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単細胞緑藻 Chlamydomonas reinhardtii における RNAi 関連遺伝子の同定 Identification of genes that related to RNAi in Chlamydomonas reinhardtii 物質・環境システムコース 石川 靖子

単細胞緑藻 Chlamydomonas reinhardtii における 細胞緑藻で2本鎖RNAの強制発現によるRNA silencing の報告さえなかった。しかし、 我々の研究室では、既にRNAiを引き起こしたChlamydomonas株の作出に成功している

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単細胞緑藻 Chlamydomonas reinhardtiiにおけるRNAi関連遺伝子の同定

Identification of genes that related to RNAi in Chlamydomonas

reinhardtii

物質・環境システムコース   石川 靖子

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目次

目次          p.2

要旨          p.3~4

序論 p.5~6

材料と方法 p.6~17

結果 p.17~20

考察 p.20~22

謝辞 p.22

         参考文献 p.22~25

         図表 p.26~32

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[要旨]

 細胞質内で2本鎖 RNA(double strand RNA : dsRNA)のハイブリッド部分と相同な塩基配

列を持つ 1 本鎖 RNA を特異的に分解する機構は、ほぼ全ての真核生物が共通して持って

いる核酸レベルでの免疫システムである。この機構は、ヒト細胞や線虫、ショウジョウバ

エ、細胞性粘菌、アカパンカビ、シロイヌナズナなどで RNAiとして知られている。また、

多細胞真核生物は 200 以上の microRNA と呼ばれる内在性遺伝子に相同な配列を持つ2本

鎖 RNAをゲノムにコードしており、発生、分化のある時期のみに転写することによって、

同じような経路を経て、内在遺伝子の発現を調節していることも分かってきた。

1998 年に発見された RNAi は哺乳類でも応用できることが分かってから、すさまじい早

さで研究がなされている。そうした中での RNAi の中核となる反応である、2本鎖 RNA の

プロセス、mRNAの破壊を直接担うような遺伝子としては、Dicer, 、RNA 依存 RNA ポ

リメラーゼ、argonaute family, RNA へリカーゼなどが様々な生物種で共通して同定され

てきている。しかし RNAi に関する様々なアクセサリータンパクや、RNAi を使った寄生因

子に対するシステムなどには、生物間でかなりのバリエーションが存在することも分かっ

てきている。

そこで本研究では外来遺伝子に人為的に RNAi を誘発させた単細胞緑藻クラミドモナス

の株を用いて、他の生物種でも共通して RNAi に関与している遺伝子と共にクラミドモナ

ス特有に働く遺伝子も同定することを目的とした。

今回、スペクチノマイシン耐性賦与遺伝子 aadA が導入され、安定的なスペクチノマイ

シン耐性となった株に aadA の配列を持った2本鎖 RNA を転写するよう設計した RNAi 誘

起コンストラクト(RbcS2 プロモーター::aadA::イントロン::アンチセンス aadA::RbcS2

ターミネーター)を 2 次的に導入することにより、aadA に対する RNAi が誘起されてスペ

クチノマイシン耐性の低下した株を使用した。

関連する遺伝子を同定するため、RNAiのかかった株のゲノムに無作為に Tagとなる DNA

断片を導入し、スペクチノマイシン耐性能の回復した株を作出した。次に薬剤耐性能の回

復した株は Tag の挿入により関連遺伝子が破壊された、RNAi が解除されたものとし、Tag

前後のゲノム配列を TAIL-RCR によって調べ、データベースと比較することによって破壊

された RNAi 関連遺伝子と考えられるものを決定する手法をとった。実際には Tag となる

DNA 断片の導入効率は非常に低いため、パラモマイシン耐性賦与遺伝子 aphVIII を持つプ

ラスミドを Tag として導入し、パラモマイシン耐性になったものを Tag の導入されたもの

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とした。

パラモマイシン耐性となった形質転換体 3000 株のうちスペクチノマイシン耐性能がR

NAiを誘起する前のレベルまでほぼ復活した株は24株であった。しかしまた決定した

ものが本当に RNAi に関連するものかどうか、破壊される前のものを再び導入することに

よって、aadAに対する RNAiをレスキューすることが最終的に必要となってくる。よって、

導入した Tag はゲノム中に1つであることが望ましい。この条件を満たしたのは最終的に

6株であった。RNAi 誘起コンストラクトが抜け落ち、2本鎖 RNA が転写されなくなった

ために RNAiが誘起されず、スペクチノマイシン耐性を示したものは4株あった。

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[序論]

RNA interference(RNAi)はウイルスなどの外から侵入してくる因子やトランスポゾン

などの可動遺伝因子などの発現を核酸レベルで抑制する事により細胞を守る機構としてほ

ぼ全ての真核生物が共通して持っている核酸レベルでの免疫システムである。これらのメ

カニズムはヒトなどの脊椎動物、線虫やショウジョウバエなどの無脊椎動物、シロイヌナ

ズナをはじめとする陸上植物、アカパンカビ、分裂酵母、細胞性粘菌など、広い範囲の真

核生物にわずかずつ機能を変化させて保存されている。(Cogoni C and Macino G. 2000;

Carthew RW. 2001: Vaucheret H et al., 2001; Martens H et al., 2002; Cerutti H. 2003;

Raponi M and Arndt GM. 2003)

真核生物の細胞質内には通常長鎖の二本鎖 RNA は存在しない。そのために二本鎖 RNA

の出現するとその発現を抑制するための機構が誘起される。二本鎖 RNA はまず、二本鎖

RNA を特異的に切断する RNaseⅢ様の活性を持つショウジョウバエでは DICER と呼ばれ

るタンパクの複合体によって約 21 塩基長の short interfering RNA (siRNA)に分解される。

通常 siRNA は 3’末端が 2 塩基突出している2本鎖構造をとることが知られている。

(Zamore PD et al., 2000; Elbashir SM et al., 2001)

siRNAは endonuclease 活性をもつ RNA-Induced Silencing Complex (RISC)と呼ばれる

タンパク複合体にどちらか一方のストランドのみが取り込まれる(Hammond SM et al.,

2000)。Endoribonuclease 活性をもつ RISC に siRNA が取り込まれた RISC-siRNA の複合

体は、siRNA の相補鎖 mRNA に塩基配列特異的にハイブリダイズし、siRNA の中央部分

で相補鎖 mRNA のみが切断される。配列特異性は非常に高く、21 塩基中わずか数個のミ

スマッチにより、効果はほとんど得られなくなる。標的mRNA の切断サイトは siRNA の

5’末端側から 10~11 塩基のところであり、siRNA により厳密に制御されている。(Elbachir

SM et al.,2001) mRNAの切断により、siRNA と完全に一致する塩基配列を内部に持つ

mRNAの機能は失われる。(Elbashir SM et al., 2001; Martinez J et al., 2002)このステッ

プに関する遺伝子として Argonaute ファミリー遺伝子(ZAP/PIWI ドメインを共通して持

つ)や、dsRNA 結合ドメインを持つ遺伝子、RNA helicase 等が同定され、RISC に関連し

ていることから示唆されている(Fagard M et al., 2000; Dalmay T et al., 2001; Morel JB et

al., 2002; Tabara H et al., 2002)。

様々な生物種で関連遺伝子の同定が進んでいる中、Chlamydomonas をはじめとする単

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細胞緑藻で2本鎖 RNA の強制発現による RNA silencing の報告さえなかった。しかし、

