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はいたっく 2013 年 12 月号 本印刷物は、 Adobe Acrobat により作成した PDFです。 All Rights Reserved,Copyright ©2013,Hitachi,Ltd.

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http://www.hitachi.co.jp/hitac-magazine/

写真家 富井 義夫 ■ ホームページにて「フォトギャラリー世界遺産」を掲載中 http://www.tomiiyoshio.com/

はいたっく誌情報提供サイト

家の灯りを包むオーロラ(スウェーデン王国・ラポニア地域)

スウェーデンの先住民族であるラップ人(自称

サーミ人)が有史以前から暮らしてきた、ヨーロッパ

大陸最北端のラポニアン・エリア。トナカイの群れ

を追う遊牧文化と北極圏の大自然がつくり出す

独特の魅力に溢れた土地である。夜、満天の星

空を見上げていると、突然、淡い色味の帯が現れ

る。その帯は瞬く間に空いっぱいに広がり、幻想

的な発光を始める。そして、生き物のようにうねり

ながら刻一刻と姿を変えてゆく。灯りのともる家の

上で繰り広げられる壮大な光のショー、オーロラ。

やがて光は収束し、周囲は何事もなかったかのよ

うに元の静寂に包まれる。ここでは、目撃した誰も

が畏怖の念を抱くに違いないオーロラも日常の

1シーンだ。

富井義夫の世界遺産の旅

1 はいたっく2013-12

ソリューション&サービス・ケーススタディ-1基盤のスリム化とサービスの長時間稼働を実現した国立情報学研究所「目録所在情報サービス」―大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所―

3

本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しています。

発 行 日 2013年12月1日 通巻559号発  行 株式会社日立製作所     情報・通信システムグループ 情報・通信システム社お問い合わせ 経営戦略室 ブランド・コミュニケーション本部  TEL(03)5471-8900(ダイヤルイン) 〒140-8572 東京都品川区南大井六丁目27番18号 日立大森第二別館印  刷 株式会社日立ドキュメントソリューションズ

Topicsオープンデータ推進への取り組み2

スウェーデン

フィンランド

ノルウェー

ラポニア地域

ソリューション&サービス・ケーススタディ-2既存データも継承し業務の最適化を実現した保険契約手続きの全般を担う「契約管理システム」―三井住友海上プライマリー生命保険株式会社―

57 トラベルウォーキング 第130回

2020年東京五輪の舞台、江戸情緒の街を訪ねて。ウォーターフロントと両国を歩く(東京都港区・品川区・江東区・墨田区)

プラットフォーム&ソリューション・ケーススタディ日立ストレージの先進技術とVMware vSphere®による仮想化でデータロスのないディザスタリカバリと処理能力の高速化を実現―清水建設株式会社―

911 SOLUTION & SERVICE

月額料金で高信頼の環境を提供するプラットフォームリソース提供サービス(ストレージサービス)「ファイルサーバ提供サービス」

15 プラットフォーム&ソリューション容易・スピーディに導入できるクラウド型コミュニケーションサービス「CommuniMax/CT」

16 索引2013年掲載記事索引

13 IT's eye ラボラトリー・レポート手荷物に付着した爆発物成分を自動検出する「爆発物探知技術」(中央研究所)

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お問い合わせ先

(株)日立コンサルティング  http://www.hitachiconsulting.co.jp/

公共データを広く公開する「オープンデータ」

オープンデータやビッグデータの利活用をさらに活性化

オープンデータ推進への取り組み

 政府機関や自治体などが業務で蓄積した情報を、利用しやすい形で広く公開する「オープンデータ」が注目を集めています。現在、欧米各国を中心に、行政機関がITを活用して積極的な情報公開を行うことで、アカウンタビリティ(説明の義務・責任)や透明性の向上、行政への市民参加の促進、ひいては官民協働サービスの創生による経済の活性化につなげようという「開かれた政府(オープンガバメント)」への取り組みが本格化していますが、オープンデータはその中核となる施策といえます。 すでに米国は2009年に政府が保有するデータをカタログ化して公開するWebサイト「Data.gov」を立ち上げたほか、英国やフランスなどでも2010年から12年にかけて、公開サイトや推進組織が相次ぎ発足。オープンデータの民間利用も活性化し、周辺地域の多様な指標で物件を評価できる不動産サービスや、気象による収穫量の変動リスクを勘案した農業向け保険商品など、これまでにないビジネスが創生されています。

 日本においても、産業界から公共データの民間利用環境を整備すべきとの声が上がり、2012年7月政府のIT戦略本部が「電子行政オープンデータ戦略」をとりまとめ、本格的な取り組みをスタート。まずは経済産業省の保有する公共データを、より活用し

やすいデータ形式で公開するデータポータル(カタログ)サイト「Open DATA METI」(β版)が2013年1月に公開されました。そして、このたびオープンデータの公開方法や推進のための施策などを検討する調査研究プロジェクト「平成25年度電子経済産業省構築事業(オープンデータの推進に関する調査研究)」を、経済産業省から受託したのが株式会社日立コンサルティング(以下、日立コンサルティング)です。 本プロジェクトでは、日立コンサルティングと日立製作所、ならびに株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)が、「Open DATA METI」(β版)で公開するオープンデータの種類、件数、メタデータを増やしていく一方、サイト自体の機能追加を実施していきます。また、データの公開が自律的に進むよう行政機関内のプロセスの検討、職員の作業を支援するツールの開発を行うとともに、さらにデータの利活用度を高めることを目的とした公共データのLOD※1化や、そのために必要なデータ記述形式であるRDF※2設計支援ツールの開発も行います。 また、オープンデータを活用した新たなビジネスモデルやアプリケーションを検討し、その利用例を公開するなど、オープンデータの利活用促進に向けた活動も行い、11月には「OpenDataMETIアイディアソン」を開催しました。本データポータルサイトの拡充後には、行政機関や民間などで試用された内容について、日立コンサルティングが意見や要望を収集し、同サイトの評価・検証などを行う予定です。 なお、本プロジェクトは、オープンデータの推進団体として多数の活動実績がある特定非営利活動法人「リンクト・オープン・データ・イニシアティブ」と連携しながら、それぞれの強みを生か

して推進していきます。

 今後も日立コンサルティングと日立製作所、日立システムズは、これまで蓄積してきたオープンデータに関するノウハウを活用し、政府・自治体のオープンデータに関する取り組みを支援していくとともに、オープンデータやビッグデータの利活用を活性化し、新たなビジネスやサービスの創出に寄与するコンサルティングサービス、ソリューションを積極的に提供していきます。どうぞご期待ください。

※1 Linked Open Data※2 Resource Description Framework

2はいたっく2013-12

経済産業省のオープンデータ調査研究を日立グループが受託

省庁・自治体など 民間企業など

データの機械判読可能化・メタデータ整備・公開

ライセンスなどのルール整備

データの標準化、語彙・コードの整備

データ生成、公開プロセスの効率化、高度化

データのLOD化推進

データを活用したサービス、ビジネスの創出

データ活用推進のための仕組み(アイデアソン、ハッカソンなど)

データニーズのフィードバック

データ活用人材の育成

民間企業などによるデータ公開、流通の促進

データを中心とした官民連携の高度化によるオープンイノベーション

データを中心とした官民連携の高度化によるオープンイノベーション

データポータル

(カタログ)サイト

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ソリューション & サービス・ケーススタディ 1

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所 ▶ http://www.nii.ac.jp/

基盤のスリム化とサービスの長時間稼働を実現した国立情報学研究所「目録所在情報サービス」

全国の大学図書館や研究機関などが利用する「目録所在情報サービス」を運営する大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、国立情報学研究所)は、日立とともに同サービスのシステム基盤を刷新。仮想化をはじめとする先進技術の適用で、資源のスリム化とTCO※1削減を図る一方、サービスの長時間稼働も実現しました。

 国立情報学研究所は、情報学という新しい学問分野におけるわが国唯一の学術総合研究所であると同時に、学術コミュニティ全体の研究・教育活動に不可欠な最先端学術情報基盤の推進事業を担う大学共同利用機関でもあります。この「研究」と「事業」を車の両輪とすることで、情報学分野における「未来価値創成」をめざすのが国立情報学研究所の大きなミッションです。 その事業の一環として1984年に稼働を開始したのが、日本最大の総合目録・所在情報データベースである「目録所在情報サービス」です。NACSIS-CAT※2は、オンライン共同分担目録方

