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機械力学1 2006年度
教授 保坂寛(新領域) , 非常勤講師 鈴木規之(新日本製鉄)
ティーチングアシスタント(TA)新領域創成科学研究科環境学専攻修士1年(柏キャンパス環境棟2階264号室)
石井智裕 [email protected] 04-7136-4623江副亮介 [email protected] 04-7136-4623
1.機械振動学のための数学(保坂)線形代数,線形常微分方程式
2.力学の基礎(保坂)仮想仕事の原理,慣性能率,回転運動
3.1自由度系の振動(鈴木)自由振動,減衰振動,強制振動
4.2自由度系の振動(鈴木)自由振動,強制振動
5.ラプラス変換(保坂)ラプラス変換の導出,振動計算への応用,オープンループ制御
6.ラグランジュの方程式(保坂)直角座標の場合,極座標の場合,強制変位が働く場合
7.振動の応用(保坂,鈴木)生物,情報機器,自動車,建築構造物,おもちゃの力学
教科書:保坂寛「機械振動学」,東京大学出版会参考書:佐藤,岡部,岩田「機械振動学」,工業調査会
成績評価コミュニケーションカード(裏に意見を書くこと.疑問,提案など)演習発表レポート(発表日の授業終了時に教員に提出)中間試験(12/18),最終試験(3月上旬)
TA相談時間演習問題の解き方が分からない場合は,発表日前の水曜正午までに,TAにメールで質問内容を送ること.メールと電話で指導する.
柏の葉キャンパスつくばエクスプレス秋葉原 つくば
本章では,機械振動学の基本となる減衰がない1自由度系の自由振
動を扱う.最も単純なものは,ばねで支えられたおもりが直線振動する
場合である.やや複雑になるが,回転運動も同一の式に帰着すること
が出来る.また運動方程式は,力の釣合いとエネルギの保存から導出
できる.本章では,回転運動とエネルギ保存則に重点をおき,1自由度
系の自由振動を解説する.
2.1自由度系不減衰系の自由振動
図2.1 ばね質点系
mk
xkx
図2.2 重力が作用するばね質点系
m
k
y
g
kxxm −=&&
kymgym −−=&&
kmgyx += kxxm −=&&
2.1 力の釣合いによる運動方程式の導出と解の求め方
ばね力と慣性力の釣合い
変数変換
重力によるばねの縮み
x
02 =+ xx nω&& mkn /=ω
tx nωcos1 = tx nωsin2 =
tBtAx nn ωω sincos +=
ti nex ω=3ti nex ω−=4
tix nωcosh5 = tix nωsinh6 =
kxxm −=&&
2階微分方程式
基本解,斉次解
一般解
2回微分して元に戻る関数
指数関数
双曲線関数
運動方程式
1−=i
Xo,φoを任意定数とすれば,式(2.13)を一般解と見ることもできる.
( ) 00 xAx ==
( ) 00 vBx n == ω&
tv
txx nn
n ωω
ω sincos 00 +=
( )00 cos φ−= tωXx n
222
0200 BAvxX
n+=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛+=
ω⎟⎠⎞
⎜⎝⎛=⎟⎟
⎠
⎞⎜⎜⎝
⎛=
AB
xv
narctanarctan
0
00 ωφ
初期条件.時刻0における変位xoと速度vo
tBtAx nn ωω sincos +=一般解
tBtAx nnnn ωωωω cossin +−=&
ωn:固有角振動数,固有角周波数,固有振動数
0xA =n
vBω
0=
(2.13)
2
21 xmT &=
2
21 kxU =
( ) 0=+UTdtd
( ) 0=+ kxxmx &&&
0=x& 0=+ kxxm &&
2.2 エネルギ保存則による運動方程式の導出
図2.1
mk
xkx運動エネルギT
ひずみ(位置)エネルギU
TとUの和は時間的に不変
xxmdtdT
&&&=
xkxdtdU
&=
( )00 cos φ−= tXx nω
( ){ } 220
200
2max 2
1sin21
21
nnn mXtXmMAXxmMAXT ωωω =⎥⎦⎤
⎢⎣⎡ −−=⎥⎦
⎤⎢⎣⎡= φ&
( ){ } 20
200
2max 2
1cos21
21 kXtXkMAXkxMAXU n =⎥⎦
⎤⎢⎣⎡ −=⎥⎦
⎤⎢⎣⎡= φω
20
220 2
121 kXmX n =ω
mk
n =2ω
エネルギ保存則を使った別の計算法
質点が正弦波状に振動すると仮定
振幅Xo,周波数ωn,位相φoは不明
→ 運動エネルギの最大値=ポテンシャルエネルギの最大値
エネルギが保存
(2.21)に代入すれば一般解
(2.21)
エネルギ保存則を使った2つの解法を示したが,両者はだいぶ様子が異なっている.
後半の解法では,最終的に求まったのはωnだけである.これは,使った条件が
Tmax=Umaxという1つの式だったためである.ωnを式(2.21)に代入すれば一般解を得られるが,これは解を3角関数で仮定し,さらにωn,Xo,φoを未知数としたからであ
る.もし解を三角波で仮定したら,波形はもちろん,ωnも異なる値になってしまう.ま
たXoとφoを未知数としなければ,一般解にならない.一方前半の解法では,解の仮
定は一切用いずに運動方程式が得られた.T+U=一定という1つの条件しか用いていないにも関わらず,すべての情報が得られた.これは,T+U=一定が任意の時刻で成り立つとしているからである.任意の時刻だから実質的に無限個の条件を示してい
るのである.一方後半の計算では,Tmax=Umaxはピークの一瞬での条件,周期現象だ
から実質的に1つの時刻での条件にすぎない.なお,複雑な系では,エネルギを時間
の関数として表すのが難しいが,最大変位は推定できることがあり,そのような場合
には後者の方法が有効である.代表的なものにレイリー法と呼ばれる計算法がある.