我々の研究室では、既に RNAi を引き起こした Chlamydomonas 株の作出に成功している

(山崎 朋人, 2004)。この RNAi の誘起された Chlamydomonas は Spectinomycin 耐性を

賦与する外来遺伝子 aadA が安定に転写、翻訳されている C. reinhardtii、19-P(1030)に対

し(Cerutti H et al., 1997(a); Cerutti H et al., 1997(b))、aadAが inverted repeat位に配置

された(Smith NA et al., 2000; Singh S et al., 2000)DNAコンストラクトをボンバード

メント法により導入することにより、人為的に RNAi が誘起されている(RNAi-37)。この

RNAi-37 株を利用して Chlamydomonas における RNAi 関連遺伝子を同定しようというの

が本研究の試みである。Chlamydomonas を用いる理由として、RNAi の誘起された株が在

ること以外に、Chlamydomonas は通常1倍体で存在するため、変異体の単離が容易であ

るということ、全ゲノム配列がほぼ決定されており、EST ならびにゲノムライブラリが整

備されていることなどが挙げられる。

RNAi-37 株を利用して、DNA 断片を無作為に導入することにより、外来遺伝子の発現抑

制に関与している遺伝子を破壊し、RNAi に関与した遺伝子を決定する。この実験により

真核生物に共通して見られる Diser , Argonauteファミリー, RNA helicase等の遺伝子だけ

でなく、クラミドモナス特有に働く遺伝子の同定できると考えられる。

Chlamydomonas における関連遺伝子を同定することは、RNAi の仕組みやプロセスの全

様解明に一役買うだけでなく、さらに Chlamydomonas においてこのような外来遺伝子の

発現抑制に関与している遺伝子を破壊することにより、外来遺伝子を容易に受容し、なお

且つタンパク生産能が低下していない株が作出できるようになると期待できる。

[材料と方法]

Chlamydomonas reinhardtii株

 野生型の C. reinhardtii mt- (cc-124)に P-(1030)カセット(図1 .a)が導入される事で

spectinomycin 耐性株へと形質転換された 19-P(1030)株と高頻度で接合する cc-620(mt+)、

cc-621(mt-)は Chlamydomonas Genetic Center(c/o Dr. Elizabeth H. Harris, Department of

Botany Duke University Durham, North Carolina 27706, USA) より譲り受けたものである。

 RNAi 37 株は 19-P(1030)株に RNAi 誘導コンストラクト(図1.b)を導入したことによ

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り人為的に RNAi が誘発され、spectinomycin 耐性が低下した株であり、本研究室の山崎朋

人さんより分与して頂いた。

 

培養条件

使用した株は全て TAP 培地(Tris-Acetate-Phosphate 培地)で培養した。液体培養する場

合は TAP 培地に終濃度 100 _ /ml になるように ampicillin を添加し、25℃、5000lux(24

時間)の条件で静置、或いは振とう培養を行った。TAP 寒天培地上で培養、および薬剤を

添加した選択寒天培地でセレクションをする場合は 25℃、2500lux、16 時間:8 時間 (明:

暗)の条件で静置培養した。寒天培地は終濃度 1%の寒天で固めてあり、液体の場合と同様

に終濃度 100 _ /ml の ampicillin(Wako)を添加した。寒天培地に paromomycin(Wako)、

spectinomycin(sigma)、Zeocin(Invitrogen)を入れる場合には ampicillinを添加しなかった。

Plasmid

Tag として使用した pSI103⊿NotI(図1.c)は paromomycin 耐性を賦与する aphVIII 遺

伝子を持つ plasmid(Sizova I, Fuhrmann M, Hegemann P. 2001 Oct 17;277(1-2):221-9.)

で Institut für Biochemie I, Universität Regensburgより分与していただいた。

形質転換と形質転換体の選抜方法

 

形質転換の前処理

ガメトライシンの調整

ガメトライシンは mt+株と mt-株との接合時に放出される細胞壁溶解酵素()である。高

効率で接合する cc-620(mt+)、cc-621(mt-)を用いてガメトライシンの抽出を行った。

TAP 培地により定常期直前まで培養した cc-620(mt+)、cc-621(mt-)をそれぞれ遠心し、

ペレット状にした。ペレット状になった細胞に元の TAP 培地の4倍量の N-FreeTAP 培地

を入れ 24時間振とう培養すし、配偶子へと誘導させた。3000rpm(HITACHI himac CF15D2)

で遠心した後、培地を全て除き、1/5 倍量の N-FreeTAP 培地で再び細胞を懸濁する。これ

らを底の広い三角フラスコ内で混合しガメトライシンを放出させ、接合させた。充分量の

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ガメトライシンが得られるまで 25℃、2500lux、で一晩静置した。その後混合液を 8,000rpm

