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「学びのスキルとしての情報リテラシー
−ILI-L育成事業の目指すもの−」名古屋大学附属図書館情報サービス課
岡部 幸祐
第10回大学教育セミナー
「『学びの場』に向けた大学図書館の再構成を考える−学習支援促進のための三大学連携事業の中間報告」
2012.12.8
金沢大学 大学教育開発・支援センター
衆院選挙でどの党、どの候補者に投票するのか?
これらの問題に対してどのような意見を持つのか?
判断するために必要な情報をどのようにして収集するか その情報をどのように評価するのか
これまで持っていた考え、意見をもとにそれらの情報をどう自分の意見として取り入れるのか
消費税増税経済対策TPP参加原発問題
目次
学習支援促進のための三大学連携事業
学習支援としての情報リテラシー教育
ILI-L育成事業
学習支援促進のための三大学連携事業
平成24年6月21日協定書締結
事業の目的学習支援促進のための三大学連携事業
ラーニング・コモンズを持つ、東海北陸地区の三大学附属図書館(金沢大学・静岡大学・名古屋大学)が三大学のリソースを有効に活用し、効果的な学習支援サービスを共同して行う。
留学生への支援、海外の大学図書館との連携も視野に入れて、学習支援に取り組むとともに、学習支援を進めていく際に不可欠な図書館職員の育成を行う。
事業内容学習支援促進のための三大学連携事業
1. ラーニング・コモンズを活用した学生への学習支援の促進に関すること。
2. 留学生への学習支援に関すること。
3. 国際連携(海外の大学図書館との事業の連携)による学習支援の強化に関すること。
4. 学習支援を担当する職員の育成に関すること。
5. その他学生への学習支援の促進に必要な事業に関すること。
どうして連携が必要なのか?学習支援促進のための三大学連携事業
人的リソースの不足
強みのシナジー
ラーニング・コモンズの活
用
海外大学図書館調査学習支援促進のための三大学連携事業
ラーニング・コモンズを中心とした学習支援の促進をテーマに、「ラーニング・コモンズの活用」、「学習支援」、「グローバル化」に焦点をあてて、香港、シンガポール、オーストラリアの11大学の図書館を調査。(平成24年3
月)
http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/handle/2237/16799
シドニー工科大学クリエイトスペースルーム
マッコーリー大学プレゼンテーションルーム
学習支援と情報リテラシー教育
事業内容
1. ラーニング・コモンズを活用した学生への学習支援の促進に関すること。
2. 留学生への学習支援に関すること。
3. 国際連携(海外の大学図書館との事業の連携)による学習支援の強化に関すること。
4. 学習支援を担当する職員の育成に関すること。
5. その他学生への学習支援の促進に必要な事業に関すること。
学習支援=「学び」を支援する。
学習支援
「学ぶ力」を支援(情報リテラシー教
育)
「学ぶ場」をデザイン(ラーニング・コモン
ズ)
「学びが生まれる活動」(コミュニティ・知的好
奇心)
Big6 skills学習支援と情報リテラシー教育
Welcome to the Big6
You can do BIG things with Big6 Skills! Big6 is a six-stage model to help anyone solve problems or make decisions by using information. Some call it information literacy, information communication, or ICT skills, or a process, but we call it the Big6.
Using the Big6 information literacy process, you will identify information research goals, seek, use, and assemble relevant, credible information, then to reflect— is the final product effective and was my process efficient. The Big6 information literacy process is completely transferable to any grade level, subject area, or workplace. Big6, state and national instructional standards, and your curriculum all work together hand-in-hand.
