東京都区現代俳句協会会報...― 3 ― 東京都区現代俳句協会顧問 松田...

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― 1 ―

 

令和の句会

企画部長 

栗原かつ代

 

私事ですが、令和に入って、二人目の孫を授か

りました。令和元年生まれの小さな顔を見な

がら、この子が大人になる頃、どんな世の中に

なっているのか考えずにはいられませんでした。

そして、俳句の世界もどんな風に変化している

のだろうと。昭和から平成、令和と、人間の進

歩なのか機械や技術の発展なのか、身の回り

の変化は目覚ましいものがありました。文学

そのものよりも、それを取り巻く世界が大き

く変化して、紙媒体の衰退がしばしば取りざ

たされています。パソコンやスマホの発達によ

りインターネット句会なども多くなっています。

若い世代の場合、仕事や子育て、または学業

で句会に毎回出席する事が難しい方も多いで

しょうから、それも一つの在り方だと思います。

 

しかし、「座の文学」といわれる俳句におい

て、句会や大会に参加するという形態はなく

なってほしくありません。俗に「画家と俳人

は呆けない」などと言いますが、先輩方の矍

鑠とした様子に納得します。もちろん俳句を

勉強しているだけでも脳を使います。そのう

えで、例えば吟行会などは、行先へのアクセス、

時間、外食など日常とは違う刺激を受けます。

そして吟行中には花や空やら森羅万象と向き

合い観察し、言葉を紡ぎ佳句を生み出す為に

脳は活性化します。なおかつ出句した後の句

友とのおしゃべり。これが一番かもしれません。

日常生活とはまったく離れた文学の世界の会

話。どの句がどうとか、どの借景がどうとか、

現実の生活には係わりのない事だけど、自分

の考えを人と話すということは大きくストレ

スを発散させるそうです。

 

人は職場や家族の中で小さなストレスを積

み重ねて生活し、時には言いたいことを飲み

込んだりするものです。ある先生に「俳句

のことならどんな事を言ってもいいのですよ。

人格をとやかく言う訳ではないのですから。」

と教えて頂いた事があります。他者の評が句

作の糧になるという事でしょうか。そうして

頂いた講評は次の俳句へ活かして行きたいと

思うのですが、思うようにはなりません。まっ

たく一銭にもならぬことで悪戦苦闘し時には

投げ出しながら俳句に取り組む幸せを感じて

います。私が言うまでもなく、皆様も大いに

楽しんでいらっしゃる「座の文学」の在り様

は変わらないようにしたいものです。

 

現在都区協では、恒例の事業として、一句

持ち寄り句会(総会)、春の吟行(通信句会)、

秋季吟行会・新入会員歓迎会、高田馬場句会、

各ブロックの吟行会を開催しています。

 

日本の社会に準じて高齢化は否めませんが、

多数参集して頂き毎回盛会です。どうぞ脳の

益々の活性化の為にも新しい句友との出会い

の場としても、気軽にお出かけ下さい。私の

アナログな脳もお待ちしています。

東京都区現代俳句協会会報

令和元年10月15日発行第181号

発行人 山本 敏倖発行所 東京都区現代俳句協会〒121-0813� 足立区竹の塚1-28-17    今野 龍二TEL・FAX 03-3859-9304

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文京区白山神社にて六月三日、令和最初に

催された「春の吟行会」は、満開の紫陽花に

迎えられ多くの方にご参集頂きました。梅雨

の不安定なお天気が続く中、まずまずの青天、

気温も暑すぎず絶好の吟行日和となりました。

 

前回と趣向を変えて、白山神社のみのかな

り絞った吟行地となりました。紫陽花が評判

の境内には富士塚があり孫文の碑やずらっと

並んだ御輿蔵、酒造の神様の松尾神社も祀ら

れています。同じものを見ての皆様の視点の

違い、表現の豊かさに刺激を受けました。

 

吟行会の当日に行けなくても参加出来る、

というのが通信句会の取り柄ですので、来年

もぜひ奮ってご参加ください。その際、事前

申込み、投句・選句の締切をお守りいただ

けますよう、何卒よろしくお願い致します。

106句の名句に恵まれまして盛会となりま

した。ご参加いただいた皆様、ご協力いただ

いた皆様に心より感謝申し上げます。

             (以下敬称略)

東京都区現代俳句協会会長

  

松澤 

雅世 

特選

あじさいの毬の中より櫂の音�

石口 

� 

 

