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Gojinkai Motomachi HD Clinic 42回日本血液浄化技術学会学術大会 メインテーマシンポジウム テーマ:血液浄化における技術と理論の融合 ~至適透析へのアプローチ~ 五仁会 元町 HD クリニック 臨床工学部 森上 辰哉 ダイアライザの選択によるアプローチ -除去性能面から-

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Gojinkai Motomachi HD Clinic

第42回日本血液浄化技術学会学術大会 メインテーマシンポジウム

テーマ:血液浄化における技術と理論の融合 ~至適透析へのアプローチ~

五仁会 元町HDクリニック

臨床工学部

森上 辰哉

ダイアライザの選択によるアプローチ -除去性能面から-

Gojinkai Motomachi HD Clinic

発売年 膜種 メーカー名 ダイアライザー名

1977 PAN(AN-69) ホスパル RP-6 1977 PMMA 東レ B1,B2 1978 EVAL クラレ KF-101等 1979 PAN 旭化成 PAN-CX 1981 CA ニプロ FB-A等 1982 PAN(AN-69) ホスパル H12 1987 CTA ニプロ FB-U 1988 PS フレゼニウス F-60 1990 PS 川澄化学 PS-UW 1994 PS 東レ BS 1994 PS 旭化成 APS 1998 PEPA 日機装 FLX-GW 2000 PES JMS BP-M,H 2001 PES ニプロ PES-D

合成膜ダイアライザ等の発売時期

Gojinkai Motomachi HD Clinic

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0RC

CA

hemophan

EVAL

CTA

PAN

PMMA

PEPA

PES

PS

当施設使用透析膜の変遷 使

用頻

度(%

)

年度

RC

PS

CTA

Gojinkai Motomachi HD Clinic

透析器に求められるもの

① 生体に不要な物質を除去 すること

② 生体に不要な物質を産生 させないこと

① 物質除去性能

② 生体適合性

ダイアライザの選択の基本

1. リスクの設定 1) 生体不適合物質 2) アルブミン漏出量 2. 効果の目標 (膜面積,血流量,透析時間を含めて) 1) 小分子量物質除去性能 2) β2-ミクログロブリン除去性能 3) 臨床効果

溶質除去の質的または量的にかかわる因子

1. HD ・膜種 ・膜面積 ・血液流量・透析液流量 ・透析時間 ・(吸着器併用)

2. HDF ・HDと同様 ・補液方法(箇所) ・補液量

Gojinkai Motomachi HD Clinic

物質除去の視点から基本として考えること

1. 効果として

・小分子量物質除去性能

・β2-ミクログロブリン

・α1-ミクログロブリン

2. リスクとして

・アルブミン漏出量

Gojinkai Motomachi HD Clinic

分類 尿素

クリアランス

mL/min

限外濾過率

mL/mmHg/hr

β2-MG

クリアランス

mL/min

膜面積

V ≧150 ≧3.0 70≦ <1.5 <2.0 2.0≦

IV ≧150 ≧3.0 50≦ <70

III ≧150 ≧3.0 30≦ <50

<1.5 1.5≦ II ≧150 ≧3.0 10≦ <30

I ≧125 ≧3.0 <10

【ホローファイバー型および積層型】

【特定積層型】膜素材がアクリロニトリル・メタリルスルホン酸ナトリウム共重合体の積層型

人工腎臓の機能分類(2012年改定)

日本透析医学会規定のガイドラインに則って測定された1.5m2換算値

■ヘモダイアフィルター 血液が透析濾過膜を介して灌流液と接することにより血液浄化を行ないながら、 限外濾過による血液浄化を行うもの(回路含む)であること。

■ヘモフィルター 灌流液を用いず限外濾過による血液浄化を行なうもの(血液回路を含む)であること。

■ダイアライザー

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(g)

市販ダイアライザのアルブミン漏出イメージ

Ⅴ型 APS-E

APS-EL

NV-X

FDW

FDZ

FB-UHα

PES-Dα

PES-Sα

PES-SEα

FX-S

Ⅳ型 APS-SA

VPS-HA

RENAK-PS

BG-PQ

NF-H

NV-U

FB-Uβ

Ⅱ型 kf-m

kf-C

FB-G

特定積層型 H12

6 7 80 1 2 3 4 5

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0

α1-M除去率(%)

アル

ブミン

漏出

量(g

) α1-MGとアルブミンの関係

n=248

y=13.587+2.656x

r2=0.5907 (p<0.001)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

低分子量蛋白質の除去性能分布

β2-MG α1-MG (除去率)

アルブミン (漏出量)

使用透析器:APS-21E n=31 (g) (%)

