31
計画の理念「夢と誇りあるふるさと葛飾」を実現するため、計画期間中、 特に重点的かつ戦略的に取り組むべき事業やテーマをまとめたものです。 現時点ではまだ年次計画を示すことができず、これから育てていく事業や 施策体系にあてはまらない事業なども含めて、特に重要度が高いものを、この 重要プロジェクトに位置付けています。 実現に向けて、着実に取り組みを進めていきます。 11の重要 プロジェクト 2 本章において、 〔計画〕 は計画事業を、 〈新〉 〔計画〕 は新規計画事業を表します。 (→ 59ページ参照) 15 小菅西公園

11の重要 プロジェクト - Katsushika...1 協働を推し進める環境づくり 18 第2章 11の重要プロジェクト ができるよう、区が必要な支援を行う新たなしくみなどを検討します。

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 計画の理念「夢と誇りあるふるさと葛飾」を実現するため、計画期間中、

特に重点的かつ戦略的に取り組むべき事業やテーマをまとめたものです。

 現時点ではまだ年次計画を示すことができず、これから育てていく事業や

施策体系にあてはまらない事業なども含めて、特に重要度が高いものを、この

重要プロジェクトに位置付けています。

 実現に向けて、着実に取り組みを進めていきます。

11の重要プロジェクト

第2章

本章において、〔計画〕は計画事業を、〈新〉〔計画〕は新規計画事業を表します。(→ 59ページ参照)

15

小菅西公園

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未来のかつしか~まち・くらし・学校~

16

立石中学校3年(平成23年度) 香川 幸太 さん 立石中学校3年(平成23年度) 橋本 幸太郎 さん

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「夢と誇りあるふるさと葛飾」の実現

の重要プロジェクト11

1 協働を推し進める環境づくり

2 子育て環境の充実

3 かつしか学力向上プラン

4 区内医療環境の充実

5 スポーツによる元気なまちづくり

6 減災協働プロジェクト

7 魅力ある観光まちづくり

8 花いっぱいのまちづくり

9 再生可能エネルギーの創出

10 総合庁舎の整備

11 公共施設の効果的・効率的な活用

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

17

第2章 11の重要プロジェクト

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第2章 11の重要プロジェクト

 本区においては、下町の土地柄、人柄や自治町会を中心とした活発な地域コミュニティを背景として、「自らのまちは自らが創る」という区民の意識が高く、まちづくりや防災、防犯、環境美化など様々な分野で区民、事業者、区の協働による地域活動や市民活動が行われています。 近所づきあいの希薄化が危惧される今日の地域社会にあって、これらの“ふるさと葛飾”を愛する多くの人々の活動が、住みよいまちづくりに大きな成果を挙げています。また、このような地域への貢献が、活動する人々の誇り、やりがい、生きがいとなり、さらに献身的な活動となっています。こうしてたくさんの人々が地域のために尽力していることが、本区の良さであり、人情味あふれる葛飾らしいまちづくりに繋がっていると言えます。 区では、まちづくり活動を進めるにあたり、地域の課題を共有し、人的、物的な支援を含めて、協働して課題の解決に努めてきたところですが、災害に強いまちづくりをはじめ、区が直面している課題の解決や「夢と誇りあるふるさと葛飾」の実現には、地域が抱える課題にさらにきめ細かく対応することが不可欠であることから、これまで以上により多くの区民や事業者が、より多くの分野で協働できる環境づくりが求められています。 しかしながら、地域が抱える課題が、時代とともに複雑・多様化する中で、協働の担い手の確保が大きな課題となっています。その一方で、団塊の世代をはじめ、定年を迎えた多くの企業退職者が地域に回帰し、地域に貢献したいと考えている元気な高齢者が増えており、地域活動の貴重な担い手として期待されています。また、防災活動や環境美化の分野などにおいては、小中学生などの若年層や現役の稼働年齢層なども、協働の担い手として期待する声が高まっていることから、幅広い層を協働の担い手として育成していく必要があります。 そこで、協働による活動をより一層充実するため、これまでの団体助成や各種の事業費助成をはじめとした支援の拡充や、地域の課題を相談できる環境づくりとともに、新たな地域課題や人材の確保などに積極的に取り組む団体に対しては、その取り組み内容に応じて、柔軟かつ適切に支援できる新たな助成のしくみをつくるなど、地域活動団体などがより柔軟に地域の課題に対応できる環境づくりを進めます。 また、地域を支える人材を増やすきっかけづくりとして、区が指定した地域活動や市民活動への参加や、区が実施・指定する事業へ参加した場合などにポイントを付与し、区の指定したメニューと交換できる(仮称)葛飾区地域ポイント制度を新たに創設します。 さらに、「夢と誇りあるふるさと葛飾基金」を活用して地域活動などを応援するしくみや、インターネットによるアンケートモニターとして登録した区民の声を区政に反映するしくみ、また、区民(納税者)個人が、地域活動や市民活動を実施しているNPO法人等に対して寄付を行った場合に、一定の区民税優遇措置を受けられるしくみ、さらに、地域コミュニティ施設や児童遊園など、地域に密着した公共施設を地域活動団体に貸与または移管し、地域の防犯や美化活動等の拠点、資源の集団回収のストックヤードなどとして、各地域の実情に応じた利用

協働を推し進める環境づくり1

18

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第2章 11の重要プロジェクト

ができるよう、区が必要な支援を行う新たなしくみなどを検討します。 このように、これまでの支援策を拡充することや、新たなしくみの創設などを通じて、子どもから高齢者まで幅広い層の区民や事業者が、協働による活動に意欲を持って参加できる環境づくりを進めます。

葛飾区

区民・事業者

地域団体市民団体

地域団体市民団体

寄付

地域活動・市民活動への参加

地域活動・市民活動への参加

地域活動や市民活動に対してポイントを認定

地域活動や市民活動への支援などに活用

寄付

ポイントを

貯める・使う

情報提供・相談

情報提供・相談

参加・貢献

「夢と誇りあるふるさと葛飾基金」 〈新〉〔計画〕(仮称)葛飾区地域ポイント制度

支援の拡充支援の拡充

・地域の課題解決に向けた取り組み

・担い手の確保・育成

・地域の課題解決に向けた取り組み

・担い手の確保・育成

・地域のために 新しい活動を 始めたい

・多くの人に参加 してもらい活動 を活性化したい

・協働を推進したい・地域と一緒に課題を 解決したい

・地域(社会) 貢献したい

・地域活動や 市民活動に参加 したい・地域貢献したい

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

19

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第2章 11の重要プロジェクト

 子育て世帯の現状は、雇用環境の悪化や非正規雇用の増加、ライフスタイルの変化などを背景に、共働き家庭が年々増加し、保育を必要とする家庭も増加しています。区では、計画を大幅に前倒しして、認可・認証保育所の設置や保育定員の拡大などの保育環境整備を進めていますが、依然として待機児童が発生しています。 また、長引く不況の影響による所得の低下が大きく、中でも子育て世帯の所得は大幅に減少しています。厚生労働省の「平成23年国民生活基礎調査」によれば、18歳未満の未婚の子のいる世帯の約70%が「生活が苦しい」と感じており、区が実施した「子育て支援に関する意向調査(平成21年3月)」においても、小学生以下の子のいる世帯の約60%が「養育費や教育費の経済的負担の軽減」や「夜間や休日の医療体制の整備」を希望しています。 さらに、乳幼児健康診査(4か月)時のアンケート調査によると、育児について相談相手のいる母親が約75%いる一方で、子育てに自信を持てない母親が約15%います。 そこで、区では、将来的な保育需要の動向も踏まえながら、ハード・ソフトの両面から、子育て支援をより一層充実させる取り組みを積極的に進めることで、「葛飾で子育てしたい」といわれる子育て環境を実現します。

