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訪問診療クリニックにおける 薬剤師往診同行業務から考える チーム医療の可能性 - 医師の視点から 医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック 院長 遠矢 純一郎 第119回 延岡薬学会 第94回 県北薬学セミナー 2014.11.21

延岡薬剤師会 20141121

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第119回 延岡薬学会 第94回 県北薬学セミナー における講演資料です。

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訪問診療クリニックにおける 薬剤師往診同行業務から考える チーム医療の可能性 - 医師の視点から

医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック 院長 遠矢 純一郎

第119回 延岡薬学会 第94回 県北薬学セミナー

2014.11.21

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死亡原因 全国(平成21年)

34万人

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がんの統計’13 公益財団法人がん研究振興財団

がん在宅死 8.1%

0

100000

200000

300000

がん死亡数

34万人

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認知症数

70万人

85万人

25万人

イギリス

フランス

オランダ

462万人

2012年

Page 5: 延岡薬剤師会 20141121

認知症の社会的費用 2012年 イギリス

認知症 70万人

0

4

8

12

16

20

がん 心疾患 脳卒中 認知症

£10億 (=1.7兆円)

英国アルツハイマー病協会 2012

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医療の目標の変化

治癒 QOL

健康とは、「病気や障がいを持っていても 健やかに生活すること」 WHO憲章より

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15 73 12

病院 自宅 無回答

最期を迎えるのに理想の場所は?

(一般アンケート)

理想の場所

求められる医療のかたち

0

20

40

60

80

100

195

1195

2195

3195

4195

5195

6195

7195

8195

9196

0196

1196

2196

3196

4196

5196

6196

7196

8196

9197

0197

1197

2197

3197

4197

5197

6197

7197

8197

9198

0198

1198

2198

3198

4198

5198

6198

7198

8198

9199

0199

1199

2199

3199

4199

5199

6199

7199

8199

9200

0200

1200

2200

3200

4200

5

病院

施設

自宅

昭和25年 平成18年 昭和50年

死亡場所 統計

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死亡場所の構成比

病院 自宅 施設

日本 81% 12% 4%

アメリカ 41% 31% 22%

オランダ 35% 31% 33%

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0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

“2025年までに 地域包括ケアシステムを確立する”

高齢者、障がい者が地域で共に暮らし続けられる社会へ

高齢者人口(千人)

3500万人!

2025年問題

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2025年の地域包括ケアシステムの姿

• 医療・介護・予防・住まい・生活支援の5つのサービスが、24時間365日を通じて包括的に提供されることが条件

• 迅速かつ適切なサービスを提供可能とするため、“概ね30分以内に駆けつけられる”中学校区を標準的な基本単位と定めている

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階層型の医療提供体制から住民・患者視点に立った医療連携体制への転換

これまでの医療計画の考え方

3次医療

2次医療

1次医療

新しい医療計画のイメージ

かかりつけ医

機能 (診療所・一般病院)

救急医療

専門的

治療を行う

機能

介護・福祉

サービス

機能

療養を

支援する機能

在宅医療

回復期

リハビリ

機能

・患者を中心にした医療連携体制

・病院規模でなく、医療機能を重視

・医療提供サイドの視点で構想

・大病院重視の構想

規模(ベッド数・診療科数) 機能

資料:厚生労働省「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性 」

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在宅医療とは、治癒が期待できない疾患を患い、

障害のために何らかのケアが必要な患者とその

家族を支えるための医療であり、住み慣れた

地域で安心して生きていくことを保障するための

地域医療システムである。

在宅医療とは何か?

