ezTCP/Ethernet Series CIE-H10
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Hardware Manual
3 版
シリアルインタフェース/イーサネットプロトコルコンバータ
CIE-H10
ezTCP/Ethernet Series CIE-H10
https://www.apnet.co.jp CIE-H10 ハードウェアマニュアル
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ご使用になる前に
このたびは CIE-H10 をお買い上げいただき誠にありがとうございます。 本製品をお役立て頂くために、このマニュアルを十分お読みいただき、正しくお使いください。 今後共、弊社製品をご愛顧賜りますよう宜しくお願いいたします。
梱包内容
本製品は、下記の品より構成されております。梱包内容をご確認のうえ、万が一、不足しているものがあれば
お買い上げの販売店までご連絡ください。 ■本製品の内容及び仕様は予告なしに変更されることがありますのでご了承ください。
取り扱い上の注意
■ノイズの多い環境での動作は保証しかねますのでご了承ください。
■連続的な振動(車載等)や衝撃が発生する環境下でのご使用は、製品寿命を縮め、故障が発生しやすくなりますのでご注意く
ださい。
■発煙や発火、異常な発熱があった場合には、すぐに電源を切ってください。
■本製品を仕様範囲を越える条件において使用した場合、故障の原因となりますので、ご注意ください。
■本書に記載される製品および技術のうち、「外国為替および外国貿易法」に定める規制貨物等(技術)に該当するものを輸
出または国外に持ち出す場合には同法に基づく輸出許可が必要です。
■本製品マニュアルの著作権は株式会社アルファプロジェクトが保有しております。これらを無断で転用、掲載、譲渡、配布
することは禁止します。
●CIE-H10 1 台 ●D-Sub 9Pin ケーブル 1 本
●AC アダプタ 1 個 ●ゴム足 4 個
●マニュアル・サンプルプログラムのダウンロード・保証のご案内 1 枚
CIE-H10 梱包内容
!
●本製品には、民生用の一般電子部品が使用されており、一般的な民生用途の電子機器への使用を意図して設計
されています。宇宙、航空、医療、原子力、運輸、交通、各種安全装置などで人命、事故に関わる用途および
多大な物的損害を発生させる恐れのある用途でのご使用はご遠慮ください。
●極端な高温下や低温下、または振動の激しい環境での使用はご遠慮ください。
●水中、高湿度、油の多い環境でのご使用はご遠慮ください。
●腐食性ガス、可燃性ガス等の環境中でのご使用はご遠慮ください。
●基板の表面が水に濡れていたり、金属に接触した状態で電源を投入しないでください。
●定格を越える電源を加えないでください。
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保証
■保証期間内において、本マニュアル等に記載の注意事項に従い正常な使用状態で故障した場合、保証対象といたします。
■製品保証の内外を問わず、製品を運用した結果による、直接的および間接的損害については、弊社は一切補償いたしません。
■保証対象は、製品本体とします。ソフトウェア・マニュアル・消耗品・梱包箱は保証対象外とさせていただきます。
■本保証は日本国内においてのみ有効です。海外からのご依頼は受付しておりません。
■製品保証規定の詳細につきましては、ホームページをご覧ください。
ソフトウェアについて
本製品で使用するソフトウェアについては、「1.7 対応ソフトウェア」をご覧ください。
ソフトウェアに関するライセンス、保証、免責事項については、各製品のマニュアルをご覧ください。
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目 次 1. 概要 1
1.1 製品概要 .............................................................. 1 1.2 機能及び特長 .......................................................... 1 1.3 プロトコル変換の仕組み ................................................ 2 1.4 使用例 ................................................................ 3 1.5 製品仕様 .............................................................. 5 1.6 外形仕様 .............................................................. 7 1.7 対応ソフトウェア ...................................................... 8
2. 機能 10 2.1 外形寸法図 ........................................................... 10 2.2 シリアルインタフェース ............................................... 11 2.3 イーサネットインタフェース ........................................... 14 2.4 動作モード ........................................................... 15 2.5 通常動作モード ....................................................... 17 2.6 入出力ポート ......................................................... 40 2.7 入出力ポート制御モード ............................................... 44 2.8 ISP スイッチ ......................................................... 56 2.9 LED .................................................................. 57 2.10 電源 ................................................................ 58 2.11 セキュリティ機能 .................................................... 59 2.12 IP アドレス通知機能 ................................................. 61 2.13 状態確認機能 ........................................................ 66 2.14 本体管理 ............................................................ 69
3. 製品サポートのご案内 73
4. エンジニアリングサービスのご案内 74
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1. 概要 1.1 製品概要
CIE-H10 は、シリアルインタフェースとイーサネットインタフェースをインテリジェントに相互変換するプロトコルコンバー
タです。
RS232 機器は CIE-H10 に接続するだけでイーサネット通信を行うことができます。
また、CIE-H10 はシリアル⇔TCP/IP プロトコル変換機能だけでなく、CIE-H10 の入出力ポートを使用してデジタル入出力制御
機器の制御・監視が可能なので、一つの CIE-H10 で多様な機能を使用することができます。
1.2 機能及び特長
■ TCP/IP プロトコルスタック内蔵
CIE-H10 には、SollaeSystem 社で開発された TCP/IP プロトコルスタックが搭載されており、シリアルインタフェースとネ
ットワークプロトコルをインテリジェントに相互変換します。
したがって、既存の機器は、非同期シリアル通信をおこなうだけでネットワークを利用することができます。
■ 多種多様なプロトコルに対応
TCP/IPの他にUDPやDHCP、DNSやDDNS、FTTHやADSLで使用されるPPPoE等のプロトコルに対応しています。
これらの動作設定は、コンフィグレーションツール「ezManager」で簡単に設定することができます。
■ 入出力ポート搭載
Modbus/TCPとHTTPを利用してデジタル入出力制御機器の監視及び制御を行うことができます。
また、CIE-H10はマクロ機能を使いCIE-H10の入力ポートの値を出力ポートに自動的に出力する機能を使用することも可能で
す。
■ DNS問い合わせに対応
接続先等の指定にIPアドレスだけでなく、ドメイン名を使用することもできます。
■ セキュリティ機能搭載
セキュリティ機能として、指定したIPアドレスやMACアドレスからのみアクセスを許可するアクセス制限機能や、CIE-H10
の設定を変更する際にパスワードが必要となるパスワード認証機能があります。
■ IPアドレス通知
電源投入時やIPアドレス変更時に、自IPアドレスを通知させることができます。
■ 仮想COMポートドライバ「TCP-VSP for ezTCP」対応
仮想COMポートドライバ「TCP-VSP for ezTCP」を使用することで、PCのCOMポートアプリケーションからezTCPを透過的なCOM
ポートとして取り扱うことができます。
したがって、RS232等で構築されたシステムを、ソフトウェアの変更なしにネットワーク化することが可能です。
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CIE-H10
RS232 機器
RS232 ケーブル PC
HUB
10/100BASE-T ケーブル
シリアル通信 プロトコル変換 ソケット通信(TCP/IP、UDP)
受信データ
送信データ 受信パケット
送信パケット IP パケットを作成
データ抽出
1.3 プロトコル変換の仕組み
ネットワーク通信(Ethernet 通信)では一般的に、ソケット通信が使われています。
