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フィールドミュージアム構築における代替現実ゲーム「Ingress」の活用
小瀬由樹*1 上石悠樹*1 長澤奏美*1 美濃部久美子*2
木村知之*3 ○白井暁彦*1
*1: 神奈川工科大学情報学部情報メディア学科
*2: スマ歩さがみはらプロジェクト *3:相模原市立博物館
フィールドミュージアム街を一つの博物館と見立て,地域の文化,自然の学習活動の場として提供するもの
政令指定都市となった相模原市津久井を含み広大な面積に
市内に博物館は唯一。個々のテーマのミュージアムが散在。
相模原市立博物館と白井研究室の協働事業「みんなでつくる相模原『知的探求散策アルバム』」
(略称:スマ歩さがみはらプロジェクト) 公募事業・平成25年度から実施
博物館ネットワーク事業「さがみはらどこでも博物館」計画(平成21年~)を博物館と大学の協業でフィールドミュージアムの構築を推進する
はじめに
事業の目的:みんなで作る相模原「知的探求散策アルバム」
(1)相模原の自然、文化、歴史のネットワーク地図の構築
(2)スマートフォンを使用した「知的探求散策ワークショップ」の実施
(3)市民参加+学芸員による未来的展示物の構築
(4) 事業の記録、検証
(5) 事業成果報告書などの作成
■ 大学生・教員等3名で一般の参加者として参加■ お寺や神社の歴史など地域の歴史や文化を取材■ 取材ではスマートフォンとデジタルビデオカメラを使用
平成25年度の活動(1)ネットワーク地図の構築
【緑区藤野地区ふじの里山クラブ(2013/11/4)】【 下溝地区民俗探訪会(2013/5/8)】
▲博物館「民俗調査会A」主催民俗探訪会第3回「下溝地区」
▲ふじの里山クラブ、緑区藤野地区
■写真や動画をインターネットで簡単に閲覧できるようにした■ Google mapsを使って道のりや写真、動画を見やすくした■作成したGoogle map「民俗探訪会下溝地区」のURL
URL: http : //goo.gl/maps/kwYNL課題■コンテンツの制作には時間がかかる(動画の編集さえなければ一晩で可)■コストをかけたわりには、アクセスされない(展開フェーズの手数も多い)
GoogleMapを使った市民学芸員による探訪会の無料コンテンツ化
Google map上にアイコンを作成
アイコンをクリック
動画が表示される
■参加者も住んでいる地域の歴史や文化をあまり知らない→全世代共通の発見■地域の文化や歴史を学芸員の方々と一緒にコンテンツ化していく価値■相模原の魅力を多くの人に発信できる【明らかになった課題】■探訪会・町歩きイベント自体は様々な団体が実施している(高齢者中心)。■全年齢・子供向けのワークショップとして、性急に開始するのは危険。十分な安全性の確保、解説の整備、開催時間などを調査・準備すべきと判断。
H25年度末時点の可能性と課題
【Google Earth上の下溝マップ】 【制作された動画コンテンツ】
平成26年度上期の活動状況(1)ネットワーク地図の構築にかかわるインフラ整備
1-1 新ドメイン,新HPの開発,新旧公式HP移行作業
1-2 博物館側での更新が行えるよう,マニュアルの作成,講習会の実施
1-3 関連施設やイベント特設ページの開設拡張性追加
1-4 館内無線LANの整備
(2) スマートフォンを使用した「知的探求散策ワークショップ」の実施
2-1 ワークショップの実施
2-2 動画+マップの作成
2-3 市民学芸員との連携
(3) 展示物の開発
3-1 夏季企画展「太陽にいどむ」でのインタラクティブな展示物の開発
3-2 博物館に設置したサイネージの刷新
3-3 緑区でのサイネージ展開
(4) 事業の記録、検証
(5) 事業成果報告書などの作成
→ 平成26年度末で事業完了を目指す
1-1 新ドメイン,新HPの開発,新旧公式HP移行作業旧HP http://www.remus.dti.ne.jp/~sagami/→新公式HP http://sagamiharacitymuseum.jp/
1-2 博物館側での更新が行えるよう,マニュアルの作成, 講習会の実施
1-3 関連施設やイベント特設ページ(サブドメイン)の開設拡張性追加・スマ歩!相模原:http://sumaho.sagamiharacitymuseum.jp/・相模原動画地図:http://dokodemo.sagamiharacitymuseum.jp/