紫陽花の飾り花は、丸々として「てまりば

な」とも称されます。紫陽花の雨から視界を

拡げ、水に想いを馳せて、櫂の音を掴み得た。

東京都区現代俳句協会副会長

  

青木 

栄子 

特選

あじさいの素顔したしく藍と青�

赤澤 

敬子

 

七変化と言われる程色の変わる紫陽花。中

七の「素顔したしく」の措辞が、誰もが持つ

紫陽花の不変的な色の藍と青を、見事に表出。

東京都区現代俳句協会幹事長

  

山本 

敏倖 

特選

境内はパレットあじさいの輪舞�鍬守 

裕子

 

境内全体を俯瞰的に捕え、パレットと見た。

そこに咲くあじさいは輪舞しているように感

受。パレットと輪舞の詩的比喩の配合美。

東京都区現代俳句協会副幹事長

  

栗原 

節子 

特選

額の花雨つぶほどの青い嘘�

杉浦 

一枝

 

真っ赤な嘘でなくてよかった。青い嘘、そ

れも小さな嘘。言葉が他人を傷つける怖さを

知っているから、やさしい嘘をついていた。

東京都区現代俳句協会副幹事長

  

小髙 

沙羅 

特選

ブルーマンデーどの紫陽花を誉めようか

鈴木 

砂紅

 

休日明けの月曜の朝はなんだか憂鬱。そん

な作者が今、紫陽花の中にいて心おだやかな

時間を過ごしている。人間はいくつになって

も誉められると嬉しく、誉められて育つもの

である。何と言っても季語との取り合わせの

上手さを感じた。

東京都区現代俳句協会特別顧問

  

長峰 

竹芳 

特選

白山ははるかな言葉額の花�

松田ひろむ

 

神格化された加賀の霊山。「はるかな言葉」

に清浄な山の姿を心に描いている。紫陽花と

直接結びつかないが、風景は心象的。

春の吟行会報告

文京区白山神社・通信句会 

  

令和元年六月三日(月)実施

― 3 ―

東京都区現代俳句協会顧問

  

松田 

ひろむ 

特選

向き合えば男気弱に額の花�

中内 

火星

 

はい、いざとなると男は気弱なもの。額の

花と言ってもこれは熟女。「向き合えば」が

その姿。男の本気度が試されているのだろう。

いよいよドラマが始まる。

《参加作品》(高点三十句)

