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-13- 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比較結果 第1節 各国容器包装リサイクル制度の概要 1. EU .容器包装リサイクル指令 ..容器包装リサイクルに関する制度の概要 1994 年、包装廃棄物による環境汚染の抑制及び防止を目的として、包装および包装廃棄物 に関する欧州議会および理事会指令(以下「容器包装指令」という。)が制定された。同指令 では、リカバリー、リサイクルについての目標レベルを設定した上で、加盟国に対して目標の 設定及び必要な措置を講じるための国内法制化を求めている。また、同指令では、含有重金属 の制限、マーキング・識別制度などについて定められている他、リサイクル手法として、エネ ルギーリカバリーよりもリユースおよびリサイクルを優先させることが明記されている。同指 令は 2004 年に改正され、 2008 年目標が設定されている。その後目標の改訂は行われておらず、 2008 年以降もこの目標値が有効となっている。 1)容器包装の定義 容器包装指令第3条(94/62/EC)では、容器包装の定義について、図表 -1のように定め ている。ここに示したとおり、容器包装指令の対象には、家庭から排出される容器包装だけ でなく、消費者の利用後に商業施設等から排出される容器包装、さらには全ての事業者から 排出される梱包資材が含まれる。本報告書では、家庭から排出される容器包装について「家 庭系」、その他の容器包装について「事業系」と称している。 図表 -1 容器包装指令第3条(94/62/EC)に基づく容器包装の定義 製造者から使用者または消費者への、原材料から加工品に至るまでの物の封入、保護、取 り扱い、配達および贈呈のために使用されるあらゆる性質のあらゆる材料によって作成さ れたあらゆる製品を意味する。同じ目的で使用される「ワンウェイ」品目も、容器包装で あると見なすものとする。 第一次パッケージ(販売)sales packaging or primary packaging :購入時点で最終ユーザーまたは消費者への販売ユニットを構成するものと考えられてい るパッケージング 第二次パッケージ(グループ化、集合)group packaging or secondary packaging :購入時点でいくつかの販売ユニットをひとつにまとめるように考えられたパッケージン 第三次パッケージ(輸送用)transport packaging or tertiary packaging :複数の販売ユニットの取り扱いと輸送を容易にするためのパッケージング さらに、2004 年の改正指令において、容器包装の定義として、3つの基準及び具体例が追 加された。

第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比較結果

第1節 各国容器包装リサイクル制度の概要

1. EU

1.1 容器包装リサイクル指令

1.1.1 容器包装リサイクルに関する制度の概要

1994 年、包装廃棄物による環境汚染の抑制及び防止を目的として、包装および包装廃棄物

に関する欧州議会および理事会指令(以下「容器包装指令」という。)が制定された。同指令

では、リカバリー、リサイクルについての目標レベルを設定した上で、加盟国に対して目標の

設定及び必要な措置を講じるための国内法制化を求めている。また、同指令では、含有重金属

の制限、マーキング・識別制度などについて定められている他、リサイクル手法として、エネ

ルギーリカバリーよりもリユースおよびリサイクルを優先させることが明記されている。同指

令は 2004 年に改正され、2008 年目標が設定されている。その後目標の改訂は行われておらず、

2008 年以降もこの目標値が有効となっている。

(1)容器包装の定義

容器包装指令第3条(94/62/EC)では、容器包装の定義について、図表 2-1のように定め

ている。ここに示したとおり、容器包装指令の対象には、家庭から排出される容器包装だけ

でなく、消費者の利用後に商業施設等から排出される容器包装、さらには全ての事業者から

排出される梱包資材が含まれる。本報告書では、家庭から排出される容器包装について「家

庭系」、その他の容器包装について「事業系」と称している。

図表 2-1 容器包装指令第3条(94/62/EC)に基づく容器包装の定義

製造者から使用者または消費者への、原材料から加工品に至るまでの物の封入、保護、取

り扱い、配達および贈呈のために使用されるあらゆる性質のあらゆる材料によって作成さ

れたあらゆる製品を意味する。同じ目的で使用される「ワンウェイ」品目も、容器包装で

あると見なすものとする。

第一次パッケージ(販売)sales packaging or primary packaging

:購入時点で最終ユーザーまたは消費者への販売ユニットを構成するものと考えられてい

るパッケージング

第二次パッケージ(グループ化、集合)group packaging or secondary packaging

:購入時点でいくつかの販売ユニットをひとつにまとめるように考えられたパッケージン

第三次パッケージ(輸送用)transport packaging or tertiary packaging

:複数の販売ユニットの取り扱いと輸送を容易にするためのパッケージング

さらに、2004 年の改正指令において、容器包装の定義として、3つの基準及び具体例が追

加された。

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図表 2-2 改正指令(2004/12/EC)に基づく容器包装の定義の追加(第一条、ANNEX1 より抜粋)

基準 1 容器包装が持つ容器包装以外の機能を侵害することなく容器包装の定義を満たす

ものを容器包装とする。製品に不可欠な一部ではなく、製品の使用の全期間にお

いて製品を包み、製品と共に廃棄されるものではないこと。

<具体例>

容器包装となるもの: キャンディの箱、CD ケースをくるむフィルム

容器包装ではないもの:植物と一緒に活用される植木鉢、道具箱、ティーバッグ

チーズをくるむ蝋膜、ソーセージの皮

基準 2 販売時点に製品を包むものであり、販売時に共に販売、包装(又は包装すること

を目的とした)使い捨て品は、包装機能のある容器包装とみなす。

<具体例>

(販売時点で付加されれば)容器包装となるもの:紙やプラスチックの買い物袋、

ワンウェイのトレイやカップ、ラップフィルム、サンドイッチバッ

グ、アルミホイル

容器包装ではないもの:かくはんするための棒・スプーン、ワンウェイのナイフ・フォーク

基準 3 容器包装の構成要素及び容器包装と一体化する付属物は容器包装の一部とみな

す。製品に不可欠な一部ではなく、その全てが製品と共に消費、廃棄されるもの

ではないもののうち、製品に直接添付される付属物であり容器包装の機能をもつ

ものは容器包装とみなす。

<具体例>

容器包装となるもの:商品に直接添付されるラベル

容器包装の一部となるもの:容器と一体化しているマスカラブラシ、他の容器包装に束ね

るための粘着テープ、ホチキスの針、プラスチックの CD ジャケッ

ト、洗剤容器の蓋についた投入量計量器

(2)リサイクル・リカバリーの定義(同第3条より抜粋)

「リサイクル」とは、同じ目的または他の目的のための、生産工程での廃棄材料の再加工を

意味するものとする。これには有機的なリサイクルを含むがエネルギーリカバリーは除く。

「エネルギーリカバリー」とは、可燃性の包装廃棄物を、直接焼却して、エネルギー発生手

段として使用することを意味するものとする。他の廃棄物と一緒に焼却するか否かは関係ない

が、熱の再生は伴わなければならない1。

「有機リサイクル」とは、制御された条件下で微生物を使用した、包装廃棄物の生物分解可

能な部分の好気性処理(コンポスト)または嫌気性処理(生メタン化)で、安定した有機残留

物を生産するものを意味するものとする。埋め立ては有機リサイクルの形態とはみなされない

ものとする。

【EU におけるリサイクル率の計算式】

リサイクル率=リサイクル量(国内で発生した容器包装廃棄物のうち国内又は国外でリサイ

クルされた量)/国内で発生する容器包装廃棄物(国内容器包装生産量+輸入量-輸出量)

なお、このリサイクル量には、国外で排出された容器包装を輸入してリサイクルする量は含

まれない。一方、分別した容器包装を輸出して国外でリサイクルする場合は、これを自国のリ

サイクル率の算出に含めることができる。

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(3)リサイクル目標達成に関する費用・便益分析

欧州委員会では、2004 年の指令改正に先駆け、2003 年にリサイクル目標達成に関する費

用・便益評価を行っており、報告書“Evaluation of costs and benefits for the achievement of reuse

and recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and

packaging waste directive 94/62/EC Final Consolidated Report”(包装および包装廃棄物指令

94/62/EC の枠組みにおける、包装材ごとの再利用およびリサイクル目標達成に関する費用・

便益評価報告書)を発行している。

本報告書では、リサイクル・リカバリー率の現状を評価した上で、容器包装のリサイクル

の環境利益を LCA2により外部(環境・社会的)コストとして算出した上で、政策措置の施行

費用(内部コスト)との費用・便益分析を行い、最適なリサイクル率を特定している。それ

による結論は、下記の通りである。

結論 1 達成されたリサイクル率は満足できるものである

結論 2 著しい例外を除き、社会にとって分別回収の方が良い

結論 3 家庭用包装:著しい例外を除き、戸別分別回収が望ましい

結論 4 工業用包装:分別回収が望ましい

結論 5 改正目標(最適な回収システムによって達成可能な目標値)

結論 6 飲料水包装に関しては、詰め替え可能包装および詰め替え不可能包装のいずれ

もが一般的に望ましいとは考えられない

図表 2-3 最適リサイクル率(全容器包装)

産業廃棄物の目標 家庭廃棄物の目標 目標(産業+家庭)

最低 最高 最低 最高 最低 最高

ベルギー 54% 70% 42% 65% 48% 67%

デンマーク 54% 70% 53% 66% 53% 68%

フランス 53% 72% 45% 68% 50% 70%

ドイツ 56% 72% 45% 71% 51% 72%

スェーデン 59% 76% 44% 54% 52% 66%

イギリス 56% 72% 39% 64% 49% 69%

EU 54% 71% 45% 65% 50% 68%

図表 2-4 素材別最適リサイクル率

最低 最大

プラスチック* 28% 38%

スチール 60% 75%

アルミニウム 25% 31%

木 47% 65%

紙および段ボール 60% 74%

ガラス 53% 87%

混合材 0% 0%

1 ごみ焼却場におけるエネルギー回収はリカバリーに含まれる。

2 環境利益の評価(LCA)におけるパラメータとして、持ち込みシステムか戸別回収か、人口密度、代替の廃棄

物処理方法;埋立と焼却(平均エネルギー回収率を伴う)の3つが設定されている。

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*プラスチック廃棄物の組成が APME の場合は、プラスチックの値はかなり低くなる

(21-28%)

2. ドイツ

2.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

2.1.1 廃棄物管理に係る基本法

1986 年、廃棄物の発生回避及び適正処理に関する法律 Gesetz uber die Vermeidung und

Entsorgung von Abfallen が制定された。

1994年 廃棄物発生の尐ない循環経済の促進および廃棄物の環境保全上の適正処理の確保に

関する法律 Gesetz zur Forderung einer abfallarmen Kreialaufwirtschaft und Sicherung der

umweltvertraglichen Entsorgung von Abfallen(以下「循環経済・廃棄物法」という。)が制定され

た。

現在、EU 廃棄物枠組み指令の改訂を踏まえた国内法対応として、循環経済・廃棄物法の改

正の議論が進められている。

2.1.2 容器包装令

1991 年、包装廃棄物の回避に関する政令 Verordnung uber Vermeidung von Verpackungsabfallen

(以下、容器包装令)が制定された。本法の目的は、1998 年の改正において「包装廃棄物に

よる環境への影響を回避し、又は抑制すること」とされ、発生抑制が優先されることが明記さ

れている。

本法は、最終消費者の下で発生する包装及び業務用容器包装の両方について、回収とリサイ

クルの責任主体を規定したものである。本法はこれまでに 5 度の改正を経ている。

(1)容器包装の定義

図表 2-5 容器包装の定義(1998 年改正第3条)

1.包装とは、

商品を入れ、保護し、取り扱い、納入又は提供するために、原材料から加工品までを含む

随意の素材から作られた製品であって、製造者が販売者又は最終消費者に供するものをい

う。

2.販売包装とは、

商品と販売上一体を成すものとして提供され、最終消費者の下で発生する包装をいう。こ

の政令で定める販売包装には、商業、飲食店及びその他のサービス業の包装であって、最

終消費者に商品を引き渡すことを可能にし、又は補助するもの(サービス包装)並びに使

い捨て食器及びナイフ・フォーク・スプーン類を含む。

3.付加包装とは、

販売包装を追加包装するものであって、最終消費者への提供が商品の衛生及び保存上の理

由から又は破損若しくは汚損防止のために用いられるものではない包装をいう。

4.運搬包装とは、

商品の運搬を容易にし、運搬中の破損から守り、又は運搬安全上のために用いられるもの

であって、販売者の下で発生する包装を言う。

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なお、販売包装の最終消費者には、一般家庭に加え「それと同様に扱われる包装廃棄物発

生場所であり、とくに、料理店、ホテル、従業員食堂、役所、兵舎、病院、教育施設、慈善

事業施設、自由業者ならびに、映画館、オペラハウス、美術館のような文化関係の典型的な

包装廃棄物発生場所および休暇施設、レジャー公園、スタジアム、ドライブインのようなレ

ジャー関係の典型的な包装廃棄物発生場所(2008 年改正第 3 条(11))」が含まれる。

(2)リサイクル率目標

容器包装令では、1991 年の制定当初より、素材別のリサイクル率目標を定めている。この

リサイクル率目標は、1998 年の改正において変更されて以来、同じ値となっている。

図表 2-6 リサイクル率目標(2008 年改正附則1)

年平均で尐なくとも以下に掲げる量の包装につき、量割合でマテリアルリサイクルを行

わなければならない:

素材

ガラス 75%

ブリキ 70%

アルミニウム 60%

紙・厚紙・ダンボール 70%

複合材 60%

プラスチック容器包装は尐なくとも 60%以上リサイクルされなければならず、このうち

60%は、同物質の新素材で代替されるか、又は廃プラスチックを新たな素材として引き続

き使用できる方法(マテリアルリサイクル:werkstoffliche Verfahren)によって確保されな

ければならない。

目標設定に関しては、容器包装令 1998 年改正においていくつかの変更があった。特に、そ

れまで認められていなかったプラスチック容器包装のエネルギーリカバリーが認められるよ

うになり、リサイクル率目標に加え、エネルギーリカバリーを含むリカバリー目標値が設定

された。このエネルギーリカバリーは、成長原料を直接に素材とするに容器包装(木製等)