で 20 分間遠心し細胞を除いた。細胞を除いた液を 1ml、定常期まで培養したクラミドモナ

スを 4ml遠心しペレット状になったものに加え、60分間静置しプロトプラスト化した。60

分後、この溶液 250μℓを、1ml の 0.075% tritonX-100 と5mMEDTA を含む溶液に加え、

5-10 秒間ボルテックスした。これを顕微鏡で観察し、全ての細胞が壊れ、且つ 5000rpm

で 20sec 遠心しても細胞の沈殿が見られないことが確認できた時使用した上清をガメトラ

イシン溶液として利用した。採取したものは 50ml のコニカルチューブに分注し、-30℃で

冷凍保存した。

1×106Cell/ml の濃度になるまで培養した C. reinhardtii RNAi37 株を遠心し、ペレット

状になった細胞に、1/10 量のガメトライシン溶液を入れ、60 分間室温で置くことで細胞

壁を融解した。

形質転換

RNAi37 株への形質転換はガラスビーズ法によって行った。ガラスビーズ法は微細なガ

ラスビーズにより細胞膜に物理的に穴を空けそこから DNA断片を導入させる方法である。

直径 0.5mm のガラスビーズ(Thomas scientific)を濃硫酸で洗浄し、180℃で乾熱滅菌した

後、0.3gずつ 15mlのコニカルチューブに入れ保存した。

ガメトライシンによって、プロトプラスト化した細胞を TAP 培地2度洗浄しガメトライ

シンを洗い流した。TAP 培地で108Cell/ml になるように調整した細胞を 300μℓ、20%

polyethylenglycol(6000)を 100μℓ、ガラスビーズの入ったコニカルチューブに入れた。さ

らに制限酵素 NotI(Takara)で完全に消化した 0.4~0.5μg/ml の pSI103⊿NotI を 2.5~2μ

ℓ(1μg分)加え、Voltex で 15~20 秒攪拌する。その後、2ml のエッペンチューブに移

し変え、TAP 培地で 2 回洗浄することにより細胞毒性のある PEG を洗い流した。2ml の

TAP培地で 25℃、2500lux、16:8 (light:dark)に 24 時間静置し、APHVIII タンパクの発現を

待った。その後終濃度 10μg/mlになるよう parompmycinを添加した TAP寒天培地に撒き、

1週間程度、静置培養しコロニーを形成させて形質転換体を選抜した。

スポットテストによる RNAi解除株、促進株の選別

10μg/ml の parompmycin を添加した寒天 TAP 培地上でコロニーとして出てきた形質転

換体を 24穴タイタープレートに1mlずつ分注した TAP培地に入れ、定常期まで培養した。

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形質転換前の RNAi37株、そして RNAiが誘発される前の 19-P(1030)株も同様に培養した。

定常期になったそれぞれの形質転換株は液体培地中での細胞濃度が同じものとし、この液

を、96 穴タイタープレートを用いて 1/10 の濃度に TAP 液体培地を用いて希釈する。薄め

たものをそれぞれ 7 _ ずつ、100 _ /mlの ampicillin、60・100・300 _ /mlの spectinomycin、

10 _ /ml の Zeocin、それぞれを添加した TAP 寒天培地に滴下して静置し、2 週間寒天培地

上で成長する株のスポットごとの成長速度の違いを観察した。

Chlamydomonasからの核酸の調製

核酸の測定

調製した DNA、RNA はすべて SPECTROPHOTOMETER DU Series 600 (BECKMAN)

を用いて OD を測定、水溶液中の核酸の濃度を決定した。細胞の培養はすべて TAP 培地を

用いた。

Chlamydomonasのトータル DNAの調整

TAP 液体培地で対数増殖期まで増やした細胞を遠心沈殿して細胞のペレットを作り、最

初のTAP液体培地と同じ量のTENバッファー(10 mM Tris-HCl pH 8.0, 10 mM EDTA pH 8.0,

150 mM NaCl)でペレットを溶かし細胞を洗った。再び遠心してペレットを作り最初の TAP

液体培地の 1/100 量の Digestion buffer(100mM Tris-HCl pH8.0, 100mM EDTA pH8.0,

250mM NaCl, 0.5% SDS, 0.5% Sodium N-Dodecanoylsarcosinate)で懸濁した。顕微鏡を

使ってほとんどの細胞の細胞壁が破壊されていることを確認した後、終濃度が 0.2%とな

るようにβ-メルカプトエタノール(Wako)を入れてゆっくり混ぜ、続いて終濃度が 100 _ /ml

となるように Proteinase K (Boehringer Mannheim)を入れ、60℃のウォーターバスで 1 時

間インキュベートした。その後、インキュベートした液と等量の中性フェノール/クロロホ

ルム/イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を入れ、室温でゆっくり 1 時間振とうした。

振とう後、遠心分離により有機溶媒層と水層に分け、採取した水層に等量のクロロホルム/

イソアミルアルコール(24:1)溶液を入れ、再び 1 時間ゆっくり振とうした。振とう後、

再び遠心分離により水層を分け、水層に1/7量の5M NaClとCTAB/NaCl solution(10%CTAB,

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0.7M NaCl)を加えて最終濃度が 1% (w/v) CTAB-0.7M NaClとなるようにした。それに等量

のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)溶液を加えて再びよく混ぜた後遠心分離し、

水層に残っていたタンパクと多糖類を取り除いた。分離後に水層を取り、等量の CTAB

precipitation buffer (1% (w/v) CTAB, 50 mM Tris-HCl pH 8.0, 10 mM EDTA pH 8.0)を入れ、

よく混ぜて 65℃で 1 時間インキュベートすることにより核酸と CTAB を結合させた。こ

れを緩やかに遠心して沈殿させ、沈殿以外の液を捨てた。沈殿を 500μlの high salt TE buffer

(10 mM Tris-HCl pH 8.0, 0.1 mM EDTA pH 8.0, 1 M NaCl )に溶解して核酸から CTABを

はずし、不要な RNAを除くために終濃度 10ng/mlの RNase Aを入れ、56℃で 2時間イン

キュベートした。この後、-30℃に冷却した 100%エタノールを2倍量入れ、緩やかに混ぜ、

-30℃に 1 時間おいた。これを緩やかに遠心沈殿させ、エタノール液を捨てた。沈殿させ

て得たトータル DNA を 70%エタノールで2回以上洗って NaCl を完全に取り除いた後、

風乾させて DNA のペレットを得た。このペレットに 1/10TE を入れ、4℃に静置して DNA

を溶解させ、トータル DNAを調製した。

トータル RNAの調製

TAP 液体培地で対数増殖期中期まで育てた細胞を遠心沈殿して集藻し、そこに培養に使

った TAP液体培地の 1/10量の TRIzol Reagent (Invitrogen)を入れ、添付されている説明書

に書かれているプロトコールにしたがってトータル RNAを調整した。

サザンブロッティング

DIGラベルされた DNAプローブの作製

 aadA、AphVIII、hsp70A、pBluescriptIISK(-)vector に対して特異的にハイブリダイズす

る DIGラベル DNAプローブを、TAKARA Ex TaqTM(Takara)と Digoxigenin -11-2’ -deoxy-

uridine-5’- triphosphate, alkali-labile(boehringer)を使って作製した。各反応液は鋳型 DNA

100pg、10×PCR buffer 5μℓ、プライマー2μℓずつ、2.5mM dNTPMixture 3.5μℓ、

DIG-dUTP 1.5μℓ、Ex Taq 0.5unit を含み、滅菌水で 50μℓになるよう調節した。PCR

反応の温度設定、サイクル数、各ステップの時間などは [95 ℃(2 min)→{95 ℃(10 sec)→

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50~62 ℃(30 sec)→72℃(2min)}×30 サイクル→72℃(2min)→4℃(∞)]とした。各プローブ

