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120616臨床救急医学会・RRSのデザイン・発表スライドセット
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院内救急対応システム検討委員会 委員会企画Rapid Response Systems: 日本の現状から世界標準に向かって
RRSの導入・強化・維持を達成する学習デザインのあり方
日本医療教授システム学会獨協医科大学越谷病院救急医療科
池上敬一
第15回日本臨床救急医学会120616熊本
10分112年6月16日土曜日
日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」第18回報告書(090929)
技術・手技(テクニカルスキル)だけが事故の原因となることは少ない(4.4%)。
「確認」「アセスメント」「意思決定」「観察」「説明」「連携・チームワーク」といったノン・テクニカルスキル(暗黙知)が事故の大きな原因(57.6%)。
212年6月16日土曜日
Rapid Response Systems世界標準マクロデザイン
312年6月16日土曜日
患者急変対応システム
4
3939393939
患者急変発生・通常モードで対応不可・迅速対応が必要
急変発生の察知
RRSの起動・RRT/METの要請
早期問題解決・安定化・専門治療
METの現場への派遣と必要な処置
MET; Medical Emergency Team初動に引続き必要な医療を行う
事後検証とシステム改善
病院管理者:システム導入とモニタ
「入力」系 「出力」系
「管理」系412年6月16日土曜日
オランダの大学病院(500床)2008RRSでMETが要請された頻度・理由年間300回弱
日中1/3、夜1/3、深夜1/3要請理由
スタッフの懸念:110回努力呼吸:75回 SAT低下:62回意識の変容:35回ショック:28回頻脈:24回
512年6月16日土曜日
オランダの大学病院(500床)METが行った処置(2008)
• トップ4(処置全体の50%)• ルート確保・点滴、酸素投与• 動脈血ガス分析、抗生剤投与
• その他(40%)• 利尿剤投与、気道吸引• X線撮影、超音波検査、CT• CPAP、12誘導心電図• 専門科へのコンサルト• 吸入療法、鎮静・鎮痛剤投与、輸血
612年6月16日土曜日
Change in MET use over time at Austin
MET calls in 2007: 147/month
Ken Hillman
712年6月16日土曜日
Correlation between MET calls and cardiac arrests
Dose and cardiac arrests at AustinKen Hillman
812年6月16日土曜日
オランダの大学病院(500床)RRSの効果(2008)からデザイン
• RRSの使用頻度が高まるにつれ予期せぬ心停止の頻度は低下する
• ICUへの移動は20%• 早期発見、早期対応がキー• 新人看護師、研修医で十分対応可• むしろ学習効果が期待できる
912年6月16日土曜日
RRSの導入・強化・維持:患者安全トレーニングプログラム• 500床以下の病院向けのデザイン• 病院内トレーニング• パフォーマンス向上=Off-JT + OJT
• パッケージ• 気づき・コミュニケーション:モジュール1• チーム蘇生:心停止・非心停止、RRT/MET• インストラクター養成
1012年6月16日土曜日
チーム蘇生心停止 非心停止
Basic/RRT モジュール2 モジュール3
Advanced/MET モジュール4 モジュール5
1112年6月16日土曜日
パフォーマンス向上のプロセスシミュレーションはOJTの前提
前状態
シミュレーション・経験・デブリーフィング デブリーフィング
行動変容(現場)
シミュレーション医療学習により行動変容を引き起こす一連のプロセス・・・ユニット
時間
現場でのパフォーマンス向上
シミュレーションとデブリーフィングによる行動変容を継続する・・・成長と発達を支援
1212年6月16日土曜日
研修を導入する前にチェックすべきこと=パフォーマンス・コンサルティング
