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東京リスクマネジャー懇談会 2017年 TRMA サーベイ結果報告(ドラフト) 2017年3月23日 東京リスクマネジャー懇談会 Tokyo Risk Managers Association (“TRMA”) 1

東京リスクマネジャー懇談会 TRMA サーベイ結果報 …±京リスクマネジャー懇談会 2017年TRMA サーベイ結果報告(ドラフト) 2017年3月23日

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東京リスクマネジャー懇談会2017年 TRMA サーベイ結果報告(ドラフト)

2017年3月23日東京リスクマネジャー懇談会

Tokyo Risk Managers Association(“TRMA”)

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本資料をご利用の際は、以下の点をご了承ください。 本報告に記載された情報は、東京リスクマネジャー懇談会が行った会員アンケートに対する回答内

容に基づき、東京リスクマネジャー懇談会が作成・表示したものですが、その内容の正確性、完全性、適時性について、東京リスクマネジャー懇談会は何ら保証を行うものではなく、また、いかなる責任を持つものではありません。

また、東京リスクマネジャー懇談会は個人の立場による会員から成っており、各会員の回答内容は、それぞれ会員個人の意見に基づくものであり、所属する組織等とは関係ないものです。

本報告およびデータ等の著作権を含む知的所有権は東京リスクマネジャー懇談会に帰属し、事前に東京リスクマネジャー懇談会への書面による承諾を得ることなく転載することを禁じます。また、本資料およびその複製物を送信、配布、譲渡することを禁じます。

本資料は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。

東京リスクマネジャー懇談会

本報告ご利用に際してのお断り

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TRMAでは、昨年12月から本年2月にかけて、TRMA会員を対象として金融機関のリスク管理実務についてのサーベイを実施した。

これは、2008年の金融危機後の金融規制強化の潮流の中で、2009年、2012年および2014年にTRMAが行った、リスク管理実務についてのサーベイを踏襲したもので、本邦金融機関のリスク管理実務についての「定点観測」とも呼ぶべきものである。

アンケートの質問項目は、大きく以下の項目に分類される。内部監査やリスクカルチャー等、最近議論が高まっている項目を織り込んだ他、前回2014年に行ったサーベイと共通した質問も半数程度織り込んでいる。A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

アンケートは、SurveyMonkey社が提供するアンケート機能を通じて、回答を記入・返信を受ける形式により、2016/12/28~2017/2/12にかけて行われた。

本報告は、アンケートにおける回答結果につきまとめたものである。

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アンケート回答者プロファイル(業種別)

• 本サーベイにはTRMA会員を中心に、281名の回答を得た。前回サーベイ(2014年)の274名を若干上回る、相当数の回答が得られた。

• 12月末の会員総数が約2,200名、内メールアドレスが登録されている会員が約1,600名であることからすると、約20%弱の会員から回答を得たことになる。会員数の増加はあるものの、250名を超えるリスク管理実務家からの回答は、本邦におけるこの種のサーベイとしては類を見ないと考えられる。

• 回答者の所属組織構成は図表0-1のとおり。銀行・証券・保険のいわゆる金融3業態所属会員からの回答が60.5%となっているが、過去5年間においてTRMA会員に占める金融3業態所属会員の比率が安定して62%であることからすると、概ね会員の母集団を代表していると考えられる。(前回2012年のサーベイにおける金融3業態所属会員からの回答は60.8% 2009年のアンケートでは60.1%であった。)

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図表0-1.回答者所属組織業種構成

未更新

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アンケート回答者プロファイル(年齢階層別・業務内容別)

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図表0-3.回答者業務内容構成

図表0-2.回答者年齢階層構成

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2012年TRMA金融リスクマネジメントサーベイExecutive Summary

サーベイ結果をテーマ別にみると、 まず、取締役会や経営陣のリスクマネジメントに対する関与について、多少改善した、とする回答と、あまり変わら

ない、とする回答が拮抗した。前回サーベイ結果と比べると、多少の「足踏み」とも見られた。リスク管理委員会での実効性ある議論もあまり進展がなく、チーフ・リスク・オフィサー(CRO)のステータスや権限はあまり強化されていない、という回答が多かった。

こうした中、取締役会直下のリスク管理委員会については、設置すべきである、という意見が増えた他、リスクマネジメント部門への資源配賦は十分ではないもののより多くの資源が配賦されるようになった、との回答が多く、規制強化等を背景とした変化が見られた。

リスクアペタイトについては、業務計画策定の際に基準とすべき、との意見が過半を占める一方、実務として定着・浸透はしていない、との状況が明らかになった。ただし、この点も含めて、金融機関における対応において二極化が進んでおり、一部金融機関では取組みの進展がある、との見方が示された。

資本運営においては、規制資本と経済資本は、近づいている、という意見も多少の増加を示したが、離れている、という意見の方がより増加した結果となった。また、再建・破綻計画については、作成することに意味がある、とする意見が増加した。

また、レバレッジ比率や、デリバティブの集中清算等の新たな規制に対しては、「意味がある」、という声が多数となったが、実務上の負担に対する懸念が示された。

ストレステストについては、その意義については社内的な理解が共有された一方、システムやデータに対する課題が示された。当局主導のストレステストに対しては、メリットはあるものの、テスト結果に資本調達を直結させることについては金融機関の自主的経営を損なうことから望ましくないとの意見が示された。

流動性リスクマネジメントについては、経営陣の関心が相応に高まったことが示された。 最後にシャドーバンキングについては、今後さらに拡大する、あるいは将来シャドーバンキング発の金融リスク問

題が発生する、とした回答が多くを占めた。

今回のサーベイを、前回結果と比較すると、回答の傾向が酷似していることが顕著であった。金融リスクマネジメントがゆっくりながら進展していると捉えることもできるが、「足踏み」と捉えることもできよう。あるいは、前回サーベイ実施から日にちが経っていないという可能性もあり、この点につき、今後のサーベイ実施内容・頻度検討において、注意が必要であると認識された。

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エグゼクティブ・サマリー未着手

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-1.経営陣の役割と責任(リスクマネジメントへの関与)

過去2~3年を振り返って、本邦金融機関において、取締役会や経営陣による、リスクマネジメントへの関与は改善したと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 大きく改善したと思うb. 多少改善したと思うc. あまり変わらないと思うd. 多少悪化したと思うe. 大きく悪化したと思うf. 分からない

リスクマネジメントに対する経営陣の役割と責任についての回答では、「大きく改善した」(a.36件)、「多少改善した」(b.177

件)が、「あまり変わらない」(c.57件)を大きく上回る結果となった。前回(2014年)、前々回(2012年)のサーベイでは、「大きく改善した」は少数に止まり、「多少改善した」と「あまり変わらない」が拮抗していたが、今回の結果はそれらから大きく変化するかたちとなった。

追加コメントをみると、前回サーベイ同様に、当局や規制といった外部要因を改善の背景とする回答が多く見られる一方で、リスクアペタイトフレームワーク(RAF)の導入を背景に経営陣の関与が強まったとする回答が複数見られた。

図表A-1.質問A-1に対する回答数

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115

123

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10

4

0 50 100 150

a

b

c

d

e

f

2014年サーベイにおける結果

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-1.経営陣の役割と責任(リスクマネジメントへの関与)

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A-1①業種カテゴリ

当局については、「大きく改善したと思う」および「多少改善したと思う」のみが選択され、当局からは、取締役会や経営陣による、リスクマネジメントへの関与について一定の改善が図られたとの評価が得られている姿が窺えた。

A-1②年齢階層グループ

取締役会や経営陣による、リスクマネジメントへの関与については、高年齢層と若年齢層で傾向に大きな違いは見られないものの、高年齢層のほうが「大きく改善したと思う」を選択する割合がやや大きかった。

A-1③業務内容種類

取締役会や経営陣による、リスクマネジメントへの関与については、コンサルティング等のサービス提供部門では、他部門に比べ、「あまり変わらないと思う」の回答が多く、改善したと思う比率が相対的に低い結果となった。

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-2.経営陣の役割と責任(ガバナンスの問題)

足元における金融機関のガバナンスの問題についての本邦金融機関の状況についてどのように思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 大きく改善したと思うb. 多少改善したと思うc. あまり変わらないと思うd. 多少悪化したと思うe. 大きく悪化したと思うf. 分からない

ガバナンスからくる問題の発生については、「大きく改善した」(a.24件)、「多少改善した」(b.148件)が全体の6割超を占めるかたちとなった。本設問については、回答の構成を変更していることから前回サーベイとの完全な比較は難しいものの、前回サーベイでは、「状況は改善しない」とした回答が半数近くあったことからすると、改善傾向が強まっていると言える。