を作製するのに使用した鋳型となる DNA、プライマー、PCR サイクル中のアニーリング

温度は以下の通りである。aadA は、p-679 プラスミドを鋳型 DNA として、プライマーは

[aadA/probe/F 5’-CAGTGATATTGATTTGCTGGTTA-3’] と [aadA/probe/R 5’-

TGGACAAATTCTTCCAACTGAT-3’]を用い、アニーリング温度 50℃でラベリングを行った。

AphVIII、hsp70A、pBlueIIvector は pSI103⊿NotI プラスミドを鋳型 DNA として、AphVIII

は [AphVIII/F2 5’-CCTGGTTGGTCACCGAAGCG-3’] と [AphVIII/R2 5’-

TCCCTTCAGCGACAGCACGG-3’]のプライマーを用い、アニーリング温度 62℃でラベリ

ングを行った。hsp70A は[hsp70A/F 5’-AGGCTTGACATGATTGGTGC-3’]と[hsp70A/R 5’-

GGGATCTTAAGCTAGCTGAG-3’]プライマーを用い、アニーリング温度 62℃でラベリン

グを行った。pBluescriptIISK(-)vector は[pBlueII/F 5’-TAGTGCTTTACGGCACCTCG-3’]と

[pBlueII/R 5’-CGCAGCCTGAATGGCGAATG-3’]を用い、アニーリング温度 62℃でラベリ

ングを行った。このラベリングで、aadAプローブは、ORFのほとんどをカバーする約 600bp

を、AphVIII は ORF の 3’側の約 200bp をカバーする。hsp70A、pBluescriptIISK(-)vector

は約 250bpをカバーする。(図1)

それぞれの増幅産物は 0.8 %アガロースを用いた電気泳動により、分子量が約 1.5 倍に

なっている事で DIG-dUTPの取り込みを確認し、これを DNAプローブとした。

ハイブリダイゼーション用のメンブレンの作製

 

解析する各株のトータル DNA を 10 _ 分用意し、それに対して 50 U の制限酵素を用い

て DNA を完全分解した。一部を 0.8%アガロースゲルで電気泳動し、トータル DNA の分

子量の低下を確認した後、制限酵素の失活と除タンパクを兼ねて中性フェノールで処理し、

エタノール沈殿して得た DNA を 20 _ の滅菌超純水にとかし、サザンブロッティング用の

DNAとした。分子量マーカーとして DNA molecular weight marker Ⅱ, digoxigenin-labeled

(Roche)5_ を、電気泳動層として HorizonTM 11・14 Gel Electrophoresis Apparatus (Life

Technologies, INC.)を用い、TAE バッファーに浸した1%アガロースゲル(コウムの厚さ

2mm、14-tooth、ゲル厚 3.5mm)を用いて4℃のコールドルームにおいて 30V で 12 時間

電気泳動した。

電気泳動が終わったら、ゲルの 10 倍の容量のアルカリトランスファーバッファー(0.4M

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NaOH, 1M NaCl)の入った容器にゲルを移し入れ、ゲルが十分浸るようにして室温で 10 分

インキュベートし、さらに別の新しいアルカリトランスファーバッファーと交換し室温で

15 分インキュベートすることで、ゲル中の DNA を1本鎖化した。ゲルを十分に処理した

後、同じくアルカリトランスファーバッファーを使ったキャピラリーブロットによってア

ガロースゲル中の DNA をポジティブチャージナイロンメンブレン Hybond-N+ (Amersham

Bioscience)に 16 hrかけてトランスファーした。ろ紙は 3MM CHR (Whatman)を使用した。

ハイブリダイゼーション

メンブレンをハイブリ・バッグ(コスモバイオ)に入れてウォーターバス中であらかじめ

38 ℃に暖めておいた SDS ハイブリダイゼーションバッファー(7 % SDS, 50 % 脱イオン

化フォルムアミド , 5×SSC, 0.1 % Sodium N-Dodecanoylsarcosinate, 2 % Blocking

reagent)に入れて封をし、38℃のウォーターバス中で 30 分プレハイブリダイゼーションを

行った。DIG ラベルされた DNA プローブは、サーマルサイクラーを使って 95 ℃で5分

熱変性してから直ちに氷上で急冷し、プローブを 1 本鎖化した。プレハイブリダイゼーシ

ョン後、SDS ハイブリダイゼーションバッファーをできるだけ除き、新たに 38 ℃に暖め

ておいた SDS ハイブリダイゼーションバッファーを加え、これに変性した DNA プローブ

をメンブレンに直接かからないように注意深く入れ封をし、再び 38 ℃のウォーターバス

に戻して 24 hrハイブリダイゼーションを行った。

非特異的にハイブリダイズしたプローブの除去と抗 DIG抗体を用いた免疫学的検出

(非特異的なプローブの除去)

ハイブリダイゼーションの終わったメンブレンを室温にて低ストリジェンシーバッファ

ー(2×SSC, 0.1 % SDS)で 5 分間振とうして洗う。この洗いを 2 回行う。引き続いてハイ

ブリ・バッグ中、50 ℃にあたためた高ストリジェンシーバッファーで 15 分洗う。この洗

いを 2回行うことで非特異的にハイブリダイズしたプローブを除去した。

(抗体による検出)

ひき続いて DIG に抗体を特異的に吸着させる作業を行った。以下の作業はすべて室温操

作である。非特異的なプローブを除去したメンブレンを洗浄バッファー(0.1 M マレイン

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酸, 0.15 M NaCl, ; pH 7.5 ; 0.3 % (v/v) tween 20)で 2分間洗い、ブロッキング溶液(0.1 M

マレイン酸, 0.15 M NaCl, pH 7.5 ; 1 % (w/v) Blocking reagent)に浸して 30分メンブレン

をインキュベートすることでブロッキングした。次にブロッキングの終わったメンブレン

を抗体溶液[ブロッキング溶液+終濃度 75m U/ml の Anti-Digoxigenin-AP, Fab fragments

(Roche)]中で 30 分インキュベートし、抗体を DIG に反応させた。抗体を反応させたメン

ブレンを洗浄バッファーで 15 分×2 回振とうしながら洗い、非特異的に吸着した抗体を除

いた。検出バッファー(0.1M Tris-HCl, 0.1M NaCl, pH 9.5)で 3分平衡化した後、ハイブリ・

バッグを使ってメンブレンに発光基質である CDP-Star Detection Reagent (Amersham

Bioscience)をメンブレンの表面全体にいきわたらせて 5 分程インキュベートし、発光を開

始させた。メンブレンの発光はルミノ・イメージアナライザー LAS-1000 (Fuji) を使って

検出した。

脱プローブと再ハイブリダイゼーション

検出の終わったメンブレンを滅菌水で1分間振とうしながら洗浄し、ハイブリ・バッグ

中で、37 ℃の脱プローブ液(0.2 M NaOH, 0.1 % (w/v) SDS)で 30分処理することによ

りアルカリ感受性 DIG プローブを分解した。処理後に再び滅菌水でフィルターを洗い、2

×SSC で 15 分×3回、室温で振とうしながら洗浄した。再ハイブリダイゼーションはこ

のメンブレンをプレハイブリダイゼーションするところから行った。

定量的 PCRによる mRNAの定量

鋳型 RNAの調製

トータル RNAを 40 mM Tris-HCl (pH 8.0), 10 mM NaCl, 6 mM MgCl2, 10 mM CaCl2中で

RNA 1 _ あたり 1 Uの RQ1 RNase-Free DNase(Promega)を使い、37 ℃で 30 minイ

ンキュベーションする事で DNA を除去した。反応の終わった反応液をフェノール:クロ

ロホルム:イソアミルアルコール(50:49:1)溶液で処理し、核酸をエタノール沈殿した後に

RNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)で精製して逆転写の鋳型 RNAとした。

mRNA特異的な逆転写反応

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aadA、ble、RbcS2 の mRNA に特異的な逆転写プライマーを用いて同一のチューブ内で