平原佐斗司 在宅医療辞典(中央法規)より

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在 宅 医 療

救急

0~100歳

緩和ケア

がん・脳血管 認知症・難病

多職種 連携 看取り

アウェイ

グループ診療

情報共有

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• 入院や通院が出来ず、ご自宅での

医療を必要とされる方

• 0~100歳、病気や障害を問わず

• 排尿や排泄、呼吸等の医療的管理

を必要とされる方

• 最晩年をご自宅で過ごされたい方

• 在宅ホスピスケアを希望される方

在宅医療 適応となる方

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ほとんどの治療や処置は在宅でも可能

• 注射・点滴、血液・尿検査

• 心電図、超音波検査

• 胃ろうなどの経管栄養

• 在宅酸素療法、人工呼吸器

• 気管切開、尿道カテーテル

• 在宅リハビリ、言語療法

• 在宅緩和ケア

• 自宅での看取り

• 24時間、365日いつでも対応

Page 16: 延岡薬剤師会 20141121

在宅医療を始めるタイミング

自宅療養が始まる時(退院時など)

外来通院が難しくなってきたとき

病状が不安定になってきたとき

信頼関係を構築するのには時間がかかる

ため病気がまだ重くなりすぎないうちに。

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内科 (呼吸、循環、消化器、

神経、感染、膠原病、、、)

家庭医療

在宅医学は総合的・応用的学問

老年医学

リハビリ

整形外科

外科

婦人科 耳鼻 眼科 皮膚

泌尿器

緩和医療

小児 精神

腫瘍内科

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「患者視点の医療サービス」の実現、提供をめざす

医療法人社団プラタナスの活動

• 東京・神奈川に3つの在宅療養支援診療所を運営

• 在宅患者数:

• 施設在宅 40カ所 約1,800名

• 一般在宅 約400名

• 複数医師によるグループ診療体制でオンコール担当

医師間のタイムリーな情報共有は必須

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がん

38%

認知症

18%

心疾患

11%

脳血管疾患

8%

呼吸器疾患

7%

神経系の疾患

3%

整形外科疾患

4% その他

11%

新規患者の疾患別患者割合

2013.8~2014.7 (n=278)

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入院で悪化する高齢者

入院というイベント

→不穏→鎮静剤投与(薬で抑制)

→身体抑制→点滴→禁食→認知症増悪

→食事困難→胃瘻造設→廃用症候群増悪

→褥創→肺炎→延命的治療の継続

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在宅における急性期治療

肺炎

在宅 入院

治癒 死亡 自宅退院 転院

施設入居 死亡

364件 56件 308件

251件/82% 37件/12% 23件/30% 27件/36% 26件/34%

76件 20件 20件/6%

肺炎は在宅治療の方が、ADLも落とさず治癒率が高い 入院での治療は、治癒しても半数は自宅に戻れず、転院や施設入居となる その理由として、 ・在宅の方が初動治療が早いこと ・自宅でも点滴、吸たん、ネブライザーなど病院と変わらぬ処置が可能なこと ・家族による密度の高いケアが出来ること ・これまでの生活動作が継続されること などが挙げられる

在宅療養中に肺炎に罹患

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対象 負担割合 標準負担額* 負担額上限

高齢者 1割 約6,500円 12,000円

3割 約20,000円 44,400円

一般 3割 約20,000円 高額医療費による返還

費用について(1ヶ月当たり)

* 標準負担額は月2回訪問および24時間緊急体制に対する

1ヶ月あたりの負担金額。院外処方となるので、薬剤費は別途必要。

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在宅医療患者数の推移

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

(社会医療診療行為別調査 訪問診療件数)

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在宅医の一日

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訪問滞在時間

移動時間

カルテ記録

ミーティング

申し送り

連携先に報告

書類作成

臨時往診

5.7時間

2.4時間

2.9時間

医師の業務時間の変化 (1日)

