熊本大学大学院先端科学
横瀬久芳(海洋火山学)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
安“心”は理解する事から始まる~熊本地震から半年、メカニズムを徹底解剖~
熊本大地震を理解する
1. 今日のテーマは、“安心”
不安: 突然襲ってくる脅威を予測
安心: 恐怖や不安からの解放
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
自然災害にたいして“正当にこわがる” とは?
ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。
「小爆発二件」 寺田寅彦随筆集 より
無知⇒ “不必要な不安が強要される” (駅員型X:危険です!を連呼)⇒ “安易な思い込みからくる危険な状態”
(旅行者型X:危険性はない!⇒何も知らないから)
無知から脱却して、予測の正確度を上げ安心を得よう!
事実関係を整理し危険性を合理的に判断する=本来の科学者のスタンス
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
活断層型地震を理解すための無料ツール群
ひまわり画像を見て天気を予想するように、インターネットを使って、活断層を洗い出す時代。つまり、地震活動を理解する事は、地震の専門家だけが議論できる閉じた世界ではもはやなく、基本的知識があれば独自に地震の一次データを入手でき、判断できる時代に突入した。
国立研究開発法人防災科学技術研究所
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
自己紹介(クレデンシャル:資格証明書)
“地震”の専門家ではないが、九州の地質学的特徴、地殻深部構造、火山活動等にはめっぽう強い!医者でいうなら、赤ひげ先生のセカンドオピニオン。<九州の地質や津波に関連する研究論文>• 横瀬久芳・山本茂(1996),金峰火山に産する地殻起源のゼノリス:
その1北西九州の地殻深部を構成する岩石
• 横瀬久芳 他(1998),別府-島原地溝帯西部域の過去5百万年間に
おける間欠的火山活動
• 横瀬久芳(2010) ハワイ諸島の巨大海底地すべり群と津波:流山の
高さ分布におけるフラクタル次元
• 横瀬久芳 他(2010) トカラ列島における中期更新世の酸性火山活動
災害解釈において、非“専門家”は、被災者にとってメリットが大きい(理由は後程)。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
宣伝をかねて研究・教育に関する著作物
これからは、海が面白い
“はじめて学ぶ海洋学”横瀬久芳 著
朝倉書店 2015年9月25日発刊A5/151ページ(1800円+税)
ISBN978-4-254-16070-3好評発売中(3刷目)
トカラ列島における黄金探しの旅
“ジパングの海資源大国ニッポンへの道”
横瀬久芳 著講談社+α新書 2014年5月20日発刊
(880円+税)第2914回 日本図書館協会選定図書
第1474回 全国学校図書館協議会選定図書
2016年12月に講談社から熊本地震関連の書籍を出版予定2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
日本列島そのものが地震と火山で出来ている
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
そもそも地震(活断層)がなければ平野や盆地も存在せず、熊本市も存在しない。
熊本県に地下水や農業資源が豊富なのは、火山活動と活断層のおかげ。先祖の人々は、これら自然の恩恵に対して、畏敬の念をもって接し、移住することなく自然災害と共存共栄して、命を繋いできた。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
地震発生箇所とプレートテクトニクス
日本列島は4枚ものプレートが会合するため、地震と火山が多い
プレート境界の地震
プレート内の地震(20㎞以浅くらい)
2.熊本県は、地震が無いと言う錯覚
不安: 根拠もなしに危険が無いと妄信する怖さ
安心: 過信による自己催眠効果で危険から逃避
熊本大地震を理解する
熊本地震発生以前から保険会社は、地震の多い県を力説していた!
