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1 2014/01/29 修士課程最終発表 未来予測が技術の進化に与える影響 についての研究 政策・メディア研究科修士課程2PS 坂本 真里 [email protected] 修士課程最終発表

How the future prediction affects on the evolution of technologies

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1 2014/01/29 修士課程最終発表

未来予測が技術の進化に与える影響  についての研究

 政策・メディア研究科修士課程2年  

PS 坂本 真里  [email protected]  

修士課程最終発表

2 2014/01/29 修士課程最終発表

Ⅰ. 研究の背景 Ⅱ. 先行研究  Ⅲ. 研究の目的  Ⅳ. 研究方法 Ⅴ. 研究対象 Ⅵ. 仮説 Ⅶ. 事例調査 Ⅷ. 検証 Ⅸ. 考察

Ⅹ. まとめ

AGENDA

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・これまで過去の先人達は、将来のあるべき姿や在り方、その先に起こりうるあらゆる未来予測を行い、提唱してきた      ・将来こうなるだろうというビジョンを描き、実際にその通りになったものもあれば、ならなかったものもあるが、この違いの背景に何があったのか      ・技術の進化において将来を予測してビジョンを語る未来予測というものが、技術開発を促し、技術の進化においていかなる影響を与えたか  

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

研究の背景

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

先行研究

製品の進化のあり方の決定要因として、技術と社会の関係性に「技術決定論」と  「社会構成主義」の二極化した議論がこれまで社会科学の中で語られてきた    ・石倉  (2003)  『大衆化のなかの情報化社会論』  社会構成主義として示すことができる情報化社会論は、技術決定論に相互依存的  な関係があり、最終的に技術決定論に回帰する    ・吉田  (2003)  『インターネットの歴史と技術の社会構成主義』  技術変化とは人間社会が積極的に形成するものであり、技術の社会構成主義は、  人間と技術の関係を考える上で重要な視点を提供する    ・近藤  (1992)  『技術予測の考え方と活用法』  技術予測手法の分類を示した上で、今後の技術予測の方向性として、できるだけ  長期的に幅広く予測することが重要    ・湊  (1981)  『政策科学展開の場としての未来予測』  未来について何らかのビジョンをもち、現在の情報を正しく選択できれば、将来を  比較的正確に予見することは不可能ではない  

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「どのような技術が、どの地点で、どのように予測がなされ、  またそれらはどのように変化してきたのか」を辿る    いくつかの予測のされ方があり、いくつかの予測の実現パタンがあるのではないか    技術の事例を掘り下げると、その背景に何らかの要因や法則、  メカニズムが存在するのではないかと推測する  

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

本研究の目的

未来予測が技術の進化に影響を及ぼしてきたということを  歴史的経緯を辿ることによって立証する  

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 RQ1  技術の進化の背景を調べると、  予測の実現には、いくつかのパタンがあるのではないだろうか        RQ2  過去の事例を調べると、未来予測や未来へのビジョンは、  実際に製品の進化に影響を及ぼしてきたのではないだろうか

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

リサーチクエッション

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

デルファイ法、KJ法、バックキャストなどの未来予測手法があるなか、本研究は、これら予測手法のアウトカムの1つと捉えることができるデータ(日経記事)を分析し、予測に何らかの法則性 を見出せないかという取り組みよって、1つの予測手法のみに偏ることなく、膨大なデータを分析するという手法を用いた

・定期的に出されているもので、時系列で追うことができ、過去にさかのぼって参照することができる  ・客観的な予測、同一の性質をもつ定性データを扱うため  

研究対象

毎年元旦にIT関連の特集記事が組まれている日本経済新聞を対象  とし、技術の予測動向を追った  

新聞の選定理由

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

研究方法

研究方法①      紙面上に記載されている未来予測に関する内容分析調査      研究方法②     抽出した技術のキーワードを基に記事数の量的調査      研究方法③      より詳細に記事内容を把握するための質的調査  

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

研究方法①

・調査対象   日本経済新聞 元旦号   1982年から始まった高度情報化/IT・デジタル特集   (第二部もしくは第三部)    ・対象期間   1982年~2013年 (32年間)      ・調査方法   紙面に載っている全ての技術の抽出   『いつ、どの地点で、どのような予測がされていたか』    ・調査結果   未来予測がされている技術数は270  