子育て環境の充実2

就学前児童の親が希望する子育て支援策

出典:「子育て支援に関する意向調査(平成21年3月)」

63.8

60.4

37.5

27.0

26.3

0 10 20 30 40 50 60 70

夜間や休日の医療体制の整備

養育費や教育費の経済的負担の軽減

子どもが安心して遊べる公園や安全な歩道などの整備

家族がともに過ごす時間を増やすための労働時間の短縮

妊産婦や乳幼児の健康診査、保健指導など母子保健の充実

(%)総数=1,828

出典:「子育て支援に関する意向調査(平成21年3月)」

小学生の親が希望する子育て支援策

59.5

55.4

52.4

32.8

20.7

0 10 20 30 40 50 60 70

養育費や教育費の経済的負担の軽減

家族がともに過ごす時間を増やすための労働時間の短縮

(%)総数=1,848

夜間や休日の医療体制の整備

子どもが安心して遊べる公園や安全な歩道などの整備

いじめや非行の防止など子どもが健全に育つための対策の充実

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第2章 11の重要プロジェクト

 仕事と子育ての両立を一層支援するため、将来の保育需要を見通し、平成25年度からの10年間で定員約1,000人分の保育所を整備し、待機児童0(ゼロ)をめざします。また、私立幼稚園預かり保育事業の拡充や、公共施設などの空きスペースを有効活用した(仮称)保育ママスペースの設置、保護者の利便性向上や待機児童の地域的格差の解消を図るため(仮称)送迎保育ステーション試行事業の実施により、保育需要に柔軟に対応していきます。さらに、より多様な保育需要に対応するため、病児・病後児保育、定期利用保育などの実施園を拡大します。

 子育て世帯に対する支援については、国の児童手当制度をはじめ、区の医療費助成制度など様々な支援を行っていますが、安心して子育てできる環境をより一層充実するためには、子育て世帯の経済的な負担感を少しでも軽減し、さらに子育てを応援することが求められています。 そこで、私立幼稚園における保護者負担軽減の拡充や、認証保育所の保育料助成のほか、保護者が家事や外出、リフレッシュするための一時保育など、子育てを応援する制度の充実を図ります。 また、在宅での育児不安、孤独感の解消のため、子育て相談のさらなる充実とともに、交流の場としての子育てひろばなどの子育て支援施設を整備し、在宅で子育てする家庭が、地域の中で安心とゆとりを持って子育てできる環境をつくります。 さらに、親と子の健康と子どもの発育を支援するため、発達が心配される子どもの発達支援や、特定不妊治療費の一部助成の拡充を図るなど、妊娠・出産・育児期を通して心身ともに健康でいられるための支援を実施します。

❶ 待機児童0(ゼロ)プロジェクト

❷ 子育て応援制度の充実

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

21

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 本区は、子どもたちが知性、感性、品性や体力を育み、豊かな人間性と人格を備えた次代を担う人間となれるよう、「知・徳・体」の総合力である『人間力』育成に向けた教育を推進してきました。今後も、長期的視点に立ち、これまで以上に子どもたちの学力向上・体力向上に資する取り組みを進めていきます。 この重要プロジェクトでは、本区の課題の一つである「知」について取り上げます。子どもたちは未来へ向けての可能性を持っています。その可能性を広げ、子どもたちが将来の自分の夢に向かい、目標を持って取り組めるよう、学ぶ環境の充実を図ります。 そのために、本区に開設される東京理科大学や東京都と連携し、協働事業を積極的に行っていきます。 また、幼稚園や保育園など小学校就学前の教育、小・中学校の義務教育、高等学校の教育について、それぞれの特性を踏まえつつ、幼保・小・中・高の連続した教育の推進に取り組みます。

 本区に開設される東京理科大学は、理学と工学の両分野を持つ理工系総合大学として教育と研究を行っています。一方、理科教育者の養成にも力を入れています。 そうした東京理科大学の人材や研究成果を本区の児童・生徒の学習に活かすことができるよう、児童・生徒の体験学習や教員の理科実技研修など、様々な連携事業を行い、理科教育の充実を図ります。

 区立中学校と区内にある5校の都立高校が協力し合い、学力向上や健全育成の推進、キャリア教育の推進などに取り組みます。 高校の教員が中学生に発展的な内容の特別授業を行ったり、中学生と高校生とがクラブ活動などを通じた交流事業、中学校と高校合同によるボランティア・防災活動を実施するなど、中・高の教育活動に相乗効果をもたらす取り組みを行っていきます。

かつしか学力向上プラン3

❶ 東京理科大学との連携による理科教育の振興

❷ 区立中学校と区内都立高校との連携による相互の教育の充実

22

第2章 11の重要プロジェクト

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 小学校から中学校への進学時に、学習内容の高度化や生活リズムの変化に対応できない、いわゆる「中1ギャップ」と呼ばれる状況が増加する傾向があります。この課題の未然防止や、早期解消のために、モデル校を設置し、小学校6年間と中学校3年間の学習及び生活面について、地域の実態を踏まえた9年間を見通した指導計画を作成し、それに基づいた教育を実践します。

 小学校への進学時に、基本的な生活習慣が身についていないことや、学校での生活リズムに順応できないことなどから、児童が落ち着いて授業を受けることができない状態が続き、先生の話を聞かない「小1問題」と呼ばれる課題があります。 この「小1問題」は、幼児期の教育が大きく影響しているとも言われています。この課題の解決のため、幼稚園及び保育園と小学校へ円滑に接続させるしくみを構築します。また、家庭での基本的な生活習慣を身に付けるための様々な取り組みも継続し、小学校入学に向けた子どもたちの学ぶ意欲や態度を育んでいきます。

 生徒が将来の進路を見据え、その目的に沿った教科を重点的に学ぶことができる、特色ある学校を設置します。 特に、数学、英語、理科の教育に重点を置き、学習指導要領が定める授業時数に加えて重点授業を実施していきます。

