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AZAPA Business Report

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Page 1: AZAPA Business Report
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平和と豊かさAZAPAのオリーブに込められた「世界平和への願い」世界中で平和を芽吹かせるAZAPA ティア0.5の戦略とは?“つながるビジネス”を解決する技術を提供

進化、そして各自動車メーカーと機能システムを共創するAZAPAの ECU“ つながる”を実現するAZAPAのプラットフォームECU機能システムによるソリューションの可視化Synesthetic (共感覚)な情報社会システムとクルマの未来

ソーシャル・シティの夜明け 街とモビリティがツナガル自動車の最適化へ さらに進化をつづけるAZAPAのモビリティペルソナコミュニケーションを担うツナガルモビリティを実現する、AZAPAの ECU・ペルソナ分析ソーシャルシティ・プラットフォーム「+fooop!」モノ消費からコト消費

Model Based Designインターフェースの違いを“ツナゲル ”「モデルゲートウェイ構想」AZMSによる「モデルオープンファクトリー」

AZMS“ 実務者の願い ”を叶える制御MBD効率化ツール群制御モデル構造を自動で作り変えるという挑戦

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AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

CONTENTS

Page 3: AZAPA Business Report

3AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 Dec. 2012

AZAPAのオリーブに込められた 「世界平和への願い」

我々の住む日本は実に豊かな国です。あまりそのことに気付いている人は少ないかもしれません。世界の7割は貧困層であり、1日中水を汲んだリ、靴が買えずに裸足、満足に食事もできず、教育も受けることもない。ユニセフなどから「24時間、生きられない赤ちゃんがいる」、衝撃的なフレーズが載っているレポートが毎月届きます。我々、豊かな国が、今、するべき事はなんだろう?日本の企業は、中国など「早期に利益還元

される直接的な市場アプローチに企業リソースを集中」していないだろうか?つまり、現時点での短期的な利益にしか興味がなく、日本の最も得意である「技術」により市場を創るという長期的アプローチを、黙認しているように思います。もちろん、自動車市場などの製造業が日本を捨てず、今の雇用を守っている事は、素晴らしい事であることは間違いないのだが、それに甘えず将来へ継承する市場形成は、ベンチャーである我々が担うべきでしょう。

技術により市場を創る

AZAPAは、世界の貧困層へ「仕事」を創る為の会社になりたい!という強い想いがあり、平和の象徴を意味するオリーブのリーフを会社の象徴(ロゴ)にしています。我々の顧客である企業は、同じ想いを共感

してくれている素晴らしい存在です。そして将来、我々の技術が無償で提供され、彼らに「仕事」を創ることは、単に義援金を募ることよりも、有意義であると信じています。AZAPAは、技術者が、仕事の創造、市場の形成、また、人間の進化を形成する重要な存在だと考えています。そうした想いは、きっと日本の豊かさを象徴すべく本質的な技術を構築し、我々の次の世代へ豊かさを継承することにつながるのではないだろうか。技術は本来、人が真の豊かさを得るもので

なければならず、技術は人のマインドを変化させ、生活まで変えてしまう恐れがあります。だからこそ、我々の技術は、世界の平和と豊かさへ貢献し、未来の子供たちへこの平和と豊かさを継承する必要があると考えています。

「made in Japan」の代表格として持ち前の技術で世界の市場を席巻してきた大手電機メーカーの経営不振を伝えるニュースが相次いだ。グローバルな競争環境が、パラダイムシフトを感じ、変革を求めることを裏付けている。日本の高度経済成長を支えた、自動車産業でも競争は激化の一途を辿っている。そんな中、設立わずか5年目の企業が

自動車産業でグローバルに挑戦している。AZAPA は『人とクルマの調和』の実現を目指す企業で、 『Brand new values for vehicle(クルマの新しい価値 )』をカ

タチにすることを目標に掲げている。AZAPA の近藤 康弘 代表取締役社長&CEOへのインタビューを通じ、様 な々視点から「クルマの新しい価値」と、その事業領域や可能性を紹介します。

AZAPA - 社名の由来平和の象徴とされるオリーブの希少種から名前を取りました。その実は、異なる品種との交配によって結実することから当社の「高い技力と豊かな創造力」あるいは「AZAPAのビジネスコアとお客様」をつなげ、 新しいビジネスを創造する思想を表現しています。

平和と豊かさ

Page 4: AZAPA Business Report

4 5Dec. 2012 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 Dec. 2012

GREAT BRITAINIndo-Fuji Europe Limited

GERMANYIndo-Fuji Europe Limited

INDIAIndo-Fuji Information Technologies Pvt.Ltd

CHINAAZAPA Shanghai Office

NAGOYAADEA CO.,LTD.

YOKOHAMAAIZAC Co.,LTD.YOKOHAMAAZAPA R&D

OKINAWAAZAPA R&D

USAAZAPA R&D Americas, Inc.

CHINA阿軋帕(北京)科技有限公司

AIZAC CO.,LTD. YOKOHAMA

AZAPA R&D YOKOHAMA

ADEA CO.,LTD. NAGOYA

AZAPA R&D OKINAWA

Indo-Fuji Europe Limited GERMANY

阿軋帕(北京)科技有限公司 CHINA

AZAPA Shanghai Office CHINA

AZAPA R&D Americas, Inc. USA

Indo-Fuji Information Technologies Pvt.Ltd. INDIA

Indo-Fuji Europe Limited GREAT BRITAIN

【Japan】 【Foreign】

自動車メーカー

ティア0.5

ティア1

ティア2

ティア3

―具体的にはどのような事業を行っていますか?

当社の事業はエネルギー、自動車、通信、コミュニティーの4つの主軸から構成させています。これは、マイクログリッドを構成するキーテクノロジーの要素です。エネルギーにおいては、風力発電やバイオ

ディーゼル発電など地域に存在する自然エネルギーより電気を得る技術。自動車はEVなどモビリティを開発・製造する為の技術、クルマの新たな機能システムを開発(ECU開発)、開発プロセスを改善するためのツールを提供。通信は、WiFi Direct 技術によるキャリアインフラがない環境での通信技術。コミュニティーは人と人が支え合い、あらゆる情報を共有できるソーシャル技術とエンゲージされる技術を獲得しています。すべて、ゼロ資源から技術供給を実現し、平和と豊かさを享受するものです。この各分野においては、図らずとも必ず、様々

な技術的課題が存在します。我々は、その課題に対して素早くソリューションを可視化し、その分野のビジネスリーダーに対して、具体的な課題提起と、それを解決する為の技術支援を目的とすることを「ティア0.5戦略」と呼んでいます。本来ならメーカーとサプライヤ間で解決され

る課題でしょう。しかし、メーカーの課題意識は解決されないばかりか、むしろ、増えるばかりです。メーカー、サプライヤ間という合理的

なビジネス上では致し方のないことですが、とてつもなく解決を急がなくてはならないものがあります。そう世界の期待が、日本を待ってはくれない

のです。

グローバルでティア0.5戦略

AZAPAは、5年という短期間で、グローバル展開を実現しています。グローバルでティア0.5戦略を実行する為でもありますが、我々が技術をつなぐ架け橋になりたいと願っているからです。日本での限られた資源や政治的な束縛を受けるケースは非常に多く、実現できる可能性を持ちながらもできない事が多々存在します。だからと言って、国際的な支援を受けることもできません。我々は、日本のアーリーステージにある、あるいは埋もれてしまう素晴らしい技術をどうしたら自由度を持って成長させることができるのか?という疑問を直視し、解決します。これからの市場は国内ではなく、グローバ

ルで考えるべきです。我々は海外から日本を見て、戦略化しています。海外は、日本の法規などの制限も受けず、自由度が高い地の利があるハズですから技術的にもビジネス的にもイノベーションを構築するのに、日本で必ず実施する必要はありません。戦うなら大きなビジネスチャンスのある海外の投資を考えるべきと思っています。

ティア0.5戦略自動車メーカーは課題解決したい。サプライヤでは実現できない。そんな間に入り、自動車分野のソリューションテーマを見つけ(分析し)、スピード開発することでソリューションの可視化を行い、共同研究や研究べースにより製品化を進める事業戦略。

世界中で平和を芽吹かせるAZAPAティア0.5の戦略とは?

