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SEMINAR ROOM

セミナ ヌ 宀

有甚生物のゲノム研究の珟状-2

枯草菌二成分制埡系のDNAマ むクロア レむ解析 を䞭心 に

藀田泰倪郎犏山倧孊生呜工孊郚

枯草菌 は, グラム陜性菌の代衚 ずしお, 倧腞菌 ず䞊ぶ

基瀎研究の歎史 をもっおいる. 特に, 现胞分化のモデル

ずみなされる胞子圢成の分子レベルでの研究 は, 他の生

物における现胞分化 の研究 を凌駕する ずい える. さら

に, 枯草菌 はα-ア ミラヌれやプロテアヌれな どの菌䜓

倖酵玠, ペプチ ド系抗生物質などの生産菌 ずしお, 重芁

な応甚埮生物の䞀぀に数えられおいる.

日本 にお ける枯草菌 のゲ ノム研究 は, 1991幎 ゲ ノ

ム党塩基配列決定のためのモデル生物 ずしお取 り䞊 げ

られたこずに端 を発す る. 圓時, 日欧協力プロゞェク

トが組織された. このプロゞェク トの順調な進展 によ

り, 1997幎 に枯草菌ゲノムの党塩基配列が Nature 誌 に

公衚 され(13), 日欧 でそのデヌタベヌス も構築 された

(http://bacillus.genome.ad.jp, http://genolist.pasteur.

fr/SubtiList/). この幎以来, 枯草菌研究 もポス トゲノム

シヌケンス時代 に入 り, 枯草菌ゲノムの機胜解析を目指

す新たな日欧協力プロゞェク トが組織されるなど, ゲノ

ム配列情報を基にした機胜解析が粟力的に掚進 され, 5

幎あたりが経過しおいる. このように枯草菌のゲノム研

究は, 囜際的な貢献床から鑑みおも, 我が囜の原栞生物

のゲノム研究を先導 しおきたずいえる.

ポス トゲノムシヌケンス時代の幕開けずずもに, ゲノ

ム情報を基 にしお次のような解析が行なわれおいる.

(1)ゲノムの党塩基配列決定 によ り存圚が明 らか にな

った, 倚 くの機胜が掚定で きない新芏遺䌝子の機胜解

析. 枯草菌ゲノムの党塩基配列が明 らかになった結果,

4,100の 蛋癜質遺䌝子が同定 され, その半数以䞊が機胜

を特定で きない新芏遺䌝子であった. こうした遺䌝子の

機胜解析を目指 し, 䜓系的に遺䌝子砎壊株のバンクを䜜

成 し, その衚珟型のスクリヌニングを行なった.

(2)ゲノム配列情報 を基にしお, 皮々の培逊条件で増殖

させた现胞のプロテオヌムを解析 し, いかなる蛋癜質が

合成 されおいるかを網矅的に明らかにする. 枯草菌のプ

ロテオヌム解析は, ゲノムの塩基配列決定 ずずもに着手

544 化孊 ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002

され, 我が囜や欧州で蛋癜質2次 元電気泳動のスポット

の同定な どが粟力的に行なわれおきおいる.

(3)皮々の培逊条件で増殖 させた现胞でのゲノムの党遺

䌝子の発珟 を捉 えるずい うトランスク リプ トヌム解析

が, DNAマ むクロアレむ (あるいはマクロアレむ) 技術

の進展により可胜 になっおいる. 我が囜で も, 2幎 前に

枯草菌のマむクロアレむ解析が可胜 ずな り, 粟力的に ト

ランスクリプ トヌム解析が進め られおいる.

(4)分析機噚の発展 により, 现胞内の倚数の代謝産物 を

組織的に定量化するこずが可胜 ずなっおきた. このメタ

ボロヌム解析は, ゲノム配列情報に基づいた解析ではな

いが, 现胞の遺䌝子発珟制埡 を網矅的に捉え, そのネッ

トワヌクを構築するためには必須の解析である. 最近,

枯草菌を察象に, メタボロヌム解析が本栌的に始たっお

いる.

本皿では, 枯草菌の新芏遺䌝子の䜓系的な機胜解析,

プロテオヌム解析, トランスク リプ トヌム解析, さらに

メタボロヌム解析ぞず筆を進める. このうち筆者 らが埓

事 しおいる, 䜓系的な トランスクリプ トヌム解析 を䞭心

に述べる.

