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天文学におけるLL利用の過去と現在 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU, Univ of Tokyo) 下農 淳司 (@himorin)

2013/08/24 LLまつり 天文学におけるLL利用の過去と現在

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天文学におけるLL利用の過去と現在

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構

(Kavli IPMU, Univ of Tokyo)

下農 淳司 (@himorin)

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Agenda

• 観測天文学ってなにやってるの?

– “ソフトウェア”的にそんなに特殊ではないです!

• 観測データの処理・解析

– 写真の時代から電算処理

– 最近のトレンドとLLへのながれ

• 観測のための装置

– 望遠鏡から観測装置まで

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観測天文学って?

観測を行うための装置を作るところから、

観測データを処理して物理量を求めるまで。

つまり、、

光学から、機械から、電装から、制御・解析ソフトウェアから、当然ながら物理まで全部やります。

・・・もちろん分担してですが

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観測天文学って?

大雑把にいうと

– 望遠鏡 (光を集めるバケツ) で天体の光を集める• より大口径の方がバケツの効率がいい!が、年に数日しか使えないより占有の中口径望遠鏡がトータルではいいかも

– 集まった光を装置に流して加工(フィルター・分光)

– 加工した光を検出器に入れて電子データ化する• もっとも、大昔は眼視とか写真乾板だったわけです

• デジカメの親玉みたいなもん(サイズは桁で違いますが

– 観測で得たデータを解析ソフトで物理量に解析• 基本的に生データは公開なので捏造できない

– たとえばすばるでは18ヵ月後から、太陽観測だと即時、とか

• とはいえ、見えた!と思った天体を追観測したらノイズだった、というのはよくある(位にはかなり厳しい

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ということで、、

データ解析って何やっているの?

から始めて

データ解析で使われているLL

に触れたあと

そのデータを取得するためのソフト

について説明します

質問などあれば休憩時間にどうぞ(答えられる範囲

なら)

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観測データ処理・解析

天文学の観測 = 信号が受かれば何でも

電磁波に始まり宇宙線や重力波などまで

ただ、それだとあまりに話が広すぎるので、今回は可視光とその近辺(100nm~10umとか)をメインに取り上げます。

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天文データ取得の歴史D. E. Groom, SPIE 4008-70, 2000

A. Tyson, AJ, 96, 1988

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観測の電子化によるデータ解析の変化

IRAF : Image Reduction and Analysis Facilities1980年代初頭からNOAOで開発が始まった、画像・データ処

理のためのソフトウェアパッケージ群+コマンド・スクリプト機能

IDL : Interactive Data Language1970年代後半から開発が始まった、ベクトル型数値データを

大量処理することに最適化された対話型のスクリプト実行環境

組込・別途で配布されている、または作成したデータ解析モジュールを呼び出す形で動作し、対話型処理とその内容をスクリプトとして記述して自動的に処理する機能を持つ、のが基本。

・・・・LLと似たようなもんかも。。

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(例)

↑対話型UI

↓clスクリプト

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2000年~の画像データの大規模化と解析環境の変化

とはいえ、大規模化といってもしょせん画像なので素粒子業界ほどのデータにはなりません。(ただし、光量が捨てるほどあってかつ大きい太陽や、電波・光学干渉計を除く。)

1998 SDSS @ APO(120M pixel)

1999 Suprime @ Subaru(80M pixel)

2013 HSC @ Subaru(832M pixel)

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2000年~の画像データの大規模化と解析環境の変化

2000年頃からイメージサイズの大容量化と自動化された大規模観測(サーベイ)が行われるようになり、データ処理方式にも影響。

– 大容量画像を高速に扱えるようにという要望が

– サーベイが数十~数百晩分のデータになり自動解析へ

IRAFよりも高機能で移行しやすいLL処理系が出て、移行する人も出てきた

– 自動解析環境を構築する上でやりやすい

– PythonとIRAFのモジュールの統合というpyrafパッケージ

– さまざまな基本的な処理をまとめたastropyパッケージ

使い勝手がいいのがでたから利用しよう!というだけ、ともいうかも

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PyRAF

http://www.stsci.edu/institute/software_hardware/pyraf

• IRAFのコマンドライン(CL)をリプレース

– Pythonのネイティブのコマンドラインに、ではない(!)

– IRAFのコマンド群はCLと同様に実行できる

• スクリプト機能はPythonに

– “import iraf”でコマンド群を関数として読み込む

– PyRAFのコマンドライン内でなくても利用可能

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astropy

http://arxiv.org/abs/1307.6212astro-ph/1307.6212 : Astropy: A Community Python Package for Astronomy

http://www.astropy.org/

Pythonがデータ解析やそれ以外にも幅広く利用されるようになり、さまざまな人がPythonモジュールを作成・公開す

るようになったので、インターフェースなどを統一的にして、かつ一つのパッケージにしよう、というコラボレーション。

天文業界では誰もが使うようなモジュールが数多く入っている。

逆に、ふつーは使わないからこうでもしないと不便ともいう?

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astropy

astropy.time : 時間の取り扱い

UTC : 協定世界時TT : 地球時TAI : 国際原子時TCG : 地心座標時TDB : 太陽系力学時TCB : 太陽系座標時

astropy.cosmology : 宇宙論パラメータの計算

cosmology.H(0) : デフォルトでは7year WMAPの観測結果FlatLambdaCDM : 曲率なしFLRWモデル

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観測のための装置

"In addition, changing to a 2.4-meter mirror would lessen fabrication costs by using manufacturing technologies developed for military spy satellites.“

(Marshall Space Flight Center,

Power to Explore,

Chap.12 The Hubble Space Telescope)

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天文”光学”観測

いろいろな方式の観測を行えるよう、一つの望遠鏡に複数の”観測装置”がつけられることが多い

→ 望遠鏡と観測装置は別制御

全体をまとめて制御するシステムも必要

それぞれの”観測装置”自体は

– メカもの (シャッター・フィルターや焦点合わせ機構)

– 検出器本体とその真空冷却装置

が主な構成要素です。

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システムとしての望遠鏡の例APO (USA) 3.5m 望遠鏡の制御システム構造図

すばる望遠鏡の観測制御室モニター

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システム構築としての観測装置制御

大学・研究所での自家開発がかなり多い– それぞれの機関ごとの趣味が反映される

地上・宇宙ではやはり違う– 打ち上げたらオンサイトデバッグできないですし

– とはいえ4000mの高地でデバッグするのってのも意外と大変

– 地上屋さんが打ち上げたり、打ち上げ屋さんが地上やると大変• 真面目に”It’s not a rocket science!”と叫んだこともあります。。

• そもそも文化とか大前提が違うので感覚が、、、

制御機械のすべてがネットワークにつながる時代– 装置・OS依存というのはあまりない

– とはいえ、いまだに検出器周りはそれなりに大変です• いろんな意味で。。

• もちろんソフトウェア、データ量的に大変なのもありますが

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システムとしての”観測装置”の例

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システムとしての”観測装置”の例

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カメラ・検出器制御とデータの扱い

Images from Teledyne Catalogue(Cleared for Public Release by the DoD‘s Office of Security Review, Case 12-S-1869 / Case 12-S-1870)

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お・し・ま・い

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