逆転写反応を行った。

逆転写には反応系あたり 500 ng の RNA を鋳型として使用した。aadA の逆転写プライ

マーには[aadA.realtimeRT 5’-TCCAAGATAAGCCTGTCTAG-3’]を、ble の逆転写プライマ

ーには[ble.realtimeRT 5’-AGTCGCGGGCAGACT-3’]を、RbcS2 の逆転写プライマーには

[RbcS2.realtimeRT 5’-CTCGGCCACGAAGTG-3’]を用いた。逆転写は、AMV Reverse

Transcriptase (Promega)を 4 U用い、AMV RT Buffer(添付), dATP, dCTP, dGTP, dTTP を

各 0.5 mMずつ, 10 U RNasin, 各逆転写プライマー3種類を終濃度 0.5 µMずつを含む反応

液 25 _ で反応させた。これを 42 ℃、1 hr インキュベートして逆転写反応行い、その後

75 ℃で 15 minインキュベートし、逆転写酵素を失活させて定量的 PCRの鋳型とした。

定量的 PCRによる mRNAの定量操作

各 cDNA に対応したプライマーと SYBER Green を使って定量した。aadA は

[realtimeaadA/F 5’-AGCTAAGCGCGAACTGCAA-3’] と [realtimeaadA/R 5’-

CTGGCTCGAAGATACCTGCAA]のプライマーセットを用いて ble は [realtime ble/F 5’-

CCGGAGCGGTCGAGTTCT-3’]と[realtime ble/R 5’-TGGACCGCGCTGATGAA-3’]のプライ

マ ー セ ッ ト 、 RbcS2 は [realtimeRbcS2/F 5’-AGATGTTCGAGACCTTCTCCTA-3’] と

[realtimeRbcS2/R 5’-CCAGTAGCGGTTGTCGTAGTA-3’]のプライマーセットを用いた。こ

れらを用いて、Light cycler(Loche)で PCR反応を行った。反応液は2×SYBR Premix Ex Taq

(Perfect Real Time)(Takara)を 12.5 _ 用いた。 0.2μM フォワードプライマー, 0.2 μ

M リバースプライマー、50×ROX Reference Dye 0.5μℓに逆転写の終わったサンプル 2

_ (1反応あたり 80 ng の逆転写に使った RNA)を入れたトータル 25 _ の反応液を作り、

[95 ℃(10 sec)→{95 ℃(5 sec)→56 ℃(10sec) →72 ℃(10sec)}×45 サイクル→65℃

(15sec)→0.1℃/sec→95℃→4℃]のプロトコールでの蛍光を検出した。また、aadA の反応

系では 19-P(1030)株の RNA の逆転写物を、ble、RbcS2 の反応系では RNAi37 株の RNA

逆転写物を 1/2、1/5、1/10、1/100、1/1000に薄めて、それぞれ 2 _ をリアルタイム PCR

の鋳型とし、もとの転写量の 20 %、10 %、1 %、0.1 %に減少する仮想の株のスタンダー

ドとした。

TAIL-PCRによる未知領域の増幅

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既知領域 hsp70A に特異的なプライマー(TR プライマー) [hsp70A/TAIL/R1 5’-

TGAAAGTGGAGGTCACCGTT-3’],[hsp70A/TAIL/R25’-TTTATACCGGATGGGTGCCG-3’] 、

[hsp70A/TAIL/R3 5’-GCACCAATCATGTCAAGCCT-3’] と非特異的なプライマー(AD プラ

イマー)[AD1/ 5'-(A/T)GTGNAG(A/T)ANCANAGA-3’]を用いて PCR を行った。PCR 反応

液には Ex TaqTM(Takara)を用いた。

1回目の PCRでは TRプライマーは[hsp70A/TAIL/R1 5’-TGAAAGTGGAGGTCACCGTT-

3’]、AD プライマーは[AD1/ 5'-(A/T)GTGNAG(A/T)ANCANAGA-3’]を用いた。PCR 反応液

は Ex TaqTM(Takara)に添付されている 10×PCR Buffer 2μℓ、2.5mM dNTP Mixture 1.6μ

ℓ、10μM TR プライマー0.3μℓ(最終濃度 0.15μM)、10μM AD プライマー 4μℓ(最終

濃度 2μM)、Ex Taq emzyme 0.1μℓ(0.8unit)の反応液にゲノム DNAを約 100ngを含み、

滅菌水で 20μℓに調整した。PCR 反応の温度設定、サイクル数、各ステップの時間は以

下の通りである。[94 ℃(1 min)→95 ℃(1 min)→{94 ℃(1 min)→65℃(1min)→72℃(3min)}

×5サイクル→94℃(1min)→25℃(3min)→0.26℃/sec で上昇→72℃(3min)→{94 ℃(30 sec)

→68 ℃(1 min)→72℃(3min)→94 ℃(30 sec)→68 ℃(1 min)→72℃(3min)→94 ℃(30 sec)

→44 ℃(1 min)→72℃(3min)}×15スーパーサイクル→72℃(5min)→4℃(∞)]

2 回目の PCR では TR プライマーは 1 回目に用いたものより内側に設計した

[hsp70A/TAIL/R2 5’-TTTATACCGGATGGGTGCCG-3’]を用いた。AD プライマーは 1 回目

と同じものを用いた。PCR反応液は 10×PCR Buffer 2μℓ、2.5mM dNTP Mixture 0.2μ

ℓ(最終濃度 25μM)、10μM TRプライマー0.3μℓ(最終濃度 0.15μM)、10μM ADプラ

イマー 4μℓ(最終濃度 2μM)、Ex Taq emzyme 0.1μℓ(0.8unit)の反応液に 1回目の PCR

産物を 50 倍に希釈したものを1μℓ加え、滅菌水で 20μℓに調整した。PCR 反応の温度

設定、サイクル数、各ステップの時間は[{94 ℃(30 sec)→68 ℃(1 min)→72℃(3min)→94 ℃

(30 sec)→68 ℃(1 min)→72℃(3min)→94 ℃(30 sec)→44 ℃(1 min)→72℃(3min)}×12 ス

ーパーサイクル→72℃(5min)→4℃(∞)]で行った。

更に 3 回目の PCR では TR プライマーは2回目に用いたものより更に内側に設計した

[hsp70A/TAIL/R3 5’-GCACCAATCATGTCAAGCCT-3’]を用いた。AD プライマーは 1 回目

と同じものを用いた。PCR反応液は 10×PCR Buffer 10μℓ、2.5mM dNTP Mixture 1μℓ

(最終濃度 25μM)、10μM TRプライマー4μℓ、10μM ADプライマー 20μℓ、Ex Taq

emzyme 0.6μℓの反応液に2回目の PCR 産物を10 倍に希釈したものを1μℓ加え、滅

菌水で 100μℓに調整した。[{94℃(1min)→44℃(1min)→72℃(3min)}×20 サイクル→72℃

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(5min)]の条件で PCRを行った。

それぞれの PCR 産物 7μℓを 0.8%のアガロースゲル/TAE で電気泳動し、バンドの有無

を確認した。

[培地組成表]

