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東日本大震災と図書館協力
宮城県図書館 熊谷慎一郎
1
2013.10.28 横浜市中央図書館 図書館総合展フォーラム「“政策”と“生活”を変える図書館をめざして
はじめに(本日の構成)
2
東日本大震災の状況
を共有する
•1 はじめに(東日
本大震災の概要)
•2 宮城県内市町村
図書館等の被災状
況・復旧状況
宮城図書館取組紹介
• 3 宮城県図書館の被
災状況・復旧状況
• 4 宮城県図書館の取
組
図書館協力について
検討する
• 5 図書館協力
• 6 まとめにかえて
1 東日本大震災の概要 (1)地震名 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
(2)発生日時 平成23年3月11日(金)14時46分
(3)発生場所 三陸沖(北緯38.1度,東経142.5度)
※牡鹿半島の東約130km
(4)震源の深さ 24km
(5)規模 マグニチュード9.0
(6)最大震度 震度7(栗原市)
(7)地盤沈下 海抜0m以下の面積56k㎡(震災後増加割合3.4倍)
大潮の満潮位以下の面積129k㎡ (震災後増加割合1.9倍)
過去最高潮位以下の面積216k㎡ (震災後増加割合1.4倍)
(8)津波
津波の高さ:7.2m(仙台港)(平成23年4月5日気象庁発表)
8.6m以上(石巻市鮎川)(平成23年6月3日気象庁発表)
※参考:津波最大遡上高(宮城県土木部津波の痕跡調査結果)
南三陸町志津川 20.2m 女川町 34.7m
南三陸町歌津 26.1m
3
1-2 東日本大震災の概要(被害の状況等 )
4
〔平成25年9月30日現在,(3)被害額の概要は平成25年9月10日現在〕
(1) 人的被害(継続調査中)
死者(関連死を含む。)10,455人
行方不明者 1,297人
重 傷 504人
軽 傷 3,615人
(2) 住家・非住家被害(継続調査中)
全 壊 82,896棟
半 壊 155,095棟
一部損壊 222,824棟
床下浸水 7,796棟
非住家被害 28,745棟
(3) 被害額の概要(継続調査中)
9兆1,654億円
【浸水面積】 県内の浸水面積は327k㎡ ※6県62市町村の浸水面積合計561k㎡の約6割に相当
2 宮城県内市町村図書館等の被災状況 • 地震による被害により,震災以前の図書館サービス再開が困難になった図書館が多い。
• 津波による被災地域では,図書館が高台にあり浸水を免れたところがある一方,浸水域にあった館は被害甚大。
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建物全壊(津波) 南三陸町図書館,石巻市図書館雄勝分館,石巻市図書館北上分館,女川町生涯教育センター
建築物応急危険度判定で「危険」判定
名取市図書館,七ヶ浜図書センター,涌谷町涌谷公民館
施設被害が大きかった図書館
気仙沼市気仙沼図書館,登米市迫図書館,多賀城市立図書館,角田市図書館,仙台市泉図書館ほか
避難所になった図書館等
石巻市図書館,登米市登米図書館,山元町中央公民館・坂元公民館,大郷町公民館,涌谷町箟岳公民館
概 要
2-2 宮城県内市町村図書館等の被災状況
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▼南三陸町図書館 (2011年5月6日撮影)
▼名取市図書館 (2011年5月18日撮
影)
▼女川町生涯教育センター (2011年5月27日撮影)
2-3 甚大な被害の図書館の現在 • 建物が使えなくなった図書館で建物を含めた復旧はいまだにしていない。仮設での運営が続いており,本格的な図書館へ移行するための準備段階。(平成25年10月時点)
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図書館 状況 図書館 状況
南三陸町図書館 南三陸町オーストラリア友好学習館 内に図書館設置(仮設)
女川町生涯教育センター図書室
「女川つながる図書館」として勤労青少年センター内に設置。図書館設置に向けた検討。
名取市図書館
2012年「どんぐりこども図書室」,2013年「どんぐり・アンみんなの図書室」(仮設)
七ヶ浜町図書センター
中央公民館内に仮に,図書室設置。公民館の津波防災拠点化事業により図書室設置予定。
石巻市図書館雄勝分館
2013年7月,まちづくり基本構想により公民館・図書館と組み込んだ総合支所の整備計画策定
涌谷町涌谷公民館図書室
「くがね創庫」などに図書コーナー仮設置。現在復旧再建にむけて設計中。
石巻市図書館北上分館
まちづくり基本構想策定検討中
2-4 図書館活動のうごき • 民間団体継続している活動と休止する活動に。休止する活動には収束のための支援が必要な場合も。
• クラウドファウンディングでマネタイズを行う事例も。
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凸版印刷による被災地支援活動「ブックワゴン」が活動を終了。2台の車両譲渡について,1台はシャンティ国際ボランティア会へ譲渡。もう1台は色麻町に譲渡。
「女川つながる図書館」を支援するために支援者がクラウドファウンディングでプロジェクトを開設,集めた運営資金を寄付。
3 宮城県図書館の被災状況(1)
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建物 設備関係
・壁面の大型ガラス、壁面大型石板等の破損・落下、壁の剥離・ひび割れ等
・書架・書棚・保管棚類の転倒、損壊等
図書資料関係
・図書資料等(105万点)の殆どが落下
・4月7日の余震で図書資料等の約5割落下
・落下図書資料の破損、水損など
▲展示室ガラス破損 ▲3回東側新聞雑誌室ワークルーム ▲3階西側 みやぎ資料室閉架書庫
3-2 宮城県図書館の復旧状況等
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宮城県図書館の震災関連事業
■施設等の本格復旧工事(4/20~7/2)