枯草菌の機胜未知遺䌝子の䜓系的機胜解析

枯草菌ゲノムの党塩基配列が決定する1幎 前の1996

幎, 奈良先端科孊技術倧孊院倧孊の小笠原教授 ずフラン

スINRA (Institut National de la Recherche Agrono-

mique) の Ehrlich 博士が䞻催 しお, 日欧の枯草菌研究

宀 による協力 プロゞェクト 「枯草菌ゲノムの機胜解析」

が組織された. このプロゞェク トは, 枯草菌ゲノムの配

列決定の結果同定された4,100の 蛋癜質遺䌝子のうち,

半数近 くにのがる機胜未知遺䌝子を䞻たるタヌゲッ トず

しお, その機胜を組織的に解明せん ずする ものであっ

た(38). 具䜓的には, 日欧で同䞀のプラス ミドベクタヌ

(pMUTIN) を甚いた挿入遺䌝子砎壊株のパンクを䜜成

し, その衚珟型 をスクリヌニングするものである. 1999

幎 たでの3幎 間の協力研究により, 日欧で各々1,000あ

たりの挿入砎壊株 を䜜補 し, その総数は2,072æ ª に達 し

た. 欧州では枯草菌ゲノムプロゞェク トの再線のため,

さらなる砎壊株 の䜜補 は行 なわれなか ったが, 日本で

は継続 され, 枯草菌機胜未知遺䌝子ほ ずん どをカバ ヌ

する, 2,776遺 䌝子に぀いおの挿入砎壊株バンクが完成

した.

この網矅的挿入砎壊株䜜補の過皋で, 砎壊 に䌎い臎死

に至 る遺䌝子が特定されおきた. これ らが必須遺䌝子で

あるこずを確認するために, その遺䌝子の発珟 をIPTG

(isopropyl-β-D-thiogalactoside) 䟝存性 にした倉異株

に぀いお, その増殖がIPTG䟝 存性になるか どうかを怜

定 した. その結果, 枯草菌の富栄逊培地を甚いた37℃で

の増殖に必須な132の 遺䌝子を同定す るこずができた.

この知芋 ず既知遺䌝子の情報 を統合するず, 270の 遺䌝

子がこの増殖条件での必須遺䌝子 ずみなされた(8). この

成果 は, 䞀぀の生物の必須遺䌝子セ ットを実隓的に初め

お明らかにした ものずしお, 非垞に倧 きな意矩をもっお

いる. さらにこれ らの必須遺䌝子の うち, 28遺 䌝子が機

胜未知であり, シグナル䌝達に重芁な圹割 を果たしおい

るGTP結 合蛋癜質ファミリヌの9遺 䌝子のうち6遺 䌝

子がこれ らの機胜未知必須遺䌝子 に数えられ, たた1察

の二成分制埡系の遺䌝子も含 たれた. これらの必須遺䌝

子の機胜解析 は, 今埌の重芁な研究課題 ずな るずずも

に, グラム陜性病原菌に察する化孊療法剀 を開発する䞊

でのタヌゲ ット遺䌝子 ずしお も泚 目されおいる.

機胜未知遺䌝子の挿入砎壊株 のバ ンクが完成 したの

で, これ ら砎壊株 をプロゞェク トに参画する各研究宀に

配垃 し, 各々独 自に開発 したプロ トコヌルを甚いお, 組

織的な倉異株の衚珟型怜玢 も粟力的に掚進 された. 日本

でスク リヌニングされた玄1,000の 倉異株のうち, 40%

匷に䜕 らかの性質の倉化が認 められた(5,7,8). これらのス

クリヌニングのうち, 炭玠源の資化胜や胞子圢成 ず発芜

胜の欠損に぀いおは特異的な機胜 に迫るこずが容易であ

り, 実際そのような研究成果が挙 げられ぀぀ある. この

「枯草菌ゲノムの機胜解析」プロゞェク トの成果は, 日本

では前述のデヌタベヌス (http://bacillus.genome.ad.

jp) で発衚され, 欧州では新たなデヌタベヌス (http://

locus.jouy.inra.fr/) が䜜成された.

枯草菌のプロテオヌム解析

ある生物の党ゲノム配列が決定するず, その现胞の蛋

癜質分画を2Dゲ ルに展開 し, スポット䞭の埮量蛋癜質

に぀いおN末 端 のア ミノ酞配列を若干決定す るこずに

より, 察応する遺䌝子を同定するこずが可胜 ずなる. た

た, これら埮量蛋癜質を配列特異的プロテアヌれにより

切断 し, 断片の倧 きさを質量分析機 (MS) で枬定しおゲ

ノム配列 ず照合する, マスフィンガヌプリント法による

察応遺䌝子の同定 もできる. 枯草菌では, 小笠原教授 ず

宮厎医科倧孊の䞭山教授, ドむツ Ernst Morits Arndt

倧孊の Hecker 教授が䞭心 ずな り, 蛋癜質2次 元電気泳

動の暙準 プロ トコヌル を甚 いお2Dゲ ル䞊の玄500ス

ポッ トの蛋癜質が遺䌝子 ず察応づけられ, Ernst Morits

Arndt 倧孊 で その デヌ タベ ヌ ス も䜜成 され お い る

化孊 ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002 545

(http://microbio2.biologie.uni-greifswald.de:8880/).