式により、どの機関にどのような学術文献が所蔵されているのかがわかる全国規模の総合目録データベースを形成するシステムで、現在は大学図書館を中心に1,258の機関が参加。すでに1億件以上の所蔵データが保有されており、多言語対応と国際標準プロトコルへの対応によって、海外機関との連携を実現しています。資料を相互に貸借するためのシステムNACSIS-ILL※3とともに、学生や研究者に欠かせない基盤になっています。 国立情報学研究所では、同サービスのシステム基盤を定期的にリプレースしてきましたが、今回はこれまで以上に大きなチャレンジが行われました。国立情報学研究所 総合研究大学院大学 准教授の大向 一輝氏は「このサービスは、本研究所が推進す

る事業の中でも礎となるもので、全国の大学図書館の基盤を支える重要な役割を担っています。1984年の稼働当時としては画期的な仕組みで、今でも『早すぎたクラウド』と語られるほどです。本サービスは鉄道や水道などの社会インフラと同様に、利用者の方にとってなくてはならないものであり、だからこそ、動いていて当たり前の基盤を当たり前のように動かし続けることの大変さを実感しています。今回のリプレースにおいても、サービス内容は変えないものの、サービス時間の延長や、さらなる安定稼働、他システムとの柔軟な連携といった時代の要請に応えることが必要でした。また公共機関として、より効率的な運用とTCO削減も重要な課題となっていたため、長年、本システムの開発と運用を担ってこられた

3 はいたっく2013-12

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所学術基盤推進部学術コンテンツ課特任技術専門員渡辺 眞樹 氏

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所学術基盤推進部学術基盤課 特任技術専門員三浦 竜哉 氏

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所学術基盤推進部学術コンテンツ課図書館連携チーム係長吉田 幸苗 氏

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所総合研究大学院大学准教授 博士(情報学)大向 一輝 氏

日本最大の総合目録・所在情報データベース

国立情報学研究所のライブラリー

※1 Total Cost of Ownership

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日立さんとともに、より高信頼で低コスト、柔軟性のある基盤づくりに挑戦したのです」と説明します。

 「新たな基盤構築では、仮想化などの最新技術を適用した、モダンでスリムなシステムをめざしました。計算資源の集約で省スペース化・省電力化を図り、可用性も高めて安定稼働を実現すれば、運用負担の軽減とTCO削減につながるからです」と語るのは、学術基盤推進部 学術基盤課 特任技術専門員の三浦 竜哉氏です。 日立はこの要請に応えるため、従来のHP-UXからLinuxにプラットフォームを移行し、柔軟性の高い仮想環境と信頼性を重視した物理環境のハイブリッド構成を実現。フロントエンドサーバ部は他システムと共用の仮想環境上に、データベース部は本システム専用の物理環境上に構築しました。また、物理環境のサーバには、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony BS500」、ストレージにはミッドレンジストレージ「Hitachi Unified Storage 150(以下、HUS150)」、データベースには従来システムから実績のあるHiRDB/Parallel Serverを採用し、FC-SAN※4構成、N+1コールドスタンバイ、HiRDB・HAモニタの組み合わせによるデータベースサーバ部分の完全冗長性を実現しました。これにより、サーバ/ストレージ資源を従来に比べ削減したにもかかわらず、製品自体の性能向上とHiRDBの最適化チューニングにより、検索性能はこれまでと同等以上のレベルを確保しています。

 もう一つの大きな挑戦が、サービスの長時間稼働です。従来は大学図書館などの開館時間に合わせ、夜間は業務用サービスを停止し、その間に目録データベースのバックアップや新機能追加などのメンテナンス作業を行っていました。これに対し新基盤では、HiRDBとHUS150の機能により、オンラインサービスを停止することなくデータベースバックアップを取得できるようにしました。 「今まではサービス時間終了後に改修モジュールをインストールし、再起動、動作確認といった作業を夜遅くまで行う必要がありました。しかし今回からは作業や動作確認は待機系を使って昼間に行い、切り替えは夜間に自動化したことで、関係者の負担が大幅に軽減されました」と、学術基盤推進部 学術コンテンツ課

図書館連携チーム係長の吉田 幸苗氏は評価します。バックアップとメンテナンスの無停止対応でサービスの長時間稼働が可能となり、「特に海外から利用しているユーザーへのサービス向上につながりました」と大向氏は喜びます。

 今回は、プラットフォームの移行にともなうアプリケーションの全面移植、仮想環境での稼働検証、1億件を超える目録データベースの短期間移行と、さまざまな課題が山積しましたが、日立は国立情報学研究所とともに、5か月半という限られた期間内での移行を無事に完了させました。 「システムの信頼性が何よりも重要ですが、新基盤への移行後も大きなトラブルが発生したことはありません。今後の課題は、『HiRDB Datareplicator※5』のような機能を活用して、リプレースの際のサービス停止時間を短くすることですね」と、学術基盤推進部 学術コンテンツ課 特任技術専門員の渡辺 眞樹氏は語ります。 将来的なシステム拡張について大向氏は、「今回、仮想環境を初めて導入しましたが、まさに普通に使える技術になっていると実感しました。今後も最新技術の恩恵をそのまま享受できる環境をめざし、今回得たノウハウを新たなシステム設計に生かしていきます。また災害時でもサービスを停止しないBCP※6対応も喫緊の課題ですので、より安定的、継続的に使えるサービスに向け、日立さんから幅広い提案をいただきたいと思います」と語ります。 その期待に応えるため、これからも日立は国立情報学研究所ならびに国内外の学術コミュニティの研究・教育活動の支援に向け、付加価値の高いITプラットフォームとソリューションを提供していきます。

お問い合わせ先

4はいたっく2013-12

計算資源のスリム化を追求

サービスの長時間稼働

信頼性に優れたプラットフォームを堅持

(株)日立製作所 公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタ  http://www.hitachi.co.jp/pchannel-inq/

※2 NACSIS CATaloging system※3 NACSIS Inter-Library Loan

※4 Fibre Channel Storage Area Network

※5 HiRDB データ連動拡張機能※6 Business Continuity Plan

■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/

所 在 地設 立所 員 数事業内容

東京都千代田区一ツ橋2-1-22004年4月644名(2013年4月現在)情報学の総合的な研究・教育、最先端学術情報基盤を推進する事業

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所

目録所在情報サービスの利用風景

ブレードシンフォニー

ユニファイド ストレージ

ハイアールディービー

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ソリューション & サービス・ケーススタディ 2

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 ▶ http://www.ms-primary.com/

既存データも継承し業務の最適化を実現した保険契約手続きの全般を担う「契約管理システム」

金融機関代理店を通じて個人年金保険や終身保険を販売する三井住友海上プライマリー生命保険株式会社(以下、三井住友海上プライマリー生命)は、お客さまサービスのさらなる向上と、持続的な成長を可能とする事業基盤の強化を図るため、日立とともに保険契約手続きの基幹システムである「契約管理システム」を刷新。スピード向上とTCO※1削減に加え、お客さまニーズに即応した新サービスの迅速な提供や、年金および給付金支払の早期化といった社内事務の効率化を実現しました。

 2002年10月の営業開始以来、人々のゆとりある老後を支える個人年金保険や終身保険を提供している三井住友海上プライマリー生命。少数精鋭の機動力と商品力を生かし、お客さまの豊かで充実したセカンドライフの実現に貢献しています。 「当社では営業開始から11年にわたって、新契約の申し込みから契約内容の変更手続き、年金や給付金支払などの手続きを、パッケージベースの契約管理システムで運用していました。しかし、既存のパッケージシステムでは、ニーズに即したシステム改修には時間とコストがかかっていたほか、契約数が約50万件の規模に増加したことに伴い夜間バッチも長時間化してきたことから、システム全体の再構築を図ることにしたのです」と語るのは、IT推進部長の今井 泰氏です。 同社は、グループのシステム開発・運用を支えるMS&ADシステムズ株式会社(以下、MS&ADシステムズ)とともに、新システムの開発プロジェクトに着手。長期にわたる生命保険契約特有の複雑で高度な業務処理を担い、機能追加や拡張も柔軟に行える基盤づくりにはスクラッチ開発がベストという判断のもと、構築パートナーに日立を選定しました。 「複数ベンダーの提案を検討した結果、保険業務システムに精通し、同じ業界のスクラッチシステム開発や、当社のフロントシステム(申込受付の工程管理システム)構築実績もある日立さんが最も安心して任せられると考えました」と、MS&ADシステムズ

生保システム第二部長 兼 生保ITサービス部長の村瀬 進氏は振り返ります。そして2011年5月、約2年という期間で新しい契約管理システムを新規に構築するというミッションがスタートしました。