2013年1月16日(水)~18日(金)、東京ビックサイトで開催されるオートモーティブワールド2013「クルマのITソリューション展」において、「次世代情報システム社会とクルマとの融合」を展示します。近未来である次世代情報システム社会では、あらゆる行動センシングによりペルソナ(人の属性)を決定し、共感覚でつながる人、モノ、環境、社会を実現してゆきます。そんな世界がリアルに表現されていますので、是非ともご来場ください。

―AZAPAには、どのような技術と可能性があるのですか?

AZAPAの考える次世代モビリティでは、ITによるセンシング技術やソーシャル技術と走行性能に関する制御パラメータをドライバーや環境に合わせて最適化する制御理論との融合を実現しています。AZAPAのほとんどのエンジニアが、エンジン制御理論やモデルベース開発などの自動車分野での最先端技術に携わっていた経験を持ち、更に情報科学や物理や化学など他分野で活躍した博士などにより、常に自動車市場において、新しいソリューションを見つけ、その解決を考えています。 ”つながる”という表現は、単に通信モジュールを開発するということではなく、その人にとって、必要なモノだけでなく、必要な経験や体験、必要な考えとの遭遇を導く、”可能性とのつながり”であることです。

我々の実験車両である「AZP-LSEV」は、通信モジュールを搭載したECU(機能システムを実現する電子コンロトールユニット)により常にネットワークでつながれている「コネクティッド・ビークル」であり、クルマの前提である安心・安全と快適な走行性能、スマートグリッドとのエネルギー連携、ペルソナ(人の属性)を定義した次世代情報システム社会であり、どれもAZAPAが考える”つながるビジネスを解決する技術的要素”と言えるでしょう。例えば、今日は雨で少し路面が滑りやすい

ので、自動車がドライバーのブレーキアシストを実現したり、少し気分が優れない時の認識低下時には、モニタで危険な場所やシチュエーションを注意しながら運転できたり、また、今年から導入が検討されるZone30(30km/h 規制)では、ITS環境インフラと連携して、速度制限運転に切り替えたりすることが可能になります。まるで、ネットワークを自由に移動できるモビリティですよね。

オンデマンドECUAZAPAでは自社ECUをベースに、モデルベース 開発(MBD)による開発効率の向上と「ITと制御」による協調制御など 「新制御理論」の開発を実現。

AZP-LSEVAZAPAのEV研究開発が、おきなわ新産業創出事業に採択され、マイクログリッド・エコアイランド構想を掲げる沖縄県を拠点として、EVプラットフォーム制御理論の実現、及び、 インホイールモーターの研究開発を進めている。

“つながるビジネス”を解決する技術を提供

Page 5: AZAPA Business Report

6 7Jan. 2013 Jan. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

進化、そして各自動車メーカーと 機能システムを共創するAZAPAのECU前回に続き、AZAPA 代表取締役& CEO 近藤 康弘氏より、EV産業における AZAPA の着想、取り組み について語ってもらう。

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

http://www.azapa.co.jp/http://www.azapa.co.jp/

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

迷走する日本のEV産業国交省より平成 25 年 1月、超小

型モビリティの認定制度が公布予定とされています。低炭素社会における新たな移動支援を実現する目的と電気自動車の製造を基軸とする地域産業の活性化を含めており、認定制度では主に車両規格や車両に搭載される安全機能に関する事が記載されているようです。ここにリアリティはあるのでしょうか? 非常に疑問です。わが国では、まさにEVフィーバー

状態。地方割拠でEVの製造を行っているが、EV量産化やビジネスモデルを継続できる可能性は極めて低いでしょう。国交省のガイドラインで道路交通法

を緩和したところで、道路や交通ルールがすぐに変わるわけではないので、規制で局所化されたネガティブなイノベーションを強いられ、イノベーションするための前提が成立していません。国内EVのアーリーステージにおいて、最も高い障壁がここにあることに気付いているのに、現実から目を背けて邁進しているように思えます。一方、欧州では、カーシェアリング

や小型モビリティに関して、この前提

条件が整っています。市街地の入り口には大きな無料駐車可能なスペースがあることに加え、もともと小型車が多く、日本でも整備されはじめた自転車専用道路など、EVへ移行するための環境が既に存在しています。日本は低炭素社会や自然エネル

ギーによる電力需給についても、積極的なエネルギー循環はできていません。ここでもEVは分散エネルギーとして、グリッド ( 発電効率の調整 )や災害時などの補助電力として活躍の場を得るとされていますが、現実はどうでしょう?また、我々が本来、EVに期待する

のはグローバルに提供できる技術であるのにEVに搭載するモーターやバッテリーのほとんどは、中国や台湾などからの調達という現状で、電力連携するには問題が多いのです。

近年、決して意欲的でない国内需要に加え、グローバルな展開を想定できない我が国のEV 産業は迷走するばかり。大手メーカーは、本格的なEV参入を控えてはいます(控えるというよりもビジネスモデルが成立しないため。)が、大手メーカーが参入した時点でEVフィーバーも終焉を迎えてしま

うかもしれません。EVであっても、自動車開発の経験

なくして、安全や安心を前提としたクルマをつくり上げることは決して容易ではありません。量産も大手メーカーでなけれは量産効果を得る台数を製造できませんし、付加価値を付けて、競争してゆくことは非常に困難でしょう。

AZAPAでもLSEV(オリジナルEV)を製造していますが、我々のEV産業への着想はこれとは異なります。そもそも、AZAPAは、自動車のエ

ンジン制御理論やモデルベース開発などの自動車開発における先進的な技術開発をする会社であり、だからこそ、我々は、グローバルに発信できるEV向けの搭載ユニット、機能システムの研究開発、製造を行い、「技術でグローバルに発信する日本であり続けたい」と考えています。現在、国内および中国・インドなど

の大手自動車メーカーへ展開し、実績を増やしています。

AZAPAは、自社開発のプラットフォームECUが国内外のEVに採用され、業界標準となる事を目指しています。このプラットフォームECUでは、冗長システムを備え、クルマとしての安全性とEV性能の高効率化を前提とした機能をベースとして搭載しています。これまで自動車メーカー以外で製作されるEVでは、インバーターに内蔵される機能範囲で特性パラメーターを変更する程度の速度調整レベルでしたが、このプラットフォームECUでは、自動車と同じく走行制御を実現する為の制御理論が組込まれており、ECUを搭載しないEVとは一線を画しています。今後、カートやフォークリフトなどの分野に

おいても情報システムと連動したり、高付加価値を実現する場合には、上位層のコンピューターが不可欠であり、ECUとECUで構成される機能システムは、グローバル市場において、ビジネスを優位に展開できる可能性を持っています。AZAPAがこれを実現できるのは、自動車の制御理論や機能システム開発、自動車技術を保有しているからこそでしょう。また、プラットフォームECUに搭載される機

能システムは、自動車開発での最新開発手法であるモデルベース開発(MBD)で行い、車両システムの機構ユニット(物理的条件)に加え、走行抵抗(環境条件)、ドライバー特性(操作条件)などによるシミュレーションで走行特性や搭載部品の性能劣化の見える化を実現し、新たな制御理論を組込みます。東京大学開発の粘着制御も標準機能システムとして搭載され、スリップは全く起こりません。

セキュアロジック搭載の通信ECU (Mobility Server & Secure)

プラットフォームECUとは別に、WiFi-Direct 通信モジュールを搭載した通信 ECUがあります。この通信 ECUは、CANというプロトコルの車載ネットワークでプラットフォームECUとつながり、車車間通信や衝突回避などといったIT+制御のインターフェースを実現しています。この通信 ECUの最大の利点は、サーバー

