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リッテルナビゲーターを活用した 情報リテラシー教育 株式会社ネクスト リッテルラボラトリーユニット 清田 陽司 1

リッテルナビゲーター 東海大学様講習資料 20141202

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リッテルナビゲーター講習資料

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リッテルナビゲーターを活用した  情報リテラシー教育

株式会社ネクスト   リッテルラボラトリーユニット  

清田 陽司  

1

2 Copyright(c)  NEXT  Co.,  Ltd.  All  Rights  Reserved.

清田 陽司(きよた ようじ)  •  福岡市出身  1975年生まれ  •  研究分野:  自然言語処理応用、情報検索、情報推薦

•  略歴

•  京都大学大学院情報学研究科 博士課程 (-­‐2004)  •  質問応答システム(マイクロソフト日本法人との共同研究)

•  東京大学情報基盤センター 助教・特任講師 (2004-­‐2012)  •  図書館ナビゲーションシステム

•  株式会社リッテル (2007-­‐2011)  ※東京大学発ベンチャー  •  図書館ナビゲーションシステム実用化

•  Hadoopベースの大規模データ処理技術

•  株式会社ネクスト リッテルラボラトリー (2011-­‐)  •  情報レコメンデーション研究開発

自己紹介

Agenda

•  リッテルナビゲーターのコンセプト  

•  Wikipediaへのとらえ方  

•  商用百科事典とWikipediaを比較する  

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リッテルナビゲーターとは

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Wikipediaと図書館情報の統合による情報ナビゲーションシステム

•  2007年よりサービス提供開始

•  国立国会図書館「リサーチ・ナビ」のエンジンとして利用

リッテルナビゲーターの主な機能

•  テーマグラフの自動生成  – 分野の自動的な導出  – 分野からの情報探し  

•  日本十進分類法(NDC)による資料検索  

•  関連キーワード探し  •  他のサーチエンジンとのリンク  

– OPAC、JapanKnowledge、Google  Scholarなど  

•  JapanKnowledgeとの連携  – 検索結果をWikipediaと比較できる

テーマグラフ

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カテゴリ検索(パスファインダー)

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関連ワード

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Wikipediaと商用百科事典の比較

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書籍検索

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NDL  Search

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Wikipediaのとらえ方

•  教育現場で使わせて良いのか?  – 信頼できるのか?  – (他の情報資源と比較して)どのような特徴があ

るのか?  

•  新たな付加価値をもたらすにはどうしたら良いのか?  

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Wikipedia発展の歴史

•  2000年:  Nupedia  – 専門家によるオンライン百科事典プロジェクト  – 厳密なレビュープロセス  

•  査読済み:  24本、査読中:  74本  

•  2001年:  英語版Wikipedia  – 誰でも自由に編集に参加できる  – Nupediaのほとんどの参加者が移行  

•  現在のWikipedia  – 約280言語に展開、総計 約3300万記事  – 日本語版は 約93万記事  

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多数の参加者による編集

•  基本方針は「誰でも編集できる」  •  秩序維持の仕組みが存在する  

– ガイドライン (5つの原則)  – ページ毎のノート (議論、合意形成の場)  – 管理者によるコントロール  

•  保護 (編集合戦への対応)  •  削除  •  投稿ブロック  •  管理者の選任・解任  

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Wikipediaのガイドライン 5つの原則  •  Wikipediaは百科事典  

– Wikipediaは○○ではない  •  偏見を避ける  

– 中立的な観点、検証可能性、出典の明記  •  利用はフリー  

– どの個人も特定の項目を支配できない、著作権侵害の禁止  

•  行動規範  – 他の参加者に敬意を払う、冷静さの維持  

•  ルールの精神の尊重  – 確固としたルールはない 16

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Wikipediaの信頼性をめぐる議論

•  WikipediaとEncyclopædia  Britannicaの比較  –  2005年 Nature  「科学用語について比較したところ、Wikipediaの方が誤りが少なかった」  

–  Britannicaは反論  

•  査読制度なし  –  「間違いがあれば迅速に訂正できる仕組みを提供す

る」という考え方  

•  引用文献として使えるか?  – Wikipediaの創始者Jimmy  Wales  「Wikipediaを原典と

して利用すべきではなく、あくまで出発点にすべき」 20

Wikipediaの構造  各記事にはカテゴリが

付与されている

•  いわゆるフォークソノミーの特徴を有する

•  カテゴリにもカテゴリを付与できる(ゆるやかな階層構造)  

•  複数の上位概念を与えることができる(多重継承)  

価格 価格(かかく)とは、有形・無形の各種の商品(サービスを含む)の取引に際して提示される金額を言う。基本的には需要と供給のバランスによって決定される。一般には、値段(ねだん)とも

呼ばれる。 … カテゴリ: [マーケティング][経済学][市場]

価格

マーケティング 経済学 市場

経営学

経済

流通

商業

産業

社会科学 社会

ビジネススキル

労働

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タクソノミーとフォークソノミー

フォークソノミー  •  ボトムアップ的な分類  •  複数の上位概念  

Web的な分類体系

タクソノミー  •  トップダウン的な分類  •  ひとつの上位概念  

書架的な分類体系  

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電気化学

電離層 電池 磁気化学

燃料電池 太陽電池 蓄電池 太陽電池

電池 再生可能

エネルギー 半導体 素子

燃料電池 トランジスタ

価格

マーケティング 経済学 市場

経営学

経済

流通

商業

産業

社会科学

社会

ビジネススキル

労働

フォークソノミー型  構造

タクソノミー型構造

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阪神・淡路大震災

経済史

地震 災害と防災の 歴史

災害

日本の 経済史

地震の歴史 平成時代

地震

経済(330)

社会福祉(369)

社会(360)

社会科学(300)

地震学(453)

耐震建築 地震災害 地震予知

建築構造(524)

建築学(520)

技術(500)

地球科学(450)

自然科学(400)

災害 地震誌(453.2)

経済史(332)

経済史-日本 (332.1)

経済史-日本 -平成時代 (332.107) 図書館オントロジー

(NDC, BSH) Wikipedia

震災を引き起こした地震(1995年兵庫県

南部地震) 震災が日本経済に与えた影響

震災がその後の 防災対策に 与えた影響

「経済学事典」(日本経済新聞社, 1996年)

「地震防災の事典」(岡田恒男ほか, 2000年)

「日本被害地震総覧」(宇佐美龍夫, 2003年)

「集団的自衛権」のテーマグラフ

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「Winny」のテーマグラフ

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セキュリティへの脅威 (情報漏洩など)

著作権法改正の 議論に与えた影響は?

被害額は?

P2Pネットワーク 技術の観点から

特異な存在

匿名性により普及 匿名掲示板独自の

文化

教育現場における  Wikipediaの価値

•  Web情報資源と他の情報資源をつなぐかけはしとなりうる  

•  信頼性とは何かを知るための格好の教材    前提:    多様な情報資源とのつながりを見せる  

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Web情報資源(サーチエンジン)

情報探索の スタート地点

情報

専門性

信頼性

フォークソノミー

Wikipedia

多様な情報資源 • 入門書 • レファレンスブック • 商用百科事典 • 学術雑誌論文 • 過去の文献・資料

図書館 分類体系 • NDC • BSH

対応づけ→ 深い情報探

索へ

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東京スカイツリー

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宗教改革

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燃料電池

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集団的自衛権

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まとめ

Wikipediaと商用百科事典は相互に補完しうる •  Wikipediaの強み

– 多数の編集者の目による信頼性向上 •  商用百科事典の強み

– ニッチな専門分野を網羅 両方を参照することで多様な観点を知ること

ができる 33