追加コメントをみると、コーポレートガバナンスコードの浸透が背景にあるとする回答が複数見られた。また、社外取締役の導入や委員会設置会社への移行などの制度面での改善について言及する回答がある一方、それらの実効性については疑問視するコメントも見られた。

図表A-2.質問A-2に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-2.経営陣の役割と責任(ガバナンスの問題)

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A-2①業種カテゴリ

金融機関のガバナンスの問題については、地銀等では「大きく改善したと思う」の回答がなかった。当局の回答をみると、他業種に比べ、「大きく改善したと思う」および「多少改善したと思う」の比率が相対的に高くなった。

A-2③業務内容種類

金融機関のガバナンスの問題については、システム部署・バックオフィス等では、「大きく改善したと思う」の比率が他部署に比べ高くなる一方で、リサーチ部署では、「大きく改善したと思う」の回答はなかった。

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-3. リスク管理委員会

過去2~3年を振り返って、本邦金融機関のリスク管理委員会における情報共有や経営陣の参加等、リスク管理委員会における議論は実質的なものに変わってきていますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 極めて実質的な議論になってきたと思うb. 多少実質的な議論になってきたと思うc. あまり変わらないと思うd. 多少形式的な議論になってきたと思うe. 極めて形式的な議論になってきたと思うf. 分からない

リスク管理委員会については、「極めて実質的な議論になってきたと思う」(a.19件)、「多少実質的な議論になってきたと思う」(b.148件)が全体の6割超を占めた。前回サーベイでは、「委員会では実質的な議論はされにくい」、とした回答が最も多くを占め、「検査や規制強化からかえって形式的になった」と合わせると、大多数を占めていた点に鑑みると、状況に大きな進展が見られる。

追加コメントをみると、低金利(マイナス金利)環境を背景とする収益環境の悪化が、実質的な議論を促すドライバになっているといった趣旨の回答が複数見られた。

図表A-3.質問A-3に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-3. リスク管理委員会

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A-3①業種カテゴリ

主要行においては、「極めて実質的な議論になってきたと思う」および「多少実質的な議論になってきたと思う」が過半を占め、議論が形式的になったという回答は見られなかった。当局についても、「極めて実質的な議論になってきたと思う」および「多少実質的な議論になってきたと思う」のみが選択され、リスク管理委員会での議論の実効性を評価する姿が窺えた。

A-3②年齢階層グループ

高年齢層と若年齢層で傾向に大きな違いは見られないものの、高年齢層のみにおいて「極めて実質的な議論になってきたと思う」の回答が見られた。

A-3③業務内容種類

リスク管理委員会での議論の実効性について、フロント部署では、「極めて実質的な議論になってきたと思う」を回答する傾向が他部署より見られた。

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0 50 100 150

a

b

c

A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

欧米金融機関においては、通常のリスク管理委員会とは別に、取締役会直下にリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)を設置する例が増えていますが、こうした動きについてどのように思いますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 本邦金融機関も同様の委員会を設置すべきであるb. 本邦金融機関では設置すべきとは思わないc. 分からない。

取締役会直下のリスク管理委員会に係る設問に対する回答では、「本邦金融機関も同様の委員会を設置すべきである」、とした回答(a.142件)が、「本邦金融機関では設置すべきとは思わない」、とした回答(b.65件)、を大きく上回るかたちとなり、前回サーベイ時の結果とほぼ同様の姿となった。

一方で、「本邦金融機関では設置すべきとは思わない」と「分からない」(c.68件)を合わせると、全体の半数近くを占める状況で、追加コメントの中でも、必要性を疑問視する声が目立っていた。

図表A-4.質問A-4に対する回答数

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2014年サーベイにおける結果

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

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A-4①業種カテゴリ

取締役会直下のリスク管理委員会については、主要行、当局、その他業種では、「本邦金融機関も同様の委員会を設置すべきである」の回答が過半を超え、地銀等、証券、保険よりも設置すべきとの声が強い結果となった。

A-4②年齢階層グループ

取締役会直下のリスク管理委員会については、弱年齢層のほうが、「本邦金融機関も同様の委員会を設置すべきである」の回答の比率が高い結果となった。

A-4③業務内容種類

取締役会直下のリスク管理委員会については、システム部署・バックオフィス等では、「本邦金融機関も同様の委員会を設置すべきである」の回答の比率が最も高く、設置すべきとは思わないとの回答はなかった。

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4-2.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

A-4でaと回答した方に質問します。その回答理由につき、近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 取締役だけでも、リスクマネジメントに関する知識・実務的経験は十分にあると考えられるから

b. 取締役レベルがリスクマネジメントの最終責任を持つべき課題であるから

c. 取締役が、リスクについてより理解することが必要と思われるため

d. 経営執行側を介さず、取締役の権限で直接関係者に問い合わせを行うべきと思われるため

e. 通常のリスク管理委員会では形式的な議論しかできないと思われるため

「取締役会直下のリスク委員会を設置すべきである」、と回答した理由に対する回答では、「取締役レベルがリスクマネジメントの最終責任を持つべき課題であるから」(b.84件)および「取締役が、リスクについてより理解することが必要と思われるため」(c.79件)とするものが多かった。本設問については、回答の構成を変更していることから前回サーベイとの完全な比較は難しいものの、前回サーベイで回答が多かった取締役の権限で直接関係者に問い合わせを行うべきとの回答は相対的に減少した。

追加コメントをみると、取締役がより直接的あるいは積極的にリスクを理解すべきとの回答が多く、その理由としては、リスク管理情報は経営判断に必要な情報であるため、とするものが複数見られた。

図表A-4-2.質問A-4-2に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4-2.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

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A-4-2①業種カテゴリ

本邦金融機関も取締役会直下のリスク管理委員会を設置すべきである理由については、特に地銀等において、「通常のリスク管理委員会では形式的な議論しかできないと思われるため」の選択割合が他業種に比べて多く、取締役会直下のリスク管理委員会に実質的な議論を期待する傾向が強く見られた。また、当局については、他業種とは傾向が異なっており、「取締役だけでも、リスクマネジメントに関する知識・実務的経験は十分にあると考えられるから」および「取締役レベルがリスクマネジメントの最終責任を持つべき課題であるから」が大多数を占めており、取締役の能力と責任について重視している姿が窺われた。

A-4-2③業務内容種類

内部監査部門においては、「取締役だけでも、リスクマネジメントに関する知識・実務的経験は十分にあると考えられるから」および「取締役レベルがリスクマネジメントの最終責任を持つべき課題であるから」が過半数を占めており、取締役の能力と責任について重視している姿が窺われた。一方、フロント部署では、他部署に比べ、「取締役が、リスクについてより理解することが必要と思われるため」および「通常のリスク管理委員会では形式的な議論しかできないと思われるため」が相対的に多く、取締役主導でのより実効的な議論への期待感が現れるかたちとなっている。

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4-3.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

A-4でbと回答した方に質問します。その回答理由につき、近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 通常のリスク管理委員会との違いが明確でないと思われるため

b. 日本の場合、取締役会とリスク管理委員会が、ほぼ同じメンバーで開催されるため、

c. 取締役会直下のリスク管理委員会を設置しても形式的な議論しかできないと思われるため

d. 取締役のリスクマネジメントに対する知識・実務的経験が不十分であるため

e. 取締役会直下のリスク管理委員会を別に設置する理由(必要性等)が理解できないため

「通常のリスク管理委員会との違いが明確でないと思われるため」(a.36件)および「日本の場合、取締役会とリスク管理委員会が、ほぼ同じメンバーで開催されるため」(b.29件)といった、通常のリスク管理委員会との重複感を指摘する回答が多数となった。また、「取締役会直下のリスク管理委員会を設置しても形式的な議論しかできないと思われるため」(c.37件)や「取締役のリスクマネジメントに対する知識・実務的経験が不十分であるため」(d.22件)といった、取締役会直下のリスク管理委員会の実効性を疑う回答についても、多数の回答が見られた。

追加コメントをみると、取締役会直下のリスク管理委員会の実効性を疑う回答が多くみられる一方、実効性が保たれるのであれば設置しても良いという声も少数ながら見られた。

図表A-4-3.質問A-4-3に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-4-3.取締役会直下のリスク管理委員会(ないしリスク監視委員会)

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A-4-3①業種カテゴリ

本邦金融機関も取締役会直下のリスク管理委員会を設置すべきとは思わない理由については、特に地銀等において、「通常のリスク管理委員会との違いが明確でないと思われるため」および「日本の場合、取締役会とリスク管理委員会が、ほぼ同じメンバーで開催されるため」が相対的に多くなっており、企業規模などにも応じて必要性を検討する必要性が示唆されるかたちとなった。

A-4-3②年齢階層グループ

高年齢層においてのみ、「取締役のリスクマネジメントに対する知識・実務的経験が不十分であるため」が選択されており、取締役の能力について疑問視する傾向が強い様子が窺われた。

