Upload
masahiko-shoji
View
755
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
川崎市における 環境情報・写真データを用いたコミュニティ活性化の研究
国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター (GLOCOM)准教授・主任研究員
庄司昌彦 Masahiko Shoji1
背景:総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」ポスター
自己紹介はじめに…
2
3
- 情報社会学- 電子行政- オープンガバメント- 社会イノベーション- 地域情報化
地域資源を十分に活用し、
地域の課題を自分たちで解決していく社会
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授・主任研究員
一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン代表理事
内閣官房 IT 総合戦略室 オープンデータ伝道師総務省 地域情報化アドバイザー
タカノメを使った経緯4
川崎市環境総合研究所 環境技術産学公民連携公募型共同研究事業 (14,15)
環境情報・写真データを用いたコミュニティ活性化支援に関する共同研究
• 川崎市は公害を克服した環境先進都市だが、少子高齢化、単身世帯化、ライフスタイルの多様化等が進む今後は、地域コミュニティの協力関係が弱まり、環境保全など地域課題を解決する能力の低下が懸念。
• 本来は住民の協働で解決できる地域課題が行政に持ち込まれれば、行政・社会的コストが増大する。
• 環境等に関する社会的資源を活用し、地域の(環境)コミュニケーション活性化の効果的な方法やプロセスを確立する。
5
1. 社会的資源の再発見– 写真:川崎市の過去の風景写真
– 映像:市政ニュース・公害ドキュメントドラマ(環境の観点から再編集)
– データ:データカタログ(川崎市のオープンデータ+各種社会的データ)
– 人・組織:市内の環境関連以外の団体等との協力関係の構築
2. 社会的資源の活用– ウォッチソン(映像視聴+対話ワークショップ)
– 「環境 × 川崎の過去・現在」を対話するワークショップ
– 川崎国際環境技術展 2015 出展 等
6
写真出典:小串嘉男氏撮影(川崎市立中原図書館所蔵)
2014年度研究の成果
2015度研究のテーマ• 視点を「過去」から「現在」に移し、
身近な環境の「現在」を把握する。
• 現在の川崎市は過去の公害問題を克服しているが、 「路上ゴミ」は、市民にとって未だに身近な環境問題の 1つである。
• 身近な地域の路上ゴミの収集だけでなく、定量的な把握・分析・可視化と対話を行い、新たな人間関係の構築や環境に関する行動の誘発に資する「手法」を開発する。
7
現在の地域を知り、対話し、
関係を作る手法やプロセスの確立
1. 市政ニュース動画作成• 過去の川崎を知る社会的資源の作成
2. 現状調査とワークショップの開催• 「ゴミ拾いから地域を考え対話するワーク
ショップ」• 南・中・北部の現在のデータを作成。• 様々な手法で参加者間対話と考察を促進• 全 3回を通じて一定の方法を確立
• タカノメ調査• 先進技術で「現在」を知る社会的資源を作成
3. 総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」の開催• 全てのデータを紹介。• より多様な人々が対話し、関係を作り、行動も生み出すための WS
4. 情報発信• 国際環境技術展 2016• ウェブサイト作成
9
• 「ゴミ拾いから地域を考え対話するワークショップ」(市内 3ヶ所)
• 路上ゴミの種類、場所を、拾いながら定量把握・データ化。
• ピリカの調査・可視化手法を採用• 川崎のゴミの歴史を知る映像とゴ
ミ拾い調査の結果からを考察し、路上ゴミを減らす方法等を話し合うグループワークを実施。
• 市内の様々な分野のアクターとの協力関係構築– NPO 法人 FDA 、 NPO 法人グリーン
バード、カワサキノサキ等
2.現状調査とワークショップの開催
■ゴミ拾い調査手法• 地域のポイ捨てごみの数量を定量的かつ安価に調査するため
の調査手法はこれまで未確立• 鳥類や昆虫類の個体数調査に用いられる”ラインセンサス法”を参考にピリカが開発
■調査対象となる道路の選定方法1. 地域を代表する駅を選定する。2. ゼンリンデータコム社が提供する混雑度マップから駅近傍で最も滞在人数の多いエリアを選定。
3. エリア内で国道、県道、市道がバランスよく交じるように5道路以上を選定する。
10
2.現状調査とワークショップの開催
調査方法:調査対象となる道路で調査範囲 (10m) を決定
