人工股関節全置換術3次元手術計画自動立案システム "AutoImPlan" （2011.12.24 SI2011@京都大学）

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人工股関節全置換術3次元⼿術計画自動⽴案システム

音丸格a，横田太a ，鍵山善之b，高尾正樹c，中本将彦c，多田幸生a，菅野伸彦c，富山憲幸c，佐藤嘉伸c

AutoImPlan

a 神⼾大学， b 山梨大学，c 大阪大学大学院医学系研究科


はじめに


研究背景と目的 | コンピュータ支援整形外科⼿術

⼿術ロボットやナビゲーション⼿術の開発によって，術前に⽴案する⼿術計画が正確に再現される．

そのため，適切な⼿術計画を⽴案することの重要性が増大している．

〜1990年代前半 1990年代後半〜

2次元⼿術計画＋マニュアル⼿術

⼿動 3次元⼿術計画＋ロボット・ナビゲーション

⼿術

2011〜

自動 3次元⼿術計画＋ロボット・ナビゲーション

⼿術


本発表の内容⼿術計画自動⽴案システム “AutoImPlan”の概要を示し，性能評価実験結果を報告する．

“AutoImPlan”システムは，整形外科⼿術の一種である「人工股関節全置換術」を対象とする．


研究対象 | 人工股関節全置換術

人工股関節全置換術は，病気で変形した股関節を人工股関節に置き換える⼿術である．

人工股関節は，カップと呼ばれる骨盤側インプラントと，ステムと呼ばれる大腿骨インプラントの2つからなる．

骨盤

術前術後

大腿骨

骨盤側インプラント(カップ)

大腿骨側インプラント(ステム)



AutoImPlanによる人工股関節3次元⼿術計画自動⽴案


システム概要 | ⼊出⼒

インプラントサイズ・位置・角度

患者骨格3次元形状


システム概要 | 本研究のアプローチ



学習データセット

…

統計的⼿術計画アトラス

-3 3 [mm]

0Average-3σ 3σ


システム概要 | 統計的⼿術計画アトラス


-3 3 [mm]

0

…



Average-3σ 3σ


骨格‐インプラント統計アトラス：ある骨格形状が与えられたときの，インプラントの統計的な存在可能範囲を表現

関節機能正常度アトラス：外科医計画の解析結果から，関節機能を表す値がどの程度であれば正常と⾔えるかを表現


システム概要 | 本研究における⼿術計画⽴案


-3 3 [mm]

0

…



大腿骨ステム⼿術計画自動⽴案

骨盤カップ⼿術計画自動⽴案最適

組み合わせの探索

Average-3σ 3σ


ステップ１：ステム・カップ⼿術計画⽴案を独⽴に⾏ない，複数の解候補を出⼒ステップ２：解候補の網羅的な組み合わせから，最適な組み合わせを１つ選択




-3 3 [mm]

0

…



ステム⼿術計画自動⽴案

カップ⼿術計画自動⽴案最適


Average-3σ 3σ



骨盤‐カップ統計アトラス


統計形状アトラス

カップ⼿術計画自動⽴案

骨盤3次元形状カップ⼿術計画

Otomaru et al.CAOS 2009

• 骨盤の変形バリエーションとカップ位置の統計的位置関係をモデリング．• アトラスを骨盤形状に当てはめることで，カップ⼿術計画を推定．


大腿骨‐ステム統計アトラス


統計的距離値マップ


大腿骨3次元形状ステム⼿術計画

-3 3 mm0

• ステム表面における大腿骨との距離値分布をモデリング• 距離値分布が平均的傾向に近づくように，ステム⼿術計画を推定．

Otomaru et al.Med. Image Anal. 2011




-3 3 [mm]

0

…




カップ⼿術計画自動⽴案最適


Average-3σ 3σ



関節機能正常度アトラス | 構築方法

学習データを解析することで，ある関節機能の値がどの程度あれば，正常と⾔えるかをモデリング．

学習データから，関節機能のヒストグラムが得られる．

20 40 60 80

Histogram of ROM

HighLow学習データにおける関節可動域解析結果


関節機能正常度アトラス |構築方法

ヒストグラムの値を，平均0，分散1の半ガウス関数にマッピング．横軸は関節機能の値，縦軸はその値における正常度に相当．

20 40 60 80

関節可動域の値 [deg.]7060 50 40 30 20

High LowHighLow関節可動域の値 [deg.]


