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製造業のサービス事業のジレンマ

製造業のサービス事業のジレンマ

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製造業のサービス事業のジレンマ

Copyright (C) masashi okawa

本日の狙い と 第一の問い掛け(認識の共有)

イノベーションに関するコンサルティングの仕事をやっていて、とても悩ましい判断を強いられる場面が多い。

イノベーションを学ぶ際に考慮してみたらどうでしょうか?

企業にとって最も重要な事(存在目的)は何だと思いますか?(少なくとも、現在の日本において)

思考の出発点

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ゴーイングコンサーンの事業(商取引)での意味

• ゴーイングコンサーンでは、商取引も継続される事が重要• 一時の取引での損益を重視すると、継続的な取引は出来ない• 特に製造業 B to Bでは、販売した製品を通じて、顧客の得る便益が最大になる

ように活動する事が、企業の事業継続に繋がる• 顧客の得る便益が最大にする = 製造業のサービス事業

時間

顧客の累積収入

稼働開始早期化

ラーニングカーブ早期化

顧客の生産性向上

金額

初期投資軽減

顧客の期待利益の向上この面積を最大化する

商品寿命長期化

顧客の累積支出

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ケーススタディ

販売・サービス 開発・製造最終顧客 調達

需給・輸送計画 生産・在庫・調達計画 購

物、用益の流れ情報の流れ

出荷・輸送部品在

問屋・卸

法人

取引先

組立製造

設計

流通顧客

工務店等販売代理店

受託・提案部品メーカ

設置・修理・消耗品販売

工事業者

【会社名】 関東空調(株)

【事業内容】 事業所/個人向けの空調機の製造、販売、サービス

【国内拠点】 本支店:10 工場:1 営業/サービス拠点:100

【事業規模】 連結売上高:1,000億円 連結従業員:2,000人

【会社名】 関東空調(株)

【事業内容】 事業所/個人向けの空調機の製造、販売、サービス

【国内拠点】 本支店:10 工場:1 営業/サービス拠点:100

【事業規模】 連結売上高:1,000億円 連結従業員:2,000人

バリューチェーン構成図バリューチェーン構成図

個人家電販売店

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関東空調(株)の企業戦略

関東空調(株)の戦略課題関東空調(株)の戦略課題

戦略課題 想定

市場環境の変化に伴う課題 新規住宅着工の継続的下落(BtoC)国内製造拠点の海外移転(BtoB)

競合(業界)環境の変化に伴う課題 コモディティ化と価格競争、海外企業の日本進出

自社能力の変化に伴う課題 従業員の年齢構成(2こぶラクダ)、ノウハウの伝承

社会的な環境の変化に伴う課題 環境規制(CO2、冷媒ガス、廃棄物処理)

関東空調(株)サービス事業強化の事業戦略上位置づけ関東空調(株)サービス事業強化の事業戦略上位置づけ

他事業戦略要素 想定

成長戦略との関係 買替え需要への対応(BtoC、BtoBとも)

収益性強化との関係 製品単独販売での利益はほぼ±0で、利益はアフターマーケットででている(BtoB)

能力構築(変革)との関係 設計改革(部品標準化)によるコスト削減設計を実施中

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第二の問い掛け(サービスイノベーションの萌芽)

顧客(バリューチェーン)

関東空調

営業部

サービス提案

サービス事業企画部

サービス事業戦略

サービスメニュー開発

外部アライアンス体制

ハード・サプライヤー

ソフト/ノウハウ・サプライヤー

サービス・サプライヤー

SCM部 サービス部

製品事業部

パートナー群

サービス提供

サービス提供

製品販売

関東空調の新サービスはどんなものがあるでしょうか?

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新サービス提供に必要なリソース

リソース サービス商品開発 サービス提供

モノ(商品、役務)

ヒト(量、質)

カネ(投資)

その他

サービス名

サービス内容

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新サービス(例:リモート監視/メンテナンス/操作)提供に必要なリソース

リソース サービス商品開発 サービス提供

モノ(商品、役務)

システム開発環境、プロトタイプ環境、 温度監視装置、ネットワーク機器、コントロール用ソフトウエア、

ヒト(量、質) ベテランサービスマン、エース級サービスマン、SE/ソフト開発者、NE

コンサルティング営業、サービス担当者、SE

カネ(投資) 数千万円 単価:10-50万円、粗利:50%ランニングフィー:1万円/年

その他 トライアル顧客(胸を借りる相手)業務効率化、コストダウンなど他の取組が一時停滞

新規、更新など他の商談が停滞

サービス名 リモート監視・リモートメンテナンス・リモートオペレーション

サービス内容 遠隔から現場の温度などを監視し、空調機が最適になるよう操作する空調システム。機器の稼働状況もわかるため、リモートメンテナンスもある程度可能で、故障前に部品交換などもできる

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実際のサービス提供について①組織図

経営

工場 営業本部

営業所サービスC

営業所サービスC

加工1課

組立1課

営業所サービスC

製造部調達部

営業管理部

A支店

本体設計

周辺設計

設計部

ソフト設計

物流部

サービス本部

サービス企画部

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第三の問い掛け(役割分担と新サービス実現に向けて)

経営

工場 営業本部

営業所サービスC

営業所サービスC

加工1課

組立1課

営業所サービスC

製造部調達部

営業管理部

A支店

本体設計

周辺設計

設計部

ソフト設計

物流部

サービス本部

サービス企画部

売上責任(武器なし)

コスト責任?損益責任?

コスト責任コスト責任コスト責任

売上責任(武器あり)

?(リソースが不足)

主に社内から必要なリソースを確保するために、どんなことをすべきだと思いますか?

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第四以降の問い掛け(実際のコンサルティングの現場での悩み)

やれる範囲で確実に最大の成果を出すと、少しずつやれる範囲が広がる。そのサイクルを他人より早く回すと、やりたい事が出来るようになる。

そもそも、イノベーショナルなサービスの開発やサービス提供にリソースを割くべきでしょうか?

(他施策とのバランス)

製造業のサービス事業は、利益を求めず、コストセンターとして位置付ける方が自然ではないでしょうか?

新サービスを「やる」と決めたら、他社からその事業を買収する方が合理的な場合が多いのではないでしょうか?

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まとめ

• その企業(関東空調)のゴーイングコンサーンのために、顧客にとって継続的な便益になる価値を提供し続ける事が大事

• その手段のひとつとして、新しいサービス提供が考えられるので、そのサービスを考える事が必要

• 新サービスを検討し、実際に顧客にするためには、社内の限られたリソースを確保しなければならない

• アイデアを出すことは誰でもできるが、実際に新サービス(商品)として顧客に提供しお金を貰える仕組みを考えるのが難しい