のモビリティー化と超短時間での通信確立にあります。これにより自由度を広げ、クルマのすれ違い通信や長距離、広域通信といったアクセスやインターネットとの常時接続ができるコネクテッドビークルを実現します。また、パーソナライズされたデータの通信を可能とするAZAPA 独自のセキュアロジックを実装しており、自動車における新しいコミュニケーションを提案しています。通信 ECUとの連動は、機能システムの自由

度を拡張し、ソーシャル技術からのセンシング情報と機能システムとの協調制御を可能とします。例えば、雨が予測された場合、クルマが自動的にブレーキ量を調節したり、ドライバー特性から判断した最も ECOでフィーリングが良いトルク領域で走行を最適化(制御パラメータを変更)することができます。

属性データを抽出ビッグデータ

通信 ECUが走行データ送信

パーソナライズ

ソーシャル技術との統合天気・渋滞情報の反映クルマを最適化

IT +制御が快適な走行を実現

ECUと計測技術、スマートデバイス、クラウドサービスの連携で車両情報の「見える化」を実現。ドライバーに「快適」で「楽しさ」のある運転環境を提供します。計測データをクラウドサーバ上で統計・解析し、ドライバーのエコドライブ診断をします。さらに理想的な運転特性と比較し、エコドライブのアドバイスをします。

AZMS(AZAPA Model-based development Suite )EVをはじめ自動車開発におけるオープンかつ標準化されたアーキテクチャ(設計思想・構造)のデファクトスタンダードを目指したモデルベース開発の環境構築を提供します。

AZMSホームページ: http://www.azapa-business.com

“つながる”を実現する AZAPAのプラットフォームECU

Page 6: AZAPA Business Report

8 9Jan. 2013 Jan. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力 誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

http://www.azapa.co.jp/ http://www.azapa.co.jp/

AZAPAの ECU 開発におけるビジ ネスモデルは、常に進化します。EC U 開発では、標準機能システムを搭載したプラットフォームと常に新しいソリューションを実現するための機能システムを実現するカスタムの2つのカテゴリ領域があります。このカスタム機能システムでの開発は、顧客との共創により、新しい分野のアイデア技術を提案し、市場へのソリューションをいち早く可視化することで、市場での可能性を見つけることができます。これはEVだからこそ出来る優位性だと私は思います。非常にワクワクしますよ。また、ビジネスモデルでの工夫のひ

とつとして、ECUの値段が高くなるのを抑えるために、カスタム機能システムの市場ニーズが高い場合、プラットフォームへシフトする標準化をして、多くのユーザーが利用できるようオプション、標準搭載へと順次展開してゆきます。こうすることで、ニーズとのコストバランスを調整しながら最適な機能システムを搭載するECUを提供します。

次世代自動車ソリューションへ の InspireAZAPAと顧客との機能システムの

共創は、カーエレクトロニクスの進化と未来への存在感、次世代自動車へのソリューションを中心としたプレゼンスの 向上を実現します。新しい機能システムは、低迷してい

る自動車販売に対して、消費者へ驚きと感動を与え、常にワクワクさせることでしょう。市場に置ける機能システムの実績、市場認知が高まれば、サプライ供給の直接的アプローチを回避し、自動車産業のオープンイノベーション化に伴い、自動車のネットワークに組み込まれる可能性も高くなるでしょう。我々は、積極的に消費者に対して、

自動車の新しい機能システムをインスパイアすることで、自動車の新たな方向性を指し示すことが重要だと考えています。

従来に類を見ない、定員2名+100kg積載が可能となる側車付軽 2輪(250cc以下)。車検不要、車庫証明不要、ヘ

ルメット不要など利便性が抜群。主に小口配達などの商用目的で設計された外観は、ロゴやステッカーなどで広告効果を発揮しやすいデザインとなっており、初年度1,000台程度の販売を見込んでいる。小口配達サービス業界(複数)などで使用され始めています。AZAPAは、この LIKE-T3に

おいて、当社のプラットフォームECUをOEM供給しております。

AZAPA ECU 導入事例

『雷駆 -T3』 (ライク-T3) 光岡自動車

機能システム(標準)+

オプション(カスタム機能)

オリジナルECU(OEM製造提供)

プラットフォーム

カスタム機能

ECUのビジネスモデル

機能A 機能B 機能C

ニーズが多い場合標準化 顧客との共創

機能システムによる ソリューションの可視化

近未来の社会では、街や家、クルマなどでの移動中において、スマートフォンなどのデジタルデバイスと接触する機会が非常に多くなるため、これらのデジタルデバイスと接触するポイントとポイントをつなげると、人の行動が見えてくるようになります。これを「行動センシング」 と呼び、行動主義心理の入力データを構築する上でとても重要な仕組みと位置付けています。今後、更にクルマやデジタルサイネージなど、これまではユーザへ一方通行であったインフラなどでも通信連携が可能となり、あらゆる行動センシングを実現することができるでしょう。従来のスマートタウン構想では、エネルギー

供給システムや都市利用、経済的インセンティ ブを共進化する目的を重視した傾向が強く、 本質的な運用に至る過程においては利用者に依存していて、十分な発展はできていなかったように思います。しかし、「ペルソナ(人の属性)」を利用した

次世代情報システム社会が構築されれば、本来のスマートタウン構想の利用者にとっての嬉しさ、豊かさの形成を促進させることができ、さらなるスマートタウン構想の発展を実現するでしょう。

ペルソナ決定のアルゴリズムドライバー特性の決定において重要であるの

は、ドライバーへの運転環境・ 状況の入力とドライバーの行動・反応である出力を関係付けることです。入出力が簡単な算出式の枠組みに収まるのであれば、有効な因子をベイジアンネットワークなどの統計によって同定することができます。自動車業界では、走行データ(ビックデータ)の活用についてよく話題となっていますが、闇雲なデータ群と連続したドライバーとの行動を紐付けることは非常に難しく、うまく分析できていないといいます。AZAPAでは、ビックデータに集積されたある固定化されたシチュエーション群とその時の運転手段との関係性(限られた空間・時間における入力ー出力は要因が少なく、簡単な数式が成り立つ。)に着目し、その関係性の積上げにより運転手段の特性を最適化しながら、ドライバー特性(ペルソナ )を決定するアルゴリズムを確立しています。

2013年1月16日(水)~18日(金)、東京ビックサイトで開催されるオートモーティブワールド2013「クルマのITソリューション展」において、「次世代情報システム社会とクルマとの融合」を展示します。近未来である次世代情報システム社会では、あらゆる行動センシングによりペルソナ(人の属性)を決定し、共感覚でつながる人、モノ、環境、社会を実現してゆきます。そんな世界がリアルに表現されていますので、是非ともご来場ください。

・位置情報・スロットル開度・操舵量

入力項・スピード上限制限・ブレーキアシスト量・スピード安定化

出力項

ユーザ要求燃費向上

実験計画(DoE)有効因子決定

属性決定ドライバー特性

最適化制御パラメータ

因子選択 導出関数 制御方法

・ブレーキ量・シフト

・コーナリングアシスト・スタートストップ

ビッグデータ

運転シチュエーション(運転環境・状況)

運転手段(行動・反応)

ドライバー特性シチュエーション(W)シチュエーション(X)シチュエーション(Y)シチュエーション(Z)

運転手段(A)運転手段(B)運転手段(C)運転手段(D)

ドライバー特性(A)ドライバー特性(B)ドライバー特性(C)ドライバー特性(D)

先天固定的な特性(変化しない特性)

後天的な特性(認知的)

先天流動的な特性(行動センシングでの特性)

・性別 ・年齢・身体特性 etc

・知覚などの感覚機能・趣味、趣向 性格 etc

・運転経験・運転経験、理解

・社会的習慣・運転態度、意識

運転環境・状況

行動・反応

ドライバー特性(C)

LSEV NaviMAP上で同じペルソナ(人の属性)のマークのコミュニティを表示、会話、共感できる。

クルマの最適化ペルソナからドライバーの特性を判断し、その特性に合った制御パラメータへ変更することでクルマの走行を変えられる。

Synesthetic (共感覚)な情報社会システムとクルマの未来

Page 7: AZAPA Business Report

10 11Feb. 2013 Feb. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

「第1回クルマの ITソリューション展」が東京ビッグサイトで 2013 年1月16日から3日間開催され、延べ2万人が訪れた。車載情報通信機器・モジュール、ITS 関連機器、ヒューマンマシンインターフェース、テレマティクスサービス等、クルマ向けのITソリューションやサービス専門の展示会だ。300 余 り の ブ ー ス の 中