東京海上日動の地震保険に関するパンフレットより
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
熊本地震発生以前の活断層型地震(1985年1月~2016年4月13日)
被災地震(負傷者あるいは家屋の倒壊があった地震:プレート境界型地震は除いた)
1997年3月26日(M6.6 震度5強)1997年5月13日(M6.4 震度6弱)
2005年3月20日福岡西方沖(M7.0 震度6弱)
2005年6月3日:天草芦北地方(M4.8 震度5弱:大矢野島)
2000年6月8日嘉島町(M5.0 震度5弱:富合、嘉島)
2007年6月6日(M4.9 震度4)
熊本県には沢山の小さな地震が既に発生していた。
赤い丸が地殻内で発生した震源
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
1997年には予測されていた熊本地震の規模
熊本県
平成7年度
布田川断層帯(立田山断層を含む)に関する調査成果報告書
平成9年度
日奈久断層に関する調査成果報告書
H7 熊本県:布田川断層帯(立田山断層を含む):報告書の要点立田山断層:過去の複数の地震活動時期を十分に特定できなかったので、立田山断層の活動間隔を直接明らかにすることはできなかった。したがって、最近の立田山断層の活動が 5,700 年 であるが、次の活動がさし迫っているかどうかの判断は現状では困難である。活動間隔については今後の調査を待つべきである。なお、明治 22 年の熊本地震のような、地形変位をともなわない(小さい)規模の地震については、本調査では考慮していない。布田川断層:田中地区のトレンチ資料から、2.2万年から6.3千年の間で、北側断層に5mの右横ズレ変位が生じた。この期間に2~3回の活動があった。したがって、断層の1回当たりの 水平変位量は1,7m~2.5mとなる。また、この断層帯の長さ23.5kmから経験式を用いて求められる変位量は2.3m程度である。この結果から、1回当たりの変位量が2m前後とみなした。また、この断層変位量から推定される地震規模は、松田式によるとマグニチュードM=7.2となる。したがって、この断層帯での地震規模はM=7程度である。
H9 熊本県:日奈久断層:報告書の要点断層の長さから推定されるマグニチュード M は、松田式(log L=0.6 M-2.9、
L は長さ(km)、M はマグニチュード)によると、L=60 km から、7.79 となり、仮に日奈久断層全体が同時に活動したと仮定した場合のマグニチュード M はおよそ7.8 程度である。しかしながら、複数のセグメントに分割して活動する可能性が強いことから、各セグメントの長さに応じて地震の規模が異なるものと推察され、セグメントの特定ができないとより確実なマグニチュードMは判らない。
構成員: 委員長 松田 時彦 熊本大学理学部教授、委 員 渡辺 一徳 熊本大学教育学部教授、委 員 千田 昇 大分大学教育学部教授、委 員 中田 正夫 九州大学理学部教授、委 員 長谷 義隆 熊本大学教養部助教授、委 員 小池 克明 熊本大学工学部助教授、委 員 下川 浩一 地質調査所主任研究官、事務局 熊本県総務部防災消防課
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
熊本市も地震ハザードマップを発行:平成23年3月
熊本地震発生後、“まさか熊本で地震が!”と言う表現を使う研究者やメディアが多かった理由は?=無知だったということ? それとも意図的?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
日奈久断層に関する地震調査研究推進本部の見解
≪日奈久断層帯(日奈久区間)≫
地震の規模 : M7.5程度 (M7.7-8.0程度(日奈久断層帯全体が同時に活動する場合)/M7.8-8.2程度(日奈久断層帯全体と布田川断層帯布田川区間とが同時に活動する場合))
地震発生確率: 30年以内に、ほぼ0%-6%地震後経過率: 0.2-2.3平均活動間隔: 3600年-11000年程度最新活動時期: 約8400年前以後、約2000年前以前
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
地震がない県だと錯覚した理由~研究者(マスコミ)の洗脳を見抜く方法~
問1. 2016年10月2日に地震が起きる!
問2. 今後1ヶ月以内に大きな地震が起きる!
問3. 規模の大きな東南海地震が今後30%の確立で近々発生する可能性がある!