 中学校3年生の希望者に対して、放課後や夏季休業中を利用し、発展的な内容の学習を行う進学重点教室を開設し、希望する高校への進学を支援します。 また、小学校に入学後、授業が理解できなくなるなど、つまずき始める前の低学年を対象とした基礎学力補充教室の開設をはじめ、小・中の振り返り学習を支援します。

❸ 小・中連携教育の推進

❹ 幼稚園及び保育園と小学校との連携による就学前教育の充実

❺ 区内中学校の特色化

❻ 進学重点教室及び基礎学力補充教室の開設

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 葛飾区では、少子化に伴い人口に占める高齢者の割合が増加を続けており、平成24年1月1日時点で65歳以上人口の割合は22.5%となっています。これは23区平均の20.5%に比べて高めの傾向であり、今後もしばらくは増加する見込みです。このため加齢に伴い発症率が高まるがん(悪性新生物)、生活習慣病に起因する心疾患、脳血管疾患の患者も多く、区民の死因の6割近くをこれらの疾患が占めています。また、罹患率が高い75歳以上の高齢者が増えるため、患者数が増加する見込みです。 これまでも区は、葛飾区医師会など関係団体の協力のもと、一般健診やがん検診等の拡充により、区民の健康増進に努めてきました。 一方、区内の医療環境の現状を見ると、平成17年には一般診療所が335、一般病院が21ありましたが、平成21年には一般診療所が358に増加し、一般病院は19に減少しています。一般病院のうち二次救急医療機関は区内に8か所ありますが、地域的偏在が見られます。 また、出産の前後に母子の生命に関わる事態が発生した場合に、産科・小児科双方で一貫した医療を提供する「地域周産期母子医療センター」に認定されている「葛飾赤十字産院」は、区の新生児の約4人に1人が出生し、毎年約2千件分娩するなど、区内の周産期医療の中核を担っています。そして、同産院は、その特徴を生かした防災に寄与することになっています。同産院の施設は昭和58年の全面改築から30年近くが経過し、近い将来、施設・設備の更新が必要になってきます。

区内医療環境の充実4❶ 現状

0

1,400

1,200

1,000

800

600

400

200

(人)

悪性新生物 脳血管疾患 肺炎 肝疾患 自殺 不慮の事故 腎不全 老衰 高血圧性疾患 その他の全死因心疾患(高血圧性を除く)

1,285

401

679

440

83 106 111 81147

34

921

葛飾区の主要死因別死亡者数

出典:地域保健課資料(平成23年)

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第2章 11の重要プロジェクト

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 こうした状況を踏まえ、医療環境のさらなる向上を図るためには、次のような課題への対応が求められます。 まず、病院や地域の診療所をはじめ、介護保険関係者などが円滑な連携を図ることで、区民が安心して在宅で医療を受けられるよう、切れ目のない医療を提供する、地域医療連携を構築する必要があります。 そのためにも、医療体制として急性期の治療から回復期、維持期に至るまでの整備が求められています。 また、高度医療や救急医療、リハビリテーション医療、発達障害などの障害児医療、精神疾患に対する医療など本区が置かれている現状や医療圏域を考慮し、真に必要とされる医療を見極めていく必要があります。 そして東日本大震災の経験を踏まえ、災害時の医療体制の見直しが急務となっています。

 このような医療に関する諸課題に対応するためには、10年・20年先を見越して、医療環境を整備する必要があります。 そこで、災害時の対応を含めた地域医療連携については、区内の関係団体とともに平成23年7月に立ち上げた、「葛飾区地域医療連携協議会」において、在宅医療や災害医療体制の協議を続けていきます。 葛飾赤十字産院については、施設・設備の更新にあたり周産期医療の充実や、災害時における妊産婦対策など防災機能の強化を働きかけ、連携を図っていきます。 さらに、区内医療環境の充実に向けて、区内及び周辺地域を含め、医療環境を調査・分析し、今後の区内医療環境について、区民をはじめ区内の医療関係者と将来を予測し、十分な協議を図りながら、区民にとってより必要な医療とは何か、区としてどのような取り組みができるのかを、地域医療連携をはじめ、周産期医療、高度医療、救急医療、リハビリテーション医療などの医療体制の充実、災害時医療体制の見直し等、様々な視点から多角的に検討していきます。 これらの取り組みを通して、区民にとって必要な医療を安心して受けられる医療環境のさらなる充実をめざしていきます。

❷ 課題

❸ さらなる充実に向けた区の取り組み

地 域 医 療 連 携 の イ メ ー ジ

患者・家族

介護施設等

一般病院

かかりつけ薬局

在宅サービス等

歯科診療所(かかりつけ歯科医)

救急病院

診療所(かかりつけ医)

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 スポーツは、心身の健全な発達や維持など区民の生涯にわたって、様々な効用をもたらすだけでなく、子どもの体力向上や青少年の健全育成、高齢化対策や健康増進、地域の活性化、社会・経済の活力の創造など、多くの役割が期待されます。 本区では、「葛飾区スポーツ振興計画(平成20年度(2008)~平成29年度(2017))」に『区民が身近な地域で、「いつでも、どこでも、だれでも、いつまでも」自分にあった形でスポーツ活動に親しみ、スポーツを通じた健康で元気な葛飾づくりを推進します。』との基本理念を掲げています。 この基本理念に基づき、(1)子どもの心と身体の健康を育み、基礎体力の向上を目指すこと、(2)区民のスポーツへの参加機会を拡充すること、(3)区民のスポーツ実施率50%を目指すこと、の3つの目標及び(1)「ひと」、(2)「うつわ」、(3)「システム」、の3つの視点を掲げて、健康・体力づくり、運動・スポーツ参加機会の拡充、施設の拡充、総合型地域スポーツクラブの創設など、様々な取り組みを行ってきました。 こうした取り組みにより、最新の政策・施策マーケティング調査では、簡単な運動も含めた区民のスポーツ実施率は目標の50%を超える結果となっています。 今後も、運動やスポーツをやりたいと思いながらも、きっかけや活動の場がないと思っている区民の方など、潜在的なスポーツ人口を掘り起こし、「身近な地域で、いつでも、どこでも、だれでも、いつまでも」自分にあった形で、生涯にわたってスポーツに親しめるよう、これらの取り組みをさらに進めていくことが必要です。