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

【予測方法パタン】 ※参照:近藤『技術予測の考え方と活用法』における技術予測手法の分類    Ⅰ.探求的技術予測手法 (どのような技術が出現し発展していくかを予測)    ー①未来年表       (年表形式の時系列で箇条書きにトピックが書かれている予測パタン)    Ⅱ.規範的技術予測手法 (将来の目標からみた必要技術の発展動向を予測)    ー②物語ベース       (未来の姿を描いた青写真のような物語ベースの予測パタン)    Ⅲ.経験分析的技術予測手法 (過去の発展傾向に基づく予測)    ー③技術ベース       (技術をベースにした予測パタン)    Ⅳ.直観的技術予測手法 (人間の直観に基づく予測)    ー④企業人・有識者の意見や対談       (企業人や有識者対談や意見寄せで語られている予測パタン)  

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

【予測発展パタン】    ①コンスタントに予測が語られてきた技術    (5年未満の間隔を経て、恒常的に予測記事に取り上げられてきた)    ②一度予測が語られたが、消えてしまった技術    (その年のみ、もしくはその後予測記事に取り上げられなくなった技術)    ③一度予測が語られたが消え、再び語られるようになった技術    (取り上げられて消えたが、5年以上の間隔を経て、またその後取り上げ    られるようになるという一連の流れが一度もしくは複数回繰り返された技術)  

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

それぞれ技術の特性などによって、予測方法パタンが限定的になることはなく、1つの技術に対していくつかの組み合わせによって未来予測が行われていた    ※②は一度のみ語られた特性をもつことから、予測方法パタンの結果は1パタン  

【相関性】  

予測方法パタンと予測発展パタンのなかで、明らかな相関性は見られなかった

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

研究方法②

・調査対象   データベース日経テレコン   日本経済新聞朝刊及び夕刊    ・対象期間   1982年1月1日~2013年1月1日 (32年間)      ・調査方法   データベースを基に技術の記事数の抽出   『年間毎の、研究方法①で取り上げられた技術に関する記事数』    ・調査方法   0~193,118件 (32年間) / 0~8,776件   (1年間)  ※データベースに載っていない第二部及び第三部があり、記事数結果が0件~となった  研究方法①での技術が、その一年間の記事数に直接的に反映されているとは限らない  

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背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

技術19820101̃20130101 トータル                                                              

1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

リニアモーターカー 1370 26 26 23 34 47 132 170 164 111 74 46 41 32 26 25 29 18 18 45 22 31 40 17 37 25 22 32 19 24 10 4

セラミックエンジン 68 15 11 7 5 3 6 2 1 4 5 3 1 0 4 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

レーダー光線 688 34 48 46 45 46 25 32 33 41 38 36 24 31 31 16 21 21 9 19 12 9 12 10 8 6 11 4 4 8 4 4

ポケットテレビ 65 3 12 6 18 18 5 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

インターフェロン 966 107 65 38 55 62 47 23 21 21 21 50 52 49 31 18 17 13 19 23 27 25 19 12 15 16 38 23 22 14 14 9

深海底の開発 5 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

コンピュータ 80498 2077 2679 3079 3328 3535 3696 3422 3780 3279 3133 3220 3183 3165 3814 3805 3373 3072 4300 3652 2551 2159 1908 1635 1665 1575 1107 897 867 823 789 925

ロボット 10665 703 595 498 425 403 304 325 361 270 303 298 294 222 206 226 227 237 267 361 349 331 330 341 365 356 315 286 357 302 364 392

エネルギー技術 877 25 36 16 13 16 16 11 45 45 36 37 29 19 17 17 39 32 22 14 18 9 21 18 21 24 52 49 47 42 54 37

バイオテクノロジー 9028 368 445 571 641 522 471 421 351 294 262 281 218 167 205 147 174 149 334 541 519 555 399 299 191 110 75 88 69 55 50 56