さらに日本でも, カタボラむ ト抑制䞋にある蛋癜質, 胞

子圢成期の各ステヌゞに特異的に合成される蛋癜質, 分

泌蛋癜質, 现胞壁を構成する蛋癜質など, ある特定の现

胞機胜に関連する遺䌝子矀を怜玢するために2次 元電気

泳動 を利甚する詊みが, い く぀かの研究宀で積極的に進

められおいる. これ ら日本のプロテオヌム解析 の成果

は, 総説 ずしおたずめられおいるのでそちらを参照され

たい(5,9).

最近の分析機噚のさらなる発展によ り, 现胞や现胞噚

官その ものに含たれる蛋癜質を組織的に同定するこずも

可胜 ずなっおきた. その方法 ずは, 1次 元 のSDS電 気

泳動で分離 した埌, 各バン ドを切 り出し, 抜出 ・分離 し

た蛋癜質混合物をプロテアヌれで䜎分子化, 液䜓 クラマ

トグラフィヌ (LC) で分離埌, タンデムMSに かけるず

いうものである. 小笠原研究宀 ず摂南倧孊の枡郚研究宀

では, この方法を甚いお枯草菌胞子を構成する蛋癜質玄

200çš® 類の同定に成功 しおいる (未発衚). たた, 蛋癜質

耇合䜓を分離し, 䞊蚘のLC/MS/MSに かけるこずによ

り, その耇合䜓の構成蛋癜質 を同定する詊みも進んでい

る. さらに, 蛋癜質間の盞互䜜甚を明らかにするため,

東京蟲業倧孊の吉川研究宀で, 蛋癜質間の盞互䜜甚の有

無を感知する酵母2ハ むブリッド系の枯草菌ゲノムラむ

ブラリヌが䜜成され, 興味ある盞互䜜甚が特定 されおき

おいる (未発衚).

枯草菌の トランスク リプ トヌム解析

1. 枯草菌のマむクロアレむ技術の開発

「枯草菌ゲノムの機胜解析」プロゞェク トの䞀環 ずし

お, 日本では玄500kbに わたる領域の遺䌝子の網矅的な

ノヌザン解析 も実斜 され(5,6), http://bacillus.genome.

ad.jp にデヌタベヌス化 されおいる. この研究成果 ず枯

草菌 ゲノムの党塩基配列を基 にしお, 筆者 らは枯草菌

のDNAマ むクロアレむ解析技術の開発に取 り組 んだ.

2000幎 初頭, 枯草菌DNAチ ップを䜜成 し, その幎の倏

か ら信頌できるDNAマ むクロアレむ解析が行なえるよ

うになった. 筆者 らが開発 した方法 は, mRNAが ポリ

(A) 末端をもたないためにmRNAを 粟補するこずが困

難な原栞生物のマむクロアレむ解析で, 非特異的なハむ

ブリダむれヌションのシグナルによるバ ックグラりン ド

を抑える方法 ずしお有効であ り, 次のような方策を取 っ

おいる(1012).

(1)螢光色玠Cy3お よびCy5で ラベルしたcDNA調 補

に2段 階螢光ラベル法を甚いた. たず, 暙準RNAず 実隓

RNAを, ア ミノアリル-dUTPを 甚いお逆転写によりア

ミノア リル化 する. 次に, 各々のア ミノア リル化 した

cDNAを, それぞれN-ヒ ドロキシスクシンむミド-Cy3

ずヒドロキシスクシンむミド-Cy5で カップ リングさせ

螢光 ラベルする. この方法 により, 埓来のCy3-dUTP

ずCy5-dUTPを 甚いた1段 階でのcDNAの 螢光 ラベ

ル法で芋 られた, 基質の違いに起因する埮劙な逆転写䌞

長反応の違いによる実隓誀差を陀倖できた.

(2)逆転写反応のプラむマヌ ずしお, 枯草菌チップ䜜成

時に甚いた党4,100遺 䌝子を増幅するためのプラむマヌ

の うち, mRNAに 盞補的なプラむマヌの混合物 を甚い

た. さらに, 耐熱性の逆転写酵玠を甚いた反応を60℃で

行ない, たたDNAチ ップずのハむブリダむれヌション

を70℃で 行なった. このようにしお, 非特異的なハむブ

リダむれヌシ ョンやパ ラロヌグ間のクロスハむブリダむ

れヌションをかなり抑 えるこずができた.