1312年6月16日土曜日
•職場の課題のうちトレーニング(研修)で解決できるのは20%
•残りの80%は職場の問題•具体例:看護師の数の不足をトレーニングによるパフォーマンス向上で補う(一人二役)
1412年6月16日土曜日
トレーニングの前提と職場デザイン
• まず職場の問題を洗い出す• トレーニングは本当に必要か?• リソースはあるか?• トレーニングの成果は職場で活用できるか?• 職場の学習文化・上司の態度と支援• 看護師・医師のコミュニケーション
1512年6月16日土曜日
Off-JTがパフォーマンスを向上する職場の要件(抜粋)
• 改善案が歓迎される• 失敗が教育とみなされる• 職場が研修費を払う• 上司も部下が学習している内容を学習している
• コーチングが一般的である
• スタッフが常によりよい実践を求めている
• 飲食持込み可のセミナーが定期的に開かれている
• 職場に資料やインターネット設備を備えている
• 職種を越えたチームワークが一般的である
出展:Tobin, DR (2000). All learning is self-directed. ASTD、鈴木克明教授 HRD Japan 2004プレゼン資料
1612年6月16日土曜日
ゴール達成のデザイン=設計図ゴールへのプロセスは変更可能
1712年6月16日土曜日
デザイン「僕がアップルで学んだこと」•優れたデザインは役に立ち、問題を 解決してくれる
•顧客の体験をデザインする•環境を最適化する•ニューヨークの凶悪犯罪75%減少• 軽微な犯罪を徹底的に取り締まった
1812年6月16日土曜日
最優先RRTトレーニング
1912年6月16日土曜日
RRTのタスク分析
•知っている•気づいてルールを想起できる•行動できる•チーム蘇生ができる•記録・引き継ぎができる
2012年6月16日土曜日
RRTのトレーニングデザイン
•知っている・・・急変の病態生理• 気づいてルールを想起できる・・・知的スキル(assess, categorize, decide, act)
• 行動できる・・・態度スキル• チーム蘇生ができる・・・チームワーク• 記録・引き継ぎができる・・・認知スキル
2112年6月16日土曜日
態度スキルのトレーニング
•「相手をその気にさせて決断する」•「行動する」「行動しない」の選択•例:心停止の傷病者にAEDを使用する•注意の喚起だけでは効果がない•態度を支える下位目標を先に学習し、積み上げて行く
2212年6月16日土曜日
心停止の傷病者にAEDを使うことを選択する
AEDを使用する例を挙げることができる
通報を含め、AEDを使用することができる
場面の知識態度表明の技能
救命処置やAEDの特徴を説明できる
命が失われた場合の周辺への影響を説明できる
内容の知識結末の予測
AED設置の普及や一般人の救助例を説明できる
心停止が緊急を要する理由を説明できる
他者の態度についての知識
2312年6月16日土曜日
学習環境のデザイン• Off-JT• 教授システム学(ARCSモデル、インストラクションの原理)
• OJTとの連携なしにOff-JTの学習成果が現場で活用できるようになるのは相当難しい
• OJT• 教授システム学(学習経験のデザイン)• 仕事力=F(知識、スキル、機会、努力、満足度)
• インストラクター、コーチ、デブリーファーの育成2412年6月16日土曜日
OJTのデザイン学習経験の質のデザイン•無経験•機械的な繰返し•ばらばらな活動•心地よい繰返し•挑戦的な企て•一皮むける経験
2512年6月16日土曜日
パフォーマンス評価
•能力(コンピテンス)は直接測定できないし、観察できない
• 要求に対応するふるまい(パフォーマンス)を多くの状況のなかで観察する(可視化する)ことによって能力測定しようとする方法
• 複数の専門家が間主観的に評価2612年6月16日土曜日
まとめ• Rapid Response Systems:従来の医療デザインのエラーを補完するシステムアプローチ
• 将来的には医療デザインに患者安全を組み込めばRRSは不要
• RRSの本質は教育・トレーニングシステム• 病院の学習環境をデザインする必要がある• 価値観・態度:医療者の学習経験の質デザイン
2712年6月16日土曜日