場所について聞いた結果(2 つまで選択可能)を図-22 に示す。現地での購入に関しては「酒類販売店」が
全回答者数の 44%で1位となった。一方で「旅行の際に日本国内で」との回答が 55%もみられたことに注目したい。「旅行の際に
日本国内で」と「空港・港湾の免税品店」の少なくとも1つを選択した人数を調べたところ、57%の人が日本での購入経験を持つと
いう結果になった。前述の日本酒を飲みたい場所として自宅が多いという結果を考慮すると、国内の日本酒売場において、日
本酒の飲み方、楽しみ方を伝えることの重要性が明らかとなったと考える。
さらに、地域による購入場所の違いについて、コレスポンデンス分析を行った(図-23)。この結果から、現地で購入する場合、
香港ではスーパー、中国ではネットやデパート、台湾では酒販店、北米では日本・アジア食材店と、地域によって明確な違いが
みられた。これは、日本酒に注力する現地業者が居住地域によって異なることを示していると考えられる。
4.10 購入する日本酒のサイズと価格
主な購入サイズは 4 合瓶(720ml)が 8 割となった(図-24)。これは海外で流通しているのは 4 合瓶が多いため必然的な結果と
いえる。4 合瓶の購入価格帯は図-25 のように、3 千円台が 29%と も多く、4 千円台が 27%とそれに次ぐ。これらは日本国内で売
れ筋の千円台の商品だと思われるので、国内価格に比較すると 2〜3 倍高い。これは、海外で売られる日本酒には、一般的に
関税や酒税、運賃、インポーターのマージンなどが上乗せされるためである。なお、香港では関税や酒税がかからないので1.5
倍ぐらいに抑えられている。
さらに、購入価格の地域による違いをコレスポンデンス分析でみた(図-26)。日本在住者の購入価格帯が低いのは当然だが、
そのほかの地域では、中国、香港、台湾の購入価格帯が高く、欧米が比較的低いことがわかる。
図-22 日本酒の購入場所
図-23 地域別にみた日本酒の購入場所
55%44%
18%15%
13%11%
8%3%
2%1%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
旅⾏の際に⽇本国内で酒類販売店
⽇本・アジア⾷材店通販サイト
スーパーマーケットデパート
空港・港湾の免税品店購⼊したことがない
輸⼊業者など⽇本⾷レストラン
80%9%7%
3%1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
720mL300mL以下
決まっていない購⼊したことがない
1,800mL
4%1%
7%16%
29%27%
15%
0% 10% 20% 30% 40%
購⼊したことがない1,000円未満
1,000〜2,000円未満2,000〜3,000円未満3,000〜4,000円未満4,000〜5,000円未満
5,000円以上
図-26 地域別にみた日本酒の購入価格(4 合瓶)
図-24 日本酒の購入サイズ
図-25 日本酒の購入価格(4 合瓶)
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4.11 レストランで注文する日本酒のサイズと価格
レストランで日本酒を注文するサイズに関する回答結果を図-27に示す。グラスとの回答が53%で も多く、次が4合瓶(720ml)
で 41%となり、この 2 つで9割を超えた。海外でも国内と同様に、バイ・ザ・グラスでの日本酒提供が予想以上に浸透していること
が明らかになった。
4 合瓶換算での注文価格を図-28 に示す。 も多いのが 4〜5 千円台で 28%、次いで 6〜7 千円台が 20%、3 番目が 2〜3 千
円台で16%。この3つで6割を超えた。 も回答が多かった価格帯が4〜5千円台ということは、日本国内での提供価格より若干
高めな程度だった。
地域別にみた注文時の価格帯を図-29に示す。日本以外の地域では、中国や香港、東南アジアの価格帯が北米や欧州、台
湾と比較して高くなっていることが分かる。
さらに、購入サイズ、注文サイズと年代の関係についてコレスポンデンス分析を行った結果、20 代は小さなサイズを好むことが
わかった(図-30)。金額的な側面が考えられるが、20 代をターゲットにする際は、小容量を揃えることが有効と考えられる。バイ・
ザ・グラスによる提供は 20 代だけではなく 30 代、40 代にも好評であり、主力サービスにすべきだと思うが、開栓後に品質劣化し
やすい商品もあるので、飲食店側の保存に関する知識や劣化を判断する能力が十分あるかが心配な点である。一方で海外市
場においては、一升瓶の出番はほとんどないことが分かった。