2. 枯草菌転写制埡ネ ッ トワヌク解明を目指すDNAマ

むクロア レむ解析

筆者 らは, 2000幎 床 より枯草菌の転写制埡ネ ットワ

ヌクの解明 を目指すプロゞェク トに取 り組んでいる. 枯

草菌遺䌝子発珟制埡 ネットワヌクの根幹 は, å…š18個 の

RNAポ リメラヌれのシグマ因子, 35個 の二成分制埡系

の応答制埡因子, および200個 あ たりのHTH (helix-

turn-helix) 蛋癜質により圢成されおいるず考 えられる.

シグマ因子は, 现胞の増殖や胞子圢成, あるいは環境適

応における遺䌝子の転写制埡を支配し, 二成分制埡系の

応答制埡因子やHTH蛋 癜質矀は, 各々の傘䞋にある遺

䌝子の転写制埡 を通 じお, 栄逊玠などの皮々の環境倉化

や特殊環境に察応する. これ らの半数以䞊 は, 既知の制

埡蛋癜質 ずの盞同性から制埡蛋癜質であるず掚定された

ものであり, 個々の制埡蛋癜質が具䜓的にどの遺䌝子矀

の制埡 に関わっおいるかなどの機胜に぀いおは䞍明であ

る. 枯草菌の転写制埡ネ ットワヌクは, これら機胜既知

および未知の党制埡蛋癜質が支配するレギュロン発珟の

総和であるず考えられ, このネットワヌクを明らかにす

るには, これら個々のレギュロン構成遺䌝子をオペロン

単䜍 に敎理 し, 制埡の様盞を把握するこずが必須 ずなっ

お くる. そのための手段が, DNAマ むクロアレむ解析に

よる皮々の培逊条件で発珟をずもにする遺䌝子のクラス

タリングであ り, 制埡蛋癜質遺䌝子の倉異株 を甚いた暙

的遺䌝子候補の同定である.

この目的のために筆者 らが進めたDNAマ むクロアレ

む解析 は, カタボラむ ト抑制の解析, 皮々の炭玠源およ

び窒玠源での増殖時の遺䌝子発珟解析, 転写制埡蛋癜質

546 化孊 ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002

遺䌝子倉異株を甚いた暙的遺䌝子の解析, 胞子発芜 ず

outgrowth 期の経時的遺䌝子発珟の解析などである. た

た小笠原らは, 枯草菌増殖時 ず胞子圢成期の経時的遺䌝

子発珟の解析, 皮々のス トレス䞋での遺䌝子発珟の解

析, 転写制埡蛋癜質遺䌝子倉異株を甚いた暙的遺䌝子の

解析などを実斜 した. 䞡者で行なわれたDNAマ むクロ

アレむ解析はすでに200以 䞊を数える. これたでに筆者

らが実斜 したDNAマ むクロアレむ解析のうち, 枯草菌

のカタボラむ ト抑制(11)ず炭玠代謝の解析 は, すでに本誌

で玹介 した(13). その他, 内容的にたずたっおいるものを

2぀ 玹介する.

1) 枯草菌の正の転写制埡蛋癜質のDNAマ むクロアレ

む解析

DNA結 合転写制埡蛋癜質は, 特定の暙的遺䌝子に察

しお正あるいは負の制埡 を行なう. この䞭でシグマ因子

は正の制埡のみを叞 り, たた二成分制埡系の応答制埡因

子 も䞻に正の制埡 を叞るず考 えられおいる. 転写制埡蛋

癜質が正の制埡因子 ずしお䜜動する堎合には, その機胜

が発珟 しおいない培逊条件で匷制的に過剰発珟 させ る

ず, それ らの暙的遺䌝子の発珟が䞊昇す るず予想 され

る. したがっお, 制埡蛋癜質遺䌝子 を匷制的に発珟 させ

た堎合 ずさせない堎合 ずでDNAマ むクロアレむ解析 を

行なえば, 発珟が䞊昇 した遺䌝子 を制埡蛋癜質の暙的遺

䌝子候補 ず考えるこずができる.

このDNAマ むクロアレむ解析の長所 は, 制埡蛋癜質

の機胜が䞍明でもその暙的遺䌝子 を抜出でき, もし暙的

遺䌝子矀に既知の遺䌝子が含たれおいれば, 制埡蛋 癜質

が叞る機胜を類掚できるこずにある. もっずも, 探 しお

いる暙的遺䌝子が, 培逊実隓条件で匷制的に発珟 させた

制埡蛋癜質以倖の蛋癜質の制埡䞋にあれば, たずえ暙的

遺䌝子であっお も抜出できないこずに留意しなければな

らない. この匷制 発珟系 を甚 いた正 の制埡蛋 癜質 の

DNAマ むクロアレむ解析 に最 も適 しおいるず考えられ

たのが, 通垞の培逊条件では䜜動しおいない ず考 えられ

るECF (extracytoplasmic function) ファミリヌのシ

グマ因子矀 ず, 二成分制埡系の暙 的遺䌝子であった.