 身近な場所でスポーツをするには、総合スポーツセンターなどの区のスポーツ施設や民間のスポーツ施設はもとより、地域の公園、学校や公共施設を活用して気軽にスポーツに親しめる場所の整備が必要です。また、各年齢・年代のライフスタイル(生活様式)に応じて、競技スポーツや健康づくりなどのそれぞれの目的に沿ってスポーツ活動を行うためには、的確な指導体制や指導者を支えるしくみづくり、指導プログラムが充実していることなどが必要となります。 そこで、これまで以上に区民が気軽に幅広く、スポーツに関わることができる環境づくりを進めます。 区では、フィットネスパークの整備をはじめ小菅西公園の拡張整備に伴うスポーツ施設の整備のほか、学校体育館の改築、学校の夜間照明設備の整備など身近な場所でスポーツができる環境の整備を進めます。 そして、体育協会、各種競技のスポーツ団体、総合型地域スポーツクラブ等の団体や、民間のクラブチーム、スポーツジムなどのスポーツ事業者と幅広く連携して、区民の誰もが多様な種目、多様な方法でスポーツに取り組めるしくみを構築していきます。

スポーツによる元気なまちづくり5

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第2章 11の重要プロジェクト

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 子どもの体力向上や競技力の向上のためには、トップチームやアスリートなど専門的な技量を有する人々の協力を得て、部活動への指導者の派遣や各種のスポーツ教室・イベントの開催などにより、個々のニーズに応じた質の高い指導を受ける機会などをつくるとともに、トップアスリートの練習や試合を見る機会をつくるなど、様々なスポーツの分野において、子どもたちが楽しみながら、将来の夢を持ってスポーツに取り組めるようなしくみを検討します。 こうして区で育った子どもたちや区にゆかりのある方々が、アスリートとして世界や様々な場面で活躍する姿が実現すれば、葛飾区のブランドイメージを高めるだけでなく、区民を元気づけ、葛飾を誇りに思う気持ちを増幅させます。特に、子どもたちにとっては、アスリートへの憧憬だけでなく、自分の将来への夢と希望を現実のものとして身近に感じ、やる気や元気を具体的に引き出すことが期待できます。

 高齢者の健康づくりや体力づくりにおいては、スポーツ推進委員、総合型地域スポーツクラブや民間事業者と協働して、公園や公共施設などの身近な場所で気軽なウォーキングやラジオ体操などをはじめ、それぞれの体力の状態などを考慮したプログラムによる運動・スポーツ教室などができるしくみなどを構築していきます。

 多世代の交流や地域の交流、家族ぐるみのスポーツ環境づくりのために、スポーツそのものに参加するだけでなく、指導したり、運営に携わったり、ボランティアとして参加したり、家族みんなで応援したりすることが可能な区民マラソン大会などのスポーツイベントの実施を検討し、将来は、区のビッグイベントとなるよう大きく育てていきます。

 このような取り組みを通じて、スポーツ活動を生活の中に浸透させることによって、区民の夢と元気を応援し、スポーツによる元気なまちづくりにつなげていきます。

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 本区は、東京都の東部低地帯に位置しており、軟弱な地盤で形成されているという自然条件に加え、戦後の急速な市街化に対し、道路・公園等の都市基盤の整備が遅れ、さらに住宅と工場が混在した木造住宅密集市街地が多数存在するなど、災害に脆弱なまちとなっています。 また、中川、新中川以西のほとんどが満潮時に海面以下となる地域であり、河川破堤を想定した洪水時には、ほぼ全域が浸水すると想定されています。このように、特に震災や水害によって甚大な被害が想定される地域であり、災害に強いまちづくりが重要な課題のひとつです。 東京都防災会議が平成24年4月18日に公表した、東京湾北部地震を想定した首都直下地震が発生した場合の被害想定においても、約18,000棟に及ぶ倒壊や焼失に加え、液状化により建物やライフラインに大きな被害を受けると想定されています。また、避難所生活者も約131,000人と想定されています。 そこで、首都直下地震や大規模水害に対し、より確かな備えを講じていくために、住宅の耐震化や液状化対策、水害対策、避難所等の公共施設の防災機能の強化を進めます。 また、東日本大震災では、ハード面の万全な対策をめざすことへの限界が示されるとともに、人と人とのつながりや絆、助け合いの大切さが改めて認識されたことからも、自助、共助による地域防災力のさらなる向上を促進します。このように、区民・事業者・区が一体となって、減災に向けた取り組みを重点的に進めます。

減災協働プロジェクト6

緊急耐震プロジェクト(平成25年度~平成27年度) 葛飾区耐震改修促進計画(平成19年度~平成27年度)に掲げる目標の達成に向けて、耐震設計、耐震改修などの補助率や限度額のアップ等、事業の拡充を図ります。〔計画〕民間建築物耐震診断・改修助成◇ 木造建築物や民間の公益施設・分譲マンション等の耐震化の促進を図るとともに、地震による住宅の倒壊から高齢者等の生命を守るため、耐震シェルターの設置に対する助成を行います。

液状化対策プロジェクト〈新〉〔計画〕地盤の液状化対策◇ 地震時における建築物の被害を軽減させるため、液状化マップを作成・配布し、情報提供を図るとともに、地盤の液状化対策工事に対する支援を行います。

減災協働プロジェクト

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第2章 11の重要プロジェクト

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水害対策強化プロジェクト〈新〉〔計画〕水害対策の強化◇ 広域避難対策も視野に入れた近隣自治体との相互協力体制の構築を進める一方、身近な避難場所を確保するための中高層建築物へ避難できるしくみづくりや上階に避難場所や非常用発電機等を設けた浸水対応型建築物の整備推進、物資輸送等の拠点となる高台の確保等について、早期に検討を進めます。また、治水安全度の向上を図るため、中川の堤防高不足の解消や耐震補強の促進を国や都に働きかけます。

緊急防災3か年プロジェクト(平成25年度~平成27年度) 緊急防災・減災事業として実施します。〈新〉〔計画〕学校避難所の機能強化◇ 避難所の生活環境衛生を良好に保つため、避難所となる区立小・中学校にマンホールトイレを整備していきます。また、学校の外壁や窓ガラスなど落下の恐れのある箇所に必要な防止策を講じて安全対策の強化を図ります。

〈新〉〔計画〕公共施設の防災機能の強化◇ 地域住民の日常生活に身近な公共施設の建替えや改修にあわせて、本来必要とされている機能とともに、防災上必要な非常用電源設備等の整備を進め、災害時の転活用も想定した防災機能の強化を図ります。

〈新〉〔計画〕防災の意識啓発◇ 映像による災害シミュレーションを行い、地震や水害などが発生した際にどう行動すればよいかを考えてもらう啓発用DVD等を作成し、防災市民組織や学校等に配布をするとともに、防災講演会や講習会においても活用するなど、防災意識の啓発を図ります。また、多くの区民が活用できるように区ホームページで情報提供していきます。

協働による防災まちづくりプロジェクト〈新〉〔計画〕地域別地域防災会議の設置◇ 地域の防災資源を活用して、地震や水害などの災害にどう立ち向かっていくかを地域住民が主体となって検討する会議体を地域ごとに設置していきます。その会議の中で、自治会、消防団、PTA、企業等による地域ぐるみの防災ネットワークを構築し、地域防災力の強化を図るとともに、地域の特性を踏まえた各地域の防災マニュアルを策定します。