3.1時間

3.5時間

4.4時間

Before After

診療時間が

50%アップ

・ディクテーション

・書類作成+情報共有のIT化

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アプリ代合計=1,750円

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いつでもどこでも記録が書ける

24時間手元にある端末で 患者情報にアクセス出来る

特別なシステムは不要、既成アプリやウェブサービスの活用で実現出来る

スマートフォンによる訪問診療の革命

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地域連携へのICT活用

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介護施設

ホームヘルパー

ケアマネージャー

在宅医

訪問看護師

訪問リハビリ

訪問薬剤師

地域包括ケアを支える人たち

病院

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地域連携で共有すべき情報とは

病院-診療所間における連携

基本情報

生活情報 介護状況

身体状況 治療情報 サービス提供者情報

バイタル 診療・ケア記録

入院退院時や在宅移行時に必要な情報

診療サマリーが あれば良い

在宅での医療・介護中に発生する情報

地域の医療看護介護の担当者間における連携

日々の診療・ケア記録の共有が必要

日々の診療・ケア記録の共有が必要

日々の診療・ケア記録の共有が必要

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在宅医療の課題 地域連携の難しさ

多職種多事業所間での情報共有

医療・介護間の言語の違い

治療やケアの目標が見えにくい

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在宅医療・介護間の情報共有の現状

患者宅にある連絡ノート FAXや郵便によるやりとり

• 患者宅でしか見ることが出来ない • 記録の二度手間、情報の統一性が無い • 情報の二次活用が出来ない • 医師側からの情報提供が乏しい

紙情報

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本人・ご家族

訪問看護師

訪問薬剤師 救急・病院

ケアマネージャー

介護ヘルパー 在宅医

介護施設

クラウド型地域連携システム

EIR

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(株)EIR

Doctor:ではモルヒネを経口から持続注射に切り替えましょう。投与量の設定と必要な機材の調達をお願いします

Pharmacist: 承知しました。 さっそくPCAポンプを手配します。塩酸モルヒネ投与量は20mg/hrでよいでしょう。

Nurse:ここ数日、ガンによる痛みが悪化しています。現在のモルヒネ量ではまだ緩和されていないようです

Home helper:いつから変更になりますか?注意すべきことはなんでしょうか?

クラウド型地域連携システム EIR

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- 医療・介護の多職種が 等しく記入

- 記録に画像やファイルを添付可能

- 治療・ケア進捗管理

- 訪看指示書・報告書など書類作成 機能

- SNS・スケジュール機能

- 安価な利用料

クラウド型地域連携システム「EIR」 の特徴

家族

薬剤師

医師

看護師

ヘルパー

治療・ケアのプロジェクト管理

©エイル社

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「EIR」 携帯電話やiPhone(アプリ版)でも利用可

クラウド型地域連携システム EIR www.eir-note.com

携帯電話やスマートフォンでも利用可能

iPhone版、Android版あり

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EIR(エイル) クラウド型地域連携システム

地域連携における情報共有をスムーズに。

医療・介護の多職種が等しく記入

画像やファイルを添付可能

訪看指示書・報告書など書類作成

電子カルテや薬情システムなど、

他のシステムとの接続可能

患者ごとにカンファが出来るSNS機能

安価な利用料

・ 初期費用 15万円

・ 月額500円/1患者毎

・ 連携先は無料で利用出来る

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様々な情報システムとの連携

GooCo

電子薬歴システム グッドサイクルシステムズ社

地域連携システム EIR

Medical Care Station

医療介護専用SNS 日本エンブレース社

モバカルネット;電子カルテ NTTエレクトロニクステクノ社

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利用して

いる 16%

今すぐ

利用した

い 1%

条件が

揃えば

利用した

い 54%

利用した

くない 3%

分からな

い 26%

情報システムを利用する意向は

ありますか?

40

*) 厚生労働省 平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅医療と介護の連携のための情報システムの共通基盤のあり方に関する調査研究事業 情報システムの利用状況、情報システムに対する利用の意向、参照

70%が利用したい

と思っている

医療介護連携システムに関するアンケート**

“EIR”による情報共有を実践し、

在宅医、訪問看護師、薬剤師が感じた変化**

**)EIR使用感インタビューより

在宅医

訪問看護師

在宅医と同じ言葉で説明

いつでもどこでもアクセス

文書化された指示

看護記録から転載

薬剤師

患者情報をいつでも閲覧

診療録から病状把握が可能

写真付きの報告

チームで支えている意識

在宅患者の紹介が増えた

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地域作り活動の重要性 ICTの前にまずヒューマンネットワークありき