関節機能正常度アトラス | ⼿術計画⽴案方法

カップ計画・ステム計画解候補の全組み合わせ

＋関節機能正常度アトラス

（関節可動域）

関節機能正常度アトラス（左右脚⻑差）＋…

関節機能正常度アトラスによる適合度計算

解候補の組み合わせから最も適合度が高いものを

選択

選択された⼿術計画



性能評価実験結果


実験方法変形性股関節症37症例を使用し，leave‐one‐out交差検定によって，学習データと評価データを分離した．

比較した⼿法1. 骨格‐インプラント統計アトラスのみ2. 骨格‐インプラント統計アトラス＋関節機能正常度アトラス

比較項目熟練外科医計画と比較したときの設置位置誤差関節機能度（カップ被覆率・脚⻑差・関節可動域）


実験結果 |カップ位置誤差・カップ被覆率比較

0

1

2

3

4

5

6

7

最適化なし提案⼿法60

65

70

75

80

85

90

95

100

最適化なし提案⼿法外科医計画

カップ位置誤差（外科医計画との差） [mm] カップ被覆率 [%]

p = 0.006

ＡＢＡＢ外科医

Ａ：骨格‐インプラント統計アトラスのみＢ：骨格‐インプラント統計アトラス＋関節機能正常度アトラス

平均値・標準偏差値がともに改善有意に改善


実験結果 | 脚⻑差・関節可動域比較

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

最適化なし提案⼿法外科医計画0

10

20

30

40

50

60

70

最適化なし提案⼿法外科医計画

脚⻑差 [mm] 関節可動域 [deg.]

p = 1.0×10-6p = 0.001

ＡＡＢＢ外科医外科医

骨格‐インプラントアトラス・外科医計画よりも有意に改善

全ての条件で同程度の値

Ａ：骨格‐インプラント統計アトラスのみＢ：骨格‐インプラント統計アトラス＋関節機能正常度アトラス


実験結果 | 自動計画⽴案結果例

0.1 mm8.3 mm 2.5 mm脚⻑差

関節可動域 31.9度19.4度 29.4度A B 外科医

骨格インプラントアトラス・外科医計画よりも脚⻑差が改善

骨格インプラントアトラスよりも高く，外科医と同程度の

関節可動域を実現

Ａ：骨格‐インプラント統計アトラスのみ

Ｂ：骨格‐インプラント統計アトラス＋関節機能正常度アトラス



おわりに


本研究のまとめ本研究では，人工股関節全置換術を対象とした⼿術計画自動⽴案システム “AutoImPlan”の概要を示し，性能評価を⾏なった．

本研究の特⻑は，熟練外科医が⽴案した⼿術計画を学習データセットとして，統計的な⼿術計画⽴案傾向をモデリングしている点である．1. 骨格‐インプラント統計アトラス2. 関節機能正常度アトラス


考察と今後の予定骨格‐インプラント統計アトラスのみの場合と，骨格‐インプラント統計アトラス＋関節機能正常度アトラスの場合を比較したところ，後者は有意に性能が高かった．

骨格‐インプラント統計アトラスでは，骨盤側・大腿骨側が独⽴しているのに対し，関節機能正常度アトラスは，股関節全体のバランスを考慮しているためと考えられる．

今後，本研究が出⼒する⼿術計画の熟練外科医による評価を実施し，臨床的有用性を評価する．


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