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欧米ではチーフ・リスク・オフィサー(CRO)に、より大きなステータスと権限を付与するようになっていますが、本邦金融機関のCROないしリスク管理担当役員の権限等についてどのように思われますか。a. 極めて重視されるようになってきたと思うb. 多少重視されるようになってきたと思うc. あまり変わらないと思うd. あまり重視されていないと思うe. 全く重視されていないと思うf. 分からない

チーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割に係る設問に対する回答では、「多少重視されるようになってきたと思う」、とした回答(b.103件)が最も多く、CROの機能発揮に懐疑的な回答が大多数を占めた前回サーベイからは変化が見られている。もっとも、引き続き、懐疑的な見方も少なくなく、「あまり変わらないと思う」(c.97件)、「あまり重視されていないと思う」(d.34件)も相応の数を占めている。

追加コメントをみると、CROの役割の実効性について疑問視する声がある中で、足元、CROの権限が強化されつつあるという回答も見られた。

図表A-5.質問A-5に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-5.チーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-5.チーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割

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A-5①業種カテゴリチーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割については、地銀等において、「あまり重視されていないと思う」の回答の割合が、他業種に比べ高い結果となった。

A-5②年齢階層グループチーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割については、高年齢層のほうが、重視されるようになってきたと思うとの回答の比率が高い結果となった。

A-5③業務内容種類チーフ・リスク・オフィサー(CRO)の役割については、重視されるようになってきたと思うとの

回答の比率が、フロント部署で最も高くなり、システム部署・バックオフィスおよびコンサルティング等のサービス提供部門において相対的に低い結果となった。

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0 50 100 150

a

b

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e

f

過去2~3年を振り返って、リスクマネジメント部門に十分な資源(要員、システム、情報)が振り向けられるようになったと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 十分な資源が配賦されるようになったb. 十分ではないが多めに資源が配賦されるようになったc. 資源配賦は特に変わらないd. 資源配賦は多少削減されたe. 資源配賦は大きく削減されたf. 分からない

経営資源に係る設問に対する回答では、リスクマネジメント部門に、「十分ではないが多めに資源が配賦されるようになった」、とした回答(b.126件)が多かったが、「資源配賦は特に変わらない」(c.111件)、とする回答も多かった。結果として、前回サーベイ同様、回答の大宗は、リスクマネジメント部門への資源配分は十分ではない、とするものとなった。

追加コメントをみると、多めに資源が配賦された背景は、規制対応のためとの回答も複数見られた。

図表A-6.質問A-6に対する回答数

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-6.経営資源

2014年サーベイにおける結果

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A.リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任A-6.経営資源

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A-6①業種カテゴリ

リスクマネジメント部門への資源配賦については、地銀等で「資源配賦は特に変わらない」の回答が大半を占める一方で、当局は、「十分ではないが多めに資源が配賦されるようになった」の回答が大半を占める結果となった。

A-6③業務内容種類

リスクマネジメント部門への資源配賦については、当事者であるリスク管理部署では、「資源配賦は特に変わらない」の回答の割合が、他部署に比べ高い結果となった。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

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欧米を中心にリスクアペタイトフレームワークを明確に設定する動きが進んでいますが、過去2~3年で、本邦金融機関におけるリスクアペタイトの状況をどう思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 大きく前進し、定着してきたb. 相応に進展してきたが、定着には至っていないc. 進展しているが速度は遅く、定着にも至っていないd. 進展はしておらず、形式的な議論だけが行われているe. 議論すら行われていないf. 分からない

リスクアペタイトの考え方については、「相応に進展してきたが、定着には至っていない」(b.114件)、「進展しているが速度は遅く、定着にも至っていない」(c.86件)、といった一定の進展はみられるものの、定着までには至っていないという回答が大半を占めた。本設問については、回答の構成を変更していることから前回サーベイとの完全な比較は難しいものの、定着までには至っていないという前回サーベイ時点での状況については、現時点でも、大きな改善はみられていない。

追加コメントをみると、定着・浸透に至らない背景として、リスクアペタイトという概念(言葉)が曖昧である点、馴染みが薄い点について、指摘する回答が複数見られた。

図表B-1.質問B-1に対する回答数

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B.リスクアペタイトB-1.リスクアペタイトの進展

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B.リスクアペタイトB-1.リスクアペタイトの進展

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B-1①業種カテゴリ

リスクアペタイトの進展については、主要行において、「大きく前進し、定着してきた」の回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。一方、地銀等においては、「進展しているが速度は遅く、定着にも至っていない」の回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。

B-1③業務内容種類

リスクアペタイトの進展については、コンサルティング等のサービス提供部門において、「進展はしておらず、形式的な議論だけが行われている」の回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。

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リスクアペタイトは、最終的にどのように使われるべきだと思いますか。近いと思うものを選んでください(複数回答可)。a. 会社の企業文化の一部として、各人の行動規範となるべきである

b. 業務計画策定の際に、基準とすべきであるc. 業績評価の基準とすべきであるd. 取締役会や経営陣が組織運営の際に基準とするもので、社員レベルで対応すべきものではない

e. 分からない

リスクアペタイトの使い方については、「業務計画策定の際に、基準とすべきである」(b.204件)という評価が多数であり、その後に「会社の企業文化の一部として、各人の行動規範となるべきである」(a.112件)、「業績評価の基準とすべきである」(c.81件)と続き、前回および前々回のサーベイ結果と概ね変化なかった。

自由回答(11件)では、環境変化に対応した戦略策定・変更等に機動的に活用されるべき、といった趣旨の回答が複数見られた。

図表B-2.質問B-2に対する回答数

27

B.リスクアペタイトB-2.リスクアペタイトの使い方

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B.リスクアペタイトB-2.リスクアペタイトの使い方

28

B-2③業務内容種類

システム部署・バックオフィスのみ他部署と違った傾向が見られ、「会社の企業文化の一部として、各人の行動規範となるべきである」の回答が比較的少なかった。

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マイナス金利政策は、金融機関のリスクアペタイトに影響を与えたと思いますか。最も近いと思うものを選んでください。a. 大きく影響を与えたと思うb. 多少影響を与えたと思うc. あまり影響を与えていないと思うd. ほとんど影響を与えていないと思うe. 全く影響を与えていないと思うf. 分からない

マイナス金利政策とリスクアペタイトについては、「大きく影響を与えたと思う」(a.103件)および「多少影響を与えたと思う」(b.97件)、といった回答が多数を占め、マイナス金利政策の影響の強さが窺える結果となった。

追加コメントをみると、特に金融機関の投資・資産運用面で影響があったとする回答が複数見られたほか、マイナス金利政策がリスクアペタイトに与えた影響は必ずしもポジティブなものだけではないとする声も見られた。

図表B-3.質問B-3に対する回答数

29

B.リスクアペタイトB-3.マイナス金利政策とリスクアペタイト

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B.リスクアペタイトB-3.マイナス金利政策とリスクアペタイト

30

B-3①業種カテゴリ

マイナス金利政策とリスクアペタイトについては、地銀等において、「大きく影響を与えたと思う」の回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。他方、当局においては、「大きく影響を与えたと思う」の回答も多くみられる一方で、「あまり影響を与えていないと思う」の回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。

B-3②年齢階層グループ

マイナス金利政策とリスクアペタイトについては、高年齢層のほうが、影響を与えたと思うとの回答の比率が高い結果となった。

B-3③業務内容種類

マイナス金利政策とリスクアペタイトについては、リサーチ部署においては、影響を与えていないと思うとの回答がなく、他部署とは異なる傾向が見られた。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

31

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過去2~3年において、資本運営の方法が変わったと思いますか。近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 資本規制の変更(の方向性)に合わせて、資本運営方法の変更が進んでいる

b. 経済資本をベースにした資本運営・資本配賦アプローチが中心となっている

c. 資本運営に、資本コストがより適切に反映されるようになったd. 規制資本をより重視するようになったe. ストレステストの結果を資本運営に反映するようになったf. 経済資本と規制資本をより整合的に運営するようになったg. 資本使用状況からポートフォリオを見直すようになったh. 連結ベースでの資本運営を重視するようになったi. 分からない

資本運営の現状については、「ストレステスト結果の資本運営への反映するようになった」(e.79件)、といった回答が相対的に増加している点を除けば、前回サーベイとほぼ類似の結果となった。「規制資本をより重視するようになった」(d.74件)、「規制資本の変更に合わせた資本運営方法の変更」(a.66件)、「経済資本をベースにした資本運営・資本配賦アプローチが中心となっている」(b.60

件)などの回答も引き続き多くみられた。

自由回答(15件)および追加コメントをみると、規制への対応から規制資本を重視せざるを得ないというコメントが複数みられる一方で、より実質的なリスク管理を重視する動きの強まりから、再び経済資本にも目が向けられるようになってきた、との声も一部みられた。