についても許容されることとなった。また、1991 年には回収率目標という概念があったが、

1998 年に廃止されている。

(3)最終消費者のもとに発生する販売包装に係る各主体の責務(第 6 条関連)

1)生産者等

①容器包装の回収及びリサイクル

2008 年改正容器包装令第 6 条 1 項に基づき、製品を充填した販売包装を最初に流通させ

る製造者及び販売者は、これら販売包装の広域回収を確保するために1つ又は複数の回収シ

ステム加入することが義務付けられた3。2008 年以前は、製造者及び販売者に対し、販売包

3一般家庭と同様に扱われる包装廃棄物発生場所から発生する販売包装については、6 条 2 項により独自の回収・

処理が認められている。

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装の無償引き取り、利用基準(各素材のリサイクル率目標)を満たし、そのことを証明する

ことを義務付けた上で、システムに加入した場合にはそれを免除するというものであったが、

この改正に伴って、生産者等による独自の回収・処理が認められなくなった。

②包装材使用証明書

2008 年改正容器包装令第 10 条に基づき、容器包装の流通者、及び年間 80,000kg 以上のガ

ラス、50,000kg 以上の紙・厚紙・ダンボール、30,000 キログラム以上のその他の素材を流通

させる製造者及び販売者は、使用した容器包装の素材、量、および処理方法について、公認

会計士、税理士、会計士あるいは独立した専門家による審査を受けた包装材使用証明書

(Vollständigkeitserklärung; VE)を作成し、州政府に報告することが義務付けられた。この証

明書は、地域所管の商工会議所に電子方式で提出する4こととされている。

2)システム運営者

1991 年の制定当初より、容器包装令第 6 条に基づき、システム(自治体による既存の回収

システムと並行することから、「デュアルシステム」と呼ばれる)は、使用済み販売用容器包

装の定期的な回収を無償で十分な方法(個別回収又は持参回収、もしくはその両方)により

保証し、利用基準(各素材のリサイクル率目標)を満たすことが義務付けられている。また、

システム運営者は、容器包装の素材毎に収集量、マテリアルリサイクル量、及びエネルギー

リサイクル量を証明する義務を負う。さらに、2008 年改正容器包装令第 6 条 7 項に基づき、

各システムは、1つの共同機関(Gemeinsame Stelle)に加入することが求められる。

3)州政府

1991 年の制定当初より、容器包装令第 6 条に基づき、州政府又は州の指定する行政庁は、

システムの申請に基づいてシステムが全域的に構築されていることを確認し、公示すること

が求められている。

4)共同機関(Gemeinsame Stelle)(クリアリング機関)

2008 年改正容器包装令第 6 条 7 項に基づき、共同機関は、下記の業務を行うこととされる。

公法上の廃棄物処理事業者の地域ごとにおける複数のシステム間の割り当て容器包装量

の算定(各システムからの生産者等との契約量に関する報告を受け、地域毎に各システ

ム契約割合を算定すること)

合意に基づく副次的報酬の配分

市場経済上中立的な公告に関する調整(処理事業者への公開入札の調整)

2.2 生産者責任組織について

1991 年の容器包装令施行当時は、Duales System Deutschland GmbH(以下、DSD)が国内唯

一のシステムとして設立されていたが、 1998 年の改正により、DSD 以外の複数のシステムの

4 http://www.ihk-ve-register.de/

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並存が認められるようになり(それまでは DSD の回収目標が全国の容器包装の市場投入量を

分母としていたのに対し、個々のシステムに加入する容器包装の量を基に、システム毎のリサ

イクル率が計算されるようになった)、2004 年より、Landbeil 及び Interseroh 等が DSD の競合

相手として同システムに参入した。

現在、ドイツには9つのデュアルシステムが存在している。これらのシステムは、州全体を

カバーする回収システムの確立等を条件に、州政府(又は州政府が指定する行政庁)が許認可

するものであり、現状では、1 つの州内で複数のシステムが並存する形となっている。

2.2.1 各システムの概要

図表 2-7 デュアルシステム一覧

社名 概要 契約割合

(2010 年第 3 四半期)

Duales System Deutschland

GmbH 下記参照 49.08 %

INTERSEROH

Diensleistungs GmbH 大手総合処理・リサイクル企業

Intersero 社の子会社

20.77 %

Redual GmbH & Co. KG 中小リサイクル連盟(BVSE)加

盟の Reclay 社の子会社

7.64 %

Zentek GmbH & Co. KG 大手から独立した中堅リサイク

ラー数社による共同設立

7.30 %

Vfw GmbH 大手ロジスティック企業の子会

4.92 %

Landbell AG für

Rückhol-Systeme 独立系 4.53 %

BellandVision GmbH 仏 総 合 環 境 企 業 SUEZ

ENVIRONMENT 社の関連会社

4.53 %

EKO-PUNKT GmbH 欧 州 最 大 手 の 処 理 事 業 者

Remondis の子会社

0.79 %

Veolia Umweltservice Dual

GmbH 大手総合環境企業の子会社 0.44 %

資料:BDSD ホームページ、中曽利雄「EU 及びドイツにおける主要廃棄物立法・政策の最新動向(14)-包装廃棄物と包装政令を巡る現状と今後(2)」『月刊廃棄物』2010.11 を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

(1)DSD(Duales System Deutschland GmbH)

卸、小売、包装材製造、素材メーカー等、約 600 社からの出資により 1990 年に非営利組織

として設立。当初有限会社であったが、1997 年株式会社化。その後、独カルテル庁は DSD

の株主と取引先(収集運搬事業者)が同一であることを問題視し、資本構成を見直すことを

勧告。その結果、2005 年に米国の投資会社KKR(Kohlberg Kravis Roberts)に 100%売却さ

れ、以後 DSD は一営利企業となっている。従業員数は 263 名(2010 年)5。

DSD の事業内容は、1991 年の法律に基づき、使用済み容器包装の収集、分別及びリサイク

ルを手がける。この事業の他に、現在では、デポジットシステム、輸送用容器包装、産業廃

5 ProEurope “EUROPE_Brochure”2010

http://pro-e.org/files/PRO_EUROPE_Brochure_final_October%202010.pdf

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棄物、電気電子機器に関する事業も手がけている。

実際の収集等は各地域の事業者に委託している。DSD による独占当初は入札を経ずに特定

事業者との 10 年程度の契約が交わされていたが、2003 年に欧州委員会より DSD に対して公

正競争の観点からの指摘があり、2004 年以降は、収集運搬事業者の選定には入札を伴う短期

契約に切り替えられた。

2.3 クリアリング機関

同一州内に並存する複数のシステムの調整のため、2008 年容器包装令改正では、システム

運営者に対して、1つの共同機関に加入することが義務付けられており、ドイツデュアルシ

ステム共同機関有限会社(Gemeinsame Stelle dualer Systeme Deutschlands GmbH)が設立され

ている6。

2.4 素材別組織

ドイツには、販売包装と業務用包装の各々について素材別組織がある。プラスチックの素材

別組織として、販売包装は、DKR (Deutsche Gesellschaft für Kunststoff-Recycling mbH)、業務

用 包装は、 RIGK GmbH ( Gesellschaft zur R ・ kf ・ rung industrieller und gewerblicher

Kunststoffverpackungen mbH)の2組織がある。いずれも、法律上の規定はない。

DKR は、1992 年、DSD 及びプラスチック加工・プラスチック製造機械の2団体からの出資

により、使用済みプラスチック容器包装のリサイクル手法を開発し、デュアルシステムにより

回収されたプラスチックの処理を保証することを目的に設立された。その後、同社は DSD の

100%子会社となっている。また、強制デポジット制度の導入等を背景に、プラスチックの取

扱量が減尐したことから、同社の事業内容は、プラスチックに限定せず、缶、紙、ガラスのリ

サイクル、及び選別残渣の処理等も含めた容器包装全般のリサイクルに係る事業へと拡大して

いる。

3. フランス

3.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

3.1.1 廃棄物管理に係る基本法

1975 年、廃棄物の除去と原料の回収に関する法律が制定されている。同法では、自治体に

対して家庭から排出される廃棄物の収集・処理の責任を義務付けている。また同 6 条では、廃

棄物の除去のために、生産、販売などを規制、禁止できることを定めるとともに、生産者、輸

入者等の除去義務について定めている。

2000 年には全ての環境保全にかかわる法律が「環境法典(codification)」に収録され、廃棄

物管理に関する法律もこの1つに組み込まれている。

6なお、ドイツデュアルシステム共同機関有限会社が設立される以前より、複数のシステムのクリアリング機関は

存在していたとされる。2009 年には DSD、Redual、Vwf の 3 システムがドイツデュアルシステム協会(der

Bundesverband der Dualen Systeme Deutschland e.V. ;BDSD)という調整機関を設立している。BDSD は、加盟団

体の利害対立により、結果的に全システムが脱退し、2010 年に解散された。

BSDD アニュアルレポート 2009(http://bdsd.info/images/downloads/jahresbericht2009final.pdf)、

Redual GmbH(Reclay Group)プレスリリース情報(http://www.reclay-group.com/21.html?&L=1)より。

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3.1.2 容器包装令(家庭からの容器包装の回収・リサイクル)

1992 年、家庭からの包装廃棄物に関する政令 Decret no 92-377 du 1er avril 1992, Portant

application pour les dechets resultant de l'abandon des emballages de la loi no 75-663 du 15 juillet 1975

modifiee relative a l'elimination des dechets et a la recuperation des materiaux(以下「容器包装令」と

いう)が制定された。

同法では、生産者等に対して、家庭からの使用済み容器包装の回収とリサイクルの責務を政府

公認の共同のシステムへの加入、又は独自の回収システム(要許可)によって回収・リサイクル

を実施することを義務付けている。なお、最終消費者としての事業者から排出される容器包装は、

週の排出量が 1,100 リットル以下の場合、一般家庭用のシステムと同様に回収することが認めら

れる。

(1)容器包装の定義

図表 2-8 容器包装の定義(容器包装令第2条)

「包装」とは、すべての形態の容器又は製造物を容れる用材であって、輸送もしくは販売

時の展示の便宜のため用いられるものをいう

(2)リサイクル率目標

容器包装令において目標値は設定されていないが、政府が認可する共同のシステム(企業

又は組織)の認可付帯規定書において、EU 指令と同じ目標値を目指すことが記載されている。

容器包装令の枠組みの他に、フランスでは 1998 年に家庭からの廃棄物の 50%以上をマテ

リアルリサイクルすることを国家目標と設定しており、2009 年 8 月には、グルネル法Ⅰの制

定により、「今後 5 年間、住民一人当たりの家庭系廃棄物排出量を毎年7%ずつ削減」、「家庭

容器包装廃棄物と事業系一般廃棄物について、2012 年までにその 75%をリサイクルする」と

いう目標が設定されている。

(3)各主体の責務

1)生産者等

容器包装令第 4 条に基づき、包装された製品の製造者又は輸入者は、使用済み容器包装廃

棄物の処分を出費分担し又は引き受けることが義務付けられている。この義務の履行方法と

しては、政府が認可するシステムに対して引き取りを委託するか、独自の回収を行う方法が

ある。

システムに加入せず独自の回収を行う場合には、当該容器包装のデポジット制度を設ける

か、又は容器包装の保管を目的として専用の場所を設置することが求められる。また、生産

者等は、容器包装のリサイクル・リカバリー率を計測できるようなシステムを構築し、その

管理方法について環境担当大臣他からの認可を受ける必要がある。

2)生産者責任組織

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容器包装令第 6 条に基づき、使用済み容器包装を生産者等から引き受ける生産者責任組織

は、環境担当大臣、経済担当大臣、産業担当大臣、農業担当大臣、並びに地方自治体担当大

臣からの認可を受ける。この認可の更新期間は最長6年とされる。

生産者責任組織は、上記認可の付帯規定書では、下記の事項が記載されることとなってい

る(以下、第 6 条より抜粋)。

技術的、財政的能力の証明、及び付帯規定書の条項を満たすための条件

達成しようとする目標(リサイクル率目標)

使用済み容器包装を素材別に選別し、無償又は有価でリサイクルするために、生産者等

に請求する財政的負担金の基準

地域自治体に、廃棄物の選別により生じる超過費用を償還するための支払の基準

さらに、容器包装令第8条に基づき、システム運営者は、毎年度、産業担当大臣及び環境・

エネルギー管理事業団(ADEME)に、活動報告書及び容器包装の回収・リサイクルの成果を

提出する義務がある。

3.1.3 家庭以外からの包装廃棄物に関するデクレ

1994 年、家庭以外からの包装廃棄物に関する政令(Decret no 94-609 du 13 juillet 1994, Portant

application de la loi no 75-633 du 15 juillet 1975 relative a l'elimination des dechets et a la recuperation

des materiaux et relatif, notament, aux dechets d'emballage dont les detenteurs ne sont pas les menages)

が制定された。同法では、廃棄物の所持者(排出者)に対し、自家処理又は委託によってリサイ

クル・リカバリーなどによる使用済み容器包装の有効利用を義務付けている。

3.2 生産者責任組織について

容器包装令に基づき、1992 年にエコアンバラージュ(Eco Enballages)への許可が出された。

その後、1993 年には、Adelphe(ガラス瓶の回収リサイクルを目的としてワイン・蒸留酒業界

により設立。近年では、ガラス瓶だけでなく、全ての容器包装に取扱対象を拡大している)及

び CYCLAMED(薬の容器包装と使用期限切れの薬の回収を目的として製薬業者と輸入業者に

より設立)の2組織に対する許可が出されている。尚、現在、Adelphe はエコアンバラージュの

グループ企業となっている。

3.2.1 エコアンバラージュ

公開有限責任会社7。中身メーカー(70%)、容器包装材料関係者(20%)、流通関連事業者(10%)、

計 240 社の出資により 1992 年に設立。認可組織の認可に関わる委員会(consultative approval

comission)の助言に基づき、4省が認可を与えている。

同委員会には、省庁、地方自治体、消費者、環境保護団体、原材料メーカー、廃棄物リサイ

クル業界の各代表者が参加。意思決定機関である取締役会には政府からのオブザーバーが参加

する他、四半期毎に許認可委員会が開催されている。2009 年3月には監査委員会が設置され、

内部監査の他、財務報告、監査人との連絡、内部統制及びリスクマネジメントシステムについ

て助言をしている。

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-23-

従業員数は 192 名(2009 年)8。2009 年末時点で 50,350 社と契約している9。エコアンバラー

ジュの収支構造は図表 2-9の通りであり、ライセンス料収入の殆どを自治体への助成金支払

いに充てていることがわかる。

図表 2-9 エコアンバラージュの収支構造(2008)