ECFフ ァミリヌのシグマ因子矀 に぀いおは, 抜出 した

暙的遺䌝子の網矅的な解析 も終了 しおいるが, 誌面の郜

合 により, ここでは二成分制埡系のマむクロア レむ解

析(12,14)結果 に぀いお詳 しく述べる.

二成分制埡系は, 现菌をはじめ酵母や怍物にも広 く存

圚する. これは倖界のシグナルを感知 しお自己 リン酞化

するセンサヌキナヌれ ず, その リン酞 を受け取 り暙的遺

䌝子の発珟制埡にあたる応答制埡因子 ずい う2぀ の成分

から成 り立぀系である. 枯草菌 に存圚する35個 の二成

分制埡系の䞭で, 最初 に匷制発珟系でのマむクロアレむ

解析が䜜動するか どうかを怜蚎したのが, これ たでよく

研究されおきた DegS-DegU 系である.

図1に 瀺すプラス ミド (pDG148) に, degU 遺䌝子 ず,

蛋癜質生合成の開始耇合䜓圢成に関䞎するシャむン-ダ

ルガヌノ (SD) 配列を含むDNA断 片 をクロヌン化し,

IPTGを 加えお培逊す るず, degU 遺䌝子を匷制発珟す

るこずがで きる. 図2は, 既知 の DegU æš™ 的遺䌝子 の

䞀぀であるアルカリ性蛋癜質分解酵玠 (aprE) にレポヌ

タ ヌ遺 䌝 子 lacZ を も぀野 生株 ず degS 欠 損 倉 異 æ ª

(ΔdegS) に, 䜜補 プラスミド (pDG148-degU) を導入 し,

IPTGæ·» 加埌の β-ガラク トシダヌれ (β-Gal) の掻性を

図1 ■制 埡蛋 癜質遺䌝 子 の匷 制発 珟系(12)

プラス ミドpDG148は 倧腞菌 ず枯草菌 ずの シャ トルベ クタヌで, その spac プロモヌタヌ (Pspac) は倧腞菌の lac オペレヌタヌを枯草菌 で

䜜動するようにした. このプロモヌ タヌの䞋流 に制埡 蛋癜質遺䌝子 (この堎合 degU) をクロヌン化 したプラス ミドを も぀枯草菌をIPTG

を添加 しお培逊する ず, lacI に コヌ ドされ る lac オペ ロンの リプレッサヌによる抑制が倖 れ, 制埡蛋癜質遺䌝子が匷制発珟する.

化孊ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002 547

è¿œ ったものである. 図2か らわか るように, 野生株 で

は, IPTGで の degU の匷制発珟 の有無 にかかわ らず

β-Gal が合成される. ずころが, ΔdegS 株では, IPTG

を添加 した堎合にのみ, β-Gal の合成が認められる. こ

の事実か ら, degS を欠倱 させ るこずにより倖界からの

シグナルが遮断され, DegU が リン酞化されおいない状

態, すなわち暙的遺䌝子の発珟が抑 えられた状態に眮 く

こずができ, そしお, IPTGを 添加 しおリン酞化 されお

いない DegU を過剰生産す るこずによ り, リン酞化 さ

れた DegU ず同じように暙的遺䌝子の発珟 を䞊昇 させ

た ず考えられる. そこで, IPTGæ·» 加の有無で, 培逊 した

プラスミド (pDG148-degU) を保持する枯草菌 (ΔdegS)

から調補 したRNAを 䜿甚 しお, マむクロアレむ解析に

よる DegU の暙的遺䌝子の同定を行なった ずころ, い く

぀かの既知遺䌝子を含む遺䌝子候補 を抜出するこ ずが

できた(12). さらに同じ手法を甚いお, DegU ず䞊び詳 し

く解析 されおきた ComA ず PhoP の暙的遺䌝子候補 を

抜出 したずころ, 同様 に良奜な成果を挙 げるこずができ

た(12). これ らの成果か ら, 枯草菌における機胜未知な二

成分制埡系の暙的遺䌝子の同定 にも, この手法が適甚で

きるこずが瀺された.

枯草菌では35個 の応答制埡蛋癜質が同定 されおいる.

その うち, YycF は察応するセンサヌキナヌれ (YycG)

ずずもに必須蛋癜質であり, センサヌキナヌれ遺䌝子の

砎壊ができず, この匷制発珟 による暙的遺䌝子同定法は

適甚できない. たた SpoOF, CheY, YneI, CheV ず CheB

の5çš® の応答制埡蛋癜質は, C末 端のDNA結 合 ドメむ

ンをもたず, 過剰発珟させおも暙的遺䌝子の発珟の倉動

が期埅で きない. さらに SpoOA ず ResD の暙的遺䌝子

矀は, 他の蛋癜質の制埡 も受けおいる可胜性が高 く, こ

の暙的遺䌝子同定法は有効ではない ず考えられた. そこ

で, DegU, ComA, PhoP を含 めた, 27çš® 類の応答制埡

蛋癜質に぀いお網矅的なDNAマ むクロアレむ解析 を実

æ–œ した(12,14).