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LINEによる気軽なコミュニケーション

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地域連携のICT導入へのステップ

日常的な医療介護 の連携

地域内の ヒューマン

ネットワーク

記録の電子化

院内・院外 の情報 一元化

ICTシステムを 利用した連携

院内のシステム構築 地域連携体制の構築

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在宅医療の課題 マンパワー不足

0% 20% 40% 60% 80% 100%

在宅なし 在宅あり 在宅専門 複数医師

一般診療所数 (約10万件)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

看護師 訪問看護師

看護師数

140万人

9万件

在宅あり 1万件

在宅専門 1千件

訪問看護師 3万人

複数医在宅 200件

複数医在宅 200件

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拡大

17%

現状

維持

61%

縮小

14%

未定

5%

在宅医療、今後の方針

「診療所の在宅医療機能に関する調査」日医総研、2011年

在宅医が 1人だけの診療所

68.9% 75%が 停滞・縮小

Page 46: 延岡薬剤師会 20141121

単独開業の在宅医をネットワーク化

地域医療連携システム

「EIR」

地域

連携

24時間

コールセンター

競合から協業へ

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在宅医療における 薬剤師の新しい価値

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在宅医療における服薬管理の課題

年々在宅ニーズが拡大し、医療的にも高度化している中、 薬剤の管理や服薬指導の必要性も増大している。

これまでは、その業務を在宅医や訪問看護師が担っていた。しかしその負担で本来の業務が妨げられることも。

今回、薬剤師が往診チームに 加わったことで、改めて在宅医療 における薬剤師業務について 考えてみた。

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残薬管理と服薬管理

高齢者におけるコンプライアンス

用量と副作用

薬学的アセスメントと処方提案

麻薬処方、点滴処方

緊急対応、臨時薬

院外薬局との連携

在宅医療におけるお薬の問題

薬剤師が関与する必要のあるところは かなり多そう!!

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薬剤師往診同行の実際

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実際の仕事:初回訪問

残薬確認

副作用歴、飲みにくい剤形などの聴取

持続可能な処方設計の援助

サービス導入具合確認 ケアマネとの協働

訪問看護師への配薬状況確認

(薬剤師が関わっていないと看護師さんの仕事が増加)

訪問薬剤師導入

かかりつけ薬局との情報連携

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• 役割分担による診療業務の効率化と質的向上

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服薬状況レポート:新患訪問 ○山○男 79歳 M

上行結腸癌術後、多発肝転移、腹膜播種、がん性疼痛

経緯:

H19/11 上行結腸癌に対し手術施行。肝メタ。H22/12, H23/3にも手術施行。化学療法を行なっていたが、肝機能障害悪化により中止。H24秋ごろ1ヶ月ほどTS-1内服。副作用(腎機能悪化、胃痛等)により中止、以降ケモは中止。

同時期、帯状疱疹を発症。桜新町ペインクリニックでフォロー。

H25/5 腹腔内動脈周囲の再発巣認め癌性疼痛としてオピオイド開始。今後を考え訪問診療を希望、開始となった。

服薬状況: ご本人管理。ヒート調剤。

オキシコンチン(5)定期服用で日中の疼痛管理は良好だが、夜間痛くなるのを不安に感じオキノームを予防的に2-3回ほど飲まれている。自己調節し、オキシコンチン2錠2×でも日中の痛みは特に感じなかったとのこと。今回より朝1錠、夕2錠に変更となる。薬に関しては知識もお持ちであり、体調が良くなると減量するなどご自身で調節して飲んでしまうことも多々あったとのことで、特にオキシコンチンは定時に飲むように指導されている。

薬の数が多いことについて、薬が体に与える悪さについて心配されている。現在飲んでいる薬は今のところ必要なので、服薬を続けていただき、今後様子を見て増減を検討すると医師より説明あり。

