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環境の時代、発展する企業は 「人づくり」から。 受賞取組 環境 人づくり企業大賞 2015 主催 環境省、環境人材育成コンソーシアム(EcoLeaD) 後援 一般社団法人日本経済団体連合会、公益社団法人経済同友会、日本商工会議所 協力 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、 NPO 法人持続可能な開発のための教育推進会議、日本環境教育学会、 サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク

「環境 人づくり企業大賞2015」受賞取組事例

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環 境 の 時 代 、 発 展 す る 企 業 は

「 人 づ く り 」 か ら 。

受 賞 取 組

環境 人づくり企業大賞 2015

主催 環境省、環境人材育成コンソーシアム(EcoLeaD)

後援 一般社団法人日本経済団体連合会、公益社団法人経済同友会、日本商工会議所

協力 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、

NPO 法人持続可能な開発のための教育推進会議、日本環境教育学会、

   サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク

目次

1. 「環境 人づくり企業大賞」開催趣旨 ................................................................... 1

2. 「環境 人づくり企業大賞 2015」の実施にあたって ................................ 2

3. 受賞企業一覧 .................................................................................................................... 3

4. 受賞取組 ............................................................................................................................. 5

「環境大臣賞」受賞取組 ................................................................................................................ 5

「優秀賞」受賞取組 ......................................................................................................................... 9

「奨励賞」受賞取組 ...................................................................................................................... 15

5. 審査委員 ......................................................................................................................... 20