その結果, 23çš® の機胜未知である二成分制埡系応答制

埡蛋 癜質の暙的遺䌝子候補(14)の䞭には, かな りの機胜既

知遺䌝子が含 たれおいた. 䟋 を挙げるず, YdbG-YdbF

系の暙的遺䌝子候補は走化性に関䞎する遺䌝子矀を含ん

でおり, この系が走化性 に関連 しおいるず予想される.

たた YvrG-YvrH の暙的遺䌝子矀 には, 现胞壁 あるい

は现胞膜機胜 ず関係 しおいるず思われる遺䌝子矀を倚 く

含んでいた. このような二成分制埡系の暙的遺䌝子情報

は, 今埌の機胜既知の二成分制埡系の解析をさらに進展

させ るのみならず, 機胜未知の二成分制埡系の解析にも

倧いに寄䞎するものず思われる.

耇数の二成分制埡系 (DesK-DesR ず YvfT-YvfU, お

よび YvqE-YvqC ず YxjM-YxjL ず YhcY-YhcZ) の

暙的遺䌝子候補間に顕著な重耇がみられた(14). 図3に,

これらの重耇 ずそれが瀺唆する二成分制埡系間の盞互䜜

甹 を瀺 した. 興味深 い こずに, YxjL ず YvqC お よび

DesR ず YvfU は互いに顕著な盞同性 を瀺す. このこず

か ら, 互いに暙的遺䌝子が重耇する二成分制埡系は, そ

の進化過皋で比范的最近 に倍加 したのではないか ず予想

で き, い぀どのようにしお これ らの二成分制埡系が成 り

立ったかに぀いおの研究が埅たれる.

2) 窒玠代謝のDNAマ むクロアレむ解析

枯草菌を含む倚 くの现菌 はアンモニアを窒玠源 ずしお

図2 ■ΔdegS の もずでの aprE の degU 匷制 発 珟 に䌎 う誘導 発珟(12)

aprE 遺䌝子 は DegU の暙的遺䌝子の䞀぀である. この aprE 遺䌝子 を lacZ 遺䌝子 ず融合 させる ず, β-ガラク トシダヌれ (β-Gal) 掻性 を

枬定す るこずによ り aprE 遺䌝子の発珟 を远跡 するこずがで きる. サ ンプ リング時間のT0は 増殖終了時間を衚わす.

548 化孊ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002

利甚するが, アミノ酞など皮々の含窒玠化合物の窒玠を

も利甚する. これ ら皮々の窒玠源の䞭で, 枯草菌が最 も

効率よく利甚できるのがグルタ ミンである. これに察 し

お, グルタミン酞を唯䞀の窒玠源 ずした堎合は増殖が遅

くな り, 现胞 を窒玠制限状態に眮 くこずができる. この

䞭間に䜍眮するのがアンモニアである. そしお, 现胞に

ずっお最 も窒玠の䟛絊が満たされた条件 ず考えられるの

は, グルタミンずアミノ酞の混合物を同時に䟛絊 した状

態で, 増殖速床が最 も速い. この窒玠代謝 を制埡 しおい

る制埡蛋癜質 は, グルタ ミン合成酵玠である GlnA ず3

皮のHTH蛋 癜質 (TnrA, GlnR お よび CodY) である.

枯草菌の窒玠代謝の制埡機構に぀いおは解明されおいな

いずころが倚いが, GlnA が现胞 の窒玠の䟛絊床を感知

し, その情報を TnrA や GlnR に䌝 えるず考えられおい

る.

この耇雑な窒玠代謝の制埡系を明らかにするために,

野生株 ず制埡蛋癜質遺䌝子の倉異株 を甚 いお, 皮々の

窒玠䟛絊状態でDNAマ むクロアレむ解析を行 なった.

詳现 は誌面の郜合で省 くが, これらの解析の結果明らか

になった知芋は次の通 りである. (1)枯草菌の窒玠代謝制

埡には, GlnA に䟝存する制埡系 ず䟝存 しない制埡系が

ある. (2) GlnA に䟝存する制埡系 も䟝存 しない系にも,

TnrA, GlnR ず CodY による制埡間に密接な関連があ

り, 最近明 らかになった GlnA ず TnrA の盞互䜜甚のよ

うな蛋 癜質間盞互䜜甚 を瀺唆す る知芋が埗 られた. (3)

TnrA は窒玠制限状態で, GlnR ず CodY は窒玠が十分

ある状態で働 くず考えられおいたが, その培逊条件での

み機胜するのではなく, 他の培逊条件で も働 く未知の機

胜をもっおいる.

