74
教師が主体的に扱える 教材をめざして 角南 北斗 Sunami Hokuto2013.8.18 日本デジタル教科書学会 2013年度年次大会 実践発表

教師が主体的に扱える教材を目指して(デジタル教科書学会2013年度年次大会)

Embed Size (px)

Citation preview

教師が主体的に扱える

教材をめざして

角南 北斗(Sunami Hokuto)

2013.8.18日本デジタル教科書学会 2013年度年次大会 実践発表

角南 北斗Sunami Hokuto

フリーランスの

教育系Webデザイナー

Web 学習

これまでの活動

1.大阪大学で日本語教育学を専攻(修士)2.日本語教育機関などで講師3.教育機関のサイト制作4.Web教材の開発(日本語教育以外も)現場のIT活用指南・学会発表

日本語でケアナビ外国人介護士のための日本語学習ツールhttp://nihongodecarenavi.jp

NIHONGO eな日本語e-Learningのポータルサイトhttp://nihongo-e-na.com

プレゼンのプ電子書籍:プレゼンテーション入門

photo by pakutaso.com

飲食店開業支援の講座調理師専門学校でITと経営を教える

では本題。

ITの恩恵を受けることが当たり前の日常に

教育の現場はどうか?教師の意識はどうか?

教育現場のIT活用はどうして進まないのか?

問い:

ITやWebを道具として自分の授業に位置づける、そんなスキルが不足している

答えのひとつ:

たとえば、教材

IT教材 と 紙の教材 を比較して

IT教材は使う側(学習者)にも教材制作側(教師)にも扱いにくい部分がいくつかある

切り貼りでは形にできない。ITの知識や理解が十分でないと使えるレベルに仕上がらない。

教材制作時:

現場に合わせた改変は?コンテンツの二次利用は?ITの知識やスキルがないと手を入れることすら不可能。

運用時:

要するに、IT教材は紙ほど直感的には扱えない

1. 教材開発に手を出しにくい2. 設計には新たな知識が必須3. 質の悪い教材が生まれやすい4. 教材に困らされた教師はITへの不信感を増すことに

結果として...

この状況を何とかしたい...

1. 教材開発に手を出しにくい2. 教材設計には別の知識が必須3. 質の悪い教材がいっぱい4. 教材に困らされた教師はITへの不信感が増してしまう

結果として...

開発側は、技術だけでなく教育についても学ぶべき。でも教師も、ITを学ばないと教育の実質は変わっていかない。

誰かが作ったIT教材を教師は受け身的に使うだけ。授業内容に沿った教材ではなく教材に沿った授業のような姿勢。

旧来のe-Learning

教材ではなく教師が主役。ITを「活用すべき道具」として主体的に扱うようなアプローチ。

目指すべきe-Learning

今日の提案:オールインワンの教科書よりピンポイントの道具がいい

実践例を2つお見せします

Google Drive のフォームで授業を部分的に双方向化する

実践例1:

回答フォーム

回答フォーム

事前にフォームを作って

学習者にURLを伝えておく

教師が授業で適時質問をし、学習者はPCやスマホからその回答を投稿する。

回答は自動的に集計される

回答フォーム

具体的に何に使ってるの?

✴アイディアや意見の出し合い✴グループワークの進捗報告✴課題の提出(テキスト)✴授業の感想や質問の受付

活用例

回答は教師だけが見たり

投影などで学生と共有したり

✴いつでも質問できる✴匿名なので周囲を気にせず意見を思い切って出せる

✴発言が目の前に示されるので議論への参加感が増す

学生の反応

導入が簡単。3分。無料。その他の利点1:

1

2

3

4

5

回答フォーム

様々な場面で柔軟に使え使い回しもしやすい。

その他の利点2:

問いはフォームに書かずに

その都度、教師が伝える

回答フォーム

名前欄を追加してみる

回答フォーム

3択問題専用のフォーム

できないことが明確。その他の利点3:

✴投稿者のなりすまし防止✴投稿回数の制限✴ファイルの送信✴表示の細かい調整

できないこと

できる範囲で活用する術を知る。必要なのに足りないものが自分の中で明確になってやっと独自開発も適切に行なえる。

受講生の多い授業であっても部分的に双方向化できる。様子を見ながら活用できる。

周りに勧めたい理由

Web学習リファレンス作りで教材開発の勘所を学ぶ

実践例2:

Web学習リファレンス=辞書+語彙リスト+クイズ を  Webサイトにしたもの

10年間、現場と話をしつつ個別に教材設計をしてきたが、結果的に似たタイプの教材を作ることが多かった。=Web学習リファレンス というタイプ(として認識

日本語でケアナビ外国人介護士のための日本語学習ツール

言葉の検索

言葉の解説

関連語表示

多様なリスト

選んだリストで一問一答

選んだリストで一問一答

✴紙媒体より柔軟な検索が可能✴多様な切り口の語彙リスト✴スマホで使えば紙との併用も楽✴隙間時間の学習を支援

学習者にとっての利点

✴データをExcelで入出力✴ブラウザでも編集可能✴画像・動画・音声も登録可✴教師向けの教材DBとしても

教師にとっての利点

教師の開発力の向上にも

✴データの編集が容易だから教師の参加のハードルが低い

✴データの内容や構造が教材の使い勝手に反映され、開発の勘所が理解しやすい

ツール自体はシンプルであるがそれゆえ道具として捉えやすく、教師の「やりたいこと」を中心にその活用方法を考えられる。

まとめと提案

シンプルなIT活用であっても教師なら誰もが自然に思いつく..というわけでは、ない。まだその段階にはなっていない。

たとえ質の良い教材であってもそれをそのまま使うだけでは、教師が主体的に考えなくなる。

もっと多くの教師にIT活用力、授業デザインのスキルがないと独自開発しても失敗するだけ。

まずIT教材を使うこと。自分なりにアレンジすること。足りない要素を整理すること。そんな体験を積み重ねることで教師のIT活用力は上がっていく。

今日の提案:オールインワンの教科書よりピンポイントの道具がいい

教師の授業デザイン力を上げる、IT活用力を上げるために、小さな実践+開発の経験が必要。それには、用途の限られる道具的な教材が向いているのでは?

ありがとうございました。

ご感想・ご意見をお待ちしてます。

Twitter:@shokuto

Blog:withcomputer.jp

Portfolio:sunamihokuto.com