1

近年、地球環境問題が深刻化する中で、これまでの社会構造や産業構造の転換を

通して、低炭素社会・循環型社会・自然共生社会を統合的に実現し、地球環境と調

和した持続可能な社会を構築することが私たち人類の共通課題になっています。

持続可能な社会を実現するためには、私たち一人ひとりが地球環境問題をはじめ

とする社会の諸課題の現状を理解し、自ら考え、主体的に行動することが必要です。

また、社会全体で取組を進めるためには、企業、NPO・NGO、学校、行政等の多様

なステークホルダーが協働して、社会のあらゆる場で持続可能な社会の担い手とな

る人材の育成に取り組むことが必要です。

なかでも、企業は社会経済システムの中で主要な役割を担う存在であり、その社

会的責任を果たす上で、このような取組を積極的に進める必要があります。また、

企業が自らの将来を考える上でも、経営の中に積極的に環境の視点を取り入れ、新

たな企業価値を創出していくことが求められています。そのためには、企業におい

て、その担い手となる人材を育成していくことが重要です。

本表彰では、地球環境と調和した企業経営を実現し、環境保全や社会経済のグリ

ーン化を牽引する人材、すなわち環境人材の育成推進を目的に、自社社員を対象と

した優良な取組を行う企業を表彰します。

注)本表彰でいう「企業」とは営利企業のみならず、公益法人、独立行政法人等を含む広義の

事業者という意味である。

1. 「環境 人づくり企業大賞」開催趣旨

2

「環境 人づくり企業大賞 2015」は、平成 27 年 10 月 13 日(金)から平成

28 年 1 月 13 日(水)にかけて募集を行い、大企業区分 29 件、中小企業区分 20

件、あわせて 49 件の応募がありました。

審査委員による審査を経て、それぞれの区分において、以下の賞を決定しました。

環境大臣賞 1 件

優秀賞 5 件

奨励賞 8 件

環境大臣賞 1 件

優秀賞 6 件

奨励賞 2 件

2. 「環境 人づくり企業大賞 2015」の実施にあたって

【大企業区分】

【中小企業区分】

3

環境大臣賞

社会医療法人河北医療財団 “環境プロモーター”による全員参加型の環境活動

優 秀 賞

MS&AD インシュアランス グル

ープ ホールディングス株式会社

環境 ISO およびグループ独自の EMS「MS&AD み

んなの地球プロジェクト」の取組

大阪信用金庫 「花咲かしんきん運動」展開による全職員の環境問題

への取組

佐川急便株式会社 『全ての従業員が参加する環境行動の実践』

大和ハウス工業株式会社 ECO サポーターによる事業所での環境活動の推進

株式会社日立ソリューションズ 環境に配慮した ICT システム・ソリューション開発・

サービスの提供ができる人財(SE)の育成

奨 励 賞

朝日工業株式会社 朝日工業グループの環境教育

アサヒビール株式会社 日本の環境を守る 若武者育成塾

株式会社エステム 水を中心とする環境文化と安全で快適な自然環境の創

造を通じて社会に貢献します

NEC プラットフォームズ株式会社

掛川事業所 全社一丸となった環境経営活動の取組

JR 東日本メカトロニクス株式会社 JR 東日本メカトロニクスの「環境・エネルギーに関す

る人材育成」

株式会社ダイフク “ダイフクエコアクション制度”による従業員の環境

マインド醸成

株式会社マルハン 社員1人ひとりの意識改革による ECO活動

三菱電機株式会社 自然からまなぶエコロジー教室「みつびしでんき野外

教室」 社員リーダー養成と環境マインド育成

3. 受賞企業一覧

【大企業区分】

4

環境大臣賞

株式会社中特ホールディングス 「私たちは生活環境革命で人々を幸せにします」

~中特グループ~

優 秀 賞

伊藤鉄工株式会社 環境人間の育成を江戸しぐさから学びオンリーワン企

業を目指す

株式会社KAITO 海人(かいと)から環境人(かんきょうびと)へ

株式会社セリタ建設 社員力を上げる CSR 活動!

日本ウエストン株式会社 主役は社員。ISO14001 環境マネジメントシステム

の活用で社員力アップ大作戦。

福井環境事業株式会社

二日市リサイクルセンター

従業員一人ひとりの環境意識を地域社会へ

~福井環境事業の取組~

来ハトメ工業株式会社 環境知識だけではもったいない!人も育てる環境教育

をめざして

奨 励 賞

株式会社GE ブランド価値の向上

株式会社ツルオカ 個々コミット活動:ヒトの力 UP(産廃スペシャリスト

への道)

【中小企業区分】

受賞取組の詳細は以下のウェブサイトで公開しています。

●詳細:http://www.eco-lead.jp/commendation/history/winner2015/

5

目的

河北医療財団は、1990 年に財団の理念として「社会文化を背景とし 地球環境と

調和した よりよい医療への挑戦」を掲げ、1997 年京都会議(COP3)が開催され

た年に ISO14001 認証取得に向け財団環境マネジメント室を発足、1998 年には

国内の病院で初めて ISO14001 認証を取得し、環境マネジメントシステムを導入し

た。その環境活動の取組の推進役として“環境プロモーター”を財団全組織に配置し

環境活動を推進している。

概要

私たちは、地球環境保全を強く意識し、本業である医療にも反映させていくことが

重要であると考えています。そこで、財団理念にも地球環境に関する文言を入れ、職

員が一丸となって地球環境保全への取組を行うことを宣言しています。また、毎年、

財団全体での環境保全のための重点テーマ①環境意識の高揚・教育②社会貢献③省エ

ネルギー④リサイクル⑤廃棄物の適正処理および減量を定め、環境プロモーターは、

そのテーマを基に各部署で独自の取組を行う等、全員で継続的な環境保全活動に取り

組んでおります。

環境プロモーターの育成としては、環境活動を推進するための「環境プロモーター

の手引き」を受講し、各部署の環境プログラムを設定、毎月その部署の活動・評価を

して、次月につなげて行くプログラムを動かしています。そして、年 1 回の外部監

査、全部署への内部監査による評価を受け、改善に取り組みます。このマネジメント

サイクルのなかで、環境においても医療においても積極的にプロモーターは活動して

おります。

所在地 東京都杉並区阿佐谷北 1-7-3

業 種 医療・福祉業

社員数 1,693 名

ウェブサイト http://kawakita.or.jp/

4. 受賞取組

「環境大臣賞」受賞取組

6

環境マネジメント組織図

(環境プロモーターの位置づけ)

環境プロモーター会議の一場面

(各部署の環境活動について意見交換)

