細胞と多様性の 生物学

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細胞と多様性の 生物学. 第4回 細胞におけるエネルギー産生 と化学反応のネットワーク. 和田 勝. 東京医科歯科大学教養部. 前回の復習. 設計図 ( 遺伝情報、 DNA ). 転写( transcription ). 遺伝情報とタンパク質の仲立ちとなる RNA. 翻訳( translation ). タンパク質 が構造と機能を実現. (セントラル・ドグマ). 翻訳の過程. タンパク質の構造. 一次構造. アミノ酸の配列. 二次構造. α ヘリックスと β シート. 三次構造. 立体構造. 四次構造. 複数のポリペプチド鎖の組み合わせ構造. - PowerPoint PPT Presentation

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細胞と多様性の生物学

細胞と多様性の生物学

和田 勝和田 勝

東京医科歯科大学教養部東京医科歯科大学教養部

第4回 細胞におけるエネルギー産生と化学反応のネットワーク

第4回 細胞におけるエネルギー産生と化学反応のネットワーク

設計図 ( 遺伝情報、DNA ) 設計図 ( 遺伝情報、DNA )

前回の復習前回の復習

タンパク質が構造と機能を実現タンパク質が構造と機能を実現

遺伝情報とタンパク質の仲立ちとなるRNA遺伝情報とタンパク質の仲立ちとなるRNA

(セントラル・ドグマ)(セントラル・ドグマ)

転写( transcription)転写( transcription)

翻訳( translation )翻訳( translation )

翻訳の過程翻訳の過程

タンパク質の構造タンパク質の構造

一次構造一次構造 アミノ酸の配列アミノ酸の配列

二次構造二次構造

三次構造三次構造

四次構造四次構造

α ヘリックスと β シートα ヘリックスと β シート立体構造立体構造

複数のポリペプチド鎖の組み合わせ構造複数のポリペプチド鎖の組み合わせ構造

生体内での化学反応生体内での化学反応

異化( catabolism)異化( catabolism)同化( anabolism)同化( anabolism)

代謝( metabolism)代謝( metabolism)

異化:食物を分解し、材料とエネルギー  を得る

異化:食物を分解し、材料とエネルギー  を得る同化:材料からエネルギーを使って細  胞構築用の分子を合成

同化:材料からエネルギーを使って細  胞構築用の分子を合成

代謝経路代謝経路

分子A分子A

分子 B分子 B 分子 C分子 C

酵素A酵素A

酵素 B酵素 B 酵素 C酵素 C

●    ●   ●   ●   ●   ●   のように表すこともできる

●    ●   ●   ●   ●   ●   のように表すこともできるこのような経路を代謝経路( metabolic pathway )という。このような経路を代謝経路( metabolic pathway )という。

代謝経路の 全体像代謝経路の 全体像

太線がこれから学ぶ部分

太線がこれから学ぶ部分

ヌクレオチドの伸長、リボソームにおける翻訳など、細胞の中でおこるあらゆる反応にはエネルギーが必要である。

ヌクレオチドの伸長、リボソームにおける翻訳など、細胞の中でおこるあらゆる反応にはエネルギーが必要である。

エネルギーの必要性エネルギーの必要性

それでは細胞はどのようにして必要なエネルギーを得ているのだろうか。

それでは細胞はどのようにして必要なエネルギーを得ているのだろうか。

もっと典型的なものは、筋肉の収縮や鞭毛・繊毛の運動である。もっと典型的なものは、筋肉の収縮や鞭毛・繊毛の運動である。

お話の舞台お話の舞台

サイトゾールサイトゾール

ミトコドリアミトコドリア

ミトコンドリアミトコンドリア

外膜外膜

内膜内膜

クリステクリステ

クリステクリステ

基質基質

膜間腔膜間腔

実際の姿は変幻自在である。実際の姿は変幻自在である。

発エルゴン反応発エルゴン反応

(b-c)のエネルギーを発生(b-c)のエネルギーを発生(a-b)の活性化エネルギーが必要(a-b)の活性化エネルギーが必要

酵素はこの活性化エネルギーを小さくする

酵素はこの活性化エネルギーを小さくする

吸エルゴン反応吸エルゴン反応

(a-c)のエネルギーを供給する必要がある。同化はこちらの過程。

(a-c)のエネルギーを供給する必要がある。同化はこちらの過程。

共役反応共役反応そこでエネルギーを供給する反応を共役させて、エネルギー収支をあわせる。

そこでエネルギーを供給する反応を共役させて、エネルギー収支をあわせる。

エネルギー供給分子エネルギー供給分子

アデノシン三リン酸( ATP )アデノシン三リン酸( ATP )