光ファイバー 8219 182 299 362 273 277 277 229 192 159 96 119 229 474 229 231 241 248 265 624 669 465 374 299 249 272 215 167 119 164 77 73

自動車 193118 4223 3998 3724 4021 4644 5056 4928 5852 5803 6351 6789 6409 6940 7565 6291 6715 6472 6954 6565 6101 6336 6258 6649 6896 6570 6306 7404 8766 7660 7663 7296

宇宙開発 8533 210 388 464 368 518 352 420 408 412 289 331 218 261 167 214 213 273 277 345 265 182 288 170 170 128 134 216 211 245 204 190

原子力発電 24196 405 407 394 290 663 267 397 454 377 514 566 362 342 357 478 384 277 421 504 396 613 643 548 393 526 877 532 613 853 6484 3854

三次元回路 28 5 4 3 8 1 3 2 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

人工心臓 459 28 31 17 26 24 17 23 16 26 5 21 14 8 7 12 6 7 15 10 13 8 11 19 11 8 11 12 20 12 8 13

ファクシミリ 14017 228 306 352 325 384 467 479 565 494 505 504 547 708 725 696 588 548 534 575 550 531 495 514 476 439 356 285 238 209 217 177

宇宙工場 119 11 13 17 15 14 11 13 5 0 2 4 2 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 3 1 2

太陽光発電 4312 16 18 25 13 11 17 4 14 31 30 55 68 62 60 79 91 73 59 115 83 68 65 80 72 73 96 343 629 554 705 701

FMS(フレキシブル生産システム) 395 82 35 47 27 31 21 28 36 26 22 18 4 5 1 3 1 1 1 1 0 1 0 2 0 0 1 0 1 0 0 0

カスタムLSI 95 3 4 4 9 10 7 9 2 3 4 4 1 1 0 3 1 4 4 1 2 4 2 3 1 4 1 2 1 1 0 0

制ガン剤 3344 126 104 100 139 95 104 73 67 85 70 91 85 114 70 42 79 61 43 74 84 124 123 152 145 143 123 109 126 140 160 168

テレビ電話 1438 13 34 37 12 26 67 67 48 38 38 42 37 46 57 39 62 66 40 50 58 61 96 94 82 64 34 29 21 36 30 4

キャプテンシステム(文字図形情報ネットワーク) 491 19 87 106 95 64 42 35 13 7 8 7 2 1 1 0 0 1 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

INS(高度情報通信システム) 1225 75 283 297 165 92 55 40 48 29 21 13 15 13 11 11 9 6 8 13 3 8 1 0 1 3 0 3 1 1 0 0

自動翻訳 520 19 17 24 45 58 35 31 25 20 18 20 17 12 12 7 20 11 13 20 15 12 7 9 4 8 8 5 7 6 7 8

情報通信サービス 401 10 28 18 29 21 18 12 13 11 10 8 11 31 25 24 19 9 12 17 17 6 4 7 18 6 6 2 1 5 3 0

医療情報システム 435 11 15 18 22 23 15 20 8 11 9 7 5 8 14 11 14 9 11 22 19 11 22 19 15 11 6 22 7 17 20 21

テレビ 108833 1340 1715 1607 1631 2066 2693 2906 3316 3411 4101 3684 3772 4173 4206 3954 3600 3833 3758 3869 3702 3645 3891 4541 4322 5045 4498 4277 3964 3988 3726 3586

衛星通信 2981 90 209 214 174 142 170 157 187 202 175 109 93 108 173 129 125 88 84 81 60 40 23 25 29 19 10 11 10 23 10 11

衛星放送 5293 14 57 94 52 33 136 185 155 329 336 278 237 248 292 380 468 351 290 263 191 171 138 101 97 120 63 48 43 44 51 28

マルチビーム 26 2 6 5 1 0 1 0 1 3 0 0 0 5 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0

光海底ケーブル 348 12 6 2 3 12 22 9 9 8 8 22 16 15 7 16 17 21 27 6 4 3 0 2 0 5 2 0 2 2 1 2

スーパーコンピュータ 3381 34 33 36 67 94 249 176 509 286 127 122 267 106 68 102 104 58 80 62 79 58 55 62 61 38 48 42 85 86 78 109