1あじさいの毬の中より櫂の音�石口  

2万緑に吊されている恋の絵馬�

石口りんご

3神木の若葉鳥呼ぶ風を呼ぶ�

大橋 

愛子

4あじさいの沸点富士塚開かれる�

栗原かつ代

5紫陽花の藍の波間を立泳ぎ�

鈴木 

光子

6月曜は紫陽花のため空けておく�

小髙 

沙羅

7額の花雨つぶほどの青い嘘�

杉浦 

一枝

8紫陽花や昭和の家族見えてくる�

松本 

秀紀

9切り株は航空母艦夏の蝶�

今村たかし

10狛犬の目の金色に走り梅雨�

赤澤 

敬子

11菊理姫のこぼす鈴の音額の花�

増田 

萌子

12ブルーマンデーどの紫陽花を誉めようか

鈴木 

砂紅

13孫文の坐石の翳り額の花�

塚田佳都子

14紫陽花や人の数だけ願いあり�

小林チヱ女

15富士塚を匿しとほせり青葉騒�

松澤 

雅世

16射干が咲いて会ひたき人に会ふ�

長峰 

竹芳

17ミニ富士の裾野ぐるりと七変化

ダイゴ鉄哉

18白山の風がつきいる手毬花�

広田 

輝子

19紫陽花を祭る東京ど真ん中�

永井 

良和

20境内はパレットあじさいの輪舞�

鍬守 

裕子

21神託のように揺れたり百合の花�

櫻木美保子

22充電の刻を貰ひぬ青楓�

久下 

晴美

23白山ははるかな言葉額の花�

松田ひろむ

24石段の空気の淡き青水無月�

西本 

明未

25あじさいにモーツァルトは似合わない

佐々木克子

26富士塚の祠紫陽花明りかな�

青木 

栄子

27群青の紫陽花活けて母忌日�

大山実知子

28どの色で別れましょうか七変化�

栗田希代子

29紫陽花のインスタ映えの角度かな   

長谷川はるか

30紫陽花の色より一句文京区�

白石みずき

〈以下順不同〉

この人でないと確信額の花�菅沼 

葉二

小腹すくときにあじさい濃あじさい

古川 

塔子

菊くくりひめ

理姫あじさいはまだ七分咲�

中條 

千枝

玉垣の中も紫陽花とのぐもり�

青島  

寂びて尚くちなしの香の誘い�

相沢 

幹代

手水舎の柄杓をもつや風薫る�

江原 

玲子

生家ある白山通り四葩咲く�

宮川  

向き合えば男気弱に額の花�

中内 

火星

立て札に世界平和か濃紫陽花�

石川 

綾乃

紫陽花を遠くへ置きぬ風のベンチ�

北村眞貴子

狛犬の機嫌紫陽花ふくらめり�

小平  

生きるとは恋をすること七変化�

高橋 

透水

紫陽花は上から目線嫌ひです�

上野 

英一

あじさいや大小ありぬ御輿蔵�

山口 

紀子

紫陽花を雲と富士塚そびえたる�

山﨑 

百花

紫陽花や膝撫でながら富士詣り�

小林 

和子

あじさいや名こそながれて夢ばかり

今野 

龍二

マンションの窓まどまどや椋の花�

まるきみさ

実梅育むお社の青い風�

栗原 

節子

白あじさい何故どうしてと問わぬなり

菱沼多美子

雨曇り晴れて日差しの七変化�

長尾 

幸子

薫風に寝顔の園児通り抜け�

石垣 

久良

紫陽花を守護神にして顔変える�

山本 

敏倖

(栗原かつ代記)

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参加者五十一名

 

曇り空とは言え穏やかな吟行日和となっ

た。あいにく牡丹は散ってしまっていたが、

芍薬が美しい姿を見せていた。

 

吟行地と句会場が少し離れていたが、案内

の人が出ていてスムーズに事は運んだ。

 

講話は「豆の木」代表のこしのゆみこ先生。

「豆の木と私」という題で、会の在り方、会

員の姿勢や動向が語られた。

・俳句は多作をしなければ上手にならない。

・俳句は他人の目に触れさせて評価を得なけ

れば上手にならない。

 

活動は8席題2ラウンドの句会と月二回の

木曜句会(7兼題)また現在は年一回の一泊

二日の俳句合宿がある。合宿ではバスで移動

中から15分ごとに席題が出て、吟行句も合わ

せ一人平均80句作句。会員は約三十名。

 

私たちもできるだけ多く作句して多くの大

会に参加すべきなのかも。講話を受けて、松

澤会長も「鍛錬句会をしようかしら」と。

(鍬守裕子記)

《特別選者・特選句》

  

こしの 

ゆみこ 

特選

ぼうたんの事情は事情塩地蔵�

古川 

塔子

  

松澤 

雅世 

特選

惚れぐせは芍薬のせいにしておく�

高橋 

透水

  

青木 

栄子 

特選

芍薬の咲いて鎖骨のあるごとし��

こしのゆみこ

  

大山 

実知子 

特選

芍薬の咲いて鎖骨のあるごとし�

こしのゆみこ

  

松田 

抱空 

特選

令和にもぎゃーていそわか五月雨�

栗原かつ代

  

小髙 

沙羅 

特選

あやふやな空芍薬の重くなる�

山口 

紀子

  

ダイゴ 

鉄哉 

特選

牡丹の幽霊をただ追い求め�

中内 

火星

《参加作品》

(互選高点三十句)

1夏来る御朱印帳の蛇腹折り�

小平  

2おみくじは吉ぼうたんは終りです

山口 

紀子

3白牡丹白の限りを生きている�

小林 

順子

4睡蓮や我が影を呑む鯉の口�

佐藤 

廣枝

5芍薬の咲いて鎖骨のあるごとし

こしのゆみこ

6正論は水に流して藤は実に�

佐々木克子

7黄牡丹のその明るさを裏返す�

白石みずき

8立てば芍薬マンネリはもういやだ�

小髙 

沙羅

9塩地蔵塩の湿りの更衣�

今野 

龍二

10どくどくと脈の音する五月の木�

鍬守 

裕子

11やわらかな雨ぼうたんの剪り口に

櫻木美保子

12牡丹散って平成のもう遠し�

中條 

千枝

13牡丹の散って空海と私�

青木 

栄子

14深々と真言を聴き藤おわる�

北村眞貴子

15牡丹の幽霊をただ追い求め�

中内 

火星

16茅花よ茅花私にもある誕生日�

増田 

萌子

17立てば芍薬浮世の風を受け流す�

鈴木 

砂紅

18令和にもぎゃーていそわか五月雨

栗原かつ代

19芍薬や弱気の朝の女人堂�

赤澤 

敬子

20芍薬や護摩火盛んに業を焚く�

鈴木 

光子

Aブロック吟行会

令和元年五月十四日

於 

西新井ギャラクシティふぉーらむ

吟行地 

西新井大師

    (境内の牡丹・芍薬)

