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Code for Japan Summit 2015 Civic Tech 最前線〜世界の事例を学ぶ〜 マカイラ株式会社代表 藤井宏一郎

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Code for Japan Summit 2015Civic Tech 最前線〜世界の事例を学ぶ〜

マカイラ株式会社代表 藤井宏一郎

①市場の動向:拡大基調

②(高めに狙った)2016年予測キー   

ワードいくつか

③今後の課題:シビックテックが     

得意な分野・苦手な分野

④代表制民主主義について

⑤2016年米国大統領選挙に向けて

⑥おまけ(宣伝)

海外の動向:2015年の振り返り、2016年の予想

本格的な投資環境が整い始める

*2014年末Accelaの委託調査

http://www.govtech.com/budget-finance/6-9-Billion-to-be-Spent-on-Civic-Tech-in-2015-Report-Says.html

約3兆円

約7900億円

● 2014年9月、もとGoogle幹部のMegan Smith が米国政府の次のCTOに任命され

るーHealthcare.govの失敗から新たなスタート

● 2014年12月、Socrataが3000万ドルのファンドレイズに成功

● 2015年2月、もとTwitter幹部 のDJ Patil が米国政府の初代 Chief Data Scientist に任命される

● 2月、Accelaが史上最高額の14350万ドル(約177億円)の出資を受ける

● 4月、Tech Crunch記事「Civic Tech is Ready for Investment」● 6月、Forbes記事「Why Civic Tech is the Next Big Thing」● 6月、Urban Sustainability Directors Network (USDN)報告書

● 7月、Textizen がGovDeliveryに買収される

● 9月、GovTechが2300万ドル(約28億円)のGovTech Fundを立ち上げ

● 10月、Open Gov が2500万ドル(約30億円)の出資をAndreesen Horowitzより受

ける

市場規模拡大・本格的な投資環境が整い始める

(高めに狙った?)2016年予測キーワードいくつか

1.ビッグデータ・機械学習

2.ブロックチェーン

3.ドローン

4.標準化(Standardization)

5.調達(Procurement)

6.シェアリングエコノミーの課題克服

7.社会的インパクト投資

8.代表制民主主義

PDF2015などでの話題から

ブロックチェーン

● 「分散型で現在進行的に検証可能・保存可能な大型登録システムは何かの社会課

題に応用できないか」という問題意識

○ 途上国の土地台帳の整備

○ 途上国の選挙人名簿の整備

○ 難民などの個人情報・本人確認

○ 炭素排出権

○ 個人の健康・医療データ

○ 事故・災害等の写真・動画

2015年には、Consensus 2015, Personal Democracy Forum など、さまざまな場でブロッ

クチェーンのシビック・テック応用が議論された。

ドローン

ドローン

● 人道支援● 災害● メディア

標準化(Standardization)

● 複数の州や市町村がシビックテックを進めるにつれ、標準化の必要性が高まってき

ている。今後ますます課題になる。

○ GTFS(General Transit Feed Specification) ー 交通データ

○ BLDS(Building & Land Development Specification) ー 建築許可データ 

○ Open & Agile Smart Cities (OASC) イニシアチブは、フィンランド・デンマーク・

ベルギー・ポルトガル・イタリア・スペイン・ブラジルの7か国31都市で、スマート

シティ用のデータ標準化を合意。

調達(Procurement)