図--27 日本酒の注文サイズ 図-28 日本酒の注文価格(4 合瓶換算)
図-29 居住地域別にみた注文価格帯
図-30 年代別にみた購入、注文サイズ
53%41%
2%1%1%1%0%0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
グラス4合瓶(720mL)
1升瓶(1,800mL)1合徳利(180mL)
300mLボトル2合徳利(360mL)
状況に応じて注⽂しない
10%9%
16%28%
20%13%
4%
0% 10% 20% 30%
⽇本酒は注⽂しない2,000円未満
2,000〜4,000円未満4,000〜6,000円未満6,000〜8,000円未満
8,000〜10,000円未満10,000円以上
24
316
12
44
930
351
36
1360
210
4
11
930
614
9
16
416
28
7
13
22
3
0% 20% 40% 60% 80% 100%
⽇本欧州北⽶台湾
東南アジア⾹港中国
2,000円未満 2,000〜4,000円未満
4,000〜6,000円未満 6,000〜7,000円未満
8,000〜10,000円未満 10,000円以上
- 9 -
4.12 日本産日本酒と外国産 SAKE の評価
4.12.1 日本産日本酒へのこだわり
現在、日本からの輸出量の4 倍程度のSAKEが海外で生産されている。英国の酒類コンテスト「インターナショナル・ワイン・チ
ャレンジ(IWC)」の SAKE 部門でも 2016 年から海外産の SAKE がメダルを獲るようになってきた。注文する際に日本産にこだわ
るかどうかを尋ねた結果を図-31 に示す。今回の回答者の約 3/4 が「常に日本産を選ぶ」と答えており、日本産へのこだわりが
強いことがわかった。
「こだわり」を居住地域別に分析した結果が図-32 である。「時、場所、場合で日本産を選ぶ」が も多かったのは北米だった。
米国では 1980 年頃から日本の大手酒造メーカーを中心に現地生産が始まり米国内で消費される約 8 割を占めるとされており、
欧州などにも輸出されている。この結果が、北米では「時、場所、場合で日本産を選ぶ」という結果につながっていると考えられ
る。一方、日本在住者は「こだわらない」が多いという面白い結果になった。現在、日本人の愛好家の中では、香味に係わらず
外国産が珍重されるという現象が出ており、店に置いてあれば話の種に一度飲んでみたいという人も多い。同様のことが日本在
住の外国人にも当てはまるのではないかと思われる。
次に、日本産と外国産に対する評価の違いを明らかにするために、「自分の好みか?」、「品質が高いか?」、「価格が高過ぎ
るか?」、「購入機会が多いか?」の 4 つの質問を行った。
4.12.2 自分の好みか?
「自分の好みに合うか?」と尋ねた結果が図-33 である。日本産に関しては 97%が「好みに合う」と回答している。一方で、外国
産の場合には「好みに合わない」との回答の方が多かった。
4.12.3 品質が高いか?
「全般に品質が高いか?」の回答結果を図-34 に示す。日本産が「品質が高い」との回答が 87%だったのに対して、外国産が
「品質が高い」との回答は 11%にとどまっており、日本産の方が品質が高いと認識している人が多いことがわかった。
図-31 日本産にこだわるか?
図-32 居住地域別にみた日本産へのこだわり
76%
15%
9%
0% 20% 40% 60% 80%
常に⽇本産を選ぶ
時と場合で⽇本産を選ぶ
こだわらない
0%
20%
40%
60%
80%
100%
はい いいえ わからない
⽇本産 外国産
0%
20%
40%
60%
80%
100%
はい いいえ わからない
⽇本産 外国産
図-34 全般に品質が高いか? 図-33 自分の好みに合うか?
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4.12.4 価格が高すぎるか?
「全般に価格が高すぎるか?」と尋ねた結果が図-35 である。日本産では「高すぎる」との回答が 47%ある一方で、「高すぎること
はない」との回答も 44%あった。図-25 で示したように、海外での 4 合瓶の購入価格が 3−4 千円台中心ということを考えると、ワイ
ンなどのほかの酒類と比較して日本産は高いと捉えられていないと思われる。
さらに、日本産が高すぎると感じている地域をみるためにコレスポンデンス分析を行った(図-36)。日本産が高いと感じている
のは台湾だとわかる。一方、中国や香港では高すぎるとは思わないと答えた人が多かった。
4.12.5 購入機会が多いか?