ATP の役割ATP の役割ATP→ADP + Pi +エネルギーATP→ADP + Pi +エネルギー

BOH + ATP→BO- リン酸+ ADPBOH + ATP→BO- リン酸+ ADP

BOH     BO- リン酸BOH     BO- リン酸ATP     ADPATP     ADP

AH + BO- リン酸→ AB + PiAH + BO- リン酸→ AB + Pi

共役反応の例共役反応の例

ヌクレオチド伸長の場合

ヌクレオチド伸長の場合

電子(とプロトン)の運搬電子(とプロトン)の運搬ここに電子が2個あるここに電子が2個ある

→ 還元酸化←→ 還元酸化←

脱水素酵素脱水素酵素

その他の活性型運搬体分子その他の活性型運搬体分子

リン酸基、電子(プロトン)以外にも、代謝反応には、多くの活性型運搬体分子が登場する。

リン酸基、電子(プロトン)以外にも、代謝反応には、多くの活性型運搬体分子が登場する。

アセチル基、カルボキシル基、メチル基などの運搬体がある。アセチル基、カルボキシル基、メチル基などの運搬体がある。

アセチル基は、アセチル CoA が運搬する。アセチル基は、アセチル CoA が運搬する。

エネルギー獲得のかたちエネルギー獲得のかたち● ふつうは燃焼=急激な酸化反応● ふつうは燃焼=急激な酸化反応

● 生体内ではこの方式はとりえない。● 生体内ではこの方式はとりえない。● 生体内では脱水素による酸化。しかも徐々におこる。● 生体内では脱水素による酸化。しかも徐々におこる。

● 脱水素による酸化がおこる場所と実際に使う場所とは異なっている。

● 脱水素による酸化がおこる場所と実際に使う場所とは異なっている。● その間をとりもっているのが ATP 。● その間をとりもっているのが ATP 。

生体内での酸化と燃焼生体内での酸化と燃焼

第一段階第一段階

アミノ酸アミノ酸

単糖類単糖類

脂肪酸とグリセロール

脂肪酸とグリセロール

タンパク質タンパク質多糖類多糖類

脂肪脂肪

第一段階:消化第一段階:消化 吸収吸収

細胞へ細胞へ

第二段階第二段階

アミノ酸単糖脂肪酸

アミノ酸単糖脂肪酸

アセチル CoAアセチル CoA

ブドウ糖(グルコース)の場合は解糖という過程で。サイトゾールで進行し酸素はいらない。

ブドウ糖(グルコース)の場合は解糖という過程で。サイトゾールで進行し酸素はいらない。

このとき少量の ATP と NADH が生成このとき少量の ATP と NADH が生成

第三段階第三段階アセチル CoA は完全に酸化されて水と二酸化炭素に。この過程はすべてミトコンドリア内で。

アセチル CoA は完全に酸化されて水と二酸化炭素に。この過程はすべてミトコンドリア内で。

第三段階は、 TCA 回路と電子伝達系から構成される。第三段階は、 TCA 回路と電子伝達系から構成される。

この過程で大量の NADH が生成し、これが ATP の大量生成に使われる。

この過程で大量の NADH が生成し、これが ATP の大量生成に使われる。

第二段階と第三段階まとめ第二段階と第三段階まとめ

それでは第二段階から順を追ってそれでは第二段階から順を追って

解糖( glycolysis ): 1解糖( glycolysis ): 1

グルコースグルコース

ATPATP

グルコース6- リン酸グルコース6- リン酸

フルクトース 6- リン酸フルクトース 6- リン酸

フルクトース 1,6-ビスリン酸

フルクトース 1,6-ビスリン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸+グリセルアルデヒド 3-リン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸+グリセルアルデヒド 3-リン酸

