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アクセシブルなワイヤーフレーム設計 〜ビジュアルデザイン 2015年4月26日 第5回 D2Dアクセシビリティ勉強会

第5回 D2D アクセシビリティ勉強会資料「アクセシブルなワイヤーフレーム設計〜ビジュアルデザイン」

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アクセシブルなワイヤーフレーム設計

〜ビジュアルデザイン

2015年4月26日

第5回 D2Dアクセシビリティ勉強会

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自己紹介

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SAWADA STANDARD DESIGN

澤田 望

@SawadaStdDesign

WAIC WG2委員(2011年〜)

キヤノンサイトのデザイン監修/運用(〜2013年)

2014年、岡山で独立

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今回の目標

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ここの克服。

アクセシブルなマークアップは覚えたけど、

デザインするときに、

何に注意すればいいのか分からない . . .

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実際に作ってみて覚えよう。(乱暴)

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・ワイヤーフレーム設計

・ビジュアルデザイン それぞれで、

アクセシブルにするためのポイントを覚えられる

. . . はず。

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第1部・ワイヤーフレームの設計

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20分で(笑)作ってもらいます。

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ツールは何でもいいです(今回は)。

•手書き

•Illustrator

•PowerPoint

•Excel

•Cacoo(https://cacoo.com)

•Moqups(https://moqups.com)

などなど

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ただし、できるだけ

最終的なデザイン制作に使わないツールを使うこと。

ビジュアルデザインの要素を排除して構造を考えるため。

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誰と共有するのか? にもよります。

• ディレクター

• デザイナー

• プログラマー

• クライアント

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ワイヤーフレーム作る前の準備

(本来は情報設計が完了した後にワイヤーのはず)

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•サイト(ページ)の目的

再認識(誰/ゴール/手段)

•サイト構造

サイトマップ(今回は1ページだけ)

ページ/コンテンツの細分化

•コンテンツの優先順位/ストーリー

何を見せたいか、よりも

何を見せなければならないか?

求められているのは何か?

いったんリニアライズして考える。

→ 最終的に読み上げの順序と深く関わる。

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• ウェブアクセシビリティ方針の策定

達成等級:A/AA/AAA

依存する技術:HTML/CSS/JavaScript など

その技術を使用しなければ実現できないコンテンツか?

JIS X 8341-3:2010対応するなら → 準備が必要

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本題:ワイヤーフレームを使って何を設計するのか?

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•文書構造(大まかな)

見出し/段落/箇条書き/表/画像など

意味合いの変わるエリアには見出しを。

(スクリーンリーダーは<div><section>の区別をデフォルトでは読み上げない)

•ナビゲーション

表示項目/ラベル/表示方式/動作

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•レイアウト

位置/面積/サイト共通エリア/個別エリア

CSSで無理をしなくて済むよう、文書構造/コンテンツの優先順位に従った順序と面積。

位置ではなく順序。(出来る限りシングルカラムで考える)

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見た目で文書構造が分かる?

<h2>

<img><p>

<h2>

<p><img>

20

これなら分かる

<h2>

<img><p>

<h2>

<p><img>

21

こうかも知れない

<h2>

<img><p>

<h2>

<p><img>

22

読み順:F字の法則 / 左→右 / 上→下

<img>

<h2>

<p>

<img> <p>

<h3>

<h3>

1

2

3

23

前へ >< 次へ

< 進む 戻る >

気持ち悪い?

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前へ:左 / 次へ:右 (経験則に基づく)

次へ >< 前へ

< 戻る 進む >

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•コンテンツのボリューム

文字数/行数/画像サイズ/画像枚数/固定コンテンツ/可変コンテンツ

•コンテンツの動作(必要に応じて)

カルーセル/モーダルダイアログ/動的なサイズやレイアウト変更

•マルチデバイス対応(必要に応じて)

RWD/レイアウト変更?/画像サイズ/文字サイズ

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ワイヤーフレーム設計する上でも、

アクセシビリティの基本は変わりません。

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•知覚可能 順序通り、欠落なく読めるレイアウト

•操作可能

•理解可能 一貫したナビゲーション/ラベル/名前

•頑健性

(各コンテンツのアクセシビリティはデザイン〜マークアップ時に考慮)