審査委員からの講評

国内の病院として初めて ISO14001 を取得したという気概があり、各部署に環境

プロモーターを配置して、医師、看護師、技師、事務員の全員参加型の活動を積極的

に展開している点が高く評価できる。

自社の社会的な立場や課題を踏まえ、医療廃棄物の排出削減の目標を掲げた活動を

実施したり、病院で出る生ゴミの循環型リサイクルを進めたり、また、敷地内の緑化

活動や美化活動を進めたりする等、多方面にわたるプログラムを展開し、全職員を巻

き込んだ活動となっている。また、毎週発行されている環境ニュース ISOS は環境分

野の専門的な話題を解りやすく職員に伝える工夫がされており、担当者の想いを感じ

させる。アラウンド杉並健康ライフやKid’s 院内ツアー、環境ウォーキング等の地

域住民との交流や、アスクル株式会社といった他社と連携した環境取組を積極的に進

めている点も評価できる。

医療法人として他社のお手本になる優れた環境人材育成活動だといえる。完成され

た取組といえるが、さらに職員それぞれの職種や専門性に応じた教育が加わると、よ

り体系化され、一層のレベルアップが図れるのではないだろうか。

7

目的

地域に暮らす人々のお困りごと相談からグローバルな環境改善まで、中特グループ

は地域社会に強く必要とされるために、環境のこと・社会のこと・子どもたちのこと・

未来のことを考え、社員一丸となって取り組んで行きます。快適環境を創造すること

から、生活環境革命として現状を打破する意気込みで、限りある資源を大切にしなが

ら、より良い環境を作り育てるために、そこにある多くの笑顔を次世代へつなぐため

に挑戦して行きます。

概要

グループコンセプト「私たちの生活から出たものすべてを適正に処理する」に沿っ

て、さまざまな廃棄物を可能な限り有効活用しそれを社会に還元することで、次世代

の環境を守るべく社員一同活動しています。人づくりでは、社会に役に立つ・強く必

要とされる人材となるように各人の能力向上に加え、周りの人に感謝の念を持つ・人

間性を磨くことに重点を置き、企業活動の各分野では、快適環境創造企業として地域

社会に貢献することを目指し、地域社会の住環境・社会環境改善からリサイクル・

CO2 削減等グローバルな環境改善まで幅広い環境向上に取り組んでいます。

廃棄物の処理事業と下水道事業を柱にあらゆる生活環境の向上改善を図る事業活

動、地域の高齢化問題等にも対応するポータルハートサービス事業、地域社会への恩

返しの意味での各種清掃活動・環境啓蒙活動・イベント活動等、さまざまな企画を行

い実践しています。

所在地 山口県周南市大字久米 3078-1

業 種 廃棄物処理業・リサイクル業

社員数 (連結)95 名

ウェブサイト http://www.chutoku-g.co.jp/

8

中特アカデミー開講

企業理念・未来創造プラン達成のために こどもっちゃ商店街 環境学習・分別体験

審査委員からの講評

同社では 2015 年度から、グループ全社員を対象とする「中特アカデミー」とい

う単位制の講座(必須 4 科目、選択 3 科目)を新たに開講し、社員教育を行ってい

る。選択科目では、各部門の社員に企画と講師を担当させることで、受講者側、講師

側の双方の立場から学びを深められる取組となっており、独自性の高い取組である。

今後さらに科目や内容の充実、拡大を予定しており、取組をさらに改善する姿勢を高

く評価したい。

また、グループで 100 名に満たない中小企業でありながら、地域に密着したさま

ざまな環境・社会活動を実施しており、その中で社員の研鑽を図っている。地域貢献

という面でも高く評価できる。

多岐にわたる取組を行っているため、それぞれの取組内容がやや薄い印象である。

それぞれの取組をより進化させるとともに、体系的に結びつけることで、相乗効果も

期待できるのではないだろうか。さらに創意工夫を重ね、地域中小企業のベストプラ

クティスとなるような中特グループの環境教育を確立していただきたい。

9

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社

環境 ISO およびグループ独自の EMS「MS&AD みんなの地球プロジェクト」の取組

連結で約 38,000 人という大きなグループ企業全体で、全社員教育(e ラーニング、年 2

回エコスマイルチェック)、独自の環境マネジメントシステムである「MS&AD みんなの地

球プロジェクト」推進教育、環境 ISO推進教育、月 1 回の eco ニュース(社員・顧客向け)