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21少し雨お大師像に緑さす�

栗田希代子

22ぼうたんの終止形見る牡丹園�

山本 

敏倖

23ぼうたんの触るればこぼる緋のしづく

永井 

良和

24お大師と若葉雨もてつながりぬ�

広田 

輝子

25緋牡丹と一括りには出来ない緋�

菅沼 

葉二

26惚れぐせは芍薬のせいにしておく

�高橋 

透水

27緋牡丹にひるみし風のありにけり

�相沢 

幹代

28芍薬の襞より刻をゆるがしぬ�

江原 

玲子

29立てよ歩めよ坐れば牡丹ムーニーマン

小林チヱ女

30塩地蔵痛めた膝に緑さす�

宮川  

〈以下順不同〉

冷たき茶口にふくめば樟若葉�

田中 

良明

樟若葉上手に歳を重ねたき�

古川 

塔子

山号を五智山と言い雨安居�

ダイゴ鉄哉

囀りや命をつなぐ仕掛けあり�

松本 

秀紀

お大師の永と

わ久の精霊走り梅雨�

近田 

吉幸

塩まみれ地蔵の善女夏つばめ�

大山実知子

大輪の揺れる芍薬火祭と�

菱沼多美子

牡丹散りぬる弘法の掌�

松澤 

雅世

牡丹の崩るる様は人に見せず�

長谷川はるか

園丁の顔なきごとく夏帽子�

加藤千恵子

新た世の牡丹の後ろ姿かな�

神尾 

久雄

芍薬の眼揺らぎし暇かな�

五十嵐秀山

黒南風や塩にまみれる塩地蔵�

笹木  

ポツポツと雨跡紛れ蟻走る�

長尾 

幸子

雲低く垂れ弘法大師像薄暑�

上野 

英一

真言の護摩の火盛る走り梅雨�

斎藤眞理子

弘法の悟りしままに牡丹咲く�

松田 

抱空

眼力の阿吽の像の汗臭し�

今村たかし

彩りの牡丹の黙や西新井�

若林ふさ子

塵のごと蛙万疋炎天寺�

今井千穂子

一茶像六月村は梅雨曇り�

小林 

量子

(長谷川はるか記)

受贈深謝(令和元年分)

東京多摩・埼玉県・神奈川県・千葉県・

甲信地区・栃木県・茨城県・群馬県・沖

縄県・福岡県・鹿児島県・宮崎県・大

分県・西九州・山口県・島根県・鳥取

県・広島県・岡山県・関西・愛媛県・徳

島県・東海地区・宮城県・富山県・石川

県・山形県・福井県・新潟県・岩手県・

中北海道・北北海道・俳句人

各自自由散策。句 会 場 JR高田馬場駅前FIビル8階

(高田馬場句会場と同じ)中井駅から西武新宿線で高田馬場駅下車受付開始 12時出句締切 嘱目2句、13時20分句 会 費 1000円講  話 日野百草先生懇 親 会 当日案内(詳細未定)

参加申込 11月21日(木)締切連 絡 先高橋透水 Tel:090-3231-0241 〒164-0002 中野区上高田4-17-1-907磯部薫子 Tel/Fax:03-3333-5550 〒167-0053 杉並区西荻南4-18-11鈴木光子 Tel/Fax:03-3926-0653 〒165-0031 中野区上鷺宮1-4-6

初冬の林芙美子に会いにいく

Cブロック吟行会のご案内

現代俳句協会員でなくても、どなたでも参加できます。

日 時 令和元年11月28日(木) 吟行地 林芙美子記念館西武新宿線中井駅下車8分

皆様お誘い合わせの上御参加ください。

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釜田 

二美(世田谷区)

ホームズと迷宮に入る秋灯下

黄落や耳奥にある恋の歌

短日や自分の為の灯を点す

 

中川 

枕流(渋谷区)

春立つや指柔らかな調律師

児を抱きロック踊る娘大暑かな

名月や修験の群の山越えて

 

大坪 

重治(世田谷区)

八十八夜高齢にして微音

とことこ歩いて四万六千日

ふたおやのような夕ぐれ吾亦紅

 

田中いすず(世田谷区)