図表C-1.質問C-1に対する回答数

32

C.資本運営C-1.資本運営の現状

2014年サーベイにおける結果

6045

1477

622827

2465

14

0 20 40 60 80 100

a

b

c

d

e

f

g

h

i

j

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C.資本運営C-1.資本運営の現状

33

C-1①業種カテゴリ

保険では、「規制資本をより重視するようになった」の回答が他業種に比べ明らかに少なく、経済資本がより重視されている姿が窺われた。当局では、「資本運営に、資本コストがより適切に反映されるようになった」の回答はなかった。

C-1③業務内容種類

システム部署・バックオフィスのみ他部署と違った傾向が見られ、「資本規制の変更(の方向性)に合わせて、資本運営方法の変更が進んでいる」および「経済資本をベースにした資本運営・資本配賦アプローチが中心となっている」が多く選択され、他方、「規制資本をより重視するようになった」の回答が少なく、経済資本がより重視されている姿が窺われた。

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図表C-2.質問C-2に対する回答数

34

C.資本運営C-2.資本運営に対する評価

現在の資本運営の機能度合い、経営への活用度合いについて、最も近いと思うものを選んでください。a. 資本運営は有効に機能し、経営に十分に活用されているb. 資本運営は相応に機能し、経営にもそれなりに活用されている

c. 資本運営は形式的な部分が相応に散見され、経営にはあまり活用されていない

d. 資本運営は極めて形式であり、経営にも活用されていないe. 資本運営そのものが行われていないf. 分からない

資本運営に対する評価については、「資本運営は相応に機能し、経営にもそれなりに活用されている」(b.109

件)が最も多くなり、「資本運営は有効に機能し、経営に十分に活用されている」(a.10件)と合わせると過半を占める結果となった。一方で、経営に十分には活用されていないとする回答も4割近くとなり、金融機関により区々である状況が窺える。

追加コメントをみると、一部には活用されているが、形式的で実効性が乏しい点について言及するコメントが少なからずみられた。特に、リスクテイクへの活用という観点では活用が不十分といった趣旨のコメントが複数寄せられた。

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C.資本運営C-2.資本運営に対する評価

35

C-2①業種カテゴリ

資本運営に対する評価については、当局において、経営に活用されているとの回答の比率が他業種に比べ高い結果となった。

C-2②年齢階層グループ

資本運営に対する評価については、高年齢層のほうが、経営に活用されているとの回答の比率が高い結果となった。

C-2③業務内容種類

資本運営に対する評価については、リスク管理部署およびシステム部署・バックオフィス棟においてのみ「資本運営は有効に機能し、経営に十分に活用されている」の回答があった。一方、コンサルティング等のサービス提供部門において、「資本運営は極めて形式であり、経営にも活用されていない」の回答の割合が、他部署に比べ高い結果となった。

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図表C-3.質問C-3に対する回答数

36

C.資本運営C-3.資本運営高度化の課題

2014年サーベイにおける結果

資本運営を高度化する際の問題点・課題がどこにあると思いますか。最も近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 資本運営を行なうためのシステムb. 資本運営を行なうためのデータc. 資本運営のための考え方・フレームワークの構築d. 資本運営を行う際に、関係者からの理解を得ることe. 規制強化の動向f. 経営層による資本運営の重要性の理解度g. 分からない。

資本運営高度化の課題については、「資本運営のための考え方・フレームワークの構築」(c.143件)と最も多くなり、その他の各項目についても課題として認識する回答が多く得られた。前回サーベイからは、「経営層による資本運営の重要性の理解度」(f.90件)の選択肢も増やしたが、多くの回答が集まっている。

自由回答(10件)をみると、人材不足といった内部的な課題を挙げる声がある一方、ステークホルダーからの理解といった社外も含めた課題を指摘するコメントも見られた。

68

80

164

105

47

13

9

0 50 100 150 200

a

b

c

d

e

f

g

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C.資本運営C-3.資本運営高度化の課題

37

C-3①業種カテゴリ

資本運営高度化の課題については、地銀等においては、「資本運営のための考え方・フレームワークの構築」の比率が他業種対比多く、システムやデータといったより具体的な課題の前段階で課題を抱えている先が多いとの結果となった。

C-3③業務内容種類

内部監査部門においては、「資本運営を行う際に、関係者からの理解を得ること」の比率が他部門対比低く、資本運営に対する関係者からの理解は得られていると評価している姿が窺えた。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

38

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図表D-1.質問D-1に対する回答数

39

D.ストレステストD-1.ストレステストの活用状況

この2~3年で、ストレステストの実施および活用について、最も近いと思われる意見を選んでください。a. ストレステストの実施内容・頻度は増え、その内容が十分経営の意思決定に活用されている

b. ストレステストの実施内容・頻度は相応に増え、その内容がある程度経営の意思決定に活用されている

c. ストレステストの実施内容・頻度は増えているが、経営への活用は限定的なものにとどまっている

d. ストレステストの実施内容・頻度は増えているが、経営への活用は今後の課題である

e. ストレステストの実施内容・頻度はあまり変わっておらず、経営への活用も従来通りである

f. 分からない

ストレステストについては、「実施内容・頻度は増えている・・・」(a, b, c)との回答が80%程を占め、日本におけるストレステストの実施内容・頻度が、増加傾向にある事が伺えた。

しかし、後続の活用状況に関する選択肢ごとに回答分布を見ると、「経営の意思決定に活用されている」(a)との回答は5%に満たず、「ある程度(中略)活用されている」(b)、「活用は限定的なものにとどまっている」(c)、「(略)活用は今後の課題である」(d)との回答が95%を占めている。実施の内容・頻度は増加したが、充分かつ有効な活用を行えていない点が、課題認識として伺える。

また、自由回答においては、「規制対応の為に実施している」、「実施しているが活用できていない」、「実施に伴う負担のみが増加した」との記入が散見し、現状のストレステストが規制対応の為の実施に留まり、有効活用されていない状況を物語った。

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D.ストレステストD-1.ストレステストの活用状況

40

TBD

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図表D-2.質問D-2に対する回答数

41

D.ストレステストD-2.フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

この2~3年で、フォワードルッキングなストレスシナリオの活用は増えましたか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. フォワードルッキングなシナリオがかなり増えたb. フォワードルッキングなシナリオが多少は増えたc. フォワードルッキングなシナリオは従来活用しているレベルから増えていない

d. フォワードルッキングなシナリオは従来からも現在でも活用していない

e. 分からない

ストレスシナリオの浸透状況については、「フォワードルッキングなシナリオが多少は増えた」(b)、「フォワードルッキングなシナリオは従来活用しているレベルから増えていない」( c)との回答が過半数を大きく上回る結果となった。

回答結果からは、目立った進展は伺えず、むしろ鈍化しているとの懸念を抱いており、今後の課題となりうる傾向が伺える。

また、自由回答欄においては、シナリオ設定そのものが難しいとの回答趣旨が多く見られ、実務レベルでの活用方法が十分に浸透していない可能性が読み取れた。

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D.ストレステストD-2.フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

42

TBD

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図表D-3.質問D-3に対する回答数

43

D.ストレステストD-3.金融機関共通のストレステストについて

2008年の金融危機以降、欧米では当局が共通のシナリオによるストレステストを行い、その結果を公表していますが、この点についてどのように思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. シナリオの蓋然性が確保できるうえ、共通のシナリオは社内外への説明がし易く、有用である

b. 共通のストレスシナリオを使えば、金融機関の比較が出来るため、健全性評価の観点からも有用である

c. ストレスシナリオは各国・各社の環境や状況に応じて設定すべきで、共通シナリオには意味が無い

d. 欧米のストレステストは結果が政治的につかわれており、あまり意味がない

e. 欧米のストレステストは、想定されたシナリオの読み替え等が不透明であり、結果にはあまり意味がない

f. 分からない。

金融機関共通のストレステストについては、「(略)有用である」(a, b)との回答が60%程を占めた。

一方、「(略)意味が無い」(c, d, e)との回答も、計33%程を占めている。

また、自由回答欄においても、「有用と認識する」、「意味がない」との回答が混在しており、見解の分かれる状況にある事が伺えた。

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D.ストレステストD-3.金融機関共通のストレステストについて

44

業種ごと、年齢ごと、業務内容ごとに回答を見た場合も、約60%、約30%の対全体比の構成は類似しており、業種、年齢、業務内容が、構成比の背景にある主な要因とは言えない。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