1-4 館内無線LANの整備・利用者アンケートの実施
{調べもの,博物館のHP閲覧,交通機関,SNS等}
(1)ネットワーク地図の構築にかかわるインフラ整備
無線LANサイネージ 無線LANアンケート
新公式HP
マニュアル講習会の実施
☆月間24,000ビューを記録中
2-1 ワークショップの実施(1・2回目:講習型 → 3回目:自由散策型)
2-3 市民学芸員との連携→HP / 館内LAN設置についてのフィードバックによる調整・修正作業
(2)スマートフォンを使用した「知的探求散策ワークショップ」の実施
「取材手帳」を持って自由に
撮影
講習型
自由散策型
取材記事を特設サイトと館内サイネージで共有
博物・写真・情報メディアの3分野を体験学習
3-1 夏季企画展「太陽にいどむ」でのインタラクティブな展示物『全身・太陽圏』の開発
→夏の企画展として、博物館から依頼。JAXA坂本先生の監修の下、JAXA・博物館・白井研究室の3者で企画開発を,神奈川県立青少年センターでの大学主催イベントにてテスト展示,フィードバックを経て,完成。7月中旬~8月末まで博物館にて無人展示を成功させた。
(3) 先進的な展示物の開発
テスト展示
完成音声収録 展示設営
定例MTG企画会議
■開発の様子(6月~7月)
相模原市立博物館2014年度企画展「JAXA×博物館 太陽にいどむ~日時計から太陽観測衛星まで~」
EC2014 パンフレットテンプレートPDFに出力して提出してください
297mm x 210mm(A4)印刷時にはA5サイズに縮小されます。
左綴じの予定
各ページの中央下部にページ数が入る予定です
球体ティスプレイとモーション入力を用いた科学コンテンツのエンタテイメントシステム化と展示評価手法上石悠樹, 岡本遼, 小瀬由樹, 三上雄太, 白井暁彦 (神奈川工科大学)
ExPixelを使用した映像多重化↓(左)科学解説/(右)ゲーム体験解説
情報処理学会エンタテイメントコンピューティング2014(明治大学)にて展示,関連技術はゲーム開発者会議CEDEC2014にてインタラクティブセッションで受賞。
(3) 展示物「全身・太陽圏」の開発■展示の様子(7月~8月)
■球体ティスプレイとモーション入力を用いた科学コンテンツ のエンタテイメントシステム化と展示評価手法,上石悠樹,岡本遼,小瀬由樹,三上雄太,白井暁彦
平成26年度下期の活動2-2 動画+マップの作成
3-1 常設展示への検討
3-2 博物館に設置したサイネージの刷新
3-3 緑区でのサイネージ展開
■昨年度設置したテジタルサイネージをギャラリー・作品置き場と位置づけ、新たな技術を導入したサイネージを運用■遠隔地からのコンテンツ作成と更新■コンテンツ作成にかかるコストが課題
■相模原動画地図市民がYouTubeに公開した動画を
GoogleMaps上に設置
■知的探求散策マップ
これまでの博物館ボランティアによる散策地図のGoogleマップの統合
■市民による情報提供Google/YouTubeだけではできない,地図情報(GIS)と市民発信型サービス
■館内+緑区サイネージでの表示{中央区,南区}←→緑区でのテジタルサイネージを通じた市内博物情報の表示・共有
どこでも博物館の具現化http://dokodemo.sagamiharacitymuseum.jp/
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就学前 小学生 中学生 高校生 18~22歳23~29歳30~39歳40~49歳 50以上
人数
アンケート調査の年齢層
■高齢者,小学生ファミリーへのアプローチは安定■一方、中高生~大学生~20代へのアプローチが弱い
分析:来館者アンケートから(平成25年度 夏期特別展, 2000人規模)
■ 「楽しみをもって、市民が主体的に関わるには?」
■ どこでも博物館=フィールドミュージアムの定義は?
■経年的な変化にも対応していけるように。活動の成果を評価できるように。
■得られたテータから、知見を共有し、後進・他自治体に貢献する
来館者アンケートの結果から…
闇雲にイベントやコンテンツ開発システム構築をしていても、そもそも、効果が不明瞭。
このままシステム開発を続けていく意味があるのか?