 日立は、新システムの自由度と柔軟性を高めるため、コンポーネントベースの開発アプローチを提案。MS&ADシステムズとともにアプリケーション設計の共通化と体系整理で、プログラムロジックの可視化と保守性向上を実現し、稼働中のフロントシステムや年金支払システムなどと同じ基盤上で柔軟に連携できる環境を整備しました。また今回、業界でもあまり例のないチャレンジも実行されました。 「一般的に生保業界では基幹システムを再構築しても、データ移行のリスクを考慮し、既存のお客さまデータはそのまま旧システムで運用します。しかしシステムコストや事務コストの二重化を避けるため、また、既存のお客さまにも新システムで実現できるサービスをご提供できるよう、当社は既存の契約データを新システム稼働と同時に一斉移行することにしたのです」と、取締役 執行役員の渡辺 貴司氏は語ります。 MS&ADシステムズと日立は、既存システムからの出力データと新システムの可視化されたデータ項目の関連づけを行い、互換性のあるデータ入出力仕様を採用することで、連休の3日間

5 はいたっく2013-12

基幹システムの再構築を決断

既存契約データの一斉移行にも挑戦

※1 Total Cost of Ownership

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社取締役 執行役員

渡辺 貴司 氏

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社IT推進部長

今井 泰 氏

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社契約サービス部長

的場 英基 氏

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社契約サービス部事務企画グループ 課長

安藤 祐遵 氏

MS&ADシステムズ株式会社生保システム第二部長兼 生保ITサービス部長

村瀬 進 氏

MS&ADシステムズ株式会社生保システム第二部MSプライマリー開発第一グループ長

鈴木 邦典 氏

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で既存契約データを一斉移行。既契約分のお客さまデータも一本化されたことで、今後の運用・保守の効率が大幅に向上しました。 「データ移行は非常に難しいミッションでしたが、日立さんと入念なリハーサルを繰り返し、本番時にはトラブルなく移行できました」と村瀬氏は笑顔を見せます。 日立はこの間、フロントシステムでも採用されている帳票ツールuCosminexus EURを、オンライン入力時の検証リストやチェックシート、バッチ処理結果リストなどに利用して効率的なシステム開発を進める一方、周辺システムとのバッチジョブネットをJP1/AJS3※2で実装し、一連の業務処理の自動化とスピードアップ、運用性の向上を実現。プロジェクトは予定どおり2013年5月に終了し、新・契約管理システムが本稼働を開始しました。

 「サーバのキャパシティ増強と二重化により、契約件数増加への準備が整い、懸案事項だった夜間バッチの処理時間も大きく短縮されました。また、システム障害時の復旧に要する時間を大幅に短縮できました」と語るのは、MS&ADシステムズ 生保システム第二部 MSプライマリー開発第一グループ長の鈴木 邦典氏です。契約サービス部 事務企画グループ 課長の安藤 祐遵氏も、「朝のオンライン開始時間が早まっただけでなく、契約照会画面がより使いやすくなったことで、お客さま対応をより迅速に行えるようになったとコールセンターのコミュニケーターにもたいへん好評です。また、年金や給付金支払の早期化など、お客さまサービスも向上しました」と語っています。 こうした機能強化を、契約サービス部長の的場 英基氏は「11年前の開業時は新規契約を適切に管理することがメインでしたが、お客さまとの長期的なお付き合いの中で、契約内容の見直しや、名義の変更といったメンテナンスも重要な業務になっています。新システムでは契約内容照会の項目を精査したこと

で、お客さまの異動履歴が非常に見やすくなり、よりスムーズに対応できるようになるなど、業務品質が向上したと思います」と高く評価しています。

 2年にわたるシステム開発プロジェクトを支援した日立に対して今井氏は、「当社の求める高水準の品質要求に、日立さんは応えてくれました。今後も継続的なご支援をお願いしたいと考えています」と評価。村瀬氏も「日立さんはプロジェクト管理がしっかりしている印象を受けます。難しい局面がいくつもありましたが、早期の段階から、よりよいシステムを一緒に作っていこうという熱い想いを共有できたのが成功の秘訣だったのかもしれません」と語ります。 新しい契約管理システムの基盤が整備されたことで渡辺氏は、「基幹系以外の営業領域、代理店支援などの周辺システムに、より戦略的なIT投資が可能になるでしょう。今回のシステムを核に、他社にはまねのできない新商品やサービス開発を進めながら、さらなるサービスの向上や事務処理の効率化を追求していきます」と力を込めます。 その期待に応えるため、これからも日立は三井住友海上プライマリー生命の企業価値向上を支援するシステムソリューションを積極的に提案していきます。

お問い合わせ先

6はいたっく2013-12

お客さま対応機能の利便性が大幅に向上さらなるシステム強化で競争力をアップ

(株)日立製作所 金融システム営業統括本部 事業企画本部  http://www.hitachi.co.jp/finance-inq/

※2 JP1/Automatic Job Management System 3

■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/finance/

本 社

設 立資 本 金従業員数事業内容

東京都中央区八重洲1-3-7八重洲ファーストフィナンシャルビル2001年9月7日657.95億円(資本準備金 247.35億円を含む)342名(2013年3月31日現在)生命保険業

三井住友海上プライマリー生命保険株式会社

三井住友海上プライマリー生命に導入されたシステムの概要

ユーコズミネクサス

業務部門

契約管理システム

点線部:今回の刷新範囲

各種社内システム

契約サービス

コンタクトセンタ

契約管理アプリケーション データ提供機能

契約 お客さま

統合DBサービス

Windows Server® 2008SQL Server 2008 R2uCosminexus EUR

【主要ソフトウェア】 .NET FrameworkJP1

新契約

保全異動

特別勘定年金

お客さま管理

* 所属・肩書きは2013年9月30日時点のものです

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 2020年の夏季オリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが決定しました。日本の多くの人が待ち望んだ決定の瞬間をニュースで目にした方も多かったでしょう。会場となるのは、1964(昭和39)年の五輪で使用された施設が残っているエリアと、ウォーターフロントに位置する東京ベイエリアの2つです。東京ベイエリアには10か所ほどの競技施設が建設・整備される予定となっています。そこで今回は、東京ベイエ

東京都 港区・品川区・江東区・墨田区(取材日:2013年11月)

トラベルウォーキング

リアの「お台場」や「夢の島」を散策するとともに、世界的な大都市・東京に今なお残る江戸情緒を味わいます。 スタートは、船の科学館で一般公開されている初代南極観測船「宗谷」から。船の内部も見学します。寝室や食堂、浴室、治療室などに細かく分かれた内部は、当時の乗組員の暮らしぶりを彷彿とさせます。そこかしこに見られる傷痕は6次にわたって南極へ赴いた「宗谷」の苦闘を物語るものです。そんな本物ならではのリアリティから、数々のドラマや映画の撮影に使われたそう

です。「『宗谷』は太平洋戦争前に旧ソ連向けの貨物船として建造され、戦争中は特務艦として使用されたことを初めて知りました。さらに南極観測船になったとは、本当に数奇な運命ですね。今、間近に見ることができてうれしいです」と、櫻井 由佳理さんは、感動を隠せません。 次に皆さまが向かったのは、「お台場海浜

公園」。入り江を望む開放的な公園は、癒やしのスポットとして大人気です。そもそもお台場は、江戸幕府が黒船来襲に備えて築いた砲台場、品川台場にちなんだ地名。ペリーが浦賀に来航した翌月の1853(嘉永6)年8月に着工し、わずか1年3か月の間に6基の砲台を完成させたというから驚きです。現在2基残る台場のうち、「お台場海浜公園」から間近に見渡せるのは第三台場。左手にはレインボーブリッジの姿も見えます。「2020年には、ここで競技が行われ多くの観客がその熱戦を見に来るのでしょうね。そんな盛り上がりが目に浮かぶようでワクワクしてきます」と、松木 綾子さんは期待に胸をふくらませます。 またもう一つの競技場候補地とされる「夢の島公園」。皆さまはその一角に立つ「夢の島熱帯植物館」を訪れます。大きなガラスでできたドーム型温室は、江東清掃工場のゴミ焼却熱の余熱を利用した施設。熱帯植物と私たちの生活との関わりをテーマにしており、館内は木性シダと水辺の景観や、ヤシと人里の景観を再現、さらには東京の亜熱帯・小笠原の植物を集めた展示も。「コチョウランなどのらんは、亜熱帯地方の植物だったんですね。今まで気に留めてい

2020年東京五輪の会場となるウォーターフロント

130

2020年東京五輪の舞台、江戸情緒の街を訪ねて。ウォーターフロントと両国を歩く近年、都心の観光スポットとして大人気の東京・臨海副都心。ウォーターフロントの開放的な公園をはじめ、見どころが満載というだけでなく、2020年東京五輪の舞台となることでも注目を浴びています。今回のトラベルウォーキングは、このベイエリアに加え、江戸情緒を今なお残す両国の名所を訪ねます。コミュニケーション分野において「お客さまの業務効率向上と事業発展のため、新たな価値を創造し、提供する」、株式会社日立ドキュメントソリューションズの皆さまと、東京の未来・現在・過去を知る旅に出かけます。

「江戸東京博物館」シックな朝野新聞の建物を背景に

7

「夢の島公園」

五輪選手になった気

持ちでダッシュ4

「江戸東京博物館」中村座の前で歌舞伎役者のポーズ

ウォーキングのスタートは初代南極観測船「宗谷」

1

6「宗谷」操舵室で南極観測隊の気分!?