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JIS X 8341-3:2010 達成等級Aの

達成基準を満たすために必要なこと

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•7.1.3.2 意味のある順序

G57 コンテンツを意味のある順序で並べる

cssオフでも意味が通じる順序で並べる。

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JIS X 8341-3:2010 達成等級Aの達成基準には

直接影響ない範囲でのアクセシビリティ

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•7.1.4.4 テキストのサイズ変更 (AA)

G146: リキッドレイアウトを用いる

リキッドじゃなくてもいいから、

文字を200%まで拡大しても破綻しないレイアウト。

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•7.3.2.3 一貫したナビゲーション (AA)

G61 繰り返されるコンポーネントが表示されるたびに、

それを相対的に同じ順序で提示する

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•7.3.2.4 一貫した識別性 (AA)

G197 同じ機能を有するコンテンツに対して、

一貫したラベル、識別名及び代替テキストを用いる。

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•言葉/ラベルの統一

特にナビゲーション/リンク

ラベルが理解できない → たどり着けないぜ

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地図

アクセス

ルート

ご利用案内

交通案内

SHOP INFO

マップ

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大事なのは一貫性。

表記統一チェックツールもある。

http://www.justsystems.com/jp/products/justright/

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では、実際に作るページについて

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前提:1ページに複数コンテンツをレイアウトする。

例)2014宝塚映画祭(http://2014.takarazukaeiga.com/)

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レイアウトするもの

•D2Dロゴ

•メインビジュアル(タイトル/キャッチコピー)

•ナビゲーション(ページ内リンク)

•about(D2Dについて:テキスト/写真)

•活動報告(参加者の声:テキスト/写真)

•ブログへのリンク(テキスト/ボタン or バナー)

•コンタクト(入力フォーム)

• SNSシェアボタンは必須ではない。設置するならキーボード操作可能に/文法的に正しく。

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では、制作開始!

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第2部・ビジュアルデザインの制作

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2時間で作ってもらいます。

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ビジュアルデザインを制作する上でも、

アクセシビリティの基本は変わりません。

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•知覚可能 知覚できる色/形状/レイアウト

•操作可能 操作を妨げない動き/点滅/スクロール

•理解可能 一貫した識別性

•頑健性

(マークアップ時に考慮するものもある)

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中でも特に

•知覚可能 affordanceの延長として考える。

【 afford 】 与える/もたらす

【 affordance 】 環境や物体が与える意味や価値

「押すドア/引くドア」

「押せる感のあるボタン」など

要素の意味を伝えるデザインが重要

(コンテキストも影響)

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JIS X 8341-3:2010 達成等級Aの

達成基準を満たすために必要なこと

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•7.1.3.1 情報及び関係性

G117 フォントの種類や形状で伝えている情報をテキストでも伝える。

例)文中で 取消線を引いた削除部分 を別途「変更履歴」に。

G138 色で情報を伝えている場合、セマンティックなマークアップ(例:

em、strong)を用いる。

※strong要素はAS情報的には微妙...

例)赤文字で強調

例)ウェブフォントの違い

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•7.1.3.3 感覚的な特徴(形、大きさ、視覚的な位置、方向、又は音)

G96 感覚的な特徴だけなく、テキストでも情報を伝える。

例)右の大きな丸いボタン

右の大きな丸い「実行」ボタン

実行

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•7.1.4.1 色の使用

G14/G122 色だけでなくテキストでも伝える。

例)入力フォームの必須項目(赤字だけじゃなく「必須」)

G182 テキスト色の違いだけでなく視覚的な手がかり(大きさ/太さ/斜体

など)でも伝える。

例)文中のテキストリンクは色+下線

濃淡差/反転表示(印刷注意)/形状の違いも有効

G111 色とパターンを併用する。

例)グラフ

ナビゲーションならアイコンも有効

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•7.2.2.2 一時停止、停止、非表示

G4/G11/G187/G152/G186/G191 動き/点滅/スクロールしている情報が、(1) 自動的に開始し、(2) 5秒以上続き、(3) 他コンテンツと並行して提示される場合、利用者がそれらを一時停止、停止、非表示にできる。

ただし、動き/点滅/スクロールが必要不可欠な場合は除く。

例)カルーセル

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•7.2.3.1 3回の閃光又は閾値以下

1秒間に3回以上点滅させない。

動画/アニメーションを仕込む場合

画面の一部でも

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•7.3.3.2 ラベル又は説明文

G89 データ形式/入力例を提供する。

例)全角カナ(サワダ)

G184 フォーム又はテキストフィールド一式の先頭で、必須項目に関する説明文を提供する。

G162 入力項目とラベルの関係がよく分かるように配置する。

※ 離れていると弱視の利用者に問題。

変化に気づかせる設計。

そもそも入力欄だと分かるデザインになっているか?

