172
Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. IPE ペルー経済研究所 2018年に向けてのインフラ整備の挑戦 2008年ペルー国インフラ基盤における投資の不均衡』 20098日本貿易振興機構 リマセンター 作成 1 <免責事項> ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、あるいは懲罰的損害および利 益の喪失については、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがかかる損害の可能 性を知らされていても同様とします。 1 この報告書は、ディエゴ・トリージョ氏'Diego Trilloの協力を得て、シンティア・パストール'Cinthya Pastor(とパトリシア・ペレス 'Patricia Pérez(が作成した。

INTERIOR 1x1 final ok...2 3 2 3

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved.

IPE

ペルー経済研究所

2018年に向けてのインフラ整備の挑戦

『2008年ペルー国インフラ基盤における投資の不均衡』

2009年8月

日本貿易振興機構 リマセンター

作成1:

<免責事項>

ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、あるいは懲罰的損害および利

益の喪失については、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがかかる損害の可能

性を知らされていても同様とします。

1 この報告書は、ディエゴ・トリージョ氏'Diego Trillo(の協力を得て、シンティア・パストール'Cinthya Pastor(とパトリシア・ペレス

'Patricia Pérez(が作成した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 1 -

目次

調査の全体概要 11

運輸部門 16

道路網 16

港湾 18

空港 19

鉄道 21

上下水道部門 22

電力部門 24

天然ガス部門 27

電気通信部門 28

1 はじめに 31

2 運輸部門 35

2.1 道路網 35

2.1.1 国際的背景 35

2.1.2 ペルーにおける道路事情 38

道路網の特徴 38

道路の業務委託 40

2.1.3 投資における不均衡の見積もり 45

業務委託された幹線道路 45

運輸通信省'MTC(が管理する幹線道路 46

不均衡の合計と投資の確約 47

2.1.4 道路網における投資の発展 49

2.2 港湾 50

2.2.1 国際的背景 50

2.2.2 ペルーにおける港湾事情 52

民間港 52

港湾公社'ENAPU( 54

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 2 -

カジャオ港南埠頭 59

マタラニ港 60

2.2.3 投資の不均衡の見積もり 60

業務委託された港湾 61

港湾公社'ENAPU(が管理する港湾と公的利用される民間港 62

不均衡の合計と投資の確約 62

2.2.4 港湾における投資の発展 63

2.3 空港 64

2.3.1 国際的背景 64

2.3.2 ペルーにおける空港事情 67

ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH( 69

第一次一括業務委託 71

2.3.3 投資の不均衡の見積もり 72

業務委託された空港 72

ペルー民間空港管理会社(CORPAC)が管理する空港 73

不均衡の合計と投資の確約 73

2.3.4 空港における投資の発展 74

2.4 鉄道 75

2.4.1 国際的背景 75

2.4.2 ペルーにおける鉄道事情 77

2.4.3 投資の不均衡の見積もり 82

業務委託された鉄道 82

国が管理する鉄道および民間主導の鉄道 83

不均衡の合計と投資の確約 83

2.4.4 鉄道における投資の発展 84

3 上下水道部門 85

3.1 はじめに 85

3.2上下水道部門の状況 87

3.2.1普及率 87

3.2.2企業形態での普及率の向上 92

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 3 -

3.2.3企業形態における主な運営指標 94

3.3投資の不均衡の見積もり 99

3.3.1企業形態分野 99

3.3.2非企業形態分野 101

3.3.3不均衡の合計 102

3.4上下水道部門における投資の発展 102

4 電力部門 104

4.1 はじめに 104

4.2電力部門の状況 106

4.2.1 発電 106

4.2.2 送電 108

4.2.3普及率 110

4.3投資における不均衡の見積もり 113

4.3.1発電・送電インフラの拡充のために必要な投資額 113

4.3.2電力普及率向上のために必要な投資 117

4.3.3電力部門における不均衡 118

4.4電力部門における投資の発展 119

5 天然ガス部門 121

5.1 はじめに 121

5.2天然ガス産業の状況 125

5.2.1カミセア天然ガスプロジェクト 125

5.2.2天然ガスの普及 127

5.3投資の不均衡の見積もり 129

5.4天然ガス部門における投資の発展 130

6 電気通信部門 132

6.1 はじめに 132

6.2 電気通信部門の状況 133

6.2.1 固定電話 133

6.2.2 携帯電話 135

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 4 -

6.2.3 インターネット 138

6.2.4 長距離電話 139

6.2.5 公衆電話 141

6.2.6 農村部の電話 142

6.3 投資における不均衡の見積もり 144

6.3.1 固定電話 144

6.3.2 携帯電話 145

6.4 電気通信部門における投資の発展 147

6.4.1 固定電話網 147

6.4.2 携帯電話網 148

7 インフラ基盤、成長、開発 150

8 世界における実践 155

9 結論 161

10 参考文献 166

表目次

表 1 インフラ基盤における投資の不均衡'2008 年( 14

表 2 インフラ基盤における投資の不均衡'2005 年、2008 年( 15

表 3 ペルーにおける旅客輸送と貨物輸送'2008 年( 19

表 4 表層種類別道路構成'2006 年( 39

表 5 ペルーにおける道路の業務委託'2009 年( 41

表 6 2009 年までに業務委託された幹線道路における契約投資額と投資された金額 46

表 7 道路網における投資不均衡 48

表 8 業務委託された幹線道路への投資額'2005 年~2008 年( 49

表 9 民間港における貨物取扱量'2008 年( 53

表 10 港湾インフラにおける投資の不均衡 63

表 11 業務委託港湾における投資額'2005 年~2008 年( 64

表 12 一括業務委託された空港と一括業務委託予定の空港'2008 年( 68

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 5 -

表 13 アエロプエルトス・デル・ペルー(ADP)の取扱貨物量と旅客数'2008 年( 72

表 14 空港インフラにおける投資の不均衡 74

表 15 業務委託された空港における投資額'2005 年~2008 年( 75

表 16 ペルーの鉄道網の運行距離'2008 年( 78

表 17 鉄道におけるインフラの不均衡 84

表 18 業務委託された鉄道への投資額'2005 年~2008 年( 85

表 19 下水道部門のサービス提供地域'2007 年( 86

表 20 ペルーにおける上下水道、下水処理施設の普及率'2007 年( 88

表 21 都市部と農村部の人口分布'2007 年( 88

表 22 規模別上下水道企業体'EPS(のサービス普及率'2007 年( 89

表 23 州別上下水道企業体'EPS(のサービス普及率'2007 年( 90

表 24 チリにおける州別上水道普及率'2007 年( 91

表 25 チリ都市部における州別下水道・下水処理普及率'2007 年( 92

表 26 チリにおける上水道・下水道・下水処理の普及率'2007( 92

表 27 ペルーにおけるサービス提供時間別上下水道企業体'EPS('2007 年( 94

表 28 チリにおける上水道サービスの継続度'2007 年( 95

表 29 ペルーにおける下水未処理率別 EPS 数 95

表 30 ペルーにおける州別下水未処理率 96

表 31 チリにおける下水未処理率'2007 年( 97

表 32 測定システム普及率別 EPS 数 97

表 33 州別測定システム普及率 98

表 34 チリにおける測定システム普及率'2007 年( 98

表 35 企業形態運営での州別上水道、下水道、下水処理における不均衡

'2008 年~2017 年( 100

表36 企業形態運営での上水道、下水道、下水処理における不均衡

'2008年~2017年( 100

表 37 農村部における上水道、下水道の不均衡'2008 年~2017 年( 101

表 38 その他の都市部サービス提供者に対する上水道、下水道、下水処理の不均衡

'2008 年~2017 年( 102

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 6 -

表 39 上水道、下水道、下水処理における不均衡'2008 年~2017 年( 102

表 40 上下水道部門における投資額'2004 年~2005 年( 104

表 41 電力市場の主要指標 105

表 42 ペルーとチリにおける発電能力'2008 年( 108

表 43 ペルーとチリにおける送電網の構成'2008 年( 110

表 44 発電における投資額の見積もり'2009 年~2017 年( 115

表 45 送電における投資額の見積もり'2009 年~2017 年( 116

表 46 電力普及率におけるインフラ不均衡の見積もり 118

表 47 電力部門における投資の不均衡'2009 年~2017 年( 119

表 48 電力部門における投資額'2005 年~2008 年( 120

表 49 カミセア天然ガスプロジェクトの発展 124

表 50 天然ガスにおける不均衡'2009 年~2012 年( 130

表 51 天然ガスで実施された投資推定額'2005 年~2008 年( 131

表 52 州別固定電話普及率'2003 年~2008 年( 134

表 53 州別携帯電話普及率'2003 年~2008 年( 137

表 54 電気通信投資基金(FITEL)が打ち出し、ペルー民間投資促進庁を通じて

落札されたプログラム・プロジェクト'2007 年以降( 143

表 55 州別固定電話における不均衡'2009 年~2018 年( 145

表 56 州別携帯電話における不均衡'2009 年~2018 年( 146

表 57 企業別固定電話網への投資額'2005 年~2008 年( 148

表 58 企業別携帯電話網への投資額'2000 年~2008 年( 150

表 59 アイルランド: 経済インフラへの投資額'2007 年~2013 年( 157

表 60 チリ: インフラにおいて必要とされる投資額'1995 年~2000 年( 159

表 61 インフラ基盤における投資の不均衡 162

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 7 -

図目次

図 1 中南米地域における道路総延長 国土面積の大きな国から順に 35

図 2 道路総延長に対するアスファルト舗装道路の割合 36

図 3 道路整備率 37

図 4 1人当たりの道路網 37

図 5 幹線道路におけるインフラの質 38

図 6 道路網の推移'2003 年~2006 年( 40

図 7 世界のコンテナ取扱量'2007 年( 50

図 8 南米のコンテナ取扱量'2007 年( 51

図 9 港湾インフラにおける質の指標 52

図 10 港湾公社'ENAPU(ターミナルのコンテナ取扱量'2008 年( 54

図 11 港湾別港湾公社'ENAPU(ターミナルのコンテナ取扱量'2008 年( 54

図 12 港湾公社'ENAPU(ターミナルの貨物取扱量'2008 年( 55

図 13 港湾別港湾公社'ENAPU(ターミナルの貨物取扱量'2008 年( 55

図 14 活動種類別コンテナ取扱量'2001 年~2008 年( 56

図 15 活動種類別貨物取扱量'2001 年~2008 年( 56

図 16 カジャオ港に対する需要'2002 年~2025 年( 58

図 17 世界レベルでの旅客輸送の分布'2007 年( 65

図 18 南アメリカ地域の旅客輸送に関する空港ランキング'2007 年( 66

図 19 南アメリカ地域の貨物輸送に関する空港ランキング'2007 年( 66

図 20 空港インフラの質指標 67

図 21 ペルー航空旅客輸送の推移'2001 年~2008 年( 68

図 22 ペルー航空貨物輸送の推移'2001 年~2008 年( 69

図 23 ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)における旅客輸送の推移

'2001 年~2008 年( 70

図 24 ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)における貨物輸送の推移

'2001 年~2008 年( 70

図 25 南アメリカ地域における鉄道網の広がり'2006 年( 75

図 26 南アメリカ地域における鉄道普及率'2006 年( 76

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 8 -

図 27 鉄道インフラの質指標 77

図 28 ペルーにおける鉄道旅客輸送量'2003 年~2008 年( 78

図 29 ペルーにおける鉄道貨物輸送量'2003 年~2008 年( 79

図 30 貨物輸送方法別エネルギー強度 80

図 31 上水道の普及率 93

図 32 下水道普及率 93

図 33 下水処理普及率 93

図 34 総電力の生産と発電の種類'2001 年~2008 年( 106

図 35 国家連携電力システム'SEIN(の最大需要と発電能力 107

図 36 送電線の長さの発展'2001 年~2008 年( 109

図 37 全国レベルでの電力普及率'1990年~2007年( 111

図 38 州別電化係数'2007 年( 111

図 39 ペルーにおける電化係数と貧困'2007 年( 112

図 40 チリにおける電力普及率 112

図 41 チリにおける州別電力普及率'2006 年( 113

図42 ペルーの電力部門における民間投資の発展'1994年~2008年( 122

図 43 エネルギー基盤'2003 年( 123

図 44 エネルギー基盤'2007 年( 123

図 45 天然ガスの生産量'2003 年~2008 年( 125

図 46 技術・燃料別電力発電におけるコスト'2005 年~2008 年( 126

図 47 88 ロット'カミセア(から獲得した採掘権料'2004 年~2008 年( 127

図 48 南米における天然ガスの埋蔵量'2007年( 128

図 49 南米における天然ガスの消費量'2006年( 128

図 50 ペルーにおける固定電話の普及率'2003 年~2008 年( 133

図 51 南アメリカにおける固定電話普及率'2003 年~2007 年( 135

図 52 ペルーにおける携帯電話普及率'2003年~2008年( 136

図 53 方式別携帯回線数'2003 年~2008年( 136

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 9 -

図 54 南アメリカにおける携帯電話普及率'2003 年~2007 年( 138

図 55 アクセス方式別のインターネットへの接続'2003 年~2008 年( 138

図 56 南米におけるブロードバンド普及率'2003 年~2007 年( 139

図57 方法別の加入者固定電話・公衆電話から発信された国内長距離電話の通話量

'2003年~2008年( 140

図 58 方法別加入者固定電話・公衆電話から発信された国際長距離電話の通話量

'2003 年~2008 年( 140

図 59 ペルーにおける公衆電話普及率'2003 年~2008 年( 141

図 60 公衆電話市場における企業のシェア'2008 年( 142

図 61 固定電話網への投資額と普及率'2005 年~2008 年( 147

図 62 携帯電話網への投資額と普及率'2005 年~2008 年( 149

図63 ラテンアメリカ: 域内最先進国'コスタリカ(レベルのインフラ基盤に

到達した場合の国内総生産年間成長率における影響 151

図 64 ペルー: チリ・コスタリカレベルのインフラ基盤に到達した場合の

国内総生産年間成長率における影響 151

図 65 インフラ基盤の質'2008 年~2009 年(と一人あたりの国内総生産'2007 年(

の関連性 152

図 66 インフラ基盤の質'2008 年~2009 年(と所得の格差'2005 年(の関連性 153

図 67 国内総生産と固定電話回線数の関連性'1965 年~2007 年( 154

図 68 国内総生産と発電能力の関連性'1965 年~2007 年( 154

図 69 国内総生産と舗装道路網の関連性'1965 年~2007 年( 154

図 70 アイルランド: 国内総生産'1997 年~2007 年( 156

図 71 イギリス: 2008 年までに終了したインフラ整備プロジェクト 158

図 72 中国: 国内総生産と国内総資本形成'1998 年~2007 年( 159

図 73 チリ: インフラ基盤における投資の向上'1990 年~2003 年( 160

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 10 -

コラム目次

コラム1 カジャオ港北埠頭近代化イニシアティブ

コラム 2 ペルーにおける鉄道政策の必要性

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 11 -

調査の全体概要

この報告書は、ペルーが長期にわたって発展するために必要な環境を創出するにあたって、

ペルーが直面する目標を調査するものである。また、10 年 2 の期間内に「インフラ基盤の不均

衡」を是正するためにペルーが必要とする投資を推定しようとする試みでもある。この投資は、

2018 年までの人口や経済活動から需要を推定し、基礎的インフラの供給が後述のように十分

なレベルに到達できるようにするものである。適切なインフラが存在すれば、ペルーが近年に

達成した成長だけでなく、国民の生活レベルの向上も維持することが可能になる。また、増加

する貿易市場の拡大や現在の国際的経済危機により、高いレベルの競争力や社会成長が求

められており、適切なインフラ整備により、我々は比較可能な国々の現況に追いつくことができ

るのである。

この調査に用いられた手法は、それぞれの部門で、インフラのいくつかの目標に注目し、現

在のインフラ状況から設定された目標に到達するためのコストを推定することが基本である。可

能な部門では、2008 年 3 におけるペルーのインフラ基盤レベルの指標をチリの同時期のものと

比較している。このチリの指標を 2018 年までに達成すべき目標として設定している。比較は 3

つの部門'上下水道サービスの普及率、電話回線の普及率、電気の普及率(において行われ

ている。2018 年までの人口や計画された経済活動を考慮して、2018 年までにペルーが設定さ

れた目標を達成するために必要なインフラ成長率を計算している。運輸、電力の発電・送電、

ガス供給のケースでは、国によって地理的・経済的な違いが存在するうえ、指標が不足してい

るため、他の国々との比較をもとに目標値を設定することは適切ではない。したがって、これら

の部門には、まだ実施されていない投資やその部門が必要としている投資額を目標値として

採用している。目標値設定の情報源となったのは、業務委託契約より得られた投資確定額や

推定額、ペルー民間投資促進庁の推定、認められた民間のイニチアチブ、そして、国道・州

2 投資の結果が短期間'他の部門のように 10 年以内ではなく(で求められる運輸部門と天然ガス部門は除外する。国道・市町村

道網に関しては 2011 年までの期間、州道に関しては 2015 年までの期間が、参加型州道路網計画にしたがって考慮される。同様

に、電力部門の活動に対しては、入手できた情報の都合で、2017 年までしか見積もることができないため、9 年間の期間で検討し

ている。

3 2008 年時点の情報がない場合は、2007 年の数値を採用した。2007 年の数値を採用したのは、上下水道と電力普及の分野であ

る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 12 -

道・市町村道の建設計画である。

ここで、この調査で用いられた手法は、これまでの調査で用いられた手法とすべてにわたっ

て比較可能であるわけではない点について言及しておく必要がある。それは、現在入手可能

な情報に修正があったり、目標値を設定する考え方が変わったり、また、これまでの調査での

計算が全国レベルに対して付加的な方法で行われたりしたためである。それに対し、今回の

調査では、複数の部門において、州ごとの情報が収集されており、より詳細で正確なレベルで

の見積もりが可能となっている。しかしながら、運輸、非企業形態分野の上下水道、電力の発

電・送電、ガスなどのいくつかの部門においては、州レベルでの見積もりが結果的に適用不可

であったり、情報が入手できないといった理由で、全国レベルの情報をもとに算定を行ってい

る。

インフラへの投資必要額を計算するための目標値の利用について、これらの目標値には投

資の不均衡の計算に影響を及ぼす重大な要素が含まれていることも言及しておかなければな

らない。つまり、特定の 1 年間に見積もられた投資の不均衡は、別の期間に見積もられた不均

衡と直接比較することができないということである。それは、住民のサービスに対する需要や期

待値が大きくなり、さらに経済活動のレベルが上昇するため、さまざまな研究で利用された目

標値が時間の経過とともに増加する傾向があるからである。携帯電話技術が進歩し、携帯電

話の使用が一般的になるにつれ、携帯電話インフラへに対して設定された目標値がどんどん

増大していることが、その顕著な例である。2005 年にインフラの不均衡を算定する際に設定さ

れ、2015 年には達成できると見込まれていた携帯電話サービスの目標値は、もうすでに超え

てしまっている。しかしながら、新たな調査のために、最新の技術的・経済的現状に対応したよ

り高い目標が新たに設定されたため、再び携帯電話インフラに不均衡が生じているという結果

となっている。同様に、次の調査報告書が作成されるまでの間に、インフラ基盤レベルが他国

と比較して改善することで、目標値が上昇すれば、投資必要額も投資の不均衡も増加するで

あろう。ただし、このようになったとしても、ペルーのインフラ整備において悪影響を及ぼすこと

はないと考えられる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 13 -

この調査で導き出された結果に基づけば、2008 年のインフラ基盤における不均衡は全部で

377 億 6 千万 US ドルに上り、この額は国内総生産の約 30%を占めると推定される。国内総生

産に占める割合としては、この数値は 2005 年の調査の 33%を下回ってはいるが、絶対的に考

えれば、この間、多額の投資が行われたにもかかわらず、2005 年に見積もられた 228 億 7900

万 US ドルを上回っている。絶対的不均衡が増加した主な原因は、前項で示したように、不均

衡を見積もる際に使用した目標値が引き上げられたことにある。今回の調査において、引き上

げられた目標値のなかで目立っているのは、2005 年の計算には入っていなかった運輸と天然

ガスの 2 つの大きなプロジェクトが組み込まれたことによる 2008 年の不均衡に追加された 26

億 US ドル、2 つの大きな鉄道プロジェクトが組み込まれたことによる 23 億 US ドルの追加、新

たに 5 つの港湾プロジェクトが組み込まれたことによる 11 億 200 万 US ドルの追加、電話サー

ビス普及目標値引き上げによる約 60 億 US ドルの追加、下水処理にかかる目標値の設定によ

る約 9 億 US ドルの追加である。

算出された投資の不均衡の構成要素のなかで、運輸部門が最も大きな額を占めており、不

均衡全体の 37%となっている。それは、ペルー民間投資促進庁からのプロジェクト引渡しが遅

れており、これまでに実施された公共投資が十分ではなかったためである。2 番目に大きな割

合を占めているのは、電力部門と天然ガス部門であり、投資の不均衡全体でぞれぞれ 31.9%

となている。近年において、見込み以上に電力需要が増加したしたため、このような額になっ

ており、したがって、電力の供給に強い圧力がかかっている。3 番目に大きな割合を占めてい

るのが、上下水道部門であり、不均衡全体の 16.7%となっている。最後に、最も割合が小さい

のは、電気通信部門の不均衡であり、全体の 14.4%となっている。上下水道部門の不均衡の

全体に占める割合が尐なくなっているのは、用いられた手法と入手できた情報が一部で原因

となっている。つまり、料金徴収、サービスの提供時間、料金などの要素が不均衡に考慮され

ず、普及率'上限は 100%(、測定システム、上下水道システムの再整備の不均衡だけが、考

慮されているということである。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 14 -

表 1. インフラ基盤における投資の不均衡'2008 年(

'単位:100 万 US ドル、不均衡全体に対するパーセンテージ(

部門 2008 年の不均衡 %

運輸 13,961 37.0

空港 571

港湾* 3,600

鉄道* 2,415

道路網 7,375

上下水道 6,306 16.7

上水道 2,667

下水道 2,101

下水処理 1,538

電力 8,326 22.0

発電 5,183

送電* 1,072

電力普及* 2,071

天然ガス* 3,721 9.9

電気通信* 5,446 14.4

固定電話* 1,344

携帯電話* 4,102

合計 37,760 100.0

*前回の調査と比較可能な計算手法を使った部門。

ただし、その手法は比較可能であるが、設定された目標値はすべてのケースにおいて増加することに

注意が必要である。つまり、見積もられたインフラ基盤の不均衡は増加するということである。

注:ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH(のケースに関しては、この空港のインフラ基盤は需要以上のも

のであるため、特段、「投資の不均衡」とは言えない。さらに、認可を受けた企業は、第 2 滑走路の建設

を除いて、行わなければならない投資をすでに実行している。しかし、第 2 滑走路の建設は、2017 年ま

での推定発着便数の需要を超える投資になる可能性があるとこの企業は主張している。

インフラ基盤における投資の不均衡に関して、数々の進歩が示されているにもかかわらず、

インフラにおける資本のストックやサービスへのアクセスは未だ不十分であるという結果が出て

いる。したがって、民間投資にかかる障害を取り除き、公共投資における支出を改善するなど

して、民間投資を促進するような政策やメカニズムを計画する必要がある。

存在が確認された不均衡は、以前の投資計画から発生したのではなく、それぞれの分野に

おいて設定された目標に達成するために、今日、必要とされる投資全体から発生している。そ

のため、算出された全額は、これらの投資の現在の評価額とはみなすことができない。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 15 -

表2. インフラ基盤における投資の不均衡'2005年、2008年(

'単位:100 万 US ドル(

部門 2005 年の不均衡 2008 年の不均衡

運輸 7,684 13,961

空港 143 571

港湾* 695 3,600

鉄道* 17 2,415

道路網 6,829 7,375

上下水道 4,619 6,306

上水道 2,233 2,667

下水道 1,780 2,101

下水処理 606 1,538

電力 5,523 8,326

発電 3,979 5,183

送電* 228 1,072

電力普及* 1,316 2,071

天然ガス* 420 3,721

電気通信* 4,633 5,446

固定電話* 1,184 1,344

携帯電話* 3,449 4,102

合計 22,879 37,760

*前回の調査と比較可能な計算手法を使った部門。

ただし、その手法は比較可能であるが、設定された目標値はすべてのケースにおいて増加することに

注意が必要である。つまり、見積もられたインフラ基盤の不均衡は増加するということである。

表 1 の注を参照のこと。

今回の調査で必要と判断された投資額は、前回の調査に比べて、それぞれの部門で増加し

ている。しかしながら、前回と今回の調査結果を比較する際に注意しなければならない。それ

は、両調査の目的は同じであるが、上下水道、発電、道路網、空港の部門においては、用い

られた手法が変更されているからである。

同様に、採用された手法が変更になり、前回と今回の調査で出た投資額を比較するのは困

難であるため、2005年から2008年の間にそれぞれの部門で実施された投資額を分析すること

になった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 16 -

運輸部門

運輸部門に関して、不均衡を是正するために必要な投資額は、最近業務委託を受けたプロ

ジェクトから推定された投資合意と、短中期的 4 に引き渡される見込みのプロジェクトを基本に

計算した。同様に、道路網の不均衡には、道路網を通行可能な状態に整備するために必要

な投資が含まれている。国道と市町村道に関しては、運輸通信省'MTC(の戦略プラン

2007-2011 で推定された投資額が考慮された。州道に関しては、州によっては 2006 年から

2016 年までを考慮に入れる参加型州道路網計画を利用している。このように、運輸部門で用

いられた手法は、需要に対応するための投資の必要性が基本になっており、他の部門 5 で想

定された 10 年よりも短い期間を想定している。そうすることで、運輸インフラに関して、さまざま

な開発計画や業務委託計画が見出した不足分をカバーすることが出来る。チリの現在のイン

フラレベルを参考にしていないため、運輸部門で使われている手法は他の部門とは違ってい

る。それは、運輸サービス普及率を測るさまざまな指標を考慮し、そこから推定額を導き出す

のは実現不可能であるためである。さらに、すでに業務委託されたインフラが存在するため、

業務委託を受ける企業に要求可能な投資合意を考える際に、不均衡の一部はすでに資金を

調達できていることになる。

道路網

ペルーの道路インフラは全長 78,687 Km の幹線道路から構成されている。幹線道路は国道

(22%)、州道(18%)、市町村道(60%)の 3 つの種類に分類することが出来る。道路状況に関して、

道路網全体の 14%がアスファルト舗装されており、23%がコンクリート舗装、18%が砂利道、

45%が未舗装である

ペルーの運輸システムはアクセス性、通行可能性、信頼性、安全性において、国民の需要

を満たしていない。それは、主として、各種の運輸手段が連携して進歩していないこと、不十

分なインフラ基盤、低いサービスの質、信頼性の欠如などが原因となっている。

4 全国レベルで必要であり、2008 年緊急法第 047 号によりペルー民間投資促進庁が優先的に実行しているプロジェクトを含む。 5 道路網において特定の場合、国道・市町村道に関しては 2011 年まで、州道に関しては 2015 年までの期間が、参加型州道路

網計画にしたがって考慮される。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 17 -

すでに業務委託された幹線道路に関して、投資の不均衡全体として、契約のうちまだ実行さ

れていない投資額が考慮され、その額は 21 億 3200 万 US ドルにのぼる。

沿岸部,山岳部道路計画に組み込まれている幹線道路とそれ以外の民間投資促進プログ

ラムに組み込まれている幹線道路に必要とされる投資額には、ペルー民間投資促進庁が業

務委託に推定した投資額が採用され、その額はそれぞれ1億1100万USドルと1億6千万USドル

となっている。同様に、道路インフラ維持のための11のプロジェクトを実施するプログラマ・プロ

ジェクト・ペルーが必要とする投資額を約1億8700万USドルと推定した。

国道網と市町村道網'道路全体の82%(の不均衡の算定には、運輸通信省'MTC(の戦略

的計画2007-2011で設定された投資額が使われた。州道網に関しては、参加型州道路網計

画で設定された投資額'州によっては2006年から2016年までの投資額(と州政府の陸上運輸

プログラムにより2006年から2007年の間に実施された投資支出との差額が適用された。このよ

うに、国道網、市町村道網、そして州道網の不均衡の合計は47億8500万USドルとなった。

道路網全体の不均衡は73億7500万USドルに推定され、この額はインフラ基盤の不足、道路

分野への投資の遅れを反映し、運輸部門の不均衡全体の52.8%を占めている。業務委託契

約に含まれる投資合意金額は、21億3200万USドルにのぼっている。

運輸部門への投資の進歩に関して、民間は業務委託を受けた幹線道路に、2005年に作成

された報告書『ペルーが必要とするインフラ基盤』から2008年までをカバーする今回の報告書

までの間に10億1600万USドルを投入している。この額は2005年から2014年までの投資の不均

衡に関する前回の調査で推定された投資額の44.3%であり、このことは、2005年に設定された

目標値に対して大きな進歩があったことを示している。考慮に入れられた投資額は、企業によ

って実施された投資額よりも尐なくなっている可能性があり、より多額の投資額が考慮されてい

れば、44.3%を超えていた可能性がある。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 18 -

港湾

ペルーにおける公的利用の港湾システムは 11 箇所のターミナルで構成されており、11 箇所

のうち 7 箇所が沿岸に位置する海港であり、4 箇所が河川港である。民間が管理するマタラニ

港を除き、すべての港は、港湾公社'ENAPU(によって管理されている。コンテナ船の輸送に

関して、2008 年に港湾公社'ENAPU(は 140 万 TEU を取り扱った。このうち、86.2%がカジャ

オ港で運用された。貨物船 6 の輸送に関しては、2008 年、港湾公社'ENAPU(は合計 2440 万

メトリックトンの貨物を取り扱い、そのうち、1900 万メトリックトンがカジャオ港で運用された。

民間会社 Terminal Internacional del Sur S.A. (TISUR)は 1999 年にマタラニ港の業務委託を

受けた。TISUR は可動式クレーン、ベルトコンベアー、エアータワーなどのインフラに投資を行

い、その結果、2008 年にはマタラニ港は 1 万 9 千 TEU のコンテナ船、270 万メトリックトンの貨

物を取り扱うようになった。

港湾への投資の不均衡の合計には、契約で設定された投資額と 2008 年末までに投資され

た額の差額、港湾公社'ENAPU(が管理する港湾の業務委託に対してペルー民間投資促進

庁が推定した投資額、そして公的利用される民間港に対して計画中の投資額を計上してい

る。

業務委託された港湾に対する港湾インフラの不均衡全体には、投資契約と投入された投資

額の差額が適用されている。マタラニ港を管理する Terminal Internacional del Sur S.A.

(TISUR)は投資義務額をすでにカバーしているため、業務委託された港湾に対する不均衡は

Dubai Ports が管理するカジャオ南埠頭への未実施の投資額となっている。その額は、5 億

8800 万 US ドルであり、パイタ港に対する未実施の投資額は 1 億 2700 万 US ドルである。

港湾公社(ENAPU)が管理する港湾に対する不均衡は合計で 17 億 8300 万 US ドルと

なり、このうち、14 億 5900 万 US ドルはカジャオ港、3 億 2400 万 US ドルは地方のター

ミナルに割り当てられている。一方、公的利用される民間港のプロジェクトは 11 億 200 万

US ドルの投資を求めている。このように、港湾における不均衡は合計で 36 億 US ドルに

6 取扱貨物には、バラ荷、固体貨物、液体貨物、分割貨物、車両貨物、満載コンテナ船の正味重量が含まれる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 19 -

上る。業務委託契約での投資合意は 7 億 1500 万 US ドルの投資を保証しており、この額は

カジャオ港南埠頭とパイタ港の業務委託額に相当する。

2005年に作成された報告書『ペルーが必要とするインフラ基盤』から2008年までの間に港湾

部門に投入された投資額は4360万USドルに上っている。マタラニ港は業務委託契約で定めら

れた投資必要額を2005年から2008年の間にすでに達成していたため、前回の調査ではマタラ

ニ港に関しては不均衡が存在しないという結論が出ていたが、Terminal Internacional del Sur

S.A. (TISUR)は1460万USドルの投資をおこなっている。また、前回の調査で判明したカジャオ

港南埠頭の投資必要額がカジャオ港への投資額に含められていたため、業務委託を受けた

会社が行った投資額の増加'2900万USドル(をすべての港湾に対して推定された額'2005年

から2014年までで5億6千万USドル~7億3800万USドル(と直接比較することができない。

空港

現在、ペルーには145箇所の空港があり、このうち、11箇所が国際空港、20箇所が国内空港、

104箇所が飛行場、10箇所がヘリポートである。空港管理の一部はペルー民間空港管理会社

(CORPAC)が行っており、現在、4箇所の国際空港、14箇所の国内空港、23箇所の飛行場の

管理を担っている。同様に、39箇所の飛行場、3箇所のヘリポートは地方自治体、市町村、農

村コミュニティーなどの他の団体により管理されている。また、42箇所の飛行場と7箇所のヘリ

ポートは鉱山会社、石油会社、農産会社、個人、法人の管理下にある。ホルヘ・チャベス国際

空港(AIJCH)の管理に関して、2001年、リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(が業務委託を受

け、2006年12月、アエロプエルト・デル・ペルーが12の空港を一括して管理する委託を受け

た。

表3. ペルーにおける旅客輸送と貨物輸送'2008年(

空港 旅客'単位:100 万人( 貨物'単位:千メトリックトン(

ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH( 8.3 39.1

アエロプエルト・デル・ペルー(ADP) 2.0 23.9

ペルー民間空港管理会社(CORPAC) 2.9 8.4

合計 13.2 71.4

出典:運輸通信省'MTC(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 20 -

業務委託された空港におけるインフラの全不均衡は、合意された投資額と投入された投資

額の差額となっている。ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH(に対しては、2017年までに2億

9500万USドルの投資7が見込まれており、この額には需要の増加に応じて追加される投資額も

含まれている。アエロプエルト・デル・ペルー'ADP(が一括委託を受けた空港が必要とする投

資額は、1億980万USドルと見積もられた。

ペルー民間空港管理会社(CORPAC)が管理する空港へ求められる投資額は、ペルー民間

投資促進庁がSegundo Grupo de Aeropuertos de Provincia de la República del Perúの業務委

託に対して推定する投資額となった。この額はおよそ1億5700万USドルに上る。一方で、将来

的に業務委託される予定にまだ入っていないクスコ空港とナスカ空港の場合は、Currie &

Brown (2002年)、Silva Ruete (2004年)によって推定された投資額が必要であると考えられ、そ

の額はそれぞれ710万USドルと210万USドルである。

空港におけるインフラの不均衡は、合計で5億7100万USドルに達し、運輸部門の不均衡全

額の4.1%を占めている。投資の合意額は4億500万USドルとなっている。

空港部門における投資額の増加に関して、2005年に作成された報告書『ペルーが必要とす

るインフラ基盤』から2008年までの間に、民間は1億930万USドルを投資している。ホルヘ・チャ

ベス国際空港'AIJCH(の場合、前回の調査では、業務委託契約の基本に関して、2005年か

ら2008年の期間に必要な投資額は6290万USドルであると判断していた。2005年から2008年に

かけて、リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(に投資された1億410万USドルは、2005年の調査

で必要とされた投資額を上回っている。Primer Grupo de Aeropuertos Regionales の場合、前

回の調査では2005年から2009年までに8870万USドルの投資が必要であるとしていた。しかし、

運輸投資監督機構'OSITRAN(が確認した2005年から2008年までの投資額は、求められた額

のわずか5.9%にとどまっている。そのため、現時点でも、これらの空港への投資が必要とされ

ているのである。

7 ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH(の場合、この空港のインフラ基盤は需要以上のものであるため、特段、「投資の不均衡」とは