Google発のベンチャー企業「Niantic Labs」が開発運用する
代替現実ゲーム(ARG: Alternate Reality Game)
史跡等にある「ポータル」を使った陣取りスマホ標準搭載のGPSセンサとGoogleMapsを使用
緑(Enlightened)と青(Resistance)に分かれて探索
プレイヤー自身でポータルを申請できる
完全無料
全世界で1000万人がプレイ
第18回文化庁メディア芸術祭(ビデオゲームを押さえて)エンタテイメント部門大賞
人々を外に連れ出す設計の最先端のスマホ利用ゲーム
代替現実ゲーム「Ingress」とは
Google/Niantic Labs. による公式紹介映像
開始2年目時点の公式データ
800万以上,200以上の国でインストールされる
Ingressエージェントが動いた総距離は1億km(地球2500周分)
ポータルを訪れた回数1億7000万回
600万以上のポータル申請
281イベント、5万人の参加者
300万以上のSNSフォロワー
5000以上のローカルGoogle+グループの開設
数字で見るIngressの社会現象
宮城県石巻市震災からの復興支援に利用
被災する前の姿をゲーム内で確認できる
岩手県Ingress活用研究会 Ingressの地域振興への活用を検討する会
11月9日には街歩きイベントを開催
神奈川県横須賀市特設サイトを開設
Ingressを関連付けた観光コース紹介
Ingressプレイヤの猿島への運賃を割引する「Ingress割」の実施
主にシティセールス、観光を中心に盛り上がり
他の自治体のとりくみ
「ゲームを用いたゲーミフィケーション」
無料で「おもしろい」をフィールドミュージアムの実現
Ingressのみでは解決できない課題
Ingress内の出来事はIngressプレイヤーしか知らない
緑と青、常に敵対する勢力
幅広い層を対象にしたい
子供と親および3世代の参加
ゲームをゲームで終わらせずに“現実の課題”を解決するためのITCサービスおよび展開手法の研究は世界的にも新しい
新規性
http://ingress.sagamiharacitymuseum.jp/※相模原市立博物館公式HPのサブドメイン
【相模Ingress部心得】一、緑とか青とか勢力にこだわらない一、博物を知り相模の国を愛する一、ゲームを楽しみ節度をわきまえる
【コンセプト】・Ingressを使ったフィールドミュージアムの実現・Web, SNS, 館内サイネージ,
印刷物を展開しゲーム外に発信・中高生にとっての「部活動」を想起させるようなネーミング・カッコよすぎないこと
【効果・利点】• 中高生への博物・文化財への興味刺激• 地元愛の育成• 無料,Googleが運営• ゲームを使ったゲーミフィケーション→本プロジェクトの成果を生かして,ポータルのポータルサイトと多重化サイネージでの展示化
Webサイト「相模Ingress部」コンセプトは「かっこいいだけでなくゆるく」
Ingressと博物情報を関連付けて発信
WordPressを用いて運用プラグインによる容易な拡張
アクセスログの解析
Google+/Twitter/FacebookにおけるSNSの自動投稿連携
地図の自動生成プラグイン「photomapper」開発
印刷物の作成
Webサイト開発
Google+/Twitter/Facebookにサイトの更新が自動で投稿される設定
photomapperによる記事作成支援
Twitterの投稿から記事作成までのワークフローを構築
コンテンツ展開ワークフロー
「DVDによる配信」と「クラウド型デジタルサイネージシステムによる配信」の評価
クラウド型デジタルサイネージシステムの開発
デジタルサイネージ機材の刷新
相模原市立博物館館内デジタルサイネージの刷新
多重化不可視映像技術「ExPixel」に対応
尾崎咢堂記念館における「ITオアシス」構築案
デジタルサイネージ開発
相模原市立博物館館内デジタルサイネージの刷新
プロジェクターから3Dフラットパネルディスプレイへ
多重化不可視映像技術「ExPixel」に対応
デジタルサイネージ機材の刷新
ExPixelに対応
旧デジタルサイネージ 新デジタルサイネージ
ワークショップイベント第1弾「ふちのべIngress初詣」 2015年1月4日実施淵野辺駅から相模原市立博物館まで参加者:21名目的:ゲームにしか興味がない層を市立博物館に来館させる
アンケートによる調査参加希望者に対する事前アンケート
イベント事後アンケート
その後、自主的なイベント企画が浮上するコミュニティに成長
ワークショップイベントの実施
イベントの様子
2月7日のイベント「春よ来い!相模原Ingress豆まき!」開催
ユーザーの自発的なコミュニケーションから企画されたイベント
Ingress初心者の支援が目的
Ingress公式イベント
淵野辺駅から相模原市立博物館までを街歩き
ユーザー主体のイベントの実施
Google 公式初心者育成イベントに採択
21名→61名の来館者、満足度98%
成長ランキング世界第5位を達成
今週末(3/7)、町田でも開催(自主運営)
イベント#2「Ingress豆まき」
※公園は許可を得て使用、人物の撮影は許諾必要 女性が多い点が特徴
呉服店「つるや」にて
※交戦中
Ingressを用いた「ゲームへの興味」を利用したフィールドミュージアムの実現 (Gamification)
公式提供APIによる産業化の可能性今後の情報発信手法、モデルの獲得に成功
デジタルサイネージ、印刷物の可能性
ワークショップイベントは重要今まで博物館に来たことのなかった層を来館させる
まとめ / 今後
サイネージでの報告/利用SNSの変化
これにて活動は一旦終わります…が!今後とも相模Ingress部をよろしくおねがいいたします
http://ingress.sagamiharacitymuseum.jp/