「購入機会が多く入手しやすいか?」の回答結果が図-37 である。日本産では「入手しやすい」との回答が 46%、そうではないと
の回答も 50%あった。
居住地域と日本産の入手しやすさの関係を図-38 に示す。北米、香港、東南アジアが入手しやすいと感じている人が多かっ
た。一方、中国、台湾では入手しにくいと感じている人が多かった。入手しにくいと感じる人が多いということは、香港に比べて台
湾、特に中国には輸出されていない銘柄が多いからではないかと考えられる。このことから、外国人の中では香港などの居住者
が日本酒の銘柄に詳しい人が多いと予想される。
4.12.6 地域による外国産日本酒の評価
次に、地域による外国産日本酒の評価の違いをみるために、現地で生産実績がある北米とワイン生産の歴史が長い欧州で
コレスポンデンス分析を行った(図-39、図-40)。
これによると、外国産の品質評価について北米も欧州もほぼ同じ傾向であった。ただし、好みになると欧州では好まない傾向
があったが、北米では比較的好きという傾向がみられた。これは図-32 で示した、北米では「時、場所、場合で日本酒を選ぶ」と
図-36 地域別にみた日本産の価格の評価
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
はい いいえ わからない
⽇本産 外国産
図-38 地域別にみた日本産の入手しやすさの評価
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
はい いいえ わからない
⽇本産 外国産
図-35 全般に価格が高すぎるか?
図-37 購入機会が多く入手しやすいか?
- 11 -
いう結果とも相まって、米国で現地生産されている SAKE が根付いていることを表している。一方、欧州では外国産を好んでおら
ず産地が日本であるということに価値を見出していると思われる。
4.13 日本酒の今後の需要と普及
4.13.1 日本酒の今後の需要
居住地における今後の日本酒需要について尋ねてみた。図-41 に示すように、「大いにある」(33%)と「いくらかはある」(52%)
を合わせると 85%となり、それぞれの居住地において、今後も日本酒の需要が高まると考えている人が多いことがわかった。
さらに、地域によって日本酒の今後の需要に違いがあるかどうかを探るために、コレスポンデンス分析を行った。図-42 に示す
ように、東南アジア、香港、北米では、「大いにある」、台湾と中国では、「いくらかはある」と考えている人が多かった。一方、欧州
では、「あまりない」あるいは「わからない」と考えている人が多かった。特にアジア、北米地域における需要に期待が持てることが
わかった。
4.13.2 日本酒ファンを増やすための方策
居住地において日本酒ファンを増やすための方策についての回答をまとめた(なお、選択数に制限はない)。図-43 は回答
数を回答者数に対するパーセントで表した結果であるが、半数以上(56%)の人が「日本文化を普及させることが、日本酒への関
心を高める」と答えていた。この結果は、日本酒を飲んだきっかけが「日本文化のファンで関心があって」や「日本食のファンで関
心があって」という回答が多かったことと深く関係しており、やはり、「日本文化(日本食も含めて)を通じて、外国人に日本酒を飲
んでもらうきっかけ作り」が重要な方策となりそうだ。これに続いて、「種類や価格のバラエティを多くする」(47%)、「購入場所を増
やす」(41%)、「商品情報の提供を多くする」(32%)、「飲み方を提案する」(29%)、「カジュアルな場に合う日本酒を提案する」(25%)
の順に回答数が多かった。
図-39 地域別にみた外国産の品質の評価 図-40 地域別にみた外国産の好みの評価
図-41 日本酒の今後の需要予測(全地域)
図-42 日本酒の今後の需要予測(地域別)
33%
52%
11% 1% 3%⼤いにある
いくらかはある
あまりない
全くない
わからない
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5. 日本産日本酒についての意見・提案
日本産日本酒についての意見・提案を自由回答として尋ねたところ、110 人から回答が得られた。その中から、特に重要だと
思われる指摘を抽出し、以下にとりまとめた。 5.1 価格設定
「ワインに比べ、格段に高い。もっと手軽にレストランで飲めるようになれば、もっと理解が深まると思う」(カナダ)、「720ml で価
格が高いと初めて飲む人には手が出しづらい。新しい銘柄を日本から持ってくる際は 300ml がよい」(アメリカ)などといった価格
設定に対する指摘があった。
5.2 サービススタッフの教育 「レストランで働く人達も、日本酒の知識を深めて、正しい方法で販売するために教育を受けることが重要」(イタリア)、「レストラ