で、 人だかりが 絶えず、ひときわ盛り上がりを見せたブースがあった。AZAPAとイノラボ(電通国際情報サービス オープンイノベーション研究所)だ。

2013 年 4月、大阪で「グランフロント大阪」がオープンする。人と街の新しい関わり方や交流を提案する、世界初のソーシャル・シティだ。ブースではソーシャル・シティの実現に欠かせないITプラットフォーム「+fooop!(フープ)」と、「行動センシング」を担うAZAPAのモビリティと通信技術が展示され、次世代情報社会とひと・まち・モビリティの融合を提案していた。

ソーシャルシティ プラットフォーム

ソーシャル・シティの夜明け 街とモビリティがツナガル

2013年 4月26日、世界で初めて「ひと・まち・モビリティ」がつながる「ソーシャル・シティ」が大阪で誕生する。 「グランフロント大阪」だ。ここでは、その鍵を握る電通国際情報サービスの「+fooop!」とAZAPAの「AZP-LSEV」を紹介する。

http://www.azapa.co.jp/ http://www.isid.co.jp/inolab/

×   イノラボ 街とツナガルモビリティ

Page 8: AZAPA Business Report

12 13Feb. 2013 Feb. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

自動車の最適化へ さらに進化をつづけるAZAPAのモビリティAZAPAが開発した2人乗りのEV

「AZP-LSEV」は、静脈認証によりドライバーを認識し、シート位置、ミラー角度、アブソーバ、走行モードなどをパーソナライズする。セルフチェックや、ナビゲーション機能に加え、新たにAR 技術によって 路上の看板を識別し施設の詳細情報を提供する。また、通信 ECU(Mobility Server)

を搭載することで、位置情報や走行時のデータなどを一度クラウド上へ集積し、ビックデータを分析することでドライバーの「属性」、つまり「ペルソナ」を導き出すことが可能になる。特定したドライバーの「ペルソナ」情報と通信 ECUが連動することにより、走行環境に合ったエコで快適なクルマの制御を実現する。例えば、雨が降ると予測できれば、

クルマが自動的にブレーキ量やトルク領域を調整、運転フィーリングを快適にする。ペルソナを活用すれば、ドライブ中、同じペルソナの人や施設を地図上に表示したり、電話をかけたりルート設定することも可能だ。つまり、より「人」と「モビリティ」の絆が強固になるのだ。エポックメイキングなモビリティが、近い未来、ソーシャルシティを駆け巡る。

ペルソナコミュニケーションを担うAZAPAの通信 ECUを搭載したモ

ビリティは、ソーシャル・シティを実現する行動センシングの一端を担う。モビリティを通じて人が移動する際に行動センシングを行い、ペルソナに基づいた新しいコミュニケーションを車車間通信やMtoMにも展開する。このモビリティには、ドライバーのペ

ルソナを決定するための、走行時間、走行距離、休憩時間、目的地情報、ブレーキやハンドルの操作履歴などの必要な情報を蓄積するし、これらの情報と、ソーシャルシティに蓄積された情報を連携させることにより、ユーザーに新たな体験や価値をもたらすことができる。

例えば、交差点で停止している時、搭載された通信 ECUが街に設置されたデジタルサイネージなどの情報スポットと通信する。すると、ドライバーのペルソナ情報に基づき、単なるおすすめクーポンの提供ではなく、さらに街の中で行われているイベントや友人の来街状況なども加味し、適切な情報とリコメンドをナビゲーションシステムなどに提供する。さらに、街の情報とクルマの位置情

報を連携して、ユーザーが事前に予約したレストランに近づくと今日のおすすめメニューを事前に紹介したり、最寄りの混雑状況を知らせたり、これまでにないリアルタイムな情報提供を実現する。街から離れたクルマでも、過去の来街履歴をもとに、ユーザーが休日にクルマのエンジンをかけると街の最新情報を提供するなどして、

ユーザーの来街を促す情報提供を行うことができる。

ツナガルモビリティを実現する、AZAPAのECU・ペルソナ分析AZAPAはアーバンモビリティを通じ

て「ひと・まち・モビリティ」をつなげる。そこには、AZAPA 独自の確かな技術がある。同社のAZP-LSEVにも搭載されている通信 ECU、ペルソナを分析する独自のアルゴリズム、プラットフォームECUなどをメーカーとサプライヤーとの間に立つティア0.5というポジションで研究開発を行っている。AZAPA の 通 信 ECU は、WiFi-

Direct 通信モジュールを搭載し、車

車間通信やソーシャル・シティでのツナガルモビリティを実現させている。さらに、その情報ネットワーク全体に独自のセキュアロジックを実装させ、サーバのモビリティ化「Mobility Server」を可能している。これらをもとに、衝突回避やカーシェアリングなどの新しいサービスの研究開発も行っている。さらに、同社では研究開発環境を

提供する、AZMSというモデルベース開発プロセスの支援ツール群を提供している。AZMSの活用により、シュミレーションモデル、制御モデル構造、車両特製の計測適合などをシームレスに連動でき、要求性能の実現や、開発期間の短縮、部品調達の効率化などにも貢献している。これらの確かな技術が「ツナガルモビリティ」の実

現を支えている。

AZAPAインタビューAZAPAはこのツナガルモビリティを

ソーシャル・シティでどのように展開し、その先にはどのようなビジョンがあるのか?同社の代表取締役&CEOの近藤

康弘氏に話を聞いた。

近藤氏:近未来の街では、人と情報、クルマ、あらゆるものがツナガルことで、 次世代情報システム社会が構築されていくと予測します。中でもペルソナは、街とヒト、モビ

リティをつなぐために重要であり、それを分析することによって、いつでも自分の行動を予測して魅力ある情報を提供してくれたり、ヒトとのコミュニケーションを更に円滑にしてくれます。 これからは、街でヒトと寄り添って

歩く、走るといったパーソナルモビリティが 主な交通手段となり、 シェアリングサービスや自立走行による案内サービス、自動給電などの新しいモ ビリティサービスがどんどん実現されると信じています。また、ヘルスケアセンシングなど、医

療サービスとも連動し、病気や障害を持つ人でもそれぞれに合ったパーソナルモビリティに乗ることで、行動範囲を広げてくれるような新しいモビリティの開発をAZAPAは目指しています。

パーソナライズ静脈認証などでドライバーを認識。シート位置やミラー位置などの車両環境設定や、ネットワークから取得したドライバー特性に応じた車両環境の最適化、走行制御パラメータを最適化。

パーソナライズ機能 セルフチェック機能 ナビゲーション機能 ペルソナコミュニケーション機能

ARサーチ機能 Facebookスナップショット機能

ECU+Wi-Fi Direct 通信モジュール安全・安心・快適・つながるの4つのコンセプトを実現し、IT+ 制御を融合する協調制御を行う。クルマがサーバという新しい発想で、車車間通信などのコネクティッドビークルの実現や、より自由度の高い通信を確立する。

デバイス連携Wi-Fi Direct 通信モジュールを使い、対象デバイスや製品(計測器、家電、モビリティ、センサーなど)と接続して無線化することで、スマートデバイスやシステムサーバと連動した ITサービスを実現します。

近藤 康弘 氏株式会社AZAPA 代表取締役&CEO

AZAPA-LSEVにはドライバーを認識する静脈認証技術が組み込まれ、ペルソナ情報をもとにクルマを自動的に調整する。

Mobility

×   イノラボ 街とツナガルモビリティ ×   イノラボ 街とツナガルモビリティ

http://www.azapa.co.jp/ http://www.isid.co.jp/inolab/ http://www.azapa.co.jp/ http://www.isid.co.jp/inolab/