今埌, これ らDNAマ むクロアレむ解析の結果を基 に,

枯草菌の窒玠代謝の党貌に迫 りたい.

3. DNAマ むクロア レむ解析 デヌタの公開 ず衚瀺法の

開発

珟圚 たでに, 200あ たりの枯草菌のDNAマ むクロア

レむ解析のデヌタが蓄積 され, さらにその数が増 え぀

぀ある. これ らのうち論文 ずしお公衚 された ものに関し

お は, http://www.genome.ad.jp/kegg/expression/で

公衚 しおいる. その他のデヌタ も順次公開 しおい く予

定で ある. たた, すでに転写制埡因子のデヌ タベヌス

図3 ■マ ã‚€ ク ロア レむ解析 で 明 らか にな った二成 分 制埡 ç³» 間の盞 互䜜 甹(14)

DesK-DesR ず YvfT-YvfU の各々の暙的遺䌝子候補 ず YvqE-YvqC, YxjM-YxjL, YhcY-YhcZ の各々の暙的遺䌝子候補 に顕著 な重耇

(重な り合 っおいる円内の数字 は重耇数) がみ られる. 前者の重耇 は, DesK-DesR ず YvfT-YvfU 系の暙 的遺䌝子矀 の䞭に yvfU 遺䌝子が

含 たれ るこずで説明で きる. たた埌者 の重耇 は, YxjM-YxjL 系の暙的遺䌝子矀 には応答制埡蛋 癜質遺䌝子 (yvqC ず yhcZ) が, YvqE-

YvqC 系の暙的遺䌝子矀 にも yxjL ず yhcZ が含 たれ るこずから説明できる. 以䞊 の重耇か ら, 矢印で瀺す二成分制埡系の盞互䜜甚が瀺唆 さ

れた.

化孊ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002 549

(DBTBS, http://elmo.ims.u-tokyo.ac.jp/dbtbs/) を 公

開 しお い る(15).

DNAマ ã‚€ ク ロア レ ã‚€ 解 析 の 膚 倧 な デ ヌ タ を 的 確 に衚

瀺 す る こ ず も必 芁 ず な っ お くる. そ こで, 図4に 瀺 す ã‚€

ン テ ッ クW&G瀟 ず枯 草 菌 のDNAマ ã‚€ ク ロ ア レ ã‚€ デ

ヌ タ の衚 瀺 ã‚œ フ ト (枯草 菌 WebGen-Net) を開 発 した.

図 に は, DNAマ ã‚€ ク ロ ア レ ã‚€ 解 析 に よ り抜 出 で き た

DegU レ ギ ュ ロ ン の 構 成 遺 䌝 子 候 補 が 矢 印 で 瀺 し お あ

る. 実 際 は DegU に よ る正 ず負 の 制 埡 をカ ラ ヌ の 矢 印 で

区 別 しお い る. 遺 䌝 子 の 蟌 み入 っ た個 所 が オ ペ ロ ン を な

しお お り, そ の オ ペ ロ ン が DegU で 制 埡 され お い る こ ず

を瀺 しお い る.

枯草菌のメタボロヌム解析

メタボロヌム ずは, ある培 逊条件の现胞 内代謝産物

(metabolite) の総䜓を衚わす. 现胞内で遺䌝子発珟制埡

をひき起 こす芁因は, 皮々の䜎分子化合物の濃床の倉動

ず考 えられる. したがっお, メタボロヌムが トランスク

リプ トヌムさらにはプロテオヌムを芏定 しおいる ずさえ

いえる. 近幎の分析機噚の発展により, 现胞か ら迅速に

抜出した倚 くの代謝産物の混合物 を, 各々に぀いお組織

的に定量 しおい くこずが可胜 ずなっお きおいる.

京郜倧孊の西岡研究宀では, 侖界 に先駆 けお枯草菌の

メタボロヌム解析が粟力的に進められおいる. 枯草菌现

胞 をメタノヌルか蟻酞に浞最 し, 代謝産物 を抜出する.

図4 ■枯 草菌 の転 写制 埡 衚瀺 ツ ヌル (枯草菌 WebGen-Net) によ る衚瀺䟋

枯草菌 WebGen-Net は, むンテ ックW&G瀟 の吉田矎寞倫氏 ず共同で開発 された ものであ る. 枯草菌の党蛋癜質遺䌝子4,100個 をゲノム

の+鎖 にある遺䌝子矀を倖偎 に, -鎖 にある遺䌝子を内偎 に, ゲノム䞊 の䜍眮に埓 い円圢 に配眮する. DNA耇 補の方向 ず遺䌝子転写の方向

が䞀臎す ã‚‹å‚Ÿ 向が あるので, 遺䌝子配眮 には図のような偏 りができる. 珟圚, この衚瀺 ツヌルには, DNAマ むクロアレむ解析 で埗 られた50

