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近年におけるディズニーのM&Aについて早稲田大学ディズニー研究会2年窪嶋 秀斗
本番用
研究目的・ディズニーの近年におけるM&A活動に注目し、ディズニーの経営戦略や独自の「強み」や「弱み」を理解する。
M&Aとは企業合併(Merger)と企業買収( Acquisition)を指す言葉であり、2つの企業が1つに合同して新たに企業をつくったり、ある企業が別の企業に吸収されること。
企業がM&A活動をする意味1、企業にとっての多角化戦略の重要性2、新たな経営資源の獲得
2006年 2009年 2012年
近年におけるディズニーの主なM&A活動「ピクサーアニメーションスタジオ」 74億ドルで買収
「マーベルコミック」 40億ドルで買収「ルーカスフィルム」 40億ドルで買収
研究目的・ディズニーの近年におけるM&A活動に注目し、ディズニーの経営戦略や独自の「強み」や「弱み」を理解する。・今回はマーベルとルーカスフィルム、2つの企業を例に挙げ、それぞれの企業の特色やディズニーに買収されたことでどのような結果に繋がったのかを調査する。
マーベルとルーカスフィルムについて
MARVEL COMIC
・1939年に設立。スパイダーマン、キャプテンアメリカ、Xメンなどの多くのキャラクターを生み出してきた、DCコミックと並ぶ大手アメコミ会社。
なぜ、コミック出版会社だったマーベルが映画産業という新規の事業に進出しようと決めたのか?
1980年代半ば頃経営不振・テレビ市場の拡大によるコミック業界が縮小・度重なる事業拡張の失敗
マーベルが映画事業(新規事業)へ進出した経緯
自社のキャラクターの版権を、映画会社(20世紀フォックス、ソニーなど)に売却。↓
マーベル作品の映画化のきっかけ!
2007年、マーベルは同一の映画世界を構築する計画(後のMCU)を考え始め、自社映画製作会社を設立。マーベルスタジオ
マーベルスタジオ・2008年に第一作目を公開して以降、今日までに13作品を公開。・また、2019年までに9作品の公開を予定している。
ディズニーが買収した頃(2009年)のマーベルスタジオ
2作目「インクレディブル・ハルク」 2億6000万ドル
1作目「アイアンマン」 5億8000万ドル
かなり好調2008年に公開された2作品がどちらもヒットしたため。
2012年に公開された「アベンジャーズ」から、ディズニー(ウォルト・ディズニー・スタジオ)がマーベルスタジオの作品を配給。ディズニー側が提供したもの→ 莫大な資本製作費に多くの資金を費やすことが可能となった(今までの作品の1.4~1.5倍)
アベンジャーズ公開
全世界興行収入:15億ドル2012年に公開された映画の中では最高記録映画史に残る爆発的な大ヒット
ディズニーがマーベルを買収した結果・ディズニーが得意とする映画事業(マーベル・スタジオ)への資金提供により、多くの製作費をかけることができるようになった。・映画のマーケティングや配給を得意とするディズニーがそれらを担当することにより、更なるMCU作品のヒットやキャラクターの市場浸透を後押しする結果となった。
LUCASFILM
1971年にジョージ・ルーカスが設立した映像制作会社。
2012年、ディズニーはルーカスフィルムを40億ドルで買収
「スター・ウォーズ」新作の製作
ディズニーが真っ先に新作の製作を発表した理由「スター・ウォーズ・シリーズ」は、全世界で絶大な人気を誇り、経済効果は300億ドル以上といわれている。「スター・ウォーズ」は、本来9部構成からなる作品であったが、製作の都合上などでエピソードⅦ~Ⅸは公開されずにいた。ファンの間では、「幻の3部作」の公開を望む声が、とても多くあった!
新たに3つの作品を制作すると発表し、幻と言われていた「スター・ウォーズ」9部作構想が実現2015年 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公開全世界の興業収入が4日間で5億ドルを超える大ヒットとなった。
これから先、エピソードⅧ~Ⅸのほかに、スピンオフ作品の製作も公開予定!
ディズニーがルーカス・フィルムを買収した結果・今まで公開されずにいた「幻の三部作」や「新たなるスピンオフ作品」の製作により、スター・ウォーズ市場の再活性化をはたした。・ディズニーとルーカス・フィルムのタッグにより、第3のスター・ウォーズ黄金時代を築こうとしている。
2000年後半から、マーベルやルーカス・フィルムなどのライバル企業を次々に買収してきたディズニー
この活動を後押しした背景には、いったい何があったのだろうか?
ロバート・アイガーの存在
ロバート・アイガー・・・
積極的な経営路線様々なライバル企業の買収(コンテンツ分野の拡張)
2005年にディズニーのCEOに就任。通称「ボブ・アイガー」彼が掲げた戦略
具体的に挙げた政策
ディズニーの弱点
青少年コンテンツの弱さ
様々な作品を手がけてきたディズニー。しかし、多くの「青少年」向けの作品は、どれもいまひとつの評価や売上しか得られなかった。失敗例 まとめてみました。
2001年 →ウォルト・ディズニー生誕100周年の年に公開された「アトランティス 失われた帝国」赤字2002年→スティーブンソンの原作の作品をオマージュした「トレジャー・プラネット」 赤字2012年→2億5000万ドルの製作費をかけて作り上げたウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品「ジョン・カーター」
映画史に残る大失敗!超超大赤字
そこでディズニーが目をむけたもの↓
マーベルやルーカスフィルムなどの「青少年コンテンツ」に強いライバル企業
・この分野で圧倒的な強みを持つマーベルやルーカスフィルムを合併・買収することで、弱点の強化を図ることが可能。・さらなる市場規模、コンテンツの拡大を期待できる。ディズニーにとっての大きな利点
マーベルやルーカス・フィルムの弱点女性・ファミリー向けコンテンツの弱さ
ディズニーの強みお互いに利害が一致していた!!⇒
ケビン・ファイギ 「ディズニーはキャラクターを市場に浸透させる非常に強力なノウハウを持っている。ディズニーが持つこのノウハウをマーベルのキャラクターにも応用してもらって、世間に知らしめてほしい。ディズニーは、それができる会社だ。」
マーベル・スタジオ製作会社社長
ジョージ・ルーカス 「ディズニーは巨大な企業だ。彼らはあらゆる種類の能力と設備を持っているので、この売却で得られる強みはたくさんある。」
自社のキャラクターブランドの強化
海外ネットワーク
マルチメディア展開クリエイティブ技術
今後の可能性と課題・強力なライバル会社を買収し内部に取り込むことで、ディズニーは圧倒的な「キャラクター帝国」になり、さらなる世界市場の拡大やブランド力の強化を図れる。・リスクの軽減・また、買収された企業(マーベル、ルーカスフィルムなど)も、ディズニーがもつグローバル流通網やマーケティング力を活用することができ、相当なシナジー効果を期待できる。
・M&A活動によりライバル会社を吸収することで、ディズニーが独占状態になると、そのエンターテイメント市場そのものが低迷する危険性がある。
まとめ(研究結果)・ディズニーの行ってきたM&A活動は、ディズニーの一方的(支配的)な買収ではなく、買収される側の企業(マーベル、ルーカスフィルムなど)にとっても、大きなメリットが存在していた。・それぞれの企業が持つ資本やマーケティング力がお互いに作用することで、さらなる市場規模の拡大が進むと考えられる。