発行や水辺の生物保全活動ラムサールサポーターズの活動等、多岐にわたる教育活動を実践

している。こうしたさまざまな活動は、環境配慮に対するグループ全体の組織文化醸成に大い

に役立っているものと思われる。

また、「COP21パリ行動誓約」に基づく行動計画や「国連責任投資原則(PRI)」に基づく

投融資活動に関する取組等、環境分野の最新動向や本業に関わる内容に対して、いち早く対応

し、今後の教育に反映させる予定である。大きな組織が、環境面から個々の人の成長を支援し、

環境と業績の両面から成果を上げるチャレンジとして、今後ますますの発展を期待したい。

大阪信用金庫

「花咲かしんきん運動」展開による全職員の環境問題への取組

「花咲かしんきん運動」の取組内容は、主に各支店の環境緑化活動が中心であり、支店とし

ての快適な空間作りを目指したものである。この取組では、若手職員が運動の中心を担ってお

り、取組を通して PDCA に基づく業務改善の訓練が行われているとともに、金融業に大切な

ホスピタリティの精神も養われており、環境活動を職員の業務能力の向上にまでつなげてい

る点を高く評価したい。また、各支店に評価の仕組における独自性や取組の継続性についても

評価したい。

加えて、環境マネジメントシステムであるエコアクション21の認証取得を取引先に積極

的に働きかけており、取引企業の環境経営の推進や事業のグリーン化にも貢献している点も

高く評価できる。

今後は地域の信用金庫として、どれだけ地域の方々や団体と結びつき、そして環境への取組

を広めることができるかという点に期待したい。

【大企業区分】

「優秀賞」受賞取組

10

佐川急便株式会社

『全ての従業員が参加する環境行動の実践』

本業と関係した環境意識の醸成を「低炭素社会への貢献」をテーマとして、全社員、その家

族および社内外の小学生を対象として行っている。このように、本業に基づきながら、主体的

に環境行動ができる人材育成を目指していることは高く評価できる。

CO2 削減は物流分野にとって重要な課題であり、同社では 2014 年度から定量目標とし

て「エネルギー消費量 1%削減」を掲げた活動を展開している。1%削減を全社員に意識させ

るための教育や、エコドライブ指導人材育成のための独自資格制度を策定したり、エコドライ

ブ推進のための全国コンテストや表彰制度等を実施し、事業所においては、毎月のテーマにあ

わせて環境活動を行う等、社員のモチベーションを高めるさまざまな工夫がされている点も

評価したい。

取組の効果をより一層高めていくためには、エコドライブ指導人材の育成のように、社員そ

れぞれの職種や専門性に応じた教育を組み込み、より体系的な教育体制を構築していくこと

が有効ではないだろうか。同社の取組のさらなる充実と発展に期待したい。

大和ハウス工業株式会社

ECO サポーターによる事業所での環境活動の推進

2014 年度からの実施であり、まだ取組開始から日が浅いが、全国 94 箇所ある事業所で

任命された ECO サポーターが中心となった、しっかりとした環境活動の体制を構築してお

り、全社的な取組となっている点は大いに評価できる。

具体的には、本社・本部が主導で行っている環境行動計画を受けて、ECO サポーター自ら

が事業所にあった「事業所 ECOプラン」の作成、取りまとめを実施している。また、環境活

動の推進のために適切な環境活動評価「あなたの事業所の ECO診断」の実施や、取り組んだ

活動を本社・本部が発信する社内報「ECO プレス」への投稿も行っている。

ECO サポーターは、本社・本部からの指示をそのまま受け止めるのではなく、各事業所に

あった環境活動を自ら考え、実施し、評価までを行っている。このしっかりとした PDCAに

基づく取組を通して、主体的に行動する環境人材の育成につなげている点が非常に高く評価

できる。

今後は、各事業所の取組に社員の家族や地域社会の方々等、社外を巻き込むことで、事業所

ごとの独自性が生まれるとともに、より社会的に広がりのある取組へと発展していくのでは

ないだろうか。取組の継続的な実施と、さらなる改善に大いに期待したい。

11

株式会社日立ソリューションズ

環境に配慮した ICT システム・ソリューション開発・サービスの提供ができる人財(SE)の

育成

システムエンジニアに対象が限定される取組であるが、連結社員数の 3 割強となる約

4,000 人が受講しており、全社的な取組となっている点が高く評価できる。講座 1 回の学習

時間は 3 時間と限られているが、その中に知識習得だけでなく、受講者が自ら考え、成果物

を作成し、その成果物を実際のプロジェクトに活かすというプロセスがある。結果として、エ

コマネジャー認定者数と同社の環境適合製品が比例して増加しており、環境教育が本業に直

接結びついている点も素晴らしい。また、製品・サービスの開発効率の向上や信頼性の向上等、

環境面以外からも効果があがっており、社内での評価も高く、社員の取組参加への積極性も感

じられる。

今後は、現在の取組をベースとして、エコマネジャー認定者のさらなる向上を目指した取組

に発展させていくことで、人材育成を軸に、環境配慮ができるモノづくりの体制を、さらに強

固にしていけるのではないだろうか。より一層の発展に期待したい。

12

伊藤鉄工株式会社

環境人間の育成を江戸しぐさから学びオンリーワン企業を目指す

エコ会議の中で数カ月に 1 回「江戸しぐさ」という人への心遣いを取組テーマとして設定

し、実践した内容を全員で発表している。全社員により日々の業務、コミュニケーションの中

で取り組まれており、環境教育を超えた CSR 教育、さらにモラルアップ教育となっている。

個々の実践状況を発表することにより、PDCA に基づきながら個人の成長を促している点も

素晴らしい。会議の議事録からも、活動が積極的に行われており、成果が出ていることがうか

がわれる。また、取組の改善も積極的に行われており、今後、同社独自の「伊藤鉄工しぐさ」

を作成する計画もある。

中小企業においても、工夫により全社員の CSR 教育が可能であることを示しており、人と

しての成長も目指した好例となっている。「伊藤鉄工しぐさ」の作成により、さらに独自性を

高めたオンリーワンの活動となることを期待したい。

株式会社KAITO

海人(かいと)から環境人(かんきょうびと)へ

業務内容が直接的に自然環境と関わっているが、ボランティア活動や日常の業務を通じて

自然環境を「職場」から「大切な場所」へとしっかりと意識変革されている点は、特に秀逸で

ある。

潜水作業全般を担う本業の特殊な技術を活かし、海中での清掃活動やビーチのクリーンア

ップを 2001 年から積極的に行っており、地域の方々が安全に海を楽しむ環境づくりに貢献

することを継続する中で、2015 年には新社屋に薪ストーブを導入。自然からの恩恵を肌で

感じ取り、かつ、その薪ストーブは社員間のコミュニケーション向上にも一役買っている。さ

らに、出てきた灰を活かした畑づくりにチャレンジする等、循環型のストーリー性が素晴らし

い。

机上の理論だけでなく、社内と地域で実践されている取組は、会社としての大きな強みにな

ると考える。今後の同社の取組に注目したい。

【中小企業区分】

13

株式会社セリタ建設

社員力を上げる CSR 活動!