〈新〉〔計画〕街づくりの担い手育成・支援◇ パートナーシップ型まちづくりの推進により、安全で快適な街を実現するとともに、復興まちづくり模擬訓練の実施等による意識啓発を図り、将来の街づくりや震災時に地域と協働して進める復興まちづくりの担い手となる人材を育成します。

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

29

第2章 11の重要プロジェクト

Page 16: 11の重要 プロジェクト - Katsushika...1 協働を推し進める環境づくり 18 第2章 11の重要プロジェクト ができるよう、区が必要な支援を行う新たなしくみなどを検討します。

30

第2章 11の重要プロジェクト

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P〔計画〕民間建築物耐震診断・改修助成P〈新〉〔計画〕地盤の液状化対策P〈新〉〔計画〕水害対策の強化P〈新〉〔計画〕学校避難所の機能強化   〔計画〕防災活動拠点の整備P〈新〉〔計画〕公共施設の防災機能の強化 〈新〉〔計画〕新中川橋梁架替事業 〈新〉〔計画〕金町駅周辺の街づくり   〔計画〕堀切地区の街づくり   〔計画〕四つ木・東四つ木・東立石地区の街づくり       (密集住宅市街地整備促進事業)   〔計画〕新小岩駅周辺開発事業   〔計画〕高砂駅周辺の街づくり   〔計画〕立石駅周辺地区再開発事業   〔計画〕新宿六丁目地区の街づくり   〔計画〕青戸六・七丁目地区の街づくり   〔計画〕南水元土地区画整理事業   〔計画〕細街路拡幅整備事業  個別拡幅整備事業   〔計画〕都市計画道路の整備       不燃化整備促進事業  区有施設の耐震強化       防災行政無線網の整備

〈新〉〔計画〕情報連絡体制の強化

   簡易無線機の活用   活動マニュアルの整備促進   防災関係機関相互の連携

消防団への助成防災資器材の助成防災資器材格納庫の貸与防災服・防災靴助成防災訓練の促進軽可搬ポンプの貸与スタンドパイプの配備企業BCPの策定支援地域内防災協定の締結

装備品・備蓄品の整備情報システムの稼動維持総合庁舎の整備本部運営訓練の実施災害協定の締結避難勧告マニュアルの整備

国・都の対策◆堤防高の確保・耐震強化◆木密地域不燃化10年 プロジェクト

P〈新〉〔計画〕街づくりの担い手育成・支援

医療施設の耐震強化医療資源の確保医療体制の整備

〈新〉〔計画〕学校避難所の自主運営の強化      避難所運営会議の開催      避難所運営訓練の実施      避難所備蓄品の充実      帰宅困難者・駅前滞留者の受入れ

P〈新〉〔計画〕防災の意識啓発

   防災情報の周知(便利帳など)   防災リーダー研修会の開催   地区別防災マップの作成   各家庭での防災対策の促進   防災教育の推進

防災ネットワーク事業福祉避難所運営モデル事業要援護者避難支援計画の策定在宅医療者への対応の検討安心カードの作成

P〈新〉〔計画〕地域別地域防災会議の設置

   災害ボランティアの育成・活用

震災復興マニュアルの周知・啓発

災害医療体制の再構築

防災無線、J-ALERT、ツイッター等の運用放送事業者との連携ユビキタス技術の検討市民組織との連携河川管理者との連携

初動マニュアルの整備参集訓練の実施

BCMの確立

本部機能の強化

初動態勢の確立

情報の収集・伝達

情報の収集・伝達

防災意識の普及・啓発

避難所の自主運営

災害時要援護者対策の確立

地域防災力の強化

自助・共助の強化

防災計画推進防災会議総合防災訓練

機関相互の連携

要援護者への情報提供方法の検討

要援護者備蓄計画の作成

水害避難ビル指定の検討

中高層住宅の活用

国・都の対策◆防災計画改定◆被害想定等調査研究

都市インフラの耐震強化、維持保全

〈新〉〔計画〕放射線対策

※この体系図は、災害に強いまちづくりに向けたハード・ソフト全体の対策を表しています。 なお、それぞれの対策の重なりが密接な関連性を示しています。※Pは、減災協働プロジェクトの事業です。

都の対策◆地域防災力向上モデル 地区事業

災害に強いまちづくり(大震災を踏まえて)

★壊れにくく、燃えにくい街づくりの推進(地震)

ハード対策

区民・事業者

★安全に避難できるしくみづくり(水害)

ソフト対策

★区民・事業者・区の協働による防災まちづくり

★災害対応力の強化と業務継続計画の推進

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

3231

第2章 11の重要プロジェクト

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自助・共助・公助により減災をめざします

 切迫性が高いと考えられている首都直下地震が発生すると、本区は大きな被害を受けると想定されています。地震そのものの発生を止めることはできませんが、自助・共助・公助の連携により減災をめざします。

東京湾北部地震を想定した首都直下地震が発生した場合の葛飾区の被害想定

震  源 東京湾北部(M7.3)

震  度 23区の約7割が震度6強(都内では震度7の地域も)

気象条件 冬の夕方18時 風速8m/秒

人的被害 死者(建物倒壊、火災等) 500人

負傷者 5,515人

建物全壊棟数 ゆれによるもの 7,230棟

液状化によるもの 216棟

焼失棟数 11,114棟

出典:東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」より※ 被害想定については、東京湾北部地震「首都直下地震」の冬の夕方18時、風速8m/秒の気象条件による想定です。

減災減災

【地域の対策】【地域の対策】 共助とは、地域や近所で助け合うことです。◆地域別地域防災会議の設置◆避難困難な方への支援◆ 防災市民組織(自治町会)の活動◆防災訓練の実施◆ 学校避難所運営会議及び避難所運営訓練の実施 など

共助【葛飾区の対策】

 公助とは、行政が地域を守ることです。◆食糧・生活物資の備蓄◆他地方自治体との応援協定◆防災情報の収集・提供◆密集住宅市街地の整備◆細街路の拡幅整備 など

公助

【わが家の対策】【わが家の対策】 自助とは、自分の身は自分で守ることです。◆ 非常用備蓄品の用意◆ 家の中の危険個所の確認とその対策◆ 災害時の家族の集合場所や連絡方法の確立 など