0

5

10

15

20

25

30

Lot.A Lot.B Lot.C Lot.D

α1-Mクリアランス

膜性能ロット間差

30

35

40

45

50

55

60

Lot.A Lot.B Lot.C Lot.D

50

60

70

80

Lot.A Lot.B Lot.C Lot.D

50

60

70

80

90

Lot.A Lot.B Lot.C Lot.D

β2-Mクリアランス Myoクリアランス

Prlクリアランス 0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

Lot.A Lot.B Lot.C Lot.D

アルブミン漏出量

ml/min

ml/min ml/min

g

* p<0.05 ** p<0.01 **

** *

0

2

4

6

8

10

A-HD

B-HD

C-HD

A-HDF

B-HDF

C-HDF

除去特性に関して解ってきたこと・・・

膜性能患者間差 -アルブミン漏出量-

Pt1 Pt2 Pt3 Pt4

(g)

アルブミン漏出量

0

300

600

900

1200

1500

1時間後 2時間後 3時間後 終了時

時間

別漏

出量

0

20

40

60

80

100

総漏

出量

に対

する

時間

別漏

出量

の割

NV PESNV PES

(mg) (%)

1時間 2時間 3時間 4時間

アルブミンの経時的漏出特性 (ファウリングの程度)

アルブミン漏出量

1.25

2.02

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

NV-21X PES-21SEα

(g)

p<0.05

NV-21X PES-21SEα

時間毎漏出量

総漏出量に対する時間

毎漏出量の割合

総漏出量

他種膜使用による治療10回と、H12-4000使用による治療10回の治療開始前後血圧(平均血圧)低下率を比較(n=6)

他種膜 H12-4000

-50.0

-40.0

-30.0

-20.0

-10.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

血圧低下率 臨床症状の改善効果

No. 透析歴(年月)

症状 前透析膜 変更後経過

1 33 7 熱・咳 PS膜HDF 不変

2 33 2 血小板数減少 PS膜HDF 不変

3 18 5 掻痒 PMMA膜HD 改善

4 26 3 発疹 PS膜HDF 改善

5 4 7 掻痒・嘔吐 PS膜HD 改善

6 23 4 血圧低下 PS膜HDF 軽減

7 29 1 発疹・掻痒 PS膜HDF 改善

(%)

AN-69の臨床効果

(月)

β2-M

G濃

度(m

g/L)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

-12M -9M -6M -3M 0M 3M 6M 9M

pt1

pt2

pt3

pt4

pt5

pt6

0

20

40

60

80

100

β2-M α1-M

0

50

100

150

200

β2-M α1-M

HD

HDF

On-line

除去

率(%

)

除去

量(m

g)

0

500

1000

1500

2000

HD HDF On-line

漏出量

(mg)

p<0.01

p<0.01 p<0.01

対象浄化法

・HD

・post dilution HDF(以下、HDF)

サブラッドBS使用:2.5ℓ/hour

・pre dilution HDF (以下on-line )

リンパック3.0使用(on-line HDF)

6.0ℓ/hrより開始し、TMP250mmHgを上限に斬減

アルブミン漏出量

G G G G

0

20

40

60

80

100

120

140

160

0 10 20 30 40 50 60 70 80

除去

量(m

g)

除去率(%)

β2-M(HD)

CysC(HD)

β2-M(HDF)

CysC(HDF)

β2-M(On-line)

CysC(On-line)

r = 0.863 y= 6.748 + 0.365x n =12 p<0.05

CysC: MW 13,000D

β2-MG: MW 11,800D

他種膜β2-MG

他種膜CysC

0

40

80

TO

TA

L

0

20

40

TO

TA

L

0

1

2

3

4

5

6

部位別

胸部

背部

右大腿部

左大腿部

右下肢

左下肢

0

2

4

6

8

10

12

部位

首~胸部

右腹部

左腹部

右大腿部

左大腿部

背部

0

25

50

TO

TA

L

0

2

4

6

8

10

12

部位別

右上腕部

左上腕部

右大腿部

左大腿部

頭部

背部

0

40

80

TO

TA

L

0

2

4

6

8

10

12部

位別

頭部

腰部

右大腿部

左大腿部

右下肢

左下肢

背部

除去による痒み改善効果 P

t1

Pt2

Pt3

Pt4

-2 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 (週)

-2 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 (週)

-2 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 (週)

-2 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 52 (週)

FB-150FH使用期間

FB-150FHの低分子蛋白除去量

* *

** ** * ** ** **

(mg)

(mg) (mg)

(g)

除去性能面からのダイアライザの選択(まとめ)

1.透析アミロイドーシスに対して ・ 除去効率の追求 β2-MG,α1-MGの高効率除去 ・ リスクの抑制 アルブミン漏出量の把握 2.掻痒症に対して(多方向からのアプローチ) ・ 生体適合性重視の治療モード設定 ・ 大分子量物質(≒MW160,000)の除去 ・ 各種HDF施行