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自己紹介 • RobinBoucher(ブーシェ ロビン)• GREEVRStudio所属• ゲームを作るエンジニア• 今は主にUnityを触っており、Unity歴は3年ほど• 2015年にVR開発に関わるようになる• TGS2015用VRデモ「サラと毒蛇の王冠」の開発に参加• 「TomboftheGolems」ではプログラム全般を担当
• ゲームプレイは魔法の杖で出現する敵を撃退する FPS• ヘッドトラッキングでカメラの向きをコントロールする• タッチパネルをタップすることで魔法の杖で攻撃(射撃)• GearVR にはポジショントラッキングがないので、カメラ
位置はステージ中心に固定されており、プレイヤーが任意に動かすことはできない(重要)
戦闘のポイント• 普通のFPSのように、銃弾が飛び交うゲームではない• 敵は近接攻撃や、大きく遅い飛び道具で攻撃する• エフェクトやHUD演出などでごまかせる銃撃とは違い、
敵の攻撃がこちらにヒットするのをはっきりと見せなければならない
• 小型の敵の近接攻撃や、飛び道具の表現はそんなに難しくない
• 小さい敵はとりあえず目の前まで移動させて攻撃モーションを再生するだけで VR空間でもそれっぽく見える
この攻撃中の敵はカメラから2m離れた位置にいる
• 被弾時には、煩わしくない程度の画面効果を使用• 密閉されたVR空間内では画面フラッシュなどを不快に
感じる方がいる• このダメージエフェクトも画面端のみが赤く点滅するよう
にし、画面中央はあまり派手に変化しない
• 「大型の敵を出そう!」と決まった時に頭をよぎったのが「殴られるのをしっかり見たい!」という欲求
• 当時公開されていたVRコンテンツだと、寸止め演出が多かった
• 例えば恐竜に襲われる体験だと・・・• 至近距離まで近づいてくるが、吠えるだけで何もしない• 本当に食われるが、噛みつかれる寸前でブラックアウト• 「食われる!」と盛り上げておいて、何も起こらないので
興醒めする• この残念感を避けたかった
• VR空間で見てみると、「当たってないじゃん」とバレる• まあ、実際当てていないので当たり前
• 酔いの関係でヒット時にカメラを揺らす、といった演出も使えないのでごまかしが効かない
• 砂埃などのエフェクトでヒットの瞬間を隠す手もあるが、いかにも「隠してます」感が出るのでやりたくなかった(個人的ワガママ)
• GearVRにはポジショントラッキングがないので、カメラ位置が固定されている
• このため、モーション側が胴体の位置を事前に知ることが可能
• カメラにめり込まない上、現実での身体の一部となる位置を狙うため、攻撃を受ける感覚も出せた
• 成功したアプローチのひとつ
応用編• これまでのスクリーンショットに出てきたボスは、最終的
には近接攻撃をしない敵になってしまった• 代わりに別の大型ボスが近接攻撃をするようになった
ので、それまでの試行錯誤を活かすことができた
• 以前のボスは巨大な拳で殴ってきたので、その形状からカメラがめり込んでしまう範囲が非常に広かった
• 新ボスの武器は細長い剣のため、めり込む範囲が狭くなった
• めり込み自体が発生しにくくなった上、2,3フレームくらいならカメラを貫通してもすぐ外れるのでプレイヤーが気づきにくい
• しかし、剣が細長いので、しっかりカメラの中心位置を狙わないと横にそれてしまう
• その場合、寸止めパンチと同様に、「当たっていない」と認識されてしまう
• カメラ位置が固定なのを利用して、モーション側で頑張ってもらう
余談 (時間があれば)• PSVRのデモ「TheDeep」をプレイした時の小話• SCELondonStudioが開発• 海中を檻の中から鑑賞する体験コンテンツ• クライマックスではサメに檻を食い破られてしまう• hRps://www.youtube.com/watch?v=_WzpLtCw9r0
• キャリブレーションに失敗しており、カメラ位置が前方にズレていた
• 結果、本来は「目の前の檻に噛みついてくる」演出が「プレイヤーに直接噛みついてくる」演出になってしまった
• 特にカメラより下(胴体部分)を食われる感覚は強烈• 意図した体験とは違ったが、絶大なインパクトがあったと
同時に、直接攻撃の表現のヒントになった
最後に• ちょっとカメラがめり込んだり、ちょっと軌道がそれている
攻撃を当たった判定にした場合、普通のゲームでは見過ごすことができても、VR空間ではかなりの違和感となり、気になってしまう
• この問題は、HMDでテストプレイすれば、すぐに気づく• プログラマー以外にも、アーティスト・ゲームデザイナー
など、すべてのスタッフが自分の作ったものをVR空間内で確認できる環境があることが大切
• 当てにいく直接攻撃は頭より下を狙うと効果的