“The Big6:information & technology skills for student success”http://big6.com/
Big6 skills学習支援と情報リテラシー教育
1. Task Definition
1.1 Define the information problem
1.2 Identify information needed
2. Information Seeking Strategies
2.1 Determine all possible sources
2.2 Select the best sources
3. Location and Access
3.1 Locate sources (intellectually and physically)
3.2 Find information within sources
“The Big6:information & technology skills for student success”http://big6.com/
Big6 skills学習支援と情報リテラシー教育
4. Use of Information
4.1 Engage (e.g., read, hear, view, touch)
4.2 Extract relevant information
5. Synthesis
5.1 Organize from multiple sources
5.2 Present the information
6. Evaluation
6.1 Judge the product (effectiveness)
6.2 Judge the process (efficiency)
“The Big6:information & technology skills for student success”http://big6.com/
1970年代の情報リテラシー学習支援と情報リテラシー教育
1974年
米国情報産業協会(Information Industry Association:
IIA)会長ザコウスキーの米国図書館情報学委員会(National Commission on Libraries and Information
Science)への提言
「職業上の諸問題に対して情報による解決を行う際に、広範な情報ツールならびに基本的な情報源を利用するための手法や技能」
1980年代の情報リテラシー学習支援と情報リテラシー教育
Breivik & Gee(Breivik & Gee 1989)によるInformation Literacy: Revolution In The Library
情報リテラシーは,情報化時代を生き抜くための技能である。情報リテラシーを身につけている人々は,生活の中にあふれている大量の情報におぼれることなく,特定の問題を解決したり意思決定を行うためには,どのようにして情報を見つけ,評価し,効果的に用いればよいのかを知っている。
ALA情報リテラシー諮問委員会最終報告書(1989)
「情報リテラシーとは、情報が必要なときそれを認識する能力、および、必要な情報の発見、評価、利用を効果的に行う能力である。」
「・・・情報リテラシーを身につけた人々は、学びかたを知っている。なぜなら、彼らは知識の組織のされかた、情報の見つけかた、他の人々がまなべるような方法での情報の利用のしかたを知っているからである。」
学校図書館の情報リテラシー学習支援と情報リテラシー教育
Information Power:Guidelines for School Library Media Programs. (1988)米国学校図書館協会(AASL)と教育コミュニケーション工学協会(AECT)
・学校図書館を対象としたガイドライン
・学校図書館が「information literacy能力」を育成するための施設であることを宣言
Information Literacy Standards for Student Learning(AASL,AECT 1998b)Information Power: Building Partnerships for Learning(AASL,AECT 1998a)の別冊として発表された。初等中等教育段階で育成されるインフォメーション・リテラシー教育の能力を,9つの基準(standards)と29の指標(indicators)に定めた。
情報教育における情報リテラシー
学習支援と情報リテラシー教育
『情報教育の実践と学校の情報化~新「情報教育に関する手引き~』(2002年)
『教育の情報化に関する手引き』(2010年)
『高等学校学習指導要領解説 情報編』(2010年)
情報リテラシー=情報活用力
①情報活用の実践力
②情報の科学的な理解
③情報社会に参画する態度
情報活用力学習支援と情報リテラシー教育
①情報活用の実践力
• 課題や目標に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力
②情報の科学的な理解
• 情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
③情報社会に参画する態度
• 社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度
大学教育における情報リテラシー
学習支援と情報リテラシー教育
大学においては、「情報処理教育」として1990年代から広く行われるようになってきた。
コンピュータリテラシー
プログラミング
ワープロや統計処理
電子メール、WWW
ネットワークセキュリティ などが教育されるようになります。
一方、大学図書館では。
大学教育における情報リテラシー
学習支援と情報リテラシー教育
図書館が行ってきた利用者教育は、次の4種類に整理することができる。
①図書館オリエンテーション (library orientation)
②図書館利用指導 (library instruction)
③文献利用指導 (bibliographic instruction)
④情報管理教育 (information management education)
野末俊比古 “情報リテラシー”『情報探索と情報利用』田村俊作編 図書館・情
報学シリーズ2 勁草書房, 2001, 242p.