45

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図表E-1.質問E-1に対する回答数

46

E.流動性リスクE-1.流動性リスクマネジメント

2014年サーベイにおける結果

過去2~3年の本邦金融機関において、流動性リスクマネジメントの態勢整備は進んだと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 流動性リスクマネジメントに関する態勢整備が大きく進んだb. 流動性リスクマネジメントに関する態勢整備は相応に進んだc. 流動性リスクマネジメントに関する態勢整備はあまり進展がない

d. 流動性リスクマネジメントに関する態勢整備は若干後退したe. 流動性リスクマネジメントに関する態勢整備は大きく後退したf. 分からない。

流動性リスクマネジメントに関する態勢整備ついては、「(略)相応に進んだ」(b)との回答が50%程を占めた。

一方、「(略)あまり進展がない」(c)との回答も、30%程を占めており、「相応に進んだ」と「あまり進展がない」との回答が、拮抗する回答結果となった。 6

120

72

0

63

1

0 50 100 150

a

b

c

d

e

f

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E.流動性リスクE-1.流動性リスクマネジメント

47

業種ごとに比較した場合、地銀、信金、労金、保険会社について、 「(略)あまり進展がない」(c)との回答が、他の業種に比べ、比率として多少大きく、業種による進展の相違が、若干、伺えた。

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図表E-2.質問E-2に対する回答数

48

E.流動性リスクE-2.流動性に関する規制の進展

国際的流動性規制として流動性に関する規制が導入・議論されていますが、これらの規制の強化は本邦金融機関にどのような影響を与えた(与える)と思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 流動性リスクが低減された上、流動性リスクを踏まえた業務見直しが行われ、ビジネスモデルが洗練された

b. ビジネスへの影響は特に無いが、流動性リスクが低減し、安定性や健全性は高まった

c. ビジネスへの影響は無く、特にメリットを感じないd. 流動性リスク管理に伴うコストや手続き等の負担が増加し、デメリットのほうが大きい

e. コスト等の負担に加え、ビジネスモデルにおける制約が高まり、業務運営が行いづらくなった

f. 分からない

流動性に関する規制の進展ついては、「(略)安定性や健全性は高まった(メリットとして認識)」(b)と「(略)デメリットのほうが大きい」(d)との回答が多数であるものの、傾向として、各選択肢に15%から25%の対全体比で、ほぼ等しく、回答が分散している。

「分からない」との回答も、有効回答数のうち25%を占めることから、議論そのものが発展途上にあり、現段階では、実務への影響を明確化できていないとの状況を回答結果から推察した。

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E.流動性リスクE-2.流動性に関する規制の進展

49

業種ごとに回答結果を見た場合、地銀、信金、労金については、 「(略)デメリットのほうが大きい」(d)との回答が比率として、若干、大きく占める傾向が伺えた。

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図表E-3.質問E-3に対する回答数

50

E.流動性リスクE-3.流動性リスクマネジメントの高度化

過去2~3年の本邦金融機関において、流動性リスク管理についてどの分野での高度化が進んだと思われますか。近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 経営陣・関係部署の役割・責任の明確化・具体化b. キャッシュフロー・データ等のデータ面における把握能力の拡充

c. ファンド・トランスファー・プライシング導入等の調達コスト認識方法の見直し

d. 流動性ストレステストの導入、ストレスシナリオ・対象期間の拡充

e. コンティンジェンシー・ファンディング・プランの策定・具体化f. 特に高度化は進んでいないg. 分からない

流動性リスクマネジメントの高度化については、「流動性ストレステストの導入、ストレスシナリオ・対象期間の拡充」(d)約25%で最も多く、次いで「コンティンジェンシー・ファンディング・プランの策定・具体化」(e)約19%、「キャッシュフロー・データ等のデータ面における把握能力の拡充」(b)約17%との回答結果となった。

回答が分散した傾向から、満遍なく高度化されたとの考察が可能である一方、「分からない」(f)との回答が約15%を占める点から、実務における高度化を明確に認識する事は困難との考察も、回答結果から可能である。

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E.流動性リスクE-3.流動性リスクマネジメントの高度化

51

業種ごとに回答結果を見た場合、地銀、信金、労金については、 「(略)デメリットのほうが大きい」(d)との回答が比率として、若干、大きく占める傾向が伺えた。

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図表E-4.質問E-4に対する回答数

52

E.流動性リスクE-4.流動性リスクに関する現状認識

昨今の本邦金融機関をとりまく流動性リスクについて、2000年代後半の金融危機時と比較して、最も近いと思われる意見を選んでください。a. 流動性リスクは大きく低下しているb. 流動性リスクは相応に低下しているc. 流動性リスクは特に変わっていないd. 流動性リスクは若干高まっているe. 流動性リスクはかなり高まっているf. 分からない

流動性リスクに関する現状認識については、「(略)低下している」(a, b)が約50%を占めており、過去の金融危機と比較した場合、流動性リスクは低下傾向にあると認識する傾向が、回答結果より伺えた。

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E.流動性リスクE-4.流動性リスクに関する現状認識

53

業種ごとに回答結果を見た場合、地銀、信金、労金については、 「(略)デメリットのほうが大きい」(d)との回答が比率として、若干、大きく占める傾向が伺えた。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

54

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図表F-1.質問F-1に対する回答数

55

F.リスクデータ集計F-1.リスクデータ整備状況

2014年サーベイにおける結果

過去2~3年の本邦金融機関において、リスクマネジメントに資するデータ整備は進んだ(システム化している)と思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. リスクマネジメントに関するデータ整備が大きく進んだb. リスクマネジメントに関するデータ整備は相応に進んだc. リスクマネジメントに関するデータ整備はあまり進展がないd. リスクマネジメントに関するデータ整備は若干後退したe. リスクマネジメントに関するデータ整備は大きく後退したf. 分からない

リスクデータ整備状況については、「(略)相応に進んだ」(b)が約50%を占めており、業界における動向として、実際に進展があり、かつその進展が成果として認識されている事が、回答結果より伺える。

一方、 「(略)あまり進展がない」(c)との回答も約30%見られ、対象となるリスクデータにより、認識に誤差がある点が考察される。

自由回答欄においても、「進展がみられる」との記述が多く見られた。

4

96

98

39

0

27

2

0 50 100 150

a

b

c

d

e

f

g

※2014年サーベイにおけるc.~e.は以下の通りであり、今回のものと若干異なる。c. リスクマネジメントに関するデータ整備は進んだが、規制強化等に追いついていない

d. リスクマネジメントに関するデータ整備はあまり進展がないe. リスクマネジメントに関するデータ整備は後退した

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F.リスクデータ集計F-1.リスクデータ整備状況

56

業種ごとに回答結果を見た場合、地銀、信金、労金においては、 「(略)あまり進展がない」(c)との回答が過半数を占めている。

業務内容ごとに回答結果を見た場合も、リスク管理の実務担当者については、 「(略)あまり進展がない」(c)との回答が過半数を占めている。

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図表F-1-1.質問F-1-1に対する回答数

57

F.リスクデータ集計F-1-1.リスクデータ整備の進展分野

上記でa,bと回答した方に質問いたします。整備が進んだ分野は以下のどの分野ですか。近いと思われるものを選んでください。(複数回答可)。a. 取引データ(約定データ)b. キャッシュフローデータc. マスタデータ(取引先、銘柄情報等)d. マーケットデータ(金利、為替等)e. リスク計算結果データ(時価評価額、P/L、VaR等)

リスクデータ整備の進展分野については、「リスク計算結果データ(時価評価額、P/L、VaR等)」(e)が最も多く、約30%を占めた。

その他(a, b, c, d)については、約15~20%ごとに回答が分散している。

「F-1. リスクデータ整備状況」について、進展したと認識した回答者は、「リスク計算結果データ(時価評価額、P/L、VaR等)」(e)を中心に、全体的なデータ分野について、「(略)進展がみられる」と認識している傾向が、回答結果から伺える。

自由回答欄においては、「進展がみられる」、「高度化した」との記入があった一方で、「全体的な整備が必要」との記入も伺えた。

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F.リスクデータ集計F-1-1.リスクデータ整備の進展分野

58

TDB

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図表F-1-2.質問F-1-2に対する回答数

59

F.リスクデータ集計F-1-2.リスクデータ整備の課題・問題点

上記でc,d,eと回答した方に質問いたします。本邦金融機関でリスクマネジメントに関するデータ整備が進まない/後退している理由はどこにあると思いますか。もっとも近いと思われる意見を選んでください(複数回答可)。a. 連結でのデータ収集など、課題が明らかになったためb. 規制が強化され、収集するデータ要件が増加・複雑化しているため

c. 業務自体が複雑化しているためd. データがばらばらのシステムに格納されており、それらからデータを収集するのが難しいため

e. データがばらばらの名前で格納されており、統一の名寄せを行うことが難しいため

リスクデータ整備の課題・問題点については、「データがばらばらのシステムに格納されており、それらからデータを収集するのが難しいため」(d)が最も多く、約40%を占めた。