ATPATP

解糖( glycolysis ): 2解糖( glycolysis ): 2グリセルアルデヒド 3-リン酸

グリセルアルデヒド 3-リン酸NAD++PiNAD++Pi

1,3-ビスホスホグリセリン酸

1,3-ビスホスホグリセリン酸NADH + H+NADH + H+

3-ホスホグリセリン酸3-ホスホグリセリン酸

ADPADP ATPATP

2-ホスホグリセリン酸2-ホスホグリセリン酸

ホスホエノールピルビン酸ホスホエノールピルビン酸

ADPADP ATPATP

ピルビン酸ピルビン酸

解糖から TCA 回路へ解糖から TCA 回路へ

酸素があると右側へ進める

酸素があると右側へ進める

酸素が無いと左側へ進む

酸素が無いと左側へ進む

酸素が無い場合酸素が無い場合解糖の過程を進めつづけるためには、 NAD +が必要。解糖の過程を進めつづけるためには、 NAD +が必要。

NADH が NAD +に再生される必要がある。NADH が NAD +に再生される必要がある。

ピルビン酸から乳酸(乳酸発酵)、あるいはアセトアルデヒドを経てエタノール(アルコール発酵)が生成される過程で NAD+が再生する。

ピルビン酸から乳酸(乳酸発酵)、あるいはアセトアルデヒドを経てエタノール(アルコール発酵)が生成される過程で NAD+が再生する。

酸素が無い場合酸素が無い場合

NADH ↓↑NAD +

のリサイクル

NADH ↓↑NAD +

のリサイクル

酸素があると酸素があるとピルビン酸はミトコンドリア基質でアセチル CoAへピルビン酸はミトコンドリア基質でアセチル CoAへ

この過程で二酸化炭素と NADH がそれぞれ1分子生成

この過程で二酸化炭素と NADH がそれぞれ1分子生成

TCA 回路TCA 回路1.二酸化炭素が  2分子生成

1.二酸化炭素が  2分子生成2.基質レベルの  リン酸化で   GTP が1分子  生成

2.基質レベルの  リン酸化で   GTP が1分子  生成3. NADH が3分子  生成

3. NADH が3分子  生成4. FDH 2が1分子  生成

4. FDH 2が1分子  生成

クエン酸

イソクエン酸

αケトグルタル酸

スクシニル CoA

コハク酸

フマル酸

リンゴ酸

オキザル酢酸

ミトコンドリア内膜ミトコンドリア内膜

ミトコンドリア内膜にはたくさんのタンパク質が埋め込まれている。

ミトコンドリア内膜にはたくさんのタンパク質が埋め込まれている。

電子伝達系電子伝達系

活性電子のはたらきで、プロトンが膜間腔へ汲み出される。活性電子のはたらきで、プロトンが膜間腔へ汲み出される。

ATP 合成酵素( ATPsynthase )ATP 合成酵素( ATPsynthase )

内膜内膜

基質基質

膜間腔膜間腔

α3β3γ1δ1ε1α3β3γ1δ1ε1

a 1 b 2

c 12

a 1 b 2

c 12

aから ε は、いずれもポリペプチド鎖

aから ε は、いずれもポリペプチド鎖

ATP 合成酵素は回転するATP 合成酵素は回転する

http://www.res.titech.ac.jp/~seibutu/main_.html

回転の可視化回転の可視化

ATP 合成酵素( ATPsynthase )ATP 合成酵素( ATPsynthase )