言えない。現時点で、認可を受けた企業は、2008 年 12 月までに行う義務のある投資をすべて実行している。第 2 滑走路の建設

は、実施義務のある事業であるが、需要とは関係がなく、国に収用される予定の土地を引き渡した後 5 年以内に第 2 滑走路の建

設を終えなければならない。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 21 -

鉄道

ペルーの鉄道システムには5つの鉄道網があり、そのうち2つは民間に業務委託が与えられ

ており、2つは政府が管理している。そして残りの1つは民間企業が運営を行っている。このよう

に、鉄道システムの総延長距離は1927 Kmあり、そのうち990 Kmは1999年より、アンデス横断

鉄道S.A. (FETRANSA)が業務委託を受けており、2路線を運行している。南路線'マタラニ,

フリアカ線、フリアカ,クスコ線、フリアカ,プーノ線(の主な利用目的は貨物輸送であり、南東

路線'クスコ,マチュピチュ線(の主な目的は旅客輸送である。

一方で、中央鉄道路線'カジャオ,ウアンカジョ線(の主な利用目的は貨物輸送であり、

1999年より中央アンデス鉄道が業務委託を受けており、総延長距離は約491 Kmである。また、

鉄道網のうち258 KmはSouthern Copper Perú Co.が運行する路線であり、この企業が操業す

る鉱山のトケパラやクアホネからイロ港まで貨物を運搬している。その次に、ウアンカジョ,ウア

ンカベリカ線の総延長距離は129Kmあり、運輸通信省の管轄である。最後に、最も短い鉄道

路線は、総延長距離が60Kmのタクナ,アリカ線であり、2004年末から、タクナ州政府が管理し

運営している。それ以前は3年間運行が休止されていた。

業務委託された鉄道に関して、投資の不均衡全体には、契約に記載された投資額と 2008 年

末までにすでに投資された額の差額が適用されている。しかしながら、中央アンデス鉄道だけ

でなく、アンデス横断鉄道(FETRANSA)も、これまでに契約された投資額はすでに上回ってい

る。そのため、南部鉄道 (FETRANSA)に対する投資の不均衡は含まれていない。しかし、中

央アンデス鉄道には、中央鉄道路線統合近代化計画とアンデス横断トンネルと近郊電車の建

設計画があり、これらにかかる投資はおよそ 3億USドルにのぼるものと推測される。したがって、

鉄道における投資の不均衡は推定額に一致するのである。

ウアンカジョ,ウアンカベリカ線への投資の不均衡を計算するにあたって、ペルー民間投資

促進庁がこのプロジェクトについて推定した業務委託額'1億1500万USドル(が考慮された。こ

のプロジェクトには鉄道網インフラの開拓、運営、メンテナンス、そして車両の整備や取得、さ

らに旅客だけでなく貨物に関する運輸サービス向上のための監督も含まれる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 22 -

最後に、ペルー民間投資促進庁が最近になって承認した民間イニシアティブに関しても考

慮されている。この民間イニシアティブは、アプリマク,マルコナ間の鉄道を建設するためのマ

プサ鉱山プロジェクトであり、その投資額は約20億USドルに上ると推定される。このように、ペ

ルーにおける鉄道インフラの不均衡は24億1500万USドルに見積もられた。

鉄道分野への投資の成長に関して、2005年に作成された報告書『ペルーが必要とするイン

フラ基盤』から2008年までの間に民間は2660万USドルを投資している。つまり、2005年8の調

査では、業務委託された鉄道に投資すべき額は、2005年から2014年まででわずか100万USド

ルとされていた。しかし、鉄道に実施された投資は2005年だけで640万USドルとなり、見積もら

れた投資の不均衡は1年以内に是正された。しかしながら、この投資額は鉄道部門の需要を

満たすには不十分であった。

上下水道部門

ペルーでは、国内都市部の上下水道サービスの提供の大半は上下水道企業体'EPS(が担

っている。上下水道企業体'EPS(は国家衛生事業監督庁'SUNASS(により管理されている。

2007年時点で、ペルーの上下水道部門には50の上下水道企業体'EPS(が存在し、EPS全体

で全人口の 61.3%にサービスを提供している。最大の上下水道企業体'EPS(であるリマ上下

水道公社'SEDAPAL(はペルー人全体の 29.9%にサービスを提供する義務を負っている。上

下水道企業体'EPS(のサービス提供地域に入っていないその他の人々(38.7%)は、基本的に

農村部にサービスを提供している都市部運営組織(9.5%)やコミュニティベースの組織'29.2%(

の管轄下に入っている。

近年では、ペルーの上下水道部門はあまり発展していない。主として、上水道サービス

(23%)9 も下水道サービス(38%)も普及率がいまだに低く、上水道のサービス提供時間'平均

17.4 時間(も短い点が問題である。さらに、この部門には下水処理の問題も存在する。下水の

大部分は何の前処理も施されずに最終処分へ回される。事実、2007 年における下水処理の

8 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(の調査による。2005 年に実施。 9 農村部においては、100 万人以上の人々、合計約 700 万人が上水道サービスを利用できていない。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 23 -

普及率はわずか 24%であった。

サービスの低い普及率に加え、都市部と農村部の間に普及率の大きな差が生じている。都

市部は企業形態のサービスを受けることができるが、農村部での基礎衛生サービスの提供は

コミュニティーベースの組織に委ねられているため、このような状況が生まれるのである。このよ

うに、全国レベルでの上水道普及率は 77%'企業形態運営で 82%、非企業形態運営で

62%(である。

上下水道インフラへの投資の不均衡は、10 年という期間を考慮して推定されている。ま

た、州レベルでの不均衡は、都市部の大部分に対しては 50 の上下水道企業体(EPS)の情

報を基に計算された。上下水道企業体(EPS)のサービス提供範囲は全人口の 61%である。

この計算には、現在のチリと同レベルに到達するために必要な上下水道・下水処理サービ

スの普及率向上、上下水道網の整備、測定システムの改善が含まれている。チリは現在南ア

メリカ地域の上下水道部門でトップレベルの国である。 これらの結果によると、50 の上下水道

企業体'EPS(にとって、インフラへの投資の不均衡は、今後 10 年間で 40 億 6200 万 US ドル

にのぼり、この額の 49%がリマ上下水道公社'SEDAPAL(に割り当てられることが求められて

いる。

非企業形態分野に関して、農村部の州レベルの情報が入手できないため、これらの農村部

における上下水道部門のインフラの不均衡を計算することができない。したがって、農村部に

対しては、チリの現状レベルに追いつくために、上下水道・下水処理サービスの普及率を向上

させることを考慮して国内レベルでの不均衡を計算することとした。また、農村部における上下

水道網を整備したり、水道メーターを設置したりするために必要な投資額も考慮されている。

上下水道企業体'EPS(のサービス提供エリアに入っていない都市部に関しては、最新の統計

資料が存在しない。したがって、国民衛生計画2006-2015がミレニアム目標を達成するために

求められる投資額を定めているため、今回の調査では、この額をその他の都市部運営組織に

必要とされる投資額と推定することにした。このように、非企業形態分野への投資額は22億

4400万USドルに達した。

上下水道部門全体での投資の不均衡は、63億600万USドルにのぼると推定される。この額

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 24 -

のうち、64%は企業形態分野に割り当てられる。 今回の調査で実施された見積もりは、厳格

には、前回のペルー経済研究所'IPE(の調査と比較することはできない。前回の調査では、上

下水道企業体のマスタープランで設定された投資額が用いられ、そこでは今回の調査よりも

基準の甘い10年間にわたる目標が設定されていた。今回、上下水道企業体'EPS(が投資5カ

年計画を打ち出しているところであり、企業形態分野の不均衡の計算には、上下水道網・下水

処理、測定システムの普及率をチリと同レベルにまで引き上げるための一人あたりの推定コス

トが使われた。このほかにも、上下水道網全体の整備にかかる一人あたりのコストも考慮されて

いる。

サービスのレベルに関して、最大の投資の不均衡は上水道に存在し、不均衡全体の42%と

なっている。一方、下水道サービス、下水処理サービスはそれぞれ不均衡全体の33%と24%

を占めている。

2005年に作成された前回の調査報告書『インフラ基盤における投資の不均衡』から2008

年までの間に上下水道部門で実施された投資に関して、前回の調査10で設定された投資期

間の20%が経過したが、投入された金額は不均衡として算出された投資額のわずか6.4%にと

どまっている。同様に、2002年から2005年の間に実施された投資のリズムは、10年以内に実施

するとして2005年に算定された投資の不均衡を是正するために必要な額の半分にも達してい

ない。

電力部門

近年において、電力需要が発電能力の拡大以上に増加しており、この需要増加による供給

に対する圧力が電力部門における大きな目標となって現れている。2000 年から 2008 年の間、

電力需要の年間成長率は 6.1%であるが、その一方で、発電能力は年間に 2.0%しか増加し

ていない。2005 年より、チルカ、エル・プラタナルの発電所やベンタニージャ発電所のコンバイ

ンドサイクル方式への転換などで、民間により多額の投資が行われている。

10 2004 年と 2005 年の投資額しか分からない。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 25 -

電力需要の増加は、送電線網の拡充や発電能力の拡大に追いついていないため、送電線

が飽和状態に陥っており、電力サービスの正常な提供に影響を及ぼしている。

一方で、2007 年の時点では、ペルーの人口の 20.5%'560 万人(が電力サービスにアクセス

できていない。農村部では、エネルギー鉱業省が普及率を向上させるための努力をしている

にもかかわらず、この割合は人口の 70.5%にのぼっている。電力普及率は州によって大きく異

なっており、カハマルカ州、ウアヌコ州、ロレト州のように、電化係数の低い州ほど、貧しい州で

あるということが判明している。そのため、特に農村部において、電力普及率を引き上げる努

力を推し進めることが最も大切である。

電力部門における不均衡の推定には、発電、送電、普及率での不均衡の推定が含まれてい

る。発電と送電の不均衡を計算するにあたっては、エネルギー鉱業省'MINEM(の電力関連

計画に従い、これら 2 つの活動への推定投資額を基本にしている。需要の推定に応じて投資

全体の状況を想定している電力関連計画 2008-2017 の予備情報を参考にしている。2009 年

から 2017 年までの需要平均成長率が考慮されている。比較可能な基準値を設定することがで

きないため、発電と送電における不均衡は、供給の確実性という技術的な要素も考慮に入れ

て、上記期間に推測されたエネルギー需要に応じて計算することにした。

発電量の拡大について、電力関連計画 2008-2017 の予備情報を利用している。ここでは、

2009年から2017年の間の需要増加を満足させるために求められる発電能力や投資額が発電

所の種類ごとに示されている。

さらに、送電についても必要な投資額が計算されている。この場合についても、電力関連計

画 2008-2017 の予備情報が使われている。ここでは、2009 年から 2017 年までの間の平均需

要増加率に応じて送電線網に必要とされる投資額が示されている。この投資額は業務委託さ

れたプロジェクト、今後業務委託される予定のプロジェクト、新規プロジェクトに分類される。

発電における不均衡を是正するための推定投資額は、51 億 8300 万 US ドルにのぼっており、

送電では 10 億 7200 万 US ドルとなっている。ともに全国レベルの数値である。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 26 -

供給については、ペルーのすべての州において電力公共サービス普及率を上げるために

必要な投資額が推定されている。ここでは、2007 年時点のペルーの普及率と 2006 年時点の

チリの普及率に関する情報が使われている。まず、チリでの普及率を参考にして、それぞれの

州の世帯レベルで普及率の目標値を設定した。そして、2007 年の接続数を推定し、チリでの

普及率に追いつくためには、2017 年にいくつの接続数が必要かを計算した。設置すべき接続

数を推定してから、1 接続あたりのコストを算定した。1 接続あたりの推定単価は農村部では

1030US ドル、都市部 11では 533USドルとなった。このコストはそれぞれの州におけるコストを計

算するために十分に検討された。そのために、都市部と農村部の住居の比率を考慮し、都市

部よりも農村部の電化により大きな重点が置かれた。最後に、導き出されたコストに、設置すべ

き接続数を乗じて、20 億 7100 万 US ドルという投資額が得られた。

このように、電力部門において推定された不均衡は全体で 83 億 2600 万 US ドルにのぼる。

ペルーには、発電と送電を担う企業をまとめる系統連携システムがあるため、不均衡は全国レ

ベルでみられる。

発電の場合、2005 年から 2008 年の間に、2005 年から 2014 年までの期間に対して推定され

た額の 32%が投資された。もし、投資が進み、2008 年の発電への投資額が今後も維持されれ

ば、2005 年の調査で必要とされた投資額を達成できるであろう。同様に、今回の投資の不均

衡に関する計算において、発電への投資が必要であるという結論になり、その額は 2009 年か

ら 2017 年の間、年平均で 5 億 7600 万 US ドルとなっている。つまり、1990 年以降の最大投資

額である 2008 年の年間 4 億 8400 万 US ドルという投資レベルが維持されれば、現在の不均

衡は是正されず、今後の電気エネルギー需要に応えることができないことになる。

送電に関して、2005 年から 2008 年の間に投資された額は、2005 年から 2013 年までの期間

に対して推定された額の 66%であった。もし、送電への投資リズムが今後もこのまま維持され

れば、2005 年の調査で明らかになった不均衡を是正することができるだろう。しかし、現在の

11 これらの額は概数である。農村部の住居への1接続あたりのコストの場合、この数値には、オペレーション、メンテナンスにかか

るコストが含まれておらず、電化する場所が離れているほど、このコストは大きくなる。この分野の専門家によると、山間部の農村で

は、このコストは世帯あたり 2,000US ドルにのぼる可能性があり、これらの地域での電化の必要性を考慮すれば、推定額は控えめ

の平均値であると考えられる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 27 -

投資額を維持していれば、今回の調査で明らかになった送電への投資の不均衡を是正する

には不十分である。

供給に関して、投資の不均衡についての調査が行われた 2005 年から 2008 年までの間に投

資された額は、前回の調査で投資の不均衡と判定された額の 71%であった。この 2005 年から

2008 年までの投資リズムが今後も維持されれば、2005 年に推定された不均衡は 2010 年には

解決できることになる。不均衡に関する今回の調査結果によると、2009 年から 2017 年までに

必要な年間平均投資額は 2 億 3300 万 US ドルとなっている。つまり、最近 4 年間の投資リズム

を維持すれば、2017 年には不均衡は是正できるということである。

天然ガス部門

カミセア天然ガスプロジェクトが開始される前、天然ガス産業の開発は中央密林地帯のアグ

アイティアガス田とピウラ油田・トゥンベス油田にあるガス田に限定されていた。 開発が遅れた

のは、埋蔵量が尐ないことと、ガス田がエネルギー消費地から離れているといった立地条件な

どが原因であった。

カミセアプロジェクトが近年において最も重要なエネルギープロジェクトであることに疑いの余

地はない。このプロジェクトが開始され、天然ガスの採掘、運搬、供給が始まったことで、ペル

ーのエネルギー基盤に大きな変革が起こった。

近年において、天然ガス部門が発展しているため、ペルーよりもインフラ基盤がはるかに発

展し、天然ガスの利用においても経験豊富な南アメリカ地域の他国と比較することは適当でな

い。さらにエネルギー基盤は、一人あたりのガス埋蔵量など、国によって異なっている。

天然ガス部門で用いられた手法は、他の分野では 10 年間で考えてきたが、ここでは 10 年間

よりも短い期間の需要に応えるための投資推定額が基本となっている。したがって、今回の調

査では、エネルギー鉱業省'MINEM(炭化水素局とこの部門の企業が 2009 年から 2012 年ま

でに天然ガス部門に対して実行すべきである推定した投資額を適用している。その額は 37 億

2100 万 US ドルにのぼっている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 28 -

投資の不均衡に関して、2005 年に実施された前回の調査では、リマ州の供給網拡充と地方

のパイプラインに対して 2005 年から 2014 年までに投入すべき投資額を 4 億 2000 万 US ドル

と見積もっていた。2005 年から 2008 年の間、リマ州の供給網に対して実施された投資額は、

前回の調査で明らかになった投資額の 63%に達している。つまり、現在の投資レベルが維持

されれば、2005 年の調査で推定された額に到達し、不均衡も是正できるということである。もう

一方で、2005 年から 2008 年の間、地方のパイプラインに対しては投資が行われなかった。し

かし、エネルギー鉱業省'MINEM(は 2009 年から 2012 年にかけて地方パイプラインの建設に

26 億 5 千万 US ドルを見積もっており、この額は天然ガスの生産量に応じて変化する。この投

資額が実行されれば、余りが出るほど、前回の調査で必要とされた投資額を満たすことができ

るであろう。

電気通信部門

近年において、電気通信部門は大きく成長し、2008 年には、住民 100 人あたりの固定電話

回線数は 10.3 に、携帯電話回線数は 74.9 に達している。このことは南アメリカ地域の他の

国々と比較して、特に、携帯電話分野での不均衡が小さくなったことを意味している。さらに、

人口だけでなく、地理的にも普及率は成長している。2008 年末、携帯電話が普及している地

区数は1833地区のうち1414地区に達している。つまり、恩恵を受けることができたペルー人が

増加しているということである。

電気通信部門が成長したのは、通話料金の引き下げ、先進技術へのアクセス、利用者増に

よる効率の上昇、市場における新製品・新サービス・新事業者の登場によるところが大きい。そ

の他では、国の経済成長が大きな要因となっており、この経済成長により、消費者の可処分所

得が増加している。

ペルーの固定電話インフラに対する 10 年間の不均衡を計算するに当たって、住民 100 人当

たり 20.8 回線というチリの現在の普及率を目標として採用している。今回の調査の目的が州レ

ベルでの不均衡を明らかにすることであるが、それが不可能であるため、州レベルでの固定電

話普及率を決定するために、ペルーとチリの人口を 6 つのグループに分ける比較手法が用い

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 29 -

られた。

携帯電話に関して、チリには携帯電話の普及率に関する州レベルの情報がないため、州レ

ベルでの比較を行う代わりに、シミュレーションを実施した。このシミュレーションでは、住民

100人あたりの携帯電話回線数が100に到達するような状況を想定した。この数値は国内総生

産から期待される成長率に応じて算出されたものである。まず、携帯電話普及率にしたがって、

各州を並べ、それからこれらの州を 6 つのグループに分ける。そして、最も普及率の低い州に

対して大きな成長を求めるような悲観的な状況下で目標を設定する。なぜなら、そこに携帯電

話普及率を向上させる最大の余地があるからである。

調査の結果、固定電話における投資の不均衡は 13 億 4400 万 US ドル、携帯電話では 41

億 200 万 US ドルと推定された。これは、前回の調査に対して、目標値が引き上げられたから

である。固定電話では、前回の調査よりも目標値が69%、携帯電話では218%増加しているの

である。注意しなければならないのは、携帯電話サービスの急速な拡大により、2006 年には前

回の調査で不均衡を是正するために必要であるとされた目標値をすでにクリアしているという

ことである。そのため、今回の調査ではさらに上を目指し、挑戦的な目標値を設定している。

電気通信サービスにおいて、ブロードバンド網開発の重要性が高まっている。しかしながら、

ブロードバンド網を拡充するために使われる技術の種類ごとのコストに関する情報がないため、

ブロードバンド網への投資の不均衡は算定されなかった。そのため、時間の経過とともに重要

性を増すブロードバンド網に対して大きな投資が必要となってくるであろうが、今回の調査に

は含まれていない。

電気通信部門においては、使われる技術が大きく変化するため、技術面に関する不確定要

素があることを考慮する必要がある。したがって、いつ、新たな技術が発明されるのか、どの方

向へ流れていくのか全く分からないため、コストを推定することはほぼ不可能である。

2005 年に実施された前回の調査でインフラ基盤における投資の不均衡を算定してから、

2008 年までの間に投入された投資額は、固定電話に対して推定された額の 83%となっている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 30 -

これらの結果によると、前回の調査で指摘された不均衡は、設定された 10 年間よりもはるかに

早く、2009 年には是正されることが分かる。しかし、電話業界の最新動向に追従するためには、

さらに高い目標が必要であるため、今回の調査は、電気通信部門にさらに高い投資額を設定

している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 31 -

1 はじめに

この調査報告書は、10 年以内に『インフラ基盤の不均衡』を是正するためにペルーが必要と

する投資額を見積もろうとするものである。この投資があれば、基礎インフラの供給が十分なレ

ベルに到達できるのである。十分なレベルとは後で述べるが、2018 年にかけての人口や経済

活動から割り出された需要を考慮している。適切なインフラ基盤が存在することは、近年、ペル

ーが続けている成長を維持するために重要である。経済市場の拡大だけでなく、現在の国際

経済危機も高いレベルの競争力を求めており、この競争力が高まれば、我々は比較対象国で

すでに達成済みの状況に追いつくことが出来るのである。

この調査で用いている手法は、それぞれの部門において、インフラ基盤のいくつかの目標値

に着目し、現在のインフラ状況からその目標値に到達するために必要なコストを見積もることが

基本となっている。可能である場合には、ペルーにおける 2008 年 12のインフラ基盤のレベルを

示す指標を、同時期におけるチリの指標と比較している。このチリの指標を 2018 年までに達成

すべき目標に設定している。この比較は 3 つの部門において行っており、上下水道サービス

普及率、電話回線普及率、電力普及率に基づいている。2018 年の人口や経済活動を考慮し

て、2018 年までにペルーが設定された目標に達成するために必要なインフラ基盤における成

長率が計算されている。運輸、電力の発電・送電、ガスの供給の場合は、他の国々との比較に

応じて目標を設定することができない。それは、各国間には地形的な違いや経済格差があり、

またデータが不足しているためである。したがって、これらの部門に対しては、業務委託契約

に記載された内容や投資推定額、ペルー民間投資促進庁の推定額、承認された民間イニシ

アティブ、そして、国道・州道・市町村道計画を情報源として、まだ実施されていない投資額、

あるいは、その部門が求める投資額を目標値に設定している。

言及しておかなければならないのは、この調査で用いた手法は、これまでの調査で用い

られた手法とすべてにわたって比較できるわけではないという点である。それは、現在入

手可能な情報に修正があったり、目標値を設定する考え方が変わったり、また、これまで

の調査での計算が全国レベルに対して付加的な方法で行われたりしたためである。それに

12 2008 年時点の情報がない場合は、2007 年の数値を採用した。2007 年の数値を採用したのは、上下

水道と電力普及の分野である。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 32 -

対し、今回の調査では、複数の部門において、州ごとの情報が収集されており、より詳細

で正確なレベルでの見積もりが可能となっている。しかしながら、運輸、非企業形態分野

の上下水道、電力の発電・送電、ガスなどのいくつかの部門においては、州レベルでの見

積もりが結果的に適用不可であったり、情報が入手できないといった理由で、全国レベル

の情報をもとに算定を行っている。さらに、用いられた手法が変更になり、投資の不均衡

に関する前回の調査で出た投資額と今回の調査による調査額を比較することが困難である

ため、前回の調査が実施された 2005 年から 2008 年の間にそれぞれの部門で実施された投

資額の分析を行っている。

インフラへの投資必要額を計算するための目標値の利用について、これらの目標値には投

資の不均衡の計算に影響を及ぼす重大な要素が含まれていることも言及しておかなければな

らない。つまり、特定の 1 年間に見積もられた投資の不均衡は、別の期間に見積もられた不均

衡と直接比較することができないということである。それは、住民のサービスに対する需要や期

待値が大きくなり、さらに経済活動のレベルが上昇するため、さまざまな研究で利用された目

標値が時間の経過とともに増加する傾向があるからである。携帯電話技術が進歩し、携帯電

話の使用が一般的になるにつれ、携帯電話インフラへに対して設定された目標値がどんどん

増大していることが、その顕著な例である。2005 年にインフラの不均衡を算定する際に設定さ

れ、2015 年には達成できると見込まれていた携帯電話サービスの目標値は、もうすでに超え

てしまっている。しかしながら、新たな調査のために、最新の技術的・経済的現状に対応したよ

り高い目標が新たに設定されたため、再び携帯電話インフラに不均衡が生じているという結果

となっている。同様に、次の調査報告書が作成されるまでの間に、インフラ基盤レベルが他国

と比較して改善することで、目標値が上昇すれば、投資必要額も投資の不均衡も増加するで

あろう。ただし、このようになったとしても、ペルーのインフラ整備において悪影響を及ぼすこと

はないと考えられる。

この調査で導き出された結果に基づけば、2008 年のインフラ基盤における不均衡は全部で

377 億 6 千万 US ドルに上り、この額は国内総生産の約 30%を占めると推定される。国内総生

産に占める割合としては、この数値は 2005 年の調査の 33%を下回ってはいるが、絶対的に考

えれば、この間、多額の投資が行われたにもかかわらず、2005 年に見積もられた 228 億 7900

万 US ドルを上回っている。絶対的不均衡が増加した主な原因は、前項で示したように、不均

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 33 -

衡を見積もる際に使用した目標値が引き上げられたことにある。今回の調査において、引き上

げられた目標値のなかで、目立っているのは、2005 年の計算には入っていなかった運輸と天

然ガスの 2 つの大きなプロジェクトが組み込まれたことによる 2008 年の不均衡に追加された 26

億 US ドル、2 つの大きな鉄道プロジェクトが組み込まれたことによる 23 億 US ドルの追加、新

たに 5 つの港湾プロジェクトが組み込まれたことによる 11 億 200 万 US ドルの追加、電話サー

ビス普及目標値引き上げによる約 60 億 US ドルの追加、下水処理にかかる目標値の設定によ

る約 9 億 US ドルの追加である。

算出された投資の不均衡の構成要素のなかで、運輸部門が最も大きな額を占めており、不

均衡全体の 37%となっている。それは、ペルー民間投資促進庁からのプロジェクト引渡しが遅

れており、これまでに実施された公共投資が十分ではなかったためである。2 番目に大きな割

合を占めているのは、電力部門と天然ガス部門であり、投資の不均衡全体でぞれぞれ 31.9%

となっている。近年において、見込み以上に電力需要が増加したしたため、このような額にな

っており、したがって、電力の供給に強い圧力がかかっている。3 番目に大きな割合を占めて

いるのが、上下水道部門であり、不均衡全体の 16.7%となっている。最後に、最も割合が小さ

いのは、電気通信部門の不均衡であり、全体の 14.4%となっている。上下水道部門の不均衡

の全体に占める割合が尐なくなっているのは、用いられた手法と入手できた情報が一部で原

因となっている。つまり、料金徴収、サービスの提供時間、料金などの要素が不均衡に考慮さ

れず、普及率'上限は 100%(、測定システム、上下水道システムの再整備の不均衡だけが、

考慮されているということである。

運輸部門に関して、必要な投資額は、最近業務委託を受けたプロジェクトから推定された投

資合意と、短中期的に引き渡される見込みのプロジェクトを基本に計算した。同様に、道路網

を通行可能な状態に整備するために必要な投資額は、運輸通信省'MTC(の戦略プラン

2007-2011 と参加型州道路網計画を利用して推定した。参加型州道路網計画では、州によっ

ては、2006 年から 2016 年までが考慮されている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 34 -

上下水道インフラへの投資の不均衡は、10 年という期間を考慮して推定されている。ま

た、州レベルでの不均衡は、都市部の大部分に対しては 50 の上下水道企業体(EPS)の情

報を基に計算された。上下水道企業体(EPS)のサービス提供範囲は全人口の 61%である。

この計算には、2007 年のチリと同レベルに到達するために必要な上下水道・下水処理サー

ビスの普及率向上、上下水道網の整備、測定システムの改善が含まれている。チリは現在南

アメリカ地域の上下水道部門でトップレベルの国である。

非企業形態分野に関して、農村部の州レベルの情報が入手できないため、これらの農村部

における上下水道部門のインフラの不均衡を計算することができない。したがって、農村部に

対しては、チリの現状レベルに追いつくために、上下水道・下水処理サービスの普及率を向上

させることを考慮して国内レベルでの不均衡を計算することとした。また、農村部における上下

水道網を整備したり、水道メーターを設置したりするために必要な投資額も考慮されている。

上下水道企業体'EPS(のサービス提供エリアに入っていない都市部に関しては、最新の統計

資料が存在しない。したがって、国民衛生計画 2006-2015 がミレニアム目標を達成するために

求められる投資額を定めているため、今回の調査では、この額をその他の都市部運営組織に

必要とされる投資額と推定することにした。

電力部門に関して、発電・送電のインフラ基盤を発展させるために必要な投資額は、エネル

ギー鉱業省'MINEM(の電力関連計画2008-2017の予備情報を基本に推定された。このイン

フラ基盤は、全国レベルで機能する相互連携システムの一部となっているため、投資必要額

はこのレベルで計算された。電力普及率に関しては、ペルーの各州に必要な施設を推定する

ため、2007年におけるチリの州別電化係数を比較点として利用している。天然ガス産業に対し

ては、エネルギー鉱業省'MINEM(と企業がこの部門に必要であると推定した投資額を適用し

ている。

電気通信部門の不均衡に関して、チリの2008年における普及率に到達するために必要な固

定電話普及率と携帯電話普及率の成長率を考慮することで、必要とされる投資額を州レベル

で推定することができた。今回の調査では、ブロードバンドサービスの提供にかかる投資必要

額は推定しなかった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 35 -

この報告書は次のように構成されている。まず、第2章から第6章までは、部門ひとつひとつ

'運輸、上下水道、電力、天然ガス、電気通信(について記述され、ひとつの部門はさらに項

目に分けられている。また、それぞれの章では、投資の不均衡、そして、投資の不均衡に関す

る調査の期限である2005年'部門によっては2003年、2004年まで(までにその部門のインフラ

で実施された投資推定総額が算出されている。第7章では、インフラ基盤と成長率の関連性に

ついて記述し、第8章では、インフラ基盤への投資に関する世界での実践が紹介されている。

最後に、第9章では、結論が述べられている。

2-運輸部門

2-1 道路網

2-1-1 国際的背景

ペルーは依然、中南米地域の中でも道路インフラ整備面で立ち遅れている。ペルーの道路網

は 79,000kmに達したが、コロンビア、ベネズエラ、チリのようなペルーよりも国土面積が小さな

国が、一層整った道路インフラ網を持っている。

図1. 中南米地域における道路総延長 国土面積※の大きな国から順に

'単位:千キロメートル(

※国により、入手可能な最新情報が異なる。アルゼンチン、ボリビア、コロンビアは2004年、ブラジル、エクアドル、メキシコ、ペル

ーは2006年、チリは2007年のデータを利用している。

出典:米国中央情報局'CIA(、運輸通信省'MTC(、ブラジル運輸省

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 36 -

道路総延長の他にも、国が所有する幹線道路の種類、すなわち、道路構成を考慮すべき

である。効率的な道路システムというものは、高い割合で通行可能な状態になければならない

からである。そのため、幹線道路のアスファルト舗装率を知る必要がある。ペルーはアスファル

ト道路の舗装率が、中南米地域で最も低い国の1つであり、ブラジル、ボリビアを上回るのみで、

道路網の 14%、つまり、およそ 11,000km が舗装されているだけである。一方、この地域のメキ

シコ、ベネズエラのような国は 30%以上、それぞれ 17 万 8 千 km、3 万 2 千 km がアスファルト

舗装された道路である。

図 2. 道路総延長に対するアスファルト舗装道路の割合*

'単位:%(

道路網の整備率と1人当たりの道路網を知ることにより、道路の開発度を正確に比較するこ

とができる。アスファルト舗装道路延長と国土面積・人口を関連づけるのである。アスファルト舗

装道路の整備率について、ペルーの現状は他の中南米諸国と比べて深刻である。ペルーは

国土 1000 平方キロメートルあたりのアスファルト舗装道路整備率は 8832 ㎞で、地域ではボリ

ビアを上回るだけである。一方、チリ、エクアドル、ブラジルでは、アスファルト舗装道路整備率

は 1000 平方キロメートルあたり平均 2 万 2899 ㎞に上る。また、ペルーは中南米で1人あたり

のアスファルト舗装道路が最も短い国の1つである。

* 国により、入手可能な最新情報が異なる。アルゼンチン、ボリビア、コロンビアは2004年、ブラジル、エ

クアドル、メキシコ、ペルーは2006年、チリ、アメリカ合衆国は2007年のデータを利用している。

出典:米国中央情報局'CIA(、運輸通信省'MTC(、ブラジル運輸省

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 37 -

図 3. 道路整備率

'単位:国土平方キロメートルあたりの距離km(

注:国により、入手可能な最新情報が異なる。アルゼンチン、ボリビア、コロンビアは2004年、ブラジル、エクアドル、メキシコ、ペル

ーは2006年、チリは2007年のデータを利用している。

出典:米国中央情報局'CIA(、運輸通信省'MTC(、ブラジル運輸省

図 4. 1人当たりの道路網

'住民 100 万人あたりの舗装道路 Km(

注:国により、入手可能な最新情報が異なる。アルゼンチン、ボリビア、コロンビアは2004年、ブラジル、エクアドル、メキシコ、ペル

ーは2006年、チリは2007年のデータを利用している。

出典:米国中央情報局'CIA(、運輸通信省'MTC(、ブラジル運輸省

1,623

1+223 メキシコ

1,715 ベネズエラ

1,050

アルゼンチン

チリ

1,000 ブラジル

465

414

エクアドル

ペルー

405 ボリビア

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 38 -

同様に、世界競争力報告書 2008-2009 によれば、幹線道路のインフラ整備の質に関して、

ペルーは 7 点満点の 2.6 点で、134 ヵ国中第 99 位である。他方、チリは 5.53 点で、ラテンアメ

リカ地域でトップ、世界ランキング第 22 位である。

図5. 幹線道路におけるインフラの質

(1= 開発が遅れている、 7= 高い整備率で開発が進んでいる)

出展:世界経済フォーラム、経営者意識調査(Excutive Opinion Survey)2008-2009

2.1.2 ペルーにおける道路事情

道路網の特徴

ペルーの輸送体系は国民が必要とするアクセスのしやすさ、通行性、信頼性、安全性の要

求を満たすものではない。これは主に、種々の輸送手段のアンバランスな成長、不十分なイン

フラ整備、低品質なサービス、インフォーマルな運用などによるものである。

ペルーの道路インフラを形成する幹線道路 78,687 ㎞は、国道(22%)、州道(18%)、市町村道

(60%)の 3 つの種類に分類される。国道網は国を縦横に走る主要幹線道路も含んでおり、地方

間を結ぶ最重要道路網である。この国道網は中心地と州の主要都市を結び、また交通基軸と

なって、他の2タイプの道路網とつながっている。道路網は道路表層の種類により、アスファル

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 39 -

ト舗装、砂利道、未舗装に分けられる。また、道路表層の状態によって、良好、普通、粗悪に

分類することができる。2006 年、アスファルト舗装された国道網の 34%は良好状態、一方、コ

ンクリート舗装の国道網のうち、状態が良好だったのはわずか 3%であった。さらに未舗装の

国道網は実質 100%が粗悪状態であった。

州道網は地方の重要幹線道であり、州都と郡都を結んでいる。州政府がこのインフラ管理の

責任者である。市町村道網とはその他の幹線道路と一般道路をいい、区都と集落を結んでお

り、市町村政府の管理下にある。運輸通信省(MTC)は、地方政府や市町村政府を支援し助言

する目的で、分散輸送インフラ整備の特別プロジェクトを策定した。

表4. 表層種類別道路構成'2006年( (単位:キロメートル、全体に対する%)

2003 年に道路網は総延長 78,396kmであった。つまり、3 年間で 291km拡張しただけであ

る。最も意義があると思われるのは、アスファルト舗装の幹線道路が 921km増加し、アスファル

ト舗装でない道路が 631km減尐したことで、2003 年と比較して進歩がみられる。

道路網

アスファルト

舗装 コンクリート舗装 砂利道 未舗装 合計

Km. % Km. % Km. % Km. % Km. %

国道 8,911 52% 5,901 35% 1,899 11% 326 2% 17,037 22%

州道 1,106 8% 6,015 42% 4,291 30% 2,839 20% 14,251 18%

市町村道 942 2% 5,959 13% 7,865 17% 32,632 69% 47,398 60%

合計 10,959 14% 17,875 23% 14,055 18% 35,797 45% 78,687 100%

出典:Instituto Cuánto (2008年)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 40 -

図6. 道路網の推移'2003年~2006年(

(単位:千キロメートル)

アスファルト舗装道路 未アスファルト舗装道路 合計

出典:Instituto Cuánto '2008年(

道路の維持管理に向けられた予算割合はここ数年減尐している。メンテナンス活動も減尐し

ており、何らかのメンテナンスが実施された道路はわずか 34%であり、継続的なメンテナンスを

実施しているのはわずか 12.5%の道路である。道路メンテナンスの一貫した政策欠如の結果

として、例えば 13、1992 年から 2005 年に実施された 1,357kmの幹線道路の再整備に投資さ

れた 71 億 8000 万 US ドルが無駄になっている。もし、国が前述の幹線道路のメンテナンスに

9800 万 US ドルを投資していたならば、このような事態は避けられたであろう。

道路の業務委託

近年、道路の業務委託件数がかなり増加している。2004 年までは業務委託は 2 件だけであ

ったが、'アレキパ ,マタラニ 14、アンコン , ウアチョ , パティビルカ(2008 年には 9 件の

業務委託実施中の道路があり、2009 年に 3 件追加された。

13 ペルー経済研究所'IPE((2008年)参照。 14 この業務委託は 2006 年末に失効し、大陸横断道路の第 5 区の新たな業務委託の一部として引き渡された。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 41 -

表5. ペルーにおける道路の業務委託'2009 年(

推定投資額

企業名 区間の総延長距離 業務委託された日/期間/'100 万 US ドル(

NORVIAL S.A. 5 号線(183 Km.):アンコン,ウアチョ,パティビルカ 2003 年1月15日 25 年 73

(161Km.)、アンコン,チャンカイ橋(22 Km.)