FA・OA統合 37 0 5 3 4 2 4 6 5 2 2 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

クレジットカード 11176 132 267 333 295 256 219 273 287 247 294 331 280 226 331 356 412 447 468 622 444 442 448 502 592 540 480 397 337 347 280 291

エレクトロニックバンキング 581 37 128 107 56 15 23 31 11 11 9 5 15 10 20 19 21 11 8 7 13 4 4 3 0 4 0 2 1 0 5 1

証券市場の電算化 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ハイオービス(生活映像情報システム) 11 1 4 2 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ツーウェイテレビ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

腕時計型テレビ 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

映画 技術 4734 92 99 88 83 69 93 88 134 141 153 155 134 167 238 156 179 164 204 232 193 199 181 207 240 183 145 140 149 171 130 125

映像情報システム 93 1 8 9 2 5 4 2 5 4 2 2 5 3 5 4 7 4 7 3 3 2 1 0 4 0 0 0 0 1 0 0

自動保温付き快適衣料 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

バイオリアクター 187 11 17 22 39 29 19 9 13 5 3 4 5 5 1 1 2 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ワークステーション 2965 5 19 18 52 120 204 256 251 198 294 301 305 279 210 130 76 74 64 27 25 9 14 8 4 4 4 4 4 4 0 2

意思決定支援システム 62 1 1 4 6 4 9 10 7 3 1 4 0 1 3 3 1 0 0 1 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

VAN(付加価値通信網) 3644 35 132 513 434 351 349 314 227 184 155 102 92 129 167 101 41 33 21 31 17 10 19 21 24 28 13 14 15 21 23 28

エレクトロニック家計簿 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

レーザー 7234 161 179 188 302 367 332 300 307 314 293 329 291 300 294 238 256 196 188 232 241 221 192 193 173 180 171 204 177 135 109 170

CG(コンピュータグラフィックス) 3556 18 41 32 40 61 81 60 87 79 93 128 153 198 222 202 248 260 253 207 140 122 104 129 111 95 70 70 87 68 51 45

LAN(校内情報通信網) 3960 15 68 79 104 135 109 97 79 90 98 100 100 175 223 225 175 108 102 134 158 268 210 153 181 141 92 76 70 119 121 152

テレポート(情報通信基地) 26 0 0 1 3 6 3 4 3 0 0 1 0 1 2 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ビデオテックス(双方向文字図形情報システム) 685 9 88 159 129 88 52 46 35 16 13 11 10 7 12 3 1 3 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

ICカード 3412 0 2 11 77 113 103 102 98 93 83 54 46 59 64 155 184 132 134 179 186 186 177 187 229 145 215 132 98 73 44 51

15 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

①コンスタントに取り上げられてきた技術    (3年未満の間隔を経て、恒常的に新聞記事に取り上げられてきた)    ②一度取り上げられたが、消えてしまった技術    (その年のみ、もしくはその後新聞記事に取り上げられなくなった技術)    ③一度取り上げられたが消え、再浮上してきた技術    (取り上げられて消えたが、3年以上の間隔を経て、またその後取り上げ    られるようになるという一連の流れが一度もしくは複数回繰り返された技術)  

技術はこのどれか3パタンを経て、技術が進化し実用化に至る、もしくは実用化に至らずに消えていく    ※なかには消えてしまった技術であっても、形を変えて別の技術に転用されるケースもあると推測できる  

16 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

一度もしくは何度か取り上げられたが消え、再浮上してきた特殊な進化を遂げた技術のなかで、事例を掘り下げるとその背景に何らかの要因や法則、メカニズムが存在するのではないだろうか  

仮説

③一度取り上げられたが消え、再浮上してきた技術は、①と②のパタンと比較して特徴的であり、特殊な進化を遂げたケースが多いのではないかと推測できる    パタン③は、未来予測と話題性の流れが変則的であることから、本調査の目的を明らかにすることに適しているため事例調査対象として選定  