下記の条件を満たす 10mを選定する① 危険が無い場所② 人やお店に迷惑をかけにくい場所③ 植え込み、側溝がある場所④ ごみの集積所やごみ箱が無い場所⑤ 交差点以外の場所
調査方法:見えやすい場所、見えにくい場所に分けてごみを数え、結果をスマホアプリに入力
1. 大通りは道の片側のみを対象とする
2. 大通り以外は道全体を対象とする
3. 車道は歩道から約1m の部分までを対象とする
4. 基本的に歩道のみを対象とする
5. 歩道から奥まったところに施設がある場合、歩道から 1m のみを対象とする
対象とする道路上のエリア ゴミの分類• 大分類:
– 「見えやすい場所」
– 「見えにくい場所」
• 小分類:– 「タバコ」
– 「ガム」
– 「飲料・容器」
– 「その他」
※落ち葉などの自然のもの、へばりついてすぐには取れないガム、建物の中のゴミは除く
13
街の特徴が異なると考えられる川崎市南部・中部・北部地域から 1ヶ所ずつ代表的な
駅を選定し、周辺地域にて実施。
14
第 3回: 11月 3日 鷺沼駅周辺(宮前区)
第 1回: 10月 4日川崎駅周辺(川崎区)
第 2回: 10月 31日 新百合ヶ丘駅周辺 (麻生区)
ワークショップ開催地
各地点の調査結果
15
■新百合ヶ丘駅前
■新百合ヶ丘駅前
凡例( 10mあたりのポイ捨て数量)
■鷺沼駅前
■鷺沼駅前
凡例( 10mあたりのポイ捨て数量)
■川崎駅前
■川崎駅前
凡例( 10mあたりのポイ捨て数量)
東京 23区内の駅と川崎市内 3駅の比較
東京 23区と川崎市との比較
ゴミ拾い調査のまとめ
• 川崎駅前が最多
• 鷺沼駅が中間
• 新百合ヶ丘駅前が最少– 見えやすい場所に関しては、川崎駅
の約 10 分の 1 、鷺沼の約 2 分の 1– 見えにくい場所に関しては鷺沼と同程度
• 同じ駅前でも場所による差が存在– 川崎駅前:仲見世通り周辺
– 鷺沼駅:北改札と中央改札
• 駅ごとに最多のゴミの種類に差異– 川崎駅:たばこ(最多のことが多い)
– 鷺沼駅:ガム
– 新百合ヶ丘駅: 「その他」
• どの場所でも、ゴミがよく捨てられる場所がある– ゴミを呼び寄せる場所や構造物の
「デザイン」があるのでは?
• 対話を行うための工夫– 種類別、見えやすい/見えにくい場
所に分けて定量把握
– 地図上に可視化し駅・自治体を比較 24
ワークショップの内容
25
2.現状調査とワークショップの開催 フライヤー作成(第2・3回)
• 路上ゴミ問題をアピールするフライヤー(チラシ)を参加者の対話に基づき作成
• 路上ゴミに関心のない人々に訴求するポイントを考察し、多様な視点を獲得する機会とした。
26
2.現状調査とワークショップの開催 EmpatyMap と WhoDo• 誰が路上ゴミを捨てているのか、捨てないようにするためには誰が何をすればよいか
を参加者で考えるため、 2つのワークショップ手法を組合せた
• EmpatyMap (共感図法)– ゴミを捨てる人がどのような事を言い、考え、どのような生活環境にあるかを想像する
• WhoDo– EmpathyMap で想定した人が路上ゴミを捨てないようにするために、「誰が」「何をするべき
か」を考えることで、環境問題に関わる主体の多様性と具体的な行動を考察
27
2.現状調査とワークショップの開催
28
第1回
29
• ピリカ社の技術で川崎駅前青線部を調査(総延長約 10km )
• 路上ゴミをビデオカメラやスマートフォンのカメラで動画撮影
• 撮影した映像から、コンピュータの画像認識機能により路上ゴミを識別
• 路上ゴミの実態を網羅的に可視化
3. タカノメ調査の実施( 2015年 9月 27日)
調査方法:スマホ & デジカメで歩道を撮影
調査方法:画像解析システム「タカノメ」でごみを判別
歩道表面の画像をコンピュータで解析し撮影地点ごとに落ちているポイ捨てごみの種類や数を判別する
調査方法:目視で最終確認・修正
川崎駅前:たばこの分布
地図データ( Google,ZENRIN)
川崎駅前:たばこ以外のごみの分布
地図データ( Google,ZENRIN)
他地域と比較しても川崎のポイ捨ては深刻(左図:東京都表参道駅周辺のたばこ分布)
地図データ( Google,ZENRIN)
他地域と比較しても川崎のポイ捨ては深刻(左図:群馬県前橋駅周辺のたばこ分布)
地図データ( Google,ZENRIN)
タカノメの利点
• 全プロセスを人力で行うよりも、データ取得・分析・可視化を大幅に効率化。網羅性・客観性も高まる
• 一定範囲の地域の路上ごみデータの状況をヒートマップとして可視化することで、分かり易さが高まる
• 課題のある地域が明らかになるため、ワークショップ等での対話促進や次のアクションの誘発に貢献する
37
38
総括ワークショップゴミ拾いとマチのデザインの開催