IIRSA NORTE S.A. 北アマゾン線(955 Km.):パイタ-ピウラ-オルモス- 2005年6月17日 25年 364

コラル・ケマード-リオハス-タラポト-ユリマグアス

INTEROCEÁNICA 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第2区間(300㎞): 2005年8月4日 25年 484

SUR - TRAMO 2 S.A.ウルコス-オコンガテ-マルカパタ-キンセミル-イナンバリ

INTEROCEÁNICA 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第3区間(403㎞): 2005年8月4日 25年 567

SUR - TRAMO 3 S.A.イナンバリ-プエルト・マルドナード-イニャパリ

INTERSUR 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第4区間(306㎞): 2005年8月4日 25年 342

CONCESIONES S.A.アサンガロ-マクサニ-サン・ガバン-イナンバリ

CONCESIONARIA 6号線(222㎞):プエンテ・プクサナ-セロ・アスル-セロ・カラベラ- 2005年9月20日 30年 229

VIAL DEL PERU パンパ・クラリータ-チンチャ・アルタ-サン・アンドレス-グアダルーペ

S.A.

SURVIAL S.A. 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第1区間(758㎞): 2007年10月23日 25年 99

サン・フアン・デ・マルコナ-ナスカ-アバンカイ-クスコ-ウルコス

CONCESIONARIA 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第5区間(827㎞): 2007年10月24日 25年 183

VIAL DEL SUR S.A. マタラニ-フリアカ(369㎞)、イロ-フリアカ-アサンガロ(458㎞)

CONCESIONARIO 全区間(78㎞):エンパルメ1B-ブエノス・アイレス - 2007年2月9日 15年 31

CANCHAQUE S.A. カンチャケ

OHL 4号線(362㎞):パティビルカ-カスマ-トゥルヒージョ- 2009年2月18日 25年 360

CONCESIONES エンパルメR01N-サラベリ

CONCESIÓN 全区間(76.5㎞):パサマヨ-オバロ・チャンカイ- 2009年2月20日 15年 34

CHANCAY-ACOS ウアラル-アコス

S.A.

OBRAS DE 全区間(47.6㎞):モクペ-カヤルティ-オヨトゥン 2009年4月30日 15年 17

INGIENERÍA S.A.

VÍAS DEL SOL ソル・高速道路(109.96㎞):トゥルヒージョ-チクラヨ- 2009年6月19日 25年 365

ピウラ-スジャナ

出典:OSITRAN,MTC ProInversión

5 号線

5 号線はアンコン , ウアチョ、アンコン , チャンカイ橋、ウアチョ , パティビルカの道

路区間を網羅しており、その総距離は 183kmである。2003 年にペルー政府と道路業務委託コ

ンソーシアム'Norvial S.A.(が契約書に署名し、5 号線は業務委託された。このコンソーシアム

は Graña y Montero S.A.と JJC 総合請負 S.A.が統合したものである。現在までのところ、現存

する幹線道路全体に改修工事や通常メンテナンス、定期メンテナンスを実施しており、契約書

に明記されたサービスを維持している。その上、サービスにおいて適切な標準が維持されてい

る。このことは、所要時間の短縮、快適性、交通オペレーション費の削減、そして、走行中の安

全性 15 に関わる重要な改善を意味する。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 42 -

IIRSA 幹線道路

ペルーは南アメリカ地域インフラ統合イニシアティブ'IIRSA(に参加しており、この構想は、

南米の 12 カ国が参加して 2000 年ブラジリアで開催された国と地域の代表によるサミットで生ま

れた。南アメリカレベルでの統合と開発をめざす9つの幹線道路が計画されており、ペルーは

そのうち次の 4 幹線に参加している。

・アマゾン地域幹線'ペルー、エクアドル、コロンビア、ブラジル(

・ペルー , ブラジル , ボリビア幹線

・太平洋・大西洋接続幹線'ブラジル,パラグアイ,ボリビア,ペルー,チリ(

・アンデス地域幹線'ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、ボリビア、チリ(

ペルーに関して IIRSA16 が想定する計画により、国境地域の商業活動が統合されることにな

る。ボリビア、ブラジルのアクレ州、ロンドニア州、マット・グロッソ州、マット・グロッソ・ド・スール

州、ペルーの南部の大型州によって構成された南米中西部のケースと同じである。さらに、ペ

ルーの北部、アマゾン、中部の州をブラジルのアマゾナ州とともに統合することだろう。アマゾ

ナ州の州都マナオスはアメリカ大陸の大開発促進地域の1つとなっている。

北アマゾン統合開発道路網(IIRSA Norte)は、ユリマグアス,タラポト,リオハ,コラル・ケマ

ード,オルモス,ピウラ,パイタの区間を指し、Andrade Gutiérrez 建設、Norberto Odebrecht

S.A.とGraña y Montero S.A.で構成された Eje Vial Norte 業務委託コンソーシアムへ業務委託

された。現在、この区間の所要時間は 36時間から18時間と半分に短縮され、パイタ,ピウラと

ピウラ,オルモスの区間で予定された第 1 期工事は 100%行われた。また、改修や建設工事が

実施された区間では交通量が 40%増加した。

南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)の第2、第3、第4区間は、ペルー政府と大陸横断業務委

託コンソーシアムが契約書に署名し、2005 年 8 月 4 日に業務委託された。第2、第3区間に関

して、コンソーシアムは Norberto Odebrecht 建設、Graña y Montero S.A.、JJC 総合請負 S.A.、

INTERSUR コンソーシアムによって組織された。第4区間については、Andrade Gutiérrez、

15 車両修理サービス、救急車、自動車保険、道路標識など。 16 IIRSA は 12 カ国の運輸、エネルギー、電気通信分野のインフラに関する関係機関を通じて、構成機関の連携を模索する対話

型フォーラムの一つである。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 43 -

Comercio Camargo Correa S.A.、Queiroz Galvao S.A.が参加した。主要な進展の中で際立っ

ているのは、所要時間がかなり短縮されたことである。第 2 区は 16 時間から 7 時間へ、第3区

は 17 時間から 8 時間へ、第4区は 11 時間から 7 時間へ短縮された。さらに、この3区間では

交通量が増加した。'第 2 区:500% 第3区:2,350% 第4区:169%(

南部大陸横断道路(IIRSA Sur)の第1、第 5 区間は、それぞれ 2007 年 10 月 23 日と 2007 年

10 月 24 日に業務委託された。業務委託権を落札した企業は、それぞれ Survial S.A.と

Concesionario Vial de Sur S.A.である。計画では、ブラジルの国境近郊に位置するイニャパリ

地方とペルー南部の沿岸部の港'サン・フアン・デ・マルコナ、マタラニ、イロ(を結ぶ。民間部

門が実施する投資は、砂利舗装区間のアスファルト舗装化によるレベルの向上と、計画に含ま

れているアスファルト舗装区間の改修工事に向けられる。特記すべきは既にこの区間の作業

が始まっていることである。

6号線

6号線はプクサナ橋,イングレソ・セロ・アスール,セロ・カラベラ,パンパ・クラリタ,インテ

ルカンビオ・チンチャ・アルタ,エンパルメ・サン・アンドレス,グアダルーペ区間を網羅する全

長 222kmである。業務委託契約書には、ペルーの Construcción y AdministraciónS.A.とエク

ア ド ル の Hidalgo&Hidalgo と ConorteS.A. が 組 織 す る Concesionaria Vial del

PerúS.A.(COVIPERUS.A.)が署名をした。2007 年 8月 28 日この契約書の補足 No.1 に署名が

された。それはプクサナ,セロ・アスール区間の南部パンアメリカンハイウェーに、スロープつ

き歩道橋の建設を許可し、同様に前述の区間で、2つの橋と1つの横断歩道の建設も現在計

画中である。それによって歩行者はパンアメリカンハイウェーを一層安全に移動できる。これら

全ての投資は業務委託会社の負担で実施される。

契約書に明記されたサービスを提供するために、プクサナ―セロ・アスール、サン・アンドレス

, グアダルーペの区間で改修工事、日常メンテナンス、定期メンテナンスの作業が実施さ

れている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 44 -

沿岸部,山岳部道路計画

沿岸部,山岳部道路計画は、運輸通信省(MTC)がペルー民間投資促進庁と協力して策定

した。主要目的はこの国の沿岸部と帯状に延びた山脈を結ぶ幹線道路の通行性を向上させ

ることであり、山岳部に住む農民が沿岸部の商業中心地へアクセスしやすくなることである。こ

の目的は各々の道路の必要性に応じたサービスレベルが得られるように、選別された道路 17

の業務委託によって達成されるだろう。技術的問題解決は業務委託会社に任せる。通行量の

尐ない道路に関しては、1 回または数回にわたる、政府による 100%までの融資の必要性が具

体化するだろう。工事に対する年払い(PAO)18 と、管理維持とオペレーションに対する年払い

(PAMO)19 がある。

特記すべきは、2007 年 2 月 7 日ペルー政府と Concesiones Canchaque の間で契約が交わさ

れ、エル・エンパルメ1B―ブエノス・アイレス―カンチャケ区間が業務委託されたことだ。この

区間は沿岸部,山岳部道路計画の一部である。しかしながら、計画された工事は 2008 年第2

四半期にスタートした。土地の譲渡、最終検証、運輸通信省'MTC)による最終検証の承認に

時間がかかったためである。

4号線

4号線'パティビルカ―トゥルヒージョ(は 2009 年 2 月 18 日スペイン資本のコンソーシアム

OHL Concesiones SL へ 25 年の期限付きで業務委託された。業務委託会社は競争入札で要

求された最低 170kmに加えて、パティビルカからトゥルヒージョ間に、北部パンアメリカンハイウ

ェーの第2車線の追加分 113.42kmを建設する。建設後はこの道路全体の工事やメンテナン

スを行う。見積もり投資総額は 36 億 US ドルである。

オバロ・チャンカイ / デスビオ・バリアンテ・デ・パサマヨ ― ウアラル ― アコス

オバロ・チャンカイ / デスビオ・バリアンテ・デ・パサマヨ―ウアラル―アコスの道路区間は、

コロンビアのConcesión Chancay-Acosコンソーシアムへ2009年2月20日に業務委託された。

17 現在までのところ、28道路が事前選別されており、ペルー全土に渡り約 1,530kmに及ぶ。 18 業務委託契約書に明記された投資要件に従って、区間内の改修工事や改善の実施に対する支払い。 19 業務委託契約期間中、区間内の維持、メンテナンス、オペレーションに対する支払い。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 45 -

このコンソーシアムは、建設に 3100 万 US ドル、メンテナンス作業に 200 万 US ドルを提示し、

76.5kmのこの道路を 15 年間建設し作業することで業務委託権を落札した。

ヌエボ・モクペ ― カヤルティ ― オヨトゥン

ヌエボ・モクペ―カヤ ルティ ―オヨトゥ ンの 道路区間は、ペルー資本の Obras de

IngenieríaS.A.(OBRAINSA)へ 2009 年 4 月 30 日業務委託された。15 年の委託期間中、この幹

線道路には道路 47.6kmの建設と道路メンテナンスが含まれる。OBRAINSA は、工事費の支

払い(PPO)として 1 年で 1 億 5600 万 US ドルを支払い、メンテナンスとオペレーション費の支払

い(PAMO)として 1400 万 US ドルを委託の 15 年間毎年投資することを申し出て許可された。

ソル高速道路'Autopista del Sol(

2009年6月19日、ペルー民間投資促進庁はソル高速道路'トゥルヒージョ ― スヤナ区間(

の業務委託許可をコンソーシアム Vías del Sol へ与えた。コンソーシアムのメンバーは、エクア

ドルの Hidalgo&HidalgoS.A.とペルーの Construcción y AdministraciónS.A.(CASA)。ソル高速

道路の委託期間は 25 年で、この道路の 109.96kmの建設と道路メンテナンス、11件の追加工

事が許可された。概算 36 億 5000 万 US ドルの投資である。

2-1-3 投資における不均衡の見積もり

業務委託された幹線道路

すでに業務委託された幹線道路において、投資約束が未だ果たされてない総額を投資の

不均衡としてみなしている。業務委託契約書に見込まれた投資額と実施された投資額に関す

る情報は、運輸投資監督機構'OSITRAN(から入手している。業務委託された幹線道路の不

均衡総額は 21 億 3200 万 US ドルに上る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 46 -

表6. 2009 年までに業務委託された幹線道路における契約投資額と投資された金額

'単位:100 万 US ドル(

道路区間 契約投資額/投資された金額

5号線(アンコン,ウアチョ、アンコン,チャンカイ橋、 ウアチョ,パティビルカ) – NORVIA 73 31

6号線(プエンテ・プクサナ-イカ) - COVIPERU 229 14

北アマゾン統合開発道路網(IIRSA Norte)* 364 210

南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)** 1,675 755

エンパルメ1B―ブエノス・アイレス―カンチャケ区間*** 31 5

4号線(パティビルカ,カスマ,トゥルヒージョ-エンパルメR01N-Salaverry 360 0

パカスマジョ-オバロ・チャンカイ-ウアラル-アコス区間*** 34 0

モクペ-カヤルティ-オヨトゥン区間 17 0

ソル高速道路'アウトピスタ・デル・ソル( 365 0

合計**** 3,148 1,016

*ユリマグアス–タラポト–リオハ–コラル・ケマード–オルモス–ピウラ–パイタ区間の業務委託会社:Eje Vial Norteコンソーシアム

**ウルコス–イナンバリ区間、イナンバリ–イニャパリ区間、イナンバリ–アサンガロ区間、サン・フアン–マルコナ–ウルコス区間、マララ

ニ–アサンガロ区間、イロ–フリアカ区間のこと。業務委託会社:CONIRSA,、INTERSUR、SURVIAL、COVISUR.

***沿岸部,山岳部道路計画に含まれる区間

****運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している投資額を投資済み金額とした。業務委託契約で見込まれた投資額について

検討する場合、投資計画段階での金額と業務委託会社が実際に投資した金額に差が生じている。例えば、5号線を管理する

NORVIALは全額で2億1030万USドルの投資を実施することを見込まれているが、2008年までに投資した額は7950万USドルに留

まっている。

出典:運輸通信省'MTC(、ペルー民間投資促進庁、運輸投資監督機構'OSITRAN(

運輸通信省'MTC(が管理する幹線道路

沿岸,山岳地帯の道路計画に含まれている幹線道路と、推進中のその他の幹線道路に必

要な投資は、業務委託契約のためにペルー民間投資促進庁が見積もった投資の総額として

考えられた。その金額はそれぞれ 1 億 1100 万 US ドルと 1 億 6000 万 US ドルに上る。さらに、

必要投資の中でプログラマ・プロジェクト・ペルーも考慮された。この計画には、予防という意識

を普及させることを目的にする道路インフラ維持のための 11 のプロジェクトが含まれている。こ

の目的は適切な方法で日常・定期メンテナンスを行うことで、道路の早期务化を防ぐことである。

この計画への投資はおよそ 1 億 8700 万 US ドルで見積もられている。

国道網と市町村道網の不均衡計算には、運輸通信省'MTC)による戦略的計画 2007-2011

で設定された投資総額が考慮された。州道については、参加型州道路網計画'州によっては

2006 年から 2016 年までの投資額(で設定された投資総額と、2006 年から 2007 年にかけて州

政府が陸上運輸プログラムで行った投資金額との不均衡が考慮された。このように計算すると、

国道網と市町村道網、同様に州道網の不均衡の合計は 47 億 8500 万 US ドルに達する。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 47 -

不均衡の合計と投資約束

道路網における不均衡の合計の見積もりは 73 億 7500 万 US ドルに上る。これは運輸部門の

不均衡合計の 52.8%にあたり、この部門の不十分なインフラ整備と投資進捗の緩慢さを反映し

ている。業務委託済み幹線道路の不均衡の計算には、業務委託契約に従って見積もられた

投資と運輸投資監督機構'OSITRAN(が認証した投資が考慮されたことを言及しておく。しか

しながら、これらの総額、企業の投資計画、計画どおり投資された金額にも不均衡がある。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 48 -

表7. 道路網における投資不均衡

'単位:100 万 US ドル(

道路区分 不均衡の

合計

確約された

投資額

業務委託された道路 2,132 2,132

4 号線(パティビルカ,カスマ,トゥルヒージョ-エンパルメ R01N 360 360

5 号線(アンコン,ウアチョ、アンコン,チャンカイ橋、ウアチョ,パティビルカ)

– NORVIA 42 42

6 号線(プエンテ・プクサナ-イカ) - COVIPERU 214 214

北アマゾン統合開発道路網(IIRSA Norte)* 153 153

南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)** 920 920

エンパルメ1B―ブエノス・アイレス―カンチャケ区間*** 26 26

パカスマジョ-オバロ・チャンカイ-ウアラル-アコス区間*** 34 34

モクペ-カヤルティ-オヨトゥン区間 17 17

ソル高速道路'トゥルヒージョ,スジャナ区間( 365 365

沿岸部,山岳部道路計画の道路 111 0

サルミジャ-パパヤル-マタパロ 3 0

ワウラ-サヤン-チュリン-リオ・セコ-エル・アオルカード-サヤン 56 0

カニエテ-ルナウワナ-スニガ 9 0

アプラオ-マチャウアイ-アンダウア 29 0

アティコ-カラベリ 14 0

ペルー沿岸部計画の道路 187 0

奨励中の道路 160 0

エヘ・デル・アマゾンセントラル 160 0

国道・市町村道網 4,351 0

州道網 434 0

合計 7,375 2,132

*ユリマグアス–タラポト–リオハ–コラル・ケマード–オルモス–ピウラ–パイタ区間の業務委託会社:Eje Vial Norteコンソーシアム

**ウルコス–イナンバリ区間、イナンバリ–イニャパリ区間、イナンバリ–アサンガロ区間、サン・フアン–マルコナ–ウルコス区間、マララ

ニ–アサンガロ区間、イロ–フリアカ区間のこと。業務委託会社:CONIRSA,、INTERSUR、SURVIAL、COVISUR.

***沿岸部,山岳部道路計画に含まれる区間

****リカルド・パルモ-ラ・オロヤ-ウアヌコ-ティンゴ・マリア-プカルダ区間、ラ・オロヤ-ウアンカヨ区間

*****全国レベルで必要であり、2008年緊急法第047号によりペルー民間投資促進庁が優先的に実行し

ているプロジェクトを含む。

******運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している投資額を投資済み金額とした。業務委託契約で見込まれた投資額につい

て検討する場合、投資計画段階での金額と業務委託会社が実際に投資した金額に差が生じている。例えば、5号線を管理する

NORVIALは全額で2億1030万USドルの投資を実施することを見込まれているが、2008年までに投資した額は7950万USドルに留

まっている。

出典:運輸投資監督機構'OSITRAN(、運輸通信省'MTC(、MEF、Provía Nacional,ペル-民間投資促進庁:Prov:ia national

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 49 -

2.1.4 道路網における投資の発展

インフラ整備における投資の不均衡に関する前回の調査では、2005 年から 2014 年に業務

委託する幹線道路に 22 億 8800 万 USドル必要であることがわかった。業務委託された幹線道

路に対して 2005 年から 2008 年までの期間に運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握した投資

は 10 億 1600 万 US ドルになる。把握された投資額は、企業が実施した投資を過小評価してい

るかもしれないことを言及しておく。例えば、NORVIAL'5号線(によれば 2008 年に 7950 万 US

ドルを投資したが、運輸投資監督機構'OSITRAN(は当時 3140 万 US ドルのみを把握してい

た。

2005 年から 2008 年に運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握した総額は、2005 年から 2014

年に不均衡を是正するために必要な投資の 44.3%にあたり、2005 年に設定した目標に対して

かなりの進歩がみられる。この投資の勢いを維持すれば、2005 年に見込まれた不均衡は予想

の 10 年で是正されるだろう。それゆえ、2005 年から 2008 年の調査で、業務委託済み幹線道

路に対して計算された投資不均衡の拡大は、2008 年の調査でより厳しい目標設定をした産物

として理解すべきである。

表8. 業務委託された幹線道路への投資額'2005 年~2008 年(*

'単位:100 万 US ドル(

投資開始年 2005年 2006年 2007年 2008年

5 号線(アンコン,ウアチョ,パティビルカ区間) 2003 9.4 4.3 13.6 4.1

6 号線(プクサナ-セロ・アスル‐イカ区間) 2005 0.0 5.9 3.0 5.5 南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第 2 区間** 2005 0.0 46.9 148.5 84.4

南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第 3 区間** 2005 0.0 60.9 111.8 118.6

南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第 4 区間** 2005 0.0 31.7 93.9 58.1

北アマゾン統合開発道路網(IIRSA Norte):パイタ‐

ユリマグアス区間** 2005 0.0 98.9 93.2 18.1

ブエノス・アイレス‐チャンチャケ区間 2007 0.0 0.0 0.0 5.0

合計 9.4 248.6 464.0 293.8

*運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している投資額。実際に投資された金額よりも尐なくなっている可能性がある。

**南部大陸横断道路網(IIRSA Sur)第 2、第 3、第 4 区間の業務委託に関して、投資額は概算であり公開用のものである。

出典:運輸投資監督機構'OSITRAN(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 50 -

2.2 港湾

2-2-1 国際的背景

世界のコンテナ取扱量は 2007 年に 4 億 1700 万 TEU21 に達し、その内訳はアジア 52%、ヨ

ーロッパ 18%、アメリカ 11%、南米 2%となる。そして、世界の 20 大港湾のうち、12 港が東アジア

に位置し、特に7港が中国にある。

図7. 世界のコンテナ取扱量'2007 年(

'単位:100 万 TEU(

出典:Cargo System

※2008 年のカジャオ港のコンテナ取扱量は 120 万 TEU であった。

南米で取扱量が多い港湾は、まずブラジルのサントス港で、2007 年にコンテナ最大取扱量

250 万 TEU を記録した。次にブエノス・アイレス港(170 万 TEU)が続く。カジャオ港は 102 万

21 コンテナ寸法の単位。1TEU は 20 フィートのコンテナ 1 つに相当する。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 51 -

TEU22 の第 3 位で、世界のリーダー港シンガポール(2790 万 TEU)の取り扱った貨物のほんの

一部である。

図8. 南米のコンテナ取扱量'2007 年(

'単位:100 万 TEU(

出典:CEPAL

※2008 年のカジャオ港のコンテナ取扱量は 120 万 TEU であった。

設備に関して、世界経済フォーラムの世界競争力報告書 2008,2009 によると、シンガポー

ルが港湾インフラ整備の品質において最も優れており、7点満点の 6.8 点である。それに対し

て、チリを除く南米地域のほとんどの国は平均点(4.1)以下である。チリは 134 カ国中 37 位、7

点満点の 4.9 点でこの地域のトップである。ペルーは 2.3 点で 127 位、統計で示された国の中

でほぼ最下位にいる。この大きな相違の理由の1つは、ペルーには大型港湾が 1 つしかない

が、チリにはイキケ港、バルパライッソ港、タルカウアノ港、サン・アントニオ港などの大型港が

いくつもあることである。そのことで貨物をより平均的に分配しやすくなり、カジャオ港が抱えて

いるような深刻なボトルネックを作ってしまうことを避けられる。

22 2008 年のカジャオ港のコンテナ取扱量は 120 万 TEU であった。 23 取扱貨物には、バラ荷、固体貨物、液体貨物、分割貨物、車両貨物、満載コンテナ船の正味重量が含まれる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 52 -

図9. 港湾インフラにおける質の指標

'1=開発が遅れている 7=十分に開発が進んでいる(

出典:世界競争力報告書 2008-2009

2-2-2 ペルーにおける港湾事情

ペルーの公共港湾体制は、11 ターミナルで構成されており、そのうち7ターミナルは沿岸部

に位置する海港であり、4ターミナルは河川港でアマゾン川、ウアヤガ川、ウカヤリ川、マドレ・

デ・ディオス川にある。さらに、言及しておきたいのは、燃料や鉱物といった特定の製品の扱い

を基本としている民間港が多くあることだ。公共港湾の管理運営責任者は港湾公社(ENAPU)

であるが、マタラニ港は例外で民間部門が運営している。

民間港

民間港では、2008 年に 33,200,000 メトリックトン以上の貨物の取り扱いがあった。この数字は

2006 年取り扱い貨物と比較して 40%増加している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 53 -

表 9. 民間港における貨物取扱量'2008 年(※

'単位:100 万メトリックトン(

※Terminal Multiboyas Repsol、T.P Chimbote、Terminal Multiboyas SDF の数値は、2007 年のものである。

出典:国立港湾当局(APN)

港湾ターミナル名 貨物取り扱量 PetroPerú 7.36 T.P Bayovar (Petroperu) 2.45 Muelle Talara (PetroPerú) 1.74 Multiboyas Conchán (PetroPerú) 1.28

Muelle Iquitos (PetroPerú) 0.97

Multiboyas Talara (PetroPerú) 0.93 Repsol 7.35 La Pampilla (Repsol YPF) 7.35

Terminal Multiboyas Repsol 0.00

T.P San Nicolas (Shougang Hierro Perú S.A.A.) 8.01 Punta Lobitos (Antamina) 2.04 Terminal Marino Pisco Camisea (Pluspetrol) 1.35 T.P Conchan (Cementos Lima) 0.99

T.P Ilo (Southern Perú) 1.31

Terminal Chimbote (Consorcio Terminales) 0.31

Terminal Mollendo (Consorcio Terminales) 0.99 Terminal Ilo (Consorcio Terminales) 0.55

Terminal Eten (Consorcio Terminales) 0.44

Muelle y Amarradero Ilo (Enersur S.A.) 0.38

Terminal Supe (Consorcio Terminales) 0.23

Terminal Salaverry (Consorcio Terminales) 0.36 Terminal Pisco (Consorcio Terminales) 0.30

Multiboyas Punta Tablones (Southern Perú) 0.30

T.P Chimbote (SiderPerú) 0.00 Juan Paulo Quay S.A.C. 0.22 Terminal de Liquidos (Tramarsa S.A.) 0.14 T.P Paramonga (Quimpac) 0.12 Zeta Gas Andino 0.24

Terminal Multiboyas Chimbote (Colpex) 0.06

Transportes y Almacenamiento de Liquidos S.A. 0.01 Terminal Multiboyas SDF 0.00 T.P Oquendo (Quimpac) 0.04 T.P Chimbote (Blue Pacific Oils) 0.07 T.P Chancay (Blue Pacific Oils) 0.04

Terminal de Atico (TASA) 0.00

Terminal Multiboyas Supe (Colpex) 0.01

合計 33.22

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 54 -

港湾公社'ENAPU(

コンテナ取扱量に関して、2008 年港湾公社'ENAPU(は合計 140 万 TEU を取り扱った。これ

は 2004 年と比較して 72.4%の成長を意味する。このうちカジャオ港は 120 万 TEU を取り扱い、

これは港湾公社'ENAPU(の総取扱量の 86.2%にあたる。それ故、カジャオ港はコンテナ取扱

量の最も多い港とみなされた。

次にパイタ港、イロ港が続く。その取扱量は港湾公社'ENAPU(の TEU 全体のそれぞれ

10.0%と 2.5%にあたる。

図 10. 港湾公社'ENAPU(ターミナルのコンテナ取扱量'2008 年(

単位:百万TEU

出典:港湾公社'ENAPU(

図 11. 港湾別港湾公社'ENAPU(ターミナルのコンテナ取扱量'2008 年(

出典:港湾公社'ENAPU(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 55 -

貨物の取扱量 23 に関して、2008 年港湾公社'ENAPU(は合計 24,400,000 メトリックトン取り扱

った。これは 2004 年と比較して 43.1%の蓄積成長を意味する。このうちカジャオ港は

19,000,000 メトリックトンを取り扱い、つまりこれは港湾公社'ENAPU(の総取扱量の 78.0%にあ

たる。それ故、カジャオ港はやはり貨物取扱量の最も多い港とみなされた。その後にサン・マル

ティン港、サラベリー港、パイタ港が続く。その取扱量は総貨物のそれぞれ 6.3%、5.2%、5.2%で

ある。

図 12. 港湾公社'ENAPU(ターミナルの貨物取扱量'2008 年(

単位:百万メトリックトン

出典:港湾公社'ENAPU(

図 13. 港湾別港湾公社'ENAPU(ターミナルの貨物取扱量'2008 年(

単位:%

出典:港湾公社'ENAPU(

、バラ荷、固体貨物、液体貨物、分割貨物、車両貨物、満載コンテナ船の正味重量が含まれる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 56 -

港湾で行われる主な活動は輸出入であり、2008 年には 119 万 TEU のコンテナと 22,400,000

メトリックトンの貨物取り扱いがあった。沿岸貿易や積み換えでは、2008 年に合わせて 21 万

TEU のコンテナと 1,950,000 メトリックトンの貨物を取り扱った。しかし、この取扱量は港湾使用

料を安くすれば簡単に増やすことができるだろう。

図 14. 活動種類別コンテナ取扱量'2001 年~2008 年(

出典:港湾公社'ENAPU(

図 15. 活動種類別貨物取扱量'2001 年~2008 年(

出典:港湾公社'ENAPU(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 57 -

コラム1:カジャオ港北埠頭近代化イニシアティブ

この調査では期待されるインフラ整備と現存のインフラ整備のレベルの差として、必要投資を

特定している。そのために期待されるインフラ整備の水準は、将来予想される国際競争の舞台

に挑めるように、できるだけ良いインフラ整備を得ようとすべきである。また、短期間に港湾イン

フラを改善する必要性が現実にあることも留意すべきである。特にカジャオ港で必要である。と

いうのは、積み換え貨物が集中することで、カジャオ港との競争に影響を及ぼす南米西海岸

地方(COAS)の国々で実施される投資プロジェクトがあったり、ペルーの市場開放の産物であ

るコンテナ取扱量の増加'輸出入('コンテナ取扱量は 2008,2020 年の期間、毎年 8%以上増

加すると見積もられている。(のためである。

このような意味で、カジャオ港は国内市場'輸入や輸出(の要求や南米地域の市場'積み換

え(の要求を効率的に全て受け入れる整った状態であるべきだ。積み換えの場合は利用者に

とって大変重要なことである。というのは、大型船が到着すると、より安い運賃や遠方の目的地

までの所要時間の短縮を確保し、その結果として貨物輸送の資金コストを削減するように、ペ

ルーの主要な貿易業者たちと直接交渉するという選択肢が非常に多くある。しかしながら、港

湾に投資する必要性や、カジャオ港を南米地域のハブ港にする必要性を認めながらも、政府

に真の決意はない。

現在までのところ、カジャオ港の港湾能力は輸出入の流れと同じスピードで伸びていない。

ゆえに次のようなことを引き起こしている。

・港湾公社'ENAPU(の施設使用料の上昇'埠頭の使用・船混みによる責任追及などを考慮し

て、コンテナあたり 500 US ドル~600 US ドル(

・湾で輸出入コンテナを保管できないことによる、税関手続きの緩慢さ。

・荷役設備の生産性の悪さや港湾の作業構造によって、船舶が荷役を終えるのに最長 4 日ま

でかかる。2009 年 4 月 7 日、カジャオ港北埠頭で 2 台のトランスファークレーンが始動した。こ

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 58 -

れによりこの遅延が縮小されるだろうことを言及しておく。

・Post-Panamax 型の船舶を受け入れるのに十分な水深はない。ゆえに、カジャオ港に到着す

る船舶は、船舶側が荷役設備を所有する必要がある。また、規模の経済効果によってコストを

削減できる大型船舶の入港を制限している。

このような状況に対処するために、中央・北埠頭のシーバースの全面的再建が最も必要であ

り、また、カジャオ港に大型船舶が姿を見せられるように適切な設備の導入も必要である。残

念であるが、現在までのところ政府は、「中央埠頭」「北埠頭」と呼ばれる改善工事を始める真

の約束をしていない。さらに、これらの埠頭に関して、設定総額'US$406,600,000(で業務委託

契約が締結されるとしたら、短期的にカジャオ港を支援するのに、この金額では十分でないだ

ろう。というのは、225 万 TEU の追加能力は発揮するだろうが、取り扱い貨物の伸びに従えば

2012,2013 年ピークに達するだろう。さらに、たとえ港湾公社'ENAPU(の計画がカジャオの

港湾能力を高めるとしても、そこには大型船舶に対する長期的な要求は考慮されていない。

図 16. カジャオ港に対する需要'2002 年~2025 年(

'単位:100 万 TEU(

輸入 輸出 積み替え

*2.75 は、現在の港湾公社の需要量 130 万 TEU、第一局面'2010 年(の南埠頭に対する期待需要量 100 万 TEU、第二局面

'2012 年(の南埠頭に対する期待需要量 45 万 TEU を足した数値。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 59 -

このような状況下、ドバイ・ポーツ・ワールドは総額 US$1,300,000,000 で、カジャオ港北埠頭

のオペレーションと全面的近代化に関する計画をペルー民間投資促進庁と国立港湾当局

(APN)へ提出した。この構想では、Post-Panamax 型の船舶'現在世界最大の船舶(用の4つの

シーバース、2つの小型船舶用シーバース、73 ヘクタールのコンテナヤードの建設、そして 17 台

の STS(ship to shore)クレーン、46 台の RTG クレーン'ラバータイヤード式ガントリークレーン(

の購入を検討している。結果として、埠頭は 120万台の 20フィートコンテナを取り扱う能力を持つ

だろう。その数字は実際には概算 300 万 TEU の取り扱いを示す。さらに長期的には

Post-Panamax よりも大型の船舶の入港が可能になり、10~15 年は追加改修の必要はないで

あろう。

出典:ドバイ・ポーツ・ワールド

カジャオ港南埠頭

サン・アントニオ、ブエノス・アイレス、カルタヘナといった南米の国が時間当たり 80 コンテナ

を取り扱っているのに対し、カジャオ港は現在 13 コンテナである。この理由は、2008 年当時カ

ジャオ港はトランスファークレーンも荷役用移動式クレーンも持たない唯一の大型港であった

ことにあり、リマ商工会議所(CCL)によると、その理由でその年 2 億 1400 万 US ドル余分な費用

がかかった。Guash(2002)によれば、この理由のためペルーの流通費用は売値の 34%を占め、

一方でチリは同じ流通費用で売値の 15%以下にあたる。しかし、2009 年 4 月 7 日カジャオ北埠

頭で 2 台のトランスファークレーンが始動した。これらのクレーンは1台あたり 1 時間におよそ 30

コンテナを取り扱えるが、今日までのところ、クレーン搭載船舶であれ、搭載していない船舶

'ギアレス(であれ、その最大能力を使った作業をしていない。

そういったことを考慮して、2006 年 7 月に南埠頭の建設と管理運営のため、ドバイ・ポーツ・

ワールド 24 とユニポート S.A.によるコンソーシアムと業務委託契約を締結し、ドバイ・ポーツ・ワ

ールド・カジャオ S.A.25 が設立された。この業務委託は 30 年の期限付きでおよそ 6 億 1700 万

US ドルと評価されている。この投資で南埠頭は契約終了時には、名目上概算で年間 85 万

TEU 追加取り扱いができる能力を持ち、カジャオ港の総能力は 2 倍になるだろう。同時に料金

23 取扱貨物には、バラ荷、固体貨物、液体貨物、分割貨物、車両貨物、満載コンテナ船の正味重量が含まれる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 60 -