2「お台場海浜公園」のシンボル、自由の女神像を背に

3都会のオアシス「旧安田庭園」

8

ほうふつ

7 はいたっく2013-12

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ませんでした。見頃の花や果実などの表示があってとても親切ですね」と、櫻井さん。

 ウォーターフロントを後にした皆さまは、両国の「江戸東京博物館」へ。約400年にわたる東京の変遷をたどることができる内容充実の常設展示は実に見応えがあります。館内は海外からの観光客や、見学に訪れた小・中学生、シルバー世代などでいっぱい。「江戸ゾーン」と「東京ゾーン」に分かれた常設展示室は、江戸時代の芝居小屋・中村座の正面部分や日本橋の北側半分が原寸大で復元され、日本橋は渡ることもできます。 さらに、皆さまは「旧安田庭園」へと足を延ばし、ここからすみだ観光ガイドの会のガイドさんに案内してもらいました。1688~1704(元禄年間)年に笠間藩主・本庄宗資が大名庭園として造園したもので、安田財閥の祖・善次郎が所有後、当時の東京市に寄付したことから名付けられたようです。心字池を中心に散策路が整備され、こぢんまりとしながらも江戸名園の一つに数えられていたそうです。大きな特徴は、隅田川の水を引いて潮入式の回遊庭園であること。潮の満ち引きによって見え隠れする岩や護岸、浮沈する島などの景観の変化を楽しんだといいます。導水溝は埋められ、水門も廃されましたが、1967(昭和42)年に墨田区に移管されたのを機に、潮入も人工的に復元され、かつての名園の姿を取り戻しました。

 そしてトラベルウォーキングのゴールは、「吉良邸跡(本所松坂町公園)」です。吉良家の格式を示すなまこ塀に囲まれた小さな一角は、1702(元禄15)年12月14日、赤穂の四十七士が討ち入りした『忠臣蔵』の舞台。敷地内には、みしるし洗いの井戸のほか、吉良上野介を祀った松坂稲荷もあります。「『江戸東京博物館』を見学しに両国へ来たことがありますが、まだまだ江戸の面影を残す場所があるんですね。ガイドさんの詳しい説明もあって、この街に江戸以来の歴史が脈 と々息づいていることを実感しました」と、大山 和幸さんは、あらためて感心しきり。

 長らくご愛読いただいた「トラベルウォーキング」も今回が最後。皆さまがお住まいの街にも意外と知らない歴史や文化が眠っているかもしれません。休日には、心身のリフレッシュを兼ねて、地元を探訪するトラベルウォーキングにチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

江戸の面影を今に伝える両国の名所

とし田は、1921(大正10)年に創業した和菓子の老舗。店内には、きれいな色合いの、お茶会で用いる干菓子や半生菓子のほか、国技館のそばで販売を始めてからつくるようになった相撲にちなんだ和菓子がずらり。かわいい力士が土俵入りしている姿が描かれている「両国力士もなか」は自慢の一品です。最近は、漫画家はすまるさんのキャラクター「すもうねこ」のどら焼きも、若い女性の人気を集めているそうです。

東京都 港区・品川区・江東区・墨田区 130

「両国力士もなか」

観光お問い合わせ先●港区観光協会  TEL(03)3433-7355 http://www.minato-kanko.com●墨田区観光協会  TEL(03)5608-6951 http://visit-sumida.jp/●江東区観光協会  TEL(03)6458-7400 http://koto-kanko.jp/

お問い合わせ先

ご参加いただいた株式会社日立ドキュメントソリューションズの皆さま

両国 半生菓子司 とし田 TEL(03)3631-5928 http://members2.jcom.home.ne.jp/toshida/

大山 和幸さん(日立グループコミュニケーション本部 カスタマーサポート第三部)(写真右)

今回は、行きそうでなかなか行かない場所を探訪するよい機会でした。下町は歩いて味わうところですね。ふだんストレッチをするぐらいで運動はさっぱりですが、また両国を巡る小さな旅をしたいですね。

松木 綾子さん(日立グループコミュニケーション本部 カスタマーサポート第一部)(写真左)

残業のない日はジョギングをするなど、体を動かすのが大好き。このウォーキングも仕事を忘れて、楽しめました。もの知りのガイドさんにもびっくり。住んでいる東京ですが、新しい発見がいくつもありました。

櫻井 由佳理さん(印刷メディア事業本部)(写真中央)

社内ではできるだけエレベーターには乗らずに階段を歩くようにしていますが、今日は体力を使いました。それでも両国巡りは初めて尽くしで、非常に楽しめました。こういう機会があれば、ぜひまた参加したいですね。

設  立従業員数事業内容

1955年10月1日1,460名(2013年10月現在)広告およびコミュニケーション関連業務、システム開発、エンジニアリング支援業務、ドキュメント管理業務、複合コピー機一括管理業務

株式会社日立ドキュメントソリューションズ本社:東京都千代田区神田練塀町3番地TEL 03-4554-2000(代)http://www.hitachi-document.co.jp/

甘さ控えめのつぶしあんと焼皮の香ばしさが自慢お相撲さんも大好物の「両国力士もなか」▲

10

赤穂浪士が討ち入りした「吉良邸跡」

南国の雰囲気を満喫できる「夢の島熱帯植物館」5

9

力士もなか」▲

京葉本線

東京湾

お台場海浜公園

至 両国

船の科学館

4 5

1

3

2

夢の島公園

夢の島熱帯植物館

東雲JCT

有明JCT

辰巳JCT

総武本線両国駅

旧安田庭園

両国JCT首都高速7号

江戸東京博物館

至 夢の島

半生菓子司とし田

吉良邸跡

隅田川

8

6 7

10

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 大手ゼネコンの清水建設にとって、BCPは自社の経営資産を守るだけでなく、被災地の復旧・復興支援や、お客さま支援をする上でも最重要のテーマです。このため同社の情報システム部では東日本大震災以降、社内システムの基幹系データベース基盤である「統合Oracle環境」のディザスタリカバリ(以下、DR)環境構築に取り組んできました。 「Oracle 11gで構築された統合Oracle環境では、大小合わせて100以上の業務システムが稼働しています。このデータベース基盤に問題が起こると、当社の業務の大半が停止してしまいます。これまでも災害時でも業務を復旧できるDR環境の構築は行ってきましたが、東日本大震災の教訓を受け、想定外の事態に対応可能なDR環境の構築が必要だと考えました」と語るのは、情報システム部 インフラ企画グループ グループ長の市橋 章宏氏。同じくインフラ企画グループ 課長の武井 英明氏も「構築後4年を迎えるデータベース基盤では、増え続ける業務を支える処理能力の向上も重要なテーマとなっていました。そこで基盤更改を契機に、DRと性能向上という2つのテーマを実現する新基盤の検討を開始したのです」と語ります。

 清水建設が選択したのはVMware vSphere®による仮想化でした。「DRでのデータ移動性と性能向上、コストの最適化をともに実現するには仮想化しかないと判断しました。そこで、既存の統合Oracle環境を構築していただいた株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)さんに要件定義の段階から参加していただき、VMware vSphere®

による仮想化と、そのVM(仮想マシン)のフェイルオーバーを自動化するVMware vCenter™ S i te Recovery Manager(SRM)によるDRというプランを採用しました。OracleとVMware®双方に精通した日立ソリューションズさんには大きな信頼を寄せていましたので、不安は何もありませんでした」と市橋氏は振り返ります。 DRと性能向上の要となるストレージ基盤には、HUS VMが選ばれました。「ハイエンドクラスの性能とコストパフォーマンスの高さ、100km以上離れたリモートサイトにほぼリアルタイムでのレプリケーションを実現できる非同期リモートコピー機能Hitachi Universal Replicator(以下、UR)が使えることなどが決め手となりました」と武井氏は語ります。

