子どもの心身のサポート;新型コロナウイルスへの対処.
http://traumaticstress.cocolog‐nifty.com/
スクールカウンセラー・教員研修用 2020.5.24
冨永良喜(兵庫県立大学大学院減災復興政策研
究科・教授・公認心理師・臨床心理士、博士(心理学))
1 安全にきずなを深めるコミュニケーションを(子どもと教師、子ども同士、教師と保護者、保護者と子ども)
2 健康チェックと連絡ノート(先生あのね)
3 新型コロナウイルスを知って対処を学ぼう―石けんでの手洗い、せきエチケット、社会的距離:免疫力を高める生活
4 管理職ー(生徒指導・教育相談担当)・担任・養護教諭・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーー保護者 連携システム
このPPTは研修終了後pdfにして ストレスマネジメントとトラウマのブログに掲載します
トラウマ反応の強さ
破線は生活が阻害される反応レベル
時
ストレス障害
うつ
⼼⾝症
アルコール依存PTSD不登校暴⼒
新型コロナウイルス
安全感・落ち着くこと・効⼒感・きずな・希望(Hobfoll etal.,2007; Psychiatry 70(4) )
1.Covid-19とはなにかを知る2.Covid-19対処法を学ぶ(石けん手洗い・せきエチケット・StayHome・3密避ける)3.免疫力を高める生活(睡眠・栄養・運動・学ぶ;リラックス法・ポジティブ思考)
安全に人とコミュニケートする手段整備(ネット環境)
Covid-19心のサポート・(オンライン)授業
These are promoting: 1) a sense of safety, 2) calming, 3) a sense of self- and community efficacy, 4) connectedness, and 5) hope.
1 安全にきずなを深めるコミュニケーションを(子どもと教師、子ども同士、教師と保護者、保護者と子ども)
教科学習のまえに、友だち・先生との交流を大切に;子どもたちは、友だちと先生とおしゃべりしたいのです。安全なコミュニケーションツールを使って、お互いのがんばりや好きなことを認め合い話し合う時間を作りましょう。 熊本市小中;オンライン朝の会の前の取り組み。
がまんがはじける可能性怒りの感情を認めて、望ましい行動を提案
学校再開 行動化の前に、ストレスの見える化を
行動化(不登校・キレる)身体化(保健室・ケガ)
マヒ(本当のことと思えない・思いだせない)
回避(安全なものを避ける、話したくない)
トラウマ記憶:凍りついた記憶
過覚醒(びっく・イライラする・ねむれない)
マイナスの考え
(自分が悪かった・どんなにがんばっても意味がない・人は信用できない)
再体験(思いだしてつらい・
フラッシュバック・悪夢・地震ごっこ・コロナごっこ)
トラウマ後(Post)ではなく、危機が持続(During)している状況なので、過覚醒(イライラ、寝つかれない、過敏)が全面にでる。感染不安・恐怖(自分がうつったら、自分がうつしたら、家族が..)。マヒ(自分はだいじょうぶと思いこむ、正常性バイアス)、退行(一人でできたことができない)
解離(意識がとぶ・もう一人の自分・・)
ほっとできると起きやすい→・背を⽴てて、ドキドキが⼩さくなるまで待つ・話を聴いてもらう・なにを経験したかスクリーンに描く・体験を話す・書く・分かち合う
トリガー「地震」「津波」「コロナ」という⾔葉、防災学習、地震の映像、地震のときの話を聞く“事件“、“性被害“、ニュース
少しずつチャレンジする→・安全な防災学習などを少しずつ・⾃分で決定できることを保障
落ち着くためのリラックス眠りのためのリラックス⾃分なりの落ち着く⽅法
・⾃責感をやわらげ、プラスの考えにかえる・⾃責感をエネルギーに未来に⽣かす
退⾏(できていたことができない:トイレに⾏けない、親から離れられない)
付きそう安⼼できると、⼀⼈でできるようになる
トラウマ反応と対処
チェックリストを子どもに提案するとき、スクールカウンセラーはつぎの5点を教育委員会・学校に助言するといいです。
①事前に、学校ないし教育委員会は、チェックリストの目的と活用について説明する「保護者へのお便り」を発信し、保護者からの意見を聴きます。
②チェックリストは、「対処を学ぶ」ためのきっかけにして、「セルフケアを促進」するためのものであることが第一の目的です。結果として、ハイリスクの児童生徒を把握するツールになります。ハイリスクの見方は、高得点のみではなく、全て0(すべて望ましい評点)も要サポートかもしれません。
③チェックリストを見て、やりたくないと思った人はムリにやらなくていいです。テストではありません。
④チェックリストは担任・養護教諭・スクールカウンセラー・管理職などがみて、個別のサポート(教育相談など)に使います。(誰が見てどう活用されるか)
⑤学校全体・地域全体の子どもたちの心身の状況について、プライバシーを守り、チェックリストの統計的結果を伝えることが子どもたちの福利に貢献すると学校・教育委員会が判断したときは伝えます。
健康アンケート・ストレスチェックリストの説明と同意
https://www.facebook.com/jacpp2020/⽇本公認⼼理師協会のFBにリンク
【文部科学省】「児童生徒の心のケアや環境の改善に向けたスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーによる支援の促進等について」 ←別添 日本臨床心理士会
ない
(0)
すこし
ある
(1)
かなり
ある
(2)
ひじょ
うにあ
る(3)
1 0 1 2 3
2 0 1 2 3
3 0 1 2 3
4 0 1 2 3
5 0 1 2 3
自分が悪い(悪かった)と責めてしまうことがある
頭やおなかがいたかったり、からだのちょうしが悪かったりする
大塚ら(2019)ストレスマネジメント研究15(2)9-15,より5項目抜粋
2.ストレスチェック;大変なことがあると、心とからだは変化します。それは大変なことを乗り越えようと心とからだががんばるからです。ですから、とても自然な反応です。でもそれが長く続くと勉強に集中できなくなったりすることがあります。それぞれによい対処法があります。自分のストレスを知ってよい対処法を学びましょう!