学士力学習支援と情報リテラシー教育
中央教育審議会による「学士課程教育の構築に向けて(答申)」(2008年12月)において
「学士力」として
1.知識・理解(文化,社会,自然 等)
2.汎用的技能(コミュニケーションスキ ル,数量的スキル,問題解決能力 等)
3.態度・志向性(自己管理力,チーム ワーク,倫理観,社会的責任 等)
4.総合的な学習経験と創造的思考力
機能的リテラシーとしての情報リテラシー
学習支援と情報リテラシー教育
「リテラシー・・・・という社会的概念は・・・・固有の形状を有するものではなく、それらを入れる[社会という]器によって明らかになること[つまりは社会的要請]を繰り返すのである。情報リテラシーを身につけた人(Information literate)がどういう人かということは、われわれがリテラシーをどう定義するかによって決まるのである」
ヴェネツキィ(Richard L. Venezky)
野末俊比古「第5章情報リテラシー」『情報探索と情報利用』勁草書房,2001,p.260
「リテラシーに関してわれわれが・・・出せる観察結果は、きわめて長期にわたってその内包するものが変化してきたということである。」
Nickerson, R. S. “Adult literacy and technology.” Visible Language. Vol.19 No.3, p.311-355, 1985
「「情報リテラシー」とは、機能的リテラシーを「情報社会」という枠組み設定のもとにとらたもの」
野末俊比古「第5章情報リテラシー」『情報探索と情報利用』勁草書房,2001,p.261
リテラシー概念学習支援と情報リテラシー教育
インフォメーションリテラシー
情報活用能力
ネットワークリテラシー
コンピュータリテラシー
技術リテラシー
映像視聴能力
ヴィジュアルリテラシー
メディアリテラシー
情報 処理する 利用する
メディア 解釈する 表現する
技術 操作する 理解する
山内祐平『デジタル社会のリテラシー:「学びのコミュニティ」をデザインする』岩波書店,2003,p.72
学ぶスキルとしての情報リテラシー学習支援と情報リテラシー教育
情報活用力
学士力
情報リテラシー
図書館で情報リテラシー教育はできるのか?
ILI-L育成事業概要Information Literacy Instruction Librarian
図書館利用のオリエンテーションはやったことがあるけど、情報リテラシー教育って何をどう教えればいいのか分からない!?対象:公共図書館職員
大学図書館職員
Instructional Design(ID)をもとに情
報リテラシー教育を効果的に実施できる。
ニーズ
分析
計画
開発実施
評価
ID
協同学習
ライティング支援
情報リテラシー教育教材
eラーニング&学習コミュニティ
ワークショップによる実践トレーニング
情報リテラシー教育モデルプログラム
情報リテラシー能力
スタンダード
ILIライブラリアン能力
スタンダード
標準化事業 育成事業 事業成果
金沢大・静岡大・名古屋大 三大学連携事業
実践コミュニティ
事業の目的ILI-L育成事業
直接的目標• 問題解決型リテラシー教育
直接的目標• Instructional Designを活用できる。
直接的目標• 学習科学をもとに協調学習などを取り入れる
間接的目標• 学習コミュニティを作る
事業の概要ILI-L育成事業
e-learningコース
• 3パートを学習
• 履修期間3ヶ月を予定
• Moodleをプラットフォームにforum, wiki, blogを活用し、学ぶための仕組み作り
• コンテンツを公開
ワークショップ
• 2日間の集合研修(ジグソー学習法など)
情報リテラシーインストラクショナル・デ
ザイン学習科学
学習科学入門ワークショップ
ILI-L育成事業
学習科学に必要な認知学習理論といくつかの事例の紹介
ジグソー学習法の体験
他者の知っていることと、自分の知っていることを合わせると、事業で提示された「学習課題」を解くことができる。
1970年代 社会心理学者のアロンソンが考案、1990年代 認知心理学者のブラウンが応用。
今後の予定ILI-L育成事業
• 今年度中にe-ラーニングコースを用意。
• 公開ワークショップの開催(東海北陸地区国立大学図書館協会地区助成事業)
• 来年度から育成コースをスタート。
• 情報リテラシー教育を担当する図書館職員の実践共同体を形成。
• 継続的な学習コミュニティの形成。
参考文献
• 『高等学校学習指導要領解説 情報編』 文部科学省
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/01/26/1282000_11.pdf
• 野末俊比古 「情報リテラシー」 『情報探索と情報利用』田村俊作編 勁草書房,2001,p.229-278.
• パトリシア・セン・ブレイビク,E.ゴードン・ギー, 三浦逸雄ほか訳 『情報を使う力:大学と図書館の改革』 勁草書房,1995.
• 堀川照代『学習指導と学校図書館』新訂版 放送大学教育振興会,2010.
• 山内祐平『デジタル社会のリテラシー:「学びのコミュニティ」をデザインする』岩波書店,2003.
ご清聴ありがとうございました。