Page 9: AZAPA Business Report

14 15Feb. 2013 Feb. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

イノラボインタビュー渡邊氏:弊社はこの街のプラット

フォーム作りに4年ほど前から参画しており、街が目指す『人がツナガル街』にチャレンジして参りました。+fooop!は屋内位置測位によりイン

タラクティブサイネージや、スマートフォンから自分に合った情報をタイムリーに受け取ることのできる次世代情報基盤です。街に入ると、20メートル間隔で設置されるサイネージにタッチすることで街との接続がスタートし、スマートフォンやサイネージから様々な情報やサービスを受けられます。この情報基盤にモビリティを接続し

ようというのが今回の発表です。街の周辺を回遊するモビリティだけでなく街の中を人とともに走るモビリティを+fooop! に接続します。これによって街の情報基盤と車がダイレクトに通信することになりより、状況に適した情報が受けられることになります。これからの街はユーザが情報を預け

る、そしてそれをユーザが利用する。そうならなくてはなりません。ですから、ユーザが情報を他のアプリやサービスに情報提供を許可した場合連携できるよう+fooop!はAPIを用意し、様々な事業者がこの基盤の拡張サービスを展開いただけるように考えています。人とツナガル街。その街に何を接続

するのか、そしてどんなサービスが生まれるのか、可能性は無限大。多くの事業者様がこの基盤に接続しサービスを展開できるように準備していきます。これからの展開に期待してください。

ソーシャルシティ・プラットフォーム「+fooop!」

電通国際情報サービス(ISID)のオープンイノベーション研究所「イノラボ」は街と来街者とのコミュニケーション形成を支援する新たなITプラットフォームを発表した。ソーシャルシティ・プラットフォーム「+fooop!」(愛称=フープ)だ。+fooop! は ISIDイノラボが考える

ソーシャル・シティの実現に欠かせない。+fooop! は人と人、人と街、クルマと街、街とクルマといったリアルな交流やコミュニケーションを促進させる。街に蓄積した情報をクルマを初めとする移動体やスマートフォンなどと連携することで、ユーザー体験を向上させるITプラットフォームだ。+fooop!は、Facebookや Twitter

の情報と街の中の行動履歴を紐付けることで「街内ソーシャルグラフ」を構築していく。街や商業施設における位置・空間連動型サービスの事業化を行う日本初の事例だ。+fooop! は、蓄積される来街者の

購買データや行動特性などの情報と、クルマなどの移動体を起点として蓄積される走行距離や目的地情報などの

情報と連携させることにより、ユーザーに新たな体験価値をもたらす。街を訪れた人の趣味や興味、関心

事、購買履歴などの情報に、街で行われるイベントや当日の天候などの情報を加味し、その時々、個人の感性や状況に合わせた情報を提供する。提供手法もスマートフォンやデジタルサイネージなど、ITデバイスや街を紹介する実在のキャストを通じてユーザーに提供される。+fooop! は一人ひとりの感性や状

況に寄り添う。例えば、デート中に彼女の好きなスイーツを教えてくれたり、

突然の雨をやり過ごす雨宿りの場所を教えてくれたりする。では、これらを実現させる先進技術

は何か?それは、これまでの行動や購買経験などのライフログをもとに、一人ひとりの趣向やライフスタイルを判断する「ペルソナ判別エンジン」、天気や街の混雑状況、一緒にいる人との関係性といった様々な環境や状況をもとに伝達すべき情報を選別する「リコメンドエンジン」だ。これが「感性」と「状況」にフィットする情報をタイムリーに届けることを可能するという。つまり「街→自分」だけでなく「街

→恋人→自分」など、「自分」に応じた最適なチャンネルを動的に選定することができる。

モノ消費からコト消費グランフロント大阪では、オープン

から一定期間、来街者のライフログを蓄積する。その後、ライフログから人物属性をペルソナとして判別し「人づて」のコミュニケーションを実現していくことを目指している。グランフロント大阪に入居するテナ

ント店にとっては、来街者に情報を提供する際に、「誰を」経由すれば来店率が上昇し、「誰と」一緒の時に購買につながるのか?といった綿密なマーケティング・リサーチとその結果に基づく有効な情報伝達モデルの特定が可能になる。それはつまり、来街者同士の人間

関係を加味した「口コミ」の連鎖で来店・購買が促進される、新しい情

報伝達のプロモーションが可能になることを意味している。同時にこれまで把握しにくかった、来街に至るまでの行動分析や購買に至るまでの行動分析も可能になる。蓄積したデータを商圏分析や顧客ロイヤリティ分析といったマーケティング分野に活用したり、街の運営事業者やテナントオーナーへフィードバックしてサービスの向上に活用することが容易になってくる。グランフロント大阪を訪れると、

+fooop!を通じて街中のデジタルサイネージで友人からのオススメ情報を受け取ったり、家族や恋人との思い出の場所をスマートフォンで仲間とシェアしたり、その日の天候や一緒にいる人との関係などの状況に応じてパーソナライズされたコンテンツを楽しんだりできる。そんな、街から人へ。そして人から人へとつながるリアルタイムなコミュニケーションを通じ、交流や発見などのコトを楽しめるソーシャル・シティが誕生する。

ひとりひとりの感性に届くソーシャルな街ってどんなもの?ソーシャルシティ プラットフォームのためのサービス「+fooop!」人と街の新しい関わり方から、新しい交流が始まります。

この春「グランフロント大阪」に世界初のソーシャル・シティが誕生。

ソーシャルシティ プラットフォーム

渡邉 信彦 氏電通国際情報サービス(iSiD) 執行役員オープンイノベーション研究所(イノラボ) 所長

Social City

×   イノラボ 街とツナガルモビリティ ×   イノラボ 街とツナガルモビリティ

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16 17Mar. 2013 Mar. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

自動車を取り巻く環境は大きく変わった。いつから欧州の自動車開発を追従するようになったのであろう? これまで、日本のモノづくりは「擦り合せ開発(インテグラル開発)」で強みを発揮し、90 年代半ば、欧州での「組み合わせ開発(モジュール開発)」を軽視したところから端を発している。欧州でのモジュール開発は、自動

車メーカーからサプライヤーへ組立作業(サブ・アッセンブリ工程)の移管だけでなく、新しい価値創造を生むことになった。それは、複雑化する車載システムのオープンイノベーションと標準化の重層アプローチである。モジュール部品による形式手法とモデリング技術による要素開発をオープンネットワークで供給するカタチへと発展し、欧州の標準化戦略はジリジリと日本を巻き込んでいく。

日本の新たな挑戦、 モデルベースの擦り合わせ開発機能ソフトウェアの標準団体

として 設 立 さ れ た AUTOSAR(AUTomot ive Open Sys tem ARchitecture)では、アーキテクチャの標準化(OSEK/VDX)やフォーマットの標準化(ASAM)との連

携、安全要件の標準化(HIS)を包括し、車載ソフトウェアの標準化が進められた。近年では、制御システムでの機能安全の国際基準として、ISO26262 がこうした欧州の標準化戦略の下、本格化している。しかし、ISO26262は日本のモノづくりの環境では、自動車メーカーとサプライヤーのプロセスの責任の曖昧さが障壁となり、うまく組込むことができていないのが現状である。こうした中でモデルベース開発は、

HILS(Hard In Loop System)などのリアルタイムシミュレーションによる検証ツール、制御理論開発におけるラピッドプロトタイピングでの傾向分析、量産コードの自動生成や自動テストによる自動化へと進化し、更にはV字プロセスのフロントローディング化による企画段階での具体的な開発コンセプトの決定やマルチフィジックス(複数の物理現象の錬成)でのエネルギーマネージメントを、システム全体のトレードオフで検討できるまでに発展してきた。従来のモノづくりにおいて、各部門

における要求実現だけを考えるとシステム全体の要件を達成させることが難しい。だからこそ、モデルベースによる“システム全体の要件がツナガル ”ことが重要であり、実は、ここに従来の日本の強みである「モデルベースで