収入 ライセンス料収入 423.4 百万€

支出 収集・選別に関する自治体への助成金 383.3 百万€

市民啓発 6.6 百万€

調査研究 2.5 百万€

運営経費 26.1 百万€

合計 411 百万€ 注:尚、ライセンス料収入は、2007 年 412.3 百万ユーロ、2009:418 百万ユーロ。 資料:エコアンバラージュアニュアルレポート 2008

3.3 素材別組織

フランスでは、生産者責任組織の他に、素材別組織が存在し、地方自治体との合意のもとに、

使用済み容器包装のリカバリーのための引き取り保証の機能を果たしている。

図表 2-10 素材別組織一覧

素材 素材別組織名

プラスチック Valorplast

ガラス Chambre Syndicale des Verreries Mécaniques de

France (CSVMF)

ダンボール・雑紙 Revipac

アルミニウム France Aluminium Recyclage

スチール Arcelor Packaging International (API)

資料:Adelphe ホームページ10を参考に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

3.3.1 Valorplast

エコアンバラージュから要請を受けて 1993 年にプラスチック容器包装メーカー等の業界が

自主的に設立した非営利企業。Valorplast は、プラスチックベールの販路を確保し、中間処理

業者との契約、ソーティングセンターへのベール輸送の役割を担う。また、ソーティングセン

ターの分別の質や効率を向上させるための監視も行っている。図表 2-11の通り、Valorplast

の収入の殆どは自治体への選別後容器の引き取り料支払いに充てられている。

図表 2-11 Valorplast の収支構造

収入 再生資源売上 平均 303€ /t

支出 輸送費 34€ /t

選別後容器の引き取り料(自治体へ) 平均 258€ /t、最低 50€ /t 資料:Valorplast ホームページ

7エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」

8 ProEurope “EUROPE_Brochure”2010

9Adelphe を含む。エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2009」

10 http://www.adelphe-recyclage.com/liens/partenaires/filieres_materiaux.html

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4. ベルギー

4.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

4.1.1 容器包装協定

廃棄物処理に関わる立法権限は、フランドル、ヴァロン、ブリュッセル首都圏の各3地域に

あるが、1997 年、容器包装の発生抑制及び廃棄物管理に関する協調協定(Accord de cooperation

du 4 novembre 2008 concernant la prevention et la gestion des dechets d’emballages)(以下「容器包

装協定」という)が合意され、容器包装廃棄物の回収・リサイクルに関わる制度が施行された。

本協定は、家庭の排出及び事業者からの排出の各々について、引き取り・再商品化に関する要

求事項を規定している。本協定は、2008 年に改訂されている。

(1)容器包装の定義

EU 容器包装指令と同様。

(2)リサイクル率目標

容器包装協定第 3 条において、再利用不可能な容器包装のリサイクル・リカバリーの下限

値が定められている。この値はベルギー全土で達成すべき値とされる。

【家庭から排出される容器包装】

(2009 年より)

- リサイクル:80%

- リカバリー(「廃棄物焼却施設でのエネルギー回収を伴う焼却」を含む):90%

【事業所から排出される容器包装】

(2009 年より)

- リサイクル:75%

- リカバリー(「廃棄物焼却施設でのエネルギー回収を伴う焼却」を含む):80%

(2010 年より)

- リサイクル:80%

- リカバリー(「廃棄物焼却施設でのエネルギー回収を伴う焼却」を含む):85%

【各素材別のリサイクル率】

- ガラス:60%

- 紙/段ボール:60%

- 飲料用紙パック:60%

- 金属:50%

- プラスチック(プラスチックとしてリサイクルされる材料のみを計算):30%

- 木材:15%

(3)各主体の責務

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1)生産者等

①容器包装の回収及びリサイクル

容器包装協定第 6 条に基づき、年間 300 キログラム以上の包装材を市場に出す包装材責任

者(以下、生産者等)は、使用済み容器包装の引き取り義務及びリサイクル率目標達成の義

務を負う。この義務を履行する方法として、第 7 条では引き取り義務の全部または一部の履

行のために認可された組織への委託ができることを定めている。生産者等は、自身による引

き取り方法又は生産者責任組織の引取り方法を地域間包装材委員会に報告する義務を負う。

生産者等は、独自に使用済み容器包装の引き取り・再商品化を行うか、又は共同のシステ

ムに義務の履行を委託することが求められる。

②抑制計画の作成

年間 300 トン超の容器包装を上市する生産者等又は 100 トン超の容器包装をベルギー内に

上市する生産者等は、容器包装に関する抑制計画書を作成し、実施状況を毎年地域間包装委

員会に報告することが義務付けられている。

2)生産者責任組織

地域間包装委員会による許可を受け設立される。容器包装協定第 12 条に基づき、生産者責

任組織は、契約した生産者等から公平に拠出金を徴収した上で、リサイクル率目標の達成義

務を負う。第 13 条に基づき、この拠出金の目的は、容器包装の分別収集、一般市民への情報

提供・啓発活動、収集された容器包装の選別、選別・リサイクル・リカバリーの残余物の処

分の全ての実費を賄うこととされる。

容器包装協定第 9 条に基づき、生産者責任組織の要件は下記の通りである。

非営利社団として設立されていること

第 6 条に基づく引き取り義務の代行を、定款上の唯一の目的としていること(以下略)

家庭から出る容器包装の生産者責任組織は、家庭廃棄物の回収主体である自治体との間で

地域廃棄物計画に基づく合意書を締結する必要がある。この合意書には、下記の事項が盛り

込まれる。

容器包装廃棄物の収集方法と、収集された容器包装廃棄物すべての引受方法

材質や種類毎に定められた選別の最低限の技術的条件

選別された資源の販売のための最低限の技術的条件

全ての実費の支払いのための規則と方法(この業務には、焼却熱の有効利用及び焼却灰

の最終処分が含まれる。)

容器包装の分別収集に関する広報費用の支払の規則及びその方法

分別収集、選別、リサイクルの各市場が作られる方法

3)地域間包装委員会(IVCIE)

容器包装協定第 23 条に基づき、公共機構として地域間包装委員会が設置される。同委員会

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は法人格を有し、意思決定機関と常設事務局から構成され、各地域から人員と予算の提供を

受け、毎年各地域に対する活動報告書を提出する。

第 26 条に基づき、同委員会は下記の意思決定、検証を行う。

一般抑制計画の承認、推算値に関する裁定

生産者責任組織に委託しない生産者等の引き取り義務の履行方法の承認

生産者責任組織への許可、検査、取り消し、(何時でも)活動条件の改正

市場に出る再利用不可能な容器包装の重量に関する基準値の設定

生産者等又は生産者責任組織による目標達成

また、第 27 条に基づき、同委員会は以下に関して地方政府への提案・意見表明を行う。

自らの内部運営と年間予算

容器包装協定の改正

生産者責任組織の費用徴収・資金配分方法

リサイクル及びリカバリー設備の効率性

生産者責任組織が生産者等に請求する拠出金額の評価

4.2 生産者責任組織

家庭から排出される容器包装廃棄物の生産者責任組織として FOST Plus、事業系容器包装廃

棄物については VAL-I-PAC が各々設立されている。

(1)FOST Plus

非営利組織。1994 年、主要な容器包装メーカー、小売店、中身メーカー及び貿易団体によ

り設立。スタッフは 53 名。全容器包装の 92%(重量ベース)、5,400 社が同システムと契約

している11。

4.3 素材別組織

4.3.1 PLAREBEL

1999 年、家庭から排出される容器包装廃棄物のリサイクル促進のために、プラスチック製

造業、加工業、及び利用事業者によって設立された非営利組織(前身は、BELVAPLAST 及び

BEPET の2組織)。FOST Plus の素材別組織として、プラスチックリサイクルの技術、市場、

管理上の側面からノウハウの提供を行う。PLAREBEL はプラスチックの選別及びリサイクル

の品質管理において FOST Plus を支援する。

5. スウェーデン

5.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

1994 年、容器包装に関する製造者責任令(以下、「製造者責任令」)が制定された。製造者

責任令では、生産者等は家庭系及びその他の容器包装廃棄物の回収システムを確立し、リサイ

クル、処理することが義務付けられている。

11 FOST Plus アニュアルレポート 2009

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なお、ワンウェイのアルミ缶と PET ボトルは別制度であるデポジットシステムに基づいて

回収・リサイクルされる。その他の容器包装は事業系容器包装と同一のシステムにおいて収

集・再商品化されており、同システムでは家庭から出る容器包装の取扱は尐ないとされる12。

5.1.1 容器包装に関する製造者責任令

(1)リサイクル率目標

製造者責任令付属書Ⅰにおいて、容器包装廃棄物の種類毎のリサイクル率目標が図表

2-12の通り設定されている。

図表 2-12 リサイクル率目標(事業系を含む)

容器包装廃棄物の種類 リサイクル率*

全ての容器包装廃棄物 (2008 年以前)50%、うち最低 25%はマテリアルリサイクル

(2009 年以降)60%、うち最低 55%はマテリアルリサイクル

飲料容器を除く金属製容器

包装

70%マテリアルリサイクル

板紙、紙、カートン、ダンボー

ル製容器包装

65%マテリアルリサイクル

飲料容器を除くプラスチッ

ク製容器包装

70%マテリアルリサイクル、うち最低 30%はプラスチックへ

のマテリアルリサイクル

ガラス製容器包装 70%マテリアルリサイクル

金属製飲料容器 90%マテリアルリサイクル

ポリマー原料飲料容器 90%マテリアルリサイクル

木製容器包装 70%、うち最低 15%をマテリアルリサイクル

その他の原料容器包装 素材種類毎に 30%、うち最低 15%はマテリアルリサイクル * 特に記載の無い限りエネルギーリカバリーを含む。 資料:’Ordinance (1997:185) on Producers’ Responsibility for Packaging’ 2006

(2)各主体の責務

1)生産者等

生産者等には、容器包装の回収システムの構築(4 条)、回収システムについて地方自治体

と協議すること(5 条)、選別前の容器包装を輸送し、リユース、リサイクル又はその他の環

境に配慮した方法で取り扱われることを確実にすること(6 条)、及び環境庁に対し、容器包

装の生産量・輸出入量・販売量、及び回収・リサイクル等の実績を報告すること(10 条)が

求められている。

生産者等は、生産者責任組織に加盟し料金を支払うことで生産者責任を果たすことができ

る。

2)地方自治体

12REPA “EPA’s Instructions“ 2010

http://www.repa.se/download/18.3ddf6d2212756edcdc98000659/REPAs+Instructions+april+2010.pdf

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廃棄物計画において容器包装の分別回収に関する事項を明記(10 条 b)し、生産者等との分別

回収に関する協議に協力(5 条 c)し、市民に対して容器包装の回収目的、分別排出の義務、収

集システム、リサイクル目標、リサイクル実績について伝達する(8 条)義務を負う。

5.2 生産者責任組織

1994 年、容器包装の義務を履行することを目的に、貿易産業省が素材別組織を創設した。プ

ラスチック容器包装については、Plastkretsen AB が設立された。その後、金属、プラスチック、

紙、及びダンボールの素材別組織が共同で出資し、生産者等からの料金徴収及び各素材別組織へ

の資金分配の機能をもつ REPA(Reparegistret AB)が設立された。後に REPA は新聞の回収にお

ける生産者責任組織(FTI)と組織統合されている。従業員数は 40 名(FTI を含む)13。前述の

通り、スウェーデンでは事業系と家庭系の容器包装が同一のシステムにおいて扱われており、生

産者責任組織及び素材別組織についても、両方の容器包装を対象としている。

6. イギリス

6.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

1997 年、容器包装廃棄物に対する製造者責任規則(製造者責任規則)に基づき、年間 50 万ト

ン超の容器包装を扱い、かつ年間売上額が 200 万ポンド以上の企業に対し、独自又は共同で容器

包装のリサイクル目標を達成することが求められた。企業にはリサイクル量に応じた証書

(PRN;packaging waste recovery note、PERN; packaging waste export recovery note)が発行され、目

標を超過達成した企業は超過分の証書を販売できるという証書取引システムが導入されている。

6.1.1 容器包装廃棄物に対する製造者責任規則

(1)容器包装の定義

EU 容器包装指令と同様14。

(2)リサイクル率目標

製造者責任規則では、図表 2-13のように年毎のリサイクル目標を定めている。

図表 2-13 リサイクル率目標

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

ガラス 65% 69.5% 78% 80% 81% 81% 81%

アルミニウム 29% 31% 35% 38% 40% 40% 40%

スチール 56% 57.5% 68% 68.5% 69% 71% 71%

紙/板紙 66.5% 67% 67.5% 68.5% 69.5% 69.5% 69.5%

プラスチック 23% 24% 26% 27% 29% 32% 32%

木 19.5 20 20.5 21 22 22 22

資料:The Producer Responsibility Obligations (Packaging Waste) Regulations 2007 SCHEDULE2、The

13 ProEurope “EUROPE_Brochure”2010

14 製造者責任規則における生産者等の責務について、家庭系容器包装と事業系容器包装の区分はされておらず、

生産者等にはこの両者についてリサイクル責務がある。しかし、DEFRA"Packaging strategy 2009”によれば、生

産者等 PRN の支払いによってリサイクル義務を果たしているのは、殆どが事業系のみとのことである。

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Producer Responsibility Obligations (Packaging Waste) Regulations 2008、DEFRA ホームページ15