ンに日本酒の解説をできる人が少ない。そもそもスタッフが日本酒に詳しくない」(台湾)といったサービススタッフの知識不足が
指摘されていた。
5.3 提供方法 「日本料理店以外の人気店でも日本酒を売ってほしい」(韓国)、「居酒屋ではパック酒が多いので、がっかりする場合が多い」
(韓国)という韓国での日本酒事情を反映した意見がある一方、「おすすめの飲み方を紹介して欲しい。一般消費者は日本酒に
多様な飲み方があることを知らない」(台湾)など、飲み方の提案の少なさなどが指摘されていた。 5.4 料理との組合せ
「様々な日本食の種類に合わせたペアリング提案が必要」(アメリカ)、「日本食レストランは日本酒を料理とペアリングして提供
すると良い」(アメリカ)というように日本食との組合せを望む一方で、「日本酒の個性をなくすことなく現地の料理に適合させるべ
き」(中国)、「日本酒は韓国料理と合わないという偏見がある」(韓国)、「韓国の食文化に接近することが必要」(韓国)というよう
に、中国や韓国からは、現地料理との組合せにも注力すべきと指摘されていた。 5.5 購入機会
「質の高い日本酒が手に入らない」(スウェーデン)、「ワインはスーパーマーケットで手に入るが日本酒はまず無い」(フィリピ
ン)、「ワインの横にオプションとして陳列されると目に入りやすい」(アメリカ)、「ビールのように買いやすいところがあれば良い」
(韓国)、「日本酒が目に付く場所が増えたら良い」(韓国)のように、購入の容易さを望む声が多かった。これは、「日本酒ファン
を増やすための方策」に対する回答の中で、「購入場所を増やす」と答えた人が多かった(41%)ことにも通じると考える。
図-43 日本酒ファンを増やすための方策
56%47%
41%32%
29%25%
19%18%18%
14%13%
10%3%2%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
⽇本⽂化の普及種類や価格のバラエティ
購⼊場所を増やす商品情報の提供
飲み⽅の提案カジュアルな場に合う⽇本酒
⼈気銘柄の普及価格の安い商品
分かり易いラベル表記優れたデザインのラベル
品質を⾼めるフォーマルな場に合う⽇本酒
税⾦・関税を軽減する価格の⾼い商品
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5.6 品質管理 「日本で購入するものと品質の差が大きすぎる」(アメリカ)、「ドバイでは、優れた日本酒の保管と流通が大きな問題である。現
地流通業者には専門家がいない」(アラブ首長国連邦)、「運送温度と卸業者の温度管理が正しくなくてはならない」(台湾)のよ
うに、運送中や現地販売店での品質管理の向上、現地流通業者などに対する教育を行うべきだと指摘する声も多く聞かれた。
さらに、「純米または純米吟醸生原酒は品質維持が難しい」(アメリカ)、「保存期間や 適な飲用期間が長くなることを望む」(台
湾)という指摘もみられた。 5.7 情報提供
「日本酒ファンを増やすための方策」で回答者の多かった「商品情報の提供を多くする」(32%)に関連する意見も多く寄せられ
ていた。「スペイン語で情報や知識が得られることが重要」(スペイン)、「多くの人々が日本酒は 1 種類だけだと思っている」(ドイ
ツ)、「多くの人が、なぜ品質の良い日本酒が高価なのか知らない」(ドイツ)、「いろいろな種類、品質の日本酒を紹介してほしい」
(アメリカ)、「一般消費者は、美味しい日本酒は大吟醸、純米大吟醸しかないと思っている」(台湾)、「評価やテイスティングノー
トを含んだ英語あるいは中国語のウェブサイトやモバイルアプリがあれば良い」(香港)という意見など、情報提供の少なさが指摘
されていた。 5.8 イベントの開催
「日本酒の人気を高めるのに も良い方法は、日本料理店やエスニック料理の催し物で日本酒を提供すること」(イタリア)、
「Japanese days のような販促フェアでもっと消費者教育することが必要」(バーレーン)、「日本酒の祝宴、試飲イベント、講習会を
もっと開催してほしい」(香港)、「日本政府と地方自治体がカナダで日本酒の販売促進を支援してほしい」(カナダ)というように、
現地でのイベント開催を望む声が多かった。さらに、「日本酒を飲んだことのない人向けのプロモーションを増やす」(香港)、「都
道府県別に日本酒のプロモーションを開催する」(香港)、「若者に対するプロモーションが必要」(韓国)のように、ターゲットを明
確にしたイベント開催を望む声も多かった。 5.9 蔵元との交流
「蔵見学のツアーを海外に宣伝する」(香港)、「酒蔵ツアーをもっと増やしてほしい」(中国)、「蔵元との試飲交流会をもっと開
催してほしい」(台湾)のように蔵元との交流を望む声が多かった。これは、訪日外国人観光客に対する「酒蔵訪問」提案の有効
性を示唆するものでもあろう。 5.10 香味の訴求方法