の擦り合わせ開発」が新たなキーテクノロジーであると我々は考えている。

AZAPAの取り組みAZAPA は 2008 年の設立より、

「Model Based Design」(MBD) に着想し、大手自動車メーカーやサプライヤー、学会等との連携により、自動車開発における幅広い設計開発に対する取り組みや先駆的なモデルベース活用を考え、以下を取り組んできた。

①VHDL(Very high-speed integranted circuit Hardware Description Language)-AMSやmodelicaなどによるエネルギー保存則を考慮したシステム全体のモデル開発

②設計段階でのロバスト性を考慮した新しいモデルベース開発手法の研究

③CAE解析などの3Dシミュレーション技術と制御モデルの錬成シミュレーション

④学会でのモデルの流通に向けた技術課題調査の取り組み

このように、AZAPAはモデルベース開発の可能性を研究する「MBD Laboratory」として機能し、そのひとつひとつの可能性を成熟させる「MBD Planner」として世の中に発信し、特定のシミュレーションツールに縛られないツールフリーな立場でモデルベース開発のツナガルを実現する。

AZAPAは、モデルベース開発で抱える課題を「様々なツール間でのつながらないインターフェース」であると定義している。従来のモデルベース開発では、自動車メーカーであれば、機能システム単位、サプライヤーでは機能ユニットの単位で最適化していたが、これからは、車両全体での統合最適化が必要とされている。例えば、ある機能システムのFMEA(Failure

Mode and Effects Analysis)*1を最適化する場合、ECUなどの電子回路、走行や制動を行う制御理論、機能ユニットの機構とそれぞれ違うツールを統合しなければならない。このとき、あるツールのモデルの一部を他の

ツールへ組み込む、または統合することは、ツール間の違う言語インターフェースを同一ソルバで相互作用することのできる言語変換が必要であったり、高周波と低周波のサンプリング時間軸の違いを低周波変換することで同一時間軸にしたり、求められる設計思想や評価項目での違いをエネルギー変換することで同一単位基準としなければならないなど、統合最適化において克服すべき課題は多いのが現状だ。だからこそ、我々は統合最適化を実現するための「モデルゲートウェイ構想」を実現したいと考えている。また、統合最適化の環境を整える前提にお

いて、まずは機能システムの論理構造やソフ

トウェア構造をよく知ることが不可欠であるとも言える。AZAPAは、エンジン制御理論やソフトウェア構造の最適化、MBC(Model Based Calibration)などで実績があり、ここに他社に負けない優位性がある。

組織の枠組みを越えたプラットフォームを創る言語インターフェースの解決においては、

VHDL やmodelica などの共通言語対応など積極的にツールベンダーも進めているが、FMEAなど機能システムの安全要件を解決するには、多くの技術を融合できるプラットフォームが必要であると考えている。それは、「モデルゲートウェイ構想」で実現するインターフェースの接合だけではなく、機能システムを効果的に設計・評価する為のインターフェースの擦り合せが可能な、もっと大きな仕組みが必要だ。今後は組織の枠組みを越え、広く知識・技術を結集し、産学官連携や大企業とAZAPAのようなベンチャー企業による共同研究などが重要であり、こうした想いは、オープンイノベーション・システムへの構築へつながっていく。

従来の開発環境機能システム、機能ユニットでの最適化

AZAPAの目指す開発環境”FMEAのなど統合最適化”

モデルゲートウェイ FMEAの実現

サンプリングを低周波に合わせる

設計思想の違いをエネルギーで解決

低周波変換

エネルギー変換機能システム

(先進的運転支援システム)

電子回路電子回路

制御理論制御理論

機 構

同じソルバで相互作用させる

言語変換

マルチドメインシステムのイメージ

HVトランスアクスル

降圧コンバーター

高圧バッテリー

昇圧コンバーター

HV-ECU

MG-ECU

ECB-ECU

熱ドメイン新機能システム

運動(機械)ドメイン

電気ドメイン

モジュール開発によるそれぞれの分野での最適化が可能となり、欧州の強みが日本の擦り合わせ開発を抜いた。

日本の強みである擦り合わせをモデルベース開発に適用させることで、日本の優位性が強くなる。

*1 FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)

システムの重大事故や危険を未然に検出・防止するための検討事項を設計段階で列挙し、上位システムへの影響をランク付けする手法。サブシステムの単一故障が全体システムの信頼性・保全性・安全性に与える影響を解析、重要度に基づく優先順位を定め事前に対策するもの。広く改善活動で活用される。

インターフェースの違いを“ツナゲル” 「モデルゲートウェイ構想」

「Model Based Design」 イノベーションに“ツナガル”コンセプト

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力 誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

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18 Mar. 2013 Mar. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

AZMS(AZAPA Model-based development Suite ) はオープンイノベーション・システムであり、自動車開発におけるオープンかつ標準化されたアーキテクチャ( 設計思想・構造 )のデファクトスタンダードを目指したモデルベース開発の環境構築を「モデル・オープンファクトリー」として提供するものだ(右図)。名前の通り、自動車開発をするための様々なモデルをライブラリから集め、自由に組み立てができる仕組みを持つ工場だ。現状、モデルベース開発におい

て、日本の自動車メーカーとサプライヤー間でのモデル共有の積極的な実現スキームは構築できていない。これは、欧州の技術プラットフォームである ETP(European Technology Platforms)のような研究組合的な仕組みと比較すると、イノベーションを阻害する大きな壁があるように思える。だからこそ、AZMSでは自動車メーカーとサプライヤーが相互でモデルを提供できる、研究機関との連携が図れるプラットフォームを構築、提供したいと考えている。自動車メーカーは、車両全体のプ

ラントモデルや各機能システムの制御モデルをサプライヤーへ提供し、サプライヤーは、機能ユニットの部品モデルや特性データを提供することでモデル共有を実現する。提供するモデルは暗号化し、セキュアモデルとすることでモデル共有を相互で弊害なく実現できる。これにより自動車メーカーは、フロ

ントローディング化による企画段階からの具体的な開発コンセプトを実現し、開発プロセスの効率化を図ること

が可能となり、サプライヤーは、機能ユニット開発だけでは収束できない車両搭載時の公差を事前に検討することができるため、技術の深化を図ることが可能となる。具体的には、自動車メーカーのプラ

ントモデルと制御モデルを共有し、自社の機能ユニットに該当する部品モデルと特性データを差し替えるだけで、車両搭載した場合の評価モデルを簡単に構築することができる。これにより、機能ユニット単独での品質から、車両搭載時の品質へ技術を高めることが可能となるので、自動車メーカーにとってもメリットとなる。また、標準化モデルや仕様、ソース

コード、テスト情報などモデルベース開発に関する一元的なデータソースのリポジトリを構築することで、より自由度の高いモデル・オープンファクトリーを実現し、将来的には、研究機関やツールベンダ-、公募などによる自動車以外の技術を巻き込んだモデル流通を図りたいと考えている。

モデルベース開発を 支援するツールの提供

AZMSでは、モデルベース開発を支援する為の各種ツールが存在する。モデルベース開発におけるプラント

モデルなどのモデルライブラリを提供するAI-Models、モデル構造の見える化と最適化を実現するAI-Matrix、測定データから車両特性を最適化するAI-optDoEなどがあり、今後、続々とこうした支援ツールは拡充してゆく。また、誰でもモデルベース開発が可

能となるための教育サービス(モデルベース・アカデミー)も活用してほしい。

研究機関・ベンダ

連携

審査

公募

自動車メーカー

部品モデル+特性データ(部品登録)

制御モデル(提供)

機能ユニット技術の深化● 車両モデル+実験データ

フロントローディング化● 高機能モデル● 高精度モデル

モデル共有が可能になる

ライブラリ● 標準化モデル● 実験データ● 各種ツール

サプライヤー

AZAPAの「モデル・オープンファクトリー」

各種ツールは、以下の専用サイトからダウンロードし、1ヶ月無料でお使い頂けます。モデルベース開発における具体的な相談や教育なども積極的に対応致しますので、どうぞお気軽にご連絡下さい。