オピオイド内服しており、排便コントロール必要。便秘気味とのこと。プルゼニド2錠2×朝寝る前での処方あり。

本日より1日1回寝る前2錠へ変更となる。効果がない場合は増量もしくは変更検討。吐き気や傾眠傾向などは聞かれず。

食欲不振は顕著で、フルーツくらいしか食べられないとのこと。

今回プレドニン開始し、また甘いものもお好きとのことでエンシュアもお出しした。今後の経過を観察。

58

薬局: ○○薬局。訪問服薬指導

他院からの処方: 特になし

併用禁忌薬等: 特になし

副作用歴: TS-1で腎機能悪化。胃痛

<2013年●月●日現在の投薬状況>

定期処方 全てヒート調剤

◎◎病院外科 退院処方 21日分

オキシコンチン(5) 4錠2×⇒3錠×2 朝1夕2 /残68錠

オキノーム(5) 痛い時 /残75包

カロナール(200) 6錠3× /残119錠

ノバミン(5) 3錠3× /残68錠

タケプロンOD(15) 1錠1× 朝食後 /残19錠

◎◎病院泌尿器科 退院処方 56日分

ウブレチド(5) 0.5錠1×夕食後 /残21回分

ハルナールD(0.2) 1錠1×朝食後 /残24錠

ラックビー微粒N 3g3× /残29P

新規処方:食欲不振に

エンシュア・リキッド 1日1-2本 7本

プレドニン(5) 2錠1×朝食後 7日分

-------------------------------

初回往診 医師 遠矢(主)、看護師 尾山、薬剤師 大須賀

相談員 染野

以上 大須賀悠子

残薬管理

これまでの病歴、薬歴、副作用歴

新規処方の経緯 副作用等注意喚起

禁忌、副作用管理

薬識、受け入れチェック

薬局・薬受取方法

処方以外の手持ち薬の整理

服薬コンプライアンス

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定期訪問

残薬確認 (訪問薬剤師さんの報告書等確認)

処方支援

症状、血液検査等の結果確認

薬剤調整検討

在庫確認、処方箋FAX事前送信

緩和ケア

オピオイド用量、投与用法検討

医療機器手配

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患者さんの症状や生活ぶりに即した服薬指導

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服薬コンプライアンスを高めるための工夫

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• 薬学アセスメントに基づく医師への処方提案

• 服薬状況レポートにより、薬歴や現在の投薬内容の報告

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服薬状況レポート:定期往診

○山○男 男性 90歳 膵臓癌、転移性肝癌、前立腺癌、硬膜外血腫 <2013年6月6日現在の投薬状況> 現在使用中の薬 フェントステープ(1) 1日1枚 オキノーム散(5) レスキュー レンドルミンD 1錠1× 眠前 タケプロンOD(30) 1錠1× 朝 ラキソベロン液 便秘時頓用 アセトアミノフェン末 0.8g 2× プレドニゾロン散 10mg 1× 朝 ムコダインDS50% 1g 2× ソラナックス(0.4) 不安時 1回1錠 粉砕指示 新規処方 ナウゼリン坐剤(60) 吐き気時1回1個 6回分 アンペック坐剤(10) 痛むとき 1回1個 10回分 <2013年6月6日現在までの疼痛管理、処方歴> 5/29 往診開始 順天堂大学浦安病院 退院処方 オキシコンチン5mg 2T2× 9時21時 オキノーム5mg 頓服 レンドルミンD錠0.25mg 1T1×就寝前 アセトアミノフェン末 0.8g2× ネキシウム10mg 1T1×朝食後 脱カプセル ムコソルバンシロップ 4mL 2× 朝夕食後 (冷所) アローゼン 便秘時 ミヤBM 下痢時 エンシュアリキッド 食欲不振時 ベネトリン・ビソルボン・生食(ネブライザー用:冷所保存) ※院内で服薬していた薬と退院処方に違いがあり、