は 50%安くなると、輸出業者協会(ADEX)は言っている。ペルーの国際取引の大部分はカジャ

オ港を通じて行われるので、このプロセスは重要である。

最初の契約で 3 億 6000 万 US ドルが投資され、6 台のトランスファークレーンを設置した、長

さ 650m、面積 145,000m2 のコンテナターミナルヤードを備えた2つのシーバース建設に使わ

れる。この投資は 2010 年に終了するが、カジャオ港が現在抱えている非効率的で長いプロセ

スを迅速化するために重要である。

マタラニ港

マタラニ港は 1999 年に南部国際ターミナル S.A.(TISUR)へ 30 年の期限、最長 60 年まで更

新可能という条件で業務委託された。この会社は使用権として 968 万 US ドルを最初に支払う

という売り込みで落札した。他の港湾と違い、この港は南パンアメリカン・ハイウェー、大陸横断

道路、沿岸道路、南部鉄道などの他の輸送手段と広く連結しており、そのおかげでボリビアや

ペルー南部全域と仕事ができる。このメリットで、以前はアリカ港のような周辺港へ向けられ

ていた貨物を呼び込み、競争ができるようになった。

2008 年マタラニ港のコンテナ取扱量は 1 万 9 千 TEU になった。それは 2003 年と比較して

193%の成長を意味した。同様に、2008 年の貨物の取扱量は 2,700,000 メトリックトンで、2003 年

と比較して 83.2%の成長を意味した。この成長の大部分は、港湾の効率性の改善や移動式ク

レーン、ベルトコンベヤー、荷役機械の設置のよるものであると考えるべきであり、そのおかげ

でコンテナや鉱物、穀物の移動がし易くなった。こうして、2002 年時間当たりの平均貨物取扱

量 170 メトリックトンが、2008 年には 310 メトリックトンになった。

2.2.3 投資の不均衡の見積もり

港湾における投資のトータル不均衡は、契約書で設定された投資総額、2008 年末までに

投資された金額、ENAPU が管理する港湾の業務委託のためにペルー民間投資促進庁が見

積もった投資総額、一般使用の民間港のために計画された投資金との差であると考えられ

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 61 -

た。

業務委託された港湾

現在ペルーには業務委託契約港湾が3港ある。まずマタラニ港が TISUR の管理運営下に

ある。最初の業務委託契約は 1999 年で、委託から最初の 5 年で 460 万 US ドルの投資約束

が規定され、その後追加契約で 2001 年 600 万 US ドルに増額された。この追加契約には、業

務委託契約で設定された前提条件 – トリガーと呼ばれる , が満たされるか如何による 920

万 US ドルの臨時投資の実施も含まれていた。さらに TISUR は自発的にターミナルや荷役場

の建設などの一連の工事の実施を決定した。それによって荷役の効率は高まるだろう。

他方、南埠頭は 2006 年 6 月 19 日ドバイ・ポーツ・ワールド・カジャオ S.A.へ業務委託され、

2008 年末には 2900 万 US ドルの投資が実施された。それによってこの港への投資要求は、業

務委託会社からの 6 億 1700 万 US ドル'工事と設備に 4 億 7300 万 US ドル 24 の投資と 1 億

4400 万 US ドルの追加補足投資(の技術提供という投資約束と、もう既に実施された投資であ

ると考えられた。

3 番目は 2009 年 3 月 31 日にペルー民間投資促進庁が、ペルー企業 2 社とポルトガル企業

1 社からなるユーロアンデス港湾ターミナル(TPE)コンソーシアムにパイタ港の業務委託契約の

許可を出した。TPE は 1 億 2700 万 US ドルという必要最小限の投資のほかに、インフラ工事の

ため 1 億 80 万 US ドルの追加投資の実施を申し出た。さらに、20 フィートコンテナを 120US ドル

に、40 フィートコンテナを 152.43US ドルにという最低料金の設定を申し出た。

業務委託契約港湾に対するインフラ投資のトータル不均衡は、投資契約と投資された総額

の差とみなされる。マタラニ港(TISUR)への課せられた投資は終了したので、業務委託契約港

湾への投資不均衡は、カジャオ南埠頭'ドバイ・ポーツ(とパイタ港への未投資額に相当する。

それは全体で 7 億 1500 万 US ドルに上る。

港湾公社'ENAPU(が管理する港湾と公的利用される民間港

24 この数字は技術提供の範囲以内で見積もられ、現在その価値は 3 億 2100 万 US ドルになると企業は見積もっていることを強調

しておく。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 62 -

港湾公社'ENAPU(が運営する港湾に対して検討された投資要求は、国立港湾開発計画

(PNDP)で定められた投資とみなす。

まず始めに、カジャオ港の改善に必要な投資を検討した。新中央埠頭建設の計画は、カジャ

オ港の第1、2、3、4埠頭の統合からなっており、2010 年に建設が始まり、1 億 2300 万 US ドル

の投資が必要になる。さらに、北埠頭'または第5埠頭(に関しては、埠頭のオペレーションや

全面的な近代化というドバイ・ポーツ・ワールドが提示した計画について、概算 13 億 US ドルが

必要投資の総額として考慮された。同様に、鉱物専用の新ターミナルも計画され、3600 万 US

ドルの投資が必要となるだろう。このようにカジャオ港改善のために必要とされる総額は 14 億

5900 万 US ドルに上る。

第二に、公的名義の港湾施設やインフラ整備に対して、民間投資で見積もられた投資契約が

検討された。PNDP の定めに準じたもので、投資額は 3 億 2400 万 US ドル 27 になる。

他方、民間企業が実施する一般使用の港湾に関する計画がある。その計画では調査や測深

のための一時的利用が国立港湾当局(APN)28 により承認されている。これらの港へはおよそ 8

億 200 万 US ドルの投資が期待される。同様に、強調しておきたいのは、鉄の輸出が目的のア

プリマック ― マルコナ鉄道計画の一環であるマルコナ港の建設に、鉱山業者マプサによるさ

らなる民間主導が検討され、最近ペルー民間投資促進庁から手続き許可を得た。投資金額

はおよそ 3 億 US ドルに上る。

不均衡の合計と投資の確約

ペルーの港湾インフラの不均衡の合計は 36 億 US ドルに上る。その不均衡は南埠頭とパ

イタ港の投資や、港湾公社'ENAPU(が運営する港湾への必要投資や、民間港のプロジェクト

の投資を考慮すべきである。この総額は運輸部門の不均衡全体の 25.8%にあたる。

表 10. 港湾インフラにおける投資の不均衡

27 この総額にはペルー民間投資促進庁が準備した一連の業務委託契約港湾の他に、チンボテ港も含まれる。 28 チャンカイ港を除く。その承認は調査終了時現在、手続き中である。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 63 -

'単位:100 万 US ドル(

港湾名 不均衡の合計 確約された投資額

業務委託された港湾 715 715

Terminal Internacional del Sur (Puerto

Matarani) 0 0

Muelle Sur 588 588

Paita 127 127

港湾公社'ENAPU(が 管理する港湾 1,783 0

Callao 1,459 0

Muelle Centro 123 0

Muelle Norte 1,300 0

Terminal de minerales 36 0

Salaverry 40 0

Ilo 100 0

San Martín 80 0

Iquitos 12 0

Pucallpa 14 0

Yurimaguas 20 0

Chimbote 58 58 0

公的利用される民間港 1,102 0 Ancón 60 0

Chancay 542 0

Marcona 300 0

Végueta 50 0

Ventanilla 150 0

合計 3,600 715 出展:OSITRAN、国立港湾開発計画、Prolinversión,DP World,MTC

2.2.4 港湾における投資の発展

続いて、業務委託契約港湾に対する民間部門による投資の推移が示されている。これは運

輸投資監督機構'OSITRAN(が承認した投資に相当する。その金額は 2005 年から 2008 年に

4360 万 US ドルに達した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 64 -

表 11. 業務委託港湾における投資額'2005 年~2008 年(※

'単位:100 万 US ドル(

業務委託開始年 2005 年 2006年 2007 年 2008 年

マタラニ港※ 1999 年 4.3 3.0 4.3 3.0

カジャオ港南埠頭 2006 年 0.0 0.0 0.0 29.0

合計 4.3 3.0 4.3 32.0

※運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している投資額

出典:運輸投資監督機構'OSITRAN(

2005 年に実施された調査報告書『ペルーが必要とするインフラ基盤・公共事業インフラにお

ける当投資の不均衡』29 では、2005 年から 2014 年に港湾公社'ENAPU(が管理する港湾への

必要投資が特定された。その調査でマタラニ港では投資不均衡は存在しないと推定され、業

務委託契約で規定された投資要求は既に満たされていた。しかしながら 2005 年から 2008 年

までに Terminal Internacional del Sur S.A. (TISUR)はこの港へ 1460 万 US ドル投資した。この

投資で 2005 年に特定された必要投資額を超えてしまっただろう。一方、この事前調査で特定

された南埠頭の必要投資はカジャオ港のそれに含まれていたので、業務委託会社の投資増

加額'2900 万 US ドル(を直接比較できない。 カジャオ港全体の投資見積もりは、2005 年から

2014 年までで 5 億 6000 万 US ドルから 7 億 3800 万 US ドルになった。

2.3 空港

2.3.1 国際的背景

近年、世界的に航空旅客輸送に活力がある。その数は 2007 年に 47 億 9600 万人に達し、

2003 年と比較して 36%の伸びを意味する。この世界的な成長にもかかわらず、ラテンアメリカ・

カリブ諸国の航空旅客輸送は、2007 年全旅客数のたった 7%で世界的に重要性が低く、アフリ

カと中東を上回っただけである。国別旅客数では、アメリカが世界全体の 30%を占めて第一位、

次に中国でその数はアメリカの 4分の 1'全旅客数の 7%(である。イギリスとスペインはそれぞれ

5%と 4%を占める。

29 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(の調査による。2005 年に実施。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 65 -

図 17. 世界レベルでの旅客輸送の分布'2007 年(

単位:乗客数全体に対する%

出典:国際空港委員会(ACI)

空港別輸送に関して、2007 年旅客数における世界の主要空港はアトランタとシカゴで、その

年間旅客数はそれぞれ 8,900 万人と 7,600 万人であると国際空港委員会(ACI)が示した。この

結果は、アトランタ空港はデルタ航空会社の流通センター、つまりハブ空港として使用されて

おり、またシカゴのオヘア国際空港はユナイテット航空の最大ハブ空港であることが大きいと

説明できる。

一方で、航空貨物輸送に関して、メンフィスと香港の空港がそれぞれ 3,840,000 メトリックトンと

3,773,000 メトリックトンの輸送でトップである。この結果は、同様に、メンフィス空港がフェデック

スのハブ空港として使用されていることが大いに関与する。

ラテンアメリカでは、メキシコシティの空港が最大旅客輸送空港で 2007 年に 2,590 万人に上

った。貨物輸送については、サンパウロのグアルーリョス空港 30 が最大重量 424,200 メトリックト

ンを取り扱った。ペルーの主要空港ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の場合、2007 年 720 万

人の旅客と217,800 メトリックトンの貨物を輸送した。つまり、ペルーは中南米地域の主要空港よ

りも遅れている。2008 年ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の輸送量は旅客数 830 万人、貨物

239,100 メトリックトンに増加した。

30 サンパウロには国際空港が3つある。それらは、カンピーナス空港、グアルーリョス空港、コンゴーニャス空港である。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 66 -

図 18. 南アメリカ地域の旅客輸送に関する空港ランキング'2007 年)

(単位:乗客数 100万人)

※2006 年の数値 ※※2008 年のホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の旅客数は 830 万人であった。

出典:国際空港委員会'ACI(、ブラジル国防省、エクアドル民間空港局、運輸通信省'MTC(、各空港の年間記録

図 19. 南アメリカ地域の貨物輸送に関する空港ランキング'2007 年((単位:千メトリックトン)

※2006 年の数値

※※2008 年ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)が取り扱った貨物量は 23 万 9100 メトリックトンであった。

出典:国際空港委員会'ACI(、ブラジル国防省、エクアドル民間空港局、運輸通信省'MTC(、各空港の年間記録

空港インフラに関しては、世界競争力報告書 2008,2009 の空港インフラの質に関する指標

で、ペルーは 7 点満点の 3.9 点で 134 カ国中第 94 位である。この結果の主な理由の 1 つに、

業務委託契約の相次ぐ延期によって、空港インフラ整備の頻度を増やしたり、効率性を高める

ための投資が不足していることが挙げられる。まず 2004 年 2 月から 10 月に第1次空港業務委

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 67 -

託 31 が決定したが、コンセッション契約は 2006 年にされたばかりである。追加すると、6空港の

業務委託を含む第2次は、2009 年第 3 四半期末に契約されると予測している。際立っている

のは、チリが空港インフラの質指標において、7点満点中 5.9点で中南米地域の最高位にいる

ことである。この結果はチリで空港業務委託が早期になされたことによる。イキケ空港とプエル

ト・モン空港は 1996 年に業務委託された。現在 10 の空港が業務委託されており、2 億 6820

万 USドルがそこに投資される。これらの空港の中で最も重要なのはサンティアゴ空港で、旅客

数激増に伴う国内線専用ターミナル建設のために US ドル 5 千万 US ドルから 6 千万 US ドル

の投資が必要だろう。

図 20. 空港インフラの質指標

'1=開発が遅れている 7=開発が十分に進んでいる(

出典:世界競争力報告書 2008-2009

2.3.2 ペルーにおける空港事情

現在ペルーは 145 航空ターミナルを所有しており、その内訳は 11 の国際空港、20 の国内空

港、104 の飛行場と 10 のヘリコプター発着場である。空港管理の一部はペルー民間空港管理

会社(CORPAC)が担い、実際4つの国際空港、14 の国内空港、23 の飛行場の管理を行って

いる。同様に 39 の飛行場と 3 つのヘリコプター発着場は、州政府、市町村、農村コミュニティ

ー、地元団体など他の組織が運営している。また数社の鉱山会社、石油会社、農産加工会社

31

2004 年 2 月にペルー民間投資促進庁が策定し、同年 3 月 24 日に認証された民間投資促進計画による。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 68 -

や一般人や法人が、42 の飛行場と7つのヘリコプター発着場を所有している。最後に、ホル

ヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の管理に関しては、2001 年、リマ・エアポート・パートナーズ

'LAP(が業務委託を受けた。一方で、2006 年 12 月、アエロプエルトス・デル・ペルーが 12 の

空港を一括して管理する委託を受けた。

表 12. 一括業務委託された空港と一括業務委託予定の空港'2008 年(

第一次一括業務委託 第 2 次一括業務委託 当初の計画 変更後 当初の計画 変更後

アンタ・ウアレス アンタ・ウアレス アンダウアイラス

カハマルカ カハマルカ アレキパ アレキパ

チャチャポジャス チャチャポジャス アヤクーチョ アヤクーチョ

チクヤヨ チクヤヨ クスコ

イキトス イキトス ナスカ

ピスコ フリアカ フリアカ

ピウラ ピウラ プレルト・マルドナード プエルト・マルドナード

プカルパ プカルパ タクナ タクナ

タララ タララ

タラポト タラポト

トゥルヒーヨ トゥルヒーヨ

トゥンベス トゥンベス

11 12 7 6 出典:ペルー民間投資促進庁

ペルー全体の航空旅客市場は 2001 年から 2008 年までの間、さらに大きく 85.5%成長した。

このように、2008 年ペルーの旅客輸送は 1320 万人に達し、そのうちの 65.6%は国内旅客輸送

であった。

図 21. ペルー航空旅客輸送の推移'2001 年~2008 年(※

'単位:乗客数 100 万人( 国内旅客 国際旅客

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

※概算 出典:運輸通信省'MTC(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 69 -

一方、航空貨物輸送についても、2001 年から 2008 年 271,400 メトリックトンに達した 89.3%の

成長は評価できる。その最大活力は国際貨物輸送にあり、同時期に 110.5%以上伸びた。一方

国内輸送貨物は 42%の伸びにとどまった。

図 22. ペルー航空貨物輸送の推移'2001 年~2008 年(※

'単位:千メトリックトン(

国内貨物 国際貨物

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 ※概算 出典:運輸通信省'MTC(

ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)空港は 2008 年航空旅客輸送で 62.6%、航空貨物輸送で

88.1%という高いシェアを維持したことを述べておく。

ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)

2008 年ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の旅客輸送は国際輸送 460 万人、国内輸送 370

万人で、全体で 830 万人に上った。2001 年から 2008 年ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の

旅客輸送の成長率は 89.9%で、特に 2007 年は 23.5%という最大の伸びだったことは極めて重

要である。この成長はホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)を南米地域の国際ハブ空港にすると

いう LAP 計画と一致がみられる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 70 -

図 23. ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)における旅客輸送の推移'2001 年~2008 年(※

'単位:乗客数 100 万人(

※概算 出典:運輸通信省'MTC(

航空貨物に関しては、2008 年 239,100 メトリックトン弱を輸送し、2001 年から 2008 年に 107.5%

の伸びを示した。この 87.3%は国際貨物であることを強調しておく。日あたり 8,000 メトリックトンま

で取り扱う能力を得るため、2007 年 LAP が約 300 万 US ドルを LAP の貨物・航空郵便センタ

ーへ投資したからである。

図 24. ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)における貨物輸送の推移'2001 年~2008 年(※

'単位:千メトリックトン(

※概算 出典:運輸通信省'MTC(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 71 -

第一次一括業務委託

空港の第一次一括業務委託のため、ペルー民間投資促進庁は一般入札を呼びかけたが、

入札企業は空港を管理し維持する 32 ために最低限の標準品質を確保して、国の支払いを尐

なくすることで競争しなければならなかった。2006 年 12 月 11 日、アエロプエルトス・デル・ペル

ー'ADP)33 は唯一の入札企業 34 として、初回 PAMO'維持と管理運営にかかる支払い(に 940 万 US ド

ルで申請して委託権を得た。PAMO は TOR や業務委託契約に従って毎年調整されることに

なっている。これは、これらの空港の旅客数と貨物量が尐ないためであり、空港の適切なオペ

レーションと維持管理を保証する最低限の収入が必要である。このように業務委託空港のほと

んど全てが年間旅客数 30 万人を下回る。55 万人と 33 万人の旅客輸送を持つイキトス空港と

プカルパ空港は除く。

旅客数と貨物量において、2008 年、アエロプエルトス・デル・ペルー(ADP)は 200 万人の旅

客と 24,000 メトリックトンの貨物の輸送に達した。これはペルー国内の総旅客輸送と総貨物輸

送のそれぞれ 15.3%と 9.1%にあたる。さらに、イキトス空港は年間 1 万 6 千メトリックトンの最大貨

物輸送と 55 万人の最大旅客輸送を記録した。

32 業務委託契約落札の競争条件は、維持と管理運営にかかる支払い(PAMO)がより尐ないことであった。 33 この企業は航空貨物の保管と取り扱いをする GBH スイスポート・ペルーと、空港委託業務の経験のある GBH インベストメントか

らなるコンソーシアムである。 34 もう 1 社の入札企業アエロプエルトス・ウニードス・デル・ペルーは 2006 年 8 月 15 日に撤退を決定した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 72 -

表 13. アエロプエルト・デル・ペルー'ADP(の取り扱い貨物量と旅客数'2008 年(

空港 旅客数 貨物量(トン)

イキトス 549,628 16,014

プカルパ 330,007 3,247

タラポト 268,673 1,673

トゥルヒーヨ 264,138 525

ピウラ 245,312 1,133

チクヤヨ 177,826 557

カハマルカ 97,206 502

トゥンベス 60,471 199

ウアラス 9,536 0

タララ 6,177 8

ピスコ 3,557 0

チャチャポジャス 1,755 13

合計 2,014,286 23,871

出典:アエロプエルト-デル-ペルー(ADP)

2.3.3 投資の不均衡の見積もり

業務委託された空港

最初に、2001年2月に業務委託契約が締結されたホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)につい

て述べる。リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(は、業務委託を受けた30年間に、ホルヘ・チャ

ベス国際空港(AIJCH)に対して、およそ10億6100万USドルを投資する予定である。この業務

委託契約では、契約が成立した時点から数えて最初の36ヶ月が経過した時点で尐なくとも

2500万USドル、42ヶ月経過の時点で8000万USドル、4年経過の時点で1億1000万USドルをそ

れぞれ投資することが目標となっている。最初の期間'2001年~2008年(だけでなく、最後の

期間'2009年から業務委託が終了するまで(においても、リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(

は必須の改善と追加の改善を実行することを義務付けられている。2001年から2008年の間に

リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(が実施した投資額は2億5700万USドル35にのぼり、最初

の期間の投資目標額を達成している。 リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(は最近、19のボ

ーディングブリッジなどの設備を備え、旅客数1050万人の処理能力を持つターミナルの運用

を開始した。この投資は2008年末には旅客数830万人の処理能力を備えるという条件を大きく

上回っている。 また、リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(は2001年から2017年に実施しなけ

ればならない今後の投資額についても試算しており、その額は5億5200万USドルとなっている。

35 この額のうち、運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している額は、19560 万 US ドルのみにとどまる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 73 -

そのため、2009年から2017年までに実施すべき投資額は2億9500万USドルであり、この額が

達成されれば、2017年時点で推測される処理能力でIATA Bの求めるサービスレベルを満た

せることになる。一方で、第2滑走路の建設が未着手の状態になっているが、これは2017年前

に達成しなければならない発着数の需要レベルとは関係がない必須の改善となっている。リ

マ・エアポート・パートナーズ'LAP(によると、この理由で、第2滑走路の建設は「投資の不均

衡」とみなすべきでないとしている。

次に、アエロプエルトス・デル・ペルー'ADP)が委託を受けている地方空港の第一次一括業

務委託について言及する。運輸投資監督機構'OSITRAN(が認識しているアエロプエルトス・

デル・ペルー'ADP)による投資額は2008年までで520万USドルにのぼっている。投資の確約

が約1億1500万USドルであることから、不均衡は1億980万USドル36と見積もることが出来る。

ペルー民間空港管理会社(CORPAC)が管理する空港

ペルー民間空港管理会社(CORPAC)が管理する空港に対する投資の必要額は、ペルー民

間投資促進庁がペルー共和国地方空港第2グループに対して推定した投資額となっており、

その額はおよそ1億5700万USドルである。また、クスコ空港とナスカ空港の場合は、業務委託

の今後の予定に入っていないため、Currie & Brown (2002年)とSilva Ruete (2004年)により必

要な投資であると考えられており、その額はそれぞれ710万USドルと210万USドルである。

不均衡の合計と投資の確約

空港部門における不均衡は合計で5億7100万USドルに達し、運輸部門における不均衡全

体の4.1%を占めている。空港部門への投資の確約は4億500万USドルである。

36 すでに業務委託されているインフラ基盤が存在するため、不均衡の一部は、業務受託企業に要求可能な投資の確約となり、

すでに資金調達の目処がついている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 74 -

表14. 空港インフラにおける投資の不均衡

'単位:100万USドル(

空港 不均衡の合計額 確約された投資額

業務委託された空港 405 405

ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH) 295 295

アエロプエルトス・デル・ペルー'ADP) 110 110

ペルー民間空港管理会社(CORPAC)が管理する空港 166 0

アンダウアイラス 14 0

アレキパ 37 0

アヤクーチョ 22 0

フリアカ 28 0

プエルト・マルドナード 30 0

タクナ 26 0

クスコ 7 0

ナスカ 2 0

合計 571 405

出典:ペルー民間投資促進庁、運輸通信省'MTC(、運輸投資監督機構'OSITRAN(

2.3.4 空港における投資の発展

運輸投資監督機構'OSITRAN(によると、ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)と地方空港第1

グループに対して、2005年から2008年までに、民間が業務委託された空港に投資した金額は

1億930万USドルとなっている。2005年に作成された調査報告書『ペルーが必要とするインフラ

基盤・公共事業インフラにおける投資の不均衡37』で、ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)に対

して必要とされた投資額は、業務委託契約を基本にすると2005年から2008年の間で6290万

USドルである。リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(が2005年から2008年までに1億410万USド

ルの投資を行ったことにより、2005年に見積もられた投資の不均衡はすでに是正されている。

しかしながら、すべての部門38において、さらに挑戦的な目標が設定されたため、2008年の調

査で投資の必要額が増加した。

同様に、2005年の調査で地方空港第1グループに属する空港に対して2005年から2009年ま

でに投資すべき必要額が見積もられており、この額は8870万USドルに上る。しかし、運輸投資

監督機構'OSITRAN(が2005年から2008年の間に把握した投資額はこの額のわずか5.9%に

37 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(の調査による。2005 年に実施。 38 運輸投資監督機構'OSITRAN(がホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)に対し把握している投資額は 2005 年から 2008 年までで

7820 万 US ドルである。この額も 2005 年の調査で必要であるとされた投資額を上回っている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 75 -

とどまっている。ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH)の場合と異なり、この場合は、必要であると

設定された投資額を上回ることができなかった。

表15. 業務委託された空港における投資額'2005年~2008年(

'単位:100万USドル(

業務委託開始年 2005年 2006年 2007年 2008年

ホルヘ・チャベス国際空港(AIJCH) 2001年 17.9 24.9 17.5 43.8

地方空港第1グループ※ 2006年 0.0 0.0 1.0 4.2

合計 17.9 24.9 18.5 48.0

※運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握した投資額

出典:リマ・エアポート・パートナーズ'LAP(、運輸投資監督機構'OSITRAN(

2.4 鉄道

2.4.1 国際的背景

ペルーは南アメリカ地域において鉄道網の発展が遅れている国の一つである。残

念ながら、この交通手段は前政権の交通政策に入っておらず、道路に代わる交通手

段としてみなされていなかった。そのため、ペルーの鉄道網の総延長距離はボリビ

ア、チリ、コロンビアなど、ペルーよりも国土の狭い国々よりも短くなっている。

図25. 南アメリカ地域における鉄道網の広がり'2006年(

(単位:㎞)

*2008年の時点で、ペルーの鉄道網の総延長距離は1927㎞であった。

出典:CIA、Instituto Cuánto (2008年)

アルゼンチン

ブラジル

メキシコ

チリ

キューバ

ボリビア

コロンビア

ペルー*

エクアドル

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 76 -

一方、鉄道普及率に関して、ペルーの置かれた状況は南アメリカ地域の他の国々と比較し

て深刻である。例えば、2006年、ペルーの鉄道普及率は千平方キロメートルあたり1.57 ㎞で

あった。この数値はチリの鉄道普及率の6分の1、ブラジル、エクアドル、ボリビア、コロンビアの

2分の1である。

図26. 南アメリカ地域における鉄道普及率'2006年(

(単位:千平方キロメートルあたりの距離㎞)

*2008年の時点で、ペルーの鉄道普及率は千平方キロメートルあたり1.5㎞であった。

出典:CIA、Instituto Cuánto (2008年)

鉄道インフラに関して、世界競争力報告書 2008-2009 の鉄道インフラの質指標において、ペル

ーは 100 か国中第 90 位、7 点満点中、1.72 ポイントである。また、確かにメキシコは鉄道インフラの

質指標においては南アメリカ地域で上位をキープしている国ではあるが、2.11 ポイントという数値は、

7 点満点中 6.8 ポイントのスイスなど世界レベルでの上位国に比べて非常に低くなっている。

11.5

9.0

8.7

3.4

3.4

3.2

2.9

1.6

アルゼンチン

メキシコ

チリ

ブラジル

エクアドル

ボリビア

コロンビア

ペルー*

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 77 -

図 27. 鉄道インフラの質指標

(1= 発展が遅れている、7=十分に発展している )

出典:世界競争力報告書2008-2009

2.4.2 ペルーにおける鉄道事情

ペルーの鉄道システムには5つの鉄道網があり、そのうち2つは民間に事業認可が与えられ

おり、2つは政府が管理している。そして残りの1つは民間企業が運営を行っている。2008年に

は、鉄道システムの総延長距離は1927 Kmあり、その半分強の990 Kmは1999年にアンデス横

断鉄道S.A. (FETRANSA)に業務委託された。アンデス横断鉄道S.A. (FETRANSA)は、主に貨

物輸送用に利用されている南路線'マタラニ,フリアカ線、フリアカ,クスコ線、フリアカ,プー

ノ線(、主に旅客輸送に利用されている南東路線'クスコ,マチュピチュ線(の2路線を運行し

ている。

中央鉄道路線'カジャオ,ウアンカジョ線(の主な利用目的は貨物輸送であり、1999年に中

央アンデス鉄道に業務委託された。その総延長距離は約491 Kmである。同様に、258 Kmは

Southern Copper Perú Co.が運行する路線であり、この企業が操業する鉱山のトケパラやクア

ホネからイロ港まで貨物を運搬している。その次に、ウアンカジョ,ウアンカベリカ線'Tren

Machoとしても知られる(の総延長距離は129Kmあり、運輸通信省の管轄である。この路線は

今年補修中であり、補修と同時に軌道が幅の広いものと交換され、カジャオ,ウアンカジョ線と

接続可能になる。この改修により、カジャオ,ウアンカベリカ線が機能することになる。最後に、

最も短い鉄道路線は、総延長距離が60Kmのタクナ,アリカ線であり、2004年末から、タクナ州

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 78 -

政府が管理し運営している。それ以前は3年間運行が休止されていた。この路線は現在、チリ

のアリカまでの距離を行き来する観光客の移動手段となっている。

表16. ペルーの鉄道網の運行距離'2008年(

(単位:㎞)

出典:Instituto Cuánto (2008年)

旅客の運搬は近年において、成長してきている。2008年には2003年に対して28%の成長率

を記録した。鉄道のレベルについては、運行路線に鉄道システムで最大の需要源である観光

ルート'クスコ,マチュピチュ区間(が含まれているため、アンデス横断鉄道の南東路線が2008

年の全旅客の85%を運搬している。一方、中央鉄道は旅客輸送で減尐傾向にある。中央幹

線道路を行き来する地方路線バスとの競争により、2008年の旅客数は5千人にとどまってい

る。

図28. ペルーにおける鉄道旅客輸送量'2003年~2008年(

(単位:千人)

*クスコ,マチュピチュ区間

出典:運輸通信省'MTC(

鉄道 区間 運行距離

アンデス横断鉄道S.A.