自助

地域別地域防災会議の様子地域別地域防災会議の様子

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 本区は、柴又や堀切菖蒲園・水元公園など知名度のある観光スポットが存在しているうえ、全国的にも著名なキャラクター「寅さん」「こち亀」「キャプテン翼」を有しており、観光資源に恵まれていると言えます。こうした観光資源と、人情味あふれる住民が暮らし、人と人との交流のある懐かしく温かなまちの雰囲気が、本区の観光における魅力の原点となっています。 また、下町情緒を残す活気ある商店街、日本のものづくりを支える町工場(まちこうば)、葛飾元気野菜を生産する農業などの産業も盛んです。 しかしながら、こうした地域の魅力が区の観光振興と十分に結びついている状況には至っていません。そのため、本区を訪れる観光客は特定の地域やイベントに偏っている傾向が見られます。 今後は、個性ある地域資源を活かし、地域の魅力をより一層高め、その地域ならではの観光情報を継続的に発信して、東京スカイツリー®に訪れた方をはじめとした観光客の誘客に結びつけるとともに、訪れた観光客の滞在時間を増やし、さらなる消費行動につなげるためにも、全区的な観光振興の推進による区内観光の回遊性向上をめざします。 そのために、本区ゆかりのキャラクターである「寅さん」「こち亀」「キャプテン翼」を活かした観光をはじめ、自然環境を活かした観光、「大正ロマン」や「昭和レトロ」といったまちの雰囲気やイメージを活かした観光、下町ならではの「食」や「体験」を活かした観光など、本区の多彩な魅力を演出するための観光まちづくりを推進します。 このような地域に密着した観光まちづくりを推進するためには、区の魅力の原点である地域を愛する人情味あふれる住民が、観光まちづくりの主役となる必要があります。 そのため、区は一般社団法人葛飾区観光協会との連携を強化し、住民による地域の特性を活かした魅力ある観光まちづくりにつなげていきます。また、葛飾区観光協会をはじめとする民間団体や企業の情報発信機能を積極的に活用するとともに、フェイスブックやツイッターなど、様々なツールを活用することにより情報発信力を強化し、本区の観光の魅力を広く伝えていきます。

魅力ある観光まちづくり7

■観光まちづくりプロジェクト(案)

本区ゆかりのキャラクターを活かす 寅さん記念館のリニューアル、山田洋次ミュージアムの開設、こち亀やキャプテン翼のモニュメント設置

自然環境を活かす 水辺を活かした観光資源の開発、ホタルの活用

大正ロマン、昭和レトロなどのまちの雰囲気やイメージを活かす 柴又地区の景観まちづくり、立石駅周辺のイメージづくり

下町ならではの「食」や「体験」を活かす

ご当地グルメ・お土産品の開発、フードフェスタの開催、農業体験・ものづくり体験を盛り込んだツアーの企画

その他、多彩な魅力の演出 区内回遊ツアーの企画、観光ガイド・観光大使の任命、観光イベントの開催、歴史や文化の活用

34

第2章 11の重要プロジェクト

Page 20: 11の重要 プロジェクト - Katsushika...1 協働を推し進める環境づくり 18 第2章 11の重要プロジェクト ができるよう、区が必要な支援を行う新たなしくみなどを検討します。

~ 「魅力ある観光まちづくり」イメージ ~

東京スカイツリー®

連  携

▲柴又帝釈天参道

▲もつ焼き▲葛飾区山本亭

▲葛飾区伝統産業館

▲葛飾元気野菜の直売

▲立石の商店街

▲葛飾ブランド認定町工場

葛 飾 区(社)葛飾区観光協会

▲両さんベンチ型銅像ⓒ秋本治・アトリエびーだま/集英社

▲葛飾柴又寅さん記念館▲花菖蒲

▲名物草だんご

▲葛飾あらかわ水辺公園

▲水元公園の紅葉

住  民住  民

住  民

住  民

住  民

産  業

グルメ

まちなみ

キャラクター

自  然

文化・歴史

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 花のある空間は、そこを行き交う人々の心を和ませてくれます。また、花を大切に育てたいという区民は少なくありません。現在も自治町会や花を育てている団体、緑化推進協力員などの協力を得ながら、区内各所で花いっぱいのまちづくり活動が行われています。 これらの方々は、花壇や空間を花いっぱいに飾り、地域に活気と潤いを与える活動に情熱と誇りを持って取り組んでいます。このような花いっぱいのまちづくりを拡大することで、“ふるさと葛飾”に誇りと郷土愛を持つ区民が更に増えていくものと期待されます。 そこで、区では、駅前広場、幹線道路の沿道、公園の花壇などが、地域の区民が主体となって取り組む花いっぱいの空間となるよう、地域の人材の掘り起こしやコーディネートなどを行います。 また、この取り組みを大きな区民運動へと発展させるため、緑化推進協力員などと連携し、講習会や花壇コンテストを開催するなど、花の育成知識や花を育てる意欲を向上させることで、花いっぱいのまちづくりを推進する人材を育成します。 あわせて、区のホームページに花いっぱいのまちづくり活動を紹介するページを設け、活動している団体が意見交換できるしくみづくりや活動状況のPRなどにより活動の活性化を図るとともに、(仮称)花いっぱい推進協議会を設置し、区と活動団体及び団体相互の連携の強化を図ります。 区では、これらの区民との協働による花いっぱいのまちづくりに加え、本区の魅力をさらに高めるため、駅前広場や区内の観光スポットなど、多くの人々が行き交う場所や東京スカイツリーから見える葛飾区を花いっぱいの空間に創出していきます。

花いっぱいのまちづくり8

アジサイ(水元さくら堤) 地域開放型花壇(渋江公園)

緑化活動(新小岩駅南口広場) 芝桜(柴又江戸川堤防)

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第2章 11の重要プロジェクト

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凡 例想定箇所…

緑化推進協力員

活動団体

自治町会

事業者

小中学校

区・機会の提供・人材の掘起し・コーディネート・資材の提供・関係機関との調整

☆講習会☆花壇コンテスト☆ホームページによる 情報交換・発信

(仮称)花いっぱい推進協議会

区民と区の協働による花いっぱいのまちづくり

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 私たちが将来にわたって安心して豊かな生活を送っていくためには、地球温暖化を防止し、持続可能な社会を実現することが課題となっています。 特に、地球温暖化は、後世に重大な影響を及ぼす世界的な環境問題であり、区民・事業者・区それぞれが当事者としての自覚を持って、役割を認識し、一体となって低炭素まちづくりに向けて取り組むことが求められています。 このような中で、東日本大震災の影響による電力不足等により、節電・省エネルギーや再生可能エネルギーの推進に対する機運が高まっています。 そこで、区では、これらの機運の高まりを契機として、防災対策にも有効である自立・分散型のエネルギー供給のしくみづくりのため、区民・事業者向けの再生可能エネルギーの利用促進のための支援や、公共施設への再生可能エネルギーの導入、さらに新たなエネルギー導入検討を積極的に進めます。

 区民や事業所等に対して、システム導入費用の一部を区が助成するなどの支援を行うことで、再生可能エネルギー利用のきっかけをつくります。 また、災害時の避難所となる学校等に蓄電設備を伴う太陽光発電システムや太陽熱利用システムを計画的に導入することで、避難所の電源及び熱源確保を行い、再生可能エネルギーを利用した自立・分散型エネルギーシステムによる、災害に強いまちづくりを推進します。