ソケット通信は、伝送データを小さな単位に分割して個々に送受信を行うパケット交換方式で行われます。
分割されたデータはパケットと呼ばれ、送信先や送信元の情報・通信情報・誤り訂正情報などを含んだヘッダ情報と、実際の
転送データから構成されています。
このパケットを使った通信を行う上での約束事(通信手順や通信規約)をプロトコルと呼び、ICMP/IGMP/TCP/EGP/UDP/RSVP/OSPF
などの様々なプロトコルが存在します。
ソケット通信では TCP と UDP の各プロトコルを使用してデータ通信が行われます。
CIE-H10 はシリアル通信とソケット通信を相互に変換する動作を行います。
シリアル通信として受信したデータは、設定値を元にヘッダ情報を付加したパケットを作成し、ソケット通信として Ethernet
に送信します。
Ethernet からソケット通信として受信したパケットは、設定値を元にヘッダ情報を解析し、データ部分をシリアル通信として
送信します。
これにより、CIE-H10 のシリアル通信は Ethernet 上のソケット通信先と透過的に通信を行うことが可能になります。
また、変換を行う際には、TCP と UDP の各プロトコルは全て自動的に処理されます。
上図のような構成を組むことで、RS232 機器は普通にシリアル通信を行うだけで、ネットワーク上の他のソケット通信先とデ
ータ通信を行うことが可能になります。
その際、ソケット通信の複雑なプロトコルは全く意識する必要がありません。
Fig 1.3-1 プロトコル変換の仕組み
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EZL シリーズ
RS232
ケーブル
RS232 機器
RS232
ケーブル
Ethernet
CIE-H10
LAN PC
RS232 機器
例 1. RS232 機器をイーサネットに接続する
1.4 使用例 1.4.1 基本的な使い方
本製品を使用しますと、ネットワーク機能を持たない RS232 機器をイーサネットに接続することができます。
以下に基本的な接続例と RS232 機器をイーサネットへ接続する例を記載します
Fig 1.4-2 既存の RS232 ネットワークをイーサネットへ接続
Fig 1.4-1 基本的な接続例
RS232 機器 RS232 機器
RS232
ケーブル
ソフトウェアの変更無しで
そのまま移行
例 2. RS232 ネットワークをイーサネット移行する
CIE-H10
RS232 機器
RS232
ケーブル
Ethernet
RS232 機器
RS232
ケーブル
CIE-H10
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例 1. LAN 環境で使用する
CIE-H10
RS232
ケーブル
RS232 機器
RS232
ケーブル
Ethernet
CIE-H10
LAN PC
RS232 機器
例 2. ピア・ツー・ピアで使用する
CIE-H10
RS232 機器
RS232
ケーブル
Ethernet
RS232 機器
RS232
ケーブル
CIE-H10
1.4.2 ネットワークへの接続
本製品を使用しますと、さまざまな形態でネットワークに接続し使用することができます。
以下に代表的なネットワーク接続例を記載します。
Fig 1.4-3 ネットワーク接続例①
Fig 1.4-4 ネットワーク接続例②
Fig 1.4-5 ネットワーク接続例③
CIE-H10
例 3. FFTH、ADSL で使用する
PC
RS232
ケーブル
インターネット
FFTH MODEM
ADSL MODEM
ISP
FFTH MODEM
ADSL MODEM
ISP
RS232 機器
Ethernet Ethernet
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1.5 製品仕様
CIE-H10 機能仕様
機能 仕様
LAN インタフェース 10/100BASE-T 1 ポート
シリアルインタフェース 調歩同期式シリアル(RS232) 1 ポート
通信速度:300~230400bps
デジタル入力ポート 入力ポート 8 ポート
フォトカプラにより絶縁
デジタル出力ポート 出力ポート 8 ポート
リレーにより絶縁
対応プロトコル TCP/IP、UDP、ICMP、ARP、DHCP、PPPoE、Telnet、DNS、DDNS(Dynamic DNS)、
HTTP、Modbus/TCP、Telnet COM Port Control Option(RFC2217)
セキュリティ アクセス制限、パスワード認証
同時接続数 1
FFTH、ADSL 対応 NTT フレッツ光、NTT フレッツ ADSL
<FFTH、ADSL 対応について>
弊社では、PPPoE の確認に以下の回線と ISP(インターネットサービスプロバイダ)を用いて動作確認をしております。
その他の回線業者及び ISP をご利用の場合動作しないことがありますのでご注意ください。*
光回線 :フレッツ光 ベーシック (NTT 西日本)
光モデム :FX 型「N」光加入者線終端装置(NTT 西日本)
ISP :plala
* CIE-H10 は CHAP 認証に対応していないため、フレッツ光プレミアムではご利用いただけません。
また、固定 IP アドレスサービスを使用することはできません。
CIE-H10 ハードウェア仕様
機能 仕様
CPU ARM7 Core
メモリ FlashMemory 256Kbyte
SRAM 64Kbyte
電源電圧 DC5.0V±10%
消費電流 Typical 510mA
重量 約 530g
RoHS RoHS 対応
使用温度 0℃~55℃ 結露無し
保存温度 -40℃~85℃
サイズ 153mm×126mm×30mm
上記寸法は、ゴム足、LED 突起部分を除く
Table 1.5-1 機能仕様
Table 1.5-2 ハードウェア仕様
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CIE-H10 出荷時の通信設定値
機能 仕様
MAC アドレス 0030F9XXXXXX(固定値ですので変更できません)
IP アドレス 192.168.1.200
ローカルポート番号 50000
サブネットマスク 255.255.255.0
ゲートウェイ 0.0.0.0
DNS 0.0.0.0
サポートプロトコル Obtain an IP From The First Received Packet、Telnet、IP Address Search
タイムアウト 0
イベントバイト 0
データフレーム 0
シリアルインタフェース設定 ボーレート:38400bps、データ長:8 ビット、ストップビット:1 ビット、
パリティ:無し、フロー制御:無し
CIE-H10 出荷時の入出力ポート設定値
機能 仕様
プロトコル HTTP、Modbus/TCP
WEB(HTTP)Port 80
Size of Web(HTTP) 80
Master/Slave Slave
Unit ID 1
Input Port Base Address 0
Output Port Base Address 8
Connection Passive Connection
Peer Port 502
Table 1.5-3 出荷時の通信設定値
Table 1.5-4 出荷時の入出力ポート設定値
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1.6 外形仕様
No コネクタ名 用途
1 RS232 コネクタ シリアルインタフェースコネクタ
2 RJ-45 コネクタ Ethernet コネクタ
3 DC ジャック DC ジャック
4 プラグイン ターミナルブロック デジタル信号入力ポート用ターミナルブロック
5 プラグイン ターミナルブロック デジタル信号出力ポート用ターミナルブロック
Table 1.6-1 コネクタ一覧
Fig 1.6-1 外形図
4
1
2
3
5
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1.7 対応ソフトウェア
本製品には以下のソフトウェアが用意されています。
ソフトウェア名 機能
ezManager コンフィグレータソフト
ezTCP の動作設定を行うためのソフトウェア
ソフトウェア名 機能
TCP-VSP for ezTCP 仮想 COM ポートソフトウェア
TCP-VSP 体験版 仮想 COM ポートソフトウェア
* ezManager の画像はバージョン 3.3C のものです。今後、予告なく変更される場合があります。
Table 1.7-1 ezTCP ユーティリティ
Table 1.7-2 Windows アプリケーション
Fig 1.7-1 コンフィグレータソフト「ezManager」
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1.7.1 最新版のソフトウェア入手方法について
最新版のソフトウェアは弊社ホームページよりダウンロードできます。
弊社ホームページアドレス https://www.apnet.co.jp
1.7.2 ソフトウェアの再配布について
本製品に対応するソフトウェアを、ezTCP を組み込んだ機器とともにメンテナンス用として再配布することができます。
それ以外の使用目的においての再配布は禁止します。
Fig 1.7-2 仮想 COM ポートソフト「TCP-VSP for ezTCP」
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2. 機能 2.1 外形寸法図
Fig 2.1-1 外形寸法図
12.50
6.80
53.50
42.00
21.00
53.50
2.51
4.00
149.00
15.50
80.00
53.50
18.00
5.00
153.00
30.00
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11 ALPHAPROJECT https://www.apnet.co.jp
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2.2 シリアルインタフェース
CIE-H10 は、300bps~230,400bps までの通信可能なシリアルインタフェースが 1ポートあります。
2.2.1 シリアルインタフェースの仕様
シリアルインタフェースの仕様は以下のようになっています。
仕様項目 仕様
信号レベル RS232 レベル
同期方式 調歩同期