(FETRANSA) マタラニ,マチュピチュ 990

中央鉄道S.A カジャオ,ウアンカジョ 491

Southern Perú Copper Co. イロ,トケパラ,クアホネ 258

ウアンカジョ,ウアンカベリカ線 ウアンカジョ,ウアンカベリカ 129

タクナ,アリカ線 タクナ,アリカ 60

合計 1,927

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 79 -

鉄道網による貨物輸送は2003年から2008年の間に27%増加した。Southern Perú Copper

社は最も多い貨物量を取り扱い、2008年には593万6千トンの貨物を運搬した。一方で、アン

デス横断鉄道線は2003年と2008年を比較すると、350%増と顕著に成長を伸ばしていることが

分かる。これは、セロ・ベルデ鉱山会社からの鉱物の運搬が多かったためである。ここで顕著

なのは、ウアンカジョ,ウアンカベリカ線が旅客の運搬に集中して利用されている一方で、貨

物運搬量がほぼ0であることである。

図29. ペルーにおける鉄道貨物輸送量'2003年~2008年(

(単位:千メトリックトン)

ウアンカジョーウカンカベリカ

アンデス横断鉄道南路線*

中央鉄道**

Southern Perú Copper 社路線***

*マタラニ,フリアカ区間、フリアカ,クスコ区間、フリアカ,プーノ区間

**カジャオ,ウアンカジョ区間

***トケパラ,イロ区間、クアホネ,イロ区間

出典:運輸通信省'MTC(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 80 -

コラム2:ペルーにおける鉄道政策の必要性

陸上貨物輸送において、ペルーでは道路だけでなく鉄道も利用されている。しかしながら、

容量の大きな貨物を長距離で運搬するには、鉄道のほうが道路よりも効率的であるにもかかわ

らず、貨物輸送の大部分は道路網を経由で行われている。近代的な鉄道には両側通行の幹

線道路約10本分に相当する大きな輸送能力があるのである。建設や運用にかかるコストに関

しては、鉄道網のコストと人件費は道路の3分の1に推定される。さらに標準的な鉄道1両は同

じ量の貨物を運搬する車両1台分が消費するエネルギーよりも尐ないエネルギーで動かせる。

図30. 貨物輸送方法別エネルギー強度

'単位:1トンマイルあたりの英熱量BTU(

トラック 鉄道

出典:Transportation Energy Data Book, National Transportation Statistics

国際レベルでの動向とは異なり、ペルーでは鉄道輸送に重点をおいてこなかった。2006年

の時点で鉄道が輸送していた貨物量はペルー全体の貨物のわずか3.4%であった。この割合

はメキシコでは17%、ブラジルでは26%に上昇する。先進国との差はさらに大きくなり、アメリカ

合衆国では39%、スイスでは35%となっている。

鉄道には多くのメリットがあるにもかかわらず、鉄道建設を計画する国の政策がこれまで存在

しなかった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 81 -

次に、未だ決定的な調査が実施されていないプロジェクトについて言及する。

・法令第 29207 号により、2008 年 3 月、大西洋と太平洋を結び、ウカヤリ州、ウアヌコ州、パス

コ州、サン・マルティン州、アマソナス州、カハマルカ州、ピウラ州にまたがるブラジル,ペルー

間大陸横断鉄道プロジェクトの国内路線の建設の公的必要性と国の関心が表明された。ペル

ーが投入する投資額は 32 億 US ドルである。

・アレキパ,フリアカ,クスコ路線の総延長距離 790 ㎞に対して、約 4 億 US ドルを投資して、

近代化を図る必要であると判断されている。この路線に加え、4 億 6000 万 US ドルを投入して

総延長距離 650 キロメートルのバジョバル,アブラ・デ・ポルクジャ,カハマルカ路線を建設す

るプロジェクト、7 億 8000 万 US ドルを投資してタンボ・デル・ソル鉄道'セロ・デ・パスコ,プカ

ルパ区間(を建設するプロジェクトが計画されている。

同様に、鉄道インフラに関連した 3 つの法律プロジェクトを紹介する。

・2007 年 10 月に発表された 2007 年法令第 1673 号のプロジェクトは、公的必要性を宣言し中

央鉄道網の伸張への関心を優先する法律の制定を提案している。つまり、ウアンカベリカ,ア

ヤクーチョ,アプリマク,クスコ間の相互接続であり、総延長距離 600 キロメートルの鉄道路線

の建設を意味する。そしてこの建設により 1 億 2000 万 US ドルの投資が見込まれ、130 万人の

住民が恩恵を受けると予想される。

・2008 年 12 月、2008 年法令第 2894 号法律プロジェクトが発表された。この法律はロレト州の

イキトス,ユリマグアス鉄道建設の公的必要性・利便性を宣言するものである。これらの都市

は河川海上輸送と航空輸送により、運搬が行われているが、これらの方法では貨物輸送能力

に限界があり、そのためこのプロジェクトを実施する必要性があるのである。その必要性は『こ

れらの建設により、鉄道網の発展における 80 年の遅れを取り戻すことが出来る』という謳い文

句に表れている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 82 -

・また、2008 年 12 月、2008 年法令第 2973 号法律プロジェクトが発表された。この法律はティリ

パタ,プエルト・マルドナード,イニャパリ区間の鉄道建設の公的必要性・利便性を宣言する

ものである。このプロジェクトによりフリアカ,クスコ区間とフリアカ,アレキパ区間がマドレ・デ・

ディオス州と接続されることになる。さらに、ブラジルから太平洋の港まで生産物を運搬できる

ようになる。

最語に、運輸システムとして鉄道網が重要であり、今日、鉄道の発展において我々の市場は

後退しているため、ペルーにおいて必要な鉄道政策が展開されるように、鉄道部門の再整備

がまとまりのある展望を巻き起こし、長期的には政治的、法的、財政的参加が起こることが期待

される。

出典:Olaechea (2006 年)、法律プロジェクト

2.4.3投資の不均衡の見積もり

業務委託された鉄道

運輸投資監督機構'OSITRAN(が監督する他の運輸インフラの業務委託契約と異なり、中央

鉄道とアンデス横断鉄道'FETRANSA(との契約には、鉄道インフラや業務委託の影響箇所へ

対する必須投資の実施が含まれておらず、そのため、目標となる投資額がはっきりと判明しな

い。しかしながら、両企業の契約には遅くても業務委託を受けてから最初の5年以内に合衆国

連邦鉄道管理局'FRA(クラス2の求める条件や基準を満たす必要がある旨の記載があり、これ

らの目標を満たすために必要な投資額を投資必要額として利用した。

中央鉄道に関して、アンデス中央鉄道のマスタープランはFRAIIの基準に到達するために約

1300万USドルの投資を見積もっている。しかし、2008年までに実施された投資額と運輸投資

監督機構'OSITRAN(が把握している投資額は1990万USドルとこの金額を上回っている。その

ため、目標を達成するためにより多額の投資を実施する必要はなく、この鉄道に関しては不均

衡はなしとなった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 83 -

しかしながら、アンデス中央鉄道は今後 4 年間での輸送量を増加させ、中央幹線道路の渋

滞を解消するために、中央鉄道路線統合近代化計画、アンデス横断トンネルとカジャオ,チョ

シカ区間での近郊電車の建設を発表した。現在中央幹線道路は年間 750 万メトリックトンの貨

物を輸送している。このプロジェクトにはアンデス中央鉄道が 3 億 US ドルの投資を見込んでい

る。

国が管理する鉄道および民間主導の鉄道

ウアンカジョ,ウアンカベリカ区間の鉄道への投資必要額を計算するために、ペルー民間投

資促進庁がこのプロジェクトについて推定した業務委託額'1億 1500万USドル(が考慮された。

このプロジェクトには鉄道網インフラの開拓、運営、メンテナンス、そして車両の整備や取得、さ

らに旅客だけでなく貨物に関する交通サービス向上のための監督も含まれる。

民間主導に関して、ペルー民間投資促進庁は最近になってマプサ鉱山の民間主導を承認

した。この民間主導は、アプリマク,マルコナ間の鉄道を建設するためのプロジェクトであり、

その投資額は約 20 億 US ドルに上ると推定される。この鉄道は総延長距離 560 キロメートル、

年間 4000 万メトリックトンの輸出向け鉄貨物を輸送できると期待される。このように、ペルーにお

ける鉄道インフラの不均衡は 24 億 1500 万 US ドルに見積もられた。

不均衡の合計と投資の確約

ペルーの鉄道におけるインフラの不均衡は合計で 24 億 1500 万 US ドルにのぼり、運輸部門

の不均衡全体の 17.3%を占めている。この額にはまず、アンデス中央鉄道による中央鉄道路

線統合近代化計画、アンデス横断トンネルとカジャオ,チョシカ区間での近郊電車の建設が

考慮されている。その次に、ウアンカジョ,ウアンカベリカ区間の鉄道への投資の必要額が考

慮され、最後にアプリマク,マルコナ区間の民間主導が含まれている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 84 -

表 17. 鉄道におけるインフラの不均衡

'単位:100 万 US ドル(

鉄道網 不均衡の合計 確約された投資額

業務委託された鉄道 300 0

中央路線 300 0

南路線と南東路線 0 0

国が管理する鉄道 115 0

ウアンカジョ,ウアンカベリカ区間 115 0

民間主導 2,000 0

アプリマク,マルコナ区間 2,000 0

合計 2,415 0

出 典 : 中 央 鉄 道 、 運 輸 投 資 監 督 機 構 ' OSITRAN ( 、 ア ン デ ス 横 断 鉄 道 ' FETRANSA ( 、 運 輸 通 信 省 ' MTC ( 、

ペルー民間投資促進庁

2.4.4鉄道における投資の発展

運輸部門における他の業務委託と異なり、中央路線と南路線と東南路線に対する確約済み

の投資額が見積もられていない。それは、投資の確約の代わりに、それぞれの業務委託契約

が合衆国連邦鉄道管理局'FRA(クラス2の必要条件と基準を満たすことを求めているからであ

る。投資の不均衡について前回の見積もりが実施された2005年から2008年までの間に、民間

がこれらの鉄道に投資した額は2660万USドルであった。

2005年のインフラ基盤における投資の不均衡に関する調査報告書 39は、2005年から2014

年までの間に、業務委託された鉄道に対してわずか 100 万 US ドル、国が管理する鉄道に

対して 1600 万 US ドルの投資が必要であるとしていた。2005 年だけで、業務委託された

鉄道に対して 640 万 US ドルが投資されたため、1 年以内に投資の不均衡が是正されると見

られる。しかし、これらの投資はこの部門の要求を満足させるほど十分ではなく、今回の

調査では、投資の不均衡の増加という形で反映されている。その額は業務委託された鉄道

に対しては 3 億 US ドルとなっている。前回と今回の調査の期間に実施する投資額の増加

は、国が管理する鉄道、ウアンカジョ-ウアンカベリカ区間でも見られ、その不均衡は 9900

万 US ドル増加している。

39 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(の調査による。2005 年に実施。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 85 -

表 18. 業務委託された鉄道への投資額(2005 年~2008 年)※

(単位:100万USドル)

*運輸投資監督機構'OSITRAN(が把握している投資額

出典:運輸投資監督機構'OSITRAN(

3 上下水道部門

3.1 はじめに

ペルーにおける上下水道部門ではその主な指標において著しい停滞がみられる。主な問題

点として、上水道、下水道ともに普及率が低いこと、上水道利用の継続性が低いこと、そして

不十分な下水処理が挙げられる。これらの問題点はおもに投資の不足と上下水道企業体

'EPS(が正常に機能していないことに原因がある。

ペルーでは、都市部の上下水道サービスの供給の大部分は上下水道企業体(EPS)が担

っている。また、上下水道企業体(EPS)の管理は国家衛生事業監督庁(SUNASS)が行

っている。2007 年には、ペルーの上下水道部門には 50 の上下水道企業体(EPS)40があり、

全体で総人口の 61.3%に対して給水事業を提供している。リマ上下水道公社(SEDAPAL)

は国内最大の上下水道企業体(EPS)であり、総人口の 29.9%に対してサービスを提供し

ている。上下水道企業体(EPS)のサービス提供地域に入っていない残りの 38.7%の人々

は、都市部運営組織(9.5%)、または、基本的に農村部にサービスを提供しているコミュニ

ティベースの組織(29.2%)によるサービス提供を受けている。

40 2005 年より、アグアス・デ・トゥンベス 1 社のみがペルー国内で上下水道サービスを提供する権利を有する唯一の民間企業とな

っている。

業務委託開始年 2005年 2006年 2007年 2008年 中央鉄道路線*

南鉄道路線と南東鉄道路線* 1999

1999

1.7

4.8

1.5

4.3

2.2

4.7

2.6

4.8

合計 6.4 5.8 6.9 7.5

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 86 -

表 19. 下水道部門のサービス提供地域(2007 年)

企業形態によるサービス提供 上下水道企業体'EPS(の数 人口における割合'%(

リマ上下水道公社'SEDAPAL( 1 29.9

大規模EPS 11 20.6

中規模EPS 21 9.1

小規模EPS 17 1.7

合計 50 61.3

非企業形態によるサービス提供 人口における割合'%(

その他の都市部運営組織) 9.5

農村部 (人口2000人以下の地域) 29.2

合計 38.7

)地方自治体による運営も含まれる。

出典:建設衛生局'VMCS(、国家衛生事業監督庁'SUNASS(

一方、チリでは都市部における上下水道サービスの提供は業務委託を受けた企業が実施し

ている。これらの企業は上下水道監督局'SISS(により指導・監督を受ける。これらの企業は農

村部において上下水道サービスの提供をおこなうことができないため、現在、公共事業省

'MOP(の水道事業局'DOH(が農村給水プログラム'APR(を担当している。この農村給水プ

ログラムは、死亡率・罹患率を削減し、さらにチリの経済成長や社会強化を図ることを主な目的

とし、農村部に上水道を供給しようとするものである。

このように、農村上水道システムが非都市部でのサービス提供を担っているものの、チリの公

共サービス法で定められた上水道システムとしての必要条件を満たしていないため、衛生基

準に適合した状況には達していない。したがって、これらの農村給水システムは、厚生省から

の営業許可を得て、委員会や共同組合として設立された民間のサービスとみなされている。し

かしながら、これらの給水システムがまだ衛生基準に達していないとはいえ、上水道サービス

の質と継続は保証されなければならない。また、給水サービス事業を委託された機関は、自ら

の責任において公共衛生サービスの質・継続を保証し、悪影響を及ぼさないという条件で、農

村に対してコンサルティングを行い、農村部における上下水道・下水処理システム・を設置、

建設、維持、開発することもできる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 87 -

農村部において、下水道システムが普及している地域は非常に尐ない。このことは、農村部

の下水道に関して、地方自治体やその他の機関のイニシアティブがばらばらであることと関係

している。この原因として、通常導入される技術に多大なコストがかかること、尐ない財政の中

からこの分野に優先して予算を投入することの難しさ、この部門の近代化・民営化に都市部の

企業が優先され、この流れから農村部が取り残されていることが挙げられる。チリの地方行政

開発局'SUBDERE(は、いくつかのプログラムや基金を通じて、農村部へのサービスの提供を

検討している。例えば、国家地方開発基金'FNDR(のプログラムでは、近年、農村部における

上下水道などの基礎公共サービスに公共投資を重点的に行っている。同様に、農村上下水

道プログラムでは、農村部における給水サービスの普及率向上と下水の安全な処理を目標に

設定している。最後に、地域開発のための農村インフラ整備プログラム'PIRDT(は、世界銀行

からの援助のもと、地方への投資を促進するプログラムであり、住民参加に重点をおいて、さま

ざまなレベルの人口密度の農村コミュニティーでのインフラ整備をめざしている。

3.2 上下水道部門の状況

この章では、ペルーの上下水道部門の普及レベルや指標について言及していく。また、ペ

ルー-チリ二国間の比較をおこない、上下水道サービス提供における遅れのレベルを明らか

にするために、チリの状況についても同様に記述する。

3.2.1 普及率

国内レベルでの普及率は未だ低く、上下水道部門において深刻な問題となっている。2007年

における上水道の普及率は77%、一方で下水道の普及率は62%であった。上下水道の普

及率が低いだけでなく、都市部と農村部での普及率に大きな隔たりがあった。都市部では上

下水道企業体'EPS(が上下水道サービスを提供しているが、農村部では上下水道サービスが

コミュニティーベースの組織に委ねられていることが要因となっている。この部門におけるもう

一つの問題点は下水処理である。排水の大部分が何の処置も施されずに、最終的に処理さ

れているからである。2007年における下水処理の普及率はわずか24%であったと推測され

る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 88 -

表20- ペルーにおける上下水道、下水処理施設の普及率'2007年(

'単位:人口に対する%(

出典:建設衛生局'VMCS(

前に述べたように、都市部と農村部の間に大きな隔たりがあり、その理由は、都市部の大半

は企業によるサービスの提供を受けているからである。

表21. 都市部と農村部の人口分布'2007年(

'単位:人口に対する%(

出典:国家統計情報処理院'INEI(

上水道 下水道 下水処理施設

都市部

農村部

82

62

73

33

24

データなし

合計 77 62 24

州 都市部 農村部 アマソナス

アンカシュ

アプリマク

アレキパ

アヤクーチョ

カハマルカ

クスコ

ウアンカベリカ

ウアヌコ

イカ

フニン

ラ・リベルター

ランバジェケ

リマ

ロレト

マドレ・デ・ディオス

モケグア

パスコ

ピウラ

プーノ

サン・マルティン

タクナ

トゥンベス

ウカヤリ

41%

63%

45%

91%

58%

29%

52%

30%

42%

89%

68%

74%

78%

98%

63%

70%

84%

63%

74%

48%

65%

91%

89%

72%

59%

37%

55%

9%

42%

71%

48%

70%

58%

11%

32%

26%

22%

2%

37%

30%

16%

37%

26%

52%

35%

9%

11%

28%

合計 75% 25%

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 89 -

2007年において、上下水道企業体'EPS(による上水道、下水道、下水処理の普及率はそれ

ぞれ85.6%、77.2%、29.1%であった。これらの数値は国内レベルのものと比較すると高くなって

いる。これは、上下水道企業体'EPS(が国家衛生事業監督庁'SUNASS(により監督、指導を

受けており、上下水道サービスの運営が運営指標システムにより評価されるためである。

表22. 規模別上下水道企業体'EPS(のサービス普及率'2007年(

'単位:%(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(

州レベルでの上下水道普及率は、州によりかなり違いがみられる。アプリマク州'97.1%(のよ

うに上水道の普及率が高い州もある一方、ウカヤリ州'41.8%(のように普及率が50%に満たない

州もある。同様に、下水道の普及率が最も高い州はタクナ州'93.4%(となっているが、ウカヤリ

州ではわずか37%である。下水処理施設に関しては、状況はさらに悪く、イカ州'98.3%(のよう

に高い普及率を示している州が存在する一方で、ウカヤリ州、パスコ州、ロレト州、マドレ・デ・

ディオス州、ウアヌコ州、ウアンカベリカ州、アプリマク州、アマソナス州のように普及率が0%の

州も存在する。

普及率の違いは、州全体の人口と比べて、上下水道企業体'EPS(がサービスを提供するエ

リアが限られていること、EPSの経営能力のレベルの違いに原因があるとみられる。例えば、ア

プリマク州での上水道の普及率が高い'97.1%(が、それはアプリマク州にある2つのEPS

'EMSAPCHANKAとEMUSAPABANCAY(が限られた営業エリア内のほぼ全人口にサービス

を提供しているからである。しかし、このサービスを受ける人口はアプリマク州全体の人口のわ

ずか16.1%にすぎない。ウカヤリ州での低い上水道普及率'41.8%)は、ウカヤリ州の唯一のEPS

'EMAPACOP(の低い効率性を反映しているが、EMAPACOPはサービス提供エリア内でウカ

ヤリ州の総人口の63.2%にサービスを提供している。同様の状況が下水道・下水処理の普及率

についても起きている。イカ州の4つのEPS'EMAPAVIGSSA、EMAPICA S.A.、 EMAPISCO

上水道 下水道 下水処理

リ マ 上 下 水 道 公 社

'SEDAPAL(

大規模EPS

中規模EPS

小規模EPS

88.1

84.1

80.3

88.0

83.7

72.4

68.1

71.2

13.3

57.3

28.7

30.3

合計 85.6 77.2 29.1

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 90 -

S.A.、SEMAPACH S.A.(が限られたエリア内のほぼ全人口にサービスを提供しているため、イ

カ州では下水処理の普及率が98.3%と高くなっている。しかし、このサービスを受ける人口はイ

カ州の総人口の64.1%にすぎないのである。

表23. 州別上下水道企業体'EPS(のサービス普及率'2007年(

'単位:%(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(

チリの衛生システムは、サービスの普及率が高く、ラテンアメリカにおいて最高レベルにある

と考えられる。2007年において、チリにおける上水道の普及率レベルは99.4%であり、都市部で

は上水道サービスの業務委託を受けた企業がサービスの提供を行っているため、都市部

州 上水道 下水道 下水処理

アマソナス

アンカシュ

アプリマク

アレキパ

アヤクーチョ

カハマルカ

クスコ

ウアンカベリカ

ウアヌコ

イカ

フニン

ラ・リベルター

ランバジェケ

リマ

ロレト

マドレ・デ・ディオス

モケグア

パスコ

ピウラ

プーノ

サン・マルティン

タクナ

トゥンベス

ウカヤリ

92.7

92.0

97.1

86.1

84.8

93.9

95.2

81.9

82.6

88.4

78.1

81.4

84.0

88.0

68.2

92.2

92.8

77.9

82.7

83.9

91.6

96.7

66.1

41.8

69.8

86.0

85.9

74.6

66.1

89.5

83.6

77.4

75.7

71.8

68.8

71.2

75.8

83.3

47.5

40.9

76.9

78.5

64.9

77.5

69.0

93.4

43.8

37.0

0.0

42.4

0.0

0.2

1.0

53.7

54.4

0.0

0.0

98.3

5.7

0.8

0.9

13.0

0.0

0.0

56.7

0.0

0.5

57.8

4.1

0.9

0.2

0.0

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 91 -

'99.8%(では農村部'96.3%(よりもさらに高い普及率となっている。都市部の40%の州では普及

率が100%となっている一方で、その他の州では、99%以上の普及率を示している。反対に、農

村部では、上水道の普及率に関して、州によって都市部よりも大きな差が見られ、最低の普及

率はアイセン州の85.5%、最高の普及率はビオビオ州の99.9%となっている。

表 24. チリにおける州別上水道普及率'2007 年(

(単位:%)

出典:チリ衛生事業監督庁'SISS(、チリ農村上水道局'APR(、チリ水道事業局'DOH(

下水道普及率に関して、2007 年において、チリの下水道普及率レベルは 91%であり、都市部

'95.2%(のほうが農村部'66%(よりも高い普及率を示している。チリにおける下水処理に関して

は、農村部におけるデータが特に上水道に集約されているため、都市部におけるデータのみ

を表示している。このように、全体的に小規模の下水処理施設に対する投資額は尐なく、チリ

都市部レベルでの下水処理は 82.3%となっている。41

41 2007 年の時点で、チリ総人口の約 90%が都市部に住んでいた。

州 都市部 農村部 合計

第 1州 タラパカ州

第 2州 アントファガスタ州

第 3州 アタカマ州

第 4州 コキンボ州

第 5州 バルパライソ州

第 6州 オイギンス州

第 7州 マウレ州

第 8州 ビオビオ州

第 9州 アラウカニア州

第10州 ロス・ラゴス州

第11州 アイセン州

第12州 マガジャネス州

第13州 首都州

第14州 デ・ロス・リオス州

第15州 アリカ・イ・パリナコタ州

99.9

100.0

99.6

99.9

99.3

99.2

99.7

99.3

99.8

100.0

100.0

99.9

100.0

100.0

100.0

93.2

88.6

98.1

99.3

96.9

92.6

96.6

99.9

94.7

98.1

85.5

99.0

96.9

98.0

91.3

99.8

99.8

99.6

99.3

98.6

97.1

98.9

99.4

98.8

99.7

97.1

99.9

99.9

99.6

99.5

チリ全体 99.8 96.3 99.4

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 92 -

表 25. チリ都市部における州別下水道・下水処理普及率'2007 年(

'単位:%(

出典:チリ衛生事業監督庁'SISS(

表26. チリにおける上水道・下水道・下水処理の普及率'2007(

'単位:人口に対する%(

3.2.2 企業形態での普及率の向上

ここまでは、ペルー、チリ両国の上下水道部門に関する概略を示してきた。次に、普及レベ

ルの向上について分析する必要がある。データの入手状況により、両国間での比較は上下水

道企業体'EPS(についてのみ行うことができる。

ペルーにおける上水道の普及率は2001年から2007年の間で3.3ポイントのみの増加にとど

州 都市部 農村部

第 1州 タラパカ州

第 2州 アントファガスタ州

第 3州 アタカマ州

第 4州 コキンボ州

第 5州 バルパライソ州

第 6州 オイギンス州

第 7州 マウレ州

第 8州 ビオビオ州

第 9州 アラウカニア州

第10州 ロス・ラゴス州

第11州 アイセン州

第12州 マガジャネス州

第13州 首都州

第14州 デ・ロス・リオス州

第15州 アリカ・イ・パリナコタ州

97.2

99.6

95.1

95.4

91.1

83.6

95.3

89.7

93.5

93.0

93.5

97.8

98.5

88.6

99.4

96.3

99.6

95.1

92.7

91.0

83.3

89.2

89.6

78.9

92.5

93.5

97.8

72.8

88.2

99.1

チリ都市部 95.2 82.3

上水道 下水道 下水処理

都市部

農村部

100

96

95

66

82

データなし

合計 99 91※ データなし ※推定

出典:建設衛生局'VMCS(、国家衛生事業監督庁'SUNASS(、チリ衛生事業監督庁'SISS(、

チリ農村上水道局'APR(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 93 -

まっている。ここでは、6年間での増加率が低いという以上に、チリにおける普及率'99.8%(に

比べて、ペルーでは15ポイントも低い数値になっている点に注目しなければならない。

図31. 上水道の普及率

(単位:総人口に対する%)

ペルー チリ

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、チリ衛生事業監督庁'SISS(

下水道普及率の状況は、上水道と変わらないが、反対に、チリにおける普及率と比べると大

きく後退していて、2007年のペルー・チリ両国の下水道普及率の違いは18ポイントある。下水

処理の普及率の向上に関してはさらに危惧される状況となっている。2007年、チリは82.3%の

普及率であった。つまり6年間で普及率が2倍に伸びたことになる。一方で、ペルーの下水処

理普及率は6年間に6ポイントの伸びにとどまり、未だ30%以下である。

図32. 下水道普及率 図33. 下水処理普及率

'単位:総人口に対する%( '単位:総人口に対する%(

ペルー チリ ペルー チリ

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、 出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、

チリ衛生事業監督庁'SISS( チリ衛生事業監督庁'SISS(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 94 -

3.2.3 企業形態における主な運営指標

サービス提供時間

ペルーにおいて企業形態での平均サービス提供時間は2007年で17.8時間であった。50ある

上下水道企業' EPS(のうち、わずか2つの EPS'EMAQ S.R. LTDA.とEMSAPAYAULI

LAOROYAS.R.L.)だけが継続してサービスを提供している。残りの48のEPSのサービス提供時

間はかなりの違いがある。中には1日あたり4時間以下しかサービスを提供できていないEPSも

ある。このように、EPSのうち、26%が12時間以下、50%が12時間から20時間、24%が20時間以上

のサービス提供時間となっている。

表27. ペルーにおけるサービス提供時間別上下水道企業体'EPS('2007年('EPSの数(

出典:国家衛生事業監督庁(SUNASS)

チリの場合、上水道サービス提供者はサービスの継続を保証しなければならないと現行法

により定められている。監督庁が認めた不可抗力による理由、あるいは、あらかじめ予定され、

かつサービス提供のために必要不可欠な中断の場合のみ、サービスの継続を解除することが

できる。この予定された中断に関しては、尐なくとも 24 時間前までに顧客に通知しなければな

らない。監督庁は、1 年間に発生した中断の回数'予定されたものか否か、第 3 者による中断

か、不可抗力によるものか(、中断時間、中断により影響を受けた顧客数に応じて、企業レベ

ルでの上水道サービスの継続性の指標を算定している。サービス提供会社に対して算定され

た指標は、すべての企業にとって最適な継続性を示すものとなっている。

0~4時間 4~8時間 8~12時間 12~16時間 16~20時間 20~24時間 平均'時間)

リマ上下水道公

社'SEDAPAL( 1 21.3

大規模EPS 1 3 1 4 2 14.9 中規模EPS 1 2 2 6 6 4 15.0 小規模EPS 3 0 1 2 6 5 15.9

企業形態全体 4 3 6 9 16 12 17.8

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 95 -

表28. チリにおける上水道サービスの継続度'2007年(

(1 = 最適な継続度 0 = 最低の継続度)

出典:チリ衛生事業監督庁'SISS(

未処理の下水 2007年にペルーでの下水処理はわずか42.4%であった。上下水道企業'EPS(のなかには、

SEDAJULIACA S.A.やNOR PUNO S.A.のように高い下水処理率を出しているEPSもあるが、

EPS MARAÑÓN、SEMAPA BARRANCA S.A.、EMSAPA YAULI、EMAPISCO S.A.のように下

水の未処理率が70%を超えているEPSもある。

表29. ペルーにおける下水未処理率別EPS数

'単位:EPSの数(

出典:国家衛生事業監督庁(SUNASS)

州レベルでは、トゥンベス州が下水未処理率が 66.4%と最も深刻な状況となっている。一方で、

最も高い処理率となっている州はタクナ州であるが、タクナ州でサービスを提供する EPS は供

給する水の 30%以上を処理できていない。

上水道サービス継続指標

アグアス・アンディーナ

大規模サービス提供者

中規模サービス提供者

小規模サービス提供者

1.00

1.00

0.99

0.99

企業形態全体 1.00

0~15% 15~30% 30~45% 45~60% 60%以上 平均'%)

リマ上下水道公社

'SEDAPAL(

1 37.5

大規模EPS 4 7 46.0

中規模EPS 1 2 5 9 4 49.4

小規模EPS 2 1 4 4 6 54.0

企業形態全体 3 3 14 20 10 42.4

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 96 -

表30. ペルーにおける州別下水未処理率

'単位:給水量に対する%(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(

州 下水未処理率

アマソナス

アンカシュ

アプリマク

アレキパ

アヤクーチョ

カハマルカ

クスコ

ウアンカベリカ

ウアヌコ

イカ

フニン

ラ・リベルター

ランバジェケ

リマ

ロレト

マドレ・デ・ディオス

モケグア

パスコ

ピウラ

プーノ

サン・マルティン

タクナ

トゥンベス

ウカヤリ

48.0

50.9

54.4

35.9

43.6

58.7

48.9

53.8

52.8

41.9

50.0

45.7

41.6

61.8

57.9

32.6

43.8

36.7

55.9

81.9

60.1

30.2

66.4

36.2

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 97 -

チリでは、平均下水未処理率はペルーよりも尐なく、2007 年には 34.5%であった。

表 31. チリにおける下水未処理率'2007 年(

'単位:給水量に対する%(

出典:チリ衛生事業監督庁'SISS(

消費水量の測定

ペルーにおける消費量の測定に関して42、平均は50%である。すべての上下水道企業'EPS(

のうち、8%のEPSが80%以上の測定システムを備えていて、EMSAP CHANKAでは84.5%に達し

ている。しかし、EMAPACOP S.A.、EMAPA PASCO S.A.、EPS SIERRACENTRALS.A.、

EPSSMU S.R.LTDA、EPS AGUAS DELALTIPLANOのように測定システムをまったく備えてい

ないEPSも存在する。

表32. 測定システム普及率別EPS数

'単位:EPSの数(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(

州レベルでは、パスコ州とウカヤリ州が深刻な状況にあり、測定システムの普及率は0である。

続いて、ランバジェケ州とトゥンベス州もそれぞれ9.3%、9.5%と低い水準となっている。

42 メーター数÷顧客数の商で採用した。

下水未処理率

アグアス・アンディーナ

大規模サービス提供者

中規模サービス提供者

小規模サービス提供者

30.9

39.2

40.7

28.1

企業形態全体 34.5

0~25% 25~40% 40~60% 60~80% 80~100% データなし 平均'%)

リマ上下水道公社

'SEDAPAL(

1 70.1

大規模EPS 5 1 3 2 36.9

中規模EPS 8 5 4 3 1 34.3

小規模EPS 6 3 3 3 2 43.2

企業形態全体 19 6 10 9 4 2 50.9

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 98 -

表33. 州別測定システム普及率

'単位:%(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(

チリにおける測定システム普及率は、ペルーの普及率を大きく上回っている。2007年12月の

時点で、95.8%に達していた。

表34. チリにおける測定システム普及率'2007年(

'単位:%(

出典:チリ衛生事業監督庁'SISS(

州 測定システム普及率

アマソナス

アンカシュ

アプリマク

アレキパ

アヤクーチョ

カハマルカ

クスコ

ウアンカベリカ

ウアヌコ

イカ

フニン

ラ・リベルター

ランバジェケ

リマ

ロレト

マドレ・デ・ディオス

モケグア

パスコ

ピウラ

プーノ

サン・マルティン

タクナ

トゥンベス

ウカヤリ

32.3

40.9

73.1

64.2

56.8

75.6

70.2

57.9

77.7

10.5

12.2

37.7

9.3

67.5

23.7

89.0

34.5

0.0

19.9

30.9

56.0

53.2

9.5

0.0

測定システム普及率

アグアス・アンディーナ

大規模サービス提供者

中規模サービス提供者

小規模サービス提供者

94.2

96.6

96.9

96.1

企業形態全体 95.8

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 99 -

3.3 投資の不均衡の見積もり

3.3.1 企業形態分野

投資の不均衡を是正するために実施された見積もりでは、上水道普及率、下水道普及率、

下水処理普及率、上水道網整備の要望、下水道網整備の要望、測定システム整備の要望の

6 つの構成要素が考慮されている。また、それぞれの上下水道企業'EPS(のサービス提供エリ

アをはっきりさせたうえで、州レベルでの投資が必要であることも判明している。上水道、下水

道、下水処理の普及率について、金額は住宅・建設・衛生省'MVCS(衛生部'DNS(が 2008

年から 2017 年にかけての人口増加を考慮して推定した上下水道網整備にかかる一人あたり

のコストを乗じて算定している。それぞれの州に対する普及率の増加枠を考慮する際には、サ

ービス提供企業の規模により、チリにおける平均普及率を参考情報として採用した。もし、ペ

ルー、チリ両国の州ごとに比較すれば、両国間の特徴が異なるため、正確ではなくなる可能性

があるからである。上下水道・下水処理網の再整備の計算に関しては、上下水道企業'EPS(

が実施した投資が尐なく、インフラのメンテナンスが不十分であるため、システム全体の再整備

を検討した。このように、システムにより供給を受けた人口を計算し、この数値を住宅・建設・衛

生省衛生部'DNS(が予測した上下水道網再整備にかかる一人当たりのコストで乗じた。測定

システム設置に必要な投資額の推定では、2008 年から 2017 年にかけて追加される世帯数 43

に住宅・建設・衛生省衛生部'DNS(が推定した測定器の平均コストを乗じて算定した。測定シ

ステムの普及率増加レベルは、企業の規模に応じて、チリにおける平均普及率と同じになるよ

うに考慮した。

43 国家統計情報処理院'INEI(のデータに従って、州ごとに 1 世帯当たり 3 人から 6 人の世帯数を考慮した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 100 -

表35. 企業形態運営での州別上水道、下水道、下水処理における不均衡'2008年~2017年(

(単位:100万USドル)

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、建設衛生局'VMCS、2006年(、独自の見積もりによる。

同様に、50の上下水道企業'EPS(に対するインフラの不均衡は10年間で40億6200万USドル

にのぼる。この額のうち49%は、リマが要求している。

表36. 企業形態運営での上水道、下水道、下水処理における不均衡'2008年~2017年(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、建設衛生局'VMCS、2006年(、独自の見積もりによる。

州 上水道 下水道 下水処

上水道システ

ム整備

下水道シス

テム整備

測定

システム 合計

アマソナス アンカシュ アプリマク アレキパ アヤクーチョ カハマルカ クスコ ウアンカベリカ ウアヌコ イカ フニン ラ・リベルタ ランバジェケ リマ ロレト マドレ・デ・ディオス モケグア パスコ ピウラ プーノ サン・マルティン タクナ トゥンベス ウカヤリ

5.1 15.4 3.7

72.2 20.2 8.2

21.3 2.2

15.1 29.0 36.2 64.1 52.2

516.8 60.2 4.6 7.1 7.0

71.9 43.1 14.2 13.6 25.0 54.8

8.3 9.5 4.9

64.6 21.4 7.3

20.3 2.2

14.7 36.1 34.3 55.8 41.3

548.1 64.6 9.9 9.5 5.5

79.2 41.0 22.4 10.7 31.3 50.8

6.8 20.9 6.2

76.4 4.7

13.2 15.8 2.7

19.2 6.1

43.8 8.1 7.2

546.1 44.7 4.7 5.5 6.8

42.7 21.5 21.0 4.0

15.6 27.9

2.2 13.0 2.1

26.1 5.5 5.0

13.2 0.8 5.3

12.4 13.5 21.3 21.2

238.3 9.8 1.4 3.6 1.7

24.5 11.5 6.6 7.6 4.2 3.5

0.6 4.7 0.7 8.8 1.7 1.8 4.5 0.3 1.9 3.9 4.6 7.2 7.4

87.3 2.6 0.2 1.1 0.7 7.4 4.1 1.9 2.8 1.1 1.2

0.9 3.8 0.3 7.1 1.9 0.9 2.0 0.2 0.8 7.0 7.1 7.4 9.7

34.4 4.9 0.2 2.0 0.9

11.1 5.4 1.9 2.6 3.5 4.0

24 67 18

255 55 36 77 8

57 95

140 164 139

1,971 187 21 29 23

237 127 68 41 81

142

合計 1,163 1,194 971 454 159 120 4,062

項目 (100万USドル)

上水道 1,163

下水道 1,194

下水処理 971

上水道システム再整備 454

下水道システム再整備 159

測定器導入 120

合計 4,062

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 101 -

3.3.2 非企業形態分野

残念ながら、他のサービス提供者による都市部サービス提供エリアや農村部における州レ

ベルでの有効な情報が存在しない。そのため、これらのエリアにおける上下水道部門のインフ

ラ投資の不均衡を計算することができない。したがって、農村部に関しては、上水道・下水道・

下水処理 44 普及率、上水道網再整備の要望、下水道網再整備の要望、測定システムの要望

の4つの項目を考慮して国レベルでの不均衡を計算した。このように、上水道・下水道・下水

処理普及率の不均衡は、システム整備にかかる一人当たりのコストを 2008 年から 2017 年にか

けてサービスを新たに受ける人口で乗じて算定した。また、チリにおける農村部の普及率を参

考にしている。これらのシステムの再整備には、上水道、下水道網の再整備にかかる一人当

たりのコストをシステムにより供給を受ける人口で乗じて計算することで、システム全体の再整

備を考慮した。農村部での測定システム設置のために必要とされる投資額の算定では、2008

年から2017年にかけて追加される世帯数に住宅・建設・衛生省衛生部'DNS(が推定した測定

器の平均コストを乗じた。測定システムの普及率増加レベルは、チリ農村部 45 における平均普

及率と同じになるように考慮した。

表37. 農村部における上水道、下水道の不均衡'2008年~2017年(

出典:国家衛生事業監督庁'SUNASS(、建設衛生局'VMCS、2006年(、独自の見積もりによる。

44 チリ・ペルー農村部における下水処理普及率に関する有効なデータが不足しているため、ペルーの現在の普及率として0%、チ

リには都市部での普及率の 80%、つまり 58%とした。 45 農村部におけるこの項目に関する統計がないため、現在ペルー農村部での測定器普及レベルは 0%であると推測し、チリ農村

部における測定器普及レベルは都市部の 80%、つまり 76.4%であると推測した。

項目 投資額

(100万USドル)

上水道

下水道

586

543 下水処理

上水道システム再整備

下水道システム再整備

413

135

28 測定器導入 76

合計 1,781 項目 投資額

(100万USドル)

上水道

下水道

586

543 下水処理

上水道システム再整備

下水道システム再整備

413

135

28 測定器導入 76

合計 1,781 項目 投資額

(100万USドル)

上水道

下水道

586

543 下水処理

上水道システム再整備

下水道システム再整備

413

135

28

測定器導入 76

合計 1,781

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 102 -

上下水道企業'EPS(の対応エリア外の都市部の不均衡に関する最新の統計が存在しない。

そのため、国民衛生計画2006-2015が、ミレニアム目標を達成するために必要な投資が何で

あるかを明らかにしているので、この報告書では残りの都市部サービス提供者に対して必要で

あると判断された投資額をこの分野への投資の不均衡と推測して採用した。

表38. その他の都市部サービス提供者に対する上水道、下水道、下水処理の不均衡

'2008年~2017年(

上下水道 投資額(100万)US ドル

下水道 73

下水道 167

下水処理 153

上下水道システム再整備 43

下水道システム再整備 10

測定器導入 17

合計 463

出典:建設衛生局'VMCS、2006年(

3.3.3 全体の不均衡

最後に、企業形態分野と非企業形態分野を合わせると、上下水道部門全体での不均衡は

63億600万USドルとなる。

表 39. 上水道、下水道、下水処理における不均衡'2008 年-2017 年(

項目 投資額(100万 US ドル)

上下水道 2,667

下水道 2,101

下水処理 1,538

合計 6,306 出典:建設衛生局'VMCS、2006 年(、独自の見積もりによる。

3.4 上下水道部門における投資の発展

年月の推移とともに、上下水道部門における投資は大きく減尐してしまった。それはこれまで

の 10 年間に比べると、減尐傾向となって表れている。この減尐傾向は、大半が国庫のサービ

ス提供者に依存していることに起因している。そのため、持続可能な投資プログラムを維持す

ることが不可能になっている。同様に、この部門に投入された投資に関する最新の情報が存

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 103 -

在しないことも挙げられる。

2004 年から 2005 年の間、上下水道部門に投入された公共投資はおよそ 2 億 9600 万 US ド

ルであった。この期間にこの部門に投資をした主な機関はリマ上下水道公社'SEDAPAL(と

PARSSA であり、その額はそれぞれ 1 億 5950 万 US ドル、5470 万 US ドルであった。確かに、

これらの投資は下水処理や飲料水サービスの普及率向上に重要な役割を果たしたが、この期

間の 1 年あたりの平均投資額はわずか 1 億 4800 万 US ドルにとどまり、ペルーにおける上下

水道部門の普及率が州によっては低い状況を維持する原因となっている。

2005 年にこの部門に投入された投資額と特定された投資の不均衡を分析すると、当時の投

資額は投資の不均衡を是正するには不十分であったと結論付けることができる。つまり、前回

の調査 46 で特定された投資期間の 20%が経過した時点で、不均衡と判断された額のわずか

6.4%が投資されただけだった。同様に、将来に向け 10 年のプロジェクトが計画されるとすると、

2000 年から 2005 年に実施された投資のリズムは 10 年間'2005 年~2015 年(に 20 億万 US

ドル以下となり、つまり前回の調査で相当の期間に不均衡を是正するのに必要であると特定さ

れた投資額の 41.2%しか投資されなかったという結論に至ることになるだろう。ここでは、すでに

存在するサービスの維持のために必要な投資は考慮に入れていない。ここ数年で、「万人へ

の水」プログラムのおかげで、この部門への投資が促進されたことは確かだが、投資の不均衡

であるとみなされた額によると、2005 年の投資レベルが 3 倍になること必要がある。公共部門

の予算的・運営面での制限があるため、人々や経済活動の要望に応えるためには民間部門

の上下水道部門への参入がますます急がれるであろう。

46 2004 年と 2005 年に実施された投資のみが考慮されている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 104 -

表40. 上下水道部門における投資額'2004年~2005年('100万USドル(

※決算において国家開発庁'INADE(、国家住宅基金'FONAVI(の衛生インフラ整備プロジェクトを含む。

出典:住宅・建設・衛生省'MVCS(

4 電力部門

4.1 はじめに

最近の数十年間で、電力部門は、自由化プロセスの後、縦型に統合された構造から、縦型・

前面に分割された構造へと変化してきている。ペルーの場合、電力部門の改革以前は、電力

産業'発電、送電、電力供給(に関わるすべての活動は国営公社である ELECTROPERÚ ある

いは州営公社 47 が担っていた。

電力業務委託法'政令法第25844号(により、民間部門が引き受ける電力産業に関する活動

は発電、送電、電力供給に分割された。民営化のプロセスは 1994年にリマの供給会社の売却

から始まり、その後、1995 年と 1996 年に発電会社が売却された。この法律は料金徴収に関す

る新しいシステムや、電力部門における新たな制度も考慮しており、それぞれのシステムを相

47 出典:Campodónico (1999), Dammert, Gallardo y García (2005) y Dammert, García y Molinelli (2008).

