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オブジェクトの変更可能性
一旦生成したインスタンスの属性が,後から変更可能な(mutable)クラスと,変更不可能な(immutable)クラスがある
インスタンスを後から変更できる性質の事を変更可能性(mutability)と呼ぶ事がある
例えば文字列では…
不変なインスタンスを作る→NSString
可変なインスタンスを作る→NSMutableString
可変なオブジェクトと不変なオブジェクト
Foundationフレームワーク内の主な可変,不変なクラスのペア
種類 不変なクラス 可変なクラス
配列 NSArray NSMutableArray
データ NSData NSMutableData
辞書 NSDictionary NSMutableDictionary
集合 NSSet NSMutableSet
文字列 NSString NSMutableString
属性付き文字列 NSAttributedString NSMutableAttributedString
文字集合 NSChapterSet NSMutableChapterSet
インデックス集合 NSIndexSet NSMutableIndexSet
可変なオブジェクトの作成
不変なオブジェクトを可変なオブジェクトとして扱いたい場合
mutableCopyというメソッドを使って,可変なコピーを作成する
不変なクラスと可変なクラスがペアで用意されているクラスであれば利用できる
可変なオブジェクトの生成
不変なクラスのインスタンスに対しmutableCopyを送る
レシーバと同じ内容の可変なクラスのインスタンスが生成される
新しく生成されたインスタンスのオーナーはmutableCopyのセンダ
- (id)mutableCopy
コレクション
コレクションとはデータをまとめて管理する仕組みの事
ObjCのコレクションクラスには
NSArray / NSMutableArray
NSDictionary / NSMutableDictionary
NSSet / NSMutableSet
などがある
NSArray
NSArrayは個々のデータ配列を要素として管理してまとめる
各要素には0から始まるインデックスがつく
各要素にはそのインデックスを指定してアクセスする
各要素にはオブジェクトのポインタなら,どの種類のオブジェクトのポインタでも格納する事が出来る
NSDictionary
NSDictionaryはキー(key)と値(value)をペアとして管理する
ひとつのペアの事をエントリ(entry)と呼ぶ
エントリのキーには通常は文字列が使われる
エントリは1つのNSDictionaryに複数登録できる
namelyricsmusic
“LIBERTY”“Salyu”“Tatsuya Kokufu”
キー 値
namelyricsmusic
“Dialogue”(“Salyu”,”Takeshi Kobayashi”)“Takeshi Kobayashi”
NSSet
NSSetはNSArrayやNSDictionaryと同じでオブジェクトの集合をまとめる
NSArrayなどと違い各要素に順序という概念が無い
インデックスやキーを付けて個々の要素を管理することは出来ない
同じ要素が複数含まれる事は無い
コンビニエンスコンストラクタ
一時的なインスタンスを簡便に生成するメソッドをObjCではコンビニエンスコンストラクタと呼ぶ
典型的にはallocとイニシャライザ,autoreleaseを呼び出してインスタンスを返すようなクラスメソッド
コンビニエンスコンストラクタ
クラスメソッドfractionWithNumerator:denominator:は,新たなインスタンスを作成
イニシャライザinitWithNumerator:denominator:で,初期化した後,autoreleaseを適用して返す
+ (id)fractionWithNumerator:(int)n denominator:(int)d{ id f = [[self alloc] initWithNumerator:n denominator:d]; return [f autorelease];}
高速列挙
変数groupがコレクションオブジェクトだとすると,以下の構文でgroupの全要素を順に取り出し表示できる
groupの内容自体に変化は無い
id obj;for (obj in group) { printf(“%s\n”, [[obj description] UTF8String]);}
高速列挙
for...inの構文は以下の構造をしている
変数はオブジェクトを格納できる型を持つ必要がある
コレクション式はコレクションオブジェクトを格納した変数か,値がコレクションになる式でなければならない
コレクション式はループ実行開始前に1回だけ評価される
for ( 変数 in コレクション式 ) { /* 何らかの処理 */}
列挙子NSEnumerator
列挙子とは配列や集合,辞書などのコレクションに格納されている要素のオブジェクトに順番にアクセスするための機構
ObjC2.0以降では列挙子を使うよりfor...inの構文の高速列挙を用いる方が便利
高速列挙の利点
高速列挙を使用する利点はいくつかある
列挙子NSEnumeratorを使うなどの手法より遥かに効率がいい
構文が簡単
安全である
列挙子には変更防止機能があるので,列挙中にコレクションを変更しようとすると例外が発生する
高速列挙と列挙子
- (NSEnumerator *)reverseObjectEnumerator
要素に逆順にアクセスする為の列挙子を返す
上記のように書けばfor...inの構文を使って逆順に処理を行うことが出来る
enumerator = [myarray reverseObjectEnumerator];for (obj in enumerator) { /* 何らかの処理 */}
弱い参照を使えるコレクションクラス
ガーベジコレクションを利用する場合,弱い参照でオブジェクトが格納されているコレクションオブジェクトを使う事が出来る
要素のオブジェクトを格納するために,強い参照を使っているコレクションオブジェクト➡コレクション自体が不要にならない限り,要素オブジェクトは解放される事は無い
弱い参照を使えるコレクションクラス
次で説明するコレクションクラスはオプションとして弱い参照を使う事を選択できる➡コレクションに格納されていたとしても不要になったオブジェクトは回収され,コレクションからも削除される
NSPointerArray
NSPointerArrayはNSArrayに似た配列オブジェクトのクラス
NSArrayと継承関係はない
可変なコレクション
オブジェクトだけでなく,NULLも含む任意のデータへのポインタを含む事が出来る
NSHashTable
NSHashTableはNSMutableSetに似た可変な集合オブジェクトのクラス
NSMutableSetと継承関係はない
弱い参照で要素オブジェクトが参照できる点以外はNSMutableSetと非常によく似ている
NSMapTable
NSMapTableはNSDictionaryに似た可変な辞書オブジェクトのクラス
NSDictionaryと継承関係はない
キーと値のどちらか,または両方に弱い参照を使える
ガーベジコレクションによってキーと値のどちらかが解放された場合,そのエントリは辞書から削除される
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