薬の説明も退院時指導はなかったようでご家族不安あり。 当院からの新規追加薬 プレドニン10mg 1× 朝 ※食欲不振時

5/30 ムコソルバンシロップが苦くて飲めないということで、処方変更 ムコダインDS50% 1g 2× 5/31 不安 日中にも落ち着かないとレンドルミンDを服用していたため抗不安薬を処方 ソラナックス(0.4) 不安時 頓服 ※就寝前はレンドルミンD、不安時・中途覚醒時はソラナックスと指導

6/3 錠剤がのみにくいとのことで薬をOD錠、散剤、シロップ剤に変更 オキシコンチン→フェントス1mg ネキシウム→タケプロンOD(30) アローゼン→ラキソベロン液 アセトアミノフェン末→カロナールシロップ ☆プレドニン、ムコダインDSは(飲めないようなら)一旦中止指示。 6/4 カロナールシロップ苦味あり、→アセトアミノフェン末に戻っている。 6/6 週末の対応のため、追加で、吐き気時ナウゼリン坐薬と疼痛時

アンペック坐薬を処方。スーパーナースが入られるということで、症状があった際には坐薬はナースに入れていただくこともできると説明。

服薬状況:娘さん管理。経口可だが、満足に食事はとれていない状況。病院で一度むせてしまった経験から、薬はご自分で粉砕して飲んでいた。

むせ込みを避けるため出来る限り、溶けやすい散剤やパッチ剤に変更を。

他院からの処方:なし 併用禁忌薬等:特に問題なし 副作用歴:特になし 薬局:○○薬局。訪問服薬指導。

ケアに関わる全員がわかりやすいよう、おくすりカレンダー管理。

以上 (大須賀)

現在の服薬内容

これまでの薬歴 変更の経緯

服薬状況

併用禁忌、副作用

薬剤管理方法、注意点

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1

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24年7月-12月 25年1月-6月 25年7月以降

モヒ持続皮下注射導入症例数(

人)

64

モルヒネ持続皮下注実施事例数の増加

⇒服薬管理、手配が煩雑で処方を敬遠しがちであった 注射剤やポンプの導入を容易に

H25年3月より 院内薬剤師の介入開始

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起こりうる急変に対応するための 臨時薬の提案

約束処方の作成

病状や服薬状況、投薬効果把握のための薬剤師単独訪問

注射剤の投与に必要なポンプなどの 機器の手配

業務内容:緊急時対応

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当院院内薬剤師と院外薬剤師の役割の違い

66

院内同行薬剤師 院外訪問薬剤師

調剤 なし あり

訪問形態 在宅医と同行 処方箋に関係なく

単独訪問 処方箋が出たとき

薬剤情報把握 電子カルテ 前医からの診療情報 各連携先からの報告書

患者、家族から 診療所からの情報 (訪問時に間に合わないことも)

処方作成支援 医師が処方する場に立ち会い、直接助言

医師からの問い合わせがあったとき

疑義照会 医師の処方意図を理解し、 処方前に確認

処方箋の不備や患者さんからの求めに応じて確認

残薬チェック 処方前 処方後(訪問時)

⇒ 診療現場での薬学的アセスメント による処方支援が可能

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院外薬局への情報提供、処方箋チェック、FAX

院外薬局の訪問服薬指導の可否、麻薬取り扱いの有無と在庫状況の確認

朝カンファレンスやEIRによる連携先への情報共有

顔が見える関係:往診途中で処方箋を持って薬局訪問

⇒ 薬剤師が確かな情報を持って、 患者さんと深く向き合えるよう支援

院外薬局との協働

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• 薬局側にわかりやすく、疑義照会が不要な処方箋 • 薬局薬剤師への診療情報提供

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69

0

50

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200

H25.2 H25.10 H26.2

全患者数

訪問あり

訪問なし

訪問薬剤管理指導導入割合(院外薬局)