その他(b, c, e)については、約17%ごとに回答が分散しており、「連結でのデータ収集など、課題が明らかになったため」(a)のみが、約9%の回答に留まった。

「F-1. リスクデータ整備状況」について、進まない/後退していると認識した回答者は、「データがばらばらのシステムに格納されている事」、「データを収集するのが難しいこと」に課題認識している傾向が伺える。

自由回答欄においては、能力、もしくはリソース不足、経営陣の理解不足、ベンダーの開発不足、コスト増大が課題として記入された。

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F.リスクデータ集計F-1-2.リスクデータ整備の課題・問題点

60

TDB

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図表F-2.質問F-2に対する回答数

61

F.リスクデータ集計F-2.データ品質について

収集したデータの品質について、最も近い意見を選んでください。ここでの「品質」の定義は、データが正確(値が正しい、名寄せが正確等)で、収集データに漏れがなく、データの抽出、加工プロセスに人の手が極力加わらない状態で、適時に必要なデータが集められることを指します。a. データ品質は十分満足できるb. データ品質は相応の基準に達しているc. データ品質には若干の不安を抱えているd. データ品質に不安を抱えているe. 分からない

データ品質については、「(略)若干の不安を抱えている」(c)、もしくは「(略)不安を抱えている」(d)が約65%を占めた。

前項にて、「データ整備が進んだ」と認識した回答者、あるいは「進展がない」と認識した回答者の双方が、データ品質そのものには不安を抱えている事が傾向として伺える。

自由回答欄においては、「管理態勢の向上について取り組む必要がある」、「安定的な管理体制の整備に課題認識がある」との記入がみられた。

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F.リスクデータ集計F-2.データ品質について

62

TDB

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

63

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図表G-1.質問G-1に対する回答数

64

G.内部監査G-1.リスクベース監査

過去2~3年の本邦金融機関の内部監査において、リスクアプローチ(リスクベース)の考え方は浸透したと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. リスクアプローチ監査が定着し、適切なリスクコントロールが行われるようになった

b. リスクアプローチ監査の体制は整いつつあるが、目に見える効果はまだ現れていない

c. リスクアプローチ監査へ向けて体制作りを進めているd. 内部監査においてはリスク管理の網羅性等、形式面のチェックにとどまっている

e. 内部監査においては不正・事務ミスの発見が重視されているf. 分からない

リスクベース監査についての回答では、「リスクアプローチ監査の体制は整いつつあるが、目に見える効果がまだ表れていない」(b.74件)、「リスクアプローチ監査向けて体制作りを進めている」(c.41件)、「内部監査においてはリスク管理の網羅性等、形式面のチェックにとどまっている」(d.56件)が大勢を占めており、リスクベース監査についての取り組みは見られるものの、実効的な結果に結びつくのには時間がかかっている様子が伺われる。

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G.内部監査G-1.リスクベース監査

65

業種カテゴリ

リスクベース監査についての回答において業種カテゴリを見ると、主要行・当局において「リスクアプローチ監査が定着し、適切なリスクコントロールが行われるようなった」の回答が比較的高く、主要行中心での導入が行われている様子が伺われる。また、当局においては「リスクアプローチ監査向けて体制作りを進めている」の回答が相対的に高く、当局主導での導入の様子も伺われる。

年齢階層グループ

高年齢において、「リスクアプローチ監査の体制は整いつつあるが、目に見える効果がまだ表れていない」の回答が相対的に高く、効果を評価する立場の人々においては依然として不満足である様子が伺われる。

業務内容別種類

システムやバックオフィス等の業務担当において、「リスクアプローチ監査が定着し、適切なリスクコントロールが行われるようなった」が相対的に高く、システム・バックオフィス面での準備から着手されている様子が伺われる。

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図表G-2.質問G-2に対する回答数

66

G.内部監査G-2.内部監査の独立性

本邦金融機関の内部監査部門の独立性について、最も近いと思われる意見を選んでください。a. 経営陣から独立しており、株主の立場にたった経営陣への提言を行っている

b. 監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言を行っている

c. 監査対象部門から独立しているが、経営陣からの信頼は薄く監査結果を報告するにとどまっている

d. 監査対象部門から完全には独立しておらず、監査業務に一定の支障が生じている

e. 分からない

内部監査の独立性についての回答では、「監査対象部門から独立しているが、経営陣からの信頼は薄く監査結果を報告するにとどまっている」(c.97件)、「監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言をおこなっている」(d.75件)が主要回答を占め、経営陣からの独立は道半ばであることが伺われる。

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G.内部監査G-2.内部監査の独立性

67

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、証券において、「監査対象部門から独立しているが、経営陣からの信頼は薄く監査結果を報告するにとどまっている」が比較的高い結果となっている。他方、地銀系においては「監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言をおこなっている」が高い結果となっている。また、当局では、「監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言をおこなっている」の回答がない。

年齢階層グループ

高年齢において、「監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言をおこなっている」の回答が相対的に高く、判断を要するポジションにおいて信頼度の強さを垣間見ている様子が伺われる。

業務内容別種類

内部監査部門においては、「監査対象部門から独立しており、経営陣の強い信頼のもと監査対象部門への提言をおこなっている」の割合が高く、経営陣からの強い信頼が伺われる。

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図表G-3.質問G-3に対する回答数

68

G.内部監査G-3.内部監査の専門的能力

過去2~3年で、本邦金融機関の内部監査部門の監査員の専門的能力はどのように変化したと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 専門的な能力を持つ監査員が増加したb. 専門的な能力を持つ監査員は増加傾向にあるc. 専門的な能力を持つ監査員は減少傾向にあるd. 専門的な能力を持つ監査員は減少したe. 分からない。

内部監査の専門的能力についての回答では、「専門的な能力を持つ監査員は増加傾向にある」(b.121件)が主要回答を占め、内部監査の人材へと経営資源が割り当てられつつある状況が伺われる。

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G.内部監査G-3.内部監査の専門的能力

69

年齢階層グループ

低年齢において、「専門的な能力を持つ監査員は増加傾向にある」が多く、比較的低年齢層かつ専門的能力を持つ人材が内部監査に関わっていることが伺われる。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、フロント業務、システム・バックオフィスにおいて、「専門的な能力を持つ監査員が増加した」、「専門的な能力を持つ監査員は増加傾向にある」の回答が多い。他方、リスク管理・内部監査部署では相対的に当該回答が低く、実際の現場では、引き続き人材を必要としている傾向が伺われる。

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

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図表H-1.質問H-1に対する回答数

71

H.リスクカルチャーH-1.リスクカルチャーの捉えられ方

本邦金融機関において、リスクカルチャーはどのようなあり方として存在していると思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 会社としてのリスクカルチャーが明示され、従業員にもその内容が浸透している

b. 明示はされていないが、従業員の間で自然と共有されているリスクカルチャーないし考え方が存在する

c. 会社はリスクカルチャーを明示しているが、個々の従業員が持っているリスクカルチャー・考え方とは異なる

d. 会社としてのリスクカルチャーも、従業員の間で共有されているリスクカルチャーないし考え方も特に無い

e. 分からない

リスクカルチャーの捉えられ方についての回答では、「明示はされていないが、従業員の間で自然と共有されているリスクカルチャーないし考え方が存在する」(b.58件)、「会社はリスクカルチャーを明示しているが、個々の従業員が持っているリスクカルチャー・考え方とは異なる」(c.73件)が主要回答を占めており、会社に対して読み取れる(読み取れない)リスクカルチャーとは異なるリスクカルチャー・考え方により実務が行われている様子が伺われる。

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H.リスクカルチャーH-1.リスクカルチャーの捉えられ方

72

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、主要行において「会社としてのリスクカルチャーが明示され、従業員にもその内容が浸透している」の回答が比較的高く、主要行ではリスクカルチャーの明文化・浸透がある程度進んでいる様子が伺われる。他方、地銀系では会社としてのリスクカルチャーの明示がないという結果となった。また、当局においても、同様に会社としてのリスクカルチャーの明示を観察していないという結果となった。

年齢階層グループ

低年齢において、「明示はされていないが、従業員の間で自然と共有されているリスクカルチャーないし考え方が存在する」の回答が比較的多く、所属する部署での考え方が多くを支配している傾向が伺われる。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、システム・バックオフィスにおいて、「会社はリスクカルチャーを明示しているが、個々の従業員が持っているリスクカルチャー・考え方とは異なる」の回答が多く、その業務内容上、組織全体とは異なるリスクを見ている可能性が伺われる。