9 はいたっく2013-12

プラットフォーム & ソリューション・ケーススタディ

統合Oracle環境のBCPが急務に VMware®の実績と日立ストレージの信頼性を評価

Platform & Solutioncase study

清水建設株式会社 ▶ http://www.shimz.co.jp/

日立ストレージの先進技術とVMware vSphere®による仮想化でデータロスのないディザスタリカバリと処理能力の高速化を実現

「子どもたちに誇れるしごとを。」を企業理念に、数多くの建造物を世に送り出してきた清水建設株式会社(以下、清水建設)。世界遺産に登録された文化遺産の保存・再生を数多く手掛けていることでも有名で、近年では伝統と最先端を融合させた東京・銀座のランドマーク「歌舞伎座」再生プロジェクトでも話題となりました。東日本大震災以降、BCP※の策定を最重要課題と位置づけていた同社は、このたび基幹系のOracle データベース基盤をVMware vSphere®で仮想化し、VMware vCenter™ Site RecoveryManagerとHitachi Unified Storage VM(以下、HUS VM)の連携により、万一の際にもわずか30分で復旧できるディザスタリカバリ環境を構築しました。

清水建設株式会社情報システム部インフラ企画グループ坂口 優太 氏

清水建設株式会社情報システム部インフラ企画グループ課長武井 英明 氏

清水建設株式会社情報システム部インフラ企画グループグループ長市橋 章宏 氏

清水建設株式会社情報システム部システム運営グループ課長寺平 将高 氏

※ Business Continuity Plan:事業継続計画

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HCAセンタ  0120-2580-12利用時間 9:00~12:00、13:00~17:00(土・日・祝日を除く)

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 清水建設と日立グループは、東京と群馬のデータセンターに、同一構成のVMware vSphere®環境を構築し、SRMとURの機能を利用して、リアルタイムに業務データとバックアップデータが同期できる環境を構築。万一の際のサイト間切り替えは約30分。データロスもほとんどないため、リモートサイトですぐに業務を再開できるようになります。投資対効果を高めるため、リモートサイトでは平常、ステージングと開発環境を稼働させています。 「本来なら双方のサイトに本番環境を用意しますが、VMware vSphere®の柔軟性を生かし、通常は開発用に使っているリモート側のリソースを非常時はシュリンクさせて本番用に用いることで、コストの最適化を図りました」と、システム運営グループ 課長の寺平 将高氏は説明します。 正サイトのHUS VMではSASディスクに加えて高速なSSDも適用されており、ストレージ階層仮想化機能Hitachi

Dynamic Tieringを使ったアクセス性能の高速化とストレージ階層の効率利用を実現。最新鋭のCPUを搭載したHA8000サーバとの連携で、SQLのレスポンス性能が最大10倍に向上し、10時間かかっていたバッチ処理も約30分で終了するようになりました。 システム構築を支援した日立ソリューションズと日立に対してインフラ企画グループの坂口 優太氏は、「日立さんは実質2か月という短期間で、これだけ大規模なデータベース基盤の仮想化とDRを見事に実現してくださいました。そのスピード感と問題解決能力の高さには本当に驚かされました」と高く評価します。今後も清水建設は、物理環境で稼働しているOracleデータベースを順次、VMware®の統合Oracle環境へ移行するとともに、より高性能なオールフラッシュのストレージの適用も検討しています。200年を超える歴史を持つ清水建設のシステムを、これからもVMware®製品と日立のプラットフォームが支えていきます。

わずか30分での事業継続を実現。処理性能も10倍に。

Platform & Solution case study

お問い合わせ先

■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/storage/

システム構成例

本 社創 業従業員数事業内容

東京都中央区京橋2-16-11804年11,050名(2013年4月1日現在)「子どもたちに誇れるしごとを。」をコーポレートメッセージとし、誠実さと強い責任感を持ちながら、社会人として恥じない、そして専門家として誇れるような仕事をし、次の時代に財産となるものを残すことをめざし、建築、土木、機器装置等建設工事の請負、建設工事に関する調査、企画、研究、評価、診断、地質調査、測量、設計、監理、マネジメントおよびコンサルティング業務、など多岐にわたる事業を展開している。

清水建設株式会社USER PROFILE

本 社設 立従業員数事業内容

東京都品川区東品川4-12-71970年9月21日9,898名(単独/2013年9月30日現在)「私たちは『日立精神』の下に、確かな技術と先進ソリューションの提供を通じ、お客様と地球社会の発展に貢献する」を企業理念とし、コンサルティング、システム開発、運用・保守、製品・サービス提供など幅広い事業を手がけている。

株式会社日立ソリューションズPARTNER PROFILE

http://www.hitachi-solutions.co.jp/

メインサイト リモートサイト/開発環境

VMware vCenter TM Server

Site Recovery Manager

VMware vCenter TM Server

Site Recovery ManagerSRM保護グループ

Oracle Database Enterprise Edition

VM VM VM

HA8000

HA8000

HUS VM

Oracle Database Standard Edition

非同期型リモートコピー機能(Hitachi Universal Replicator)

HA8000

HA8000

HUS VM

VMware vSphere®

VM VM VM

VMware vSphere®

VM VM VM

VMware vSphere®

VM VM VM

VMware vSphere®

SRM保護グループ

●本記事は日立発行の事例パンフレット(2013年11月作成)を転載したものです。

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 サーバサービス、クライアントサービスと親和性の高い「ファイルサーバ提供サービス」は、お客さま企業の文書ファイルや、画像、動画などの非構造データを格納するスケーラブルなファイルサーバ環境を利用できるサービスです。社内ファイルサーバと同様のファイル操作を実現するほか、クラウドならではのメリットを生かし、資産保有リスクを減らしシステムの調達・構築期間を短縮、運用コストを低減します。事業継続に欠かせない重要データの保全も実現します(図2)。 本サービスは、次のような特徴を備えています。

お客さまADサーバと連携したアクセス制御とアクセスログの取得で不正アクセスを管理

 情報共有範囲を拡張する際に課題となるアクセス制御は、お客

さまのAD※2サーバと連携し、ユーザー認証をします。また、アクセスログ利用オプションを契約することで、不正アクセスがあった際の確認に必要なアクセス管理もワンストップで提供いたします。

ローカルバックアップ+遠隔地バックアップで災害時にも迅速に復旧

 世界トップクラスの日立のストレージ技術を生かした高度なバックアップ環境を提供します。お客さま自身でバックアップシステムを準備・運用することなく、データセンター側でシステム無停止による日次ローカルバックアップを標準で提供します。 災害時の事業継続に欠かせないデータ保全も、遠隔地バックアップオプションを契約することでメインデータセンターとリモートデータセンター間でバックアップを実施します。ローカルバックアップ、遠隔地バックアップはショートカットファイルのみリストアすることで、データへのアクセスが可能となり、業務が再開できるまでの時

間を約96%削減できます。また、スナップショットの保存世代数は、お客さまが任意で指定することで複数世代のバックアップ取得が可能です(図3)。

お客さま自身でファイルシステムの設定変更が可能

 お客さま自身でファイルシステムの管理を行いたい場合、管理コンソールからファイルシステムの設定ができます。 ファイル

ITシステムの導入・運用に関わるコスト削減や、大規模災害に向けたBCP※1対策の強化を目的に、クラウドの適用範囲が広がってきています。そのような中、サーバサービス、クライアントサービスを利用されているお客さまからの要望を受け、高い評価を得ているHarmonious Cloud プラットフォームリソース提供サービスのラインアップに「ファイルサーバ提供サービス」を追加。お客さまのデータを堅ろうなデータセンターに格納し、月額課金で付加価値の高いファイルサーバ環境を利用できるサービスを提供開始しました(図1)。

月額料金で高信頼の環境を提供するプラットフォームリソース提供サービス(ストレージサービス)「ファイルサーバ提供サービス」

11 はいたっく2013-12

「ファイルサーバ提供サービス」の特徴

※1 Business Continuity Plan

図1 プラットフォームリソース提供サービスの体系

 情報共有範囲を拡張する際に課題となるアクセス制御は、お客プ、遠隔地バックアップはショートカットファイルので、データへのアクセスが可能となり、業務が再

間を約す。また保存世が任意複数世取得が

お客さファイ設定変

 お客システい場合からフ定がで

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図1 プラットフォームリソース提供サービスの体系

目的別・用途別サービス

サーバサービス(PaaS*1) クライアントサービス(DaaS*2) ストレージサービス(STaaS*3)