通信速度 300, 600, 1200, 2400, 4800, 9600, 14400, 19200, 38400, 57600, 115200, 230400
データ形式
データ長 5, 6, 7, 8
ストップビット 1, 1.5, 2
パリティ NONE, EVEN, ODD, MARK, SPACE
フロー制御 NONE, RTS/CTS
2.2.2 シリアルインタフェースの構成
シリアルインタフェースのピンアサインを以下に示します。
No. 信号名 入出力
1 DCD 入力
2 RXD 入力
3 TXD 出力
4 DTR 出力
5 GND -
6 DSR 入力
7 RTS 出力
8 CTS 入力
9 RI 入力
Table 2.2-2 ピンアサイン
Table 2.2-1 シリアルインタフェース仕様
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2.2.3 添付ケーブルの仕様
添付の D-Sub 9Pin ケーブル結線は下図のようになっています。
※1,9Pin は未結線です
信号名 D-Sub
9pin(メス)
D-Sub
9pin(メス)
信号
名
DCD 1 1 DCD
RxD 2 2 RxD
TxD 3 3 TxD
DTR 4 4 DTR
GND 5 5 GND
DSR 6 6 DSR
RTS 7 7 RTS
CTS 8 8 CTS
RI 9 9 RI
SHELL SHELL
Table 2.2-3 添付ケーブル結線
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2.2.4 COM ポートの設定
CIE-H10 の COM ポートの設定は、「ezManager」を使用して行います。
「ezManager」の「Serial Port」タブ内[COM1]タブの Serial Port 欄にて行います。
2.2.5 送信データのタイミング制御
送信データのタイミング制御を行う機能として TX Interval 機能があります。
TX Interval 機能は、シリアルインタフェースから送信されるデータ間隔のタイミングを調整する機能です。
CIE-H10 から、処理速度が遅いシリアル機器に対して間断なくデータ送信すると、オーバーランエラーが発生する時がありま
す。TX Interval を設定することで、次のデータ送出を遅らせることが可能になりますので、オーバーランエラー回避するこ
とができます。
「ezManager」の[Serial Port]-[COM1]にある[TX Interval]のスライダを移動させることでデータ間隔のタイミングを調整
することができます。設定可能範囲は 0~25 までです。
設定値と実時間の関係は次のようになります。
『 1 バイト分のデータの送出時間 × 設定値(0~25) 』
例.ボーレート:38400bps,データ長:8 ビット,ストップビット:1 ビット,パリティ:NONE,の通信条件で、
TX Interval を 2 に設定した時
(1÷38400)×(1スタート+8データ+0パリティ+1ストップ)×TX Interval(=2)= 0.52ms
前データのストップビット送出後、次データのスタートビット送出までに約 0.52ms のウェイトが入ります。
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2.3 イーサネットインタフェース
CIE-H10 のネットワーク部分はイーサネットになっており、LAN ケーブルを接続します。
仕様項目 仕様
通信規格 10BASE/100BASE-T
ポート数 1 ポート
10/100M 自動認識機能 対応
Auto MDI/MDI-X 対応
2.3.1 10/100M 自動認識機能
10/100M 自動認識機能は、接続するイーサネットの規格が 10BASE か 100BASE を自動的に認識し、接続を行います。
2.3.2 AUTO MDI/MDI-X 機能
AUTO MDI/MDI-X 機能は、通信相手のポートが MDI か MDI-X を自動判別し、接続する機能です。
通常、MDI と MDI-X との通信にはストレートケーブルを使用し、MDI 同士や MDI-X 同士にはクロスケーブルを使用します。
従って、通信機器を接続するたびに、ストレートケーブルまたはクロスケーブルかを考慮しなくてはなりません。
CIE-H10 には、AUTO MDI/MDI-X 機能がありますので、通信相手が MDI または MDI-X なのかを自働的に判別し、接続を行いま
すので通信相手のポートやケーブルの種類を意識することなく使用できます。
2.3.3 MAC アドレス
CIE-H10 には、MAC アドレスが割り当てられています。MAC アドレスは変更することはできません。
MAC アドレスは、筐体下のシールに記載されています。
CIE-H10 MAC アドレス : 00-30-F9-XX-XX-XX
Table 2.3-1 イーサネットインタフェース仕様
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2.4 動作モード
CIE-H10 には、下表の 3種類の動作モードがあり、これらは ISP スイッチにより決定されます。
ISP スイッチと動作モードの関係は下表のようになります。
ISP スイッチの場所については「2.8 ISP スイッチ」をご覧ください。
モード ISP スイッチの状態 シリアルインタフェース
通信条件
通常動作モード スイッチを押していない状態 ユーザ設定値
シリアル設定モード 電源投入後(通常動作モード中)
20ms~1000ms スイッチを押す
ボーレート:115200bps、
データ長:8 ビット、
ストップビット:1 ビット、
パリティ:無し
ISP モード 1000ms 以上押すか、押した状態で電源
を投入する
ボーレート:115200bps、
データ長:8 ビット、
ストップビット:1 ビット、
パリティ:無し
各動作モードでの、CIE-H10 の動作は下表のようになります。
モード データ通信 設定変更 ファームウェア
のダウンロード
通常動作モード 〇 ezManager を使用してネットワーク経由で設定変更 -
シリアル設定モード - ezManager を使用してシリアル経由で設定変更 -
ISP モード - ezManager を使用してネットワーク経由で設定変更 〇
Table 2.4-1 動作モード設定
Table 2.4-2 動作モード時の動作
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2.4.1 通常動作モード
通常動作モードは、データ通信と ezManager を使用してネットワーク経由での設定変更を行うモードです。
ISP スイッチを押していない時は、通常動作モードで動作します。
通常動作モードの詳しい説明は「2.5 通常動作モード」をご覧ください。
2.4.2 シリアル設定モード
シリアル設定モードは、ezManager を使いシリアル経由で CIE-H10 の設定変更を行うモードです。
電源投入後(通常動作モード)、ISP スイッチを 20ms~1000ms の間押すことで、シリアル設定モードで動作します。
シリアル設定モードで設定を変更するために、ezManagerのインストールされているPCと CIE-H10を RS232ケーブル(クロス)
で接続してください。
設定値を Write ボタンで更新した後、電源の再投入を行うことで、設定変更された値で動作を開始します。
この時、COM ポートの通信条件は、ボーレート:115200bps、データ長:8 ビット、ストップビット:1ビット、パリティ:無しに
自動的に設定されます。
2.4.3 ISP モード
ISP モードは、CIE-H10 本体のファームウェアまたは本体に内蔵された HTTP ファイルを更新するモードです。
ISP スイッチを 1000ms 以上押すか、押した状態で電源を投入することで、ISP モードで動作します。
ezManager を使うことで、本体ファームウェアと本体に内蔵された HTTP ファイルを更新することができます。
ファームウェアの更新についての詳しい説明は、「2.14.1 ファームウェアの更新方法」をご覧ください。
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2.5 通常動作モード
CIE-H10 には、下表の 5種類の通常動作モードが用意されています。
通常動作モードは、コンフィグレータソフト「ezManager」で設定できます。
通常動作モード略号 プロトコル セキュリティ 動作概要
T2S TCP/IP パスワード認証、
アクセス制限 TCP サーバ通信を行います
COD TCP/IP パスワード認証、
アクセス制限 TCP クライアント通信を行います
ATC TCP/IP パスワード認証、
アクセス制限
AT コマンドを使い TCP サーバ/クライアント
を切り替えて通信を行います
U2S UDP/IP パスワード認証、
アクセス制限 UDP 通信を行います
Serial Modbus/TCP - -
2009 年 6 月現在 Serial Modbus/TCP には対応し
ておりません
今後対応する予定です
各通常動作モードでサポートされているプロトコルの関係は下表のとおりです。
通所動作
モード TCP/IP UDP ICMP ARP Telnet DHCP PPPoE DNS DDNS
Telnet
COM Port
Control
T2S ○ × ○ ○ ○ ○ ○ × × ○
COD ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
ATC
(サーバ) ○ × ○ ○ ○ ○ ○ × × ○
ATC
(クライアント) ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
U2S × ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ×
Seial
Modbus/TCP - - - - - - - - - -
Table 2.5-1 通常動作モード
Table 2.5-2 サポートプロトコル
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T2S モード説明
T2S モードは、CIE-H10 が TCP サーバとして動作するモードです。
CIE-H10 は、TCP クライアントから設定したポート番号に接続要求が来ますと、自動的に接続応答を出し TCP 接続を行いま