小規模な地域の建設会社として、地域と共存しながら環境保全活動を進め、社員が参加する

ことで環境意識の向上を育んでいる。社員が自ら行動に移す取組となっていることも高く評

価できる。自社だけでなく地域との連携、ステークホルダーとの協働は、小規模な企業の取組

として他社の手本となる取組である。

また、取組を一般的な CSR 活動の枠に収めるのではなく、さらに 6 次産業化までを図って

いる点は、社員の取組参加へのモチベーションを高めるとともに、環境意識の向上にも役立っ

ているものと思われる。

今後、これまでの取組の改善・発展とともに、新たなプロジェクトの実施を計画しており、

取組の幅をさらに広げようとする姿勢は高く評価できる。

地域社会への環境保全効果と、その自社へのフィードバックの状況が明確となるとさらに

充実した取組になるのではないだろうか。さらなる発展に期待したい。

日本ウエストン株式会社

主役は社員。ISO14001 環境マネジメントシステムの活用で社員力アップ大作戦。

同社では、2000 年に取得した ISO14001 を事業活動に活かしながら、社員に対しても

環境マネジメントシステムの理解と事業との統合を求める教育を実施してきた。継続して全

社員に年 1回、外部講師を招いての研修会を行い、環境マネジメントシステムへの理解と日々

の実践につなげる取組は高く評価できる。

研修会に加え、地域での清掃活動を積極的に展開しており、また、社内のトレイ清掃等も行

動へとつなげる機会として実践している。身近で地道な清掃が人づくりの面で大きく寄与し

ていると言えるだろう。

また、環境整備を中心に活躍した社員を表彰する制度や、陰ながら素晴らしい活動を行う社

員を社長に直接伝える「グッドジョブカード」といったユニークな取組を通して、社員のモチ

ベーションを高めるさまざまな創意工夫が見られる点も素晴らしい。

今後こうした社内風土を活かして、社員の内発的な学びと実践の展開が生まれてくること

を期待したい。会社主導から社員主導へ移行することで、自発的で継続する学びの風土ができ

るのではないか。

14

福井環境事業株式会社 二日市リサイクルセンター

従業員一人ひとりの環境意識を地域社会へ~福井環境事業の取組~

社内での環境教育として、毎月行う全体集会や部門別勉強会には、パート職員を含めた全社

員が参加しており、全社的に環境意識の浸透を図っている点を評価したい。

社員の実践の場として、社員講師による地域住民、企業や小中学校等を対象とした市民見学

会や出張講演会の実施している。教える側を経験させることで、社員の学びの定着化や、自主

的な学びを促している点は評価できる。

環境意識の高まりから、社員から積極的に環境改善に関する提案がされており、排水処理汚

泥の再資源化といった新たな取組につなげている点は高く評価したい。

ここ数年は取組がマンネリ化してきている印象である。社外の情報を積極的に取り入れる

とともに、社員の自発的な学びや行動を引き出せるよう教育手法を取り入れる等、さらに工夫

し、社員一人ひとりのさらなるレベルアップを図っていただきたい。

来ハトメ工業株式会社

環境知識だけではもったいない!人も育てる環境教育をめざして

同社では、環境教育を実施する際、テーマごとに担当する社員自らが講師をつとめて、講師

となる社員の自発的な学びを促している。また、できるだけ多くの社員が講師を経験できるよ

う配慮されており、環境に関する意識啓発や知識習得だけでなく、プレゼンテーション能力と

言った業務能力の向上にもつなげている点が素晴らしい。

これまでにも、多岐にわたる環境教育の取組を展開していたが、今年度から業務に直接関連し

た化学物質に関する教育や節水に関する教育を開始しており、環境教育実践への強い積極性

が見られる。

また、外部の環境関連セミナーに出席した社員は同社の QC 会議にて参加報告を行い、積

極的に社内での情報共有を図っている点も非常に評価できる。

今後は、さらに環境教育の質を高めるとともに、社外まで視野を広げ、机上で学んだことを

より深く理解するための実践の機会をつくるとともに、地域市民や団体との協働等を図るこ

とで、さらに取組の幅を広げていっていただきたい。

15

朝日工業株式会社

朝日工業グループの環境教育

環境の基礎知識習得のため、社員の eco 検定取得を推進している。勤務体制により受験で