各生産者のリサイクル義務量は SCHEDULE2 に基づき下記のように計算される。

リサイクル義務量=国内容器包装取扱量×生産者クラス別パーセンテージ×リサイクル率目標

ここでいう、生産者クラス別パーセンテージとは図表 2-14の通りである。

図表 2-14 生産者クラス別パーセンテージ

容器包装原材料製造者(manufacturer) 6%

容器包装製造者(convertor) 9%

中身メーカー(packer/filler) 37%

販売者 4%

二次提供者(輸送包装) 85%

サービス提供者 85% 資料:The Producer Responsibility Obligations (Packaging Waste) Regulations 2007

(3)各主体の責務

1)生産者等

製造者責任規則第 4 条に基づき、生産者等は容器包装のリカバリー・リサイクル義務を果

たすことが求められており、同 5 項ではこの義務の履行は PRN 及び(又は)PERN の取得に

よってのみ証明できるとしている。

2)生産者責任組織

製造者責任規則第 12 条に基づき、生産者責任組織は容器包装のリカバリー・リサイクル義

務を果たし、環境庁に報告することが求められている。この義務の履行は PRN 及び(又は)

PERN の取得によってのみ証明できる。また、適切な場合には加盟企業が行ったであろう消

費者への情報提供を行うことが求められている。

6.2 生産者責任組織

イギリスには、2011 年 2 月現在、43 の生産者責任組織があり、いずれも各地域の環境庁から

の許認可を受けて事業を行っている。生産者責任組織は、競争法に基づき、競争を阻害する影響

を及ぼさぬよう、競争当局からの調査を受けることがある。

EU 環境総局 2001 によれば、法律制定当初には、法律対応のため生産者等により Valpack が設

立されているが、その後、廃棄物処理会社、素材別の原材料業界、運送業界、容器業界等によっ

て設立されている他、小規模な地域スキームがみられるとのことである。

15 http://www.defra.gov.uk/environment/waste/producer/packaging/targets.htm

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図表 2-15 イギリスにおける生産者責任組織

管轄庁 スキームの名称 スキーム運営者名

EA BiffPack (EA) Biffa Waste Services Ltd

EA Budget Pack (EA) Budget Pack Ltd

EA Clearpak Clearpak Ltd

EA Comply Direct Comply Direct Ltd

EA ComplyPak (EA) Complypak Ltd

EA DHL Packaging Compliance Exel Europe Ltd

EA Enpack Waystreme Limited

EA ePack RESC Ltd

EA Kite Environmental Solutions Kite Environmental Solutions Ltd

EA Packcare Packcare Ltd

EA Paper Collect Paper Collect Company Ltd

EA Paperpak (EA) Paperpak Ltd

EA Pennine-Pack Pennine-Pack Ltd

EA Recycle 1st (EA) Greenstar Environmental Ltd

EA Recycle Wales Recycle Wales Ltd

EA SWS Compak SWS Compak Ltd

EA Synergy Compliance Synergy Compliance Ltd

EA TaGPack TagPack Ltd

EA Toddpak F D Todd & Sons Ltd

EA Valpak (EA) Valpak Ltd

EA ValuePack Valuepack Ltd

EA Veolia Environmental Services (EA) Properpak Ltd

EA Wastepack (EA) Wastepack Group Ltd

EA Wespack Greenstar Environmental Ltd

NIEA Biffpack (EHS) Biffa Waste Srevices Ltd

NIEA Budget Pack (EHS) Budget Pack Ltd

NIEA Co2 Compliance (NIEA) Co2 Compliance Ltd

NIEA Compliance Link (EHS) Integra Compliance Ltd

NIEA Complypak (EHS) Complypak Ltd

NIEA DHL Packaging Compliance (NIEA) DHL Environmental & Compliance Solutions

NIEA Nipak Ltd (EHS) NIPAK Ltd

NIEA Paperpak (EHS) Paperpak Ltd

NIEA Recycle 1st (EHS) Greenstar Environmental Ltd

NIEA Recycle-Pak (EHS) Recycle-Pak Ltd

NIEA Valpak (EHS) Valpak

NIEA Veolia Environmental Services (EHS) Veolia Environmental Services

NIEA Wastepack UK (EHS) Wastepack

SEPA Co2 Compliance (SEPA) Co2 Compliance Ltd

SEPA Compliance Link (SEPA) Integra Compliance Ltd

SEPA Recycle-Pak (SEPA) Recycle-Pak (Scotland) Ltd

SEPA Scotpak (SEPA) NIPAK (Scotland) Ltd

SEPA Valpak Scotia (SEPA) Valpak Scotia Ltd

SEPA Wastepack GB (SEPA) Wastepack Ltd 資 料 : Environment Agency’ National Packaging Waste Database- Public Register of Compliance

Schemes’201116

16 http://npwd.environment-agency.gov.uk/PublicRegisterSchemes.aspx

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7. デンマーク

7.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

容器包装を対象に生産者等に回収・リサイクルを課す法令はなく、廃棄物に関する省令に基づ

いて地方自治体による容器包装の分別回収、リサイクル事業者への引渡しが行われている。基本

的に廃棄物は課税対象となり、リサイクルされる廃棄物は課税対象から外される。また、容器包

装のうちビールやソフトドリンクの容器はデポジット制度の対象となっている。リサイクル目標

は EU 指令に準じて廃棄物戦略に規定されているが、その達成責務を特定の主体に課すのではな

く、上記の仕組みを運用することにより、達成されている。

(1)リサイクル率目標

デンマークは、EU 容器包装指令において定められたリサイクル目標に準じ、廃棄物戦略

(Affaldsstrategi 2009-2012)17の中で、同水準のリサイクル目標を策定している。

なお、廃棄物に関する省令において、廃棄物処理は、以下の優先順序で実施されるべきこ

とが定められており、マテリアルリサイクルがエネルギーリカバリーよりも優先されること

が明記されている。

①廃棄物そのものの再使用

②廃棄物(素材)のリサイクル.

③エネルギーリカバリー等その他の目的への活用

④廃棄(なお、焼却の課徴金は埋め立ての課徴金より低く設定されており、廃棄の中にも

優先順位が存在しているといえる)

(2)各主体の責務

1)環境省(Miljøministeriet)

環境保護法に基づき、環境省は、特定の材料、製品及び容器の回収・再利用について生産

者等の義務について規則を定めることができる。

2)地方自治体

廃棄物に関する省令に基づき、ごみの分別、処理計画、規則、制度、データ管理、ごみ処

理施設の登録、ごみ収集、ごみ処理に関する基準などについての責務が詳細に定めている。

この中で、家庭から排出される紙・ダンボール類、ビン・グラス類、再使用・リサイクル

の対象となる金属類およびプラスチック類、及びリサイクル可能な PVC(ポリ塩化ビニル)

について、自治体は分別回収を実施し、これらを再活用する事業者と契約を結ばなければな

らないとされている。自治体と契約を結んだ事業者は、収集された資源がリサイクルされ

ていることを証明しなければならない。また、同省令に基づき、地方自治体は、廃棄物回

収・処理に要する手数料を市民に課している。

17 http://www.mst.dk/NR/rdonlyres/747FBCE2-A3D4-444F-BF60-D1747C36516D/0/Endelig1delafAffaldsstra

tegi200912.pdf

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一方で、実際の地方自治体による分別・回収の状況としては、環境省「容器包装の再使用・

リサイクルに関する統計 2008(Statistik for genanvendelse af emballageaffald 2008)」18によれば、

例えばプラスチック容器包装の分別回収はほとんどが事業者によるもの(事業系容器包装)

であるとされ、家庭系容器包装のリサイクル率は他国と比べ低位となっている。

3)生産者等

生産者等は、容器等の課税に関する法律(Emballageafgiftsloven LBK No. 101)」(2001 年施

行、2008 年改正)に基づき、新たな容器を製造又は販売する際に税金を支払わなければなら

ない(詳細は第2節 5.3.4 )。

上記の税金に加え、飲料容器にかかるデポジット及び回収等に関する省令

(Bekendtgørelse om pant på og indsamling m.v. af emballager til visse drikkevarer)

(デポジット省令 2010 年 10 月施行)」に基づき、20 リットル以下の特定の飲料水(ビール、

アルコール、ソーダ飲料及び天然水等)を販売する者は、販売した容器の 98 パーセントを

デポジット制度により回収し、リカバリーする義務を負う。同省令では、Dansk

Retursystem A/S が、デポジット制度の運営組織として指定されており、生産者等は飲

料容器の回収・処理にかかる費用を課徴金として Dansk Retursystem A/S に支払う義務がある。

Dansk Retursystem A/S は、デポジット対象容器の回収・リカバリー率が、2013 年1月1日ま

でに最低 95%に達するようにしなければならない。

8. 韓国

8.1 容器包装リサイクル制度の背景・法制度の概要

資源の節約とリサイクル促進に関する法律(以下、「リサイクル促進法」とする)に基づき、

2003 年 1 月 1 日、生産者責任リサイクル制度(EPR 制度)が施行され、資源リサイクル責任が

生産者の負担として規定された。

本制度の対象は、容器包装(プラスチック、紙、ガラス、金属材質)の他、家電製品やその他

の製品も含まれる。

(1)容器包装の定義

リサイクル促進法第 2 条では、容器包装の定義として「製品の輸送、保管、取扱、使用等

の過程で、製品の価値・状態を保護する又は品質を保全する目的で製品の包装に使用された

材料や容器等」としている。

また、同法で生産者等のリサイクル義務の対象となる容器包装については、第 16 条に基づ

き、生産・流通段階における材質・構造の改善や回収・リサイクルの促進の余地があるか、

又は発生量が多いか、という観点から対象範囲が限定されており、具体的には施行令におい

て、対象業種及び規模が定められている。プラスチック容器包装については、飲料食料品や

洗剤・化粧品の製造・輸入業、農水畜産物販売・輸入業、使い捨て封筒・ショッピングバッ

グを使用する大型総合小売業及び使い捨て封筒・ショッピングバッグの製造・輸入業等が該

18 http://www2.mst.dk/udgiv/publikationer/2010/978-87-92668-17-2/pdf/978-87-92668-18-9.pdf

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当し、その他の容器包装は対象外となっている。

なお、上記施行令において生産者等のリサイクル義務の対象となる容器包装に該当するも

のには、家庭から排出されるものだけでなく、事業系容器包装が含まれる。

(2)リサイクル率目標

リサイクル促進法に基づき、資源リサイクル基本計画では、2012 年を目標年としたリサイ

クル率の長期目標を設定している(図表 2-20)。また、この長期目標を達成するために、毎

年のリサイクル率目標が設定されている。

なお、ここでいうリサイクル率とは下記を意味する。

リサイクル率=リサイクル量(リサイクル促進法施行令に示された容器包装の品目別のリ

サイクル手法の合計)/容器包装の出庫量

リサイクル手法は、容器包装の品目毎に規定されており、マテリアルリサイクルの他、高

炉還元等のケミカルリサイクルやエネルギー回収が含まれる(図表 2-16)。

図表 2-16 品目別のリサイクル手法

品目 リサイクル手法

紙パック ア トイレットペーパー、緩衝材、段ボール等の紙製品の製造

イ 再生紙または再生板紙の製造

ウ リサイクルを目的とした輸出

ビン ア 洗浄して再使用

イ 土木・建築資材またはガラス製品の製造

ウ ガラス粉末等の再生原料の製造

エ リサイクルを目的とした輸出

缶 圧縮、破砕による金属原料の製造、リサイクルを目的とした輸出

PET ボトル ア 再生原料の製造

イ 成型製品の製造

ウ リサイクルを目的とした輸出(但し、総リサイクル量の 20%以下)

発泡ポリスチ

レン(EPS)

ア 再生原料の製造

イ 成型製品の製造

ウ 耐火製品または繊維コーティング製品の製造

エ リサイクルを目的とした輸出

合成樹脂材質

包装材

ア 再生原料の製造

イ 成形製品の製造

ウ 油類の製造

エ 固形燃料製品の製造

オ エネルギー回収

カ リサイクルを目的とした輸出

キ 溶鉱炉還元剤、コークス炉ガス化原料、ガスの製造

※但し、エ及びオの方法でリサイクルする量の合計は総リサイクル量の

70%以下とする 資料:リサイクル促進法別表6を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

(3)各主体の責務

1)生産者等

Page 22: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-34-

資源リサイクル法第 16 条に基づき、製品・容器包装の製造業者又は輸入業者(容器包装を

利用した製品の販売業者を含む)は、その製品・包装材の廃棄物を収集しリサイクルするか、

リサイクル事業共済組合(生産者責任組織)に負担金を支払うことが求められている。生産

者等に課せられるリサイクル義務量は、第 17 条に基づいて環境部が算定することとされ、生

産者等はこのリサイクル義務量に応じて独自にリサイクルするか又は生産者責任組織に負担

金を支払うこととなる19。また、生産者等(又は生産者責任組織)は環境部に対し、リサイ

クル義務履行計画書及びリサイクル実績を証明できる資料を含むリサイクル義務履行結果報

告書の提出が求められる。

また、リサイクルが難しい製品・材料・容器に対しては、同法第 12 条に基づいて、製造者

や輸入事業者に対して廃棄物の処理にかかる費用(廃棄物負担金)を毎年賦課・徴収できる

ことが定められている。

2)生産者責任組織(リサイクル事業共済組合)