す。接続確立後、クライアントと透過的なシリアル通信が行えます。
COD モード説明
COD モードは、CIE-H10 が TCP クライアントとして動作するモードです。
CIE-H10 は、設定した接続先 IP アドレスとポート番号へ、自動的に接続要求を出し TCP 接続を行います。
接続確立後、サーバと透過的なシリアル通信が行えます。
透過的なシリアル通信
CIE-H10 が COD モードの時、接続
確立までの接続処理を自動的に
行います 接続応答
接続要求
TCP クライアント
(COD モード)
TCP サーバ
CIE-H10
Fig 2.5-2 COD モード接続手順
接続要求
接続応答
透過的なシリアル通信
CIE-H10 が T2S モードの時、接続
確立までの接続処理を自動的に
行います
TCP クライアント TCP サーバ
(T2S モード)
CIE-H10
Fig 2.5-1 T2S モード接続手順
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ATC モード説明
ATC モードは、シリアルポートから AT コマンドを送り CIE-H10 の制御を行うモードです。
AT コマンドで、TCP サーバ/クライアント動作を切り替えて使用することができます。
Fig 2.5-3 ATC モード接続手順(TCP クライアントとの接続)
接続要求
接続応答
透過的なシリアル通信
TCP サーバ
(ATC モード)
シリアルポートに AT コマンド’ATA’
を受信するとクライアントからの接続要
求を待ちます。
クライアントとの接続が確立すると
シリアルポートからリザルトコード
‘CONNECT’を送信します
TCP クライアント
CIE-H10
Fig 2.5-4 ATC モード接続手順(TCP サーバとの接続)
透過的なシリアル通信
TCP クライアント
(ATC モード)
シリアルポートに AT コマンド’ATD’
を受信するとクライアントからの接続要
求を待ちます。
クライアントとの接続が確立するとシリ
アルポートからリザルトコード
‘CONNECT’を送信します
TCP サーバ
接続応答
接続要求
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U2S モード説明
U2S モードは、UDP 通信を行うモードです。
UDP には、サーバ/クライアントの区別がありません。また、1対 N通信を行うことができますので、複数の相手と通信
を行う時に使用します。
Fig 2.5-5 U2S モード接続手順
透過的なシリアル通信
UDP は通信相手との接続処理を必要とし
ません
UDP
(U2S モード)
UDP
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接続要求
接続後の通信
クライアント クライアント
クライアント サーバ
接続要求 接続要求
このような接続状態では通信ができない。
必ず一方がサーバで、もう一方がクライアントとなる。
2.5.1 TCP/IP と UDP/IP について
①TCP/IP について
TCP プロトコルはコネクション型プロトコルで、最初に 2点間の接続を確立してから通信を行います。
2 点間での通信ですので、必ずどちらかがサーバ、どちらかがクライアントになり 1対 1通信を行います。
サーバとクライアントの違いは次のようになります。
サーバ 接続時にクライアントからの接続要求を待つ
クライアント 接続時にサーバへ接続要求を出す
接続が確立したあとは双方向での通信が可能で、サーバ/クライアントの区別は特にありません。
②UDP/IP について
UDP プロトコルは、コネクションレス型プロトコルで、接続を確立する必要がありません。
したがって、サーバ/クライアントの概念がない他、1対 N通信を行うことが可能です。
コネクション確立の処理を行わなくてよいため、即座にデータを送信することができますが TCP よりも通信の信頼性は落
ちてしまいます。
Table 2.5-3 サーバとクライアントの違い
Fig 2.5-6 サーバとクライアントの関係
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2.5.2 T2S モード(TCP to Serial)動作詳細
T2S モードでは、CIE-H10 が TCP サーバとして動作します。
このモードが選択された CIE-H10 は、TCP クライアントからの接続要求を待ちます。
設定項目
ezManager の[Serial Port]タブから T2S モードでの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Local Port
TCP クライアントからの接続要求を受け付けるポート番号を設定します。
②EventByte
TCP クライアントと接続が確立する前に COM ポートが受信したデータの、有効/無効に関する設定です。
設定可能範囲は 0~2048 です。
EventByte=0 の時、無効となり、TCP クライアントとの接続前に受信したシリアルデータは破棄され、TCP パ
ケットに変換されません。
EventByte≠0 の時、有効となり、TCP クライアントからの接続前に受信したシリアルデータを内部のバッファ
に保存します。接続後に、そのデータは TCP パケットに変換されて送信されます。
(有効にする時、1~2048 設定できますが、設定した値に関係なく CIE-H10 の内部バッファに 2048byte 保存
しますので、値は任意に設定してください)
何らかの要因で TCP 接続が切断された際、次に接続が開始されるまでに受信したシリアルデータは破棄されることか
らデータ抜けが発生します。
本機能を使用することで、そのような状況を回避することが可能です。
Fig 2.5-7 T2S モード設定項目
①
② ③
④
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③Timeout
TCP クライアントからの接続を切断する設定です。設定可能範囲は 0~3600(単位:秒)です。
Timeout=0 の時、受け付けた TCP クライアントからの接続を維持し続け、切断動作を行いません。
Timeout≠0 の時、TCP クライアントからの接続完了後、データ通信が発生しない状態で Timeout に設定された時間
が経過すると、TCP クライアントに切断要求を出し、接続を切断します。
切断後は、再度 TCP クライアントからの接続要求待ちを行います。
データ通信が終了することでTCP接続を切断しますので、複数のクライアントと切り替えて接続を行うシステムでは、
本機能を使用することで、効率的に接続を切り替えることが可能です。
④DataFrame Interval
受信したシリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させる設定です。設定可能範囲は 0~360(単位
:10msec)です。
1 フレームのデータと認識されたシリアルデータは、その単位で TCP の 1 パケットに変換が行われます。
DataFrame≦3 の時、シリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させず、内部処理タイミングに合わせ
て、TCP パケットに変換します。
DataFrame≧4 の時、DataFrame に設定された時間シリアルデータ通信が発生しないと、それまでのデータを 1フレー
ムのデータとして認識し、TCP パケットに変換します。
フレームデータ転送を行う場合、受信開始から受信終了までの時間を計測し、タイムアウト判定を行うシステムが
あります。内部処理タイミングに合わせて TCP パケットに変換が行われる処理では、1フレームの途中で変換が行われ
てしまい、タイムアウトが発生する可能性があります。
このような場合には、本設定を使うことでタイムアウトを回避することが可能です。
なお、TCP の 1パケットに格納できる最大データ数(1460byte)の制限により、1フレームの最大データ数も 1460byte
となります。(PPPoE 時には 1420byte)
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PC
クライアント 接続要求
HUB
RS232 機器
T2S モード
サーバ
RS232
ケーブル Ethernet
ATC/COD モード
クライアント
CIE-H10
RS232 機器
T2S モード
サーバ
RS232
ケーブル
HUB
CIE-H10
RS232 機器
RS232
ケーブル Ethernet
接続要求
PC
クライアント
DHCP サーバ
接続要求
HUB DHCP サーバから
IP アドレス取得
CIE-H10
RS232 機器
T2S モード
サーバ
RS232
ケーブル Ethernet
接続例
Fig 2.5-8 PC と接続して使用する例(T2S モード)
Fig 2.5-9 ezTCP 同士を接続して使用する例(T2S モード⇔ATC/COD モード)
Fig 2.5-10 DHCP サーバを使用する例(T2S モード)
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2.5.3 COD モード(Connect to Demand)動作詳細
COD モードでは、CIE-H10 が TCP クライアントとして動作します。
このモードが選択された CIE-H10 は、TCP サーバへ接続要求を行います。
設定項目
ezManager の[Serial Port]タブから COD モードでの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Peer Address と Peer Port
接続先の IP アドレス情報とポート番号を設定します。
TCP クライアントとして、この接続先(TCP サーバ)に接続要求を行います。
COD モードで動作させる場合、この二つは必ず設定する必要があります。
NETWORK 設定で DNS が設定されている場合、Peer Address にはドメイン名での指定も可能です。
②EventByte
TCP サーバへの接続要求を行う設定です。設定可能範囲は 0~2048(単位:byte)です。
EventByte=0 の時、電源投入時と TCP サーバとの接続切断後に、シリアルデータの転送に関係なく TCP サーバへの接