AZMSホームページ: http://www.azapa- business.com

市原 純一 氏 AZAPA株式会社 執行役員&モデルベース開発分野担当部長エンジン制御の理論開発や自動車全体のモデル構築に携わり、VHDLによるエネルギー効率による燃費シミュレーションなどの数多くのモデルベース開発に携わる。近年、欧州のツール戦略や設計思想の違いにおけるモデル結合など、モデルベース開発が抱える課題の解決に取り組む。今後は積極的に自動車技術会や電気学会での「モデル標準化ワーキング」によって、自動車メーカーとサプライヤー、ツールベンダーが共創できる活動を進め、AZAPAの自動車システムが理解できる「MBDプランナー」育成を通じ、自動車産業の発展に貢献したいと考えています。

AZMSによる「モデルオープンファクトリー」

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

http://www.azapa.co.jp/

技術力の高さ / 豊かな発想力 / 強い共感力

天才的なひらめきは、難しい事を理解して、なお挑戦できる勇気が必要である。

閃きは課題の積上げ、積層した想いである。その執着する想いは新たな閃きを与え、問題解決に向かってゆく。AZAPAはその想いの原点から共感し、新たな閃きを加え、更にカタチにする会社です。

AZP-UDiS

HighTECHNOLOGYCONCEPTTOUCH

Page 12: AZAPA Business Report

20 21Apr. 2013 Apr. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

自動車に電子制御が採用され、市場に普及してからはや40 年。1000 万行を超える制御ソフトの開発・テストは一筋縄ではいかない状況にある。その中、制御開発のフロントローディング、テスト工数の削減を求めて導入されたのが、モデルベースによる電子制御開発(制御MBD)である。モデルベースによる実行可能な仕様書は、読み手の誤解を防止し、ブロック線図を用いた制御モデルは、プログラムのコーディングスキルが無くても簡単に開発できる。その出力結果は試験装置など使わず自席で確認できる。コーディングにかけていた工数は不要になり、テストも自動化。開発は飛躍的に早くなり、品質向上も期待された。制御MBDの初期検討は順調に進み、劇的な効果をもたらした事例が多く報告されている。

制御MBDの基礎検討が完了に近づき、制御MBDの課題が次 と々浮き彫りになってきた。それは、実務者レベルでの仕様開発・テストが思ったほど効率化されないという現実であった。開発人員は、元 あ々る程度のプログラミングスキルを持っ

ており、構築の容易さによる工数削減効果はほとんど見えない。むしろブロック配置とその結線という単純作業の繰り返しは、開発者のモチベーションを下げてしまっているようだ。また、分かりやすい仕様書としての機能を制御モデルに

期待したが、階層をまたぐ事で思考分断がおきる。自然言語による情報の不足・参照の手間も相まって、制御モデル仕様書は分かりにくいという印象を受けているようだ。HILSテストや実車テスト、さらに完成車とするためには、

制御モデルはCコード化しなければならない。モデルの構築ルールは自動コード生成ツールに大きく影響を受け、上流開発であるはずのモデル構築は、Cコードにあわせた煩雑な作業を伴うようになってしまった。派生開発を中心とする自動車の電子制御開発では、市

場実績を積んだソフトウェアは非常に重要な資産である。それを捨ててゼロからMBDに移行するというのは現実的

ではない。結果、レガシーコードと機能一致する制御モデルの構築作業が行なわれるようになった。莫大な費用・工数がかかる反面、得られる制御モデル・Cコードの機能は、従来とかわらない。MBD推進者は、どこにメリットを見出すかに苦慮していた。夢のMBDは、まさに今産みの苦しみの中にある。

制御モデルの全体把握。 『AI-Matrix』の誕生

実務者の苦しみの一つ一つは、MBDを現状業務とマッチさせるためのギャップの顕在化した姿である。MBDの基礎検討に慣れた人材は、MBDの方が楽だと

感じ、他業務にも広げたいと考えている。しかし、従来開発で熟練した人材は、MBDの良さは理解しつつも、実情では従来開発の方がよっぽど楽だ、と感じている。すでに身についたものを超えるには、具体的に作業者の手間を減らす工夫が必要であり、MBDのプロセス自体も、実情に合わせるためには姿を変えていく必要がある。AZMSは、この「マッチング」をひとつのテーマとして、制御MBD推進の取り組みを行なっている。

従来開発とMBDで、実務者が最初に触れるギャップは、読み解きの対象が異なることである。従来は自然言語による仕様書とCコードであったが、MBDでは制御モデルが読み解き対象になる。内容理解や、読み解きの工夫が積み重ねられている従来

にくらべ、制御モデルは全体把握に向かない一面をもつ。MBDに不利な要素がある中、従来よりも楽に解析をするにはこのギャップを超える工夫が必要であった。AZAPAはDSM(Design Structure Matrix)を利用したモデル構造解析ツール「AI-Matrix」開発し、その困難へのひとつの答えを示している。

派生開発において特に重要になるのが、標準化されたベース仕様の理解である。それは全体概要だけでなく、ひとつ

のインターフェースレベルでの理解が必要になり、対象の情報量は莫大なものとなる。故に、制御開発においては経験や記憶力がものをいうが、情報を簡単に調べられる「MBDならでは」の仕組みができれば、開発者の手間は大幅に削減できるはずだ。AI-Matrix では、各インターフェー

スを起点とした算出経路・影響先探索機能を搭載しており、いつでも任意の情報を抽出する事ができる。表現方法も、データフロー図、DSM、該当するモデルブロックの点滅など、理解しやすいような工夫を凝らしている。演算子もブロックとして存在している制御モデルでは、AI-Matrixによる抽出情報のみでもかなりの内容を理解できるようになった。

レガシーコードを 円滑にモデル化したい従来の開発に慣れた実務者は仕様

書やコードを書くように、もっと円滑に仕事がしたいと感じているようだ。手打ちのコードやコピー&ペースト

した部分的レガシーコードを自動的にモデルに変換すれば、構築作業を効率化できるのではないか。実作業のノウハウをもとに開発したモデル構築補助ツールは、最大 42%の工数削減を達成した。このツールは、AI-AutoModeling(仮)として近日発売予定である。制御モデル開発で、困る事はなに

か?と担当者に尋ねた事がある。そのときの答えは、「細かいルールがたく

さんあるが、それを準拠させるのも、準拠を確認するのも非常に手間である」というものだった。そこでAI-AutoModeling ( 仮)では、Topレイヤ・トリガレイヤ・データフローレイヤのような構造フォーマットやブロック色・サイズ・プロパティなどを自動設定する機能を搭載した。これらの機能により、主要な制御ロジックを構築すれば、ボタンひとつでルールに準拠した制御モデルが生成出来るようになった。この機能は、各社ルールへの準拠が前提のため、カスタマイズ要件としてサービスを展開している。

複雑な制御の再構築を提案したい何百人もの手によって派生開発を

繰り返したコードは、複雑な構造となっている。ややこしい、作り直したいと思っていても、今まで積んできた実績をリセットするのはリスクの高い選択である。再構築するためには、

いかにひどい構造であり、どのように作り変えれば良くなるかを具体的に提示する必要がある。しかし、限られた工数の中、その提案は事実上不可能である。なぜなら汎用的な「良いモデル構造」の定義は未だ定まっていないからである。 「簡単に見える化できて、工学的裏づけのある方法で新構造が提案できたら…」AI-Matrixは、アドオンツール C-Dependency Extractorとの組み合わせで、Cコードの構造解析を実施でき、指標「Modularity」を基準としたクラスタリング手法を中心に、新構造を提案し、再構築のための裏づけ情報を提供する。

PS S

PS S

PS S

S PS

PS S

PS SPS S

f(x)=0

SO

AP Memory

Brake Model

Vehicle Speed

Wheel_&_Axle_Model

Gear_Model

Vehicle_Model

Moter_Model

Consumption [Wh/Km]