資源リサイクル法第 28 条に基づき、リサイクル事業共済組合は、環境部からの認可によっ

て設立される。生産者等からの分担金の算定基準等は定款において定めた上で、前述の生産

者等に求められるリサイクル義務及びリサイクル義務履行計画書・リサイクル義務履行結果

報告書の提出を代行する。

3)地方自治体

分別回収、分類排出指針に従い分別回収のシステムを構築することが求められる。

4)国

生産者別出庫量・義務履行計画書の受付・承認、リサイクル義務履行実績報告書の受付・

実績確認、リサイクル賦課金の賦課など制度執行に関する事項、リサイクル現場確認・調査

の役割を担う。

8.2 生産者責任組織

韓国における容器包装リサイクルの生産者責任組織であるリサイクル事業共済組合は、容器包

装の素材毎に設立されている。プラスチックに関しては、PET ボトルは「PET ボトルリサイクル

協会」、発表合成樹脂は「発砲スチロールリサイクル協会」、PE 容器、PP 容器、PS 容器、及び複

合材質・フィルム類は「プラスチック資源循環協会」が該当する。

生産者責任組織には、分担金を納める生産者等が加盟する他、リサイクル事業者も加盟してお

り、この加盟リサイクル事業者が使用済み容器包装を再生し利用事業者に販売する際、生産者責

任組織からはリサイクルに係る費用の一部をリサイクル支援金として支払う仕組みとなってい

る。

19 リサイクル義務量を超えて資源が回収された場合には、生産者による費用負担の対象外となる。

Page 23: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-35-

図表 2-17 素材別の分担金及びリサイクル支援金

分担金 リサイクル支援金

PET ボトル 140 ウォン/kg

PE,PP,PS 単一素材 81 ウォン/kg 60 ウォン/kg

複合・フィルム類 174 ウォン/kg 選別費支援 50 ウォン/kg

リサイクル支援 110 ウォン/kg

PSP 295 ウォン/kg 200 ウォン/kg

PVC 884 ウォン/kg

資料:韓国プラスチック資源循環協会

Page 24: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-36-

第2節 個別論点についての比較結果

1. リサイクル率等に係る数値目標の設定状況及び実績

1.1 目標設定

現在、日本における容器包装リサイクル法ではリサイクル率等に係る目標は定められてい

ない。これに対し、本調査の対象国では、法律に基づき政府機関がリサイクル率等の目標を

設定している。

特に、EU 加盟国においては、EU 容器包装指令に基づき、各国が達成すべき目標値(図表

2-18)20が定められており、各国政府ではそれに対応した国内法を整備している。この対応

方法として、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、イギリスでは、EU 指令を上回る素材別の目

標値を法律等によって定めている(図表 2-19)点が特徴である。

図表 2-18 EU 容器包装指令に基づく目標値(2004 年改正)

リカバリー率 最低 60%(上限なし)

リサイクル率 最低 55%~最高 80%

ガラス 最低 60%

紙・ボール紙 最低 60%

金属 最低 50%

プラスチック 最低 22.5%

木材 最低 15%

図表 2-19 プラスチック容器包装のリサイクルに関する各国の目標

ドイツ ベルギー スウェーデン イギリス

リカバリー率 60% 90% 70% 92%

リサイクル率 36% 30% 飲料以外 70%

飲料容器 90%

32%

目標達成年度 1998 年以降変更

なし

2009 年以降 2009 年以降 2012 年

目標の設定根拠 容器包装令 容器包装協定 製造者責任令 製造者責任規則

目標の対象とな

る容器包装の排

出場所

家庭及び家庭と

同様の排出場所

家庭及び事業所 家庭及び事業所 家庭及び事業所

注 1:ベルギー容器包装協定に基づくリカバリー率は、家庭系と事業系とに区別されており、家庭系は上記の通り、事業系は 85%(2010 年以降)となっている。

資料:各国法令を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

図表 2-20 韓国における品目別リサイクル率目標

品目 リサイクル率長期目標

(2012 年)

金属缶 スチール缶 78.6%

アルミ缶 78.6%

びん 77.8%

紙パック 36.0%

合成樹脂包装材 PET 単一材質 80.6%

20 事業系容器包装を含む。

Page 25: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-37-

PET 複合材質 80.6%

発泡スチロール 78.1%

ポリスチレン・ペーパー 42.3%

ポリ塩化ビニル 66.4%

単一材質 80.0%

複合材質 60.0% 注:なお、ここでいうリサイクル率の定義は第1節 8.1 (2)の通り。 資料:韓国環境部「資源リサイクル基本計画(2008)」

1.2 容器包装のリサイクル・リカバリー実績

現在、日本における容器包装リサイクルの実績は、分別収集量、再商品化量、分別収集実施市

町村数を指標とされており、再商品化率(分別収集量に占める再商品化量)は集計されるものの、

容器包装廃棄物の発生量(投入量)を分母としたリサイクル率は集計されていない。これに対し、

EU では、各国が毎年のリサイクル率等の実績を欧州委員会に報告するしくみとなっている。容

器包装指令の発効以来、容器包装全体の各国平均リサイクル率は 46%から 60%(EU15 カ国)へ

上昇、最終処分率は 48% から 26%へ減尐し、一定の成果がみられる(図表 2-21)。

図表 2-21 容器包装廃棄物のリサイクル・エネルギーリカバリー・最終処理率(EU15 カ国)

資料:European Environmental Agency “Generation and recycling of packaging waste” 201021

プラスチック容器包装のリサイクル実績の比較結果は図表 2-22の通りである。なお、EU 容

器包装指令では、事業系を含む全容器包装のリサイクル率目標が設定されており、欧州プラス

チックリサイクル協会( EPRO European Association of Plastics Recycling and Recovery

Organisations)によればその内訳は図表 2-23の通りである。リサイクル率等については日本の

実績値が不明のため比較できないが、家庭系容器包装プラスチックのリサイクル率が相対的に高

21

http://www.eea.europa.eu/data-and-maps/indicators/generation-and-recycling-of-packaging-waste/generation-and-recyclin

g-of-packaging-2

Page 26: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-38-

い国として、ドイツ、スウェーデン、ベルギーの3国が挙げられる。また、事業系容器包装のリ

サイクルに重点がおかれる一方で家庭系容器包装のリサイクル率は低い国(イギリス、デンマー

ク)もみられる。

また、プラスチック容器包装のリサイクル手法として、ドイツ以外の EU 各国ではマテリアル

リサイクル又はごみ焼却場におけるエネルギーリカバリーが主な手法であるのに対し、日本とド

イツではその他のリサイクル及びごみ焼却以外のエネルギーリカバリーの割合が比較的大きく

なっている点が特徴といえる。

図表 2-22 プラスチック容器包装のリサイクル・リカバリー実績比較(2007 年)

日本 ドイツ

スウェーデ

ン フランス ベルギー イギリス デンマーク

使用済み容器

包装発生量

(t)

955,931

*1 2,643,800 191,316 2,113,930 308,741 2,121,000 191,782

マテリアルリサ

イクル(t)

506,902 1,075,100 79,803 445,900 118,695 476,567 41,787

その他のリサ

イクル(t)

250,496

*2

54,300 0 0 0 0 0

エネルギーリ

カバリー(t)

- 516,000 - - 2,523 23,552 -

ごみ焼却場に

おけるエネル

ギーリカバリー

(t)

*3 874,157 69,937 683,109 144,039 167,289 145,495

リサイクル率 - 43% 42% 21% 38% 23% 22%

リカバリー率 95% 78% 53% 86% 32% 98%

( 参考 )人口

(人) 127,767,994 82,314,906 9,113,257 63,392,140 10,584,534 60,816,701 5,447,084

注 1:日本の実績は PET 及びプラスチックの合計値。日本の使用済み容器包装発生量は、市町村による分別収集量。

注2:日本におけるその他のリサイクルは、油化、ガス化、高炉還元剤化、コークス炉化学原料化の手法によるリサイクルを示す。マテリアルリサイクル量もその他のリサイクル量も容リ協会の引取実績量。

注3:日本におけるごみ焼却場での熱回収量についての実績値は不明。 注4:欧州の実績は全て家庭系及び事業系の合計値。 資料:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会 「リサイクルのゆくえ」、 EC DG

Environment ”Packaging and Packaging Waste data”22を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

図表 2-23 EU におけるプラスチック容器包装のリサイクル率実績の内訳(家庭系/事業系)

(2009 年)

ドイツ スウェーデ

フランス ベルギー イギリス デンマーク

リサイクル率実績 44.3% 42.5% 21.5% 40.0% 26.7% 25.6%

家庭系のみのリサイク

ル率

49.3% 37.3% 21.8% 35.8% 16.6% 8.2%

事業系のみのリサイク

ル率

32.3% 52.2% 21.1% 48.5% 45.5% 61.6%

資料:EPRO(本データの著作権は EPRO に帰属する)

22 http://ec.europa.eu/environment/waste/packaging/data.htm

Page 27: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-39-

図表 2-24 韓国におけるプラスチック容器包装のリサイクル実績(2009 年)

区分 出庫量 義務量

(義務率)

リサイクル量

PVC 2,471 1,478

(59.8%)

1,997

PSP (ポ リスチレンペー

パー)

8,279 2,807

(33.9 %)

2,695

その他単一材質容器及び

トレー類

151,892 99,185

(65.3%)

119,047

複合材質フィルム・シート

型容器包装

159,847 76,086

(47.6%)

92,732

合計 322,489 179,556 216,471

注:リサイクル促進法に基づく EPR 対象プラスチック容器包装のみを対象としたもの。プラスチックのうち、ペットボトル及び発泡スチロールは含めず。リサイクル量には、一部熱回収を含む。

資料:韓国プラスチック資源循環協会(2011 年ヒアリングにおける説明資料)

2. 各国制度における対象物の範囲

2.1 容器包装の定義

日本における容器包装の定義は、商品を入れる「容器」および商品を包む「包装」であり、商

品を消費したり商品と分離した場合に不要となるものとされる。このうち、市町村が分別収集し

た段階で有価物となるものを除いたものについて、特定事業者にリサイクルの義務が課されるし

くみとなっている。これに対して、EU 各国は、分別収集した段階で有価か否かを問わず、容器

包装の定義に該当する全ての種類(素材)の容器包装について、リサイクル目標が設定され、そ

れを達成するための分別収集・リサイクルの仕組みが構築されている。また、容器包装の定義の

違いとして、日本では役務の提供に使用するものは対象外となるが、EU では対象となる点が挙

げられる(図表 2-25)。韓国では、第1節 8.1 に述べたとおり、生産者責任に基づく容器包

装の対象となる具体的製品群が施行令によって定められている。

図表 2-25 容器包装の該当・非該当

日本 EU 韓国

ストロー等の容器包装周辺物 × × ×

クリーニング袋等、役務(サービス)

の提供に使用する包装

× ○ ×

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

2.2 実際に分別収集・リサイクルされるプラスチック容器包装

日本では、市町村分別収集計画をどのように定めるかは、容器包装リサイクル法第3条の基本

方針に即し、市町村にその裁量がゆだねられる。容器包装リサイクル法に基づく分別収集を実施

するか否かを含め、対象となる容器包装廃棄物、開始時期等は市町村の判断によるものである。

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室「市町村分別収集計画策定の

手引き(五訂版)」(平成 19 年3月)によれば、“市町村が分別区分決定に当たり検討する項目は、

次のとおりで、住民の協力度(分別の区分に従って適正に排出される率(分別排出率))、収集物

の品質、収集作業の効率、施設の整備状況、コスト等の要因に関して検討・評価して定めること

Page 28: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-40-

となる。”とされている。実際には PET ボトルは 98%、プラスチック容器包装は 72.7%(うち白

色トレイのみは 39.6%)の自治体が分別収集を行っている。

これに対し、EU 各国では、リサイクル率目標を達成するために必要な範囲での分別収集が行

われており、法令上の容器包装の対象範囲と実際の分別収集・リサイクルされる容器包装は異

なっている。家庭系プラスチック容器包装に関しては、ほとんどの国がボトルに限定して分別収

集を行っており、その中でドイツのみがフィルム類やアルミ蒸着プラスチック等の混合素材も含

め、全てのプラスチック容器包装を分別収集・リサイクルの対象としている点が特徴である(

図表 2-26)。

なお、フランスでは 2009 年にエコアンバラージュ及び ADEME から報告書”Etude sur

l’opportunité du tri et du recyclage des emballages ménagers plastiques autres que bouteilles et flacons”23

が出されており、プラスチック容器包装の分別収集の対象物をボトル以外に広げる可能性につい

て示唆している。その他、イギリスにおいても、”Packaging Strategy 2009”DEFRA2009 において、

家庭系のプラ容器の回収対象をボトル以外にも拡大する方針が示されており、EU 指令に基づく

リサイクル率の達成を目安として、分別収集の対象物については各国でも検討が続いているもの

と考えられる。

図表 2-26 分別収集・リサイクルされるプラスチック容器包装の範囲

日本 ドイツ スウェーデン

フランス

ベルギー

イギリス

デンマー

韓国

リサイクル

目標の対象

全ての容

器包装

EU 包装指令に基づく全ての容器包装 飲料食料品、洗剤等、農水畜

産物、ショッピングバッグ等

実 際 の 回

収・リサイ

クル

全ての容

器包装

全ての容

器包装

ボトル中心

*1,2,3

自治体の

判断

同上

*1 スウェーデンでは、PET と缶はデポジット制度の対象。その他の家庭系プラスチック容器について、当初は、ソフトプラスチック(フィルム、袋等)とハードプラスチック(ボトル、カップ等)の分別回収を行っていたが、最近では、家庭からのプラスチック容器の分別回収が尐なくなっている(REPA2010)。PET ボトル以外の容器包装プラスチックのマテリアルリサイクルは減尐(2007 年 58 千トン 35%→2008 年 52 千トン 31%)している(環境保護庁 2010)。

*2 ベルギーでは、飲料容器に加え、フラスコ型の容器(ヨーグルト飲料等)を含む。ベルギーでは 2001 年にプラ容器リサイクルの対象範囲について検討され、ボトル以外に拡大するとリサイクル率が 6%上昇する一方、不純物の増加に伴い年間 37 百万€ のコスト増となるとの試算が出された(2004 年 ASSURE ヒアリング)。

*3 イギリスでは、使用済み容器包装の回収責任は各市町村にあり、分別対象品目は地域毎に異なるが、ボトル(PET 及び HDPE)のみを回収するケースが多いとされる。