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図表H-2.質問H-2に対する回答数

73

H.リスクカルチャーH-2.リスクカルチャー醸成への取り組み

過去2年の本邦金融機関において、リスクカルチャーに関する理解や取り組みは進んだと思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. リスクカルチャー勉強会の実施、社内規程への明文化等、醸成に向けた具体的取組みが進んでいる

b. リスクカルチャーに関する理解の促進や浸透に向けた取り組みのための準備が進められている

c. 担当者レベルで話題に上ることはあるが、会社として何か取り組んではいない

d. 特に進んでいないe. 分からない

回答では、「リスクカルチャーに関する理解の促進や新党に向けた取り組みのための準備が進められている」(b.81件)が最も多い。ただし、「担当者レベルで話題に上がることがあるが、会社として何か取り組んではいない」と「特に進んでいない」の合計と同数であり、「具体的な取り組みが進んでいる」(a.34件)を除くと、以前、準備段階であることが伺われる。

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H.リスクカルチャーH-2.リスクカルチャー醸成への取り組み

74

TBD

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A) リスクガバナンス - 経営陣の役割と責任B) リスクアペタイトC) 資本運営D) ストレステストE) 流動性リスクF) リスクデータ集計G) 内部監査H) リスクカルチャーI) 規制の影響

75

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図表I-1-1.質問I-1-1に対する回答数

76

I.規制の影響I-1-1.金融規制強化について(自己資本比率規制)

最近、従来のバーゼル自己資本規制に加えて、流動性規制・レバレッジ比率・集中清算・証拠金規制等様々な規制が新たに導入されています。こうした規制強化について、最も近いと思われる意見を選んでください。

自己資本比率規制a. 極めて必要であるb. 多少は必要であるc. どちらともいえないd. 若干不必要であるe. かなり不必要であるf. 分からない

回答では、「極めて必要」(a.71件)、「多少は必要」(c.111件)が主要回答を占めており、自己資本比率規制の必要性が認識されている様子が伺われる。また、「極めて必要」の回答も、規制種別(自己資本比率規制、流動性規制、レバレッジ規制、集中清算、証拠金規制)の中でも最も高く、必要性が強く認識されている。

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I.規制の影響I-1-1.金融規制強化について(自己資本比率規制)

77

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、カテゴリ別に大きな違いはなく必要性が認識されている。ただし、当局においては、「かなり不必要」の回答も一定数見られた。

年齢階層グループ高年齢において、より強く必要性が認識されている。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、カテゴリ別に大きな違いはなく必要性が認識されている。リサーチ部門ではすべてが必要性を認識している。

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図表I-1-2.質問I-1-2に対する回答数

78

I.規制の影響I-1-2.金融規制強化について(流動性規制)

最近、従来のバーゼル自己資本規制に加えて、流動性規制・レバレッジ比率・集中清算・証拠金規制等様々な規制が新たに導入されています。こうした規制強化について、最も近いと思われる意見を選んでください。

流動性規制a. 極めて必要であるb. 多少は必要であるc. どちらともいえないd. 若干不必要であるe. かなり不必要であるf. 分からない

回答では、「極めて必要」(a.31件)、「多少は必要」(c.126件)が主要回答を占めており、流動性規制の必要性が認識されている様子が伺われる。ただし、「極めて必要」の回答が相対的に低く、「多少は必要」が高いため、必要ではあるが、現状の規制は厳し過ぎると認識されている可能性がある。

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I.規制の影響I-1-2.金融規制強化について(流動性規制)

79

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、地銀系において「極めて必要」の回答がなく、当該業種における流動性規制は、厳しい規制であると判断されている可能性がある。また、保険では、分からない含め規制上関連が薄いことが示唆されている。

年齢階層グループ高年齢において、より強く必要性が認識されている。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、フロント業務において、「極めて必要」の回答が多く、トレーディング業務においてより流動性が強く認識されている傾向が伺われる。また、当局においては、不必要系の回答がない。

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図表I-1-3.質問I-1-3に対する回答数

80

I.規制の影響I-1-3.金融規制強化について(レバレッジ規制)

最近、従来のバーゼル自己資本規制に加えて、流動性規制・レバレッジ比率・集中清算・証拠金規制等様々な規制が新たに導入されています。こうした規制強化について、最も近いと思われる意見を選んでください。

レバレッジ規制a. 極めて必要であるb. 多少は必要であるc. どちらともいえないd. 若干不必要であるe. かなり不必要であるf. 分からない

回答では、「極めて必要」(a.32件)、「多少は必要」(c.98件)が主要回答を占めており、レバレッジ規制の必要性が認識されている様子が伺われる。ただし、「どちらともいえない」以下の回答が相対的に高く、必要性に疑問視する向きも見られる。

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I.規制の影響I-1-3.金融規制強化について(レバレッジ規制)

81

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、証券において「極めて必要」の回答が相対的に高く、そもそもレバレッジが高くなる傾向がある業種において必要性が認識されている可能性がある。

年齢階層グループ高年齢において、より強く必要性が認識されている。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、フロント業務において、「極めて必要」の回答が多く、トレーディング業務においてよりレバレッジ規制が強く認識されている傾向が伺われる。

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図表I-1-4.質問I-1-4に対する回答数

82

I.規制の影響I-1-4.金融規制強化について(集中清算)

最近、従来のバーゼル自己資本規制に加えて、流動性規制・レバレッジ比率・集中清算・証拠金規制等様々な規制が新たに導入されています。こうした規制強化について、最も近いと思われる意見を選んでください。

集中清算a. 極めて必要であるb. 多少は必要であるc. どちらともいえないd. 若干不必要であるe. かなり不必要であるf. 分からない

回答では、「極めて必要」(a.48件)、「多少は必要」(c.102件)が主要回答を占めており、集中清算の必要性が認識されている様子が伺われる。

証拠金規制と比較した場合、「極めて必要」の割合が多く、まずは集中清算を行うことの必要性についてはある程度認識されていると見受けられる。

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I.規制の影響I-1-4.金融規制強化について(集中清算)

83

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、地銀系と当局において「極めて必要」の回答が相対的に高い。ただし、当局では、「かなり不要」の割合もあり、見方に差異が感じられる。

年齢階層グループ高年齢において、若干強く必要性が認識されている。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、システム・バックオフィス、内部監査において、「分からない」の回答があり、実際の当該部署における業務とは関連が薄いことが示唆されている。

Page 84: 東京リスクマネジャー懇談会 TRMA サーベイ結果報 …±京リスクマネジャー懇談会 2017年TRMA サーベイ結果報告(ドラフト) 2017年3月23日

図表I-1-5.質問I-1-5に対する回答数

84

I.規制の影響I-1-5.金融規制強化について(証拠金規制)

最近、従来のバーゼル自己資本規制に加えて、流動性規制・レバレッジ比率・集中清算・証拠金規制等様々な規制が新たに導入されています。こうした規制強化について、最も近いと思われる意見を選んでください。

証拠金規制a. 極めて必要であるb. 多少は必要であるc. どちらともいえないd. 若干不必要であるe. かなり不必要であるf. 分からない

回答では、「極めて必要」(a.27件)、「多少は必要」(c.109件)が主要回答を占めており、証拠金規制の必要性が認識されている様子が伺われる。

集中清算と比較した場合、「どちらともいえない」の割合が多く、必要性について若干疑問視する向きもある。

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I.規制の影響I-1-5.金融規制強化について(証拠金規制)

85

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、地銀系において「極めて必要」の回答が相対的に高い。ただし、当局では、「極めて必要」の回答がなく、「かなり不要」の割合も高い。

年齢階層グループ高年齢において、若干強く必要性が認識されている。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、フロント業務において、「極めて必要」の回答がなく、トレーディング上、規制の有効性に若干の疑問が生じている可能性がある。

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図表I-2.質問I-2に対する回答数

86

I.規制の影響I-2.非清算店頭デリバティブに係る証拠金規制

本邦でも2016年9月に導入された、非清算店頭デリバティブに係る証拠金規制により金融機関のリスク管理は改善すると思われますか。最も近いと思われる意見を選んでください。a. 大きく改善すると思う(導入コスト以上の大きなリスク低減効果がある)b. 多少改善すると思う(導入コストよりも多少大きいリスク低減効果がある)c. あまり変わらないと思う(導入コストとリスク低減効果は見合っている)d. 多少悪化すると思う(導入コストの方がリスク低減効果よりも大きい)e. 大きく悪化すると思う(導入コストの方が極端にリスク低減効果よりも大きい)f. 分からない

回答では、「多少改善すると思う」(b.81件)が最も多いが、「あまり変わらない」(c.56件)、「分からない」(f.43件)も多く、規制効果について疑問視する向きもある可能性がある。

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I.規制の影響I-2.非清算店頭デリバティブに係る証拠金規制

87

業種カテゴリ

業種カテゴリを見ると、地銀系において「大きく改善する」の回答が相対的に高く、前述の必要性と合わせて、規制効果への期待が高い様子が伺われる。当局では、必要性と整合的であり、「大きく改善する」の回答がない。

年齢階層グループ低年齢において、「分からない」の割合が高い。

業務内容別種類

業務内容別を見ると、システム・バックオフィス業務において、「大きく改善する」の割合が高い。必要性での割合は平均的であったため、効果はあるが、必要とまでは言えないとの見方が伺われる。また、フロント業務では、必要性と整合的に有効性に若干の疑問が生じている可能性がある。

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(参考)回答間の相関分析 ①手順

今回、新たな試みとして、回答間の相関分析を実施。具体的な手順は以下の通り。

① 回答の選択肢が、段階構造になっているものを抽出。例えば設問A-1のような、「a. 大きく改善したと思う」から「e. 大きく悪化したと思う」のような、それぞれの回答が段階構造となっているものを抽出し、設問A-4-2のような複数回答が可能なものを除外。

② 設問の各選択肢について点数を付与。例えば設問A-1であれば、 「a. 大きく改善したと思う」には5点、 「e.