続要求を行います。
EventByte≠0 の時、電源投入時と TCP サーバとの接続切断後に、シリアルデータを設定されたバイト数受信すると、
TCP サーバへの接続要求を行います。
TCP 接続前に受信したシリアルデータは内部のバッファに保存され、接続後にそのデータは TCP パケットに変換されて
送信されます。
次に説明する Timeout 機能と組み合わせて使用することで、シリアルデータに同期して TCP 接続と切断を行うことが
可能になります。
フレーム通信を行っている場合など、最小フレーム長を設定することで効率的に接続/切断を行えます。
③
④
Fig 2.5-11 COD モード設定項目
①
②
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③Timeout
TCP サーバとの接続を切断する設定です。設定可能範囲は 0~3600(単位:秒)です。
Timeout=0 の時、TCP サーバに要求した接続を維持し続け、切断動作を行いません。
Timeout≠0 の時、TCP サーバとの接続完了後、データ通信が発生しない状態で本機能に設定された時間が経過する
と、TCP サーバに切断要求を出し、接続を切断します。
切断後の再接続要求は、EventByte の設定により決定します。
先に説明した EvenByte 機能と組み合わせて使用することで、シリアルデータに同期して TCP 接続と切断を行うことが
可能になります。
フレーム通信を行う場合など、フレームインターバル値を下回る時間を設定することで、効率的に接続/切断
を行えます。
④DataFrame
受信したシリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させる設定です。設定可能範囲は 0~360(単位
:10msec)です。
1 フレームのデータと認識されたシリアルデータは、その単位で TCP の 1 パケットに変換が行われます。
DataFrame≦3 の時、シリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させず、内部処理タイミングに合わせ
て、TCP パケットに変換します。
DataFrame≧4 の時、DataFrame に設定された時間シリアルデータ通信が発生しないと、それまでのデータを 1フレー
ムのデータとして認識し、TCP パケットに変換します。
フレームデータ転送を行う場合、受信開始から受信終了までの時間を計測し、タイムアウト判定を行うシステムが
あります。内部処理タイミングに合わせて TCP パケットに変換が行われる処理では、1フレームの途中で変換が行われ
てしまい、タイムアウトが発生する可能性があります。
このような場合には、本設定を使うことでタイムアウトを回避することが可能です。
なお、TCP の 1パケットに格納できる最大データ数(1460byte)の制限により、1フレームの最大データ数も 1460byte
となります。(PPPoE 時には 1420byte)
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PC
サーバ 接続要求
HUB
RS232 機器
COD モード
クライアント
RS232
ケーブル Ethernet
ATC/T2S モード
サーバ
CIE-H10
RS232 機器
COD モード
クライアント
RS232
ケーブル
HUB
CIE-H10
RS232 機器
RS232
ケーブル Ethernet
接続要求
PC
サーバ
DHCP サーバ
接続要求
HUB DHCP サーバから
IP アドレス取得
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RS232 機器
T2S モード
クライアント
RS232
ケーブル Ethernet
接続例
Fig 2.5-12 PC と接続して使用する例(COD モード)
Fig 2.5-13 ezTCP 同士を接続して使用する例(COD モード⇔ATC/T2S モード)
Fig 2.5-14 DHCP サーバを使用する例(COD モード)
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2.5.4 ATC モード(AT Command)動作詳細
ATC モードでは、COM ポートから AT コマンドを送り TCP サーバ/クライアント動作や接続先の IP アドレスを設定することが
できます。
このモードが選択された CIE-H10 は、動的に TCP サーバ/クライアント動作を切り替えたり、接続先などを変更することが
できます。
設定項目
ezManager の[Serial Port]タブから ATC モードでの動作を決定する設定には次の項目があります。
なお、これら設定値は AT コマンドで変更することも可能です。
①Peer Address と Peer Port
接続先の IP アドレス情報とポート番号を設定します。
TCP クライアント動作時は、この接続先(TCP サーバ)に接続要求を行います。
COD モードで動作させる場合、この二つは必ず設定する必要があります。
NETWORK 設定で DNS が設定されている場合、Peer Address にはドメイン名での指定も可能です。
②Local Port
TCP サーバ動作時に、TCP クライアントからの接続要求を受け付けるポート番号を設定します。
Fig 2.5-15 ATC モード設定項目
②
③
④
①
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③Timeout
この項目は、TCP サーバ動作時と TCP クライアント動作時で動作が異なります。設定可能範囲は 0~3600(単位:秒)で
す。
TCP サーバ動作時は、TCP クライアントからの接続を切断する設定です。
Timeout=0 の時、受け付けた TCP クライアントからの接続を維持し続け、切断動作を行いません。
Timeout≠0 の時、TCP クライアントからの接続完了後、データ通信が発生しない状態で TimeOut に設定された時間が
経過すると、TCP クライアントに切断要求を出し、接続を切断します。
TCP クライアント動作時は、サーバとの接続を切断する設定です。
Timeout=0 の時、TCP サーバに要求した接続を維持し続け、切断動作を行いません。
Timeout≠0 の時、TCP サーバとの接続完了後、データ通信が発生しない状態で本機能に設定された時間が経過する
と、TCP サーバに切断要求を出し、接続を切断します。
本機能を使用することでデータ通信の終了で自動切断動作が可能です。これにより、コマンドモード(後述)に移行
して、切断 AT コマンドを発行する必要がなくなります。
④DataFrame
受信したシリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させる設定です。設定可能範囲は 0~360(単位
:10msec)です。
1 フレームのデータと認識されたシリアルデータは、その単位で TCP の 1 パケットに変換が行われます。
DataFrame≦3 の時、シリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させず、内部処理タイミングに合わせ
て、都度 TCP パケットに変換されます。
DataFrame≧4 の時、本機能に設定された時間シリアルデータ通信が発生しないと、それまでのデータを 1フレー
ムのデータとして認識し、TCP パケットに変換されます。
フレームデータ転送を行っている場合、受信開始から受信終了までの時間を計測し、タイムアウト判定を行っている
システムがあります。内部処理タイミングに合わせて都度 TCP パケットに変換が行われる処理では、1フレームの途中
で変換が行われてしまい、タイムアウトが発生する可能性があります。
このような場合には、本設定を使うことで回避することが可能です。
なお、TCP の 1パケットに格納できる最大データ数(1460byte)の制限により、1フレームの最大データ数も 1460byte
となります。(PPPoE 時には 1420byte)
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AT コマンド説明
ATC モードでは、TCP 接続が確立していない状態をコマンドモード、接続中をオンラインモードと呼び、コマンドモードで
は AT コマンドによる動作制御が可能です。
以下に動作制御を行う標準コマンド一覧を記載します。
*1 各コマンドには、デリミタとして CR(0x0d)を付加してください
コマンド 機能 動作内容
A 接続待ち COM ポートを TCP サーバで起動し、接続待ち状態にする
D 接続を確立する COM ポートを TCP クライアントで起動し、サーバに接続する
E エコー ローカルエコーの on/off を制御します(E1:echo on/E0:echo off)
H 切断 接続中の相手に TCP 接続の切断要求を出力する
I ezTCP の情報取得
CIE-H10 の情報を取得する
I3: ファームウェアバージョンを取得する
I7: MAC アドレスを取得する
O オンライン コマンドモードからオンラインモードへ復帰
Q リザルトコードの表示 リザルトコード表示/非表示(Q0:表示/Q1:非表示)
S S レジスタ *2
S2: エスケープキャラクタを確認 “+”(43=0x2b)
S3: キャリッジリターンに使用する文字を確認 “CR”(13=0x0d)
S4: ラインフィードに使用する文字を確認 “LF”(10=0x0a)
S5: バックスペースに使用する文字を確認 “BS”(8=0x08)
S12: エスケープコマンドのガードタイムの設定 50 (単位:10msec)
V リザルトコードの表示形式 リザルトコードの表示形式を指定する(V1:文字表示/V0:番号表示)
Z リセット TCP 接続をリセットする(ATH と同じ)
*1 各コマンドにはデリミタとして CR(0x0d)のみを付加します。
LF(0x0a)のみの付加や、CR(0x0d)+LF(0x0a)の付加では、AT コマンドとして正しく認識されませんのでご注意ください。
*2 S レジスタは、S12 のエスケープコマンドのガードタイムのみ設定を変更することができます。
例.ATS12=40(ガードタイムを 400msec に変更)
S2、S3、S4 及び S5 は、各 Sレジスタの値を確認することのみ可能です。
コマンド例.ATS2?