• 休館期間(2012/6/1~7/2)中,市町村図書館への訪問支援を重点的に実施
• レファレンスサービス等非来館サービスも継続
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2011年3月11日 発災後休館決定
3月16日~ 収集した市町村図書館の状況をインターネットで公開
3月25日 4月下旬の開館予定を決定
4月1日~ 返却受付,音訳サービスなど非来館サービスを開始
4月12日 (4月7日の余震により)5月中旬以降の開館予定を決定
4月16日 レファレンスサービス受付開始
4月26~ 県内図書館の現地調査
5月6日 5月13日開館 を決定
5月11日 防災訓練
5月13日 開館 (時間短縮 10:00~18:00)
7月5日 開館時間変更(9:00~18:00)
10月1日 開館時間変更(9:00~19:00)
2012年4月20日~
災害復旧工事 (6/1~7月2日は休館)
3-3 宮城県図書館の復旧状況等(2)
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▲
復旧工事の様子
▲
震災文庫展2
▲
東日本大震災文庫
▲
震災文庫展3
4 宮城県図書館の取組み(1)
• 支援事業
• 間接支援:情報集約,各種情報共有化などの間接支援
• 県域を越えた情報交換の必要性
• 直接支援
• 巡回相談
• (現地調査)
• 直接訪問
• 「声なき声」をどこまで拾えるか
• 各図書館等への個別支援など
• 南三陸町図書館 / 名取市図書館 / 七ヶ浜町図書センター / 女川町生涯教育センター / 涌谷町涌谷公民館 / 山元町中央公民館・坂元公民館
(※ 主なもの)
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4-2 宮城県図書館の取組み(2) • 宮城県図書館における支援の方針
• 図書館の図書館として,被災者への直接的な支援(避難所へ本を提供する,おはなし会を行うなどといったサービス)ではなく,市町村図書館あるいは図書室の運営を支援することにできるだけ重点をおく。
• 図書活動をしている団体等を支援することをより強く意識。
→中間組織として機能する都道府県立図書館の本来機能を重視
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支援関係 団体等
宮城県図書館
中間組織として機能
市町村 図書館等
・各種支援 (マッチングを重視)
・支援調整 ・ニーズ把握 ・支援情報提供
・支援情報の提供 (人的・物的・金銭的)
・ニーズの提供 ・各種照会への応答
・市町村図書館の情報集約 ・各種支援情報の集約・提供 ・連絡会議,研修会等 ・震災関係資料の収集・書誌情報の提供
4-3 宮城県図書館の取組(3)
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▼みやぎ図書館フォーラムの様子
近江弘一氏(石巻日日新聞社代表取締役社長)
▼図書館のホームページで情報発信
4-4 宮城県図書館の取組(4)
• 間接支援の重要性
• 県内図書館の情報収集→集約→発信
• 適切な情報提供を行うために重要
• 既存のネットワークを有効に活用する
• 連絡会議,研修会などの実施
• 一堂に会する場をつくること(連絡会議,被災資料の修理研修会)
• 館種を越えたつながりを持つ,グッドプラクティスを共有する
• みやぎ図書館フォーラムの実施(2012/3/2)
• 直接支援の重要性
• 実際に状況を確認すること,顔を合わせること
• 災害対策業務に従事している職員,復旧活動をしている職員への配慮
• ニーズをきちんと把握した上で支援にあたる
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4-5 中間組織として見た支援と受援
• 適切なマッチングのために • ニーズの把握(支援を受ける側に立った視点で)
• 各種団体等から寄せられる多様な支援の仕分けと,受援側の意向を踏まえた交通整理
• 寄贈図書の取り扱い(受援側の負担軽減)
• 南三陸町図書館の再建にあたって • 南三陸町については,図書館が流失したことを受け,図書館再開のための支援体制を整備。
• 週に1回以上の訪問を行い,図書館の再建に向けた企画運営の相談や各種支援団体との連絡調整
• 各種支援団体の呈示する支援策についての検討。夏までに,建屋の確保を行えた。
• 図書の整理などの実作業にかかり,10月5日に再開(約半年)。 • 以降も継続的に支援
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5 図書館協力
• 図書館協力
• 1館では応じきれない利用者要求に対して,複数の館が協力し合って図書館機能を高めること。図書館間の協力にあっては,それぞれの間が自立した図書館運営がされていることを前提とする。
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都道府県
立図書館
の域内市
町村立図
書館への
サービス
市町村図書館と同様に住民に直接
サービスを行うとともに,市町村
立図書館の求めに応じて支援。
直接サービス vs 間接サービス
二重行政という批判
県内の公共図書館ネットワークの
核になる存在
災害時にも有効に機能
普段からのつながりが重要
中間組織としての県立図書館
6 まとめにかえて(1)
災害時に改めて問われる県立図書館の存在意義
(県民にとって間接的なサービス)
サポート役として持てる資源・ノウハウ等を最
大限に活用(県民に対する直接サービスがあってこそ実現可能)
震災から学ぶ 日ごろのつながりの大切さ
新たなつながりの有益さ・ありがたさ
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6 まとめにかえて(2)
図書館の機
能・役割の
社会的な共
有のために
地域の情報拠点
コミュニティの中核
地域の資料・記録を保存
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