内膜内膜

基質基質

膜間腔膜間腔

α3β3γ1δ1ε1α3β3γ1δ1ε1

a 1 b 2

c 12

a 1 b 2

c 12

回転によって ATP が合成回転によって ATP が合成

ADP + Pi → ATP      ↑    回転の力

ADP + Pi → ATP      ↑    回転の力

回転によって ATP が合成回転によって ATP が合成

回転による ATP 合成のモデル回転による ATP 合成のモデル

電子伝達系と ATP 生成のまとめ電子伝達系と ATP 生成のまとめ

エネルギーの流れと炭素循環エネルギーの流れと炭素循環太陽エネルギー太陽エネルギー

チラコイド膜両側の電子とプロトンの偏り

チラコイド膜両側の電子とプロトンの偏り

ADP + Pi → ATPNADP +→ NADPHADP + Pi → ATPNADP +→ NADPH

H2O + CO2 → 糖+O2

H2O + CO2 → 糖+O2

糖+O2 糖+O2

ミトコンドリア内膜両側のプロトンの偏り

ミトコンドリア内膜両側のプロトンの偏り

NAD +→ NADHCO2 と H2O の発生

NAD +→ NADHCO2 と H2O の発生

ADP + Pi → ATPADP + Pi → ATP

生きるためのエネルギー生きるためのエネルギー

動物動物植物植物

宇宙船地球号宇宙船地球号

途中のまとめ途中のまとめ ここまでで細胞が生きていくために必要なエネルギーを、どのように得ているかを学んだ。

 ここまでで細胞が生きていくために必要なエネルギーを、どのように得ているかを学んだ。

 細胞にはこれ以外に、たくさんの代謝反応のネットワークが備わっている。

 細胞にはこれ以外に、たくさんの代謝反応のネットワークが備わっている。

化学反応のネットワーク化学反応のネットワーク

ピルビン酸ピルビン酸

アセチルCoAアセチルCoA

代謝経路の交差点 or乗り換駅

代謝経路の交差点 or乗り換駅

脂肪の代謝脂肪の代謝脂肪は、膵臓から分泌されるリパーゼによってグリセロールと脂肪酸に分解されて吸収される。

脂肪は、膵臓から分泌されるリパーゼによってグリセロールと脂肪酸に分解されて吸収される。

EEEE++

グリセロールの代謝グリセロールの代謝

グリセロールは、グリセロール -3- リン酸を経てジヒドロキシアセトンリン酸 になり、解糖の経路に入る(解糖系へ割り込む)。

グリセロールは、グリセロール -3- リン酸を経てジヒドロキシアセトンリン酸 になり、解糖の経路に入る(解糖系へ割り込む)。

CH2-OHCH-OHCH2-OH

CH2-OHCH-OHCH2-OH

ATPATP

CH2-OHCH-OHCH2-OPO3

-2

CH2-OHCH-OHCH2-OPO3

-2

CH2-OPO3-2

C = OCH2-OH

CH2-OPO3-2

C = OCH2-OH

NAD+NAD+ NADH +H+

NADH +H+

グリセロールの代謝グリセロールの代謝

グリセルアルデヒド 3-リン酸

グリセルアルデヒド 3-リン酸

CH2-OPO3-2

C = OCH2-OH

CH2-OPO3-2

C = OCH2-OH

ジヒドロキシアセトンリン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸

脂肪酸の代謝脂肪酸の代謝

脂肪酸はミトコンドリア基質に運ばれた後、 β- 酸化によってアセチル -CoA にまで代謝される。

脂肪酸はミトコンドリア基質に運ばれた後、 β- 酸化によってアセチル -CoA にまで代謝される。

