14
交通行動分析と離散選択モデル ー第 2 回ー 環境システム工学科 塩見 康博 1 2013 4 25 日(木)

130425 discrete choiceseminar_no.2

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 130425 discrete choiceseminar_no.2

交通行動分析と離散選択モデル ー 第 2 回 ー

環境システム工学科 塩見 康博

1

2013年 4月 25日(木)

Page 2: 130425 discrete choiceseminar_no.2

• 個人の選択行動を「ランダム効用理論」により記述

• 誤差項にガンベル分布を適用すると,選択肢 iの選択確率は選択肢に対する確定効用 Viのみで表現できる

• 選択確率は,選択肢の確定効用の相対関係に依存する

2

前回の復習

iii VU ε+=

P1

=exp(V

1)

exp(V1)+ exp(V

2)

誤差項ランダム効用 各定項

Pi=exp(V

i)

exp(Vj)∑

選択肢 2つの場合

選択肢 3つ以上の場合

Page 3: 130425 discrete choiceseminar_no.2

• 効用の確定項を説明変数の線形和にすることの意義について

• 最尤推定法によるパラメータの推定方法について

• データセットの整理方法について

• 演習課題の説明(データ収集編)

3

本日の目標

Page 4: 130425 discrete choiceseminar_no.2

4

● 例として ...大学までクルマで来ますか?電車で来ますか?

044332,21,1 θθθθθ ++++= xxxxV CarCarCar

2,21,1 RailRailRail xxV θθ +=

費用所要時間

共通変数 荷物ダミー選択肢固有変数

50歳代以上ダミー個人属性

定数項S

SS

S S

S SS

Sさんにとってのクルマ・電車の効用

31歳の Yさん:大きい荷物を抱えて嵯峨嵐山〜 BKCまで

電車の場合 ⇒ 所要時間 70分,料金 470 円(定期 + バス代) クルマの場合 ⇒ 所要時間 60分,料金 550 円(高速 + ガソリン代)

VCarY = θ

1×60+θ

2×550+θ

3×1+θ

4×0+θ

0

VRailY = θ

1×70+θ

2×470

Page 5: 130425 discrete choiceseminar_no.2

5

● 例として ...大学までクルマで来ますか?電車で来ますか?31歳の Yさん:大きい荷物を抱えて嵯峨嵐山〜 BKCまで

電車の場合 ⇒ 所要時間 70分,料金 470 円(定期 + バス代) クルマの場合 ⇒ 所要時間 60分,料金 550 円(高速 + ガソリン代)

VCarY = θ

1×60 +θ

2×550 +θ

3×1+θ

4×0+θ

0

VRailY = θ

1×70 +θ

2×470

• 一般的には,所要時間が大きいほど好ましくない( = 効用が低い)– 所要時間に関するパラメータθ 1 [効用 /分 ]が負の値をとればこの傾向が表現されているといえる.

• 一般的には,費用が高いほど好ましくない( = 効用が低い)– 費用に関するパラメータθ 2 [効用 /円 ]が負の値をとればこの傾向が表現されているといえる.

費用所要時間

時間価値 = θ1/θ2 [円 /分 ]

効用を同じに保ちながら, 1 分の短縮に対して追加で支払

う金額として定義される

所要時間と費用がパラメータθ 1とθ 2で調整される形で効用が表現されている

Page 6: 130425 discrete choiceseminar_no.2

• 最尤推定法(Maximum Likelihood Estimation)を用いる• 最も尤もらしい状態を推定する方法

6

パラメータ推定の方法

電車

選択結果

車…

→ PrailA

→ PcarB

→ PrailB

→ PcarZZ

→ PrailZZ

→ PcarA

推計値(が決まれば数値が決まる)

ZZさん電車の場合: 20分, 300円

車の場合: 20分, 250円

Aさん 電車の場合: 35分, 250

車の場合: 30分, 200円

Bさん 電車の場合: 10分, 120

車の場合: 15分, 100円

… …

Page 7: 130425 discrete choiceseminar_no.2

7

あるパラメータのもとで、観測された実績値の状態が起こる確率は ...

L* = PCarA ×PRail

B PCarZZ

これが最大になるように、パラメータを決める

これを「尤度」というゆうど

Aさんは車を選択,Bさんは電車を選択…ZZさんは車を選択

一般的にあらわすと ...

L* = P11δ11 ×P21

δ21( ) × P12δ12 ×P22

δ22( ) P1nδ1n ×P2n

δ2n( )= Pin

δin( )i

∏n

∏ max

δin:個人 nが選択肢 iを選んだ場合 1 ,それ以外 0

Page 8: 130425 discrete choiceseminar_no.2

8

あるパラメータのもとで、観測された実績値の状態が起こる確率は ...