きない社員を対象として、社内エコ検定という仕組をつくり、全社員が教育を受ける機会を設

けている点は評価できる。また、長年継続して、環境推進責任者による 5S 活動、環境表彰制

度や環境ボランティア等を実施しており、継続的に社員の環境意識の浸透を図っている点は

高く評価できる。

eco 検定及び社内エコ検定の取得者が社員の 7 割程度に達していることから、取組を次の

ステップに進めるべきだろう。取得者のさらなる向上を目指した研修や環境活動の実施を期

待したい。環境教育の中に、社員自らが環境改善等を考え、会社に提案するプロセスを設ける

ことで、社員のモチベーションもさらに向上し、攻めの姿勢で環境と本業との一体化を目指す

ことができるのではないだろうか。より一層の活動の進化に期待したい。

アサヒビール株式会社

日本の環境を守る 若武者育成塾

同社の若武者塾は高校生を対象とした教育プログラムである。プログラムはよく練られて

おり、参加する高校生が自ら考えて、アクションプランを作り、実践成果を発表するという流

れを通じて、環境問題の本質を学べるようになっている。

チームアシスタント制度によりプログラムに参加する社員が、高校生とのふれあいの中で、

刺激を受け、自らの環境意識を高めるとともに、業務に対する意識も高める機会となっている

点は高く評価できる。また、約 10 年間取組を実施してきた継続性や取組の改善性、NPO 等

との連携に評価できる点がある。

一方で、社員教育という視点で見た場合、社内の有志ボランティアおよび担当部署社員・工

場担当者等の限られた者しか参加しておらず、企業が行う社員教育としては、物足りない印象

である。

今後は、この取組を社員教育の中で、どのように位置づけるのかを明確にし、体系化を図る

とともに、取組から得た社員の学びを企業活動に結びつけていく視点が必要となるだろう。よ

り一層の発展に期待する。

【大企業区分】

「奨励賞」受賞取組

16

株式会社エステム

水を中心とする環境文化と安全で快適な自然環境の創造を通じて社会に貢献します

水処理事業を行う同社では、1991 年と早い時期から環境への取組を始めている。毎年 1

回、外部講師を招いての環境フォーラムを 500~600 人規模で開催し、ここに社員の 2 割

方(約 100 名)が参加している。90 年代から国内外での植林・育林活動にボランティア参

加する仕組を展開しており、国内取組では、社員家族の参加や地域の NPO と協働して展開す

る等、社会的に広がりのある取組となっている。また、日常的な形で社員が地域の清掃活動に

参加しており、地域根ざした取組となっている点も評価したい。

同社からは、組織として地域環境に貢献しようとする強い意志が感じられ、社員にも十分に

浸透していることがうかがえる。25年もの間、取組を継続することができたのは、常に PDCA

に基づき改善を意識しながら取組を発展させてきたためだと思われる。

今後は、これまでの成果を総括し、そこから何を得たのか、それを次にどのように活かすの

かを振り返ることで新たな学びが生まれてくるだろう。さらなる取組の継続とステップアッ

プを期待したい。

NECプラットフォームズ株式会社 掛川事業所

全社一丸となった環境経営活動の取組

全社員教育として e-ラーニングの実施や、職種・階層別に体系的に組み立てられた環境教

育を実施しており、継続的に社員の環境意識を行う体制は十分整っているものと思われる。

全社員教育については、受講率 100%を 7 年連続継続しており、環境意識の定着化が図ら

れているものと思われるが、内容がやや受身の印象を受ける。次のステップとして、教育内容

の中に、社員一人ひとりが自ら地球環境問題と事業活動との関係や環境改善等を考え出すプ

ロセスを含めることで、社員のモチベーションも高まり、より全社一丸となった環境経営推進

の活動となっていくのではないだろうか。

また、同社構内を利用した有機農園の活動やカブトムシの飼育体験を通した自然教育は、独

自性があり評価できる。社員やその家族のコミュニケーションの場となっている点も素晴ら

しい。環境意識啓発活動については、地域の清掃活動を除き、社員参加が限定的である点はや

や残念である。活動の範囲を地域社会にも広げていくことで、社員と地域との交流を図りなが