秋がくる他人のような足の裏

笑うたび年取ってゆく草もみじ

あの日もあの日も大根を煮ていた

 

次山 

和子(中野区)

抗わぬことの強さを芒原

実柘榴のかくも泪の粒を抱き

「轍」とう画廊に秋の風景画

 

飛永百合子(杉並区)

青葉風父が居そうな役場跡

父の日や背中はすでに物語

梅雨晴間どこかやさしい午後三時

 

富田 

敏子(世田谷区)

幽霊は苦しお化けは酸っぱくて

人魂は露でも菊でもなくて燐

雪女歸し熱燗お化けの会

 

水落 

蘭女(中野区)

まだ馴染めぬ令和の文字よ大西日

夕焼けの秩父山脈だれかの声

蛍籠編む手を止めて覗く闇

 

齋藤朝比古(渋谷区)

炎昼やますます怒る仁王像

金蠅に大いなる岸ありにけり

枝豆の産毛のやうな人なりき

 

まるきみさ(中野区)

秋暑し山羊につむじが三つある

三キロの犬の重さや秋の朝

紅玉のおしりがあおい雲流る

 

夏目るんり(世田谷区)

どくだみを吊す太陽低く匂う

八月に八月を埋めちんどん

顔のないことばざらざら夾竹桃

 

桑田 

真琴(世田谷区)

熟れ杏子瓶に寝かせて今日独り

夏の影子抱土偶の横坐り

蝉声の何度も問わる民度かな

 

表  

ひろ(世田谷区)

夏空を溜め込んでいる新校舎

子供らの巨大な影よ夏休み

音階のそらの辺りへ落ちる蝉

 

松井 

真吾(世田谷区)

傘で顔見えないけれど手に檸檬 

色なき風が十二支を入れ替える 

十月の犬だけにするアンケート  

 

近  

恵(杉並区)

美しい数字で出来ている鯨

異星人だろうかセーターを履いて

屑籠の中を覗けば蜜柑の皮

Cブロックは都区協4ブロックの中では会員数がわずかながら一番多い。若人の集う渋谷、結婚して中野のアパート、子どもできたら何かとマンションは世田谷、かくして老後の杉並は一軒家。とは恣意なるか。� Cブロック代表 中内火星

「ブロック自慢」Cブロック諸家遠近四季無季の詠

投句いただいた順に掲載しました。

― 7 ―

 

本年六月三〜四日に埼玉県武蔵嵐山・国

立女性教育会館にてブロック連絡会議が開催。

本部からは柏田浪雅幹事長、水野二三夫事務

局長が参加。都区協からは山本敏倖幹事長と

報告者・中内火星が出席した。

 

会議内容はざっくりと言えば、「現代俳句協

会の会員数はほんの少し前には1万人いたの

が、現在5千人になった。しかも50歳以下の

会員は百名ほど。各地区協はこの事態に対し

てどのような対策をたてたのか」というのが

メインテーマで�

あった。

 

年に一度「全国俳句大会」を実施している

地区協が多く、そこで会員外の参加者も募り、

たとえその人たちがすぐに会員になる訳では

ないにしても勧誘の機会は得られる。という

のが比較的聞かれた各地区協の回答であった。

それに対し毎年「全国俳句大会」のない都区

協にはこれと言った妙案がなく、本部から特

に叱責を受ける結果となった。

 

「新」本部の対策の一環としては、各結社

に対して協会員勧誘を要請して、入会した場

合の入会金を還付するなどの特典を設けてい

るとの説明があった。また全国各地の図書館

との提携を強くし、協会と俳句への興味を持

たせているが、どうしても高齢・死亡などの

減少を食い止めるのは困難なようだ。

 

一方、月刊『現代俳句』は、印刷会社を見

積により替え、制作費用を従来の約半額の減

額に成功。内容的には、新編集長のもと協会

員以外へのアピールとして、総合誌化を目指

すとのことである。

 

いずれにせよ、都区協としても、ただ手を

拱いているわけにはいかないのが実情である。

八村塁や大坂なおみのようなスーパースター

が現代俳句協会に現れれば、問題は一挙解決

かも知れないが、なかなかスターはやってこ

ない。「お〜いお茶」�

や「プレバト(俳句部門)」

などのようなものに、本気で取り組まなけれ

ば新会員の獲得は難しいだろう。

 