この1週間に、つぎのことがどれくらいありましたか?
なかなか、眠れないことがある
むしゃくしゃしたり、いらいらしたり、かっとしたりする
こわくて、おちつかない
対処法
眠りのための
リラックス法
落着くための
リラックス法
こわいものを知ってよ
い対処法を学ぼう
ほかのつぶやきがな
いか探してみよう
体調をモニターするこ
とはいいことだよ
2
あ
て
は
ま
ら
な
い
あ
ま
り
あ
て
は
ま
ら
な
い
ど
ち
ら
で
も
な
い
す
こ
し
あ
て
は
ま
る
あ
て
は
ま
る
1 1 2 3 4 5
2 1 2 3 4 5
3 1 2 3 4 5
4 1 2 3 4 5
5 1 2 3 4 5
6 1 2 3 4 5
7 1 2 3 4 5
8 1 2 3 4 5
自分じぶん
の気き
もちがリラックスする方法ほうほう
を知し
っていて、実際じっさい
にやっている
ゲームや趣味しゅみ
の時間じかん
については約束事やくそくごと
やルールを作つく
り、それを守まも
っている
困こま
ったことがあったとき、人ひと
に助たす
けを求もと
める
毎日まいにち
の生活せいかつ
をチェックしてみよう この2週間しゅうかん
をふりかえって、それぞれの質問しつもん
について「あて
はまらない」と思おも
えば「1」に、「あまりあてはまらない」と思おも
えば「2」に、どちらでもないと思おも
えば「3」
に、「すこしあてはまる」と思おも
えば「4」に、「あてはまる」と思おも
えば「5」に○をつけてください。
手て
あらいは石せっ
けんで指ゆび
のあいだや手て
くびまであらう正ただ
しい手て
あらいをしている
せきエチケットを守まも
っている
朝食ちょうしょく
を毎日まいにち
、たべている
毎日まいにち
、ねる時刻じこく
や起お
きる時刻じこく
が決き
まっている
宿題しゅくだい
や勉強べんきょう
をする時間じかん
を決き
めてやっている
学校コード学年
組
出席番号
名前
男1女2
S1楽しい
S2おいしい
S3睡眠
S4苛々
S5恐怖
S6自責
S7体調
D1手洗
D2せき
D3朝食
D4寝起
D5勉強
D6Rexa
D7Game
G8相談
子どもからのメッセージ保護者からのメッセージ
1 1 1 TomiYoshi 2 2 2 3 2 2 0 0 5 4 5 3 3 2 2 2 はやく学校に行きたい 登校が心配
数字は半角入力、
健康アンケート・ストレスチェックの集計と活用方法
1.結果はエクセルファイルに入力。行が児童生徒、列が項目。3か月後に同じ健康アンケートを行えば、列に加えていく。SPSSでの統計解析が容易。
2.Googleフォームで作成すると、回答はスプレッドシートに入力され、エクセルファイルにダウンロードできる。
3.Googleフォームは、共同編集者を招待し、共同編集者がコピーすれば、限定された人のみがスプレッドシートを閲覧できる。
4.ストレスチェックを活用したある養護教諭からのメール
・おどろくほど日ごろ気になっている児童生徒と一致している。・担任は電話で「先週のアンケートで〇〇って回答していたけど、どう?」とコミュニケーションをはかっている。・この市全校でできるように教育委員会と調整中
ストレスマネジメントの4段階○第1段階 ストレスの概念を知る
↓○第2段階 ⾃分のストレス反応に気づく
↓○第3段階 ストレス対処法を習得する
↓○第4段階 ストレス対処法を活⽤する⽵中(1997)
1.自分のストレス反応や日常生活行動を知る
2.Covid-19とはなにかを知る
3.Covid-19対処法を学ぶ(石けん手洗い・せきエチケット・StayHome・3密避ける)
・藤田医科大学感染症科監修「コロナってなに?」・日本赤十字社「3つの感染症」・岡山大学「新型コロナウイルスについていっしょに考えよう」https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9281.html
4.免疫力を高める生活(睡眠・栄養・運動・学ぶ;リラックス法・ポジティブ思考)
教師・SC⇔児童生徒・保護者双方向コミュニケーションを
分散登校時に、健康アンケート&連絡ノート
健康授業の時間が正規にほとんどない
双方向性オンライン教育整備の遅れ
教員研修やリーフレットで新型コロナウイルスイメージトレーニング「新しい生活様式」を
ウイルスを考えて行動
グリーンゾーン
レッドゾーン 医師
イエローゾーン カウンセラー
教師は子どもたちがグリーンゾーンからイエローゾーンへ移ることを予防できる教師は医療行為に従事しないが医師と協力して子どもの心のケアにあたる