TAP培地の調製

TAP培地(1ℓあたり)

 Tris             2.42 g

TAP salts 25 ml

Phosphate solution 0.375 ml

Hutner trace elements 1.0 ml

Glacial acetic acid 1.0 ml

N-FreeTAP培地(1ℓあたり)

 Tris             2.42 g

N-Free TAP salts 25 ml

Phosphate solution 0.375 ml

Hutner trace elements 1.0 ml

Glacial acetic acid 1.0 ml

TAP salts (1ℓあたり)

NH4Cl 15 g

MgSO4・7H2O 4.0 g

CaCl2・2H2O     2.0 g

Phosphate solution (1ℓあたり)

 K2HPO4   28.8 g

KH2PO4 14.4 g

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Hutner trace elements(1ℓあたり)

EDTA, disodium salt 50 g

ZnSO4・7H2O 22 g

H3BO3 11.4 g

MnCl2・4H2O 5.06 g

CoCl2・6H2O 1.61 g

CuSO4・5H2O 1.57 g

(NH4)6Mo7O24・4H2O      1.10 g

FeSO4・7H2O 4.99 g

N-Free TAP salts (1ℓあたり)

KCl 15 g

MgSO4・7H2O 4.0 g

CaCl2・2H2O     2.0 g

[結果]

形質転換による1次スクリーニング

 RNAi-37株に対し pSI103⊿NotIプラスミドをガラスビーズ法によって導入し、10μg/ml

の paromomycin を含む寒天培地で一次スクリーニングを行った。形質転換効率は平均 0.4

~1×10-5程度であった。pSI103⊿NotI プラスミドを入れないこと以外は全く同様に操作

したものを突然変異体に対するコントロールとした。これは paromomycin を含む寒天培

地で全くコロニーを形成しなかった。このことより、paromomycin 耐性を示したものには

ノイズなく Tag が挿入されていると思われる。paromomycin 耐性を示した形質転換体は

3,072株であった。

スポットテストによる2次スクリーニング

 paromomycin 耐性を示した形質転換体 3,072 株を 60・100・300 _ /ml と濃度を振った

spectinomycin の添加された TAP 寒天培地に滴下し、p19-(1030)、RNAi37 株と成長速度

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を比較することにより、spectinomycin 耐性能を評価した。また、ampicillin の添加された

TAP寒天培地に滴下し、通常の倍地での細胞生育速度の差の有無を確認した。更に inverted

repeat 部分のリコンビネーションによって欠損し、ヘアピン RNA が転写されなくなった

場合、そのほとんどで bleの領域まで欠損が起こり、zeocin耐性も失われることから、RNAi

誘導コンストラクトの抜け落ちたものを排除するため、zeocin を添加した TAP 寒天培地

にも滴下した。

ampicillin の添加された TAP 寒天培地では全ての株で生育速度に大きな差は見られなか

った。

paramomycin 耐性を示した形質転換体 3,072 株のうちほぼ全て 3,016 の形質転換体は多

少の差はあるものの RNAi37 株とほぼ同じ程度の spectinomycin 耐性を示した。26 株は

spectinomycin 60 _ /ml を添加したプレート上でも生育できず、RNAi-37 株よりも低い

spectinomycin 耐性を示した。spectinomycin300 _ /ml を添加したプレート上でも生育し

ており、RNAi を誘導される前の 19-P(1030)と同等の spectinomycin 耐性を示したのは 30

株であった。(図 2)

zeocin を添加した TAP 寒天培地では 3072 株中 48 株が生えてこなかった。そのうち 42

株は形質転換前後で spectinomycin 耐性に変化はなかった。48 株中2株は spectinomycin

耐性が形質転換前よりも低下していた。残り4株は spectinomycin 耐性が 19-P(1030)と同

程度まで回復していた。spectinomycin 耐性が 19-P(1030)と同程度まで回復してしていて

も、zeocin 添付した寒天培地上で生えなかった株は RNAi 誘導コンストラクトが発現して

いないと考えられるので解析対象から除いた。

19-P(1030)と同程度まで spectinomycin 耐性が回復した 30 株のうち ampicillin、zeocin

の添加された TAP寒天培地でも生育した 26株を解析の対象とした。

導入された Tagの数と RNAi誘導コンストラクトの有無

解析対象である26株うち13株(Tag3, Tag 21, Tag38, Tag41, Tag48, Tag55, Tag56, Tag61,

Tag62, Tag63, Tag64, Tag73 Tag76)と RNAi37株、19-P(1030)株のトータル DNAを制限

酵素 EcoT141 で消化してサザンブロッティングで RNAi 誘起コンストラクトに変化がない

かを確認した。全ての形質転換体で、19-P(1030)で検出される spectinomycin 耐性を賦与

する P-(1030)コンストラクトに対するシグナルの位置と同じ位置に aadA に対するシグナ

ルが検出された。

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aadA プローブを用いた時、RNAi 誘起コンストラクトは3箇所にバンドが見られる。こ

のバンドを示したのは 13 株中 10 株(Tag3, Tag21, Tag38, Tag41, Tag55, Tag56, Tag61,

Tag63, Tag73, Tag74)であり、残りの3株(Tag48, Tag62, Tag64)はバンドが見られなかっ

た。(図 3)

RNAi 誘起コンストラクトに変化がなかった 10 株に対し、導入された Tag の数を同じメ

ンブレンを用いて pSI103⊿NotI プラスミドの aphVIII 部に特異的なプローブを用いて調べ

た。Tag3, Tag38, Tag56, Tag73, Tag76では Tagである pSI103⊿NotIプラスミドが 1コピ

ー導入されていることが分かった。Tag21, Tag61, Tag63 では pSI103⊿NotI プラスミドが

2 コピー導入されていることが分かった。Tag41 では pSI103⊿NotI プラスミドが3コピ

ー導入されていた。Tag55ははっきりとしなかった。(図 4)