正しい: 場所の指定がないから
正しい: 大きさの指定がないから
正しい: 可能性を指摘しているだけだから
彼らは、論理的に正しい事を言っているのだから罪の意識は無い!(単なる予算獲得の方便である事も十分理解しているからたちが悪い)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
不安を増大させる、現代の“専門家”達
緊縮財政の中で“専門家”が災害研究予算を獲得する鉄則
• 不安を煽るほど税金が使える。
• 危険性を誇張するほど税金が使える。
• パイが限られているから、相対的に被害金額の大きさをアピールできたところ(首都など)が税金を使える。
• マスコミ(国営放送やキー局)をコントロールして世論を味方につけると大型予算(税金)が獲得できる。
結果として、予算の少ないノーマーク地域が災害に遭う、災害発生後は無駄に不安が助長され、被災地は風評被害に長期間悩まされ続ける。
結果として、“専門家”達は被災地域に安心材料を提供できない構図が出来上がっている。
もっとも実際の災害では、悲惨さを誇張した方が行政として激甚災害指定(国家予算)を受けやすいが。。。。。。。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
地震は常習犯、決して空白域で起きているわけではない。東南海地震を強調するあまり1998年~2012年までに22136名の尊い命が奪
われ、そこに熊本大地震の犠牲者150人強(含関連死)が加わる。
赤丸がプレート内地震オレンジ~青がプレート境界型地震に相当
約20年間で、有感地震は6万回を越える。
小さな赤い点群が、平野と山地の境界部で直線的に並ぶ。死者を出す被害地震は、そういう所に多い。
“地震の空白域”と言う言葉に騙されるな!むしろ、非空白域で被害地震は頻発する。
熊本地震を含め近年の地震災害はもしかすると人災なのでは?
2007
2005
2001
2003
2012
2008
20082011
2007
2011
2011
2000
20122011, 2009
1995
2012
死者の出た震央と発生年
地震活動の状況は?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
3.熊本平野の活断層
不安: “活断層”と聞いただけで恐ろしくなる
安心: 活断層による被災箇所を指定できる
熊本大地震を理解する
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
動くのは岩盤であって、断層ではない
ガラスが割れた(結果)のは、石が飛んできたから(原因)ですよね。ガラスが割れたから(原因)、石が飛んできた(結果)訳ではないでしょ?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
活断層に伴う地形の分類
いろいろなスケールでみかけが違ってくる。2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
岩盤の上下動(正断層・逆断層)
断層は動きません!岩盤の破壊現象の結果です!
下盤(↑)
上盤(↑)
上盤(↓)
下盤(↓)
正断層
逆断層
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
横ズレ断層
布田川断層の右横ずれ断層水平に約2mずれる
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
益城町で2度目の震度7
活断層が短ければ(セグメント化)、大きな地震にはならない。
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地震活動の推移(M5以上)
1. 14日21:26, M6.5, 11km(前震)2. 15日0:03, M6.4, 7km(1. 余震)
3. 16日1:25, M7.3, 12km(本震)
4. 16日1:30, M5.3, 11km(1.余震)
9. 16日7:11, M5.4, 6km(湯布院)
5. 16日1:44, M5.4, 15km(3.余震)6. 16日1:45, M5.9, 11km(立田)
7. 16日3:03, M5.9, 7km(阿蘇西)
8. 16日3:55, M5.8, 11km(阿蘇東1)
10. 16日9:48, M5.4, 16km(6.余震)11. 16日16:02, 5.4, 12km(3.余震)
13. 19日17:52, 5.5, 10km(日奈久1)12. 18日20:41, 5.8, 9km(阿蘇東2)
14. 19日20:47, 5.0, 11km(日奈久2)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
4.災害地域と地盤の関連性
不安: 最悪の被災状況になる可能性だけがどこでもある
安心: 被災状況は地質で異なり具体的に対策が講じれる
熊本大地震を理解する
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
益城町の被災地域は砂礫層(帯水層)