都区協では総会以外に、春季・秋季と4ブロ

ックの吟行会を毎年行っている。一つの提案と

して、この体制を変えてでも、非協会員が参

加できるような「何か」を、役員だけでなく都

区協会員全員が知恵をしぼって考え、出来れ

ば来年からでも実行に移していければと思う。

日  

時 

令和元年十二月七日(土)

吟行地 

戸越銀座商店街

アクセス 

営浅草線戸越駅3番出口より

     

一分。国道一号線を挟んで東

     

西に広がる

句会場 

ライフコミュニティ西馬込

 

大田区西馬込二-二十-一

℡03-3778-2581

 

都営浅草線西馬込駅西口下車

 

徒歩二分

受  

付 

十二時半

 

二階レインボーホール

出句締切 

十三時 嘱目二句

開  会

十三時半

句会費

千円

講  

話 

未定

懇親会 

当日案内(詳細未定)

申込締切 

十二月一日(日)

申込先 

広田輝子

〒152-0033

 

目黒区大岡山二-七-十九

℡&Fax03-5701-2629

Bブロック吟行会のご案内

関東甲信越静岡ブロック連絡会報告

 

広報部長 

中内火星

― 8 ―

 

今回の兼題は「祭」でした。梅雨の最中で

したが、そんな鬱陶しさが吹き飛ぶようなユ

ニークな句や祭髪を巧みに使われた句もあり、

皆様の実力が大いに発揮されたと思います。

そして席題「高」を詠み込まれた句も佳什が

揃いました。

 

高田馬場句会はどなたでも参加出来ます、

募集人数は三十五名ですが、今回は二十九名

まだ余裕がございます、お待ちしております。

(宮川夏記)

《高得点句》

1修羅いくつほどいて帰る祭髪�

今野 

龍二

2夏の月少年院の高き窓�

相沢 

幹代

3海にねむるはらからも来よ祭笛�

山口 

紀子

4胎動の高まる水位星祭�

西本 

明未

5神々と遊びせむとや祭くる�

鍬守 

裕子

6月上げて下げてもみせる祭笛�

松澤 

雅世

《参加作品》〈順不同〉

白靴のほどよき白さ高尾山�

上野 

英一

昼顔咲く水平線の高さかな�

山中 

正己

コンビニの「あたためますか」祭髪

白石みずき

暮れ残る空の高さやかき氷�

棚橋 

麗未

沙羅の咲く高さお旅所組まれおり

赤澤 

敬子

夏空やアウトを告げる高き腕�

高橋 

透水

酒瓶の並ぶ本部や宵祭�

今村たかし

女ばかり声高に売る鬼灯市�

石川登志子

煩悩の高さ泰山木の花�

青木 

栄子

噴水の高い水ほど派手に落つ�

中内 

火星

少年の祭太鼓や地の鼓動�

宮川  

まつり息子が母の手を引いて�

小髙 

沙羅

思い出は高温多温蛇の衣�

小平  

イヤホンから祭囃が鳴り出した�

ダイゴ鉄哉

三粒ほど清め雨来る浦祭�

広田 

輝子

小気味よき佃祭の江戸囃子�

荒井  

鬼あざみ高田馬場の地下灯す�

松田ひろむ

荒梅雨や列車高まる音連れて�

北村眞貴子

蹤いて来るお国訛と祭笛�

山本 

敏倖

高木より和尚の返事麦藁帽�

江原 

玲子

野馬追や神旗うばひぬ女武者�鈴木 

光子

煌めく星みんな石ころ祭笛�近田 

吉幸

高く来て夏蝶草に触れふれず�

佐々木いつき�

編集後記

▼十一月になろうとするも、本年のブロック吟

行会はまだ二回ある。気張って吟行して高得点

もよし。吟行そのものがまた皆の懇親の場でも

ある。見慣れぬ人がいたら「あんた、だあれ」と

古狸の方から声かけるのも吟行。見慣れぬ人が

吟行と何の関係もない人だった場合は後で笑

い話。二ヶ月ほどで令和二年。 (中内火星記)

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第二十一回

高田馬場句会「夏」の報告

 

令和元年七月二日(火)

 

兼題「祭」・席題「高」

日 

時 

令和二年一月七日(火)

    午後一時より四時半

会 

費 

千円(懇親会はありません)

場 

所 

JR高田馬場駅前FIビル8階

   

 (一階がドンキホーテのビル)

兼 

題 「七種」(傍題可)席題は当日掲示

句会内容 

二句投句・互選六句

参加申込 

宮川

夏(定員三十五名)

    

℡080-3452-2577

    

Fax03-3339-9841

高田馬場句会「冬」の御案内

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