共通オプションサービス

ネットワークサービス

SAPシステム向け基幹業務クラウドスイート

導入支援、オペレーション代行、SSL証明書取得・・・

導入効果試算アセスメント

Standardモデル

CustomizeProモデル

コンテンツマネージドサービス

データマネージドサービス

サーバサービス専用オプション クライアントサービス専用オプション ファイルサーバ提供サービス

クライアント導入サービス

Desktop

VPN*4接続、帯域保証インタネット接続、ロードバランシング、個別ファイアウォール・・・

*1 Platform as a Service *2 Desktop as a Service *3 Storage as a Service *4 Virtual Private Network

Active Directory※2

ハーモニアス クラウド

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サーバのディスク使用量の確認、クォータ(ユーザーごとのディスク容量割り当て)の設定と確認、フォルダへのACL※3設定と確認、各種ログの参照などの機能を提供します。

 「ファイルサーバ提供サービス」は、企業内に散在するお客さまのデータを、信頼性の高いクラウド上に一元的に収集・蓄積できる環境を提供することで、企業価値の向上に寄与する新たなデー

タ活用基盤として利用することができます。 日立では、ビッグデータ時代の情報利活用に向け、多種多様なファイルやコンテンツを簡単に参照できるようにするコンテンツクラウド、それらのファイルやコンテンツを、さまざまな切り口で分析したり、他のアプリケーションからも活用できるインフォメーションクラウドを提案し、お客さまのビッグデータ利活用を支えるサービスを提供しています。 さらに企業内データの高付加価値活用を支援するソリューションやSIサービスを多数取りそろえていますので、ぜひ併せてご活用ください。

お問い合わせ先

12はいたっく2013-12

インフォメーションクラウドの構築も支援

図2 ファイルサーバ提供サービスの概要

図3 ファイルサーバ提供サービスのバックアップ機能

図2 ファイルサーバ提供サービスの概要

(株)日立製作所 クラウドサービス事業部   http://www.hitachi.co.jp/cloud-inq/

■ 情報提供サイト   http://www.hitachi.co.jp/cloud/

お客さま環境

図3 ファイルサーバ提供サービスのバックアップ機能

ADサーバ

管理者

管理者

お客さま

お客さま

管理コンソール

Harmonious Cloudセンタ(メインデータセンター)

サーバサービス(PaaS)

クライアントサービス(DaaS)

Harmonious Cloudセンタ

(リモートデータセンター)

バックアップ

お客さ

管理者

*1 帯域保証回線利用のみサポート

ハードウェアリソース 管理

ファイルサーバと連携し認証管理

管理コンソールから簡単管理(クォータ設定、ACL設定 等)

バックアップバックアップク

ローカルバックアップを標準で提供

遠隔地へのバックアップも要望に応じて可能

ストレージサービス(STaaS)ファイルサーバ提供サービス  

Harmonious Cloudセンタ(メインデータセンター)

Harmonious Cloudセンタ

(リモートデータセンター)

利用

初期割当ディスク容量

追加データ領域

アクセスログ格納領域

スナップショット領域

ローカルバックアップ

遠隔地バックアップ

ファイルサーバ

バックアップ時もシステム停止せず、利便性も向上

スナップショットのスケジュールなどの設定

ファイルの削除ミス等でファイルを戻したい場合は

スナップショットからお客さま自身で復元することが可能

ローカルバックアップを標準で提供

遠隔地へのバックアップも要望に応じて可能

ストレージの機能を使いクラウド側でバックアップを取得するため、システム管理者による作業も、システム停止も不要

Access Control List※3

VPN回線(別途契約)

*1

・・・バックアップ

ファイルサーバを利用

ファイルサーバを利用

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手荷物に付着した爆発物成分を自動検出する「爆発物探知技術」空港や鉄道など重要施設でのテロ対策が世界的な課題となる中、中央研究所は手荷物などに付いた爆発物の成分を最短5秒で自動検出する探知機を開発。既存のX線検査装置に併設すれば、スピーディな全数検査が行えるため、さまざまな場所でのテロ防止に有効なシステムとして期待が寄せられています。

今回のテーマである爆発物成分検査とは、どのような検査方法なのでしょうか。

坂入 テロなどに使われる爆発物を検出する方法は、現在大きく2つあります。一つはX線検査装置などによる「バルク検出」で、手荷物を物理的に計測し、爆発物や起爆用の電子回路などを見つけ出す仕組みです。この方法は、対象が少量だったり形状が異なったりすると探知が難しく、その物

質を特定できない可能性があります。 もう一つが、微量の化学成分を検出することで爆発物の痕跡を発見する「トレース検出」です。爆発物を取り扱うと、手や荷物にその微粒子が付着することに着目した方法です。手荷物の表面を人手で拭き取り、検査装置にかける作業が必要なため、探知に数十秒はかかります。このため欧米の空港などですでに導入されてはいますが、時間と人手との兼ね合いから、一部の抜き取り検査にとどまっています。

永野 双方の技術とも完全ではないため、相補的に2つの探知技術を併用することが、効果的にテロを防止できるという認識が高まっています。日立は1995年ごろから、より誤報率の少ないトレース検出技術の自動化に取り組んできました。開発にあたって重視したのは、設置スペース効率を高め、違和感をなくすよう、既存の施設や装置と一体的に運用できることでした。

橋本 そこで2012年に日本信号株式会社、国立大学法人山梨大学と共同で開発したのが、ゲートを通過するだけで爆発物成分を自動検出する「ゲート型爆発物探知装置」です。空港や駅の改札機とほぼ同じサイズの装置で、搭乗券やICカード認証の際、手元に温風を吹き付け、付着した成分を捕集した後、質量分析計によって約1~2秒で検知できます。搭乗ゲートや入場ゲートの代わりに設置すれば、違和感なくスピーディに爆発物検査が行えます(図1左)。

そこで使われる質量分析とは、どのような技術なのですか。

橋本 分子の重さを求める計測技術であり、通常は研究室などで用いられる専門の計測機器に用いられています。中央研究所は質量分析技術に関して、50年以上に及ぶ研究実績を持っており、近年、これをオンサイトで利用するための技術開発を行ってきました。本装置では、爆発物の微粒子を加熱して気化させたあと、分子をイオンに変

既存の施設や装置との一体運用をめざして

爆発物成分の採取・濃縮・分析をリアルタイムに実現

中央研究所

図1 ゲート型と手荷物対応型の爆発物探知装置

中央研究所 主管研究長理学博士

坂入 実

中央研究所 ライフサイエンス研究センタ メディカルシステム研究部

ユニットリーダ 主任研究員 学術博士

橋本 雄一郎

です。この方法は、対象が少量だったり形状が異なったりすると探知が難しく、その物

違和感をなくすよう、既存の施設や装置と一体的に運用できることでした。

そうな技

橋本通常測機質量研究イトでした熱し

爆発物リアル

*協力:株式会社日立パワーソリューションズ*日本信号株式会社、国立大学法人山梨大学と共同発表

ゲート型爆発物探知装置(乗客の手・触れたものを検査対象)

手荷物対応型爆発物探知装置(全手荷物を検査対象)

図1 ゲート型と手荷物対応型の爆発物探知装置

*日本信号株式会社、国立大学法人山梨大学

り、通計測は質ぶ研サイきま加熱

*協力:株式会社日立パワーソリューションズ表

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換します。生成したイオンを真空中で電界を用いて重さに相当する質量電荷比ごとに分離して、それぞれの強度を計測することで、どのような物質がどのくらい存在するかがわかる技術です。軍用爆薬や手製爆薬の主成分は、それぞれ特有のイオンを発生するため、質量分析計で、どの爆発物かが短時間かつ高精度に同定できるのです。

坂入 そして今回、同じ技術を適用して開発したのが、機内持ち込み手荷物の爆発物探知装置です。ゲート型が人に付着した爆発物成分を分析するのに対し、この装置はさまざまな大きさの手荷物に付着した成分を自動的に分析します。既存のX線検査装置の手前に設置できるため、バルク検出とトレース検出が一度に行える利便性と、滞りなく全数検査が行えるスピードが大きな特徴となっています(図1右)。