● 長年、シビックテックのボトルネックとなっていた調達問題だが、欧米の先進的自治

体で柔軟な試みが始まってきている。

○ 欧州の自治体と組んで調達改革の実績を積んだ

Citymart が、 Knight Foudationの出資を受けて9月

に米国進出。NYC、フィラデルフィア、サンフランシス

コ等5都市で活動予定。

○ マサチューセッツ州議会は、シビックテック企業と州

内の自治体とのパイロットプロジェクトを促進する

Innovative Communities法案を提出。現在審議中。

シェアリングエコノミーの課題克服

● 米国では、シェアリングエコノミーはGig Economy(単発仕事エコノミー)とも称さ

れ、労働者の保護と組織化が社会的テーマとなっている。

● さまざまなシビックテック系カンファレンスで、この問題が議論され、組織化された労

働者みずからがシェアリングエコノミー・プラットフォームを作る「共同組合型モデ

ル」の試みが広まっている。

社会的インパクト投資

● シビックテックと直接関係ないが、経済的リター

ンと社会的リターンの両立を目指す「社会的イ

ンパクト投資」という投資手法に世界的に注目

が集まっている。

● G8インパクト投資タスクフォースの設置を受

け、日本でもタスクフォースが立ち上がった。

● その他、ソーシャルインパクト・ボンドや休眠預

金の活用の動き

      シビックテック資金への波及に注目

代表制民主主義

● Code for America のCatherine Bracy: 「我々は5年前と同じ問いを今も自分たちに投げかけている。いくつ

かの進展はあったが大きな進展ではない。」「そして “more tools(もっと多くのツールを) ”という解答に戻って

きてしまう。たとえば市民活動のためのリンクトインみたいなものを作ろう、キラーアプリがあれば変わるはず

だ、もっとデータマイニングが必要だ、と考える。」「 しかし問題はそこではない。問題は toolでなくてpeople(人々)の部分だ。政府はどうやって意思決定をするのか。どうやって市民の声を処理するのか。市民に

フィードバックするのか。このプロセスを変えていかないと真の変化は起きない。」

● 市民活動家でCitizen University の創設者Eric Liu:「シビックテックは透明性や効率性、コミュニティ意識や

カスタマーサービス(の醸成)には非常に強い。しかし問題は “content neutral”(内容的中立、つまり特定の

政治的方向性を持たない)だということだ。 (行政や情報への)形式的なアクセシビリティを確保するが、それ

だけでは十分ではない。」「真の目標は、政治権力の源泉と社会の決定権のあり方を変えることでなくてはな

らない」

PDF2015では、シビックテックが行政の効率化など、表面的

で身近な課題解決にとどまり、国のあり方を左右するような

政治課題への深い参加ができていない、という懸念の声

シビックテックが得意な分野

• 社会の組織化• SNSによる市民活動や選挙の組織化、プロファイリングなど

• データの活用• ビッグデータ・オープンデータで可視化、最適化、効率化

• 民間的手法の政府導入• UI/UXの改善、リーン開発など民間手法を非効率な政府に。

•途上国での活躍•先進国ではシビックテックは政府・行政の「補完・改善」だが、途上国では政府やメディアを「代替」することも。

シビックテックが苦手な分野

• 政治行政の実際の仕組み・力学の知見が足りない。→ 「素人的」な議論も多い。政治の素人こそ政府に乗り込もう、直接民主主義、シビックテック特区で全て解決、など。

• 「人間的な調整」や「ソーシャルハック」を要する場面が苦手。

• 可視化や最適化などを目的とする「形式的中立」の行政系プロジェクトが多く(”Content neutral”)、政治・議会・民主主義を特定方向に動かす力となっていない。

• Tools Imperialism(ツール支配):アプリ開発、マッピングなどに凝るばかりで、実際に政治を動かしていない。

そもそもテクノロジーと代表制民主主義は相性が悪い

政策A 政策B

結果A’ 結果B’

政策選択

政策A、Bがそれぞれどのような結果A’、B’ を生むかは、データ・ドリブンな科学的分析によって検証予測可能。

しかし結果A’、B’ が分かった上で、限られたリソース配分のトレードオフにおいて、どちらを選ぶかは、国会議員同士の人的な交渉や調整を経て決めるのが代表制民主主義。

例: 予算を高齢者医療につけるか、若者の教育につけるか?

政治に深く関与するためにシビックテックが議論すべき問題

● テクノロジーによる直接民主主義の可能性?             

→よく議論にはなりますが。。。

● 「選挙」へのテクノロジーの関与                      

→日本でもネット選挙が2013より開始。               →2016年米国大統領選挙に注目!

● 選挙期間「以外」の、政治的意思決定プロセスへの関与      

→市民ロビーのテクノロジーによる支援                →圧力団体等に対するテクノロジーによる対抗           

(献金やロビイングの可視化、データジャーナリズムなど)                

2016年米国大統領選に注目!

● 苛烈さを増すソーシャルメディア選挙

・データ駆動型選挙(プロパガンダ)。

すでにTwitterの応酬が過熱。

● 2012年には、ネガキャン広告検証の

ための市民アプリなどが多数発表さ

れた。2016年は未だ本格的に動いて

いない。

● Instagram, Vine, Periscope など、

写真や動画SNSの普及により、イ

メージ選挙・扇動型選挙がさらに加

速。

おまけ(宣伝): シビックテック、ついに外交分野へ!

「DDC(デジタル外交連合)」

日本支部、年内設立予定。