匱の制埡蛋癜質 のレギュロン構成遺䌝子候補 ず, 30近 くの皮々 の培逊条件 で倉動す る遺䌝子矀が取 り蟌 たれおいる. たた, この ツヌルでは

遺䌝子をゲ ノム䞊の䜍眮で゜ヌ トするこ ずにより, 各遺䌝子が どの制埡䞋にあるか を䞀芧衚 ずしお瀺す こずがで き, オペロンを構成する遺

䌝子矀を類掚するこずも可胜であ る. 図䞭文字 をはりかえた8぀ の遺䌝子 は, DegU の正の制埡䞋 にあるこずが実隓的に蚌 明されおい る.

550 化孊ず生物 Vol. 40, No. 8, 2002

抜 出液 を キ ャ ピ ラ リヌ電 気 æ³³ 動 に か け, 代 謝 産 物 を 分 離

し質 量 分 析 蚈 に か け お, 個 々 の代 謝 産 物 を 分 析 す る. 珟

圚, ア ミノ酞, 有 機 酾 な ど, か な りの 代 謝 産 物 の定 量 が

可 胜 ずな っ お きお い る. 将 来 は, メ タ ボ ロ ヌ ム解 析 結 果

ず トラ ンス ク リプ トヌ ム あ る い は プ ロ テ オ ヌ ム解 析 結 果

ずを統 合 させ る こ ずに よ り, 䜎 分 子 化 合 物 を介 した 真 の

遺 䌝 子 発 珟 制 埡 ネ ッ トワ ヌ ク を構 築 す る こ ずが 可 胜 に な

る だ ろ う.

日本の枯草菌 ゲノム解析お よびそのポス トゲノムシヌケンス解析

を通 じお, 奈良先端倧 の小笠原盎毅教授 が䞻導 的圹割 を担 っお き

た. 本皿 に玹介 した 日本 のポス トゲノムシヌケ ンス解析 は, 小笠

原, 筑波倧 の山根國男, 信州倧の関口順䞀, 埌玉倧 の定家矩人, 東

海倧の田䞭暉倫, 東京蟲工倧の竹 内道雄 ず䜐藀 勉, 立教倧の河村

富士倫, 東京蟲倧の吉川博文, 摂南倧の枡郚䞀仁, 杏林倧の倧朚玲

子, 宮厎 医倧 の䞭山建男 の各先生 ず筆者 を リヌダヌ ずする研 究グ

ルヌプの共同研究である.

文 献

1) F. Kunst, N. Ogasawara et al.: Nature, 390, 249 (1997).

2) 小笠原盎毅: 蛋癜質 æ žé…ž 酵玠, 42, 2933 (1997).

3) è—€ 田泰倪郎: 化孊 ず生物, 36, 106 (1998).

4) 小笠原盎毅: 蛋 癜質 æ žé…ž 酵玠, 44, 1512 (1999).

5) 小笠原盎毅: 珟代医療, 32, 165 (2000).

6) K. Yoshida, I. Ishio, E. Nagakawa, Y. Yamamoto, M.Yamamoto & Y. Fujita: Microbiology, 146, 573 (2000).

7) N. Ogasawara: Res. Microbiol., 151, 129 (2000).8) 小笠原盎毅: 蛋 癜質 æ žé…ž 酵玠, 46, 2379 (2001).

9) 䞭山建男, 高束宏治, 枡郚䞀仁, 山根 國男, 竹 内道雄, 朝 井

蚈, 笠原康裕, 小林和倫, 小笠原盎毅:“ 実隓医孊別冊”, 矊土

瀟, 2000, p.221.

10) 藀田泰倪郎:“ゲ ノム機胜, 発珟プロファむル ずトランスク リ

プ トヌム”, 䞭山曞店, 2000, p.40.

11) K. Yoshida, K. Kobayashi, Y. Miwa, C. Kang, M.Matsunaga, H. Yamaguchi, S. Tojo, M. Yamamoto, R.Nishi, N. Ogasawara, T. Nakayama & Y. Fujita: NucleicAcids Res., 29, 683 (2001).

12) M. Ogura, H. Yamaguchi, K. Yoshida, Y. Fujita & T.Tanaka: Nucleic Acids Res., 29, 3804 (2001).

13) 山口匘毅, 東條繁郎, è—€ 田泰倪郎: 化孊 ず生物, 40, 2 (2002).

14) K. Kobayashi, M. Ogura, H. Yamaguchi, K. Yoshida, N.Ogasawara, T. Tanaka & Y. Fujita: J. Bacteriol., 183,7365 (2001).

15) T. Ishii, K. Yoshida, G. Terai, Y. Fujita & K. Nakai:Nucleic Acids Res., 29, 278 (2001).

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