 水と緑ゆたかな葛飾ならではの再生可能エネルギーの導入を検討します。

(1) 水の再生可能エネルギー 出力1,000キロワット以下の小規模な水力発電である「小水力発電」は、自然に流れる用水路等の小さな流れや落差を利用して発電するものです。 河川に囲まれ、かつては農業用水が多数存在した本区の特性を活かした自立・分散型発電として導入をめざします。

再生可能エネルギーの創出9

❶ 〔計画〕再生可能エネルギーの利用促進

❷ 新エネルギーの導入検討

水と緑の再生可能エネルギー

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第2章 11の重要プロジェクト

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(2) 緑の再生可能エネルギー 区では、区内の公園や道路等の樹木の剪定において発生する枝葉の一部を、破砕・チップ化しています。 しかし、現在の受け入れ施設において処理できる量には限りがあり、その多くが焼却処理されている状況です。 今後は、区内の公園・街路樹等から発生する剪定枝葉を木質バイオマス発電等の再生可能エネルギーとしての活用をめざします。 これらの取り組みによりごみの減量やリサイクルが促進され、資源循環型社会の構築にもつながります。

 外気温に比べて年間を通じて変化が小さい地中の温度を夏は冷熱源、冬は温熱源として利用することで、効率的に冷暖房を行うなど、地中熱の有効利用をめざします。

 バイオマス資源の利活用推進と同時に化石燃料の使用抑制につなげるため、家庭などから排出されるバイオマス資源である廃食用油(植物油)をバイオディーゼル燃料として再生し、区のごみ収集車や公用車の燃料などへの利活用をめざします。

地中熱の効率的な利用

バイオマス資源の再生利用

夏 冬

地中熱冷たい液体

温かい液体

冷たい液体

温かい液体

破砕・チップ化

廃  棄 葛飾清掃工場

従来の年間搬入量約420t

現在の年間発生量約1,370t

従来の緑のリサイクルセンター年間受入量 約950t

破砕・

チップ化へ

木質バイオマス発電、熱利用など

プラント

公園・道路等の剪定

年間発生量をチップ化

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 総合庁舎は、区の行政サービスの拠点であり、大規模な災害時には災害対策拠点となる極めて重要な役割を持っていますが、建物や設備の経年劣化が進行するなどの課題が顕在化しています。 そこで、災害対策拠点としての役割を十分果たすとともに、必要な機能を充実させ、区民の利用しやすい総合庁舎をめざし、築後60年を目途に総合庁舎の建替えに向けた検討を進めていきます。 検討にあたっては、「葛飾区総合庁舎整備のあり方検討委員会」で示された課題である基本的な機能要件、本庁舎規模の精査、候補地の絞り込み、整備年次計画の策定、資金計画の策定などの検討を行うとともに、積極的な情報発信を行い、区民の合意形成を図ります。 また、建替えの準備として、総合庁舎整備基金への着実な積立てを行います。

総合庁舎の整備10

年 度 積立額

19年度 1億円

20年度 1億円

21年度 1億円

22年度 15億円

23年度 15億円

累積額 33億円

(平成24年4月1日現在)

2 総合庁舎整備基金への積立状況(累積額)1 現在の総合庁舎の概要建物名 延床面積(㎡) 構 造 階 数 建築年 経過年数

本 館 9,603.83

鉄筋コンクリート造(RC造)耐震補強済

地下1階地上4階塔屋1階

1962年(昭和37年) 50年

新 館 10,398.87

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

地下1階地上7階塔屋2階

1978年(昭和53年) 34年

議会棟 1,403.75

鉄筋コンクリート造(RC)耐震補強済

地上3階 1962年(昭和37年) 50年

(平成24年4月1日現在)

4 総合庁舎が備えるべき機能

出典:「葛飾区総合庁舎整備のあり方検討委員会とりまとめ」

総合庁舎が備えるべき機能

⑴ 防災拠点、災害対策活動の司令塔としての機能~区民の生命と財産を護るための防災拠点機能

⑹ 区民や産業の交流機能~区民・産業・学間の多様な文化・交流機能

⑵ ユニバーサルデザイン~誰にでも使いやすく、便利な庁舎機能

⑸ 環境負荷の低減機能~省資源、省エネルギーの徹底、自然エネルギーの活用機能

⑷ 利用動向をふまえた駐車場・駐輪場~混雑時の来庁者利用に配慮した十分な駐車場・駐輪場

⑶ 来庁者のプライバシー~来庁者のプライバシーに十分配慮した空間と動線

3 総合庁舎の現状と課題

出典:「葛飾区総合庁舎整備のあり方検討委員会とりまとめ」

総合庁舎の現状と課題

⑴ 建物・設備の経年劣化の進行

⑵ 狭隘な区民利用スペース、執務スペース

⑶ 災害対策拠点としての耐震性能の不足

⑷ 災害対策拠点としての機能、防災性能の不足

⑹ 東日本大震災における庁舎の被災から見えてきた課題

⑺ バリアフリーやプライバシー対応の不足

⑸ 水害対策への課題

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第2章 11の重要プロジェクト

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課題《1-②》整備すべき機能の具体化

《課題1-①》庁舎の規模

《課題2》候補地の絞り込み

《課題5》整備スケジュールと

資金計画

総合庁舎整備基本構想の策定

《課題4》検討の過程と成果に関する区民広報の重視

区民意見の反映

《課題3》アクセス利便性

整備に向けた具体的な検討

設  計 工  事 竣  工

約10年後

①将来の行政サービス体制を踏まえた検討・地方分権の進展による影響・情報通信技術の進展による影響②想定職員数の整理③整備すべき機能との整合性の確認 など⇒面積想定の精査

①評価指標の策定②指標に基づく評価の実施 など

⇒候補地の順位付け

①鉄道によるアクセス②バスによるアクセス③徒歩によるアクセス④自動車によるアクセス など

⇒アクセス性向上策の検討

①防災センターの機能・規模②総合窓口/相談窓口の機能・規模③交流スペース(賑わいスペース)の内容

④環境負荷の低減機能 など⇒基本的な機能要件の設定

検討の節目ごとに「広報かつしか」や区ホームページ、説明会などにより対応

①年次計画の策定②概算整備費の積算③特定財源の検討④起債と基金取崩しの想定 など⇒年次計画と資金計画の策定

今後の検討内容等 第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

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 現在、本区が保有する公共施設は、400施設を超え、その多くが昭和40年代から50年代に建築されたもので、バリアフリー化や老朽化により、施設の維持管理費や建替経費が増大することが想定されています。 これらの公共施設は、これまで時代や社会の要請、区民ニーズに応じて、多岐の分野にわたって設置され、住民福祉の増進に寄与してきました。 しかしながら、公共施設のすべてが必ずしも効果的、効率的に利用されているとは限りません。指標の一つとなる利用率を見ても、平成18年6月に策定した「葛飾区公共施設見直し推進計画」で示した基準に満たない施設もあります。 また、少子高齢社会の到来とともに、大きな経済成長が見込めない状況では、今ある公共施設を今後も現状のまま維持し続けることは困難です。 そこで、以下のような機会などを捉え、周辺施設との複合化、施設の統廃合、民間への移管などにより、施設の総量抑制を図ります。 一方、公共施設の更新費用の財政負担の平準化を図るため、計画的、予防的な修繕を進めるなど、極力既存施設を維持、保全することとし、施設の長寿命化を進めます。