17 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

研究方法③

・調査対象   ③一度取り上げられたが消え、   再浮上してきた技術      ・調査方法   記事内容を詳細に把握する質的   調査アプローチ    ・調査結果   43技術    ※話題性の観点から、1年あたり10件以上の記事数がある9技術に絞りその記事数の推移を見た  急激に記事数が伸びた地点に着目    

伸びポイントにはどのような背景があったのか、記事の内容から重複している要素を抽出

18 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

予測方法パタン 予測と話題の  順番  

急激に記事数が  伸びた回数  

宇宙工場   企業人・有識者 予測先行   3  

バイオリアクター 物語 話題先行 2

光カード 技術 話題先行 3

戦略情報システム 企業人・有識者 話題先行 1

パソコンネットワーク 物語 無 2

ブロードバンド   物語、企業人・有識者 予測先行 1

PtoP 企業人・有識者 無 1

LTE 技術 予測先行 2

3Dテレビ 技術 話題先行 1

「予測方法パタン」、「予測と話題の順番」、「急激に記事数が伸びた回数」  の3視点からは、何かしらの規則性は見いだせない

9技術からみる3つの視点 ~予測方法の4パタン vs  予測/話題 vs  記事の伸び~

19 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

①未来年表    ー0件    ②物語ベース    ー3件(バイオリアクター・パソコンネットワーク・ブロードバンド)    ③技術ベース    ー2件(パソコンネットワーク・PtoP)    ④企業人・有識者の対談や意見    ー4件(バイオリアクター・光カード・戦略情報システム・3Dテレビ)

未来予測と予測方法パタン

20 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

①未来予測が先になされ、後から話題性を呼んだもの    ー3技術(宇宙工場・ブロードバンド・LTE)    ②未来予測と話題性における、時間軸の差異がないもの    ー2技術(パソコンネットワーク・PtoP)    ③話題性があり、後から未来予測されたもの    ー4技術(バイオリアクター・光カード・戦略情報システム・3Dテレビ)  

これまでの調査では明らかな偏りや関係性はなく、技術の進化に影響を

与えるという点で未来予測は一構成要素ではあったものの、技術の進化を飛躍的に促すものであるということは証明できなかった  

未来予測と話題性

21 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

事例調査において、  記事のなかの主体者、及び技術とどのよう  に関係しているのかという点から要素を抽出  9技術において、右表28要素を得た    ※同一の語句に限定せず、類義語を集約して  一つの要素として捉え分析のベースとした

なかでも合計値が3以上あり高く、要素として  強いものに着目し、7要素を抽出     ・政府        ・需要   ・技術開発     ・消費者   ・規格        ・新市場   ・民間企業

22 2014/01/29 修士課程最終発表

     

     

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

長く続く技術 短く終わる技術

宇宙工場  バイオリアクター  光カード  パソコンネットワーク  LTE

戦略情報システム  ブロードバンド  PtoP  3Dテレビ

政府  技術開発  規格

需要  新市場

長く続く技術と短く終わる技術では、明確に要素の性質が分かれた  長く続く技術では、政府の政策や方針、規格が技術に与える影響が大きい  

23 2014/01/29 修士課程最終発表

①未来予測は技術の進化を促す一構成要素としては存在するが、    必ずしも未来予測が技術の進化を飛躍的に促すものであることは、    本研究では証明できなかった    ②未来予測は時間軸でみると、必ずしもその技術が話題を呼ぶ前になされる    ものではなく、既出の技術に対しても行われるものである    ③長期間、語られては消えを何度も繰り返してきた、長く続く技術のなかで、    急激に話題性があがる背景に、『政府』、『技術開発』、『規格』の3つの要素、    すなわち官の影響が大きい    ④技術の進化において、政府と民間企業の関係性は強く、    政府の方向性に沿って民間企業が技術開発を促されるケースと、    民間企業の技術開発が政府の方向性を決めるケースが存在する    ⑤ニーズ指向に技術よりも、シーズ指向の技術の方が長持ちする  