なお、実際の分別収集の対象が限定されている国においても、分別収集・リサイクルの費用(シ

ステムへの委託)については、実際には分別収集されない容器包装も含めて、全ての生産者等が

負担している。例えば、ベルギーでは、リサイクルできないものや熱回収ができないもののライ

センス料が高く設定されている(図表 2-27参照)。

23 http://www.ecoemballages.fr/mediatheque/etudes/

Page 29: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-41-

図表 2-27 ベルギーにおける容器包装の素材別のライセンス料

資料:FOST Plus アニュアルレポート 2009

2.3 容器包装プラスチックの発生量内訳

分別収集・リサイクルの対象物を比較する際には、各国の容器包装プラスチックの発生量内訳

を踏まえる必要がある。特に、フィルム・シート類の割合の日本と諸外国との比較ができること

が重要である。以下は、これまでに把握できた発生量内訳である。

図表 2-28 日本における容器包装プラスチックの発生量内訳(事業系含む)

フ ィ ル

ム・シー

ボ ト

ル ・

箱・食

トレイ

(包装

用)

コンテ

ナー

結 束

テー

蓋 ・

キャッ

プ類

トレイ

(物流

用)

その他 合計

発 生 量

(t)、%

2,585,226

59%

797,267

18%

315,708

7%

196,928

4%

138,723

3%

75,703

2%

23,644

1%

269,274

6%

4,402,473

資料: 国立環境研究所合成樹脂需要総括表(樹脂の種類別・用途別:2000 年) 注: 国立環境研究所による容器包装プラスチックのマテリアルフロー(2003)によれば、全出荷量

(428 万トン)のうち家庭系は 66%(284 万トン)とされる。

図表 2-29 日本におけるプラスチック製容器包装(PETボトルを除く)の材質・用途別内訳

資料:「容器包装以外のプラスチックのリサイクルの在り方に関する懇談会(第1回)」配布資料

(原典は、平成 21 年度の6都市の容器包装廃棄物の使用・排出実態調査結果より)

Page 30: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-42-

図表 2-30 ドイツにおける容器包装プラスチックの発生量内訳(事業系含む)

フィル

ボトル 袋 カ ッ

プ、缶

カ ッ

プ、蓋

テープ

大型容

器、 キャ

ニスター

その他 合計

生産量

(千 t) * 1

1843 513 492 446 334 82 47 290 4046

輸出入

差引後* 2

1391

46%

461

15%

408

13%

390

13%

260

9%

51

2%

47

2%

24

1%

3033

資料:プラスチック容器包装産業会(IK) *1 IK 推計値 *2 IK データを元に MURC 試算

図表 2-31 フランス、ベルギーにおける容器包装プラスチックの発生量内訳

ボトル その他 合計

フランス 437,000 (43%) 563,000(56%) 1,000,000

ベルギー 88,630 (44%)* 112,312(56%) 200,942

資料: Valorplast ホームページ、FOST Plus 2009 *飲料容器に加え、フラスコ型の容器(ヨーグルト飲料等)を含む

図表 2-32 スウェーデンにおける容器包装プラスチックの発生量内訳

発生量(t) マテリアル

リサイクル

エネルギー

リカバリー

全リカバリー量

PET

(ワンウェイ)

22,893 12% 19,196

(84%)

0

(0%)

19,196

(84%)

PET 以外

(事業系含む)

170,257 88% 52,224

(31%)

50,245

(30%)

102,469

(60%)

合計

193,150 - 71,420

(37%)

50,245

(26%)

121,665

(62%) 資料:環境保護庁” "Collect and recycle" Samla in, återvinn! Uppföljning av producentansvaret för 2008”2010

2.4 容器包装以外の資源との一括回収

日本では、容器包装リサイクル協会の定める「引取り品質ガイドライン」におけるプラスチッ

ク製容器包装の分別基準として、「容器包装以外の物が付着し、又は、混入していないこと」と

いう規定があるため、自治体においては容器包装とそれ以外とを区分して収集するか、収集後に

各々を分別する必要がある。

ドイツでは、2008 年改正容器包装令において、(システムの設立地域において一般廃棄物の収

集・処理を自治体により委託されている廃棄物処理事業者との協定に基づき、共同システムが)

「同素材で容器包装以外の廃棄物を適切な対価により収集すること」を認めている(第 6 条 4 項

7 文)。この条文により、容器包装廃棄物か容器包装以外の廃棄物かを問わず、リサイクルに適

した同一素材を、一般廃棄物とは分別して一括回収することが可能となっている。

なお、この明文化の以前より、ドイツ各地において、図表 2-33に示す試行的取り組みが進め

られてきた。例えば、DSD では 2004 年より、高度な分別技術を備えたソーティングセンターの

あるライプチヒ市にて、軽量容器用の「黄色いゴミ箱」で金属・プラスチック製の家庭用品や電

子機器などを一括回収する実験を開始し、この手法を同市において定着させたとのことである

Page 31: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-43-

24 。

図表 2-33 ドイツにおける資源一括回収の取り組み事例

プロジェクト主体

一括回収の対象

物(軽量容器と同

時に回収される

もの)

プロジェクトの概要

ノルトライン・ヴェスト

ファーレン州と DSD の

共同プロジェクト

家庭ごみ 軽量容器(黄色容器)とその他の残り家庭ごみ(灰

色容器)を一括回収し、自動選別するもの。

ラインラント・プファル

ツ州と DSD の共同プロ

ジェクト

家庭ごみ 軽量容器(黄色容器)とその他の残り家庭ごみ(灰

色容器)を一括回収し、自動選別するもの。「灰色

(Grau)中の黄色(Gelb)=GiG 試験プロジェクト」

と称する。

バーデン・ビュルテンブ

ルク州委託によるシュ

トゥットガルト大学の

プロジェクト

家庭ごみ その他の残り家庭ごみ(灰色容器)と特定の資源廃

棄物を一括回収し、自動選別するもの。

ライプチヒ市と DSD の

共同プロジェクト

金属・プラスチッ

ク製の家庭用品

や電子機器

容器包装廃棄物とその他の製品の回収・選別・リサ

イクルを統合するもの。その他の家庭ごみとの分別

回収は従来どおり行われる。 資料:中曽利雄 2008 年「ドイツにおける廃棄物政策-連邦環境省、リサイクル・効率化技術の輸出

促進統合ネットワーク(RETech)構想」月刊廃棄物 34 巻 11 号 90 頁を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

さらに、現在改正中の循環経済法(旧循環経済廃棄物法)において、一般廃棄物に含まれる乾

いた有価物を生ゴミ等の水分含有廃棄物と分別し、「有価物のためのコンテナ(Wertstofftonne)」

により回収するという新たな分別排出区分が規定されている。ここに含まれる対象物及び回収責

任主体(自治体又は生産者等)については、現在検討中である。尚、連邦環境庁では有価物コン

テナに関する研究レポートを 2010 年 5 月及び 2011 年 2 月に発表しており、これによれば、有価

物コンテナによる素材別の回収が環境的にも経済的にも利点があること、また対象物として小型

廃電気電子機器は分別回収が望ましいこと、木、ゴム、繊維、廃電池は有価物コンテナに入れる

べきではないこと等が示されている。

2.5 事業系容器包装の扱い

日本では、家庭から排出される容器包装のみを対象としているのに対して、EU では、事業者

から排出される容器包装もリサイクル率目標の対象となっている。

24 DSD ホームページ

Page 32: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-44-

図表 2-34 事業系容器包装の扱い

日本 ドイツ ベルギー

スウェーデ

イギリス

フランス

デンマーク 韓国

法制度 上

の扱い

対象外 対象 一部対象

事業系 用

容器包 装

の事業 者

責任

排出者責任 生産者責任

(引受)

生産者責任

( 費 用 負

担)

生産者責任

( 費 用 負

担)

排出者責任*2

生産者責任

事業系 用

容器包 装

の生産 者

責任組織

無し 家庭系とは

別*1

家庭系とは

家庭系と同

無し 無し

実際の 分

別にお け

る家庭 系

容器と の

関係

-- 回収は別、

選別から同

一 と な る

ケースあり

一緒に回収

(事業系が

主)

別システム

*1 家庭と同様に扱われる包装廃棄物発生場所(第1節 2.1.2 参照)からの排出分は家庭系と同じ。

*2 中小事業者の業務用容器包装は家庭系と同様に回収される。

3. 関係者間の役割分担

3.1 分別収集~再商品化に至る段階毎の役割分担

3.1.1 分別収集

まず、日本及び本調査の対象国において、家庭から排出される一般廃棄物の収集の役割はい

ずれも地方自治体が担っている。

容器包装に関しては、日本では容器包装リサイクル法に基づき自治体が分別収集の責務を

負っており、費用も地方自治体の負担によって賄われている。

これに対して、調査対象国における役割分担は、生産者責任型、地方自治体責任型、及び生

産者の費用負担に基づく自治体の遂行型の3タイプ(図表 2-35)、また、費用負担割合につ

いては、生産者負担型、地方自治体負担型、生産者と地方自治体との分担型の3タイプ(図表

2-36)に区分できる。

ドイツ、スウェーデンでは家庭から排出される容器包装の引き取り責任を生産者等に課して

おり、自治体による一般廃棄物の収集システムから容器包装の分別収集が切り離されている点

が特徴である。一方、イギリス、デンマーク、韓国では、家庭から排出される容器包装の分別

収集の責務を自治体に課しており、この費用も自治体の負担によって賄われている25。

ベルギー、フランスでは、上記の中間、つまり実際の分別収集は自治体が担い、そのための

費用は生産者責任組織を通して生産者が負担するしくみとなっている。このうち、ベルギーで

25なお、イギリス、デンマーク共に、家庭から排出される容器包装のリサイクル率は低く、両国政府資料ではそ

の実効性についての課題が指摘されている。

Page 33: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-45-

は容器包装協定上、生産者に引き取り責任を課した上で、生産者責任組織から地方自治体に分

別収集が委託され、費用全額を生産者が負担しているのに対し、フランスでは自治体が一般廃

棄物の収集と同様に容器包装の収集を行い、そのための追加的費用の一部を生産者責任組織か

ら助成金が支払われている(負担割合の詳細は3.2.1 (1)1)を参照)。

図表 2-35 分別収集の役割分担の類型

タイプ 概要 該当国

生産者責任 自治体による一般廃棄物の収集とは別に、

生産者責任による容器包装の分別収集が

行われている

ドイツ、スウェーデン

地方自治体責任 自治体による一般廃棄物の収集と同様に、

容器包装の分別収集が自治体の責務とし

て行われている

イギリス、デンマーク、

韓国

生産者の費用負担に基

づく自治体の遂行

容器包装の分別収集の役割を実態として

自治体が担い、その費用の全額又は一部を

生産者が負担する

フランス、ベルギー

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

図表 2-36 分別収集の費用負担の類型

タイプ 概要 該当国

生産者負担 全額生産者負担 ドイツ、ベルギー、

スウェーデン

地方自治体負担 全額地方自治体負担 イギリス、デンマーク、

韓国

生産者と地方自治体と

の分担

費用の一定割合を生産者が負担 フランス

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

図表 2-37 容器包装リサイクル制度における生産者等の内訳

原材料生産者

(輸入業者)

容器包装加工

業者(輸入業

者)

包装済み商品

輸入業者

中身メーカー 流通業者

日本 ○ ○ ○

イギリス ○ ○ ○ ○ ○

ドイツ ○ ○ ○ ○

フランス ○ ○ ○

ベルギー ○ ○

スウェーデン ○ ○ ○

資料:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

3.1.2 選別

日本では、自治体は回収した使用済み容器包装の分別、異物除去などを行い、保管し、分別

基準に適合させる役割を担っている。しかし、この分別基準を満たしたものであっても、再商

品化事業者においてマテリアルリサイクルを行う品質には満たないため、再商品化事業者にお

いて再度選別が行われている。

これに対して、ドイツ等、分別収集を生産者責任・生産者負担により行っている国では、必

然的に選別も生産者等の役割となる。一方、ベルギーやフランスでは、地方自治体と生産者責

Page 34: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-46-

任組織との合意文書において、収集した容器包装の素材毎に選別後の資源の品質基準が定めら

れており、実際の選別の役割は自治体が負っている。このうちベルギーでは、選別の費用を生

産者が負担することが容器包装協定上規定されており、費用全額が生産者責任組織から地方自

治体に支払われている。また、フランスでは、分別収集費用と合わせ、生産者責任組織からの

助成金によって一部が賄われている。

3.1.3 再商品化

日本では、生産者責任組織との契約に基づき、地方自治体が収集・選別し、分別基準を満た

した容器包装については、生産者責任組織がそれを引き取ることを保証している。同様に、ベ

ルギーやフランスでは、品質基準を満たした容器包装について生産者責任組織又は素材別組織

による引き取り保証の仕組みがある。よって、地方自治体が収集・選別した資源が逆有償の状

態にあっても、生産者等の負担によりリサイクルが行われる仕組みとなっている。

なお、ドイツやスウェーデンでは、消費者の排出時点で容器包装の引き取りからリサイクル

までの一連の流れを生産者等の責任によって進められる。また、分別収集の費用負担を自治体

が負うイギリスやデンマークでは、再商品化事業者への引渡しまでを自治体が行っている26。

3.2 地方自治体の裁量について

3.2.1 分別収集に関する地方自治体のシステム参加への裁量について

日本では、容器包装の種類毎に生産者責任組織と契約に基づき分別収集を行うことについて

自治体に裁量権がある。例えば、プラスチック容器包装(PET を除く)では、1,547 自治体の

うち 1,035 自治体(2010 年実績)が生産者責任組織との契約を交わしている。また、2008 年

より「市町村に対する金銭の支払」条項(第 10 条の 2)が追加され、リサイクルに実際にか

かった費用が想定金額を下回った場合にその差額の 2分の 1に相当する金額を市町村に拠出す

る仕組みができた。

容器包装の引き取り責任を生産者等に課しているドイツやスウェーデンでは、自治体には容

器包装の分別収集の直接的な責任はないが、具体的な分別収集の方法に関して、生産者責任組

織と地方自治体が個々に合意を結んでおり、分別収集システムに関しても自治体が関与してい

るといえる。例えば、ドイツでは、州政府が生産者責任組織(システム運営者)への許認可を

発行しており、地方自治体(郡又は政令市)が容器包装の分別回収方法(回収拠点、回収頻度、

回収時間、コンテナ清掃の役割分担、市民啓発方法等)について生産者責任組織と合意を結ぶ。

一方、生産者等の費用負担の元に分別収集の実務を地方自治体が担うフランスやベルギーで

は、地方自治体は生産者責任組織との合意に基づいて分別収集にかかる資金を獲得できるしく

みとなっており、分別収集に取り組むための一定のインセンティブが働いているといえる。フ

ランスでは、生産者責任組織は、自治体による分別収集によって生じた追加的費用を自治体に

償還することが求められており、実際には生産者責任組織と分別収集に関する合意を結んだ自

26イギリスでは、PRN の購入を通じてリサイクル費用を生産者等が負担する仕組みが存在するが、実際には家庭

系の容器包装ではこの仕組みを用いた生産者による費用負担はほとんど無いとされる。DEFRA “Packaging

Strategy 2009”