Table 2.5-4 標準 AT コマンドセット
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オンラインモード中では、シリアルポートはデータ転送に使用されますので、AT コマンドを受け付けません。
TCP 接続を切断する等、AT コマンドを使用したい時には、下図に従って、エスケープコード”+”(0x2b)を 3回送ること
で、コマンドモードに切り替えることが可能です。
データ ガードタイム + 0~500ms + 0~500ms + ガードタイム AT コマンド
+(0x2B) +(0x2B) +(0x2B)
1Byte 目の‘+’ 前のデータを送信した後からガードタイム(デフォルト:500ms)以上経過後
2,3Byte 目の‘+’ 前の+から 0~500ms 以内
‘+++’の後の AT コマンド ガードタイム(デフォルト:500ms)以上経過した後に入力
コマンドモードに移行完了すると、リザルトコードとして OK が返ります。(番号表示の時は 0)
最後のエスケープコード入力から、ガードタイム時間内は AT コマンドを送信しないでください。AT コマンドの送信を確実に
行うには、リザルトコードを確認してください。
コマンドモードからオンラインモードへの復帰は、ATO コマンドで行います。
Fig 2.5-16 コマンドモードへのエスケープコード送信タイミング
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以下に動作を決定する拡張コマンド一覧を記載します。
該当項目の AT コマンドを発行しない時には、ezManager で設定された、内部 EEPROM の値が使用されます。
値の変更には、コマンドに続けて”=”と数値を付加します。
値の確認には、コマンドに続けて”?”を付加します。
変更した値は、+PWP コマンドで内部 EEPROM に保存することが可能です。
*1 各コマンドには、デリミタとして CR(0x0d)を付加してください
コマンド *1 機能 動作内容
+PLIP ローカル IP アドレス 自 IP アドレス値の設定 *2
+PSM サブネットマスク サブネットマスク値の設定 *2
+PGIP ゲートウェイ IP アドレス ゲートウェイ IP アドレスの設定 *2
+PLP ローカルポート番号 サーバ動作時の、待ち受けポート番号の設定
+PTO タイムアウト 接続タイムアウト値の設定 *3
+PRIP リモート IP アドレス クライアント動作時の、接続先アドレスの設定(IP アドレス) *5
+PNIP ドメインネームサーバ DNS サーバの IP アドレスの設定 *2
+PRHN リモートドメイン名 クライアント動作時の、接続先アドレスの設定(ドメイン名) *4
+PRP リモートポート番号 クライアント動作時の、接続先ポート番号の設定
+PWP パラメータ書き込み 内部 EEPROM にパラメータを書き込み、再起動します
+PARP
+PDC セットアップコマンド
各プロトコルの有効(1)/無効(0)の設定
PARP(ARP)、PDC(DHCP) 例.AT+PARP=0 ⇒ ARP 無効
*1 各コマンドにはデリミタとして CR(0x0d)のみを付加します。
LF(0x0a)のみの付加や、CR(0x0d)+LF(0x0a)の付加では、AT コマンドとして正しく認識されませんのでご注意くださ
い。
*2 DHCP や PPPoE 使用時には、ローカル IP アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ IP アドレスを"?"で確認することがで
きます。
コマンド例. AT+PLIP?
DHCP や PPPoE 使用時にも"="で値を変更することが可能ですので、ご注意ください。
*3 ezManager で設定する TimeOut と同じ設定説明になります。
*4 ドメイン名はダブルクォーテーション(")で挟んで、入力します。 例.AT+PRHN="www.apnet.co.jp"
*5 +PRHN コマンド使用時には、DNS に問い合わせた結果の IP アドレスが自動的にセットされます。
コマンド例. ローカル IP アドレスとして、192.168.1.200 を設定 ⇒ AT+PLIP=192.168.1.200
以下に AT コマンドに対するリザルトコード一覧を記載します。
* 各通知項目には、デリミタとして CR(0x0d)+LF(0x0a)が付加されます
リザルトコード
ATV1(初期設定)
リザルトコード
ATV0 通知内容
OK 0 コマンドを正常に受け付けた
CONNECT 1 TCP 接続が確立された
NO CARRIER 3 TCP 接続が切断された
ERROR 4 コマンドやパラメータに誤りがあった
設定値 設定値 設定値について問い合わせを行ったときの設定値(例. 192.168.1.200)
Table 2.5-5 拡張コマンドセット
Table 2.5-6 応答メッセージ
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AT コマンドの処理フロー例
次に、実際の AT コマンドの処理フローの例を挙げますので、実際の接続の参考にしてください。
TCP サーバで使用する場合
AT+PLIP=x.x.x.x
OK
AT+PLP=xx
OK
自 IP アドレスを設定する
ATA
OK
+++
OK
待ち受けポート番号を設定する
サーバ起動
クライアントと接続が確立 CONNECT
TX/RX DATA データ通信
ATH
OK
NO CARRIER
コマンドモードに切り替える
接続を切断する
PC 等 CIE-H10
Fig 2.5-17 AT コマンドモードの使い方(TCP サーバ)
AT+PWP
OK
設定値を保存する
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TCP クライアントで使用する場合
AT+PRIP=x.x.x.x
OK
AT+PRP=xx
OK
接続するサーバの IP アドレス
を設定する
ATD
OK
+++
OK
接続するサーバの待ち受けポート
を設定する
サーバに接続する
サーバと接続が確立 CONNECT
TX/RX DATA データ通信
ATH
OK
NO CARRIER
コマンドモードに切り替える
接続を切断する
PC 等 CIE-H10
Fig 2.5-18 AT コマンドモードの使い方(TCP クライアント)
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ドメイン名で TCP クライアント接続する場合
AT+PNIP=x.x.x.x
OK
AT+PRHN=”www.anyhost.com”
OK
ドメインネームサーバのIPアドレ
スを設定する
ATD
OK
+++
OK
接続するドメイン名を設定する
DNS IP アドレスに設定された
DNS サーバに DNS Query を発行
サーバに接続する
サーバと接続が確立 CONNECT
TX/RX DATA データ通信
ATH
OK
NO CARRIER
コマンドモードに切り替える
接続を切断する
PC 等 CIE-H10
Fig 2.5-19 AT コマンドモードの使い方(ドメイン名で TCP クライアント接続)
AT+PLP=xx
OK
接続するサーバの待ち受けポート
を設定する
ezTCP/Ethernet Series CIE-H10
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2.5.5 U2S モード(UDP to Serial)動作詳細 U2S モードでは、CIE-H10 は UDP で動作します。このモードはサーバ/クライアントの区別がありません。
このモードが選択された CIE-H10 は、受信したシリアルデータを UDP パケットに変換し、Peer Address と Peer Port に設定
された機器に送信します。
また、Local Port に受信した UDP パケットのデータは、COM ポートから送信されます。
UDP は相手機器の状態に関わらず送信を行いエラー訂正も行わない為、送受信の確実性は保証されません。
設定項目
ezManager の[Serial Port]タブから U2S モードでの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Peer Address と Peer Port
UDP パケット送信先の IP アドレス情報とポート番号を設定します。
COM ポートで受信したデータは、この IP アドレスとポートに対して UDP パケットとして送信されます。
NETWORK 設定で DNS が設定されている場合、Peer Address にはドメイン名での指定も可能です。
Peer Address に設定するアドレス値により、ブロードキャストやマルチキャストの送受信が行えます。
また、CIE-H10 独自の U2Sエコー通信も、このアドレス値の設定で行います。
Fig 2.5-20 U2S モード設定項目
①
②
③
④
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(1)ブロードキャスト通信
ブロードキャスト通信とは、送信する UDP パケットを、同一セグメント内の全機器に伝える 1対 N通信です。
この通信を行う際は、Peer Address を 255.255.255.255(或いは、そのセグメントの最終 IP アドレス)に設定します。
Peer Port には任意の値を設定します。この Peer Port 値を UDP パケット受信ポート番号にしている機器全てが
CIE-H10 からの UDP パケットを受信することができます。