また、Tagがどのように導入されているかを調べるため、同じメンブレンで pSI103⊿NotI

プラスミドの hsp70A 部特異的なプローブを用いてシグナルの検出を行った。全てのサン

プルで内在の hsp70A を示すシグナルと、aphVIII に対するシグナルと同一分子量の位置に

存在する、導入したプラスミドに対するシグナルと考えられるものが確認できた。

更にベクター部分を調べるため、それぞれの株のトータル DNA を制限酵素 HindIII で消

化してサザンブロッティングを行った。 プローブは pBluescriptIISK(-)vector に特異的な

プローブと aphVIII プローブ を用いた。Tag3,Tag38, Tag73, Tag76 は aphVIII に対するシ

グナルと同一分子量の位置に存在するシグナルが確認できた。Tag21 は aphVIII プローブ

で検出したシグナルと同一分子量の位置に存在するシグナルと、aphVIII プローブでは見ら

れない分子量の位置に存在するシグナルが検出された。Tag55 は aphVIII プローブでは 2

つのシグナルが確認できたが、pBluescriptIISK(-)vector プローブではシグナルは1つしか

検出されなかった。(図 5)

 

aadA、ble 、rbcS2 mRNAの定量

 Spectinomycin 耐性の復活した株での aadA 発現量を mRNA レベルでの変動を調べるた

め、Tag3と比較対象として 19-P(1030),RNAi37株の aadA、ble 、rbcS2 を Real Time PCR

法によって定量し、比較した。Tag3、19-P(1030),RNAi37 株において rbcS2 mRNA 量は有

意な差は認められなかった。(図6(a)) TAP 寒天倍地上での成長速度にクローン間で成長速

度に差がない事と矛盾しない結果であった。ble mRNA 量は 19-P(1030)においてはほとん

ど検出されず、Tag3、RNAi37 株では有意な差は見られなかった。(図6(b))zeocin を含

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む TAP寒天倍地上での成長速度の比と矛盾しない結果であった。aadA mRNA量は、Tag3、

19-P(1030),RNAi37 で差が見られ、19-P(1030)の値を 100 %とした場合、RNAi37 では

8.36 %、Tag3では 53.83%となっていた。(図6(c),(d))

TAIL-PCRの結果

 Tag3, Tag38, Tag61, Tag73のトータル DNAを用いて TAIL-PCRを行った。

全てのサンプルで 1 回目、2回目の PCR では特異的なバンドは見られず、スメアなっ

ていた。3 回目の PCR で Tag61 のみ約 500bp 付近にバンドが確認できた。その他のサン

プルではいずれもバンドは見られなかった。(図7)

[考察]

形質転換法について

Chlamydomonasはボンバードメント法(Mayfield SP and Kindle KL. 1990; Sodeinde OA

and Kindle KL. 1993; Cerutti H et al.,(a) 1997)、ガラスビーズ法(Sodeinde OA and Kindle

KL. 1993; Stevens DR et al., 1996)、エレクトロポレーション法(Brown LE et al., 1991;