 葛飾区公共施設見直し推進計画で示した利用率に満たない施設については、施設の現状や低利用率であることの原因などを調査・分析し、継続利用の可能性を探る一方、継続利用の効果が低いと判断した施設については、利用者の意向に十分配慮しつつ、他の行政目的への転用をはじめ、社会福祉法人等への貸付や民間等への売却などにより、より一層の効果的・効率的な活用を図ります。

 施設の老朽化などにより、更新が必要となった施設については、サービスの内容や提供方法の視点、施設の管理・運営に関する視点など、様々な視点で当該施設のあり方などの検討を進めるとともに、当該施設の統廃合、周辺施設との複合化、民間への移管などにより、より一層の効果的・効率的な活用を図ります。

 行政サービスの需要の変化などによるサービス内容や提供方法の変更、民間活力の導入などによる管理運営方法の変更などにあたっては、施設ハードの更新時期を見極めつつ、施設の統廃合、周辺施設との複合化、他の行政目的への転用や民間への移管などにより、より一層の効果的・効率的な活用を図ります。

公共施設の効果的・効率的な活用11

❶ 低利用率施設の見直し

❷ 施設の更新を契機とした施設の見直し

❸ サービスの内容や提供方法の変更、管理運営方法の変更を契機とした施設の見直し

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第2章 11の重要プロジェクト

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公共施設の見直し・更新イメージ

近隣の公共施設群

1 低利用率施設 2 老朽化した施設 3 新たな行政サービスが  求められている施設

施設の複合化などによる更新後のイメージ

施設更新のメリット施設見直しのメリット

施設の複合化・機能の転用・統廃合・民間や地元への移管など

施設機能の転用や統廃合などによる見直し後のイメージ

リフォームなどにより施設機能や利便性などの向上

・区民ニーズを踏まえた機能の転用など・「使われない施設」から「使われる施設」への転換・「使われる施設」に対して、施設のリフォームなどによる、施設機能や利便性などの向上と施設の長寿命化の実施・防災機能の強化 など

・施設のリニューアル・ユニバーサルデザインの推進などによる、施設機能や利便性などの向上

・利用者や近隣住民の意向を踏まえた機能整備・将来の機能転換や利用形態の変更などにも対応できる整備手法の導入

・防災機能の強化 など

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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第2章 11の重要プロジェクト

Page 29: 11の重要 プロジェクト - Katsushika...1 協働を推し進める環境づくり 18 第2章 11の重要プロジェクト ができるよう、区が必要な支援を行う新たなしくみなどを検討します。

 400を超える公共施設を、現状のまま維持管理や更新を実施した場合に必要な経費は、耐用年数の目安としている60年間をベースに推計した場合、毎年約70億円から約150億円にも上ります。 そこで、公共施設(道路・公園・橋梁含む)の更新費用の財政負担の平準化やライフサイクルコストの抑制を図るため、計画的・予防的な修繕を進めるなど、極力既存施設を維持・保全し、施設の長寿命化を進めるとともに、適切な維持管理のしくみを構築します。 また、公共施設の建替え・改築にあたっては、将来の人口構成や行政需要の変化への対応等を踏まえ、機能転換や利用形態の変更に対応が可能なスケルトン・インフィル分離方式注)の導入とともに、統一的な仕様や設備改修等の容易な仕様の導入等を検討します。

❹ ライフサイクルコスト(運用管理経費及び建替経費)の抑制

(約544億)

(約1,061億)

(約460億)

(約499億)

(約575億)

(約636億)

(約155億)

(約459億)

(約623億)

(約416億)

(約200億)(約52億)

平成(年次)

(億円)

24~33 34~43 44~53 54~63 64~73 74~83

(約544億)

(約1,061億)

(約460億)

(約499億)

(約575億)

(約636億)

(約155億)

(約459億)

約699億

約1,083億

約915億

約775億

約688億

約1,520億

(約623億)

(約416億)

(約200億)(約52億)

1,600

0

400

200

800

600

1,000

1,200

1,400 運用管理経費(※1)建替経費(※2)

10年間ごとのライフサイクルコストの推計

(※1)運用管理経費     施設の維持管理に必要な光熱水費、法令点検・定期点検保守、清掃、改修及び経常的修繕費など(※2)建替経費     建設費、取り壊し経費、設計等委託費(建替えのための一時利用を目的とする仮設物や一時移転の事務経費等は含まない)

注) スケルトン・インフィル分離方式 建物のスケルトン(柱・梁・床等の構造躯体)とインフィル(間取り・内装・設備等)とを分離した設計・工法にすることで、設備の老朽化や間仕切りなどの変更が必要になった場合、構造躯体は残したまま、比較的容易に内装や間取り、設備等を改変できる手法

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 避難所や災害時の拠点として位置づけられている小中学校や地区センターなどの公共施設は、これまでも耐震改修や耐震補強工事などにより、防災機能の強化に努めてきました。 しかしながら、東日本大震災の状況を踏まえ、これらの公共施設については、今後、建替えや改築の機会を捉えて、本来必要とされる機能とともに、防災上必要な非常用電源設備等の設置や災害時の転活用も想定した防災機能のさらなる強化を図ります。 (〈新〉〔計画〕公共施設の防災機能の強化)

❺ 公共施設の防災機能の強化

・耐久性の高い構造躯体 (柱・梁・床等)

・将来の人口構成や行政需要等への変化に対応して、間取りや内装の変更が可能なしくみ

・保守、更新しやすい共用設備

10~30年で更新する「インフィル」

自由に変えられる(更新性)

長持ちする(耐久性)

100年以上耐える「スケルトン」

スケルトンインフィルのイメージ図

・耐久性の高い構造躯体 (柱・梁・床等)

例1 例2

間取りや内装の変更 間取りや内装の変更

・将来の人口構成や行政需要等への変化に対応して、間取りや内装の変更が可能なしくみ

・保守、更新しやすい共用設備

第1章 

基本計画の役割と前提

第2章 

11の重要プロジェクト

第3章 

5つの主要課題とその取り組み

第4章 

基本目標別計画

第5章 

行財政運営の取組指針

策定経過

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