図C2.1 リンク機構G
yθ
xF
a
xFyG δδ =
θsin5ax = θcos2ay =
θθθ
θθδδ tan
52
cos5sin2
−=−
====aa
ddx
ddy
dxdy
xy
GF
コラム2:仮想仕事の原理を使ったリンクの釣合い
θθ sincos)2/( Aaaf =部材1,点P回り部材2,点Q回り θθθθ sincos)2/(sincos)2/( CaafAaaf +−=+
θθθθ sincos)2/(sincos)2/( WaafCaaf +−=+部材3,点R回り
CAB +=CWD +=
部材2,力の釣合い部材3,力の釣合い
f/2
Wf/2
f/2
f/2
A
A
B
C
D
点P点Q
点R 部材1
部材2
部材3
力の釣合いによる解法
θ&&ra =
dmrdN θ&&2=
∑ ∑= =
==n
i
n
iiii dmrdNN
1 1
2θ&&
θθ &&&& IdmrdNNVV
=== ∫∫ 2
∫= VdmrI 2
2mrI =
dmN
V
r
図2.5 広がりのある物体
回転中心
図2.3 回転する質点
dNr
θ
a
dm回転中心
図2.4 多数の質点
2r1r
3r
1dm
2dm3dm
N O
トルク=(慣性力)×(腕の長さ)
慣性能率慣性モーメント
dmradm θ&&==慣性力
集中質量
∑=
=n
iii dmr
1
2θ&&
回転運動の基礎式(2.3.1慣性能率)
図2.6 円板の慣性能率
Rθd
rdr
dm
ρ厚さ
密度
h
drrdhdm ⋅⋅= θρ
( )∫∫ ==VV
drhrdrdmrI θρ22
πρθρπ
24
42
00
3 ⋅⋅=⋅⋅= ∫∫Rhddrrh
R
221
21 2
224 RmRhRhR ⋅=⋅== πρπρ
Rが大きいほど(薄くて広いほど)Iは大きい.
円板の慣性能率
2mrI =集中質量の慣性能率
r回転中心 m
表2.1 さまざまな形状に対する回転半径 ( )2κmI =
y
細い棒
薄い円板
直方体
円柱
球
2xκ
2yκ
1212
κは,すべての質量を集中させた場合の中心からの距離
κxはx軸,κyはy軸に回転軸を取る場合
yxz III +=
0≈z
( ) dmydmzyIVVx ∫∫ ≈+= 222
( ) dmxdmxzIVVy ∫∫ ≈+= 222
( ) yxVz IIdmyxI +≈+= ∫ 22
薄い板の慣性能率
G
x
y
z
図2.7 薄い剛体の慣性能率
yxz III +=
dmrIV∫=
2
22 zyr +=
d
G
zz’
y
x図2.8
2mdII zz +=′
[ ]dmydxI Vz ∫ +−=′22)(
重心以外の慣性能率=重心の慣性能率+md2
( )∫ += V dmyx 22
∫+ V dmd 2
∫− V xdmd2
zI←
md 2←
0←
重心を通らない軸回りの慣性能率
NI =θ&&
ωθ =&
NdtdL
=
dmN
V
r
図2.5 広がりのある物体
回転中心
∫= VdmrI 2
2mrI =
慣性能率慣性モーメント
集中質量
角運動量ωθ IIL == &
θ 角度 角速度
角運動量の法則
Iが時間の関数でも成り立つ3次元運動でも成り立つ.L,ω,Nはベクトル
コラム3 3次元運動における角運動量の法則
vrL ×= mNL=
dtd
mr
vL
O
z
yx
図C3.1 3次元空間の角運動量
θ
v sinθ
f
N
慣性能率が変化しても成り立つ
NIdtdL
== θ&&
θ&IL =
2次元の場合
慣性能率一定の場合
NdtdL
=
角運動量
frN ×=トルク
θ&rv =
dmrvdmdT 222
21
21 θ&=⋅=
∑ ∑= =
==n
i
n
iiii dmrdTT
1 1
22
21θ&
2.3.2 回転の運動エネルギ
dmNVr
図2.11 広がりのある物体
v
図2.9 回転する質点
rθ dm
回転中心
idmiv
図2.10 多数の質点irO
222
21
21 θθ && IdmrdTT
VV=== ∫∫
∫= VdmrI 2
慣性能率
図2.12 回転と並進がある円板
ωrθ
θω cosr
θω sinr
ωθ =&θ
dm
Gv
yv
xvr
θω sinrvv Gx −=
θω cosrvy =
( )dmvvdT yx22
21
+=
∫= VdTT
∫=VG dmV 2
21
I2
21ω←
円板の運動エネルギ
∫+Vdmr 22
21ω
∫−VG dmrV θω sin
mVG2
21
←
0←22
21
21 ωImVT G +=
( )∫ −+=V GG dmrVrV θωω sin2
21 222
θsinrθ
r
図C4.1 平面上を渦巻状に移動する質点
rm
v
(a) 糸が柱に巻きつく場合
r
v
m
(b) 糸を下から引く場合
コラム4 エネルギ保存則と角運動量保存則の応用
エネルギー保存constrvconstmv
===
ω2/2
rmω ,v
角運動量保存(トルクが加わらない)
慣性能率
r mω ,v
ωIL = 0== NdtdL2mrI =
constmrI == ωω 2
r r
ω
constr =ω2角運動量保存エネルギー保存
constr =ω
ω
( )armvT 2=トルク
rmv2
av
遠心力
図C4.2 円と渦巻きからなる経路
円渦巻き
constmrvL == θsin
θ
constrv =円上