(2)マルチキャスト通信
マルチキャスト通信とは、送信する UDP パケットを、同一セグメント内の特定の機器に伝える 1対 N通信です。
この通信を行う際は、Peer Address にマルチキャストアドレスと呼ばれるクラス Dの IP アドレスを設定します。
クラス Dの IP アドレス範囲は 224.0.0.0~239.255.255.255 ですが、224 から始まる IP アドレスは特定の用途に予約
されています* ので、実際には 225.0.0.0~239.255.255.255 に設定してください。*
* 詳細については IANA(Internet Assigned Numbers Authority)で管理されていますので、そちらを参照ください。
Fig 2.5-22 マルチキャストで使用する例(U2S モード)
Fig 2.6-21 ブロードキャスト通信で使用する例(U2S モード)
RS232 機器
CIE-H10
CIE-H10-②
IP Address
192.168.1.201
Port
51000
CIE-H10-③
IP Address
192.168.1.202
Port
51000
CIE-H10-④
IP Address
192.168.1.203
Port
51000
CIE-H10-⑤
IP Address
192.168.1.204
Port
51000
CIE-H10-①
IP Address:192.168.1.200
Port:50000
Peer Address:255.255.255.255
Peer Port:51000
Ethernet
Ethernet Ethernet
Ethernet Ethernet
HUB
RS232 機器
RS232 機器
CIE-H10
RS232 機器
CIE-H10
RS232 機器
CIE-H10
CIE-H10
RS232 機器
CIE-H10
Ethernet
Ethernet Ethernet
Ethernet Ethernet
HUB
RS232 機器
RS232 機器
CIE-H10
RS232 機器
CIE-H10
RS232 機器
CIE-H10
マルチキャストグループ
IP Address:225.0.0.1
CIE-H10
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CIE-H10 (擬似)サーバ
IP Address:192.168.1.200
Port:50000
ユニキャスト
ユニキャスト
PC(B) (擬似)クライアント
IP Address:192.168.1.202
Port:52000
PC(A) (擬似)クライアント
IP Address:192.168.1.201
Port:51000
CIE-H10
RS232 機器
(3)U2S エコー通信
本機能は CIE-H10 独自の機能で、複数ポイントとユニキャスト通信を行うモードです。
この際、接続先を ezManager で設定変更する必要はありません。
この機能を使用する際は、Local Port に任意の値を設定し、Peer Address を 0.0.0.0、Peer Port に 0を設定します。
この設定がされたシリアルインタフェースは、Local Port に届いた UDP パケットから、IP アドレスと送信元ポートを
抽出して、Peer Address と Peer Port に設定します。
UDP パケットのデータはシリアルポートから送信され、シリアルポートで受信したデータは抽出した先に UDP パケッ
トとして送信されます。
別 IP アドレスから UDP パケットを受信すると、新たな送信先として、その IP アドレスと送信元ポートが設定されま
す。
本機能を使うことで、1対 1で通信を行う TCP プロトコルのサーバ/クライアント接続のような通信を行うことが可
能です。
Fig 2.5-23 U2S エコー通信で使用する例(U2S モード)
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②Local Port
UDP パケットを受信するポートを設定します。
このポート宛に届いた UDP パケットが、シリアルインタフェースから送信されます。
③Block Size
受信したシリアルポートデータの UDP パケット変換に関する設定です。設定可能範囲は 0~2048(単位:byte)です。
設定を 1473 以上にした場合は 1473byte 単位で UDP パケットに変換して出力します。
EvenByte=0 の時、シリアルポートで受信したデータは、内部処理タイミングに合わせて都度 UDP パケットに変換され出
力されます。
EvenByte≠0 の時、シリアルポートで受信したデータは、設定されたバイト数単位で UDP パケットに変換して出力されま
す。
なお、UDP の 1 パケットに格納できる最大データ数(1472byte)の制限により、最大データ数も 1472byte となります。
(PPPoE 時には 1432byte)
UDP プロトコルにはパケットの再送機能がないことから、受信したデータを細かく UDP パケットに分割してしまうと、
データ抜けが発生する可能性が高くなります。
本機能を使用することで、設定したバイト数のデータを 1パケットとして送信しますので、このような状況を回避する
ことが可能です。
④DataFrame
受信したシリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させる設定です。設定可能範囲は 0~360(単位
:10msec)です。
1 フレームのデータと認識されたシリアルデータは、その単位で UDP の 1 パケットに変換が行われます。
DataFrame≦3 の時、シリアルデータを 1フレームのデータの集まりとして認識させず、内部処理タイミングに合わせ
て、UDP パケットに変換されます。
DataFrame≧4 の時、DataFrame に設定された時間シリアルデータ通信が発生しないと、それまでのデータを 1フレー
ムのデータとして認識し、UDP パケットに変換されます。
フレームデータ転送を行う場合、受信開始から受信終了までの時間を計測し、タイムアウト判定を行うシステムがあ
ります。内部処理タイミングに合わせて UDP パケットに変換が行われる処理では、1フレームの途中で変換が行われて
しまい、タイムアウトが発生する可能性があります。
このような場合には、本設定を使うことで回避することが可能です。
なお、UDP の 1パケットに格納できる最大データ数(1472byte)の制限により、1フレームの最大データ数も 1472byte
となります。(PPPoE 時には 1432byte)
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CIE-H10
1K 1/4W
1K 1/4W
+3.3V
10K
内部回路
フォトカプラ入力ポート1_1
入力ポート1_2
2.6 入出力ポート 2.6.1 入力ポート
8 個の入力ポートはフォトカプラにより絶縁されています。
入力ポートは 5mm 間隔のターミナルブロックになっています。
入力ポートの回路図を以下に示します。
入力ポートの仕様を以下に示します。
項目 記号 Min Typ Max 単位
入力電圧 VIH 1.8 - 24 V
VIL 0 - 1.2 V
Fig 2.6-1 入力ポート回路図
Table 2.6-1 入力ポート入力電圧
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設定項目 ezManager から入力ポートの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Valid Time
入力信号を認識するまでの時間に関する設定です。設定可能範囲は 10~65535(単位:msec)です
Valid Time=0 の時、入力ポートに信号が入力されると、即時に正常な信号として認識します。
Valid Time≠0 の時、入力ポートに信号が入力されると設定された時間以上、同じレベルの信号が入力されないと
信号が変化したことを認識しません。
ezManager で設定できる単位は 1msec 単位ですが、CIE-H10 は 10msec 単位で切り捨てて処理を行います。
Fig 2.6-2 入力ポート設定項目
①
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2.6.2 出力ポート
8 個の出力ポートはリレーにより絶縁されています。
出力ポートは 5mm 間隔のターミナルブロックになっています。
出力ポートの回路図を以下に示します。
出力ポートは以下のような動作をします。
値 リレー接点
0 OFF(非導通)
1 ON(導通)
出力ポートの電圧条件による許容電流は以下の通りです。
電圧状態 許容電流
DC28V 5A
AC125V 10A
AC250V 5A
+5.0V
内部回路
リレー出力ポート1_1
出力ポート1_2
CIE-H10
Fig 2.6-3 出力ポート回路図
Table 2.6-2 出力ポート動作
Table 2.6-3 出力ポート許容電流
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設定項目
ezManager から出力ポートの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Delay
出力信号を出力ポートへ反映するまでの時間に関する設定です。設定可能範囲は 10~65535(単位:msec)です
Delay=0 の時、出力信号を受信したら即時に出力ポートに反映します。