CH3CH2CH2CH2-----CH2COO-CH3CH2CH2CH2-----CH2COO-

CoACoA

CH3CH2CH2CH2-----CH2CO-CoACH3CH2CH2CH2-----CH2CO-CoA

脂肪酸の代謝脂肪酸の代謝CH3CH2CH2CH2-----CH2CO-CoACH3CH2CH2CH2-----CH2CO-CoA

CH3CH2CH2CH2----CH-CH-CO-CoACH3CH2CH2CH2----CH-CH-CO-CoA

CH3CH2CH2CH2----CH-CH2-CO-CoA             OH

CH3CH2CH2CH2----CH-CH2-CO-CoA             OH

CH3CH2CH2CH2----C-CH2-CO-CoA             O

CH3CH2CH2CH2----C-CH2-CO-CoA             O

脂肪酸の代謝脂肪酸の代謝

CH3CH2CH2CH2----C-CH2-CO-CoA             O

CH3CH2CH2CH2----C-CH2-CO-CoA             O

CH3CH2CH2CH2----C-CoA             O

CH3CH2CH2CH2----C-CoA             O CH3-CO-CoACH3-CO-CoA

++

CoACoA

アセチル -CoAアセチル -CoA

はじめに戻るはじめに戻る

TCA 回路へTCA 回路へ

アミノ酸の代謝アミノ酸の代謝

アミノ酸は、必要に応じてそのままタンパク質生合成の材料となる。

アミノ酸は、必要に応じてそのままタンパク質生合成の材料となる。

アミノ酸を代謝する場合は、アミノ基が邪魔になるので、アミノ基とそれ以外の炭素骨格を分離する必要がある。

アミノ酸を代謝する場合は、アミノ基が邪魔になるので、アミノ基とそれ以外の炭素骨格を分離する必要がある。

前回に述べたタンパク質合成の場へ前回に述べたタンパク質合成の場へ

アミノ酸の代謝アミノ酸の代謝

アミノ基は、最終的にすべてグルタミン酸に集められる(アミノ基転移)

アミノ基は、最終的にすべてグルタミン酸に集められる(アミノ基転移)

アミノ酸アミノ酸

α-ケト酸α-ケト酸

α-ケトグルタル酸α-ケトグルタル酸

グルタミン酸グルタミン酸

アミノ酸の代謝アミノ酸の代謝

次に、グルタミン酸のアミノ基は、酸化的脱アミノ反応によりアンモニアになる

次に、グルタミン酸のアミノ基は、酸化的脱アミノ反応によりアンモニアになる

グルタミン酸グルタミン酸

α-ケトグルタル酸α-ケトグルタル酸

H2O + NAD+

H2O + NAD+

アンモニア+NADH + H+

アンモニア+NADH + H+

アンモニアの解毒アンモニアの解毒

アンモニアは生体にとって毒なので尿素回路によって、無毒な尿素になる

アンモニアは生体にとって毒なので尿素回路によって、無毒な尿素になる

尿素尿素アンモニアアンモニア

(尿素回路)(尿素回路)

腎臓で尿となり膀胱へ

腎臓で尿となり膀胱へ

尿素回路尿素回路

最初の 2つの酵素は肝臓にしかない

最初の 2つの酵素は肝臓にしかない

炭素骨格の代謝炭素骨格の代謝

アミノ基が除かれた炭素骨格は、アミノ基が除かれた炭素骨格は、1) TCA サイクルの基質となって   ATP を産生

1) TCA サイクルの基質となって   ATP を産生2) 糖新生系に入りグルコースを新生  (糖原性アミノ酸)

2) 糖新生系に入りグルコースを新生  (糖原性アミノ酸) 3) 脂肪酸合成系で脂肪酸を合成   (ケト原性アミノ酸)

3) 脂肪酸合成系で脂肪酸を合成   (ケト原性アミノ酸)