「現在の分類方法は消費者に間違ったメッセージを与えた」(中国)、「顧客を拡大するために新しい味わいを開発する必要が
ある」(中国)などと指摘されていたことから、「英語表記の分かり易いラベルと説明書を採用すべき」(シンガポール)などの表記
改善とともに、特定名称酒分類や、香味特性別分類(4 タイプ)だけでなく、新たな香味訴求の開発も求められていると思われた。 5.11 地域性(地酒)
「全て地方の材料だけを使っている酒蔵を訪問して、そこで試飲して購入できることを望む」(アメリカ)、「良い日本酒は地方で
造られるべきである」(ドイツ)という意見があったように、地酒の訴求、または風土(テロワール)を反映させた日本酒ニーズがある
ことも伺わせた。 5.12 関税など
「台湾では関税の問題で、日本酒は他のアルコールより価格が高い」(台湾)、「日本酒マーケットのポテンシャルはあるが、関
税が不合理で日本酒の価格は高すぎる」(台湾)、「酒税や流通のコストを減らし、値段が下がれば消費者の目にとまり、発展で
きる」(韓国)、「輸入コストが影響して日本酒の価格が高級ワイン並みで敷居が高い」(フランス)というように、関税・酒税や輸入コ
ストによる価格の高さが日本酒普及の大きな障害となっているようだった。特に台湾では、日本酒の需要が高く、マーケットも大
きいが、40%という関税の高さを指摘する声が多数みられた。
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5.13 日本酒資格の国際化 「日本酒資格を国際化することは良いと思う」(韓国)、「日本酒の試験に合格できたことは、日本酒を理解し、他の人たちに勧
める上で大いに役立っている」(イギリス)とあるように、日本酒資格の国際化を推し進めることは、資格取得者が地域の一般消費
者に日本酒の情報を提供していくことになり、新たな顧客の獲得を目指す上でも重要だと思われた。 6. 今後の提供施策の提言
この調査から明らかになったことに基づいて、今後外国人に対する有効な提供施策として、下記の 4 つの提言を行う。
6.1 「外国人が望む日本料理を知ろう」
日本酒を飲んだ一番のきっかけが、日本料理を食した際や、日本食に関心があったこと、さらには、日本酒と一緒に食す料理
が圧倒的に日本料理であったことなどから、外国人をターゲットとするなら、日本料理に対する造詣を深めることが欠かせないと
考える。
6.2 「外国人が望む日本文化を知ろう」
「日本文化のファンだったこと」が、日本酒を飲むきっかけになったと回答する人が多かったことから、我々も、もっと日本文化
に関する見識を深める必要があろう。 6.3 「香味特性別分類(4 タイプ)を活用しよう」
調査結果では、好きな日本酒のタイプに対する質問に対して、「薫酒を好む」「爽酒を好む」「醇酒を好む」との答えがほぼ同
程度だったこと、日本酒を選ぶ際に重視する要素が、日本で人気の高い銘柄でも価格が安い物(もしくは高い物)でもなく、香り
や味わいとの回答が圧倒的に高かったこと、さらに、料理との相性によって日本酒を選びたいという回答も多かったことから、SSI
が発会時から提唱している「香味特性別分類(4 タイプ)」のような訴求の有効性が、あらためて明らかになったと考える。
6.4 「ワイン愛好家を攻略しよう」
調査結果から、ワイン愛好家が日本酒に興味を示しやすいことがわかった。確かにワイン愛好家(ワインに詳しくないが飲用頻
度は高い愛飲家を含む)は世界中に存在するので、ターゲットにすることは有効だ。また、ワインと同じ醸造酒であり、かつ食中
酒である日本酒についての理解は早いかも知れない。
7. おわりに
外国人を対象とした日本酒の嗜好調査から明らかになったことを報告し、その結果を踏まえて、今後外国人に有効になると思
われる日本酒の提供施策について提言を行った。
いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの開催も間近である。2025 年には大阪で万国国際博覧会の開催も決まった。ますま
す訪日外国人観光客も増加しよう。この機会に、日本酒を商材として活用できる調査研究を続けるとともに、日本酒という誇れる
文化を通じて、外国人と友好な関係を築けるような活動にも努めていきたい。
地酒検証研究会※:外国人の日本酒嗜好調査プロジェクトチームメンバー
天野悟(プロジェクトマネージャー)、井上操、金井雄二、小森真幸、高橋孝、築茂美恵子、並里直哉、沼田広志、楊ケニー、渡
辺佳嗣
協力:廣江彰 東京家政学院大学学長、立教大学名誉教授
※地酒検証研究会(2013 年設立)
SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)に所属する研究会で、SSI 研究室専属テイスターで構成される(24 名、2018
年 7 月現在)。地酒(日本酒)の特性をテイスティングを通じて検証したり、地酒(日本酒)に対する様々な調査や執筆活動などを
行う。