手荷物からどのように爆発物成分を検出していくのですか。開発時の苦労点も含めて教えてください。

永野 X線検査装置の手前にベルトコンベア状のシステムを作り、ここに手荷物が入ると5つのノズルから空気流が噴出され、付着した微粒子を飛ばし、反対側の壁から回収して質量分析計へ導入します。この際、大きさが異なる手荷物から、いかにむだなく微粒子を剥離するかのノズル配置や噴射

タイミングの制御に工夫をこらしました。

菅谷 微粒子を採取する際に必要な空気は1分あたり1,000リットルにもなります。このまま微粒子が含まれた空気を分析計に導入しても、濃度が薄いため検出が困難です。そこで掃除機などに用いられているサイクロン技術を使った遠心分離濃縮技術を開発し、2リットル程度の微粒子が含まれた空気に濃縮・加熱し、イオンを取り出し分析計にかけるまでをリアルタイムに実行できるようにしました(図2)。

サイクロンを組み合わせたことでスピード化が実現したわけですね。

菅谷 私たち高度試作開発センタは研究部門と協働しながら、さまざまな機器のプロトタイプを開発する役割を担っています。今回も、必要とされた各種機能を実現するため、幅広い機械系・制御系の技術を投入しました。特に空気を瞬時に圧縮するにはサイクロンが有効であると判断し、その技

術と流体解析シミュレーションの知見を持つ日立研究所の協力もあり、満足できる機能を実装できました。

永野 今回の試作機は、付着成分の高精度な検査を最短5秒で行えます。株式会社日立パワーソリューションズの協力を得て、実際のX線検査装置と直結させた際も、微粒子検査とX線検査を連続して実施できることを確認しました。これにより、機内への危険物や爆発物の持ち込み防止や、より安全な空港利用の実現に寄与できると考えています。

坂入 これまで爆発物成分のトレース検査を自動化する試みは、世界中のさまざまなメーカーで検討されてきました。しかしそれを実用レベルに仕上げたのは今回が初のケースで、世界中の専門メーカーや研究機関から、数多くのお問い合わせをいただいています。

今後の展開は。

坂入 ゲート型も手荷物対応型もグローバルで通用する技術だと思いますので、実用化に向けた製品開発を進めながら、国内外の空港や鉄道、さまざまなイベント会場や重要施設などのセキュリティ強化に向けた提案活動を行っていきます。

期待しています。本日はどうもありがとうございました。

(株)日立製作所 中央研究所  https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/hqrd/rd/jp/form.jsp

お問い合わせ先

中央研究所 企画室 高度試作開発センタ ユニットリーダ 主任技師

菅谷 昌和

中央研究所 ライフサイエンス研究センタ メディカルシステム研究部 主任研究員

永野 久志

図2 手荷物対応型爆発物探知装置の構造

換します 生成したイオンを真空中で電界を タイミングの制御に工夫をこらしました

術と流つ日立能を実

永野 度な検日立パ実際の粒子検ことを確険物や全な空ていまて ま中央研究

図2 手荷物対応型爆発物探知装置の構造

本研究開発は、文部科学省の「社会システム改革と研究開発の一体的推進」事業における「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」により実施したものです。

① 大きさの異なる手荷物から、微粒子を剥離ノズルの配置と高速空気流の噴射タイミングの制御(採取技術)

② 微粒子を効率的に回収回収した微粒子を衝突壁にあて、大型サイクロンに導入し、濃縮(濃縮技術)

③ 5秒以内で検査終了微粒子を加熱、気化して、高感度質量分析計で分析(質量分析技術)

1

2

3

分析結果表示

メッシュフィルター

質量分析計

加熱

エアーノズル

サイクロン

世界初となるトレース検査の自動化

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クラウド型コミュニケーションサービス「CommuniMax/CT」の特長

 本サービスは、基本的な電話機能を月額料金※2で利用可能なクラウド型サービスです。電話環境の構築に必要なPBX※3や各種サーバなどの設備をさまざまな企業や官公庁内に保有する必要がないため、初期投資だけでなく、機器のメンテナンスや運用管理コストも抑えながら、企業内の電話環境を迅速に立ち上げることが可能です。 基本的な電話機能を提供する「標準サービス」に加え、PBXサーバの二重化で障害発生時にはバックアップサーバへ自動的に切り替わる「高信頼版サービス」、VPNの閉域網を利用して高度なデータセキュリティを実現する「高セキュリティ版サービス」も提供します。

 PCやスマートフォンのポータル画面に、電話帳やコンタクトリスト、電話をかける相手が通話中かどうかなどのプレゼンスを一覧表示できるUCポータル機能を提供し、さまざまな企業や官公庁内のコミュニケーション活性化を支援します。今後は、在席表示やインスタント

メッセージ、ビデオ会議、社内SNS※4なども順次連携し、さらなる機能強化とコミュニケーションの効率化を図ります。

 専用の内線アプリケーション※5をインストールすることで、スマートフォンを内線電話機として活用できます。データセンター上のサーバを経由して通話着信するV字発信(3PCC※6)機能により、業務用と私用の通話代を区別して利用できます。また、発着信履歴や電話帳データなどは、データセンター側で一括管理できる※7

ため、スマートフォンの紛失時にも情報漏えいを防止します。

 日立のデータセンター内のシステムには、インターネット経由で内線電話を利用できる機能が搭載されており、海外の出張先や拠点からも、スマートフォンなどで定額コストでの内線通話が可能です。本機能は、すでに日立のPBXをお使いのお客さまも、海外拠点との通話コスト削減策として利用が可能です。

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■高信頼なシステムを短期間・低コストで 利用可能

■各種コミュニケーション機能を統合的に 提供するUCポータル

■個人所有のスマートフォンを 業務利用できるBYOD対応 ■グローバル環境でも活用可能

お問い合わせ先

(株)日立製作所 通信ネットワーク事業部http://www.hitachi.co.jp/products/it/network/contact/

サービスの利用イメージ

プラットフォーム & ソリューション

※2 1内線番号あたり1,800円(税抜き)から※3 Private Branch Exchange

※5 本機能を利用するには、別途スマートフォンの接続利用サービスの加入が必要です

※6 3rd Party Call Control:2者間以上の端末と端末を、第3の装置(3rd Party)から操作し接続する技術

※7 発着信履歴の管理が可能な機種はAndroid搭載端末となります

※4 Social Networking Service

コミュニマックス シーティー

※1 Bring Your Own Device

■ 情報提供サイト  http://www.hitachi.co.jp/products/it/network/communimax/cloudservice/

環境を

標準重化でへ自動VPNキュリビス」

電話手が通表示でまな企性化をタント

用できます。また、発着信履歴や電話帳データなどは、データセンター側で一括管理できる※7

のPBXをお使いのお客さまも、海外拠点との通話コスト削減策として利用が可能です。

サービスの利用イメージ

インターネット

日立データセンター

本店

支店

海外拠点

外出先

スマートデバイスBYOD対応

外出先からの電話

(3PCC)

海外出張先

スマートデバイスBYOD対応

UCポータル

UCポータル

UCポータル

外線収容(既設PBX)

内線発信

公衆網

UCポータル

海外対応端末

CommuniMax/CT

容易・スピーディに導入できるクラウド型コミュニケーションサービス「CommuniMax/CT」

幅広いビジネスで、さらなるスピード化と低コスト化が求められる現在、

電話を核としたコミュニケーション環境にもクラウドを活用する時代が始まっています。

そこで日立は、ネットワーク経由で日立のデータセンターに構築した電話システムを提供する

クラウド型コミュニケーションサービス「CommuniMax/CT」の提供を開始しました。

音声通話だけでなく、ユニファイドコミュニケーション(以下、UC)や個人のスマートフォンの業務利用(BYOD※1)に対応した、

付加価値の高い基盤を迅速・低コストに利用することが可能です。

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16はいたっく2013-12

●本誌記載の内容について社外からの寄稿や発言は、必ずしも当社の見解を示しているわけではありません。画面表示をはじめ、製品仕様は改良のため変更することがあります。

● 本誌記載の他社登録商標※ Windows、Windows Azure、Windows Server、.NET Framework、SQL Serverは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

※ VMware、VMware vSphere、VMware vCenter Site Recovery Managerは、米国およびその他の地域における VMware, Inc. の登録商標または商標です。

※ Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。※ Amazonは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