代謝経路と酵素代謝経路と酵素

分子A分子A

分子 B分子 B 分子 C分子 C

酵素A酵素A

酵素 B酵素 B 酵素 C酵素 C

上の図にあるように、これまで述べた代謝経路のそれぞれのステップには、酵素が働いている。

上の図にあるように、これまで述べた代謝経路のそれぞれのステップには、酵素が働いている。

酵素タンパク質酵素タンパク質酵素( enzyme )は触媒作用を持つタンパク質である。酵素自身は変化せず、繰り返して反応を触媒する。

酵素( enzyme )は触媒作用を持つタンパク質である。酵素自身は変化せず、繰り返して反応を触媒する。

酵素が働きかける相手を、基質という。酵素は特定の基質にたいしてのみ働きかける。これを基質特異性(substrate specificity )という。

酵素が働きかける相手を、基質という。酵素は特定の基質にたいしてのみ働きかける。これを基質特異性(substrate specificity )という。

一次構造を示したリゾチームを例に。一次構造を示したリゾチームを例に。

卵白リゾチーム卵白リゾチーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Gly Arg Cys Glu Leu Ala Ala Ala Met Lys Arg His 15 16 Gly Leu Asp Asn Tyr Arg Gly Tyr Ser Leu Gly Asn Trp Val Cys 30 31 Ala Ala Lys Phe Glu Ser Asn Phe Asn Thr Gln Ala Thr Asn Arg 45 46 Asn Thr Asp Gly Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Leu Gln Ile Asn Ser 60 61 Arg Trp Trp Cys Asn Asp Gly Arg Thr Pro Gly Ser Arg Asn Leu 75 76 Cys Asn Ile Pro Cys Ser Ala Leu Leu Ser Ser Asp Ile Thr Ala 90 91 Ser Val Asn Cys Ala Lys Lys Ile Val Ser Asp Gly Asn Gly Met 105106 Asn Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Lys Gly Thr Asp Val 120 121 Gln Ala Trp Ile Arg Gly Cys Arg Leu

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Gly Arg Cys Glu Leu Ala Ala Ala Met Lys Arg His 15 16 Gly Leu Asp Asn Tyr Arg Gly Tyr Ser Leu Gly Asn Trp Val Cys 30 31 Ala Ala Lys Phe Glu Ser Asn Phe Asn Thr Gln Ala Thr Asn Arg 45 46 Asn Thr Asp Gly Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Leu Gln Ile Asn Ser 60 61 Arg Trp Trp Cys Asn Asp Gly Arg Thr Pro Gly Ser Arg Asn Leu 75 76 Cys Asn Ile Pro Cys Ser Ala Leu Leu Ser Ser Asp Ile Thr Ala 90 91 Ser Val Asn Cys Ala Lys Lys Ile Val Ser Asp Gly Asn Gly Met 105106 Asn Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Lys Gly Thr Asp Val 120 121 Gln Ala Trp Ile Arg Gly Cys Arg Leu

リゾチーム( lysozyme )は、細菌の細胞壁を構成する N- アセチルムラミン酸と N- アセチルグルコサミン間の結合を切断する。

リゾチーム( lysozyme )は、細菌の細胞壁を構成する N- アセチルムラミン酸と N- アセチルグルコサミン間の結合を切断する。

ヒトリゾチームヒトリゾチーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Glu Arg Cys Glu Leu Ala Arg Thr Leu Lys Arg Leu 15 16 Gly Met Asp Gly Tyr Arg Gly Ile Ser Leu Ala Asn Trp Met Cys 30 31 Leu Ala Lys Trp Glu Ser Gly Tyr Asn Thr Arg Ala Thr Asn Tyr 45 46 Asn Ala Gly Asp Arg Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Phe Gln Ile Asn 60 61 Ser Arg Tyr Trp Cys Asn Asp Gly Lys Thr Pro Gly Ala Val Asn 75 76 Ala Cys His Leu Ser Cys Ser Ala Leu Leu Gln Asp Asn Ile Ala 90 91 Asp Ala Val Ala Cys Ala Lys Arg Val Val Arg Asp Pro Gln Gly 105106 Ile Arg Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Gln Asn Arg Asp 120121 Val Arg Gln Tyr Val Gln Gly Cys Gly Val

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Glu Arg Cys Glu Leu Ala Arg Thr Leu Lys Arg Leu 15 16 Gly Met Asp Gly Tyr Arg Gly Ile Ser Leu Ala Asn Trp Met Cys 30 31 Leu Ala Lys Trp Glu Ser Gly Tyr Asn Thr Arg Ala Thr Asn Tyr 45 46 Asn Ala Gly Asp Arg Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Phe Gln Ile Asn 60 61 Ser Arg Tyr Trp Cys Asn Asp Gly Lys Thr Pro Gly Ala Val Asn 75 76 Ala Cys His Leu Ser Cys Ser Ala Leu Leu Gln Asp Asn Ile Ala 90 91 Asp Ala Val Ala Cys Ala Lys Arg Val Val Arg Asp Pro Gln Gly 105106 Ile Arg Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Gln Asn Arg Asp 120121 Val Arg Gln Tyr Val Gln Gly Cys Gly Val