Shimogawara K et al., 1998)によって核ゲノムに DNA を導入して形質転換を行うことが

可能である。今回の実験では、多数の形質転換体が必要なので操作が簡便であること、そ

して導入されるコピー数が少ないことが求められる。このことよりガラスビーズ法を採択

した。Chlamydomonas は導入する遺伝子、遺伝子コードユーセージ、プロモータ強度に

よって形質転換効率が変わるので今回は薬剤耐性を賦与する遺伝子を持ったプラスミドの

中では、形質転換効率の良い pSI103⊿NotIを使用した。(Sizova I, Fuhrmann M, Hegemann

P., 2001)形質転換効率は平均 0.4~1×10-5程度であったものの、試行のたびに変化し、

回によっては形質転換効率の大幅な低下も見られた。形質転換効率が非常に低い回では、

採取してから 1 ヶ月以上経ったガメトライシンを使用しており、そしてまた通常ガラスビ

ーズを行う時の細胞濃度(1×106cell/ml)よりも培養時の細胞濃度が高かった(>5×106

cell/ml)。このことより、ガメトライシンの働きが低下しており、そして細胞も多かったた

めプロトプラスト化できなかったと予想される。ガラスビーズ法による形質転換効率は細

胞壁の融解の度合いに左右されると考えられる。

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形質転換体について

 paromomycin 耐性を示した形質転換体の示した spectinomycin 耐性は大きく3種類に分

類できる。形質転換前後で spectinomycin 耐性が変わらないもの、低下したもの、上昇し

たものである。spectinomycin 耐性が変わらないものは Tag が RNAi に関係ないところに

組み込まれたので、spectinomycin 耐性に変化が起こらず、上昇したものは RNAi に関連し

た遺伝子内に Tag が組み込まれたため RNAi が起こらなくなり、spectinomycin 耐性が復

活したと考えられる。Chlamydomonas における RNAi の誘導は完全にかかっておらず、

RNAi を阻害している因子の存在が示唆されている。低下したものについては、この RNAi

阻害因子を破壊したため、spectinomycin耐性が更に低下したと考えられる。

 paromomycin 耐性を示した形質転換体の中には zeocin 耐性を示さないものが見受けら

れた。zeocin 耐性を賦与する遺伝子 ble は RNAi 誘起コンストラクトに組み込まれている

ので、zeocin 耐性を示さない株は RNAi 誘起コンストラクトに何らかの変化が起きたと考

えられる。実際これ等のサンプルのいくつかをサザンブロッティングすると、RNAi 誘起

コンストラクトを示すバンドは検出できなかった (date not shown) 。zeocin 耐性がなく

なり p19-(1030)と同程度の spectinomycin 耐性を示した株は RNAi 誘起コンストラクトが

抜け落ちたため、RNAi がおこらなくなり spectinomycin 耐性を示したと思われる。zeocin

耐性がなくなっても spectinomycin耐性が変わらない、或いは低下したものも存在したが、

今回これらの株で spectinomycin耐性能が回復しなかった理由については解析しなかった。

 spectinomycin 耐性能が回復した株で、且つ RNAi 誘導コンストラクトに欠損のなかった

株10株で、導入された Tag の数を調べた所、13 株中 6 株が1コピー、4 株が 2 コピー、

3 コピー導入されたのはわずか1株であった。ガラスビsーズによる形質転換では導入さ

れる DNA コンストラクトはすこないことが分かっており(K. L. Kindle)、それに矛盾しな

い結果となった。

Chlamydomonas では DNA が核ゲノムに組み込まれる際に、DNA コンストラクトはそ

の全域が欠損なく挿入される事はまれで、末端からある程度の長さしか挿入されず、欠損

を起こした状態で挿入されるという報告がある(Mayfield SP and Kindle KL. 1990; Cerutti H,

et al., 1997 (a))。このことから、先端部の hsp70A の欠損の有無を確認したが、全ての株

で hsp70Aの欠損は見られなかった。

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mRNAについて

aadAの発現によって賦与される spectinomycin耐性能は、細胞質にある aadA mRNA量

に比例することがわかっている。また、同じ濃度の spectinomycin を添加された寒天倍地

上で、薬剤耐性能の高い細胞は成長速度が速く、逆に耐性能が低いものは増殖速度が遅い

(Cerutti H et al. 1997(a), Cerutti H et la. 1997(b))。以上の事から、spectinomycin耐性能

が回復した株では aadA mRNA 量に変化が見られることが予測され、実際に aadA mRNA

量を定量したところ、その量の違いと耐性能の違いが一致した。19-P(1030)と同程度まで

は mRNA は増加していないが、これは Tag がどの遺伝子に組み込まれたかで左右される

と思われる。中核を担う遺伝子に挿入されたならば、RNAiが完全に解除され aadAのmRNA

は 19-P(1030)と同程度まで増加すると予測されるが、末端を担う遺伝子に挿入されたなら

ば、aadA のmRNA の増加は 19-P(1030)と同程度まで増えるとは思えない。今回 Tag が導

入された位置を確定するところまで到らなかったことから、これ等のことは予想の範囲を

超えない。今後詳しい解析が求められる。

[謝辞]

 大濱武教授にはこの研究を始めるきっかけを頂きました。同研究室の山崎朋人さんには、

実験を進める上で様々なアドバイス、ご指導をいただきました。また、同研究室のメンバ

ーの方々にも研究を行ううえでサポートを頂きました。この場をお借りして御礼を申し上

げます。

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26

[図表]

  p19-(1030)

         aadA

         ①

RNAi誘起コンストラクト

ble aadA aadA

      ②

pSI103⊿NotI

hsp70A        aphVIII

③        ④                    ⑤

図1

プラスミドの模式図とプライマーの位置

①aadA プローブ、②ble プローブ、③hsp70A プローブ、④aphVIII プローブ、⑤

pBluescriptIISK(-)vectorプローブ

図 2

amp zeo10

 Spec

  60   150 300 (μg/ml)

19-P(1030)

RNAi37

形 質 転 換

体 ①

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形質転換体の spectinomycin 耐性の変化。19-P(1030)は RNAi 誘起コンストラクトを導入

する前の株であり、RNAi37 は RNAi の誘導された株である。①、②、③は、それぞれ

paramomycin 耐性を示した形質転換体。縦列はすべて同じ種類の寒天培地で、左から

TAP/amp、TAP/zeo 10、TAP/spec 30, 150, 300である。写真はスポットして 10日後に撮

影した。

      

図 3

形質転換体、RNAi37、19-P(1030)のトータル DNA を使った aadA のサザンブロッティン

グ。マーカーは DIG ラベルされたλ-HindⅢフラグメント。形質転換体(a)は Tag3, Tag21,

Tag38, Tag41, Tag55, Tag56, Tag61, Tag63, Tag73, Tag74 が示したパターン(b)は Tag48,

Tag62, Tag64が示したパターン。

分子量マ

(bp)

23130

94166557

4361

23322027

19-P

(1030)RNAi37 形質転換体

(a) (b)

RNAi誘起コンストラク

トの

aadAシグナルP-(1030)コンストラク

トの

aadAシグナル

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28

   

図 4

形質転換体、RNAi37、19-P(1030)のトータル DNA を使った aphVIII のサザンブロッティ

ング。マーカーは DIGラベルされたλ-HindⅢフラグメント。形質転換体(a)Tag73、(b)Tag61、

(c) Tag41。バンドの数は導入された Tagの数を表す。

(bp)

94166557

4361

23322027

分子量マ

RNAi37    形質転換体

(a)  (b) (c)

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29

図 5

形質転換体 Tag38,Tag55、RNAi37、19-P(1030)のトータル DNA を使い、aphVIII hsp70A

pBluescriptIISK(-)vector プローブを用いたサザンブロッティング。マーカーは DIG ラベル

されたλ-HindⅢフラグメント。Tag38,Tag55 の右側の2レーンは制限酵素 EcoT141 で、

左側2レーンは制限酵素 HindIIIで消化した。a: aphVIII プローブ, h: hsp70A プローブ, v:

pBluescriptIISK(-)vectorプローブで検出したことを表す

図 5

形質転換体 Tag38,Tag55、RNAi37、19-P(1030)のトータル DNA を使い、aphVIII hsp70A

pBluescriptIISK(-)vector プローブを用いたサザンブロッティング。マーカーは DIG ラベル

されたλ-HindⅢフラグメント。Tag38,Tag55 の右側の2レーンは制限酵素 EcoT141 で、

左側2レーンは制限酵素 HindIIIで消化した。a: aphVIII プローブ, h: hsp70A プローブ, v:

pBluescriptIISK(-)vectorプローブで検出したことを表す。

(bp)9416

6557

4361

2332

2027

h ha aa av v

Tag38 Tag55

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Real time PCR法によるRbcS2 定量結果

0.00001

0.0001

0.001

0.01

0.1

1

10

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

cycles

p19-1030

RNAi37

tag3-9

図6(a) RbcS2 mRNAの Real Time PCR法による増幅曲線

Real time PCR法によるble の定量結果

0.0001

0.001

0.01

0.1

1

10

100

0 10 20 30 40 50

cycles

P19-1030

RNAi37

tag3-9

図6(b) ble mRNAの Real Time PCR法による増幅曲線

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Real time PCR法によるaadAの定量結果

0.0001

0.001

0.01

0.1

1

10

100

0 10 20 30 40 50

cycles

p19-1030RNA37itag3-9

図6(c) aadA mRNAの Real Time PCR法による増幅曲線   

aadAmRNAの定量

100.00%

8.36%

53.83%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

120%

p19-1030 RNA37i tag3-9

図6(d) aadA mRNA量 19-P(1030), RNAi37との比較

図6

Real Time PCR法による RbcS2, bleと aadA mRNA量の定量。spectinomycin耐性能の復

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活した Tag3 を調製した RNA を鋳型としている。(a)Tag3 と RNAi37, 19-P(1030)から調製

した RNAを用いて行った RbcS2 mRNA量の定量。(b)Tag3と RNAi37, 19-P(1030)から調

製した RNA を用いて行った ble mRNA 量の定量。(c)Tag3 と RNAi37, 19-P(1030)から調

製した RNA を用いて行った aadA mRNA 量の定量。(d)定量した aadA mRNA 量を、19-

P(1030), RNAi37と比較したグラフ。

   

   

         I II  III IV V VI

図7

Tag61の Total DNAを鋳型とした TAIL-PCRによる未知配列の増幅

(I)λ-HinIII 分子量マーカー、(II)1 回目の TAIL-PCR、(III)2回目の TAIL-PCR(IV)3回

目の TAIL-PCR、(V)特異プライマーのみによる3回目の TAIL-PCR、(VI)任意プライマ

ーのみによる3回目の TAIL-PCR