L* = PCarA ×PRail

B PCarZZ

これを「尤度」という

これが最大になるように、パラメータを決めればよい(θ = 0,すなわち選択確率 1/2との比較)

一般的にあらわすと ...

L* = P11δ11 ×P21

δ21( ) × P12δ12 ×P22

δ22( ) P1nδ1n ×P2n

δ2n( )= Pin

δin( )i

∏n

∏ max

ゆうど

Aさんは車を選択,Bさんは電車を選択…ZZさんは車を選択

δin:個人 nが選択肢 iを選んだ場合 1 ,それ以外 0

選ばれる選択肢の選択確率は高く,選ばれていない選択肢の選択確率は低くなるように θを決める,ということ

Page 9: 130425 discrete choiceseminar_no.2

9

両辺の対数をとると ...

( ) ( ) ( ){ }( )

( ){ }∑∑∑∑

⋅=

=

⋅⋅⋅⋅=

=

n iinin

n iin

nn

P

P

PPPPPP

LL

in

nn

ln

ln

ln

*ln2122122111

2122122111

δ

δ

δδδδδδ

max(対数尤度の最大化)

これは、に関して凸であることがわかっている

 → 偏微分して 0 となる点として L を最大にするの値を    求めることができる

=

∂∂∂∂∂∂

0

0

0

0

2

1

θ

θ

θ

L

L

L

勾配ベクトル:

Page 10: 130425 discrete choiceseminar_no.2

10

● ニュートン・ラプソン法(非線形最適化のためのアルゴリズム)

k

L

θ∂∂

L

初期値 解

・ EXCELではソルバーで実装可能

・離散選択モデルを推定するプログラム・パッケージも利用可

- LIMDEP/NLOGIT

- BIOGEME (無料! )

⇒ 次回の課題

Page 11: 130425 discrete choiceseminar_no.2

11

● モデルの検定

① 個々の説明変数の検定   → パラメータ k は 0 ではないか?   → t 検定(回帰分析の場合と同じ考え方. 5%有意水準)

② モデル全体の説明力   → 的中率(推計結果と実績値があっているか?)   → 尤度比(モデルによって、どれだけ尤度の値が     向上したか? 0.3でぼちぼち)

LL(0) L(θ) 0

モデルなしと同じ状態(二項選択の場合, 1/2 )

推計結果 完全に推計できた状態

)0(

)ˆ(12

L

L θρ −=尤度比:

Page 12: 130425 discrete choiceseminar_no.2

12

● モデルの検定

① 個々の説明変数の検定   → パラメータ k は 0 ではないか?   → t 検定(回帰分析の場合と同じ考え方)

② モデル全体の説明力   → 的中率(推計結果と実績値があっているか?)   → 尤度比(モデルによって、どれだけ尤度の値が     向上したか?)

LL(0) L(θ) 0

モデルなしと同じ状態(二項選択の場合, 1/2 )

推計結果 完全に推計できた状態

)0(

)ˆ(12

L

L θρ −=尤度比:

◯ モデルの妥当性  推定されたパラメータの符号を確認する!Ex) 時間や料金のパラメータが「正」になる場合は,モデルかデータにおかしい点がないか疑うこと!!

044332,21,1 θθθθθ ++++= xxxxV CarCarCar

2,21,1 RailRailRail xxV θθ +=料金所要時間

Page 13: 130425 discrete choiceseminar_no.2

本日のまとめ

• 効用関数のパラメータ推定方法の考え方を解説 (= 最尤推定法)

• 良いモデル = 推定されたパラメータを適切に解釈できること

• パラメータの有意性の検定 ⇒ t検定• モデルの説明力

– 的中率– 尤度比(等しい確率で選択すると仮定した場合から,尤度がどれだけ増えたか)

13

Page 14: 130425 discrete choiceseminar_no.2

次回までの課題

• 仮想的な「選択状況」を想定したアンケートを実施( SP調査)             ⇔  RP調査(実際の状況での行動を調査)

• 設問(3)〜(5)の仮想的な選択状況を完成させる• 網がけ部分は適宜変更する• 各自 3人以上の方にアンケートに回答してもらう(回答者 1名につきアンケート票 1枚( 5問の選択問題)に回答してもらう)

• アンケートの結果をエクセルファイルに 整理する ⇒ ゼミ時に USBメモリに入れ

て持参すること ※ データ整理の方法を考えてみて下さい. 14