ヒトでは、涙のなかに含まれていて殺菌に寄与する。他に免疫にも関与する

ヒトでは、涙のなかに含まれていて殺菌に寄与する。他に免疫にも関与する

リゾチームの比較リゾチームの比較 1 11 21 31 41eggwhite MRSLLILVLC FLPLAALGKV FGRCELAAAM KRHGLDNYRG YSLGNWVCAA MKALIVLGLV LLSVTVQGKV FERCELARTL KRLGMDGYRG ISLANWMCLA

51 61 71 81 91eggwhite KFESNFNTQA TNRN-TDGST DYGILQINSR WWCNDGRTPG SRNLCNIPCS KWESGYNTRA TNYNAGDRST DYGIFQINSR YWCNDGKTPG AVNACHLSCS

101 111 121 131 141eggwhite ALLSSDITAS VNCAKKIVSD GNGMNAWVAW RNRCKGTDVQ AWIRGCRL ALLQDNIADA VACAKRVVRD PQGIRAWVAW RNRCQNRDVR QYVQGCGV

1 11 21 31 41eggwhite MRSLLILVLC FLPLAALGKV FGRCELAAAM KRHGLDNYRG YSLGNWVCAA MKALIVLGLV LLSVTVQGKV FERCELARTL KRLGMDGYRG ISLANWMCLA

51 61 71 81 91eggwhite KFESNFNTQA TNRN-TDGST DYGILQINSR WWCNDGRTPG SRNLCNIPCS KWESGYNTRA TNYNAGDRST DYGIFQINSR YWCNDGKTPG AVNACHLSCS

101 111 121 131 141eggwhite ALLSSDITAS VNCAKKIVSD GNGMNAWVAW RNRCKGTDVQ AWIRGCRL ALLQDNIADA VACAKRVVRD PQGIRAWVAW RNRCQNRDVR QYVQGCGV

SS結合: 24-145(146), 48-133(134) 82(83)-98(99), 94(95)-112(113)SS結合: 24-145(146), 48-133(134) 82(83)-98(99), 94(95)-112(113)

活性部位E: グルタミン酸、 D: アスパラギン酸

活性部位E: グルタミン酸、 D: アスパラギン酸

ヒトリゾチームヒトリゾチーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Glu Arg Cys Glu Leu Ala Arg Thr Leu Lys Arg Leu 15 16 Gly Met Asp Gly Tyr Arg Gly Ile Ser Leu Ala Asn Trp Met Cys 30 31 Leu Ala Lys Trp Glu Ser Gly Tyr Asn Thr Arg Ala Thr Asn Tyr 45 46 Asn Ala Gly Asp Arg Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Phe Gln Ile Asn 60 61 Ser Arg Tyr Trp Cys Asn Asp Gly Lys Thr Pro Gly Ala Val Asn 75 76 Ala Cys His Leu Ser Cys Ser Ala Leu Leu Gln Asp Asn Ile Ala 90 91 Asp Ala Val Ala Cys Ala Lys Arg Val Val Arg Asp Pro Gln Gly 105106 Ile Arg Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Gln Asn Arg Asp 120121 Val Arg Gln Tyr Val Gln Gly Cys Gly Val

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 1 Lys Val Phe Glu Arg Cys Glu Leu Ala Arg Thr Leu Lys Arg Leu 15 16 Gly Met Asp Gly Tyr Arg Gly Ile Ser Leu Ala Asn Trp Met Cys 30 31 Leu Ala Lys Trp Glu Ser Gly Tyr Asn Thr Arg Ala Thr Asn Tyr 45 46 Asn Ala Gly Asp Arg Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Phe Gln Ile Asn 60 61 Ser Arg Tyr Trp Cys Asn Asp Gly Lys Thr Pro Gly Ala Val Asn 75 76 Ala Cys His Leu Ser Cys Ser Ala Leu Leu Gln Asp Asn Ile Ala 90 91 Asp Ala Val Ala Cys Ala Lys Arg Val Val Arg Asp Pro Gln Gly 105106 Ile Arg Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Gln Asn Arg Asp 120121 Val Arg Gln Tyr Val Gln Gly Cys Gly Val