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JIS X 8341-3:2010 達成等級Aの達成基準には

直接影響ない範囲でのアクセシビリティ

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•7.1.4.3 最低限のコントラスト (AA)

小さい文字(18(日本語は22)ポイント未満、太字は14(日本語は18)ポイ

ント未満)の場合:

G18: テキスト(及び文字画像)とその背景の間に、

4.5:1以上のコントラスト比が必要

大きい文字(18(日本語は22)ポイント以上、太字は14(日本語は18)ポイ

ント以上)の場合:

G145: テキスト(及び文字画像)とその背景の間に、

3:1以上のコントラスト比が必要

例外:アクティブではないボタンなど/装飾/誰も視覚的に確認できない/写真の一部分のテキスト/ロゴタイプなど

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•コントラスト比を計るツール

• Colour Contrast Analyser(http://www.paciellogroup.com/resources/contrastanalyser/)

• Color Contrast Checker(http://webaim.org/resources/contrastchecker/)

• checkmycolours(http://www.checkmycolours.com)

•シミュレーションツール

• Web Accessibility Toolbar(http://www.infoaxia.com/)

• Photoshop/Illustrator CS4以降(ビュー/校正設定)

• 色のシミュレータ(http://asada.tukusi.ne.jp/websimulator/)

• Sim Daltonism(https://itunes.apple.com/ca/app/sim-daltonism/id693112260)

※ モノクロにしてみるのも手っ取り早い。

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背景のグラデーションはコントラストに注意

見出し見出し見出し見出し

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

見出し見出し見出し見出し

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

本文本文本文本文本本文本文本文本文本文本文本本文本文本文

←ここはよくても

←ここがダメ

section毎に背景色にグラデーションを引いている例

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•7.2.4.7 視覚的に認識可能なフォーカス: (AA)

G149/C15/G165/G195 フォーカスインジケータを消さない。

例) →

a { outline: none; } → ×

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•7.3.2.4 一貫した識別性: (AA)

G197 同じ機能を有するコンテンツに対して、一貫したラベル、識別名及び代替テキストを用いる。

アイコンの形状や矢印の向きも同じこと

(アイコンの可読性にも注意)

マップ ⦿ マップ ⚑ マップ ♨

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その他、JISに関わらないアクセシビリティ

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•フォントフェイスによる可読性の違い

ヒラギノ明朝

ヒラギノ角ゴ

UD新ゴ

WebフォントでUDフォントが使用可能なサイト

モリサワ (http://typesquare.com)

fonts.com (http://www.fonts.com/ja)

FONTPLUS (http://webfont.fontplus.jp)

amanaimages (http://amanaimages.com/font/web/)

フォントサイズによる可読性にも注意

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•見出しの大小関係

文書構造を理解できる見出しのデザイン

♨ h2見出しh2見出しh2見出しh2見出し

♥ h3見出しh3見出しh3見出しh3見出し

◉ h2見出しh2見出しh2見出しh2見出し

● h3見出しh3見出しh3見出しh3見出し

h2見出しh2見出しh2見出し

h3見出しh3見出しh3見出しh3見出し

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•ナビゲーションでの現在位置の表示

商品情報 > サービス v イベント > SHOP INFO >

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脈絡もなくTipsを並べてしまいましたが . . .

「アクセシビリティ」と「ユーザビリティ」

似てるけど違う。

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アクセシビリティがちゃんとしてない

ビジュアルデザインは、

• 見えない

• 聞こえない

• 使えない

• 理解できない

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アクセシビリティがちゃんとしてない

ビジュアルデザインは、

たどり着けないぜ

• 見えない

• 聞こえない

• 使えない

• 理解できない

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では、制作開始!

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ありがとうございました。