機関 2004 年 2005 年 2004 年~

2005 年

2004 年~2005 年

における機関ごと

の投資'%(

州政府 12.0 19.0 31.0 10.5

リマ上下水道公社'SEDAPAL( 30.4 79.1 109.5 37.0

リマ南部下水道整備事業

'MESIAS( 8.8 1.4 10.2 3.4

上下水道企業体'EPS( 18.4 12.1 30.5 10.3

上下水道改革支援プログラム

'PARSSA( 9.2 45.5 54.7 18.5

農村部上下水道整備プログラム

'PRONASAR( 1.6 4.6 6.2 2.1

国家社会開発基金'FONCODES( 13.4 12.5 25.9 8.8

都市労働プログラム'A TRABAJAR

URBANO( 10.9 12.8 23.7 8.0

その他※ 1.0 3.1 4.1 1.4

資額合計 105.8 190.2 296.0 100.0

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 105 -

互連携させるために全国電力網システム経済事業委員会'COES(と呼ばれる技術的組織を

設立した。全国電力網システム経済事業委員会'COES(のミッションは発電施設の運営と国

家連携電力システム'SEIN(に属する送電システムを最小限のコストで調整することである。

ELECTROPERÚ は発電、送電、電力供給のユニットに分割された。

電力部門の民営化により、発電能力だけでなく、一人当たりの生産量・消費量においても、こ

の部門において大きな改善が認められるようになっている。同様に、電力供給における損失も

大きく減尐している。

表41. 電力市場の主要指標

*推定値 **2007年の数値

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

近年において、エネルギー需要の増加が電力発電能力の増加よりもかなり大きくなっている。

2000年から2008年の間、エネルギー需要の年間成長率は6.1%に上昇しているが、その一方で、

電力発電能力は2.0%しか増えていない。エネルギー鉱業省'MINEM(によると、2008年におけ

る有効備蓄量は、乾季で13%、雤季で24%であり、エネルギー鉱業省が要求する数値'29%(を

下回っている。しかしながら、備蓄量のゆとりは、水力発電施設の能力を低下させる雤不足や

カミセアのガスパイプラインの停滞などの複合的な問題により、減尐している。2008年の終わり

頃、ガスパイプラインのウマイ-ルリン区間が最大限に達し、このことが天然ガスによる火力発電

1995 2001 2008*

発電能力 (メガワット) 4,462 5,907 7,107

水力発電 (%) 56% 50% 46%

火力発電 (%) 44% 50% 54%

国家連携電力システム'SEIN(の最大需要 (メガワット) 2,052 2,792 4,199

エネルギー販売量(ギガワット時間) 9,849 16,629 27,169

エネルギー生産量(ギガワット時間) 16,880 20,786 32,627

電力供給における損失 (%) 19.7% 97.0% 7.9%

国内電化係数 (%) 64.9% 74.9% 79.5%**

一人当たりの電力消費量(住民一人あたりのキロワット時間) 584 711 1,010

一人当たりの電力生産量(住民一人あたりのキロワット時間) 723 812 1,138

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 106 -

施設の機能に影響を及ぼした。この状況は備蓄量を約4%削減させることになり、備蓄量不足

による需要問題対策において、ボトルネックとなっている。

チリの場合、民営化のプロセスは1980年の電力供給会社2社の売却に始まった。現在、発電、

送電、電力供給を担う企業は民間資本により運営されており、国は主に国家エネルギー委員

会'CNE(を通じて、管理機能を果たしている。一方で、ペルー国は発電・電力供給会社の運

営に参加し続けており、全有効能力のうち26.9%を、電力供給会社の販売量の30.6%を掌握し

ている。

4.2 電力部門の状況

4.2.1 発電

ペルーにおける電力発電は水力発電所と火力発電所で行われ、火力発電では天然ガス、

石炭、D-2廃ディーゼル燃料が使用されている。2008年には、エネルギーの59%が水力発電

所で発電され、残りの41%が火力発電所で発電された。

図34. 総電力の生産と発電の種類'2001年~2008年*(

(ギガワット時間、それぞれ全体に対する%)

水力発電 火力発電

*推定

出典:エネルギー鉱業省( MINEM.)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 107 -

近年において、火力発電所における電力発電は、特に鉱工業プロジェクトなどの国内の大きな電

力需要により、かなりの増加傾向にある。このように、最大需要の年間増加量は発電能力の年間変

移を上回ってきている。そして、このことが備蓄量のゆとりの面でマイナス影響を及ぼしている。

図 35. 国家連携電力システム(SEIN)の最大需要と発電能力

(単位:年間変化率%)

*推定値

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

チリの場合、発電は民間の発電会社が運営を担当している。電力市場における発電部門の

特徴は競争力があるという点である。主な電力発電システムは大北部連携システム'SING(と

中部連携システム'SIC(である。チリにおける電力部門の進歩もかなり大きく、90年代初めに

は発電能力が4624メガワットであったのが、2008年には13137メガワットに増加している。チリに

おける発電能力はペルーの発電能力よりも大きい。ペルーの電力発電は大きく水力発電に依

存しているため、チリとの発電能力の差異は、主に火力発電所の発電能力のほうが大きいこと

にある。2008年においてチリの総発電量は56679ギガワット時間'GWh(にのぼり、一人当たり

の発電量は3445キロワット時間になり、ペルーの一人当たりの発電量の3.03倍に相当する。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 108 -

表42. ペルーとチリにおける発電能力'2008年*(

ペルー チリ

発電所の種類 発電能力 割合 発電所 割合

(メガワット) (%) (メガワット) (%)

水力発電所 3,269 46% 4,943 38%

火力発電所と

その他 3,838 54% 8,194 62%

合計 7,107 13,137 *ペルーのデータについては推定値

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(、国家エネルギー委員会'CNE(

法的環境に関しては、電力発電の効率的な進歩を確実にするための法律'法令第28832

号(が2006年に公布された。この法律の目的は、発電市場に効果的な競争力を与え、発電の

効率性を保障するために、また、価格が不安定になる危険を減尐させ、より競争力のある電力

料金を実現するために、電力業務委託法で定められた規則を完璧にすることである。

4.2.2 送電

ペルーにおける送電システムは、電線、変電所、連携を可能にするために電圧を調整する

変圧器、発電所から供給施設や消費地まで電力を運ぶ設備の集合体で構成される。この活

動では、規模の経済が重要であり、したがって、自然独占48の特徴がみられる。

近年の各州における経済成長は、主に鉱業プロジェクトの好景気によるものであり、全国レ

ベルで電気エネルギーの需要量を押し上げている。キロメートルで測定した送電網拡大率が

2001年から2008年の期間で非常に小さかったため、電力の国内への送電を確実にするため

の送電線が不十分であるという結果になった。これにより、電力送電線は停滞状態になり、国

家連携電力システム'SEIN(の正常な機能を妨げることになった。

48 出典:Dammert, García y Molinelli (2008)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 109 -

図36. 送電線*の長さの発展'2001年~2008年(

(単位:キロメートル)

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008**

*高圧線と超高圧線

**推定値

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

送電インフラの遅れ、あるいは、進歩を適切に測ることのできる指標をなかなか見つけること

はできないが、1平方キロメートルあたりの送電線密度が使われることがよくある。ここでは、100

キロボルト'KV(以上の送電能力のある電線を取り上げる。それ以下の能力の送電線は中圧・

低圧とみなされ、エネルギー損失も大きいからである。2007年から2008年の間に、新たな高圧

電線が設置されなかったため、ペルーにおける指標は横ばい状態となっている。ペルーとチリ

の間の1平方キロメートルあたりの送電線密度の違いは、かなり大きく、チリの指標はペルーの

約3倍となっている。さらに、この違いは2004年からずっと続いている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 110 -

表43. ペルーとチリにおける送電網の構成(2008年*)

(単位:キロメートル)

*ペルーのデータ、チリの2007年のデータに関しては推定値

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(、国家エネルギー委員会'CNE(

4.2.3 普及率

2001年から2007年にかけて、州49によっては成長の幅は一定ではなかったが、国内の電力

普及率は75.0%から79.5%に上昇した。このように、近年、普及率の高い州'リマ州、タクナ州、ア

レキパ州(では年平均で1.2%の成長率がみられるが、普及率が低い州'カハマルカ州、ウアヌ

コ州、ロレト州(の電化係数は平均して6.1%成長している。

ペルー チリ

60 a 73 kV 4,853 3,818

110 kV 4,210

138 kV 3,636

154 kV 1,202

220 kV 5,677 9,759

345 kV 408

500 kV 878

合計 9,313 16,457

領域 1,285,216 756,945

1Km2あたりの長さ 7.25 21.74

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 111 -

図37. 全国レベルでの電力普及率(1990年~2007年)

(単位:電気が普及している住宅の割合%)

図38. 州別電化係数'2007年(

(単位:電気が普及している住宅の割合%)

州レベルにおいて、電力普及率と貧困レベルの間にネガティブな関係が存在する。つまり、

電力普及率の低い州では、より大きな貧困率が存在するということである。国家農村電化計画

'PNER(は2007年から2017年にかけて、農村の電化係数を2007年に対して29.5%引き上げるこ

とを計画している。一方で、エネルギー鉱業省によって提示されている2017年に向けての目標

値は70%の成長となっている。

49 2008 年のデータがなかったため、考慮されていない。

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0 909192939495969798990001020304050607

出典:農村電化局(DGER)、エネルギー鉱業省(MINEM)

出典:農村電化局(DGER)、エネルギー鉱業省(MINEM)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 112 -

図39. ペルーにおける電化係数と貧困'2007年(

貧困度大

貧困度低 電力普及率が低い 電力普及率が高い

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(、国家統計情報処理院'INEI(

電力普及率の不均衡を推定するにあたって、南米地域で最も先進的な国の一つであ

るチリにおける電力普及率を判断に不可欠な情報として利用した。チリにおける全

国レベルでの普及率は100%に近く、州ごとでは97%以上50に上っている。

図40. チリにおける電力普及率

(単位:全住宅に対する割合%)

出典:2002年国勢調査、2006年社会経済特徴調査'CASEN(

50 チリにおける電力普及率は入手できた最新の社会経済特徴調査'CASEN(のデータを利用している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 113 -

図41. チリにおける州別電力普及率(2006年) (単位:全住宅に対する割合%)

出典:006年社会経済特徴調査'CASEN(

4.3 投資の不均衡の見積もり

電力部門における投資の不均衡の算定は、発電・送電のインフラ整備、公共電力サービス

の普及に分けられる。

4.3.1 発電・送電インフラの拡充のために必要な投資額

発電と送電全体の不均衡の計算は、需要から推定される投資計画や、投資全体が状況を作

り出す投資計画にしたがって、発電・送電両方51に対する投資推定額が基本となる。

ネルギー鉱業省(MINEM)は「電力部門の附属機関担当者や投資の判断を新たに行う

意思のある新担当者向けに、将来的な情報を提供するための」資料として、2年ごとに

電力関連計画(PRE)を発表している。最も新しいものは2006年から2015年に向けての

電力関連計画(PRE)であり、電力需要の重要性に基づき、国家連携電力システム(SEIN)

51 ペルーでは発電会社と送電会社をまとめる連携システムがあるため、投資の不均衡は全国レベルで表示する。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 114 -

や上級独立システム52の発電・送電の拡充計画を決定している。もう一方で、民間企業

で送電事業を実施するペルーエネルギー網(REP)は送電網拡大計画を2年ごとに策定し

ている。この場合、電力関連計画(PRE)が発表した需要増加の推測や料金調整補助理

事会(GART)の料金検討での情報更新を考慮して、発電・送電での投資額が見積もられ

る。ペルーエネルギー網(REP)の送電網拡大計画2008-2017では、2008年から2017年に

かけてREPのネットワークのための発電・送電プロジェクトが需要の予測別に紹介され

ている。

さらに、中程度の需要成長予測に対する電力関連計画(PRE)2008‐2017 の発電におけ

る投資の予備情報も考慮に入れられている。この計画が全システムを考慮しているため、

これらの推定額は、今後の発電と送電に対して必要とされる投資として考えることができ

る。

電力関連計画'PRE(は、発電能力や2009年から2017年に向けての投資を考慮して、発電

所の種類ごとに投資額を示している。電力関連計画'PRE(の予備情報によると、2009年から

2017年にかけて5700メガワットの発電能力が求められている。この発電能力は、水力発電所、

天然ガス発電所、風力発電所、地熱発電所、ディーゼル燃料/天然ガス発電所に振り分けら

れる。

推定された発電能力は水力発電所で2129メガワットにのぼり、必要とされる投資額は25億

9000万USドルとなり、能力単位当たりのコスト'1メガワットあたり100万USドル(は122万USドル

であり、Dammert、García、Molinelliが2008年に試算した125万USドルに非常に近くなっている。

天然ガス発電所に関して、2816メガワットの発電能力が推定されており、投資額で15億8700万

USドルに相当する。この投資ではシンプルサイクル発電所とコンバインドサイクル発電所の両

方を想定している。これらの発電所の平均コストを考慮すると、能力単位当たりのコストはメガワ

ットあたり56万USドルにのぼる。Dammert、García、Molinelliの2008年の試算では、天然ガス発

電所の平均コストが出ており、シンプルサイクル発電所とコンバインドサイクル発電所に同じ割

合で振り分けて、メガワットあたりおよそ54万USドルとなっている。

52 この計画では需要の予測ひとつひとつについて、発電・送電で必要とされた投資を見込んでいて、その額は 2006 年から 2015

年まで全国レベルにおいて、それぞれ 19 億 5700 万 US ドル、7 億 1500 万 US ドルにのぼっている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 115 -

この場合、能力単位のコストは56万USドルで、前述の場合と同様に、Dammert、García、

Molinelliがコンバインドサイクル発電所に関して試算した55万USドルに非常に近くなっている。

最後に、風力発電所、地熱発電所、ディーゼル燃料/天然ガス発電所への投資額が見積もら

れている。これらの発電所の発電能力は755メガワット、投資額にすると10億600万USドルに達

する。このように、発電における投資の不均衡は51億8300万にのぼる。この額は、2009年から

2017年にかけて7.3%年間成長するという前提のもとで設定された需要の中程度の成長予測に

相当するものである。

表44. 発電における投資額の見積もり'2009年~2017年(

(単位:メガワット、100万USドル)

発電量の増加 (メガワット) 中程度の成長予測

水力発電 2,129

天然ガス発電* 2,816

風力発電 450

地熱発電 125

ディーゼル/天然ガス発電 180

発電量の増加 (100万USドル) 中程度の成長予測

水力発電 2,590

天然ガス発電* 1,587

風力発電 675

地熱発電 250

ディーゼル/天然ガス発電 81

合計 5,183

*シンプルサイクル発電所とコンバインドサイクル発電所の両方を含む。

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

送電への投資の不均衡に関して、需要の中程度の成長予測に対して電力関連計画'PRE(

2008-2017の予備情報を出所として使っている。これらは全送電網に必要な投資を考慮に入

れていて、この投資は業務委託されたプロジェクト、今後業務委託されるプロジェクト、システム

補強のための新規プロジェクトに分配される。

コンセッション方式のプロジェクトには、ペルーエネルギー網'REP(が2008年2月に5200万

USドルで落札したチルカ-ラ・プラニシエ-サパジャル間の送電線が含まれる。この他にも、カ

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 116 -

ルウアマジョ-パラグシャ-コノコチャ-ウアジャンカ-カハマルカ-セロ・コロナ-カルウアケロ53区

間の送電線はAbengoa Perú S.A.が2008年に1億600万USドルで、マンタロ-カラベリ-モンタル

ボ-マチュ・ピチュ-コタルセ54区間の送電線はIsonor Transmisión S.A.C が2008年に1億8100

万USドルで落札している。

今後コンセッション方式で始まる予定の主なプロジェクトには、サパジャル-チンボテ-トゥル

ヒージョ区間の500キロボルトで515キロメートルの距離がある送電線、オノコラ-ティンタヤ-ソカ

バヤ区間の220キロボルトで303キロメールと距離がある送電線が含まれる。最後に、新規プロ

ジェクトのなかで主要なものは、チルカ-マルコナ区間の500キロボルトで380キロメートルの距

離がある送電線、プーノ-アサンガロ-ティンタヤ区間の220キロボルトで240キロメートルの距離

がある送電線である。送電プロジェクトで算定される投資額は10億7200万USドルに達する。

表45. 送電における投資額の見積もり'2009年~2017年(

(単位:100万USドル)

送電の拡大(100万USドル) 中程度の成長予測

I) 業務委託が与えられたプロジェクト* 339

II) 業務委託が与えられる予定のプロジェクト*

送電線 301

リアクションに対する補償 7

変電 28

III) 新規プロジェクト

送電線 383

リアクションに対する補償 5

変電 9

合計 1,072

*送電暫定計画に含まれるプロジェクト

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

53 この送電線は長さ 700 キロメートルあり、220 キロボルトの電線が使われる。送電能力は 150~240MVA'メガボルトアンペア(で

ある。さらに、コノチョチャとウアジャンカに新たに変電所が 2 箇所建設され、フニン州のカルウアマジョ、セロ・デ・パスコ州のパラグ

シャ、アンカシュ州のコノチョチャとウアジャンカ、カハマルカ州のカハマルカとセロ・コロナ、ランバジェケ州のカルウアケロにある

変電所が拡張される予定'ペルー民間投資促進庁'ProInversion(のプロジェクト(。 54 この送電線は長さが760 キロメートルあり、500 キロボルトである。中部と南部の電力システム連携を強化することが目的'ペルー

民間投資促進庁'ProInversion(のプロジェクト(。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 117 -

4.3.2 電力普及率向上のために必要な投資

このセクションでは、ペルー国内の各州における電力公共サービスの普及率向上のために

必要な投資額を算定する。そのために、ペルーに関しては2007年の情報があり、州レベルの

チリに関しては2006年の情報を利用している。この報告書を締めくくるにあたって、これが入手

可能な最新の情報である。ペルー側の情報はエネルギー鉱業省'MINEM(の農村電化局'以

前はプロジェクト執行局(から入手しており、チリ側の情報は社会経済特徴調査'CASEN(を利

用している。

これらの情報を利用して、我々は州ごとの不均衡を計算することができた。州レベルでの不

均衡を計算する際の最初の段階は、チリの各州における普及率を参考に考慮して、国内各州

の電力普及率の目標を設定することである。そこで、サンティアゴ'首都州(の普及率をリマの

普及率と比較している。サンティアゴもリマも最大の普及率を誇る州であり、人口集中の割合も

よく似ている。それから、ペルーの残りの州を人口クォンタイルにグループ化する。1番目のク

ォンタイルには最も普及率の高い州が入り、最後のクォンタイルには最も普及率の低い州が入

る。それぞれのクォンタイルの普及率をチリの相応するクォンタイルとそれぞれ比較する。この

ようにして、ペルーの州ひとつひとつに対する目標値が求められる。そして、2007年の接続数

を推定し、チリの普及レベルに到達するためには2017年にいくつの接続が存在するべきかを

算定する。

設置すべき接続数が算定できれば、接続ひとつあたりのコストを設定する必要がある。接続

あたりの単価は2種類の情報源から計算される。農村部においては、国家農村電化計画

'PNER(2008-2016の普及率向上のための投資額と設置すべき接続数を計算して、農村の住

宅1軒への接続コストとして1030USドルという数字を算出した。一方、都市部においては、供給

付加価値に関する情報が載っている『電力供給料金の設定2005年11月から2009年10月』とい

う調査報告書を利用し、分類155'人口密度の高い都市部(の接続あたりのコスト533USドルを

算出した。

55 これらの額は概数である。農村部の住居への1接続あたりのコストの場合、この数値には、運用、メンテナンスにか

かるコストが含まれておらず、電化する場所が離れているほど、このコストは大きくなる。この分野の専門家によると、

山間部の農村では、このコストは世帯あたり 2,000US ドルにのぼる可能性があり、これらの地域での電化の必要性を考

慮すれば、推定額は控えめの平均値であると考えられる。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 118 -

2007年 2017年 2017年までに 投資

州 接続数 接続数 接続すべき接続数 '単位:100万USドル(

アマソナス

66,963

107,575

40,611

75

アンカシュ 207,543 259,353 51,810 73

アプリマク 81,487 116,150 34,664 61

アレキパ 334,467 345,775 11,308 8

アヤクーチョ 151,091 199,512 48,421 74

カハマルカ 136,453 337,945 201,491 456

クスコ 226,419 327,469 101,050 164

ウアンカベリカ 88,483 123,797 35,314 80

ウアヌコ 89,422 184,476 95,054 184

イカ 168,804 189,627 20,822 16

フニン 250,840 287,818 36,979 49

ラ・リベルタ 309,058 398,201 89,143 99

ランバジェケ 238,754 274,378 35,624 37

リマ 2,322,553 2,339,408 16,855 10

ロレト 106,999 210,926 103,928 142

マドレ・デ・ディオス 21,356 33,174 11,817 14

モケグア 51,333 58,992 7,659 7

パスコ 54,155 74,397 20,242 27

ピウラ 308,076 422,541 114,465 130

プーノ 297,046 409,677 112,630 201

サン・マルティン 98,072 182,979 84,907 116

タクナ 97,087 99,341 2,254 2

トゥンベス 51,149 59,236 8,086 6

ウカヤリ 77,788 111,686 33,898 39

合計 5,727,211 7,154,433 1,427,222 2,071

州によって都市部と農村部の住宅の比率が異なるほど、接続コスト'都市部と農村部(は2つ

の要素に影響を受ける。1つめの要素は、それぞれの州における都市部と農村部の住宅の割

合、2つめは農村部よりも都市部の電化により大きな重点が置かれることである。最終的に、単

価に設置すべき接続数を乗じて、20億7100万USドルという金額が算出された。

表46. 電力普及率におけるインフラ不均衡の見積もり

出典: 国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年(、エネルギー鉱業省'MINEM(、

社会経済特徴調査'CASEN、2006年(、独自の作成による。

4.3.3 電力部門における不均衡

次に、発電・送電インフラ拡充、そして、電力普及向上するため、また、チリとの不均衡を是

正するために必要な投資のまとめを示す。このように、2009年から2018年にかけて電力部門に

おける投資の不均衡は合計で83億2600万USドルに達している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 119 -

表 47. 電力部門における投資の不均衡(2009 年~2017 年)

(単位:100 万 US ドル)

単位:100 万 US ドル

発電における不均衡※ 5,183

水力発電 2,590

天然ガス発電※※ 1,587

風力発電 675

地熱発電 250

ディーゼル/天然ガス発電 81

送電における不均衡 1,072

業務委託済みのプロジェクト 339

今後業務委託予定のプロジェクト 336

新規プロジェクト 397

電力普及における不均衡 2,071

合計 8,326

※需要が中程度に成長すると予測している。

※※シンプルサイクル発電所とコンバインドサイクル発電所の両方が含まれる。

※※※送電暫定計画に含まれるプロジェクト

出典:国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007 年(、エネルギー鉱業省'MINEM(、

社会経済特徴調査'CASEN、2006 年(、独自の作成による。

4.4 電力部門における投資の発展

鉱工業部門におけるエネルギー需要が増加していること、天然ガス発電所への転換が進ん

でいることにより、近年では、発電における投資額の増加が求められている。エネルギー鉱業

省'MINEM(によると、2008年の電力部門への投資は8億6200万USドルに上っており、前年の

投資額の37%増となっている。民間投資は6億3400万USドルに増加し、2007年に比べて59%増

となっている。公共部門は発電、電力供給に1億2900万USドルを投資しているが、2007年に実

施した投資額よりも8%減尐している。最後に、農村電化局'DGER(が農村部の電化プロジェク

トに投資した実施した残りの9400万USドルは、2007年に投資した額よりも11%の増となってい

る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 120 -

表48. 電力部門における投資額'2005年~2008年(

'単位:100万USドル(

※これらの投資は主に電力供給に対して行われている。

出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

2005年に実施されたインフラ不均衡に関する前回の見積もり56は、2005年から2014年にか

けて、発電に39億7900万USドルの投資が必要だと認めていた。2005年から2008年の間に発

電に12億8500万USドルが投資され、この額は2005年に見積もられた額の32%に相当する。投

資が進むにつれ、発電部門への投資が近年と同様のリズムでいけば、2005年に見積もられた

投資の不均衡を是正することはできないだろう。しかしながら、2008年に実施された発電への

投資が今後数年間維持されれば、前の調査57で明らかになった投資の必要分はカバーできる

であろう。同様に、投資の不均衡に関する今回の計算では、2009年~2017年の期間で51億

8300万USドルの投資が必要であることが明らかになった。つまり、毎年、平均で5億7600万US

ドルの投資が必要である。不均衡を是正するために、この新たな目標値が近年の投資リズム

の促進を求めれば、同様に、今後の電気エネルギー需要を充足させることができるだろう。

送電に関して、投資の不均衡に関する前回の調査は、2005年から2013までに2億2800万US

ドルの投資が必要であると見積もっていた。2005年から2008年の期間に実施された投資が進

んだことで、投資額は1億5000万USドルにのぼり、2005年から3013年の期間に必要であると試

56 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(による調査。2005 年に実施。

発電 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年

民間 140 260 245 457

公的機関 54 29 74 27

発電全体 193 290 318 484

送電 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年

民間 21 17 70 43

公的機関 - - - -

送電全体 21 17 70 43

電力供給 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年

民間 71 74 85 134

公的機関 64 67 66 102

電力供給全体 134 140 151 236

農村電化計画※45 45 34 90 99

合計 394 480 629 862

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 121 -

算された額の66%を占めている。発電の場合と異なり、送電部門への投資が今後数年間同じリ

ズムで維持されれば、全快の調査で見積もられた不均衡を是正することが出来るであろう。今

回の調査では、送電部門に10億7200万USドルの投資が必要であることが明らかになり、前回

の見積もりよりもさらに8億4400万USドル多い金額になっている。今回の調査で算出された不

均衡を是正するために必要な投資額は、送電部門では平均1億1900万USドルとなっており、

そのため、エネルギー需要を充足させ、配給制になるのを防ぐために、現在の投資レベルを

増加させる必要がある。

電力供給部門に関して、2005年に実施された投資の不均衡に関する前回の調査では、

2005年から2014年までに13億1600万USドルの投資が必要であることが判明している。エネル

ギー鉱業省'MINEM(から得た情報によると、2005年から2008年の間に9億3000万USドルが投

資され、2005年の調査で必要とされた投資額の71%となっている。電力供給の場合、2005年か

ら2008年の間に実施された投資が今後も継続されれば、2005年に見積もられた不均衡を是正

することができるであろう。前項において、2009年から2017年にかけての電力普及における投

資の不均衡が見積もられたが、この投資額は21億100万USドルにのぼり、前回の調査58で出さ

れた投資額よりもさらに7億5500万USドル多い金額となっている。今回の調査で必要であると

判明した投資額は、1年あたり平均で2億3300万USドルであり、公社だけでなく農村電化プロ

グラムのような電力供給を担う民間企業も含まれている。この投資額は2005年から2008年に実

施された平均の投資額に相当し、したがって、このまま投資リズムが維持されれば、2009年か

ら2017年の期間に対して推測された投資の不均衡が是正できるだろう。

2008年、発電事業では、民間でより多額の投資が実施され、その額は4億5800万USドルであ

った。これらの投資は2007年の投資額に比べて87%増加していた。Compañía Eléctrica El

Platanal、Kallpa Generación、Edegel、Enersurといった民間企業がこれらの投資の80%を占め

ている。一方で、発電への公共投資は2700万USドルであった。アレキパ発電公社'EGASA(が

発電への公共投資の40%を占めた。

57 2005 年から 2014 年までの全額は 41 億 8600 万 US ドルと推測される。 58 人口増加のほかに、両方の見積もりにおいて普及率の向上がみられた。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 122 -

また、もう一方で、送電事業では投資は民間からのみ実施され、その額は4300万USドルであ

った。ペルーエネルギー網'REP(による投資が最も多く、2006年から2008年の間に実施され

た送電への投資のうち84%を占めている。

電力供給における民間の投資は2008年では1億3400万USドルに達した。EDELNORは投資額

全体の52%に相当する投資を行い、Luz del Surは35%であった。公社は電力供給に1億200万

USドルを投入した。多額の投資をおこなった公社はHIDRANDINAとELECTROCENTROであ

り、全体の47%の投資となっている。最後に、2008年において、エネルギー鉱業省'MINEM(の

農村電化計画に9900万USドルが投資され、この投資は電力供給に集中した。

2005年より、ChilcaやEl Platanalといった民間部門で、重要な投資やコンバインドサイクル発

電所への転換が実施されている。

図42. ペルーの電力部門における民間投資の発展'1994年~2008年(

(単位:100万USドル)

――――――― 発電

- - - - 送電'右の縦軸(

- × - × - 電力供給'右の縦軸(

出典: エネルギー鉱業省'MINEM(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 123 -

5.天然ガス部門

5.1 はじめに

カミセア天然ガスプロジェクトが開始されるまで、天然ガス産業は、中央密林地帯のアグアイ

ティア・ガス田やピウラ州やトゥンベス州の油田にあるガス田に集中し、その発展は限定的であ

った。天然ガス開発が遅れたのは、埋蔵見込み量が尐なかったことや、エネルギーの最大の

消費地から遠く離れているなど59、ガス田の立地条件が原因となっていた。

カミセアガス田はリマから南東に500キロメートル、クスコ州に位置している。1980年代に発見

された。カミセアガス田の天然ガスの商業的操業は2004年8月に開始され、発見から15年後の

ことであった。

カミセア天然ガスプロジェクトが近年において最も重要なエネルギー事業であることに疑いの

余地はない。天然ガスの採掘、運搬、供給からなるこのプロジェクトの開始は、ペルーのエネ

ルギー基盤において変革をもたらした。

図43. エネルギー基盤'2003年( 図44. エネルギー基盤'2007年(

(一次エネルギーの国内供給全体に対する%) (一次エネルギーの国内供給全体に対する%)

出典:エネルギー鉱業省'MINEM( 出典:エネルギー鉱業省'MINEM(

また、ガス田からは液化ガスも採掘されている。液化ガスは、液化石油ガス'LPG(、ガソリン、

ディーゼル、ナフサとして燃料に転換される。天然ガスを輸出するには、この炭化水素ガスが

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 124 -

液化の過程を通過し、圧力を下げる目的で冷やされる必要がある。この過程で液化ガスは液

化天然ガス'LNG(となり、「メタネロ(metanero)」と呼ばれる特別なタンカーで輸出される。

表49. カミセア天然ガスプロジェクトの発展

日付 出来事

1981年7月 28番、42番ロットについてシェルとの油田事業契約が署名される

1983年-1987年 シェル、5箇所のボーリング調査の結果、カミセアガス田を発見

1988年3月 シェル・Petroperú間でカミセアガス田の採掘基地協定に署名される

1988年8月 シェルとの契約交渉が終了、合意に至らず。

1994年3月 シェル・PERUPETRO間でカミセアガス田の評価・開発のための協定が締結さ

れる

1995年5月 シェル、フィージビリティ調査報告書を提出、PERUPETROに対してカミセアガ

ス田採掘契約の交渉開始を求める

1996年5月 交渉が終了、シェル・コンソーシアム・PERUPETRO間でカミセアガス田採掘契

約が締結される

1998年7月 シェル-モービル・コンソーシアム、契約の第2期を継続しない決定を通告、し

たがって、契約は白紙に戻る

1999年5月 民間投資促進委員会'COPRI(、事業とは独立したユニットから成る分割スキ

ームによりカミセア天然ガスプロジェクトを展開するために促進プロセスを進め

ることで合意

1999年5月 5月31日、カミセアプロジェクト特別委員会(CECAM)が、カミセアガス田での採

掘権契約を与えるため、また、液化ガス・天然ガスの太平洋沿岸部までの運搬

認可とリマとカジャオでのガス供給認可を付与するために、国際公共入札を実

2000年12月 CECAMが実施した入札の落札者によるコンソーシアムとの間で、カミセア天

然ガスプロジェクト進展のための契約が締結される

2004年8月 8月20日、カミセア天然ガスプロジェクトの商業的操業が始まる

出典:Tomado de Dammert と Molinelli (2006年7月)

59 出典:García y Vásquez (2004 年)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 125 -