教 師
教師の二つの役割:子どもの教育と子どものセルフケアの援助
カウンセラーはイエローゾーンからレッドゾーンへ子どもたちが移ることを予防する
災 害
⼦どもたち
レッドゾーンでは人は普通の生活を送れない。
普通に食べたり、眠ったり、話したり、勉強したり、遊んだりできない。
高橋哲(2005)スリランカにて作成
4.管理職ー(生徒指導・教育相談担当)・担任・養護教諭・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーー保護者 連携システム
トラウマ反応の強さ
二次被害自己回復
破線は生活が阻害される反応レベル
時
異常事態に対する正常な反応
セルフケア:安心・きずな⇨表現・チャレンジ
ストレス障害
人はトラウマ反応をおさめていく力(自己回復力)をもっている
うつ
⼼⾝症
アルコール依存PTSD
トラウマ後成長(PTG:Post Traumatic Growth)
不登校暴⼒
PTSDの有病率:自然災害:4%:、性犯罪被害:50%
災害、事件、事故
外傷後ストレス障害PTSD(:Post Traumatic Stress Disorder)
ストレス障害のリスク因:災害前リスク因(虐待・いじめ・発達素因・海馬の体積など)
災害ストレッサーリスク因(家族の喪失・語りがたい出来事(性虐待など)・死の恐怖)
経過リスク因(強い回避と自責感)
安全・安心が第一。この人といると安心できる。教職員もカウンセラーも。それが第一。
NHK視点論点 東⽇本⼤震災から9年 ⼦どもの⼼のケア⼼の健康授業の制度化をhttps://www.nhk.or.jp/kaisetsu‐blog/400/423157.html?fbclid=IwAR156cX5O3nhvM9j7ImVQOySjJFh4Wn6oZDpDvslM6IKBRZ26VjzgpyJ0eE
心のサポート授業3・震災体験の表現と分かち合い
(時期と方法は地域の文化、喪失の状況を考慮する)
心のサポート授業1・5項目(睡眠・イライラ・食欲・体調)の健康チェック・眠れないときの対処法の話し合い・眠りのためのリラックス法(日常ストレスへの対処法を学ぶ)
心のサポート授業2・トラウマのストレスチェック (心とからだの健康観察;
小学生19項目版・ 中高生31項目版)・トラウマへの対処の学習・落ち着くためのリラックス法(トラウマへの対処法を学ぶ)
学校再開から2~3ヶ月
いわて子どものこころのサポートプログラム
学校再開から5ヶ月
メモリアルの1~2か月前;~10年
岩手県約14万人の小学生~高校生
心のファイル
担任やスクールカウンセラーとの面談
ストレスチェック
教育相談
岩手県教育委員会・いわて子どもの心のサポートチーム作成資料を参考に作成
提供;岩⼿県教育委員会・いわて⼦どもの⼼のサポートチームストレスチェックリスト(小学生版;1部抜粋)
びっくり・こうふん(過覚醒)
思いだしてつらい(再体験)
マヒ・さける(回避・マヒ)
こんなときにやってみよう!(小学生版;1部抜粋)
トラウマのストレスチェックと対処法
要サポート児童生徒の割合(%)
ストレスチェックから算出した
岩⼿県教育委員会H30.3発表
震災時の年齢・学年
沿岸部と内陸部の要サポート児童生徒の割合の経年変化
震災時の年齢・学年
心の授業(年間35コマ)【心の教育】
道徳授業 道徳学
(年間25コマ)道徳性を学ぶ、社会的規範を学ぶ
心の健康授業 心理学・医学
(年間10コマ)怒り・緊張・悲しみへの対処を学ぶストレス対処を学ぶ、いじめ・暴力でない表現を学ぶ教師やスクールカウンセラーとの個別相談
心の教育=道徳+心の健康
緊急事態宣言が発令されている地域の中学1年生がこのサイトにアクセスして、感想を書いてくれました。
「この学習でコロナウイルスは咳やつば、くしゃみ、手についたウイルスから感染することがわかりました。感染のしかたがわかったので、マスクをしたり手を洗うと感染予防になることもわかりました。感染予防は簡単にできることなので、みんなにもしてほしいし、自分ももっと丁寧にしたいです。また、コロナウイルスが感染拡大している今だけでなく、日頃から手洗いうがいをし、咳エチケットも守っていきたいです。」
中学生アクセス第一号、ありがとう!すごくうれしいです!
「安全」環境(ネットによる非直接接触のコミュニケーションツール)、「絆」を深め、「落ち着いて」、やるべきことをリストアップし、「効力感」を高め、「希望」をもって立ち向かおう!