SS結合が 4本あって、三次構造に寄与している。SS結合が 4本あって、三次構造に寄与している。

ヒトリゾチームヒトリゾチーム

ヒトリゾチームヒトリゾチーム

プロテアーゼプロテアーゼペプチド結合は簡単には切れない。化学的には、酸を加えて熱を加える必要がある。

ペプチド結合は簡単には切れない。化学的には、酸を加えて熱を加える必要がある。

生体内では、ほぼ中性、体温の条件下で、プロテアーゼと総称される酵素がペプチド結合を切断する。

生体内では、ほぼ中性、体温の条件下で、プロテアーゼと総称される酵素がペプチド結合を切断する。

プロテアーゼプロテアーゼ

H R1 O R2 OH-N+-C- C-N- C-C

H H H O-

H R1 O R2 OH-N+-C- C-N- C-C

H H H O-

H R2 OH-N+-C-C

H H O-

H R2 OH-N+-C-C

H H O-

H R1 OH-N+-C-C

H H O-

H R1 OH-N+-C-C

H H O-

++

H2OH2Oプロテアーゼプロテアーゼ

プロテアーゼプロテアーゼタンパク質タンパク質ポリペプチド断片ポリペプチド断片

より小さなポリペプチドより小さなポリペプチド

アミノ酸アミノ酸

ペプシンペプシン

トリプシンキモトリプシン

トリプシンキモトリプシンアミノペプチダーゼカルボキシルペプチダーゼ

アミノペプチダーゼカルボキシルペプチダーゼ

キモトリプシンキモトリプシンキモトリプシンは、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のキモトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌される

キモトリプシンは、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のキモトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌される

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ウシのキモトリプシンの一次構造ウシのキモトリプシンの一次構造

キモトリプシンキモトリプシンキモトリプシノーゲンは、十二指腸でトリプシンによって活性型のキモトリプシンとなる。

キモトリプシノーゲンは、十二指腸でトリプシンによって活性型のキモトリプシンとなる。

キモトリプシンは、 Tyr 、 Trp 、 Phe の C末端側でペプチド結合を切る。

キモトリプシンは、 Tyr 、 Trp 、 Phe の C末端側でペプチド結合を切る。活性中心は、 Asp102 、 His57 、 Ser195 で構成される。活性中心は、 Asp102 、 His57 、 Ser195 で構成される。

トリプシントリプシントリプシンも、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌される

トリプシンも、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌されるトリプシノーゲンは、十二指腸でエンテロキナーゼによって活性型のトリプシンとなる。トリプシンも、トリプシノーゲンを活性型のトリプシンにする。

トリプシノーゲンは、十二指腸でエンテロキナーゼによって活性型のトリプシンとなる。トリプシンも、トリプシノーゲンを活性型のトリプシンにする。

トリプシントリプシントリプシンは、塩基性アミノ酸 Arg 、 Lys の C末端側でペプチド結合を切る。

トリプシンは、塩基性アミノ酸 Arg 、 Lys の C末端側でペプチド結合を切る。活性中心は、キモトリプシンと同じ。活性中心は、キモトリプシンと同じ。トリプシンとキモトリプシンは、活性中心も分子の形も良く似ている( serine protease famiy )が、基質特異性が異なる。

トリプシンとキモトリプシンは、活性中心も分子の形も良く似ている( serine protease famiy )が、基質特異性が異なる。

離れたアミノ酸が近づく離れたアミノ酸が近づく

キモトリプシンキモトリプシン

まとめと次回まとめと次回生きていくために必要なエネルギーを細胞はどのように獲得しているかを概観し、代謝経路のネットワークを調べた。また、酵素タンパク質構造と機能を学んだ。

生きていくために必要なエネルギーを細胞はどのように獲得しているかを概観し、代謝経路のネットワークを調べた。また、酵素タンパク質構造と機能を学んだ。

次回は、どう展開するか、お楽しみに次回は、どう展開するか、お楽しみに

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