大きく悪化したと思う」には1点を付与。「f. 分からない」や無回答のものは、空白値とする。

③ EXCELの分析ツールにおける相関分析機能を使用し、相関マトリックスを作成。

結果については次ページ以降に掲載。

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図表J-1.回答間の相関分析結果(正の関係にあるものを強調)

89

(参考)回答間の相関分析 ②分析結果(正の関係にあるものを強調)

A1経営陣の役割と責任(過去2~3年)

A2経営陣の役割と責任(足元)

A3リスク管理委員会

A5CROの役割

A6経営資源

B1リスクアペタイトの進展

C2資本運営に対する評価

D1ストレステストの活用状況

D2フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

D3金融機関共通のストレステストについ

E1流動性リスクマネジメント

E2流動性に関する規制の進展

F1リスクデータ整備状況

F2データ品質について

G1リスクベース監査

G2内部監査の独立性

G3内部監査の専門的能力

H1リスクカルチャーの捉えられ方

H2リスクカルチャー醸成への取り組み

I2非清算デリバティブの証拠金規制

A1経営陣の役割と責任(過去2~3年)

-

A2経営陣の役割と責任(足元)

0.601 -

A3リスク管理委員会 0.450 0.502 -

A5CROの役割 0.386 0.389 0.318 -

A6経営資源 0.391 0.384 0.300 0.286 -

B1リスクアペタイトの進展 0.427 0.402 0.361 0.327 0.373 -

C2資本運営に対する評価 0.361 0.402 0.334 0.411 0.233 0.474 -

D1ストレステストの活用状況

0.317 0.261 0.316 0.273 0.258 0.482 0.403 -

D2フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

0.217 0.241 0.197 0.162 0.026 0.251 0.310 0.366 -

D3金融機関共通のストレステストについて

0.018 -0.027 0.034 -0.041 -0.020 0.006 0.042 0.072 -0.129 -

E1流動性リスクマネジメント 0.305 0.374 0.259 0.150 0.099 0.280 0.302 0.340 0.145 0.010 -

E2流動性に関する規制の進展

0.025 0.058 0.111 0.125 0.120 0.118 0.119 0.107 -0.001 0.145 0.012 -

F1リスクデータ整備状況 0.232 0.363 0.265 0.166 0.349 0.310 0.343 0.265 0.249 -0.049 0.272 0.146 -

F2データ品質について 0.149 0.154 0.148 0.075 0.000 0.225 0.187 0.273 0.376 -0.082 0.039 0.189 0.287 -

G1リスクベース監査 0.307 0.310 0.304 0.274 0.293 0.341 0.358 0.305 0.071 0.116 0.411 0.166 0.320 0.108 -

G2内部監査の独立性 0.240 0.229 0.210 0.104 -0.018 0.053 0.155 0.171 0.258 0.106 0.083 0.069 0.139 0.168 0.414 -

G3内部監査の専門的能力 0.243 0.321 0.306 0.146 0.094 0.314 0.251 0.292 0.280 0.155 0.246 0.205 0.209 0.202 0.292 0.460 -

H1リスクカルチャーの捉えられ方

0.130 0.220 0.151 0.158 0.185 0.304 0.235 0.254 0.118 -0.002 0.191 0.142 0.185 0.204 0.392 0.256 0.211 -

H2リスクカルチャー醸成への取り組み

0.346 0.348 0.222 0.276 0.271 0.273 0.279 0.283 0.155 -0.008 0.182 0.111 0.218 0.289 0.364 0.404 0.332 0.446 -

I2非清算デリバティブの証拠金規制

-0.031 -0.043 -0.058 -0.063 0.158 -0.036 0.040 0.103 0.068 0.172 -0.059 0.149 0.108 0.073 0.074 0.037 -0.036 -0.057 -0.029 -

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図表J-2.回答間の相関分析結果(負の関係にあるものを強調)

90

(参考)回答間の相関分析 ③分析結果(負の関係にあるものを強調)

A1経営陣の役割と責任(過去2~3年)

A2経営陣の役割と責任(足元)

A3リスク管理委員会

A5CROの役割

A6経営資源

B1リスクアペタイトの進展

C2資本運営に対する評価

D1ストレステストの活用状況

D2フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

D3金融機関共通のストレステストについ

E1流動性リスクマネジメント

E2流動性に関する規制の進展

F1リスクデータ整備状況

F2データ品質について

G1リスクベース監査

G2内部監査の独立性

G3内部監査の専門的能力

H1リスクカルチャーの捉えられ方

H2リスクカルチャー醸成への取り組み

I2非清算デリバティブの証拠金規制

A1経営陣の役割と責任(過去2~3年)

-

A2経営陣の役割と責任(足元)

0.601 -

A3リスク管理委員会 0.450 0.502 -

A5CROの役割 0.386 0.389 0.318 -

A6経営資源 0.391 0.384 0.300 0.286 -

B1リスクアペタイトの進展 0.427 0.402 0.361 0.327 0.373 -

C2資本運営に対する評価 0.361 0.402 0.334 0.411 0.233 0.474 -

D1ストレステストの活用状況

0.317 0.261 0.316 0.273 0.258 0.482 0.403 -

D2フォワードルッキングなストレスシナリオの浸透状況

0.217 0.241 0.197 0.162 0.026 0.251 0.310 0.366 -

D3金融機関共通のストレステストについて

0.018 -0.027 0.034 -0.041 -0.020 0.006 0.042 0.072 -0.129 -

E1流動性リスクマネジメント 0.305 0.374 0.259 0.150 0.099 0.280 0.302 0.340 0.145 0.010 -

E2流動性に関する規制の進展

0.025 0.058 0.111 0.125 0.120 0.118 0.119 0.107 -0.001 0.145 0.012 -

F1リスクデータ整備状況 0.232 0.363 0.265 0.166 0.349 0.310 0.343 0.265 0.249 -0.049 0.272 0.146 -

F2データ品質について 0.149 0.154 0.148 0.075 0.000 0.225 0.187 0.273 0.376 -0.082 0.039 0.189 0.287 -

G1リスクベース監査 0.307 0.310 0.304 0.274 0.293 0.341 0.358 0.305 0.071 0.116 0.411 0.166 0.320 0.108 -

G2内部監査の独立性 0.240 0.229 0.210 0.104 -0.018 0.053 0.155 0.171 0.258 0.106 0.083 0.069 0.139 0.168 0.414 -

G3内部監査の専門的能力 0.243 0.321 0.306 0.146 0.094 0.314 0.251 0.292 0.280 0.155 0.246 0.205 0.209 0.202 0.292 0.460 -

H1リスクカルチャーの捉えられ方

0.130 0.220 0.151 0.158 0.185 0.304 0.235 0.254 0.118 -0.002 0.191 0.142 0.185 0.204 0.392 0.256 0.211 -

H2リスクカルチャー醸成への取り組み

0.346 0.348 0.222 0.276 0.271 0.273 0.279 0.283 0.155 -0.008 0.182 0.111 0.218 0.289 0.364 0.404 0.332 0.446 -

I2非清算デリバティブの証拠金規制

-0.031 -0.043 -0.058 -0.063 0.158 -0.036 0.040 0.103 0.068 0.172 -0.059 0.149 0.108 0.073 0.074 0.037 -0.036 -0.057 -0.029 -

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(参考)回答間の相関分析 ④考察

これらの結果から、以下のことが伺える。

回答間においては、顕著な正の相関や負の相関を持つものはない。

しかしながら、A1とA2、A2とA3のように、相応に高い正の相関を持つものもあり、概ね全体として、ある設問にて高い点数を付けた回答者は、他の設問でも高い点数を付ける傾向がある。

これはすなわち、ある設問においてリスク管理態勢やリスクの状況について肯定的な回答をした回答者は、他の設問においても同様に肯定的な回答をしていることが伺える。

一方、設問D3、I2のような、他の回答との負の相関がみられる設問も一部で存在する。