ら、さらなる環境意識の向上につなげていけるのではないだろうか。

17

JR 東日本メカトロニクス株式会社

JR 東日本メカトロニクスの「環境・エネルギーに関する人材育成」

主にエネルギーをテーマとして、新入社員、3 年目社員、課長クラスの 3 つの年次・役職

階層別の教育およびエネルギーの見える化による全社員の意識づけを行っている。

階層別教育は、対象者に応じた内容になっており、よく体系化されている。特に、3 年目社

員および課長クラスへの教育では、環境・エネルギー分野の最新情報が含まれており、さらに

3 年目社員教育では職場で活用できる省エネルギーアクションプランの作成、課長クラス教

育では機器の環境・エネルギー上の取組をグループワークを通して他部門と共有化する等、実

践的な内容となっている点が高く評価できる。

今後、教育の対象者を拡大する計画もあり、PDCA に基づく継続的な改善に努めている点

も評価したい。企業が行う階層別教育として他社が手本とすべき良い例となっている。

今後は、他業界の良事例に目を向ける等、社外の視点も取り入れ、さらなる創意工夫に期待し

たい。

株式会社ダイフク

“ダイフクエコアクション制度”による従業員の環境マインド醸成

社員や社員の家族に向けたエコアクションメニューには、同社独特のものがあり大変興味

深い。環境活動等に興味関心が薄い社員に対しても興味を引くための多くのフックが用意さ

れており、取組をきっかけとして、社員に環境への興味や関心を持たせられるよう、さまざま

な工夫がされている点が大いに評価できる。

また、社員が環境活動に取り組むことで獲得できる年間エコポイントは、地域で環境活動に

取り組む他団体の支援に使われており、その独自の仕組についても高く評価できる。

ただし、現時点では、会社としての CSR 活動や取組状況がどこまで社員に理解されている

か判断が難しい。もともと環境に興味のある社員が中心となって関わっている印象である。

今後の課題としては、社員に対するしっかりとした教育体系を構築するとともに、会社とし

て、どのような部分を理解してほしいのか、明確にしつつ実践されることに期待したい。

18

株式会社マルハン

社員1人ひとりの意識改革による ECO活動

取組内容は省エネが主なテーマであり、徹底的な省エネ活動を実施している。同社では、設

備投資だけに頼らず、地道な人づくりによる省エネ活動を掲げており、社員等に対する教育内

容には、省エネ活動からさらに進んだ上位の概念や世界的な動向までを含めて丁寧な説明が

なされている。取組を通して、社員等の環境問題に対する危機感や取組実施の重要性に対する

認識を与えており、実際に目に見える効果が出ている点は高く評価できる。

また、エリア会議勉強会は、全店舗の役職者を対象に行われているが、その役職者が講師役

となり、教育内容を各店舗の社員だけでなくアルバイトにも水平展開している点も評価でき

る。

今後は、取組の継続により、さらなる社内・店舗内の環境改善を行うことはもちろんだが、

社内・店舗内に留まらず、全国各店舗において、地域社会を巻き込んだ活動としていくことで、

店舗ごとの独自性が生まれ、活動全体にも多様性がでてくるだろう。店舗社員等が核となっ

て、地域社会の環境意識の向上や環境改善にも貢献するような活動となることを、ぜひ期待し

たい。

三菱電機株式会社

自然からまなぶエコロジー教室「みつびしでんき野外教室」

社員リーダー養成と環境マインド育成

同社では全社員への環境教育活動は別に行っているが、今回の応募取組の内容は、社員によ

る社外の親子、子どもを対象にした野外教育講座の実践である。社員の中でも有志のみの参加

ではあるが、リーダー養成講座の受講と、実際に子どもたちにふれあい、学びの場を提供する

ことを通して、参加した社員にとっても大きな学びの場となっている点は高く評価したい。

2006 年から継続した取組となっており、リーダー養成講座には、社員 350 名以上が参

加、野外教室の参加者が 13,000 人を超えており、社内外に環境教育を広く提供している点

や、参加した社員が次回の計画にもたずさわり、次世代のリーダー養成につなげている点は大

変評価できる。

リーダーを経験した後、個人の学びの深め方にはまだ工夫・改善の余地が残されている印象