Vehicle Speed

Brake Coef

BrakePedalPercent

PS Gain

TorpDemand

VoltDemand

ECU_Model

Driver Model

SOC

BatCurrent

BatVoltage

SolverConfigurationBattery_Model

DCDC_Converter_Model

ClockTarget_Velocity

PS S

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AZMS開発マネージャー 筑紫 晴久 氏エンジン制御開発の経験を中心に、 システムアーキテクチャに関する業務に従事。自社ツール開発の指揮をとる。

AZMS 開発プロセスの効率化とMBDソリューション

“実務者の願い”を叶える 制御MBD効率化ツール群

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力 誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

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Page 13: AZAPA Business Report

22 23Apr. 2013 Apr. 2013AZAPA BUSINESS REPORT vol.1 AZAPA BUSINESS REPORT vol.1

制御 MBDを真に魅力的なものとするためには、MBDならではの効率的な仕組みが必要である。制御MBDの主な利点は、仕様理解の容易さ・構築の容易さ・テストの容易さなどがうたわれているが、AZAPAはここに「構造変更の容易さ」を加えようとしている。構造の良し悪しは、実に測定の困

難なものである。しかし確実に、可読性の悪さやシミュレーションの実行時間、テストパターン数などあらゆる面で見えないムダ工数を生んでいる。そのような構造の再構築に開発者が二の足を踏むのは、どう変えたらいいのか分からない、構築に莫大な工数がかかる、その結果が見えにくい、そして今までの実績がリセットされる等の為である。この壁を打ち壊すべく、AZAPAは制御モデルの最適構造定義とモデル自動変換機能を研究している。ここでは、モデル構造自動再構築の手法について解説する。

新しい開発プロセスの定着を目指して制御MBDは、自動車の電子制御

開発に対して、革新的な要素になり得るものである。しかし、実務上の問題によってそのあり方がゆがめられるようでは、真の効果は得られないだろ

う。また逆に、理想論ばかりでは開発実務者は苦しむばかりである。このギャップを埋めるのが AZMSツール群であり、開発プロセスのあるべき姿を見据えるAZMSの役割である。AZMSは、上図にあるように、従

来の制御開発プロセスに対し新たな工程「構造評価・再構成」の導入を提唱している。

モデル構造自動再構築の手法

構造解析に適した手法 「Design Structure Matrix」

カリフォルニア州立大学名誉教授 ドナルド・スチュワード氏が考案した開発プロセスの分析手法「DSM(Design Structure Matrix)」は、開発プロセスに留まらず、ソフトウェア構造の最適化にも用いられ、様々なアルゴリズムが研究されている。全体俯瞰・詳細表示の両方を兼ね備えた高い可読性、アルゴリズム適用の容易さから、この手法を中心に構造最適化の研究を進めている。

パーティショニング -フィードバックマークを最小化する

DSMの右上の領域をフィードバックマークと呼び、ここに存在するマークは前回値参照やフィードバックループを表す。パーテショニングは、ブロック順序を並び替え、不要な前回値参照を無くし、フィードバックループの径を最小化するアルゴリズムである。マークのある箇所はひとつのグループとして区切り、関係の近いブロック同士は出来るだけ近くに集めていく。

算出経路探索 -機能構成を分析する

機能グループを定義するため、AI-Matrixでは出力インターフェースをキーにした算出経路探索アルゴリズムを用いている。キーとしたインターフェースの計算要素をまとめ、ひとつの機能グループとしている。複数のインターフェースに適用すれば、個別処理、共通処理を明確化する事ができる。

追い求めるべき 「良いモデル構造」の定義

モデル構 造は JMAAB(Japan Matlab Automotive. Advisory Board)ガイドライン規定があるものの、各製品に応じた「良いモデル構造」は、各社独自のルールや開発担当者マターで定義されているのが現状である。AZAPAでは、良いモデル構造の指標のひとつとしてModularityを

用いたクラスタリングを適用しているが、それ自体の精度問題だけでは真の答えは見つからないと考えている。各社の開発文化やモデルの用途・規模に対し、「ベストな指標は何か?」を評価し続けることが重要である。現時点で良いモデル構造の是非は検討の域を出ていないが、最も重要な事は、開発担当者が良いモデル構造を意識する事だと考え、活動を進めている。AZMSは大手メーカーと連携し、

制御MBDの推進・定着の効率的な手法を模索している。DSMツールAI-Matrix は共同特許申請をすすめており、将来的には制御モデルの構造品質安定化ツールとしてのデファクトスタンダードを目指していく。紹介したツール以外にも、開発実務者の視点から開発したツールが続 と々登場予定である。是非下記AZMSホームページをご訪問いただきたい。

モデル自動生成 -作り直しの手間をなくす

制御モデル再構築における最大のネックは、モデル構築の実工数だ。元のモデル情報から、構造のみを変えて構築するため、プロパティなどの再設定は不要。ここから、Simulink Design Verifier 等のテストパターン自動生成ツールを用いて元のモデルとの機能一致を確認し、モデル再構築は完了となる。

クラスタリング -サブシステム構成を定義する

AI-Matrix は、指標「Modularity」を元に、内部の関係性は密に、相互の関係性は疎になるサブシステム構成を定義する。複数種のクラスタリングアルゴリズムを搭載し、対象に応じた最適な制御モデル構造を提案する事ができる。

A A

A

BB

A

B

B A B

1

1

1 1

1

1,2,... と順番をつけると、←は逆向き

2

1 2

1

2

右上の  ゾーン=フィードバックマーク

演算順序

演算順序1 2 3 4

1234

ABCD

B

1

C D

1

A

1

A D

BC

演算順序

演算順序1 2 3 4

1234

ADBC

D

1

B C

1

A

1

AD

BC

A

B

C

DE

GI

H

ABCDEFGHI

1 11

11 1111

A B C D E F G H I

A B C E D F H G I

F

起点 2

共通処理

起点 1

A

B

C

DE

GI

HF

ABCEDFHGI

1 11

1

1 1

11

1

ABCDEFGHI

1 11

11 1111

A B C D E F G H I

A

B

C

D

G I

HF

E

理解する

仕様追加・変更

構造評価・再構成

Simulink 実行テスト

オートコード

HILS/SILS/ 実証テスト

レビュー

個別仕様

標準仕様

Simulinkでの制御開発プロセス(派生開発)

AZMSでの制御開発プロセス

解析補助機能

構造自動最適化機能

テスト効率化機能

オートコード効率化機能

テスト効率化機能

ドキュメント管理機能

C→モデル自動生成機能

MATLAB®/Simulink®Simulink Design Verifier

※MATLAB/Simulinkは米国MathWorks,Inc. の登録商標です。

ランダムよりも規則性のある方が、グループ内のエッジが多い

エッジ数:3

エッジ数:9

規則性有りモジュラリティQ:高

ランダムモジュラリティQ:低

エッジ数:2

エッジ数:7

DSMによる構造再構築元モデル

新モデル

「複雑化したモデルを一度フラットにし、構造を再定義する」基本コンセプトは非常にシンプルだ。

簡単なDSMの例。 フィードバックマークは構造改善のキーとなる。

並 び 替 えにより、フ ィ ー ド バ ッ クマークを最 小 化。 残るものはグループでくくる。

算出経路を基準としたグルーピングにより、機能的意味を持ったグループが構成される。

AZMS の 各 種 ツ ー ル は、 下 記の専 用サイトからダウンロードし、1ヶ月無料でお使い頂けます。 モデルベース開発における具体的な相談や教育なども積極的に対応致します。 どうぞお気軽にご連絡下さい。

AZMSホームページ : http://www.azapa-business.com

AZMSに関するお問い合わせ先 : [email protected]

AZMSは、MSD定着のため、各工程の補助ツールを開発している。将来的には、全工程に渡るサービスを構築し、提供する予定。

開発者個々に依存しない、一意のグループを定義する。

近日中に発売予定のモデル構築補助ツール『AI-AutoModeling』

AI-Matrixアドオンツール『C-Dependency Extractor』

Cコードから変数・関数とその依存関係を抽出する

制御モデル構造を自動で作り変えるという挑戦

誇れるのは高度な技術と豊かな発想力 誇れるのは高度な技術と豊かな発想力

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