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Wagby を用いた見積手法
平成 28 年 8 月株式会社ジャスミンソフト
これまでの問題点
• 「工数 x 人月」という式では、超高速開発のメリットを反映させることができない。– 納期を短縮し、品質を向上させるという観点が含まれていない。
• そもそも工数算出の根拠があいまい。– 一般的なファンクションポイント法では、精度を上げようとす
ると、仕様の細かい読み込みが必要になる。”見積もり無料” では、見積のために投入できる技術者の工数に限界がある。
営業段階で簡単に見積もりが行え、
算出根拠に納得感があり、
超高速開発に適用できる
見積方法が求められている。
Wagby の利用を前提とした新しい見積方式
新・見積計算式
例– 総項目数 100 。– アプリケーション複雑度係数 1.2 。 ( 後述 )– 1 組織で利用。組織係数 1.0 。– 10,000 円 /1 項目。– 見積は 100 x 1.2 x 1.0 x 10,000 = 1,200,000 円。
項目数 x アプリケーション複雑度係数 x 組織係数 x 項目単価
総項目数
• 開発(定義)したモデルに含まれる各項目の総和。– 10 モデル定義し、各 10 項目であれば、合計 100 項目。
• 以下は除く。– システムに最初から同梱されている(管理用)モデル。
– サブモデル。(メインモデルのみを対象とする。)
– 選択肢モデル。
アプリケーション複雑度係数 [1]• 基準を “ 1.0” とする。– 一切の業務ロジックがない、かつ、 Wagby の定義
ですべて記述できる状態。
• アプリケーションのテーマによって設定する。– 例:業務別
– 営業段階で概算見積で利用できるように。
– 自社独自のパラメータとなる。• 未経験の業務は係数を高めに設定する、など。
アプリケーション複雑度係数 [2]• テーマ別の設定例
台帳管理(業務ロジックなし) 1.0販売管理 1.5人事 1.8給与 2.0生産管理 3.0財務会計 3.0
※ 数値が高いほど「式」や「スクリプト」の記述量が増えることを想定しています。
組織係数
• 関わる組織が増えるとメニューや権限管理が複雑になる。これを吸収するパラメータ。
• 利用部門(組織)が 1 つの場合を 1.0 とする
• 計算方法は各社でカスタマイズしてよい。– 例:利用部門が 1 つ増えるごとに、 1.05 を乗ずる。
• 利用部門が 5 つのとき。 1.05 ^ 4 = 1.22 とする。
項目単価
• 開発に含める内容を明示する
メニュー 価格
標準 10,000 円
オプション:詳細設計書の作成 +1,000 円
オプション:ユーザマニュアルの作成 +1,000 円
オプション:既存データ移行 +1,500 円
オプション: PDF 帳票 +2,000 円
オプション:特急料金 単価の 1.25倍とする
※ 上表はサンプルです。メニューの詳細および価格は自社用に設定してください。※ 標準とは、 Wagby 設計情報で表現できる内容(計算式も含む)をいいます。※ スクリプトや Javaコードは含みません。
個別見積
• 次の業務対応が想定されます。– スクリプトによる業務処理。– バッチ処理。– Wagby 標準機能を超えたカスタマイズコードの開発。
– 既存システムの解析。– 環境構築。– 運用(支援)
仮想工数
工数換算で比較しやすくする
• Wagby 技術者の「人月単価」を設定します。– 例: 100万円 / 月。
• 式によって求められた「金額」を人月単価で割り算することで「仮想工数」とします。– 1000万円 /100万円・月 = 10 人月相当、とする。
実際に 10 人月かかるかどうかは、問題ではありません。
ユーザ主導開発でのコンサルティング
コンサルティングで活用する
• 案:先の式により求められた総額の「 10% 」で年間コンサルティングを行うという考え方。– 標準では年 10回、などとする。(交通費別)– 例えば 1000万円のシステムなら、 100万円 / 年。一回あたり
10万円となる。– システム規模が複雑になればコンサルティング費も増大する、
という説明は違和感が少ない。(他業界で事例多数)
やってみよう
設定するパラメータまとめパラメータ 例 説明
総項目数 1,000 項目 算出ツールあり ( 後述 )アプリケーション複雑度係数
1.0 〜 自社の強みを数値化する。
組織係数 1.0 〜 ユーザからヒアリングすることで係数算出可能。
1 項目開発単価 10,000 円 / 項目〜 細かいメニューを用意することができる。
※ 標準で含まれるものと、含まれないものを明確にする。※ 納品物も明確にする。 Wagby が生成する基本設計書なら価格に含まれる、など。
精度を高める
• 模擬的なアプリケーション開発を通して、本計算式の値から算出された「仮想工数」と、実際の工数を比較する。
• 「仮想工数 : 実工数 = 1 : 1 」 ではない。– Wagby の利用では、利益率を高めることが重要。
計算支援ツール使い方 : java -jar Estimate.jar [ オプション ]
-p 項目あたりの単価を指定します。省略時は 10,000 円 です。-c アプリケーションの複雑度係数を指定します。省略時は 1.0 です。-o 組織の複雑度係数を指定します。省略時は 1.0 です。-tax 税率を指定します。省略時は 1.08 です。-f 出力ファイル名を指定します。省略時は estimate.html です。-e 出力ファイルの文字エンコードを指定します。省略時は utf-8 です。-help ヘルプメッセージを出力します。
運用方法
• 契約前– 概算見積では、現行システムの画面や帳票から、項目数を見積もる。– アプリケーション複雑度係数は業務テーマで設定しておく。
• 開発途中– 定期的に金額を示すことができる。双方が差異を事前に確認できる
ことが重要。
• 請求時– 概算ではなく正確な数字で請求可能。– 仮に値引きの場合も、根拠数字があるため交渉を有利に進めること
ができる。
• 追加開発– 前回との差異を把握しやすい。差分請求が可能。
まとめ
新しい SI を支える、新しい見積方式
• 超高速開発では、少人数で大規模システム開発を行うようになる。これまでの「工数 x 人月単価」では、そぐわない。
• 開発ツールの範囲で行える分と、カスタマイズ分を明確にすることで、ユーザと開発者の双方でコストを「見える化」できる。
• 営業段階で素早く概算見積が行えるようになり、商談を進めやすくなる。