Page 35: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-47-

治体に対してのみ助成金が支払われる仕組みとなっている。2008 年にエコアンバラージュと

契約を結んだ自治体は 1,240、全自治体の 98%に相当する27。

(1)地方自治体の分別収集コストの把握、生産者等の負担金額の計算方法

生産者等の費用負担の元に分別収集の実務を地方自治体が担うフランス及びベルギーにお

ける、地方自治体による分別収集のコストの把握、生産者負担金額の決定方法については以

下の通りである。

1)フランス

フランスでは、自治体への直接的な資金提供は、エコアンバラージュからの助成金及び選

別後の容器包装の売却益の還元の 2 種類がある。この2つの資金の合計は、フランスにおけ

る家庭系容器包装廃棄物の管理にかかる総費用の 60%を占めている28。この割合について、

グルネル環境会議では、収集・選別の効率化を進めることにより、最適コストに占める負担

割合を 80%に引き上げる目標を提案している29。

自治体への助成金の支給額は、当該の自治体に住む市民ひとり当りの容器の分別回収量に

応じ、下図のような算定方法がとられていた。つまり、分別回収が進めば、より多くの助成

金が受けられ、一定量を超えると助成金額が減尐する仕組みである(図表 2-38)。

図表 2-38 自治体への助成金の算定方法(2007 年)

資料:容リ協調査報告書(2007)

この算定方法は、2004 年以降変更されていなかったが、グルネル環境会議からの提案を受

け、2010 年 1 月からは算定方法を見直し、25%増額される予定である。この算定方法は、貢

献算定委員会(生産者等及び素材別団体の代表からなる)において提案され、エコアンバラー

ジュのボードにかけられた後、地方自治体代表他様々なステークホルダーを含む許可委員会

において検討された30。

27 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2009」

28 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」p14

29 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」p14

30 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」p15

自治体へのトン当たり援助金

住民一人当たりの容器分別回収量

Page 36: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-48-

2)ベルギー

ベルギーでは、FOST Plus が個々の自治体との合意に基づき収集運搬事業者等と収集、選

別・運搬の契約を交わしている。自治体と収集運搬事業者との間では毎年の契約金額の見直

しが行われる。現在、FOST Plus は全ての自治体と合意を結んでおり、2009 年、FOST Plus

では、生産者等から集めたライセンス料と再生資源の売上の合計額の 84%に相当する額を自

治体の収集・選別等にかかる費用として支出している31。

FOST Plus から自治体への分別収集費用の支払いについては、地域間包装委員会による

FOST Plus の認可決定書32において、同第6条に示された分別収集方法(図表 2-39)を自治

体が採用した場合には、分別収集に要した実質費用及び全額費用が FOST Plus から自治体に

返済されることが定められている。一方で、第7条に基づき、第 6 条の分別収集方法よりも

高価な方法を自治体が採用した場合には、FOST Plus からの返済金額は基準価格を上限とする

ことが定められている。この規定によって、ベルギーでは、コスト効率性の高い分別収集方

法を全国の自治体が採用するインセンティブが働いているといえる。

図表 2-39 許可決定書第 6 条に定められた分別収集方法

A. 紙/段ボール

毎月、あるいは現行計画を強化する場合の理由付記により 4 週毎に、コンテナ置き場での収

集で補足しつつ、戸別訪問による収集

B. PMC(プラスチックボトル、プラスチック容器、金属容器、飲料用紙パック)

月 2 回、あるいは現行計画を強化する場合の理由付記により 2 週毎に、コンテナ置き場での

収集で補足しつつ、戸別訪問による収集

C. 紙/段ボール及び PMC(プラスチックボトル、プラスチック容器、金属容器、飲料用紙パッ

ク)

月 2 回、あるいは現行計画を強化する場合の理由付記により 2 週毎に、コンテナ置き場での

収集で補足しつつ、戸別訪問による 2 度の収集

D. ガラス

コンテナ置き場で 2 ヶ所(透明のものと色つきのもの)による収集と、一般に地表のガラス

回収箱※による収集

※FOST Plus により、住民 700 人に対し1箇所(200 人/km2 以下の平均人口密度の自治体間

には住民 400 人に対し最低 1 箇所)設置される。

E. 紙/段ボール及び/あるいは PMC(プラスチックボトル、プラスチック容器、金属容器、飲

料用紙パック)及び/あるいはガラス

200 人/km2 以下の人口密度の農村部:戸別訪問による収集を行わず、尐なくとも自治体毎に

設置されたミニコンテナによる収集

200 人/km2 以下の人口密度の自治体:上記 A から D の実施がない場合、費用も同様に補てん

されたコンテナ置き場を通じた収集

F. 全資材

第 9 条に基づくモデル事業の対象となる分別収集方法

尚、人口 10 万人以上あるいは最低 1000 人/km2 の平均人口密度を有する自治体及び都市圏に

31 FOST Plus「アニュアルレポート 2009」

32包装廃棄物事業者としての非営利団体 FOST Plus の認可に関する 2008 年 12 月 18 日付包装材に関する地域間委

員会の決定(Décision de la Commission interrégionale de l’Emballage concernant l’agrément de l’association sans but

lucratif Fost Plus, en qualité d’organisme pour les déchets d’emballages)

http://www.fostplus.be/about_Fost_Plus/Pages/Legislation.aspx

Page 37: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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関しては、紙/段ボール及び PMC の戸別訪問による収集の頻度は、現行計画を強化する場合

の理由の付記によって変更可能(紙/ダンボール:月2回、PMC 及び PMC と紙/ダンボール:

週1回)。

また、現条項の適用には、加えて以下の原則を尊重しなければならない。

-FOST Plus は、任意に基づき、適用可能な廃棄物地方計画に則りつつも上記に明記されてい

ない計画を実質費用及び全部原価で返済することをいつでも決定できる。

-安価で上記記載の計画に等しい産出量を生み出す改良した各計画についても、実質費用及び

全部原価で返済されなければならない。 資料:地域間包装委員会 FOST Plus 認可決定書を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

3.2.2 使用済み容器包装の引渡し先の選択における裁量について

日本では、収集・選別した容器包装について、指定法人と契約した地方自治体は、契約時の

申込量に基づいた引渡しをすることとなっている。実際には、申込量と実際の引渡し量には乖

離があり、この要因としては実際の分別収集量が予定を下回ったか、又は指定法人以外のルー

トへの引渡しが行われていることが考えられる。

フランスでは、生産者責任組織と合意を結んだ地方自治体からの収集・選別後のプラスチッ

ク容器包装の引渡し先について、2004 年までは素材別組織(Valorplast)に限定されていたが、

2005 年以降、①Valorplast との契約(引き取り・価格保証)、②リサイクル連盟(認定された

リサイクル業者の団体)の加盟事業者との契約(引取りは保証するが、価格は変動)、③個別

リサイクル業者との契約(自治体が最終責任を負う)の3方法から選べるようになった 33。

このためValorplastによる自治体からのプラスチック容器の引き取り量は 2004年以降一旦減尐

し、その後は横ばいとなっている。また、引き取り単価は 2008 年の不況時の下落を除いて、

上昇傾向にある(図表 2-40)。

図表 2-40 自治体からのプラスチック容器の引取り量及びValorplastからの支払い額(フランス)

資料:Valorplast ホームページ34

33 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」p23

34 http://www.valorplast.com/Front/prix-reprise-emballages_203.php

引き取り量

引き取り単価

Page 38: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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ベルギーでは、FOST Plusと契約した自治体は、選別後のプラスチック容器包装を FOST Plus

に引き渡す。この時、資源の売却益の自治体への還元は行われない。

なお、実際のモノの流れは、自治体から再商品化組織への移動となっており、この点は日

本と調査対象国共に同じである。

4. 分別収集~再商品化に係る具体的手法・実態

4.1 分別収集

4.1.1 具体的手法

(1)分別方法

家庭からの分別排出の方法として、日本ではプラスチック製容器包装を一般廃棄物とは区

分し、かつ、PETボトルとその他プラスチックは区分した上で排出する方法となっている

のに対して、ドイツ、フランス、ベルギー等ではプラスチック容器包装と缶や紙等を一般廃

棄物とは区分した上で一括して排出する方法となっており、素材別に細かく分類して排出す

る方法と比べ市民の負担は比較的小さいと考えられる35(図表 2-41)。なお、前述の通り、

いずれの調査対象国においても、分別収集の方法に関して地方自治体の関与がみられ、地方

自治体毎に実際の分別方法は異なる。例えば、フランスでは、図表 2-42の通り、地域によっ

て区分方法は様々である。

一方、この分別収集方法の標準化に関して、ベルギーでは3.2.1 (1)2)に示したとお

り、よりコスト効率性の高い方法を自治体が採用する仕組みが講じられている。さらにフラ

ンス ADEME へのヒアリングでも、人口密度及び都市部か農村部かといった条件を加味し、3

~4 程度のタイプ分けをした上で、各自治体に分別収集方法の標準化を進める方針であると

の見解が示された。

図表 2-41 容器包装の分別収集における一般的な区分方法

ドイツ -軽量容器(紙製容器包装、プラスチック容器包装、空き缶、混合素材)

-板紙類

-ガラス瓶

フランス -テトラパック、ダンボール、雑紙、金属、プラスチックボトル

-ガラス瓶

ベルギー -PMD(プラスチックボトル(PET、HDPE)、空き缶、飲料カートン)

-紙製容器包装、紙類(新聞等を含む)

-ガラス瓶 資料:各種資料を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

35 但し、ドイツの一部の地域では、持ち込み方式によって容器包装を素材別等に細かく分別した上で排出する方

法がとられている他、スウェーデンでも持ち込み方式による素材毎の分別排出が行われている。

Page 39: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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図表 2-42 容器包装の分別収集における区分方法(フランス)

資料:エコアンバラージュ36

(2)市民による分別排出の実態

日本では、家庭系容器包装の排出量(市場投入量)は統計が取られていないため、排出量

に占める分別収集の実績については評価ができない。

フランスやベルギーなど、法律に基づくリサイクル目標の対象と実際に分別収集される対

象物が異なる国について、分別収集の対象物に占める回収率(排出量に占める分別収集量)

は、フランスの場合 51.5%(プラスチックボトル類の発生量 437,000t のうち 225,000t を回収)

37、ベルギーの場合 71.2%(プラスチックボトル類の発生量 86,296t のうち 61,422t を回収)38

となっている。また、分別回収されたものに占める残渣割合((回収量-リサイクル量)/回

収量)は、フランス 23%、ベルギー15.4%39となっており、いずれもベルギー市民の分別排出

の意識が高いことが伺われる。

また、各国の生産者責任組織では、市民の分別排出の意識調査を行う例も見られる。ベル

ギーでは、FOST Plus が意識調査を実施し、市民の 92%以上が各素材の容器包装の分別排出

に協力しているとしている(図表 2-43)。ドイツでも、DSD が同様の調査を実施しており、

94%の消費者は軽量容器を概ね分別していること、また、将来廃棄物中のリサイクル可能物

を機械選別し家庭での分別が不要となった場合、26%は非常に楽になる、31%はやや楽にな

る、42%は何も改善されず分別収集が維持されることを望むと回答している40。

36http://www.ecoemballages.fr/fileadmin/contribution/pdf/instit/brochures/collecte-selective-performances-et-innovations-20

09.pdf

37 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2009」、Valorplast ホームページ

38 FOST Plus アニュアルレポート 2009

39 プラスチック容器だけでなく PMD 全体を対象とした値。FOST Plus アニュアルレポート 2009

40 DSD ホームページ

Page 40: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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図表 2-43 市民による廃棄物の種類毎の分別排出の状況(ベルギー)

(どの廃棄物をどの頻度で分別しているか?)