5.2 天然ガス産業の状況 5.2.1 カミセア天然ガスプロジェクト

エネルギー源としてのカミセアプロジェクトの重要性は、天然ガスの埋蔵量に反映されている。

エネルギー鉱業省'MINEM(によると、2007年12月31日の時点で、ペルーで推定される天然

ガスの埋蔵量のうち96%は、カミセアコンソーシアムによって操業されている88ロットと56ロット

'パゴレニ(に相当する。天然ガス生産の進歩は、石油価格高騰のため、大きな利益につなが

っている。天然ガスによる火力発電所で大きな需要が発生しており、天然ガス生産量の大幅な

増加を決定付けている。2005年以降、Pluspetrol Camiseaは88ロット'サン・マルティン井戸(60

で操業することで最大の生産者となった。

図45. 天然ガスの生産量'2003年~2008年(

(単位:千立方フィート)

その他 88ロット'カミセア(

1月 5月 9月 1月 5月 9月 1月 5月 9月 1月 5月 9月 1月 5月 9月 1月 5月 9月

2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 出典: エネルギー鉱業省'MINEM(

近年、天然ガスにより、エネルギー基盤を多角化する目的で、天然ガスの価格が非常に低

く設定された。ガス田の井戸出口における天然ガスの価格は確かに無料だが、カミセアプロジ

60 2005 年 6 月のサンタ・ロサ火力発電所の操業開始により、2005 年第 2 四半期からガス需要が増加した。同様に、2006 年 6 月、

エテベンサのコンバインドサイクル方式の発電所が操業を開始し、同年 11 月には Enersur (Chilca 1)の火力発電所が操業を開始

した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 126 -

ェクトの天然ガス採掘契約では上限が100万英熱量単位'BTU(あたり1.8USドルに設定され

た。

この価格は世界のエネルギー状況、つまり、天然ガス市場における、天然ガス国際基準価

格であるヘンリー・ハブ指標を反映しておらず、天然ガスは2008年末には100万英熱量単位

'BTU(あたり6USドルの価格がついていたが、ペルーでは、100万英熱量単位'BTU(あたり

2USドルであった。これにより、他のエネルギー源との競争が困難になっている。同様に、天然

ガスが低価格にとどまっていることで、新たな火力発電所の大半がコンバインドサイクル方式

ではなく、シンプルサイクル方式であり、ガスの効率的な利用に対してインセンティブとして機

能していない。

図46. 技術・燃料※別電力発電におけるコスト(2005年~2008年) (単位:メガワット/時間あたりのUS$)

CC天然ガス CS天然ガス CV石炭 MD廃棄ディーゼル6 MDディーゼル2 CSディーゼル

※これらのコストはそれぞれの年の12月のものである。

注:CC –コンバインドサイクル方式 CV – 蒸気発電所 CS –シンプルサイクル方式 MD – ディーゼルエンジン

出典:エネルギー鉱業投資監督機構'OSINERGMIN(料金調整補助理事会'GART(

発電のために天然ガスの利用が増えるほど、ディーゼルを追い越して、天然ガスの需要が

予想以上に増加した。62 現在、電力の30%が天然ガスで発電されており、天然ガスによる発電

所は7箇所、その発電能力は1701メガワットである。63電力部門における天然ガスの消費量は

2005年の437億4200万立方フィート'MMPC(から2008年の843億1400万立方フィート'MMPC(

に増加した。88ロット'カミセア(由来の天然ガスの消費量は2005年における天然ガス消費量

全体の51%を占めており、この割合は2008年には73%へと上昇している。工業部門における天

然ガス消費量は、2005年の64億7500万立方フィート'MMPC(から2008年の257億6300万立方

フィート'MMPC(へと推移している。

62 ディーゼルはカミセア天然ガス田が操業を始める前、火力発電所で使用されていた。 63 これらの発電所は、リマ州にあるサンタ・ロサ発電所'発電能力:237 メガワット(、ベンタニージャ発電所'524 メガワット(、チルカ

1-エネルスール発電所'362 メガワット(、カルパ-グロベレク発電所'190 メガワット(、カジャオ州にあるオケンド発電所'30 メガワッ

ト(、ピウラ州タララにあるマラカス発電所'155 メガワット(、ウカヤリ州にあるアグアイティア発電所'203 メガワット(のことである。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 127 -

カミセアプロジェクトで最大の効果となっているのが、借地料として国とカミセア社会経済開

発基金'FOCAM64(が受け取った採掘権料である。また、天然ガス生産のコストが下がるにつ

れ、電気料金も下がっている。エネルギー鉱業投資監督機構'OSINERGMIN(によると、天然

ガスによる火力発電所のおかげで、電気使用者が享受できた節約額はおよそ17億USドルに

のぼっている。65

図47. 88ロット'カミセア(から獲得した採掘権料'2004年~2008年(

(単位:100万USドル)

天然ガス

液体炭化水素

5.2.2 天然ガスの普及

エネルギー鉱業省'MINEM(によると、電力発電のための天然ガス市場のほか、国内レベル

で、州ごとにポテンシャルな市場が存在する。例えば、中央密林地域では、供給システム不足

のため、アグアイティアガス田の天然ガスが工業部門・住居部門ににおいてまだ消費されてい

ない。中期的に見て、カミセアガスパイプラインが延長されその恩恵を受けられれば、ピスコ、

イカ、マルコナなどの都市は天然ガスから商業・住居・工業レベルで利益を受けることができる

可能性がある。66また、天然ガスをクスコ、アンカシュ、フニン、アヤクーチョへ供給する計画も

ある。

64 Fondo de Desarrollo Socioeconómico de Camisea の略。 65 出典:エネルギー鉱業省'MINEM((2008b) 66 2004 年 8 月、ピスコで工業部門における天然ガスの消費が始まり、さらに、2006 年 1 月より、Minsur や Aceros Arequipa といっ

た企業が天然ガスを消費している。

400

350

300

250

200

150

100

50

0 2004 2005 2006 2007 2008

出典: エネルギー鉱業省'MINEM((2008年b)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 128 -

南アメリカ地域レベルでは、南アメリカには全世界の天然ガス埋蔵量の4%が存在する。こ

の地域の国々でのエネルギー基盤における天然ガスの割合は増加しており、アルゼンチンや

ブラジルでは最大のエネルギー源となっている。ボリビアの場合、現時点で1日当たり3500万

㎥近くの天然ガスを輸出しているが、採掘と運搬にさらに大きな投資が求められており、その

輸出目標は6千万㎥である。チリは1日当たりわずか600万㎥の天然ガスを生産し、2千万㎥を

消費している。この差はすべてアルゼンチンからの輸入に頼っている。ブラジルも天然ガスの

輸入国であり、現在、ボリビアから1日当たり3千万㎥の天然ガスを輸入している。ベネズエラに

は南アメリカ地域のガス埋蔵量の約69%が存在する'48億4千万㎥(にもかかわらず、この埋蔵

量のおよそ90%は石油とともに埋蔵されている。石油輸出国機構'OPEC(の加盟国であるた

め、ベネズエラは自らの意志により、天然ガス生産量を増やすことが出来ない。したがって、中

期的にみると、他の大陸からの輸送と比較して輸送コストを下げることが出来るため、ペルーと

ボリビアはこの地域の天然ガス輸出国として重要な役割を果たすことができる。67

図48. 南米における天然ガスの埋蔵量'2007年(

'単位:100京立方フィート(

出典:エネルギー情報局'EIA(

図49. 南米における天然ガスの消費量'2006年( '単位:100京立方フィート'TPC((

※エネルギー鉱業省'MINEM(によると、天然ガスの消費量は2006年では0.08TPCであったが、2008年に

0.14TPCに増加した。

出典:ラテンアメリカエネルギー機構'OLADE(

67 出典:Delgado (2008)、エネルギー情報局'EIA(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 129 -

5.3 投資の不均衡の見積もり

天然ガス部門において開発が始まったばかりであるため、非常にインフラ整備が整い、天然

ガスの使用において長年の経験を持つ南アメリカ地域の各国と比較することは適当ではない。

さらに、エネルギー基盤は国によって異なり、同様に、天然ガス埋蔵量や一人当たりの消費量

も異なっている。エネルギー鉱業省'MINEM(炭化水素局は、数年間での天然ガス部門への

投資を計画している。何年間の投資になるかは、いくつかのケースで上記機関から入手した情

報を元に調整されたが、今のところは2009年から2012年の期間の情報しかない。

まず、カミセアからイロまでの区間でKunturに業務委託された南部へのガスパイプラインにつ

いて考えると、このガスパイプラインの長さは1085キロメートルあり、およそ13億5千万USドルの

投資が必要である。このガスパイプラインのルートはカミセア'クスコ州(から始まり、フリアカ'プ

ーノ州(やマタラニ'アレキパ州(などの都市と通過して、イロ'モケグア州(まで続いている。一

方、2008年9月16日、ペルー民間投資促進庁'ProInversión(の理事会がチンボテ市への天然

ガス運搬事業権に対する民間投資促進計画を承認した。このガスパイプラインへは13億USド

ルの投資が必要であると推定されている。これらのプロジェクトは天然ガスの生産状況によって

変更になる可能性がある点も考慮にいれるべきである。

また、推定4100万USドルの投資が必要とされるIrradia Micro LNGプロジェクトについても考

える必要がある。この投資額には、天然ガスを液化するための液化天然ガス'LNG(プラントの

建設が含まれている。天然ガスが液化天然ガスに転換されれば、窒素タンクのある特別仕様

のトラックで運搬することが出来る。

天然ガスの供給に関して、2009年から2012年にかけてリマにおける供給網を拡充するため

に、2億7100万USドル、イカにおける供給網を設置するために2億USドルの投資が計画されて

いる。同様に、中央山岳地域にも1億USドルの投資により、供給網が設置されることが求めら

れている。この供給網により、アヤクーチョ州、フニン州、アンカシュ州が恩恵を受けることにな

る。

2010年までに、天然ガス運搬システム拡充のために、1億9900万USドルの投資が計画された。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 130 -

同様に、2008年8月、ピスコ-ルリン区間の多機能パイプラインの業務委託がGraña y Montero

Petrolera S.A.とOiltanking Perú S.A.Cから構成されるコンソーシアムに与えられた。このプロジ

ェクトに1億3000万USドルの投資が見込まれている。この多機能パイプラインは約210キロメー

トルの区間で液化石油ガス'LPG(を運搬する。このパイプラインの建設により、現在のロジステ

ィクス'ピスコ-カジャオ間は海上輸送(からパイプラインによる輸送に代わることが期待されて

いる。

最後に、1億3000万USドルの投資により、自動車向け天然ガス販売拠点の設置を考える必

要がある。このように、今回の調査は、投資の不均衡の推定として、ガス部門に必要であると判

断された投資を考慮している。天然ガス部門での不均衡は今後4年間で、37億2100万USドル

にのぼる。

表50. 天然ガスにおける不均衡'2009年~2012年(

'単位:100万USドル(

企業 投資額

リマにおける供給システム※ Cálidda 271

リマにおける運搬システム※※ TGP 199

イカにおけるガス供給 Transcogas S.A. 200

中央山岳地域でのガス供給 未定 100

チンボテへのガスパイプライン建設 未定 1,300

南部へのガスパイプライン Kuntur 1,350

ピスコ-ルリン区間の多機能パイプライン GMP S.A. 130

自動車用天然ガス'VNG(の販売拠点 複数の企業 130

ミクロ液化天然ガス'LNG(プラントの建設 Irradia S.R.L. 41

合計 3,721

※2012年までのプロジェクト

※※2009年~2010年までの投資

出典:炭化水素局'DGH(、ガス部門の各企業

5.4 天然ガス部門における投資の発展

2005年から2008年における投資はエネルギー鉱業省'MINEM(の炭化水素局とこの部門の

いくつかの企業により実施された。これらの投資はカミセアプロジェクトやPerú LNGが実施した

ガス輸出プロジェクトに集中した。2005年から2008年までの天然ガスへの全投資額は33億

7100万USドルにのぼった。このうち、79%がガス輸出プロジェクトに投入された。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 131 -

2005年に実施された投資の不均衡に関する前回の調査68では、2005年から2014年までに天

然ガスに4億2000万USドルの投資が必要であるとした。この投資額には2つの構成要素があっ

た。リマのガス供給網拡充のための追加の投資'1億USドル(と地方の供給網への投資'3億2

千万USドル(である。

2005年から2008年の間、リマのガス供給網拡充のために6300万USドルの投資が実施された。

この額は前回の調査で明らかにされた情報に対して、63%の進捗であることを示している。こ

の大きな進歩は、必要であると計算された投資の63%を10年のうちわずか4年間で達成したこ

とを示している。同様に、Cáliddaは自社の供給網に2009年から2012年までに2億7100万USド

ルの投資を計画している。69この投資が実施されれば、2014年には不均衡は是正されるという

結論に到達する。2005年に見積もられた不均衡の第2の構成要素は地方の供給網への投資

であったが、2005年から2008年まで、このプロジェクトへの投資は実施されなかった。不均衡

は2005年から2014年に向けて見積もられ、炭化水素局は2009年から2012年にかけて地方供

給網の建設に26億5千万USドルを見積もっているため、このまま計画が実行されれば、前回の

調査で必要であるとされた投資は余剰がでるほどに達成されるだろう。ガス部門が大きく成長

しているので、最近4年間にガス部門で実施された投資額が非常に高いレベルであるにもかか

わらず、2008年に実施された不均衡の推定額は実質的に2005年の推定よりも大きくなってい

る。

表51. 天然ガスで実施された投資推定額'2005年~2008年(

'単位:100万USドル(

企業 2005年 2006年 2007年 2008年

ラス・マルビナスのガス分離プラント Pluspetrol 54 57 63 283

ピスコの分留プラント Pluspetrol - - - 70

リマの運搬システム TGP - - 3 60

リマの供給システム Cálidda 15 15 12 21

LNGプラント'パイプラインも含む( PerúLNG - 159 867 1,636

自動車用天然ガスの販売拠点 複数の企業 - 5 18 33

合計 69 236 963 2,103 ※2002年からはCáliddaによる投資

出典:エネルギー鉱業省(MINEM)炭化水素局(DGH)、ガス部門の各企業

68 ペルー経済研究所'IPE(と公共事業民間企業協会'ADEPSEP(による調査。2005 年に実施。 69 この投資は天然ガスの生産量によって変更になる可能性がある。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 132 -

6 電気通信部門

6.1 はじめに

電気通信部門はペルー電話公社'CPT(とエンテル・ペルーが合併・民営化された1994年か

ら大きく進歩してきている。固定電話普及率は、1993年の住民100人あたり2.94回線から、

2008年の10.3回線に増加した。携帯電話普及率は、1993年の住民100人あたり0.16電話から

2003年の10.07電話、2008年の74.9電話へと急激に増加した。この成長は大きな流れを生じさ

せ、特に携帯電話分野において、南アメリカ地域の各国との不均衡を小さくするに至ってい

る。

前述の成長は、人口に対する普及率だけでなく、地理的普及率においても見られる。例え

ば、2004年末、移動体通信にアクセスできるのは410地区だけであったが、2008年末には、そ

の数は1414に増加した。移動体通信は、社会経済的向上を通じてより快適な生活を可能にす

るが、この数値の上昇は、移動体通信が普及していない地区に居住するより多くのペルー人

が効率的な通信手段へアクセスできるようになったことを示している。70

電気通信の普及は、その他の基礎サービスと異なって、需要の成長にしたがって、普及率も

向上している。ゆえに、電気通信部門の広がりは、需要の主な決定的要素'価格、消費者の

可処分所得(に左右される。事実、新たな料金プランの設定、固定料金の引き下げ、端末価

格の引き下げ、2つ以上のサービス契約によるパッケージ化、通話料金の引き下げ、国の経済

成長の成果としての所得の増加がペルーにおける電気通信部門の成長を左右する主な要因

となっている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 133 -

6.2 電気通信部門の状況

6.2.1 固定電話

ペルーにおける固定電話の普及率は、2008年で、住民100人あたり10.3回線71であり、2003

年に比べると、53%の成長となっている。2008年の時点で、固定電話は886の地区で普及して

おり、つまり、国内全地区の48%を占めている。しかし、この成長の大半はリマ市におけるもの

で、2003年から2008年の間に、住民100人あたり13.8回線から19.9回線に増加している。一方

で、その他の地方では、同期間に、住民100人あたりの回線数が3.4から5.6に増加している。こ

のように、2008年末には、リマ州には国内の全固定回線'210万4210回線(の66.3%が集中す

ることになった。

図50. ペルーにおける固定電話の普及率'2003年~2008年(

'単位:住民100人あたりの回線数(

2003 2004 2005 2006 2007 2008

リマ市内 その他の地域 全国

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(、国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年(、独自の推定による。

州ごとの固定電話の普及率をみると、州によって大きな差があることが分かる。リマ州とアレ

キパ州のみが国内の普及率を超えていて、最も遅れている州はウアンカベリカ州で、住民100

人あたりの固定回線数は0.8である。同様に、沿岸部の州では、密林地域や山岳地域の州に

比べて高い普及率を示している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 134 -

表52. 州別固定電話普及率'2003年~2008年(

(単位:住民100人あたりの固定回線数)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(、国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年(、独自の推定による。

ペルーにおける固定電話普及率を南アメリカ地域の各国と比較すると、2003年から2007年

の間に大きく成長した'45%(にもかかわらず、ペルーの普及率は低いレベルに留まっている。

一方で、チリとコロンビアでは固定電話の普及率が最も高いレベルとなっていて、この指標に

おいては成長の停滞がみられる。つまり、固定電話から携帯電話への移行現象が起きている

とみられる。72チリ、コロンビアでは、普及率が上限に達したため、以後、これ以上固定電話の

普及率は成長しないと考えられるが、この現象は未だペルーでは起きていない。

州 2003 2004 2005 2006 2007 2008

アマソナス 1.0 1.3 1.6 1.5 1.7 1.6

アンカシュ 3.9 4.4 5.2 5.5 6.0 6.5

アプリマク 1.2 1.3 1.5 1.6 1.7 1.8

アレキパ 7.9 8.6 9.1 9.7 10.5 11.1

アヤクーチョ 1.9 2.2 2.2 2.4 2.7 2.7

カハマルカ 1.4 1.6 2.2 2.2 2.4 2.5

クスコ 3.2 3.3 3.7 4.0 4.2 4.4

ウアンカベリカ 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.8

ウアヌコ 1.4 1.5 1.8 2.0 2.2 2.3

イカ 5.7 6.2 7.1 7.5 8.1 8.6

フニン 3.5 3.9 4.8 5.2 5.9 6.2

ラ・リベルタ 5.9 6.8 7.6 8.2 9.4 9.9

ランバジェケ 4.9 5.7 6.6 6.9 7.8 8.2

リマ 13.8 15.0 16.0 16.8 18.5 19.9

ロレト 2.8 2.9 3.5 4.0 4.9 5.4

マドレ・デ・ディオス 2.4 2.7 3.2 3.3 3.8 5.1

モケグア 5.6 6.0 6.7 7.2 7.9 7.3

パスコ 1.4 1.6 1.8 1.9 2.2 2.4

ピウラ 3.2 3.9 4.6 5.1 6.0 6.2

プーノ 1.5 1.7 1.8 1.9 2.0 2.0

サン・マルティン 2.1 2.4 3.2 3.4 3.8 4.2

タクナ 6.1 6.4 7.6 8.0 8.0 8.0

トゥンベス 3.8 4.3 5.1 5.1 6.2 5.7

ウカヤリ 3.0 3.3 4.2 4.6 5.3 5.0

合計 6.7 7.3 8.3 8.7 9.6 10.3

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 135 -

図51. 南アメリカにおける固定電話普及率'2003年~2007年(

(単位:住民100人あたりの固定回線数)

チリ

コロンビア

エクアドル

ペルー

ボリビア

出典: 国際電気通信連合、独自の推定による。

6.2.2 携帯電話

ペルーにおける携帯電話は、近年、大きな動きを見せている。その原因は、主に携帯電話

端末の価格と通話料金が引き下げられたことにある。価格が引き下げられた理由の一つに、

電波スペクトルを使用することにより、250の地区での普及率向上と引き換えに、2006年12月に

使用料引き下げ概要が導入されたことが挙げられる。また、端末機器の関税が引き下げられ、

消費者に引き渡される端末価格が下がったことも挙げられる。さらに、競争や2005年のモバイ

ル網への相互接続による料金の固定化や割引などが新たに導入されたことで、通話料金の引

き下げも実現している。

携帯電話の普及率に関して、住民100人あたりの回線数が2003年の10.7から2008年の74.9

へと大幅に増加している。その中でも最も増加率が高かったのは、プリペイドの回線で、2003

年に228万回線だったのが、2008年には1864万回線に増加している。また、携帯電話が普及

している地区数も、2004年から2008年にかけて、410から1414へ増加し、国内全地区の77%に

達している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 136 -

図52. ペルーにおける携帯電話普及率'2003年~2008年( 図53.方式別携帯回線数'2003年~2008年(

(単位:住民100人あたりの使用回線数) (単位:100万回線)

リマ その他の地域 全体

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL( 出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年( 国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年(

独自の推定による。 独自の推定による。

州ごとの携帯電話普及率に関して、沿岸部に位置する州では、国内で最も高い普及率を示

している。つまり、リマ州、タクナ州、アレキパ州、モケグア州、イカ州、ランバジェケ州では、国

内全体の普及率に比べて高い普及率となっている。携帯電話普及率の低い州には、アマソナ

ス州、ウアンカベリカ州が挙げられるが、これらの州では、2003年から2008年の間に普及率が

45倍や62倍も増加している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 137 -

表53. 州別携帯電話普及率'2003年~2008年(

(単位:住民100人あたりの使用回線数)

州 2003 2004 2005 2006 2007 2008

アマソナス 0.5 1.2 2.6 5.3 13.0 23.3

アンカシュ 4.7 6.7 10.4 18.4 37.4 53.8

アプリマク 0.7 1.6 3.3 6.7 16.3 26.7

アレキパ 13.8 17.4 25.7 42.4 75.3 95.1

アヤクーチョ 1.7 3.5 4.9 11.0 28.0 46.5

カハマルカ 2.5 3.8 5.6 10.9 23.7 36.6

クスコ 4.3 6.3 9.8 18.0 35.6 53.8

ウアンカベリカ 0.2 0.5 1.0 2.5 6.0 10.5

ウアヌコ 1.3 2.6 4.7 9.0 18.2 30.9

イカ 7.2 11.8 20.7 34.9 64.1 85.5

フニン 3.9 5.8 10.3 18.8 38.9 60.2

ラ・リベルタ 9.5 12.2 15.9 27.2 53.6 71.9

ランバジェケ 7.2 10.1 15.1 26.8 54.8 76.6

リマ 23.3 31.7 40.0 57.4 90.3 115.5

ロレト 2.2 3.4 5.1 8.6 16.6 24.2

マドレ・デ・ディオス 1.4 3.1 9.0 22.0 47.3 72.4

モケグア 8.0 14.9 25.4 43.9 72.1 89.1

パスコ 1.0 2.3 4.3 11.3 28.1 43.2

ピウラ 4.9 7.3 10.9 18.5 36.5 50.9

プーノ 2.9 4.5 7.4 15.6 36.9 54.6

サン・マルティン 0.9 1.8 3.9 8.8 21.9 39.2

タクナ 16.6 19.9 32.2 49.5 84.0 103.1

トゥンベス 4.8 10.4 19.7 32.9 56.7 74.3

ウカヤリ 2.5 5.0 9.4 17.2 33.4 48.7

合計 10.7 14.7 20.5 31.9 55.6 74.9

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(、国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007年(、独自の推定による。

南アメリカ地域の他の国々と比較すると、ペルーの携帯電話普及率はコロンビア、チリ、エク

アドルといった国々よりも低いレベルである。しかし、最近2年間のペルーにおける携帯電話普

及率の成長スピードは他の国々よりも速くなっている。例えば、2006年から2007年の間、ペル

ーにおけるモバイル回線の成長率は75%であったが、チリではわずか12%であった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 138 -

図54. 南アメリカにおける携帯電話普及率(2003年~2007年)

(単位:住民100人あたりの使用回線数)

チリ / エクアドル / コロンビア / ペルー / ボリビア

出典: 国際電気通信連合、独自の推定による。

6.2.3 インターネット73

ペルーにおけるインターネットへのアクセスの成長は2003年から2008年の間で続いており、

2003年の31万接続から、2008年の76万5000接続へ増加している。つまり、年平均で25%の成

長を続けていることになる。インターネット技術としてのダイアルアップとケーブルの利用に関し

ては、後退がみられ、ADSLに推移しつつある。ADSLは2003年に6万4000接続であったが、

2008年には68万8000接続に増加している。その年平均の成長率は81%である。

図55. アクセス方式別のインターネットへの接続'2003年~2008年(

(単位:1000アクセス)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 139 -

南アメリカ地域におけるブロードバンドへのアクセスをみると、2007年にペルーでは普及率が

住民100人あたり2アクセスであり、8アクセスの普及率であったチリからはるかに遅れていた。

同様に、2006年までは、ペルーのブロードバンド普及率はエクアドルやコロンビアよりも高かっ

たが、2007年には、これらの国々はそれぞれ住民100人あたり2.4と2.6アクセスを達成した。

図56. 南米におけるブロードバンド74普及率'2003年~2007年(

(単位:住民100人あたりの使用アクセス数)

チリ / コロンビア / ペルー / エクアドル

2003年 2004年 2005年 2006年 2007年

出典: 国際電気通信連合、独自の推定による。

6.2.4 長距離電話

ペルーにおける長距離電話市場は、激しい競争の結果、2003 年から 2008 年の間で大き

く成長した。国内長距離電話市場において、大きなシェア 75 を占める企業は、テレフォニ

カ(71.2%)、アメリカテル(9.6%)、IDT(6.1%) 、テルメックス(5.5%)であり、国際長距離

電話市場では、テレフォニカ(73.9%), IDT (9.6%), アメリカテル(6.9%)、コンベルヒア

(3.0%)が大きなシェアを占めている。

固定電話と公衆電話から発信された国内長距離電話の通話は 2003 年から 2006 年の間に

増加し、その後、2007 年から 2008 年の間で減少している。この後退の原因として、携帯

電話間の通話料金が引き下げられたことにより、国内長距離電話から国内レベルでの携帯

電話間での通話に代わってきていることが挙げられる。2006 年より、複数の携帯電話会社

がオンネット国内通話(同じ携帯電話会社の端末間での発信、着信)を近距離通話と同じ

料金でできるプランを打ち出した。最近では、2008 年の初め、このプランは国内単一料金

を導入することでオフネット通話にも拡大適用された。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 140 -

図57. 方法別の加入者固定電話・公衆電話から発信された国内長距離電話の通話量

'2003年~2008年(

(単位:100万分)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

固定電話と公衆電話から発信された国際長距離電話の通話量は、2003 年から 2008 年の

間で 138%の成長がみられた。

図 58. 方法別加入者固定電話・公衆電話から発信された国際長距離電話の通話量(2003 年

~2008 年) (単位:100 万分)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 141 -

6.2.5 公衆電話

ペルーにおける公衆電話はあまり成長のレベルは大きくない。年平均での成長率は2003年

から2008年の間でわずか8.8%であり、普及率は、住民100人あたりの公衆電話数は0.7である。

2007年、ボリビアでは公衆電話の普及率は0.64であり、0.62のペルーとほぼ同じであったが、

チリでは公衆電話普及率はわずか0.31であった。その理由には、チリでは固定電話や携帯電

話が非常に普及しているため、公衆電話に対する需要が尐ないことが挙げられる。

図59. ペルーにおける公衆電話普及率'2003年~2008年(

(単位:住民100人あたりの使用回線数)

リマ州 その他の州 合計

出典: 電気通信民間投資監視機構(OSIPTEL)、国家統計情報処理院(INEI)による国勢調査(2007 年)、独自の推

定による。

公衆電話市場において、他の電話事業者にとって大きなインセンティブがなく、公衆

電話が携帯電話に移行しつつあるため、大きな競争はみられない。2008 年の時点で、

テレフォニカが全公衆電話の 84%という最大のシェアを占めていた。第 2 位が農村部

にて営業をおこなう Gilat to Home 社(4%)、第 3 位がテルメックス(3%)となっ

ている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 142 -

図60. 公衆電話市場における企業のシェア'2008年(

(単位:%) (その他)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

6.2.6 農村部の電話

電気通信投資基金(FITEL)は、農村部や社会的に優先順位が高いとみなされる場所への電

気通信サービス供給に出資している。現在、電気通信投資基金(FITEL)は運輸通信省

'MTC(によって管理されている。電気通信投資基金(FITEL)の目的は、電気通信サービスに

おける不均衡を是正し、農村部や社会的優先度が高い地域での民間の電気通信サービス提

供への参入を促進することである。1998年から2006年までに、5つの電気通信プロジェクトが

落札され、5300万USドルの出資により、560万人の住民が直接恩恵を受けることができた。

2007年より、3つの電気通信プロジェクトが落札され、受益者数は400万人、出資額は6700万

USドルにのぼった。これらのプロジェクトにより、4751の集落に加入者電話あるいは公衆電話

が設置され、3723の集落にはインターネットが整備された。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 143 -

表54. 電気通信投資基金(FITEL)が打ち出し、ペルー民間投資促進庁を通じて落札された

プログラム・プロジェクト'2007年以降(

出典:電気通信投資基金(FITEL)

「国内レベルへのブロードバンドサービス導入プログラム」(BAR I)の目的は、公衆電話と加

入者電話の形態で固定電話サービスを提供し、国内レベル4048の集落でのインターネットへ

のアクセスを可能にすることである。このプログラムは6つのプロジェクトから構成される。2007

年10月、Rural Telecom社はこの6つのプロジェクトのうち3つのプロジェクトで電気通信投資基

金(FITEL)との契約を締結した。その3つのプロジェクトは中部プロジェクト'ウアヌコ州、フニン

州、リマ州、パスコ州、ウカヤリ州(、中北部プロジェクト'アマソナス州、アンカシュ州、ラ・リベ

ルタ州、ロレト州、サン・マルティン州(、北東部プロジェクト'カハマルカ州(であり、これら3つの

プロジェクトにより、恩恵を受けるのは1928の集落である。

「農村電気通信導入プログラム- Internet Rural」(IR)では、マドレ・デ・ディオス州を除き、国

内レベル1050の集落にインターネット設備を導入する。2008年12月22日、Televas Andina社と

の出資契約が締結された。

2009年2月、ペルー民間投資促進庁は、「ペルー農村部ブロードバンドによるデータ・ボイス

供給プロジェクト- Banda Ancha para Localidades Aisladas」'BAS(の落札者にテレフォニカ・

デル・ペルーを選定し、出資契約は同月27日に締結された。このプロジェクトは3852箇所の村

落にデータ通信と通話サービスを提供する。

プロジェクト 及び/または

プログラム

受益者数 出資額'USドル( 企業 プロジェクトの状況

国内レベルへのブロードバ

ンドサービス導入プログラム

130万 $8,837,057.00

'FITELによる(

Rural Telecom

S.A.C.

整備中

農村電気通信導入プログラ

ム- Internet Rural

110万 $9,445,461.00

'FITELによる(

Televias

Andinas S.A.C.

整備中

ペルー農村部ブロードバン

ドによるデータ・ボイス供給

プロジェクト- Banda Ancha

para Localidades Aisladas

160万 $48,849,000.20

'FITELによる(

Telefónica del

Perú S.A.C.

