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パルスジェットエンジン研究会Pulse Jet Engine Workshop会長:工学部 機械工学科 4 廣瀬 裕介(ひろせ ゆうすけ) 1.パルスジェットエンジンとは パルスジェットエンジンは圧縮機やタービンを使 用しない.つまり,ダクトエンジンに分類される.特 徴として構造が簡素であり,安価で製作することが可 能である.しかし連続運転成功の条件が全て形状に依 存するため,製作が難しい.そして,設計時における 連続運転を成立させるためのパラメータが一切無い 等の難点を持っている. . 研究会の活動実績 今年度4月に提出した学生支援費申請用紙に記載 した「単管パルスジェットエンジン」(図 1 参照)の 開発を主とした活動を、主として千葉大学工学部 10 名の学生で実施した。結果として、我々は単管パルス ジェットエンジンを製作し、さらに連続運転を成功さ せた. また,このエンジンを用いた性能試験を行った.測 定項目は「推力」「音圧レベル」「1 秒間当たりの燃焼 回数」である.推力は過去の実験と同様のレールと電 子ばねばかりを用いたスライド方式を採用した推力 測定システム ( 2 参照 ) を,音圧レベルは騒音計 (SL-1352,測定レンジ:40dB90dB,図 3 参照),そ して 1 秒間当たりの燃焼回数はハイスピードカメラ (EXILIM DIGITAL CAMERA EX-F1CASIO,ハイスピ ード設定;300fps, 3 参照)をそれぞれ用いた.使用 燃料は LP ガスで,0.050MPaG0.100 MPaG0.120 MPaG0.140 MPaG0.155MPaG の圧力条件において 実験をした. まず,推力の測定結果について記す.推力が小さす ぎたためにスライドが動かず,測定不可能であった. 値として約 5N 以下であることが実験から得られた. 次に音圧レベルの実験結果を図 4 に示す.横軸が燃料 圧力で縦軸が音圧レベルを示している.下図から燃料 圧力 0.050MPaG0.140MPaG において,燃料圧力の上 昇に伴い,音圧レベルが増加していることが分かった. しかしながら,0.140MPaG 0.155MPaG では減少し ている.この現象は燃料が多すぎていることを示して いると考えられる. 図1.単管パルスジェットエンジン (下は 500mL のペットボトル) 2.推力測定システム 3.騒音計とハイスピードカメラの位置 4.音圧レベルの実験結果

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パルスジェットエンジン研究会―Pulse Jet Engine Workshop―

会長:工学部 機械工学科 4年

廣瀬 裕介(ひろせ ゆうすけ)

1.パルスジェットエンジンとは

パルスジェットエンジンは圧縮機やタービンを使

用しない.つまり,ダクトエンジンに分類される.特

徴として構造が簡素であり,安価で製作することが可

能である.しかし連続運転成功の条件が全て形状に依

存するため,製作が難しい.そして,設計時における

連続運転を成立させるためのパラメータが一切無い

等の難点を持っている.

2 . 研究会の活動実績

今年度4月に提出した学生支援費申請用紙に記載

した「単管パルスジェットエンジン」(図 1 参照)の

開発を主とした活動を、主として千葉大学工学部 10

名の学生で実施した。結果として、我々は単管パルス

ジェットエンジンを製作し、さらに連続運転を成功さ

せた.

また,このエンジンを用いた性能試験を行った.測

定項目は「推力」「音圧レベル」「1 秒間当たりの燃焼

回数」である.推力は過去の実験と同様のレールと電

子ばねばかりを用いたスライド方式を採用した推力

測定システム(図 2 参照)を,音圧レベルは騒音計

(SL-1352,測定レンジ:40dB~90dB,図 3 参照),そ

して 1 秒間当たりの燃焼回数はハイスピードカメラ

(EXILIM DIGITAL CAMERA EX-F1,CASIO,ハイスピ

ード設定;300fps, 図 3 参照)をそれぞれ用いた.使用

燃料は LP ガスで,0.050MPaG,0.100 MPaG,0.120

MPaG,0.140 MPaG,0.155MPaGの圧力条件において

実験をした.

まず,推力の測定結果について記す.推力が小さす

ぎたためにスライドが動かず,測定不可能であった.

値として約 5N以下であることが実験から得られた.

次に音圧レベルの実験結果を図 4に示す.横軸が燃料

圧力で縦軸が音圧レベルを示している.下図から燃料

圧力 0.050MPaG~0.140MPaGにおいて,燃料圧力の上

昇に伴い,音圧レベルが増加していることが分かった.

しかしながら,0.140MPaG ~0.155MPaG では減少し

ている.この現象は燃料が多すぎていることを示して

いると考えられる.

図1.単管パルスジェットエンジン

(下は 500mLのペットボトル)

図 2.推力測定システム

図 3.騒音計とハイスピードカメラの位置

図 4.音圧レベルの実験結果

図 5. 1秒当たりの燃焼回数の実験結果

図 5は 1秒間当たりの燃焼回数の実験結果である.

この測定項目は燃料圧力の上昇に追従しない,つまり,

エンジン本体の形状に依存していると考えられる.

3.工学部祭での活動

両日ともで工学部 17 号棟-111 教室とその外側にて

展示と実演をした.昨年度よりも展示日数が少なく悪

天候であったにも関わらず掲示板にポスターを張っ

た宣伝の成果があったためか、約 200 名の来場者の

方々に来ていただき,紹介と実演を通じてパルスジェ

ットエンジンの魅力を感じていただけたと感じてい

る.

パルスジェットエンジンの実演は開発した小型エ

ンジンを実際に運転した。安全性をより向上させるた

めに、教室の外で実施(図 6)し、来場者は教室内から

見ていただいた(図 7)。老若男女問わず来場していた

だき、パルスジェットエンジンや他機関の説明(図 8)、

宣伝ができた。

図 6.エンジン設置の様子

図 7.来場者の様子(実演)

図 8.来場者の様子(実物展示とポスター)