地盤の液状化に伴う抜け上がりを益城町の被災地域でたくさん確認。軟弱地盤では、地割れが多くできるので、活断層と誤認する事がある。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
熊本地震で地盤が液状化した地点
2016年8月5日 熊本日日新聞より
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
被災規模=震源から近さ*地質(帯水層)*傾斜
被災状況に差が出る理由は、震源からの距離と地盤地質(帯水層)および地形(傾斜地など)が関与する。
熊本平野の地質には、帯水層となる砂礫層が広範囲に分布する。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
5.熊本平野や八代平野の地下で何が起きていたのか
不安: 想像を絶する地獄が地下で待ち構えている
安心: 目に見えない地下の破壊現象を具現化する
熊本大地震を理解する
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
初動発震機構解(岩盤の動き方)
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5/184/175/95/6 5/144/14 4/17
4/158/94/154/155/46/10
4/166/34/165/15
4/144/1981
5/45/6
DATA: JMA(2016−Apr_2016−Aug)
130˚40' 131˚00'
32˚20'
32˚40'
33˚00'
布田川断層:横ズレ断層(右横ズレ断層)日奈久断層:横ズレ断層立田山断層:正断層(南落ち?)八代市坂本:逆断層御船-宇城-有明海:正断層(伏在断層?)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
ブロック化している熊本平野の地下構造
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
熊本平野の基盤岩は逆三角錘型で、熊本地震はこの基盤の反時計回りの回転運動として説明可能
8月31日の地震(M5.2)も想定内
地震の発生箇所は、断層面上に集中する。
8月31日 M5.2最大震度 5弱
9月1日 M4.8(6:33)最大震度 4
9月1日 M3.7(11:45)最大震度 3
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
6.大地震の発生~終息に至る規則性
不安: 余震は巨大地震の前兆だから注意が必要
安心: 余震の傾向は終息に向かっている
熊本大地震を理解する
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
異例続きの熊本大地震は本当か?
行政やマスコミが好んで使う陳腐な表現
“かつてない”、“はじめて”、“史上最大”、“想定外” etc.
“異例”とか“想定外”を連呼するメリット
→ “人知を超えた現象には対処できない “(職務放棄)
→ これらマジックワードが怠慢の免罪符になる(自己弁護)
→ 住民に不安を押し付け、保身に走れる(無作為の罪?)
逆に、ある現象が既知の事実であって、“はじめて”でなければ、過去の経験や知識を活用し、予測へとステップアップできるはず。その結果、今後の方針を的確に判断できる(でも、当然やるべき仕事が膨大に増える)。
被災地にとって、“異例の事態”と“想定内”とではどちらが住民として安心できますか?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
余震回数だけがなぜ多いかは後で説明
宇津(1984)より 熊本日日新聞8月5日朝刊4面
1964年新潟地震(M7.5、最大震度5深さ34㎞)
余震回数の減少傾向は改良大森公式に従う
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
地震活動の3つの基本パターン
宇津(1984)
余震回数の時間経過(改良大森公式)F=K/(t+c)p
式の意味: 余震の発生回数=定数/(時間+固有値)1よりやや大きい
大雑把に余震回数は、 2日後に初日の半分、10日後に1/10、100日後には1/100と表せる。
本震―余震型
前震―本震―余震型
群発地震型
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
0.0001
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1000
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1000000
10000000
0 30 60 90 120 150 180
TNT火
薬換算(t)
気象庁データ欠損部
前震発生以降の経過日数(4/14~10/8)
M7.0
M6.0
M5.0
M4.0
M3.0
M2.0
M1.0
最近起こる余震の破壊力は、本震の3千万分の1でしかない!!