2009年8月より整備

開始予定

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 144 -

6.3 投資における不均衡の見積もり76

6.3.1 固定電話

ペルーにおける固定電話77インフラへの10年にわたる投資の不均衡を計算するために、固

定電話普及率が住民100人あたり20.8回線78であるチリのデータを参考にした。今回の調査の

目的は州レベルでの不均衡を見出すことであり、それを可能にするために、州レベルでの固

定電話普及率を比較する手法を用いた。

まず、固定電話普及率にしたがって、ペルー、チリ両国の州を並べ替えた。それから、それら

の州を6つのグループに分ける。そして、このグループから、ペルーにおける6グループの平均

とチリにおける6グループの平均をそれぞれ比較する。例えば、ペルーで最も固定電話普及率

の低い住民グループをチリで最も普及率の低いグループと比較する。ペルーにおける固定電

話普及率の目標は、現在のチリの普及率に追いつくことであり、その数値は住民100人あたり

の回線数が20.8である。したがって、ペルーのそれぞれのグループに対して設定された州別

の目標値は、対応するチリのグループと同じ値になる必要がある。最後に、2018年に向けて設

定された目標に到達するために、それぞれの州において必要とされる固定電話回線数を割り

出し、このデータに回線単位の投資平均コスト'州ごとに農村部と都市部それぞれにおける人

口に応じて、800USドルか400USドルのコストを熟考して算出79(を乗じた。このように、必要とさ

れる投資額は13億4400万ドルとなった。

76電気通信サービスの普及を考えると、ブロードバンド網の普及はこの部門において不可欠である。しかし、ブロード

バンド網普及にかかる技術種類別のコストに関する情報がないため、この件に関する投資の不均衡は含まれていない。 77 固定電話回線には有線と無線を含む。 78 2008 年 8 月時点のデータ。 79 この数値はテレフォニカ・デル・ペルーより入手した。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 145 -

表55. 州別固定電話における不均衡'2009年~2018年(

州 投資額'単位:100万USドル(

アマソナス 26

アンカシュ 50

アプリマク 25

アレキパ 62

アヤクーチョ 42

カハマルカ 96

クスコ 58

ウアンカベリカ 34

ウアヌコ 44

イカ 41

フニン 49

ラ・リベルタ 109

ランバジェケ 80

リマ 313

ロレト 43

マドレ・デ・ディオス 5

モケグア 12

パスコ 14

ピウラ 82

プーノ 76

サン・マルティン 35

タクナ 20

トゥンベス 9

ウカヤリ 17

合計 1,344

出典:電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(、電気通信総局'SUBTEL(、国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007

年(、独自の推定による。

6.3.2 携帯電話

携帯電話に関して、チリには州レベルの携帯電話普及率に関する情報がない。したがって、

州ごとの比較をする代わりに、住民100人あたり携帯電話回線数が100'国内総生産から期待

される成長率から計画された数値(という普及率を達成できるような状況を設定してシミュレー

ションを実施した。このように、携帯電話普及率の高いほうから低いほうへ各州を並べ、住民の

6つのグループに分けた。この過程で、ペルーの住民は6つのグループに分けられ、普及率の

高いほうから低い方へ並べ替えられた。それから、各州にさらなるサービス普及の遅れを強い

るような最悪の状況のもとでの目標を設定した。この最悪な状況での目標値は最も低い普及

率のグループにあるが、携帯電話普及率が向上する最大の余地があるため、成長率は最も大

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 146 -

きい。その結果、2018年に向けて住民100人あたりの携帯電話回線数が100に到達するために

は、41億200万USドルの投資が求められることが分かった。この計算では、1回線あたりのコスト

は420USドル80とした。確かに目標値は高いが、携帯電話分野の現在の動向をみると、設定さ

れた期間での目標達成は確実である。というのも、2008年の時点で、全国レベルの携帯電話

普及率は74.9であり、運輸通信省の組織戦略計画2007- 2011によると、2011年に向けた携帯

電話普及率の目標は住民100人あたりの携帯電話回線数は80であった。この状況から、最も

重要な市場であるリマ州には投資の35%が投入されることになっている。

表56. 州別携帯電話における不均衡'2009年~2018年(

州 投資額'単位:100万USドル(

アマソナス 32

アンカシュ 172

アプリマク 23

アレキパ 257

アヤクーチョ 97

カハマルカ 14

クスコ 215

ウアンカベリカ 60

ウアヌコ 29

イカ 170

フニン 161

ラ・リベルタ 180

ランバジェケ 310

リマ 1,419

ロレト 81

マドレ・デ・ディオス 38

モケグア 41

パスコ 43

ピウラ 198

プーノ 253

サン・マルティン 121

タクナ 60

トゥンベス 64

ウカヤリ 62

合計 4,102 出典:電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(、電気通信総局'SUBTEL(、国家統計情報処理院'INEI(による国勢調査'2007

年(、独自の推定による。

80 テレフォニカ・デル・ペルーより入手した推定値。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 147 -

6.4 電気通信部門における投資の発展

電気通信部門の民営化により、ペルーの電気通信部門は大きく改善してきている。その証拠

として、固定電話回線数、携帯電話回線数、インターネットへの接続数の増加が挙げられる。

6.4.1 固定電話網

2005年から2007年の間、固定電話網への投資は年平均で1億6100万USドルであった。しか

し、2008年には、この数値は上昇し、投資額は4億USドルとなった。この額は2005年の投資額

に対して47%増加している。

投資が増加するにしたがって、固定電話普及率は年平均7.5%という高い成長率で成長しつ

づけている。2005年には、住民100人あたりに8.3回線が設置されていたが、2008年には住民

100人あたりの回線数は10.3と増加した。

図61. 固定電話網への投資額と普及率'2005年~2008年(

(単位:100万USドル、住民100人あたりの回線数)

投資額'左軸(

普及率

2005年 2006年 2007年 2008年

出典:電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 148 -

表57. 企業別固定電話網への投資額'2005年~2008年(

'単位:100万USドル(

固定電話事業者名※ 2005年 2006年 2007年 2008年

テレフォニカ・デル・ペルーとその補助機関※※147 166 170 216

テルメックス'旧AT&T( 24 21 30 144

アメリカテル 2 2 4 4

インプサット 1 2 3 3

その他の事業者 4 9 11 19

合計 178 200 219 386 出典:電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

2005年に行われたインフラへの投資の不均衡に関する調査によると、2005年から2008年の

間に実施された投資額は、同期間の固定電話に対して必要とされた投資の不均衡の83%に

相当する。つまり、固定電話分野への投資のリズムが、一気に、10年間で不均衡を是正するた

めに必要であった投資分を追い越してしまったことになる。しかしながら、今回の調査では、電

気通信業界における現在の動向に合致したより高い目標が設定されているため、2005年に実

施された調査で見積もられた投資額'その額については先の段落で示されている(よりもさらに

大きな投資額が必要であると結論づけている。

6.4.2 携帯電話網

携帯電話に関しては、2005年から投資額が増加し始め、2008年には4億6千万USドルを超え

た。携帯電話台数は1994年から顕著に増加し続け、2008年には普及率が住民100人あたり

74.9回線であった。これは、数年で達成するにはほぼ不可能であると考えられていた数値であ

る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 149 -

図62. 携帯電話網への投資額と普及率'2005年~2008年(

'単位:100万USドル、住民100万人あたりの回線数(

投資額'左軸(

普及率

出典:電気通信民間投資監視機構(OSIPTEL)

企業別の投資に関して、数値は 2005 年から 2008 年の間に実施されたすべての携帯電

話事業者による投資への大きな努力を示している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 150 -

携帯電話事業者名* 2005年 2006年 2007年 2008年

Teléfonica Móviles 59 105 212 217

América Móvil (旧TIM) 108 118 111 146

Nextel 41 63 71 103

合計 208 286 394 466

表58. 企業別携帯電話網への投資額'2000年~2008年(

(単位:100万USドル)

出典: 電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL(

2005年に作成された調査報告書で明らかになったインフラへの投資の不均衡について、

2005年から2008年までに携帯電話事業に投入された金額は、前述の不均衡を10年以内にカ

バーできる規模のものであった。しかし、今回の調査報告書では、携帯電話事業における国

際的な背景や技術的動向に合致するように目標値が引き上げられたため、携帯電話事業に

おける不均衡の増加が示されることになった。

7 インフラ基盤、成長、開発

この調査報告書の目的は、約10年以内に、ペルーの基礎的なインフラ基盤が南アメリカ地域

において競争可能なレベルに到達するために必要な投資額を推定することである。経済開発

に関するさまざまな調査により、基礎的なインフラ基盤と成長、そして経済開発の間にポジティ

ブな関連性があることが分かり、それが今回の調査を実施する背景となっている。そのポジティ

ブな関連性を明らかにする意味で、この章では、簡単にそのテーマについての最近の成果を

いくつか紹介する。

インフラ基盤への投資は、できるだけ尐ないコストでの生産活動を可能にし、国内総生産の

増加を促進する。インフラ基盤の生産活動への影響に関する証拠を得た数ある調査のなかで

は、カルデロンとセルベンが2004年に実施した分析が最も優れている。両者はこの調査にお

いて、インフラ基盤の発展が経済成長と所得格差に影響を及ぼすと評価している。この調査は、

経済成長はインフラ基盤のストックによりポジティブな影響を受けており、所得の格差はインフ

ラ基盤の量・質的向上が進むにつれ削減されると結論づけている。2004年のカルデロンとセル

ベンの調査は、ラテンアメリカ諸国がこの地域における最先進国であるコスタリカと同じストック

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 151 -

レベルやインフラ基盤の質に到達することができれば、一人あたりの国内総生産の年間成長

率は1.1%から4.8%の間で上昇するとしている。

カルデロンとセルベンによると、もしペルーがチリのインフラ基盤と同じレベルに発展すれば、

ペルーにおける成長率は年間で2.2%上昇し、この上昇分がインフラ基盤のストックの増加

'1.7%)とサービスの質向上'0.5%)に分散されるという。また、もしペルーがコスタリカのレベル

図63. ラテンアメリカ: 域内最先進国'コスタリカ(レベルのインフラ基盤に到達した場合の国内

総生産年間成長率における影響

(単位:ポイント)

出典:カルデロン、セルベン (2004年)

図64. ペルー: チリ・コスタリカレベルのインフラ基盤に到達した場合の国内総生産年間成長

率における影響

(単位:ポイント)

出典:カルデロン、セルベン(2004年)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 152 -

に追いつけば、成長率は3.5%とさらに上昇し、インフラ基盤のストックは3%増加し、サービス

の質は0.5%向上すると結論づけている。

南アメリカ地域諸国の状況を知るためには、インフラ基盤の質と一人あたりの国内総生産の

間の関係について考える必要がある。また、ジニ係数81で示された所得の格差とインフラ基盤

の質の間にネガティブな関連性があることが分かる。

図65. インフラ基盤の質'2008年~2009年(と一人あたりの国内総生産'2007年(の関連性

'単位:指数※、2000年固定での千USドル(

アルゼンチン/ウルグアイ/メキシコ/ベネズエラ/チリ/ブラジル/ペルー/コロンビア/

エルサルバトル/パラグアイ/エクアドル/ボリビア

縦軸:一人あたりの国内総生産

横軸:インフラ基盤の質

※1=ほとんど発展しておらず非効率的なインフラ基盤

7=世界で最高レベルのインフラ基盤

出典:世界経済フォーラム、世界開発指標'WDI(

81 この係数は、所得の集中度を示している。1 に近い数値は所得の集中度が高いことを示し、0 に近い数値は所得分配において

平等であることを示している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 153 -

図66. インフラ基盤の質'2008年~2009年(と所得の格差'2005年(の関連性

'単位:指標※、ジニ係数(

アルゼンチン/ウルグアイ/メキシコ/ベネズエラ/チリ/ブラジル/ペルー/コロンビア/

エルサルバトル/パラグアイ/エクアドル/ボリビア

縦軸:ジニ係数

横軸:インフラ基盤の質

※1=ほとんど発展しておらず非効率的なインフラ基盤

7=世界で最高レベルのインフラ基盤

出典:世界経済フォーラム、ラテンアメリカカリブ社会経済データベース'SEDLAC(

また、ペルーの場合、1965年から2007年の期間において、実質国内総生産とインフラ基盤の

間にも明らかにポジティブな関連性が存在する。このように、実質国内総生産とインフラ基盤の

相関係数は固定電話回線数、発電能力、舗装道路網の場合、それぞれ0.94、0.94、0.92へ上

昇している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 154 -

縦軸:国内総生産

横軸:固定電話回線数

出典: ペルー中央準備銀行'BCRP(、Canning

(1999年)、電気通信民間投資監視機構

'OSIPTEL(、国際電気通信連合'UIT(

(1994年固定での100万ソル 、メガワット )

縦軸:国内総生産

横軸:発電能力

図図62. ラテンアメリカ: 域内最先進国'コスタリ

カ(レベルのインフラ基盤に到達した場合の国

内総生産年間成長率における影響

(単位:ポイント) ウルグアイ

4.8 4.3 4.2 3.7 3.5 3.1 3.0 2.9 2.1 1.7 1.7

1.5 1.4 1.4 1.3 1.1

ニカラグア ボリビア ホンジュラス グアテマラ ペル

ー コロンビア エクアドル ブラジル エル・サルバド

ル アルゼンチン メキシコ パナマ ドミニカ共和国

ベネズエラ チリ ウルグアイ

図67. 国内総生産と固定電話回線数の関連性 図68. 国内総生産と発電能力の関連性

'1965年~2007年( '1965年~2007年(

(1994年固定での100万ソル 、回線数)

出典: ペルー中央準備銀行'BCRP(、Canning、(1999年)、 出典:ペルー中央準備銀行'BCRP(、Canning (1999年)

電気通信民間投資監視機構'OSIPTEL( Vásquez (2003年)、Instituto Cuánto (2008年) 国際電気通信連合'UIT(

図69. 国内総生産と舗装道路網の関連性'1965年~2007年(

(単位:1994年固定での100万ソル、Km)

縦軸:国内総生産 横軸:舗装道路網

出典: ペルー中央準備銀行'BCRP(、Canning (1999年)、運輸通信省'MTC(、

Instituto Cuánto (2008年)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 155 -

インフラ基盤と国内総生産の関連性を分析する調査では、2つの変数の間に相互的な因果

関係が存在する可能性があるとしている。最大限にインフラ基盤が進歩することで、生産力の

向上が求められる一方で、他方では、経済活動の成長はインフラ基盤由来の需要を生み出す

可能性がある。したがって、VásquezとBendezúによる2008年の研究によると、前述したような状

況下では、同時に発生する関連性が存在するために、従来の計量経済学的ツールを用いる

ことは不可能である。

VásquezとBendezúは、道路インフラ基盤と生産性に長期的な関連性が存在すると確認して

いる。両者は道路インフラの長期的な成果としての弾力性が0.218であることを突き止めた。つ

まり、インフラ基盤が1%向上すれば、国内総生産は0.218%増加するということである。確かに、

初期段階の影響は得意分野ですでに展開されている活動においてより大きくなるだろうが、相

互の連携が新たな生産部門の発展に貢献することになるだろう。もう一方で、ポジティブな効

果は、すでに舗装道路が整備された地域と比較すると、まだ舗装道路が開通していない地域

のほうが、はるかに大きくなっている。2004年のVásquezの研究においても、電力インフラの普

及と経済成長の長期的な関連性の存在が指摘されている。電力インフラが一人あたり10%増

加することで、一人あたりの国内総生産の成長率が0.8%上昇するという効果を生み出してい

る。その成長率の伸びは、連鎖や関連作業とのポジティブな外部性が発生するため、10年間

持続することが可能である。この結果として、生産性と利益性における成長が生み出されるの

である。

8 世界における実践

経済成長のためにはインフラ基盤の整備が重要であるため、多くの国々ではインフラ整備に

特化した政策が実施されている。例えば、アイルランドでは、最近10年間に、平均7.2%の成

長が維持されているが、それは社会経済的目標に到達するためにインフラ基盤の果たす役割

を明確に認識しているからである。インフラ基盤への投資のおかげで、現在、アイルランドは

2008年から2009年の世界競争力ランキングで134カ国中第22位につけている。

アイルランド政府はヨーロッパ委員会から公的支出を削減する義務を課されているため、アイ

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 156 -

ルランドがインフラ基盤に投入した投資は、国際的危機の影響を受けていることが分かる。し

かしながら、アイルランドは、2009年から2014年にかけて「インテリジェント・エコノミー」基盤を

創出する目的の経済救済計画を発表した。また、基礎的な分野のなかでも、投資先としてのア

イルランドの魅力を高める計画も打ち出している。このように、アイルランドは調査と開発'I*

D(、再生可能なエネルギー、インフラ基盤の建設により自国のポテンシャルを高める試みを実

施した。公的支出を削減する必要があるため、計画が実現されるかどうかは大部分で民間に

かかっている。

図70. アイルランド: 国内総生産'1997年~2007年(

(年間成長率、単位:%)

出典:アイルランド国家開発計画(2007 年-2013 年)

インフラ基盤に高い優先順位が与えられているのは、前世紀終わり頃からアイルラン

ドには国家開発計画があり、他の分野の中でも経済インフラに重点を置いているからで

ある。2007 年から 2013 年の計画では、全額で 680 億 US ドル(年間国内総生産の 4

~5%)がインフラ全体の整備に充てられた。インフラ整備に関してアイルランドが成

功を収めることができたのは、投資の前倒しによりボトルネックを削減したからである。

アイルランド政府は、必要性が明らかになる前に、インフラを導入しなければならない

ことを認識していたのである。もう一つの成功の要素には、官民連携の拡大利用があり、

投資額の約 23%を占めている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 157 -

プログラム 合計

運輸 41,472

エネルギー 10,743

環境事業 7,273

通信・ブロードバンド 548.1

政府インフラ基盤 1,780

地方開発担当機関への拠出金 2,646

資本ストック 4,410

合計 68,872

表59. アイルランド: 経済インフラへの投資額'2007年~2013年(

(単位:100万USドル*)

*ユーロの対ドル為替レートは1.26を適用

出典:アイルランド国家開発計画'2007年-2013年(

別の例として、オーストラリアを挙げる。オーストラリア政府は、長期計画や短中期合意により、

インフラ基盤への投資を大きく推進している。この場合、成功のカギは、導入に関する責任の

所在を定義したことと、収支報告書にある。世界競争力報告書2008-2009によれば、これらの

方策のおかげで、オーストラリアは最も競争力のある20カ国の一つとなった。

同様に、イギリスの成功例も挙げることにする。国際通貨基金によると、イギリスには現在も実

施されている官民連携による最高のプログラムがある。このプログラムは1992年に「民間資金イ

ニシアティブ」'PFI(という名前で作られ、公共基礎サービス提供への民間の参入を促進させ

ることが目的である。これまでに、このプログラムにより、イギリスの公共投資における民間の割

合は14%に達している。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 158 -

図71. イギリス: 2008年までに終了したインフラ整備プロジェクト

(単位:100万USドル*)

その一方で、中国も経済成長のためにインフラ基盤の開発の重要性を認識している。そのた

め、中国は最近30年間にわたって、インフラへの支出を年間平均で20%増加させてきた。中

国政府は、グローバル化した世界において、インフラ基盤の役割には2つの機能があると指摘

している。一つは、インフラ整備は経済成長を促しさらに大きな投資をするための資本を引き

寄せる機能、もう一つは、国民の生活の質を向上させる機能である。また、中国はアジア開発

銀行の支援により、第11次5ヵ年計画'2006年から2010年(にインフラ基盤への民間投資を呼

び込むための官民連携促進プログラムを含めている。

文化・スポーツ

司法

税金・関税

雇用・年金

地方自治体

環境

教育

その他

防衛

医療

運輸

*ポンドの対ドル為替レート:1.5

出典:イギリス大蔵省

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 159 -

図72. 中国: 国内総生産と国内総資本形成'1998年~2007年(

(単位: % 、1兆元82)

総資本形成 国内総生産'右軸(

出典:アジア開発銀行

ラテンアメリカでは、チリの例を挙げることにする。1990年代、チリのインフラ基盤は110億USド

ルが不足している状況にあると診断されていた。この診断が起爆剤となり、チリ政府はインフラ

基盤開発の遅れは、自国の経済発展にとって、将来的に大きな障害となり、競争力を向上さ

せる際に足かせになるであろうと認識した。83

表60. チリ: インフラにおいて必要とされる投資額'1995年~2000年(

(単位:100万USドル)

部門 投資総額

道路・幹線道路 4,205

都市道路整備 2,000

下水処理 1,480

上水道 950

コミュニティー施設 810

港湾 450

鉄道 470

用水路 370

空港 100

雤水処理 200

合計 11,080

出典:チリ公共事業省

82 現在の為替レートは1US ドル=約 89 元。 83 チリ建設審議会によると、1995 年におけるチリの競争力の損失は年間約 17 億 1 千万 US ドルであった。

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 160 -

必要とされた投資額は公的資金だけでは賄えなかったため、チリ政府は民間資金による業

務委託方式の事業計画を導入すると決定した。このようにインフラ整備の資金調達や運営の

ために官民の連携が推進された。当時、チリには1982年より業務委託と入札に関する法律'法

令第15840号(があった。しかし、この法律が施行されてから1990年代まで事業は一つも落札

されなかった。そのため、結果としてチリにインフラ基盤における「不均衡」が生じたと考えられ

ている。

チリ政府は、明確で安定した法的枠組みを作るため、法律の改正を実施することに決定した。

1991年、業務委託法'法令第19068号(により、国内外の民間企業がBOT'Build Operate and

Transfer)84と呼ばれる契約システムのもと、インフラ基盤の投資に参入することになった。この

システムを通じて、民間企業は赤字のインフラ基盤に資金を提供し、利用者から料金を直接

徴収することで投資を回収することができる。チリ政府が採用した方法により、民間企業の生産

性・利益率の高い投資への参入が効率的に促進され、数年後には投資額は何倍にも増加し、

国家は社会インフラへの投資を担うこととなった。このように、チリは南米地域における最も競

争力のある国としての地位を獲得し、2008-2009世界競争力報告書によると、インフラ部門に

おいて最も競争力のある国の一つとして認められるに至っている。

図73. チリ: インフラ基盤における投資の向上'1990年~2003年(

(単位:千USドル)

公共投資 民間投資

出典:チリ公共事業省

84 Build Operate and Transfer とは業務委託を受けた企業が事業を作り、運営し、契約終了時には事業を国に譲渡するシステム

のことである。

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 161 -

9 結論

この調査報告書で出された結果にしたがって、インフラ基盤の不均衡合計は、377 億 6 千万

US ドルと見積もられた。 この額は国内総生産のおよそ 30%となっている。運輸部門では、ペ

ルー民間投資促進庁からのプロジェクトの受け渡しが遅れており、公共投資が不足しているた

め、最も大きな投資額が求められており、不均衡全体の 37%となっている。2 番目に大きな投

資が求められているのは、電力部門と天然ガス部門であり、投資の不均衡全体の 31.9%を占

める。天然ガス部門において計画されている投資や送電に必要な投資が増加したため、この

ような額になっている。3 番目に大きな投資が必要なのは、上下水道部門であり、全体の

16.7%を占めている。最後に、電気通信部門における不均衡は最も小さくなっており、全体の

14.4%である。この電気通信部門には固定電話と携帯電話への新たな目標が設定されており、

固定電話の目標値は前回の調査結果と比較して 69%、携帯電話の目標値は 218%増加して

いる。確かに、上下水道部門における不均衡の全体で占める割合は尐ないが、それは適用し

た手法と入手できた情報のためである。普及率'上限は 100%(に不均衡があると認められた

のは、測定システムと上下水道システム再整備だけであり、料金請求、サービス提供時間、料

金などは考慮されなかった。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 162 -

表 61. インフラ基盤における投資の不均衡

(単位:100 万 US ドル)

部門 2008 年の不均衡

運輸 13,961

空港 571

港湾* 3,600

鉄道* 2,415

道路網 7,375

上下水道 6,306

上水道 2,667

下水道 2,101

下水処理 1,538

電力 8,326

発電 5,183

送電* 1,072

電力普及* 2,071

天然ガス* 3,721

電気通信* 5,446

固定電話* 1,344

携帯電話* 4,102

合計 37,760

*前回の調査と比較可能な計算手法を使った部門。

ただし、その手法は比較可能であるが、設定された目標値はすべてのケースにおいて増加することに

注意が必要である。つまり、見積もられたインフラ基盤の不均衡は増加するということである。

注:ホルヘ・チャベス国際空港'AIJCH(のケースに関しては、この空港のインフラ基盤は需要以上のも

のであるため、特段、「投資の不均衡」とは言えない。さらに、業務委託を受けた企業は、第 2 滑走路の

建設を除いて、行わなければならない投資をすでに実行している。しかし、第 2 滑走路の建設は、2017

年までの推定発着便数の需要を超える投資になる可能性があるとこの企業は主張している。

運輸部門におけるインフラ基盤の不均衡、つまり、必要な投資と合意された投資間のギャッ

プに、すでに実行された投資を計上すると、107 億 900 万 US ドルにのぼり、そのうち 47%が道

路網の不均衡に相当する。このことは道路網インフラの不足、道路分野で投資がなかなか進

まない状況を反映している。

運輸部門の不均衡に関するより詳細な分析によると、港湾における不均衡を是正するため

に必要な投資額は 36億USドルにのぼり、そのうち 40.5%がカジャオ港に投資される予定であ

る。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 163 -

空港における不均衡は 5 億 7100 万 US ドルに達し、運輸部門の不均衡全体の 4.1%を占め

ている。

鉄道においても、業務委託を受けた鉄道の場合も、国営の鉄道の場合も、投資が必要であ

る。ゆえに、鉄道における不均衡は 24 億 1500 万 US ドルに上る。

上下水道部門における投資の不均衡は、63 億 600 万 US ドルに見積もられた。この見積もり

を実施する際に、企業形態分野だけでなく、非企業形態分野にも投資が必要であると結論付

けられた。企業形態分野への投資の不均衡は上下水道部門全体の 64%であり、他の部門と

異なって、地方に対してより多くの投資が求められている。上下水道部門では、企業形態分野

への投資の不均衡のうち、49%がリマ州に集中している。

近年において、電力発電能力の向上が見られたが、送電線数の大幅な増加が伴っていな

い。送電線の不足は、需要の増加とあいまって、送電線の飽和状態を生み出しており、サービ

スの正常な供給に影響を及ぼしている。2002 年から 2008 年の間、発電における投資の年平

均成長率は 23.9%であり、送電においては、発電よりも 1.9 ポイント高く、年平均成長率は

25.8%であった。

2007 年には、ペルーの人口のうち 20.5%は電力サービスにアクセスできない状況にあり、農

村部では、エネルギー鉱業省が電力の普及率を高める努力をしているにもかかわらず、電力

サービスにアクセスできない人口の割合は 70.5%に上昇する。電力の普及率は州によって大

きく異なっており、最も電化係数が低い州は最も貧しい州と一致している。したがって、特に農

村部での電力普及率を上げる努力を実行することが最も大切である。

電力部門における不均衡は、発電、送電、電力普及における不均衡を考慮して見積もりをし

ている。発電と送電での投資の不均衡全体を見積もるために、2008 年から 2017 年の電力関

連計画の予備情報が使用された。電力普及率についても、チリと同レベルの電化状況に到達

するために必要な投資額が計算された。電力部門での不均衡全体の額は、2009 年から 2017

年で、83 億 2600 万ドルに上っている。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 164 -

天然ガス産業は、カミセアプロジェクトの操業開始により、近年、大幅に成長した。産業の成

長に応じて、顧客数だけでなく、ガス消費量も主に電力部門において増加した。工業部門、商

業部門、居住部門においても同様に増加している。このように、基礎サービスとして天然ガスを

供給するためには、ガスの流通網拡充と同時に、ガス運搬システムの拡充にも投資が必要と

なっている。天然ガス部門への投資の不均衡は、2009 年から 2012 年までで、37 億 2100 万

US ドルにのぼる。

電気通信部門は全世界で大きく成長している。南アメリカ地域において、ペルーは固定電話

部門や、特に携帯電話部門では最も高いレベルの普及率を示している。より優れた技術へア

クセスできたこと、競争力が強化されたこと、利用者がますます増加して効率性が向上したこと

で、携帯電話市場において、料金の引き下げや新たな商品やサービスの誕生が実現した。近

年では、携帯電話の回線数やサービス提供地区が増加したおかげで、何百万人ものペルー

人が恩恵を受けられるようになった。

電気通信部門でも、チリと同等のレベルに到達するために必要な投資額を見積もっている。

2008 年の末には、電気通信部門の投資の不均衡は、54 億 4600 万 US ドルにのぼっており、

そのうち 24.7%が固定電話に、75.3%が携帯電話に相当する。この目標を達成できるかどうか

は、主に電気通信サービスの需要の動向にかかっている。需要の増加があれば、結果として、

電気通信サービスの価格改定や国の経済成長となって跳ね返ってくるであろう。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 165 -

インフラ基盤における投資の不均衡に関して、数々の進歩が示されているにもかかわらず、

インフラにおける資本のストックやサービスへのアクセスは未だ不十分であるという結果が出て

いる。したがって、この分野への公共投資・民間投資を促進するような政策やメカニズムを計

画する必要がある。

ペルーのインフラへの投資において、民間の役割が重要であり、必要であると判断された投

資を実施するうえで、公的資金の限界を考慮すると、基礎的インフラの供給において、民間の

より大きな参入を可能にするような環境を作る必要が出てくる。

したがって、官民連携(APP)のようなメカニズムを利用することで成長が達成されたように、業

務委託の引渡しについて、ペルー民間投資促進庁や他の公的機関からの確実な投資の保証

が必要であり、このようにインフラへの投資の不均衡を是正するための、運輸インフラの不均衡、

投資の需要とその合意のギャップ、そして、すでに投入された投資、これらすべての推定は

107 億 900 万 US ドルにのぼり、このうち 49%が道路網の不均衡に割り当てられる。つまり、そ

れだけ道路インフラが不十分であり、道路網への投資促進が進んでいないということである。

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 166 -

10 参考文献

[1] AHCIET (2007年) 、『ラテンアメリカにおける固定・携帯電話普及率の状況』

[2] Alterna Perú (2008年)、 『カナス郡における携帯電話の経済社会開発への影響』

[3] 国立港湾当局(APN)、 ペルー民間投資促進庁 (2006年)、業務委託契約:『カジャオ

港南埠頭港湾ターミナルおける新コンテナターミナルの業務委託のための統合プロジェクト

の審査』

[4] BCR (2008年)、『調査ノートNº 30』

[5] CALDERÓN, César y Luis Servén (2004年)、 『インフラ基盤発展の成長・所得の分配

にお ける効果』、世界銀行政策研究ワーキングペーパーNo. 3400、世界銀行、ワシントン

D.C.

[6] CAMPODÓNICO, Humberto (1999年)、『ペルー電力部門の構造改革と1992年~

2000年の投資の特徴』、経済改革シリーズNº 25、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会

[7] CANNING, D. (1999年)、『アウトプットを集約するためのインフラ基盤の貢献』、世界

銀行政策研究ワーキングペーパーNo. 2246、世界銀行、ワシントンD.C.

[8] CARCAMO, Allan (発行年不明)、『農村部における低コストの下水道システム』

[9] Currie & Brown Inc. (2002年)、『空港における投資の要望』

[10] DAMMERT, Alfredo y Fiorella Molinelli (2006年)、『カミセアプロジェクトとは何か』、ワ

ーキングペーパーNº 23、エネルギー投資監督機構(OSINERG)経済研究局、リマ

[11] DAMMERT, Alfredo, José Gallardo y Raúl García (2005年)『ペルー電力部門におけ

る構造改革』、ワーキングペーパーNº 5、エネルギー投資監督機構(OSINERG)経済研究局、

リマ

[12] DAMMERT, Alfredo, Raúl García y Fiorella Molinelli (2008年)、『電力部門の調整と

監視』、ペルーカトリック大学出版部、第1版、367p、リマ

[13] DELGADO, Janinne (2008年)、プレゼンテーション『天然ガスの南米市場』、修士論文、

エネルギー法、ペルー応用科学大学、リマ、2008年3月

[14] エネルギー鉱業省(MINEM)電化局(DGE) (2007 年)、『電力関連計画 2006 – 2015』、

エネルギー鉱業省(MINEM)

[15] エネルギー鉱業省(MINEM)農村電化局(DGER)(2007 年)、『国家農村電化計画

2008 – 2017』、エネルギー鉱業省(MINEM)

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 167 -

[16] 住宅・建設・衛生省'MVCS(衛生部'DNS((2008年)、『上下水道事業関係単価』、

2008年2月

[17] FAY, Marianne y Tito Yepes (2003年)、『インフラにおける投資:200年から2010年まで

に何が求められているのか?』

[18] ウアンカジョ‐ウアンカベリカ鉄道(2006年)、『出資付き国際一般入札2006年第1号–ウ

アンカジョ‐ウアンカベリカ鉄道、選定基準』

[19] GARCÍA, Raúl y Arturo Vásquez (2004年)、『ペルーにおける天然ガス産業』、ワーキ

ングペーパーNº 1、エネルギー投資監督機構(OSINERG)経済研究局、リマ

[20] アイルランド政府(2006年)、『国家開発計画2007-2013:アイルランドを変えて、みんな

により高い生活水準を』、ステーショナリー・オフィス出版、ダブリン

[21] 州政府、『州道路網計画』

[22] GUASH, Luis (2002年)、『インフラ業務委託の付与と再交渉』

[23] Instituto Cuánto (2008年)、『数字でみるペルー2008』

[24] ペルー経済研究所 (2008年)、『ペルーにおける幹線道路のメンテナンスを学ぶ

1992-2007』

[25] ペルー経済研究所'IPE(、公共事業民間企業協会'ADEPSEP((2005年)、『ペルーが

必要とするインフラ基盤:公共事業インフラにおける投資の不均衡』、ペルー経済研究所

'IPE(,公共事業民間企業協会'ADEPSEP(

[26] LEÓN, Guillermo (2007年)、プレゼンテーション『ペルーにおける上下水道の状況』ラ

テンアメリカ基礎衛生会議、カリ、2007年

[27] リマ・エアポート・パートナーズ(2008年)、『年間記録2007』

[28] MAXIMIXE (複数年)、レポート『市場のリスク』、複数号、リマ

[29] MAXIMIXE (複数年)、レポート『部門のリスク』、複数号、リマ

[30] エネルギー鉱業省'MINEM((2007年)『炭化水素関連計画2007 – 2016』

[31] エネルギー鉱業省'MINEM((2008年a)、『電力年間統計2007』、電化局'DGE(

[32] エネルギー鉱業省'MINEM((2008年b)、プレゼンテーション『ペルーにおける天然ガ

ス開発政策』、炭化水素局、2008年6月

[33] エネルギー鉱業省'MINEM((2008年c)、『備蓄に関する年間記録簿2007年12月31日

付け』、液体炭化水素促進業務委託局、炭化水素局

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 168 -

[34] 運輸通信省'MTC((2007年)、『国家戦略計画2007-2011』

[35] 運輸通信省'MTC((2005年)、『国家港湾開発計画』

[36] 住宅・建設・衛生省'MVCS((2005年)、『国家上下水道計画2006-2015:水は命』

[37] 住宅・建設・衛生省'MVCS((2005年)、『政策と戦略2007-2011』、計画予算局

[38] MORANDÉ, Felipe (2008年)、プレゼンテーション『インフラ基盤、競争力、経済成長』、

チリ建設会議所、2008年7月24日

[39] OLAECHEA, Juan de Dios (2006年)、『みんなの夢の実現:21世紀の列車』、アンデス

中央鉄道、リマ

[40] エネルギー投資監督機構(OSINERG) (2005年)、『電力供給料金の設定2005年11月‐

2009年10月』、エネルギー投資監督機構(OSINERG)料金調整局

[41] 運輸投資監督機構'OSITRAN((1999年)、『ホルヘ・チャベス国際空港業務委託契約』、

リマ、ペルー

[42] 運輸投資監督機構'OSITRAN((1999年)、『マララニ港ターミナル建設・運営・開発業

務委託契約』

[43] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2006年)、『ペルー民間空港管理会社(CORPAC)の

経済的役割:2006年』

[44] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2007年)、『ペルー地方空港第1グループ業務委託の

経済的役割』

[45] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2007年)、『マタラニ港ターミナル業務委託の経済評

価』

[46] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『ペルー地方空港第1グループ業務委託の

経済的役割:2007年』

[47] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『マタラニ港ターミナル業務委託の経済評

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 169 -

価』

[48] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『鉄道区間業務委託の経済評価』

[49] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『中央路線鉄道業務委託の経済評価:2007

年』

[50] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『南路線・南東路線鉄道業務委託の経済評

価:2007年』

[51] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『北部パンアメリカンハイウェイ・アンコン‐ウ

アチョ‐パティビルカ区間業務委託の経済評価:2007年』

[52] 運輸投資監督機構'OSITRAN((2008年)、『プエンテ・プクサナ‐セロ・アスル‐イカ区間

'6号線(業務委託の経済評価』

[53] 北部アマゾン地域幹線道路計画、『南米州インフラ基盤統合行動計画 – IIRSA:2007

年』

[54] ペルー民間投資促進庁(2003年)、『北部パンアメリカンハイウェイ・アンコン‐ウアチョ‐

パティビルカ区間業務委託契約』

[55] ペルー民間投資促進庁(2005年)、『ペルー南部,ブラジル大陸縦断道路プロジェクト

第4区間・イナンバリ‐アサンガロ区間業務委託』

[56] ペルー民間投資促進庁(2005年)、『ペルー南部,ブラジル大陸縦断道路プロジェクト

第3区間・イナンバリ‐イニャパリ区間業務委託』

[57] ペルー民間投資促進庁(2005年)、『プエンテ・プクサナ‐セロ・アスル‐イカ区間'6号

線(業務委託』

[58] ペルー民間投資促進庁(2005年)、『ペルー南部,ブラジル大陸縦断道路プロジェクト

第2区間・ウルコス‐イナンバリ区間業務委託』

[59] ペルー民間投資促進庁(2005年)、『南米州インフラ基盤統合行動計画–IIRSAの北部

アマゾン地域幹線道路建設メンテナンス計画業務委託契約』

[60] ペルー民間投資促進庁(2007年)、『エンパルメ1B-ブエノス・アイレス‐チャンチャケ区

間道路建設メンテナンス業務委託契約』

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 170 -

[61] ペルー民間投資促進庁(2007年)、『南部ペルー‐ブラジル大陸縦断道路プロジェクト

第1区間建設・メンテナンス・開発業務委託契約』

[62] ペルー民間投資促進庁(2007年)、『南部ペルー‐ブラジル大陸縦断道路プロジェクト

第5区間建設・メンテナンス・開発業務委託契約』

[63] ペルー民間投資促進庁(2008年)、『業務委託と分野的投資の機会』

[64] ペルーエネルギー網'REP((2008年)、『送電網拡大計画2008-2016』、ペルーエネル

ギー網'REP(システム運用局・ISA運用管理局、報告書TE 2140-1071-2008、リマ

[65] SILVARUETE, Javier (2004年)、『労働力に高い技術を用いたペルーにおける公共道

路インフラへの投資』、世界銀行.

[66] 国家衛生事業監督庁'SUNASS((2006年)、『ペルー都市部の上下水道インフラ』

[67] 国家衛生事業監督庁'SUNASS((2007年)、『全国レベルサービス提供企業ランキング

に関する技術的報告書』

[68] 国家衛生事業監督庁'SUNASS((2007年)、『機関記録2006』

[69] 国家衛生事業監督庁'SUNASS((2006年)、『ペルー都市部の上下水道インフラ:未解

決の挑戦』

[70] 上下水道監督局'SISS((2008年)、『衛生サービス都市部普及率に関する年間報告書

2007』

[71] 上下水道監督局'SISS((2008年)、『基礎衛生部門管理報告書2007』、チリ政府

[72] パシフィコ大学(2000年)、『バランス点』、年間11号目、第68号、2000年7月・9月

[73] URRUNAGA, Roberto y José Luis Bonifaz (2008年)、『ペルーインフラ基盤・公共サー

ビスの調整に関するケーススタディ』

[74] VÁSQUEZ, Arturo (2003年)、『ペルーにおける経済成長と公共サービスインフラの関

係に関する口頭発表』、学士論文、ペルーカトリック大学

[75] VÁSQUEZ, Arturo (2004年)、『ペルーにおける経済成長と電力インフラの関係

1940-2000』 、ワーキングペーパーNo. 17, エネルギー鉱業投資監督機構.

Copyright © 2010 JETRO. All rights reserved. - 171 -

[76] VÁSQUEZ, Arturo y Luis Bendezú (2008年)、『ペルーの経済成長における道路イン

フラの役割について試考』、診断と提案N°39、経済社会調査コンソーシアム、ペルー中央

銀行