である。同社で行われている他の社員研修や教育活動等にも、この取組で得られるノウハウが

活かせるのではないだろうか。今後は、取組のさらなる発展と社内全体への波及を期待した

い。

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株式会社GE

ブランド価値の向上

同社では、人材育成を企業のブランド価値向上の核に位置づけ、年間 30もの講習を社員が

講師となり実施している。社員は教える側、教わる側の両方から、環境に関する知識を深めて

いる。この講習では、それぞれの教育内容について、きちんと実施評価と次年度の計画が立て

られており、PDCA に基づく改善が積極的に行われている点が見てとれる。

また、社外の研修やセミナーに、積極的に社員を参加させており、社外の視点や環境分野の

最新の動向等の情報を、常に取り入れようとする姿勢も評価できる。

現在、外部コミュニケーションとして、学校団体等との協働した取組を展開しているが、今

後は、さらに社員の学びを実践する場として位置づけ、取組を発展・拡大されることに期待す

る。そうすることで、社員の人材育成を軸に、地域における同社のブランド価値がより高まっ

ていくのではないだろうか。

株式会社ツルオカ

個々コミット活動:ヒトの力 UP(産廃スペシャリストへの道)

同社は廃棄物処理を営む企業であり、社員には業務に関連する環境法令への専門的な知識

と心構えが必要となる。同社独自の産業廃棄物排出管理事務の手順書とそれに基づく社員の

人材育成を通して、実直にサービス品質の確立と信頼性の向上に取り組まれている点は大変

評価できる。

この手順書は産業廃棄物の基本的内容から実務における正確な知識まで、幅広くカバーす

るとともに、読み手の理解を深められるようよく工夫がされている。研修用テキストとしても

優れたものである。また、手順書に基づく勉強会では、グループワークを取り入れ、社員の主

体的な学びを促している点も評価したい。取組の開始からまだ日が浅いこともあり、勉強会の

参加社員が全体の 20%程度にとどまっている点はやや残念である。

今後は、より多くの社員に教育を受ける機会を提供するとともに、取組から得たノウハウを

基に、社員の職種や専門性に応じた環境教育の展開にもつなげていただきたい。また、手順書

の利害関係者への公開を予定されているが、より広く公開することにより、他企業の意識向上

にも貢献されることをぜひ期待したい。

【中小企業区分】

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(審査委員長・座長を除き 50 音順、敬称略)

奥 真美 首都大学東京都市教養学部都市政策コース教授(審査委員長)

池田 三知子 一般社団法人日本経済団体連合会環境本部本部長

石野 耕也 中央大学法科大学院教授、元環境省審議官

黒柳 要次 エコアクション 21 中央事務局参与、

東京商工会議所環境検定テキスト作成委員

後藤 敏彦 環境監査研究会代表幹事、一般社団法人グローバル・コンパクト

・ネットワーク・ジャパン理事

齋藤 弘憲 公益社団法人経済同友会政策調査部部長

佐藤 幸太郎 東京商工会議所検定事業部検定センター所長

重 政子 NPO 法人持続可能な開発のための教育推進会議代表理事

高橋 正弘 大正大学人間学部人間環境学科教授

星野 智子 一般社団法人環境パートナーシップ会議副代表理事

味埜 俊 東京大学大学院新領域創成科学研究科長

5. 審査委員

【審査委員会】

21

黒柳 要次 エコアクション 21 中央事務局参与、

東京商工会議所環境検定テキスト作成委員(座長)

阪野 朋子 NPO 法人サステナビリティ日本フォーラム事務局次長

瀬尾 隆史 公益社団法人日本環境教育フォーラム理事

鶴田 佳史 大東文化大学環境創造学部准教授

中山 孝志 公益財団法人キープ協会環境教育事業部キープ・フォレスターズ・

スクール担当

藤田 香 日経 BP 社環境経営フォーラム生物多様性プロデューサー

森 高一 NPO 法人持続可能な開発のための教育推進会議理事、

NPO 法人日本エコツーリズムセンター共同代表

【ワーキンググループ委員会】

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