69.1% 17.5%

⇒ 地域の薬局との薬薬連携の強化により、 在宅対応力が向上

院外薬局による

訪問薬剤管理指導あり

訪問なし

H25年3月より院内薬剤師の介入開始

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退院前カンファ

現在の病状と今後起こりうる症状の把握

使用している薬剤(内服、注射)の把握

薬剤、医療機器の手配

地域リソースの紹介(訪問服薬指導の導入検討)

何よりも患者さんのお顔を拝見し、安心してもらう

ことが重要

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実際の症例

• 60代男性 • 下行結腸がん 転移性胃がん

• イレウスによる頻回な嘔吐 • 疼痛なし • 延命は希望しないが出来る治療はしたい

• ADL自立 • 家族構成 妻(同居) 娘(別居) • 妻は退職予定 • 介護申請の必要性は感じていない

• 緊急時は救急搬送希望 • 在宅医には日常の諸症状のサポートを希望

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病院側からのオーダー

サンドスタチン 持続注射 (24時間、ポンプ)

腎ろう

IVH持続点滴 (24時間、ポンプ)

• CADDレガシーポンプ2個手配 • 介護保険未申請(患者希望により) • 腸閉塞状態につき禁食 • 経鼻胃管留置も考慮

化療副作用のしびれあり

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出来るだけ負担の少なくなるような処方内容に

今後の病状の変化

• モルヒネなども使用することを考えると、 この処方のままではポンプを三つ使用することに…

• 患者さんの負担増大!!

サンドスタチンと混注できそうなIVH製剤のデータ洗い出し

⇒混注OKなもの発見!

病院主治医と薬剤部に電話し、処方変更依頼

薬剤発注、ポンプ手配

⇒当院で借りたポンプを病院に持っていき、入院中に練習してもらう。その機種を使えるようになっていることが大切

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退院後の管理方法は病院医と調整を…

「病院で***を行っていますが、

在宅で管理出来ますか?」

病院は医療者の立場からの管理方法選択が多い

在宅はいかにシンプルに管理出来るか

その患者・家族の対応力を踏まえて

いかに負担を減らすかの視点が重要

病診の相互調整も必要

薬剤師介入による問題解決

の可能性

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薬剤師往診同行の実際

在宅での薬の管理

薬の調整補助

新患の薬剤情報把握

薬学的アセスメント

処方箋チェック

処方依頼、変更提案

院外薬局との連携

退院前カンファレンスへの参加

院内薬剤情報発信

製薬会社、卸等との渉外担当

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2年間の活動で見えてきたこと

在宅医療における服薬管理業務はかなりの ボリュームがあり医師看護師ではきちんと 管理出来てない

薬剤師が同行することで、より的確で専門的な残薬管理や薬学アセスメント、服薬指導が可能となる

地域の薬局との薬薬連携の強化により、 在宅対応力が向上する

在宅医や訪問看護師の業務を1/3~1/2程度 軽減出来る

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どんな人だったらおうちに帰れるか

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在宅医療

もう少し良くなったら帰りたい? 入院していたほうが安心?

こんな状態では「家では無理」?

どんな段階でも家で無理とは限らない

患者の病状×家族の対応力 ×(在宅医の能力+地域のケア力)

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在宅療養を実現するための方策

介護者のケア

急変時の不安

在宅医療サー ビスの充実

• 家族支援のため、地域ケアサービスや レスパイトケアを充実させる

• 24時間在宅医療提供体制の構築 • 在宅療養者の後方ベッドの確保・整備

• 在宅医療・介護サービス供給量の拡充 • 医療介護連携による質の向上や効率化 • 訪問薬剤師関与による在宅治療の向上

地域力・介護力の強化

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在宅医療チームにおける薬剤師への期待

目標

薬物治療の質をどうやって 高めるかを共に考える

関心

看護師

医 師 疾病の安定、 QOLの向上

患者の状態

薬剤師 正確・迅速な調剤 知識、技術、 ノウハウ

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地域を病院にするということ

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介護施設

ホームヘルパー

ケアマネージャー

在宅医

訪問看護師

訪問リハビリ

訪問薬剤師

安心して信頼し合える関係

患者さんご家族