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

知見

24 2014/01/29 修士課程最終発表

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

示唆①

示唆②

①日本経済新聞のみで調査を行ったことから、新聞社のデータバイアスが    かかっている可能性があることは否定できないこと  ②本来の目的としていた、未来予測が技術の進化に影響を与えるということを    検証できなかったこと  ③背景となる要素抽出の際、同一語句に限定せず、類義語を集約して一つの    要素としたため、若干の恣意性があることは否定できないこと  ④長く続く技術において、政府・規格・技術開発の3つの要素を提示することは    できたが、それぞれの詳細な因果関係については明らかにできなかったこと

研究の限界

政府が指針を提示し、民間企業の技術開発が促進されることで、技術が進化するのではないだろうか  

民間企業の技術開発に政府が着目し、規格化を進めることで、  技術が進化するのではないだろうか  

25 2014/01/29 修士課程最終発表

①未来予測の視点から    本研究では未来予測が技術の進化に影響を与えたことは証明できなかった。しかし、未来予測が技術の進化に影響を与えなかったということを証明できたことにはならない。別の研究対象から、未来予測が技術の進化に影響を与えてきたことを明らかにすることは、研究の余地、及び可能性がある      ②技術進化の背景から    本研究で扱った事例より、消費者のニーズやマーケットから技術開発が行われるのではなく、長く続く技術は官の影響が強い傾向がみられた。官と民の関係性をより深く調査することで、両者の関係性こそが技術の進化に影響を与えるということを、証明できる可能性がある  

背景 先行研究 研究対象 研究方法 仮説 事例 まとめ 考察 目的 検証

展望と今後

26 2014/01/29 修士課程最終発表

・日本経済新聞(1982-­‐2013年)日本経済新聞社. ・石倉義博(2003)『大衆化のなかの情報化社会論』社會科學研究. ・吉田晴代(2003)『インターネットの歴史と技術の社会構成主義̶ジャネット・アバテ「インターネットをつくる」を中心に̶』三研論集,札幌大学. ・澤田芳郎(1994)『情報化社会の新視点:情報システムをめぐる社会過程』情報処理学会研究報告,情報システム研究報告. ・近藤悟(1992)『技術予測の考え方と活用法̶デルファイ技術予測を中心にして̶』研究技術計画,研究・技術計画学会. ・金間大介(2010)『自然科学分野のおける科学技術予測手法の近年の適用傾向』研究技術計画,科学技術政策研究所. ・湊晋平(1981)『政策科学展開の場としての未来予測(<特集>政策科学の展開と手法)』オペレーションズ/リサーチ:経営の科学,社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会. ・Alvin  Toffler,  “The  Third  Wave:  The  Classic  Study  of  Tomorrow”  Bantam  Books,  1980.  (邦訳:徳岡孝夫翻訳『第三の波』中央論新社,  1982年.) ・Wiebe  E.  Bijker,  “The  Social  Construccon  of  Technological  System”  The  MITPress,  1989. ・Thomas  Samuel  Kuhn,  “The  Structure  of  Sciencfic  Revolucons”  University  ofChicago  Press,  1962.  (邦訳:中山茂翻訳『科学革命の構造』みすず書房,  1971年.  ) ・Daniel  Bell,  “The  Coming  of  Post-­‐Industrial  Society:  A  Venture  in  Social  Forecascng”  Basic  Books,  1973.  (邦訳:内田忠夫翻訳『脱工業社会の到来―社会予測の一つの試み(上・下)』ダイヤモンド社,  1975年.)  ・Moore,  Geoffrey,  ”Crossing  the  Chasm:  Markecng  and  Selling  High-­‐tech  Products  to  Mainstream  Customers”,  Harper  Business  Essencals,  1991revised  1998.  (邦訳:川又政治翻訳『キャズム』)翔泳社,2002年.) ・Michael  L  Dertouzos,  “What  Will  Be:  How  the  New  World  of  Informacon  Will  Change  Our  Lives”  HarperOne,  1997.  (邦訳:伊豆原弓翻訳『情報ビジネスの未来』阪急コミュニケーションズ,  1997年.) ・Ray  Kurzweil,  “The  Singularity  Is  Near:  When  Humans  Transcend  Biology”  Viking  Adult,  2005.  (邦訳:井上健監訳他『ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき』日本放送出版協会,  2007年.) ・藤原洋『科学技術と企業家の精神』岩波書店,  2009年.

参考文献