まばらになりつつある
熊本地方、天草・芦北地方、有明地方の地震(阿蘇地方・大分県のデータは含まれない)
本震
前震
6/18(南区)
8/31(南区)
6/12(坂本)
7/9(南区)
9/1(南区)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
マグニチュードの時系列変化で見た地震活動の推移
正確な収束予測は、風評被害の対策ともなり、復興を加速できる。
推定の根拠
・震源の空間分布と活断層の位置
・破壊現象の時間変化の規則性
地震発生から2週間前後で最速の収束宣言( 2016年5月1日付 熊本日日新聞クマとも)
収束宣言は、多くの人に“安心”を提供する。
7. 2000を超す余震回数と地震のメカニズムは無縁
不安: 余震回数の多さは大地震再発の兆しではないか?
安心: 余震回数の多さは歴史的に観測点が充実した証
熊本大地震を理解する
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
減少傾向は一般的。回数だけがなぜ多いかが論点
宇津(1984)より 熊本日日新聞8月5日朝刊4面
1964年新潟地震(M7.5、最大震度5深さ34㎞)
余震回数の多さは本当に異例?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
地震の発生と余震回数
岡田(2016):防災科学研究所WEBサイトより(http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/1stpage.htm)
震度:地表の揺れ具合(観測点に依存)・地震の規模(マグニチュード)
・震源距離(減衰作用)・地盤の性質(増幅作用)などの要素で決まる。
マグニチュード:地震の規模岩盤の破壊規模で決まる。
(推定法に依存)
岩盤の壊れ方:・P波(縦波)・S波(横波)・表面波(レイリー波、ラブ波)・多様な周期(0.数~数十秒)・加速度(ガル)
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
最大震度は、震央と直近の観測点で決まる
岡田(2016):防災科学研究所WEBサイトより(http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/1stpage.htm)
一方、マグニチュードはどの地点で観測しても同じ値となる。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
有感地震の発生回数と観測点密度は直結する
岡田(2016):防災科学研究所WEBサイトより(http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/1stpage.htm)
観測点の無い地域の地震は、カウントされない。
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2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
震度基準で見ると最近急増しているように見える地震が、マグニチュード基準なら発生回数はほぼ一定と見なせる。
岡田(2016):防災科学研究所WEBサイトより(http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/1stpage.htm)
観測点は、1930年代の160ヶ所から次第に増加して現在は数千カ所に達する。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
活断層型地震では、多くの事が明らかであるが、静穏期間や前兆現象は未だに分からない。
天災は忘れた頃くる (寺田寅彦の言葉)
2016年4月16日 2XXX年Y月ZZ日
静穏期間は50年?
200年?2000年?
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。
1889年(明治22年)7月28日 M6.3
2016年(平成28年)4月16日 M7.3
地震に関して皆様に覚えておいてほしい事は
Why ?
Where ?
How ?
What ?
When ?
Who ?
日本列島がプレート境界に存在するため、
内陸部の活断層周辺地域で地震が発生する。
地震の規模は、活断層の大きさが決め手で、
住宅は、活断層からの距離と地盤地質に合った耐震強度が必要。
地震がいつ発生するかわからないので、
行政に頼ることなく、日頃から自分自身で準備を進めるのが賢明。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
まとめ
熊本大地震は、とても分かり易い地震活動であり、過去の知恵と近代観測技術を融合する事である程度理解できます。しかし、現代科学をもってしても、自然災害を完全に防ぐことはできないから、自然災害に対して少しでも知識を増やし、“正当にこわがる”事が重要です。その上で、自然災害に対して常に畏敬の念をもって、準備を怠らなければ、今後も自然の恩恵を享受しつつ、“安心”して暮らしていける事でしょう。
2016. 10. 1. 熊本公徳会こころの時代を考えるセミナー
熊本地震のメカニズム解説• 本PDFの内容は、下記書籍にて詳しく解説されています。
• 横瀬久芳 著 『面積あたりGDP世界1位のニッポン 地震と火山が作る日本列島の実力』講談社+α新書 新書 240ページ ISBN:978-4-06-272969-7 860円【税別】