表紙   富井義夫の世界遺産の旅ヴェルサイユ宮殿(フランス共和国・ヴェルサイユ) 1リアルト橋(イタリア共和国・ヴェネツィア) 2花の小路(スペイン・コルドバ) 3桜咲く姫路城(兵庫県/姫路市) 4アルカサル(ドミニカ共和国・サントドミンゴ) 5ペナ宮殿(ポルトガル共和国・シントラ) 6花壇とフォンテーヌブロー宮殿(フランス共和国・フォンテーヌブロー) 7テヴェレ川とサン・ピエトロ寺院(イタリア共和国・バチカン市国) 8秋桜と嘉峪関(中華人民共和国・嘉峪関) 9朝靄に包まれるオルチア渓谷/ピエンツァ周辺(イタリア共和国・オルチア渓谷) 10夕陽のあたるロッカ・グアイタ(サンマリノ共和国・サンマリノ) 11家の灯りを包むオーロラ(スウェーデン王国・ラポニア地域) 12

●新春メッセージお客さまの夢に、日立の夢を重ね合わせて 1

●新年度のごあいさつお客さまの夢の実現に向けて 4

●特集ビジネス環境の変化に即応するクラウド基盤日立統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform」 1Hitachi Executive Seminar 2013 March日立が考えるグローバルクラウドの方向性~Amazon、salesforce.comとの協創~ 5日立イノベーションフォーラム 2013人 の々夢に応える社会イノベーション~情報活用がリードするビジネスと社会~ 10Hitachi Executive Seminar 2013 Julyマーケティングで進化するビッグデータの利活用 10

●Topics基幹業務向けクラウドサービスへの取り組み 2「実業」のノウハウと「IT」を融合し、お客さまと価値を協創する日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」 3小売業におけるビッグデータ利活用を推進する「流通分析ソリューション」 5日立グループの製造・流通業向け基幹業務ソリューション統一ブランド「FutureStage」誕生~中堅・中小企業向け事業を強化~ 6ビッグデータ利活用におけるプライバシー保護への取り組み 7米国・欧州・アジアをつなぐ「日立イノベイティブ アナリティクス グローバルセンタ」を新設 9日立のヘルスケア事業に関する取り組み 11オープンデータ推進への取り組み 12

●Feature社会保障・税番号制度について 8

●はいたっくるぽ株式会社ファンケル 2ヤマハ発動機株式会社 7

●ソリューション&サービス・ケーススタディ富士フイルムグループ健康保険組合 1千葉県信用保証協会/京都信用保証協会 2西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社 3株式会社ワールドスポーツ 3トヨタ自動車株式会社 4株式会社ノジマ 4北九州市 5

Hitachi Command Suite 7 9ネットワーク高速化装置「日立WANアクセラレータ」の小規模拠点向け「オフィスモデル」 9UCPかんたん仮想化モデル 10OCRソフトウェア「Friendly-OCR」 11クラウド型コミュニケーションサービス「CommuniMax/CT」 12

●OPEN MIDDLEWAREオンデマンド・ミドルウェアサービス 4JP1/Data Highway 6JP1 V10.1 11

●IT's eye ラボラトリーレポート設計支援ソフトウェアを開発(日立研究所) 1グローバルサプライチェーンのトータルコスト算出技術(横浜研究所) 2生体情報を用いた電子署名技術(横浜研究所) 3クラウド向けの認証基盤技術(横浜研究所) 4高速応答ネットワーク技術(中央研究所) 5映像監視ネットワーク向けの「高信頼 無線LAN伝送技術」(中央研究所) 6列車運行と旅客の移動を可視化する「旅客流動シミュレータ」(日立研究所) 7大規模クラウドシステムの省電力化技術(中央研究所) 8自律走行する搭乗型移動支援ロボット「ROPITS」(日立研究所) 9交通事故現場の見取り図をかんたん・スピーディに作成できる三次元レーザ計測システム(中央研究所) 10カメラ1台で室内の空間検知を行える画像処理技術(中央研究所) 11手荷物に付着した爆発物成分を自動検出する「爆発物探知技術」(中央研究所) 12

●トラベルウォーキング新島八重と野口英世の青春の舞台、会津若松を歩く(福島県 会津若松市) 株式会社福島情報処理センター 1“安芸の小京都”竹原と、憩いの小島を巡る(広島県竹原市)株式会社ハイエレコン 2甘い島と遊ぶ島。長崎の異国情緒を巡る(長崎県長崎市)協和機電工業株式会社/株式会社ユースフル 3古い歴史とみなぎる活気の大阪、住吉・天王寺を巡る。(大阪府大阪市) 株式会社ニッセイコム 4由緒ある温泉とこけし発祥の地、宮城県蔵王町を巡る。(宮城県刈田郡蔵王町) 株式会社東北電子計算センター 5瀬戸内海に浮かぶ、詩情豊かな小豆島を歩く(香川県土庄町・小豆島町) 株式会社STNet 6レトロな洋館、古代伝説が息づく杜、歴史ロマンに満ちた名古屋を巡る(愛知県名古屋市)株式会社中部プラントサービス 7山伏の世界から映画ロケ地へと。「タイムスリップの街」鶴岡を巡る(山形県鶴岡市) 株式会社日情システムソリューションズ 8風光明媚な絶景から癒やしの名刹まで。心身を喜ばせる江の島・鎌倉を歩く(神奈川県藤沢市・鎌倉市)株式会社DTS 9雄大な自然のスケールを感じて、開拓の歴史を伝える積丹半島を巡る(北海道積丹町・余市町)エア・ウォーター・ソフテック株式会社 10武田信玄のゆかりの地を訪ねて魅力あふれる甲府を歩く(山梨県甲府市) 日本システムウエア株式会社 112020年東京五輪の舞台、江戸情緒の街を訪ねて。ウォーターフロントと両国を歩く(東京都港区・品川区・江東区・墨田区)株式会社日立ドキュメントソリューションズ 12

●Topics&InformationリテールテックJAPAN2013開催のご案内 2あんしん+1 バックアップキャンペーン 3日立電子行政ショールーム「CyberGovernment Square」 6

※ Salesforceは、株式会社セールスフォース・ドットコムの商品名称です。※ MCFrameは、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社の登録商標です。※ OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。

※数字は月号を表します。2013年 掲載記事索引

富士フイルムビジネスエキスパート株式会社 8福岡県築上町 9日産自動車株式会社 10一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) 10医療法人大分記念病院 11大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所 12株式会社テレビ朝日 12三井住友海上プライマリー生命保険株式会社 12

●プラットフォーム&ソリューション・ケーススタディ株式会社肥後銀行 1ユニー株式会社 1全国柔整鍼灸協同組合 2株式会社オールフォーエスピー 3株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 4ケベック歳入庁(Revenu Québec) 5共同印刷株式会社 5一般社団法人 燃料電池普及促進協会 6大同メタル工業株式会社 7みずほ証券株式会社 8株式会社群馬銀行 8株式会社朝日新聞社 8日本システムウエア株式会社 9東亞合成株式会社 10株式会社J-オイルミルズ 11学校法人日本大学 11清水建設株式会社 12

●オープンミドルウェア・ケーススタディ兵機海運株式会社 10讀賣テレビ放送株式会社 11

●SOLUTION&SERVICEドキュメント統制システム「活文 NAVIstaff」 4ATMクラウドサービス 6健康経営の実現をクラウドで支援する「はらすまダイエット/生活習慣改善」 7TWX-21グローバル大容量データ交換サービス 8自治体向け番号制度導入支援ソリューション 9流通分析ソリューション 9日立WMSパッケージ「HITLUSTER」 11プラットフォームリソース提供サービス(ストレージサービス)「ファイルサーバ提供サービス」 12

●プラットフォーム&ソリューション日立統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform」 1日立アドバンストサーバ「HA8500シリーズ」 2スーパーコンピュータ「SR16000 モデルXN1」「HA8000-tc/HT210」 2仮想化・クラウド基盤向け機能を強化した「BladeSymphony」と「HA8000シリーズ」 2エンタープライズサーバ「EP8000シリーズ」 3フラッシュモジュール「Hitachi Accelerated Flash」 3高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V 3ERPパッケージ「MCFrame」と日立プラットフォーム推奨モデルを組み合わせた協業の取り組み~東洋ビジネスエンジニアリング株式会社~ 4プレゼンス管理システム「座席ナビ」 5ビジネスPCの最新ラインアップ 5日立グループのIT製品回収サービス 5かんたんHadoopソリューション for バッチ処理(Asakusa Framework & JP1) 6スマートフォン向けアプリケーション「SC100/SC200」 6Windows Azure™連携ハイブリッドクラウドソリューション 7お客さまシステムの長期安定稼働を支援する「おまかせ安心モデル」 7指静脈認証ログオンパック 8Hitachi Unified Storage VM all flash 9

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