Delay≠0 の時、出力信号を受信してから本機能で設定した時間後に、出力ポートへ出力信号の値が設定されます。
ezManager で設定できる単位は 1msec ですが、CIE-H10 は 10msec 単位で切り捨てて処理を行います。
②Initial State
CIE-H10 が起動した時の、出力ポート値を設定することができます。
Initial State=ON の時、起動時の出力ポート値は ON(導通)になります。
Initial State=OFF の時、起動時の出力ポート値は OFF(非導通)になります。
Fig 2.6-4 出力ポート設定項目
②
①
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Ethernet CIE-H10
Modbus/TCP スレーブ CIE-H10
Modbus/TCP マスタ
INPUT×8
OUTPUT×8
INPUT×8
OUTPUT×8
例 1. CIE-H10 同士で使用する(Modbus/TCP モード)
CIE-H10
Modbus/TCP スレーブ
Modbus/TCPネットワーク
Modbus/TCP 対応機器
マスタ
Modbus/TCP 対応機器
スレーブ
INPUT×8
OUTPUT×8
例 2. Modbus/TCP ネットワークに接続して使用する(Modbus/TCP モード)
2.7 入出力ポート制御モード
CIE-H10 の入出力ポートは、下表の 3種類のモードで制御することができます。
それぞれのモードは組み合わせて使用することが可能です。
入出力ポート制御モードは、コンフィグレータソフト「ezManager」で設定できます。
制御モード 説明
Modbus/TCP Modbus/TCP プロトコルで制御・監視を行う
Macro マクロを使い入力ポート値によって、出力ポート値の制御を行う
Web(HTTP) Web ブラウザ(HTTP)で制御・監視を行う
* マクロモードの時は、Modbus/TCP、Web(HTTP)を使用して入出力ポートの監視を行うことのみ可能です。
使用例
Modbus/TCP モードを使用すると、CIE-H10 を Modbus/TCP ネットワークに接続することができます。
以下に使用例を示します。
Table 2.7-1 入出力ポート制御モード
Fig 2.7-1 使用例①
Fig 2.7-2 Modbus/TCP ネットワークに接続して使用する
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Ethernet
Modbus/TCPネットワーク Modbus/TCP スレーブ
INPUT×8 マスタのみクエリ
を送ることができる
スレーブがレスポンスを送信
OUTPUT×8
Modbus/TCP 対応機器
マスタ
Ethernet
Modbus/TCPネットワーク
PC から
Web ブラウザを使用
して制御・監視を行う
Modbus/TCP
マスタ/スレーブ
INPUT×8
例 3. Web ブラウザを使用して制御・監視する(Web(HTTP)モード)
OUTPUT×8
Modbus/TCP モード
Modbus/TCP モードでは、Modbus/TCP プロトコルを使用して入出力ポートの制御・監視を行います。
Modbus/TCP とは、Modbus プロトコルを TCP/IP に対応させたプロトコルです。
Modbus/TCP の通信方法はマスタ/スレーブ方式で、マスタだけがクエリ(通信の開始)を送ることができます。
スレーブは、クエリの内容に沿って動作し、マスタへレスポンスを返します。
CIE-H10 は、クエリ・レスポンスの中で Modbus ファンクションコードの Read Multiple(ファンクションコード:3)と Write
Multiple(ファンクションコード:16)をサポートしています。*1 (2009 年 6 月現在)
CIE-H10 は、Modbus/TCP のマスタとスレーブの各動作に対応しています。
マスタで動作する時は、スレーブとの接続は 1対 1接続のみの対応となります。*2、
スレーブで動作する時は、マルチスレーブ形式に対応していますので、複数のスレーブ機器の一台として既存の Modbus/TCP
ネットワークに接続することができます。
*1 Modbus/TCP ファンクションコードの詳細については、以下の URL を参照ください。
・OPEN Modbus/TCP SPECIFICATION
https://www.rtaautomation.com/ (上部メニュー項目にある「TECHNOLOGIES」から Modbus/TCP を選択)
・Modbus/TCP ファンクションコード
https://modbus.org/
*2 マルチスレーブのマスタ動作には対応していません。
Fig 2.7-4 Modbus/TCP
Fig 2.7-3 使用例③
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CIE-H10 Modbus/TCP マスタ
OUTPUT×8 スレーブの入力ポート値が反映
Ethernet
Modbus/TCP ネットワーク
Read Multiple クエリ送信
レスポンスを返送 入力ポートの値を知らせる
レスポンスを送信
スレーブの入力ポートの値
を知るためのクエリを送信
Modbus/TCP 対応機器
スレーブ
Write Multiple クエリ送信
レスポンスを返送 クエリの内容に沿って出力ポートの値
を変更したことを知らせる
CIE-H10 の入力ポートの値を
スレーブへ知らせるクエリを送信
INPUT×8 スレーブへ入力ポートの状態を通知
CIE-H10 Modbus/TCP マスタ
Ethernet
Modbus/TCP ネットワーク
Modbus/TCP 対応機器
スレーブ
(1)Modbus/TCP マスタの動作概要
マスタ動作時は、Modbus ファンクションコード Read Multiple と Write Multiple に対応しています。
それぞれの動きを以下に示します。
Read Multiple
スレーブの入力ポート値を問い合わせる Read Multiple クエリを設定された周期で送信し、受信したレスポンス内容
に沿って出力ポート値を設定します。
これにより、スレーブの入力ポート値が、マスタの出力ポート値に反映されます。
Write Multiple
入力ポート値が変更されるごとに Write Multiple クエリを送信し、スレーブからのレスポンスを受け取ります。
これにより、マスタの入力ポート値がスレーブの出力ポートに反映されます。
Fig 2.7-5 Modbus/TCP マスタ Read Multiple クエリ
Fig 2.7-6 Modbus/TCP マスタ Write Multiple クエリ
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Read Multiple クエリ送信
レスポンスを返送 CIE-H10 は入力ポートの値を
マスタへ通知する
スレーブの入力ポートの値
を知るためのクエリを送信
Ethernet
Modbus/TCP ネットワーク
INPUT×8 マスタへ入力ポート値を通知
CIE-H10 Modbus/TCP スレーブ
Modbus/TCP 対応機器
マスタ
Write Multiple クエリ送信
レスポンスを返送
入力ポートの値を知らせる
スレーブへ知らせるクエリを送信
CIE-H10 はクエリの内容に沿って出力
ポートの値を変更したことを知らせる
Ethernet
Modbus/TCP ネットワーク
OUTPUT×8 マスタの入力ポート値を反映
CIE-H10 Modbus/TCP スレーブ
Modbus/TCP 対応機器
マスタ
(2)Modbus/TCP スレーブの動作概要
スレーブ動作時は、Modbus ファンクションコード Read Multiple と Write Multiple に対応しています。
それぞれの動きを以下に示します。
Read Multiple
マスタからの入力ポート値を問い合わせる Read Multiple クエリを受信すると、入力ポート値を通知するレスポンス
を送信します。
これにより、スレーブの入力ポート値が、マスタの出力ポート値に反映されます。
Write Multiple
マスタから入力ポート値を知らせる Write Multiple クエリを受信すると、クエリの内容に沿って出力ポート値を変更
し、クエリを受け取ったことを通知するレスポンスを送信します。
これにより、マスタの入力ポート値がスレーブの出力ポートに反映されます。
Macro モード
マクロモードでは、演算子と変数(入力ポート値)を使用した演算式で出力ポートの制御を行います。
Web(HTTP)モード
Web(HTTP)モードでは、CIE-H10 は Web ブラウザを使用して入出力ポートを制御・監視を行います。
Fig 2.7-7 Modbus/TCP スレーブ Read Multiple クエリ
Fig 2.7-8 Modbus/TCP スレーブ Read Multiple クエリ
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2.7.1 Modbus/TCP モード動作詳細
Modbus/TCP モードでは、CIE-H10 の入出力ポートは Modbus/TCP プロトコルに基づいて制御・監視を行うことができます。
なお、マクロモードを使用した場合、Modbus/TCP によるポート状態の監視は可能ですが出力ポートの制御はできません。
設定項目
ezManager の[I/O Port]タブから Modbus/TCP モードでの動作を決定する設定には次の項目があります。
①Modbus/TCP