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13 ケーブルラック工事
(1)ケーブルラックの種類と選定
1)材質及び表面処理の選定
2)形状の選定
3)ケーブルラック幅の選定
4)ケーブルラックの強度
(2)ケーブルラックの布設
1)ケーブルラックの支持
2)ケーブルラックの接続
3)ケーブルラックの分岐
4)ケーブルラックの接地工事
5)ケーブルラックと盤の取合い
6)ケーブルラックの防火区画貫通部処理
13 ケーブルラック工事
(1)ケーブルラックの種類と選定
ケーブルラックは、一般的な鋼製ラックの他、合成樹脂やアルミニウムなど、また、その形状、
表面処理などによりいろいろな種類があり、施工環境に合わせて使い分ける。
1)材質及び表面処理の選定
施工場所の環境条件により選定する。ケーブルラックの仕上げ及び施設適合場所。
表-1 ケーブルラックの仕上げ及び施設適合場所
材 料 仕上げ 仕 様 記号 一般屋内
湿気・水気
の多い室内
一般屋外
鋼
塗 装
(メラミン
焼付等)
亜鉛付着量両面 100g/㎡以上
の溶融亜鉛メッキ鋼板にメラミ
ン焼付塗装
粉体塗装等を施したもの
ZM ○
溶融亜鉛
メッキ
亜鉛付着量両面 275g/㎡以上
の亜鉛メッキ鋼板に透明塗装を
施したもの
ZT ○
亜鉛付着量両面 350g/㎡以上
の亜鉛メッキを施したもの Z35 ○
アルミニ
ウム合金
アルマイ
ト処理
AL ○
(備考)
1.一般屋内とは、湿気・水気の多い屋内以外の事務室、電気室、機械室をいう
2.湿気・水気の多い屋内とは、水蒸気の充満する屋内、常時水が漏出又は結露する室内、常
時湿気のある屋内及び水滴の飛散するおそれのある屋内をいう。
3.一般屋外とは、海岸地帯の屋外及び腐食性ガスの発生する屋外等特殊な屋外以外をいう。
4.ZTは、意匠上考慮する場合に使用する。
5.材料及び仕上げの記号は、「標準図」による。
2)形状の選定
基本的には、強度的な問題より形状を決定する。また、トレー形は、人目につくような場所
で体裁を重んじる場所に使用される。ただし、はしご形に比較して、許容積載静荷重がかな
り少なく、使用にあたっては注意を要する。
3)ケーブルラック幅の選定
幅を選定するときは、ケーブル条数、ケーブル仕上がり外径、ケーブルの重量、ケーブルの
許容曲げ半径、増設工事に対する予備スペース、などを検討して決定する。
ケーブルラックの幅は、下記の式により算出する。
a.1段積みの場合
ラック幅W≧1.2[Σ(D+10)+60]mm D:各ケーブルの仕上がり外形(mm)
b.2段積みの場合
ラック幅W≧0.6[Σ(D+10)+120]mm
一般に電力用は一段に配列、弱電用は一段もしくは段積みとなる。
4)ケーブルラックの強度
強度計算の基準は下記に示すとおりである。
・小げたの場合はたわみを無視し、親げたと小げたの強度の算出結果の小さい値とする。
・荷重は等分布荷重とし、単純ばりとして計算する。
・親げたの最大たわみは、1/300以下とする。
(2)ケーブルラックのふ設
1)ケーブルラックの支持
a.ケーブルラックの支持はアングルやダクターを使用し、振れ止め金具にて固定する方法と
吊り金具により親げたに吊りボルトをとりつけて支持する方法がある。
b.吊りボルト径は、支持間隔間の総重量を確認して決定する。
c.支持間隔距離は、水平部分において2m以下、垂直部分においては3m以下とする。
d.アルミ製ケーブルラックを取付ける場合には、ステンレス製の取り付け金物、アルミ製の
取付け金物、亜鉛メッキを施した構成支持金物、合成樹脂製の介在物などを使用して異種
金物腐食を防止する。
図-1 ケーブルラックふ投例
e.耐震支持は横引きケーブルラックの場合と垂直ケーブルラックの場合があるが、地震時に
作用する引張力、圧縮力、曲げモーメントにそれぞれ対応した部材を選定して構成する。
(日本建築センター発行の建築設備耐震設計・施工指針」参照)
①横引きケーブルラックの場合
耐震支持間隔は12m以内とし、現場にあった支持方法とするが、その支持間隔における総
重量から支持材の部材を選定する。
②垂直ケーブルラックの場合
ケーブルラックの垂直支持間隔は原則として3m以下とし、配線室等の部分は、6m以下の
範囲で各階支持としてもよい。
支持間隔における総重量から支持材の部材を選定するが、支持できる壁がないような場合
には耐震ブレースを用いた耐震システムなどがあり検討を要す。
図-2 垂直ケーブルラック耐震支持例
2)ケーブルラックの接続
ケーブルラック相互は堅固に接続する。
a.一般的な接続部
はしご型 トレー型
1.ボルトの取り付け方向に注意する
2.専用の取り付け工具の使用が効果的である
図-3 直線接続部例
b.自在接続部
1.斜めの部分が長い場合や重量のかかる場合は中間部支持を取る
2.自在継ぎ金具で接続した場合には、なるべく近い場所で支持を取る
図-4 自在接続部例
c.温度変化の大きな箇所に施設する直線部分の長いケーブルラックには、施工時と使用時の
温度変化により伸縮することを考え、直線で30m(アルミ直線ケーブルラックで15m)ご
とに伸縮継ぎ金具を使用する。伸縮の大きさを求める式は次のようになる。
伸縮の大きさ=直線長さ×温度変化×線膨張係数
(軟鋼の線膨張係数11.2×106deg)
3)ケーブルラックの分岐
ケーブルラックの分岐は、分岐ラックのほかに、特殊T形分岐ラック、マルチ型接続金具な
どの使用により行う。
また、屈曲部及び分岐部の曲率半径は、ケーブルラックにふ設する最大ケーブルの許容曲率
半径を考慮する。
(a)特殊T型分岐ラック (b)マルチ型接続金具分岐ラック
図-5 分岐接続例
4)ケーブルラックの接地工事
a.ケーブルラック相互の接続にノンボンド工法の直線継ぎ金具を使用する場合は必要ないが、
蝶番継ぎ金具、自在継ぎ金具、伸縮継ぎ金具、特殊継ぎ金具の使用の場合には、ボンド線
にて接地を取る。
b.ケーブルラックがシャフトの床、エキスパンション部分等で縁が切れている(連結してい
ない)場合ボンド線にて接地を取る。
図-6 ボンド線例
5)ケーブルラックと盤の取り合い
盤への立ち下げは、原則としてケーブルラックもしくは配管とする。
図-7 盤への立ち下げ例
6)ケーブルラックの防火区画貫通部処理
a.防火区画貫通部の措置について
防火区画貫通部措置の基本目的は、火災が発生した場合に、壁、床等の区画を貫通するケ
ーブル・配管等の設備部材またはその周辺から反火災側へ火災が延焼・拡大することを防
止することにあり、法令に定められた性能を有した措置を施す必要がある。
この防災性能を評定する制度として対象となる区画に応じて、(財)日本建築センター
(BCJ)評定及び(財)日本消防設備安全センター評定がある。(令8区画など)
b.BCJ評定防火措置工法例