• 日時: 2月 13日(土) 11:45-15:00
• 会場: ON THE MARKS KAWASAKI• 主催:国際大学 GLOCOM• 協力:川崎市環境総合研究所、 ㈱ピリ
カ、 ON THE MARKS KAWASAKI 、 一般財団法人カワサキノサキ、 NPO 法人グリーンバード 川崎駅チーム
39
●概要●「路上ゴミを減らすためのデザインとは?」「その中でゴミ拾い活動はどのような意味を持つのか?」を皆で考えた。話し合い際の素材として、市内3ヶ所で実施した路上ゴミ調査の成果も紹介した。
●プログラム●0. 10:00-11:00 :グリーンバード定例ゴミ拾い1. 11:45-11:50 :開催挨拶( GLOCOM 庄司昌
彦)2. 11:50-12: 00 :インスピレーショントーク
(グリーンバード 田村 寛之)3. 12:00-13:00 :ランチタイム ( 12:45
から参加者の活動アピールタイム4. 13:00-13:10 :これまでのワークショップの報告( GLOCOM 菊地映輝)
5. 13:10-13:45 :路上ゴミ調査と結果データの紹介(ピリカ 小嶌不二夫)
6. 13:45-14:55 :ワールドカフェ7. 14:55-15:00 :チェックアウト写真:公式フェイスブックページより
4. 総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」の開催市内在住・在勤者、環境問題に取組む市民団体、事業者等、より多様な人々と調査成果を共有することによる身近な環境への関心喚起、理解の深化、関係構築、行動誘発を目的として実施。
40
■当日の様子グリーンバード定例ゴミ拾い
開催挨拶
インスピレーショントーク
ランチタイム
これまでのワークショップ報告
路上ゴミ調査と結果データ
ワールドカフェ
チェックアウト
4. 総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」の開催
41
■ワールドカフェ : 「路上ゴミを減らすマチのデザインを考え
る」「空間」と「行動」のデザインについてグループディスカッションを実施
■ワールドカフェ : 「路上ゴミを減らすマチのデザインを考え
る」 セッション① 空間のデザイン「路上ゴミを減らすためのモノや場所のデザインとは?」
• 暗いところ、人目につきにくいところを減らす。• 市公認のゴミ箱を作ってもらう。• ゴミが集まるところ(捨てやすい場所)を設けて集中して掃除する。• ゴミ箱や灰皿をなくすほうがよいのでは? 自分のものは自分で持ち帰る!• 植え込みの背を低くする。柵を作らない。• 人の目を意識させる。• きれいなところには捨てにくい。• 仲見世通りは飲み屋街なので、事業ゴミの出し方にも問題があるので
は。• 家庭に持ち帰ってもらうために、おしゃれなエコバッグを作る。(衛生的でデザインも素敵なもの、持ち歩くのを習慣にしてもらう)
• 近づきたくなるゴミ箱を設置する。
4. 総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」の開催
■ワールドカフェ : 「路上ゴミを減らすマチのデザインを考え
る」 セッション② 行動のデザイン「路上ゴミを減らすためにはどんな仕組みやコミュニケーションが必要?」
• ポイ捨てしない宣言の入った格好いいエコバッグを持つ。• 子どもたちが掃除をしている姿を大人に見せれば抑止力になるのでは。• フラッシュモブ、ゴミ捨てエクササイズなど、楽しい形で発信していく。• ゴミ拾いは楽しい、人がつながるという点をアピールする。ゴミ拾い婚
活。• マイトング、おしゃれなゴミ袋などの格好いいグッズでゴミ拾いを
ファッショナブルに。• ポイ捨てをする人の罪悪感に訴える。• 清掃にどれだけ費用がかかっているかを公表する。
4. 総括ワークショップ「ゴミ拾いとマチのデザイン」の開催
• 「地域」コミュニティと「関心」コミュニティの交差– 「地域」に根ざしたコミュニティと、環境問題に対する共通の「関心」を持つコミュニティが交差し、さまざまな組合せで新たな活動が創発
共同研究成果をウェブサイトで発信http://www.glocom.ac.jp/project/kawasaki_time_machine/■コンテンツ• プロジェクト概要・研究項目• 共同研究の成果
• 中間報告・最終報告会資料• ワークショップ開催レポート• 路上ゴミマップ• ゴミ拾い調査結果データ
• 社会的資源• 愛好家が撮影した市内の過去の環
境がわかる写真等
44
情報発信
ウェブサイトの作成
今後の取組み予定地域を限定しデータ発掘・生成と環境コミュニケーションの方法確立に重点具体的な手法の詳細を Working Paper として2016年度早期に公開