資料:FOST Plus ”SORTING AND RECYCLING OF HOUSEHOLD PACKAGING How good are Belgian

consumers?”2009 41

4.1.2 コスト

日本では、環境省による各市町村における分別収集及び選別保管に係るコストの実態調査が

行われており、「容器包装廃棄物の分別収集及び選別保管に係る市町村コストの実態調査(平

成 21 年度)」において、プラスチック製容器包装の収集運搬や選別保管の費用等が把握されて

いる。

分別収集にかかるコストについて、日本と各国の比較結果は図表 2-44の通りである。

図表 2-44 各国における分別収集コスト

情報源 コスト

日本 環境省調査 プラスチック製容器包装の収集運搬費(2007 年)

45,515 円/t(人口に基づく推計)

31,412 円/t(収集運搬量に基づく推計)

※15 自治体のデータを用いた推計値

ドイツ --- 把握されていない

フランス ADEME2009年 (ボトル以外のプラスチック容器包装に関する試算単価)

収集 107€ /t、輸送 19€ /t

ベルギー FOST Plus ア

ニ ュ ア ル レ

ポート 2009

193.99€ /t(FOST Plusによる支払い実績)

韓国 --- 把握されていない

41 http://www.fostplus.be/SiteCollectionDocuments/Publicaties/Barometer%20EN/files/fp_resultatenbrochure_uk_def.pdf

Page 41: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-53-

4.2 選別

4.2.1 具体的手法

日本では、各自治体において使用済み容器包装の選別保管が行われる。プラスチック容器包

装の場合、消費者の排出時点で素材別に分別されているため、選別施設では夾雑物を取り除く

作業となる。基本的に選別施設は自治体毎に設置されており、選別の手法としては主に手選別

が多くなっている。また、自治体による選別だけではマテリアルリサイクルを行う品質には満

たないため、再商品化事業者において再度選別が行われている。

本調査対象国のうち選別施設の具体的情報が得られたのはドイツ、フランス、ベルギー、及

び韓国である。このうち、ドイツ及びベルギーでは、選別施設の民営化が進んでおり、1施設

のカバーする人口規模が比較的大きくなっている。特に、ドイツでは、自動選別機の導入が進

んでいる点が特徴である。一方で、フランス及び韓国では、自治体毎に選別施設があり、カバー

する人口規模は比較的小さい。その中でも、フランスではドイツと同様に、近年、手選別から

自動選別への移行が進んでいる。ドイツ、フランス、ベルギーでは、消費者の排出時点では缶

や紙等の他素材と混ざっているため、選別施設では夾雑物を取り除くと共に素材別や色別に分

ける作業が行われる42。

フランスでは、自治体の選別センターの総数は 266 箇所(2008 年)。施設の技術レベルに応

じてタイプ1~4に分けられている(図表 2-45)。直近(2007 年から 2008 年)の変化として

は、タイプ1が減尐し、タイプ3、4が増加、全体数は減尐している。エコアンバラージュに

よれば、この多くの施設のカバーする人口は 10 万人以下であり、ドイツやベルギーではその

5-10 倍の人口をカバーする施設があるとのことである43。

図表 2-45 選別センターのタイプ別施設数(フランス)

2007 年 2008 年

タイプ1:手選別のみの原始的な施設 121 109

タイプ2:比重や形状による選別機(回転式の篩い機等)の入った施設 78 78

タイプ3:比重や形状による選別機+磁力選別、風力選別の入った施設 62 64

タイプ4:タイプ3+複数台の光学式選別機の入った施設 12 15

合計 273 266

(資料)エコアンバラージュ44

本調査ではドイツ及びフランスの選別施設各1箇所を訪問し、ドイツでは軽量容器の選別工

程、フランスではプラスチックた。その工程の概要図は次ページの通りである。

42 ドイツでは、連邦環境庁の発行する”Best Practice Municipal Waste Management”において、軽量容器の選別技

術について、①Basic/②Advanced/③Sophisticated の3形態の技術が紹介されている。

43 エコアンバラージュ「アニュアルレポート 2008」p42

44http://www.ecoemballages.fr/fileadmin/contribution/pdf/instit/brochures/plaquette-centres-de-tri-optimises-2008-web.pdf

Page 42: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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図表 2-46 ドイツ EGN ソーティングセンター 軽量容器選別工程概要

軽量容器LVP

'プラ、紙パック、缶(手選 大きめのPPフィルム

2011/02/08

ドイツEGN社ソーティングセンター

35mm以下のガラス片、土砂等

240mm以下の軽量容器ごみ

Titech

※Titechマシン:・光学、・可視光、・近赤外線センサーの組み合わせ

バリスティックセパレーター'振動選別(

重量物

軽量物'紙・プラ(

RPF化'紙との混合(

Titech Titech Titech

PE PP 紙パック PET

Titech

その他プラ'PVC以外(

粗破砕破砕

'12mm(水洗

脱水'遠心分離(

フレコン詰め

残渣'リサイクル不適物(・有機物・PVC

・紙

産業系容器包装廃棄物

'資源化対象外('例(シャンプーボトル、PETボトル

紙・プラフィルム類風力選別

鉄類

RPF化'プラのみ(

トロンメル径35mm

トロンメル径240mm

渦電流選別アルミ缶・アルミ付テトラパック

磁力選別

注:同施設の軽量容器(LVP)選別施設能力は 40,000 トン/年(AIDA(ノルトライン・ウェストファーレン州廃棄物情報プラットフォーム)資料より) 資料:視察結果を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

Page 43: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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図表 2-47 フランスソーティングセンター 紙類・缶・プラスチックボトル選別工程概要

ディスクセパレーター

段ボール

手選'前処理(

ディスクセパレーター

立体物'ボトル、缶(

平たい物'雑誌等(

光学選別

新聞・雑誌 リサイクル可能なその他容器包装

フィルム等リサイクル不適合物'最終処分へ(

手選'3ライン(・新聞・雑誌・リサイクル可能な容器包装・紙くず

ディスクセパレーター'再度(

磁力選別

光学選別

光学選別

鉄類

光学選別

PET

HDPE・紙パック

アルミ缶・その他

渦電流選別 アルミ

PET'透明(

PET'有色(

HDPE

紙パック

紙パック'ELA(

紙くず'GDM(

リサイクル可能なその他の紙製容器包装'EMR(

紙類

2011/02/11

フランスSemardel社ソーティングセンター

残渣'最終処分へ(

残渣'最終処分へ(

'紙類の手選ラインへ(

注:同施設の選別施設能力は 42,000 トン/年、120-130 の市町村からの排出分に相当。 資料:視察結果を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

Page 44: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-56-

4.2.2 コスト

選別にかかるコストについて、日本と各国の比較結果は図表 2-48の通りである。

図表 2-48 各国における選別コスト

情報源 コスト

日本 環境省調査 プラスチック製容器包装の選別保管費用(2007 年)

42,765 円/t(人口に基づく推計)

28,656 円/t(収集運搬量に基づく推計)

ドイツ 連邦環境庁

”Best Practice

Municipal Waste

Management”

軽量容器選別施設(Advanced タイプ)の初期投資

15 万~250 万ユーロ

軽量容器選別費用(Advanced タイプ)

150-225 ユーロ/t* *残渣処理費を含む

フランス ADEME2009 年 (ボトル以外のプラスチック容器包装に関する試算単価)

分別センターでの 1 次分別 428 ユーロ€/t- 679 ユーロ€/t

物質毎の 2 次分別 133 ユーロ/t

ベルギー FOST Plus アニュア

ルレポート 2009

PMD 選別費用(2009 年)

173.52 ユーロ/t(FOST Plusによる支払い実績)

韓国 選別施設ヒアリング

より(年間支出額よ

り三菱 UFJ リサーチ

&コンサルティング

試算)

自治体選別施設における人件費、運営費、資材・消耗品費

133,873 ウォン/t

4.3 再商品化

4.3.1 具体的手法

日本では、生産者責任組織ルートにより再商品化が行われる場合、自治体が選別した容器包

装の引渡し先を生産者責任組織が入札によって決定する。この際、分別収集された容器包装の

一定割合についてマテリアルリサイクルの優先枠が設定されている。

これに対し、調査対象国では、生産者責任組織が再商品化事業者を選定する点は同様である

が、選定方法は入札ではなく相対契約である点が特徴である。

また、再商品化の手法については、EU 容器包装指令において、使用済み容器包装の再商品

化手法として、エネルギーリカバリーよりもリユースおよびリサイクルを優先させることが明

記され、その上で、リカバリー (リサイクルを含む)目標に加えてリサイクル目標を設定し

ている。また、ドイツ及びスウェーデンでは、使用済み容器包装のリサイクル目標値設定にお

いて、EU 指令よりもリサイクル率を高く設定することにより、マテリアルリサイクルを優先

的に取り扱っているといえる。

その他、デンマークでは、廃棄物に関する省令において、①リユース、②マテリアルリサイ

クル、③エネルギーリカバリーという優先順位を明記している。

4.3.2 コスト

日本では、自治体による選別後のペットボトル(ベール)は有償で取引されているが、その

他プラスチックに関しては、マテリアルリサイクル及びケミカルリサイクル共に逆有償となっ

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-57-

ている。一方で、調査対象国では、PET、HDPE、PS、PP についても有償で取引されている点

が主な相違となっている(図表 2-49)。

図表 2-49 各国における選別後プラスチック容器包装の取引価格

情報源 コスト

日本 環境省調査45 <処理費の支払い額(2010 年)>

プラスチック製容器包装の再商品化事業者による落札単価

マテリアルリサイクル事業者 75,927 円/t

ケミカルリサイクル事業者 38,646 円/t

ドイツ 選別施設ヒア

リングより

<資源価格(有償)(2008年)>

PP(粉砕・洗浄前、プラスチック含有率 70%)120 ユーロ t

PP フレーク(粉砕・洗浄後)は 550~550 ユーロ/t

フランス Valorplast ホー

ムページ

<資源価格(有償)(2008年)>

PET、HDPE 平均 303 ユーロ/t

ベルギー FOST Plus ア

ニ ュ ア ル レ

ポート

<資源価格(有償)(2009年)>

PET 197.87 ユーロ/t

HDPE 96.54 ユーロ/t

韓国 生産者責任組

織ヒアリング

より

<資源価格(有償)>

PET:300,000~450,000 ウォン/t

リサイクル事業者ヒアリングでは 600,000 ウォン/t

<処理費の支払い額>

プラスチックフィルム(RPF 用):80,000 ウォン/t

4.3.3 プラスチック容器包装の再商品化製品の用途

図表 2-50 各国におけるプラスチック容器包装の再商品化製品の用途

日本 ドイツ フランス 韓国

PET マテリアルリサイクル

用途:繊維、シート、

ボトル、回収ボックス、

漆器、結束バンド、ご

み袋等

マテリアルリサ

イクル

用途:繊維、PET

ボトル他

マテリアルリサイ

クル

用途:繊維、ボト

ル、緩衝材、締結

材等

マテリアルリサイクル

用途:繊維、車内装材

PE マテリアルリサイクル

用途:パレット、プラ

スチック板、再生樹脂、

棒・杭・擬木、電力・

通信用資材、土木建築

用資材、園芸農業用資

材、工業用部品、日用

雑貨品・その他

マテリアルリサ

イクル

用途:押出・射出

成形品、自動車部

品(バンパー、イ

ンパネ、シート

等)

マテリアルリサイ

クル(HDPE)

用途:建材(水道

管等)(6 割)、フラ

スコ型容器、プー

ル水槽等

マテリアルリサイクル

用途:パレット、土木

建築資材、擬木等

PP 分別されず

(焼却炉における

熱回収)

PS

混 合

プラ

ケミカルリサイクル

用途:高炉還元剤、コー

クス炉化学原料、ガス

化、油化

サーマルリサイ

クル

用途:RPF

マテリアルリサイクル

用途:植木鉢、ブロッ

ク類、排水路、擬木等

サーマルリサイクル

用途:再生油、RPF 資料 日本:容リ協ホームページ“PETボトルのリサイクルのゆくえ>再商品化製品(フレーク・

ペレット・ポリエステル原料)の用途分野について”、“プラスチック製容器包装のリサイクルのゆくえ>容器包装プラスチックの再商品化手法、材料リサイクル製品の用途分野について”

45 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100629a04j.pdf

Page 46: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-58-

ドイツ、フランス、韓国:視察結果を元に作成

4.4 廃プラスチックの域外輸出

調査対象の全ての国において、容器包装プラスチックの国外輸出(域内・域外を含む)は増加

傾向にある。

図表 2-51 容器包装プラスチックの輸出量及び輸出割合の推移

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

2003 2004 2005 2007

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

EU

イギリス

ドイツ

フランス

ベルギー

デンマーク

スウェーデン

ベルギー

デンマーク

スウェーデン

イギリス

ドイツ

フランス

EU

資料:EUROSTAT ”Results of packaging recycling and recovery in the Member States and in the EU”を基に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

4.5 フリーライダー対策

視察調査の結果、いずれの調査対象国においても、一定のフリーライダーが存在することが見

受けられた。特に、ドイツでは、DSD の独占体制が崩れ、複数の DS が並存する状態となったこ

とを背景に、以前よりもフリーライダーが増加したといわれている。2008 年の改正では、この

状況を改善するため、一部の例外を除いて生産者による独自の回収を認めず、DS への加入が義

務付けられる措置がとられた。さらに、「量完全証明制度」が導入され、生産者等はドイツ商工

会議所(DIHK)宛てに包装容器の素材と使用量に関するデータを提出することが義務化された。

州政府は、このデータとリサイクルシステムへの参加又は自主回収の実績証明とをつき合わせる

ことにより、フリーライダーの摘発を行うこととなる。

この結果、包装材使用証明書により申告された軽量容器の投入量は、2008 年 905 千トンから

2009 年 1,556 千トンへと大幅に増加46している。

包装市場研究協会 (Gesellschaft für Verpackungsmarktforschung mbH,GVM)では、2010 年 12 月に

報告書「個人末端消費者用商業包装ライセンス取得度向上のための行動オプション

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(Handlungsoptionen zur Steigerung des Lizenzierungsgrades von Verkaufsverpackungen privater

Endverbraucher)」を発行している。これによれば、個人末端消費者用容器包装の使用量と DS、

自己回収・業界別解決、及びデポジット制度の対象との差をライセンス取得過尐分とした場合、

ライセンス未取得の容器包装の割合は、容器包装合計で 2008 年 30.5%、2009 年 21.7%、2010 年

25.5%となっており、軽量容器では 2008 年 33.4%、2009 年 27.3%、2010 年 30.5%となっている。

これについて GVM は、容器包装令 2008 年改正は、2009 年のフリーライダー防止には大きく寄

与しているものの、翌 2010 年には、DS 契約料が再び大幅に下がっていることを指摘している。

4.6 市民啓発

日本では、容器包装の発生抑制及び分別収集に関する国民への広報の役割は国が負っている。

これに対して、調査対象国のうち、広報・市民啓発の役割が法律上明確に定められているのはベ

ルギー及びスウェーデンである。

ベルギー容器包装協定では生産者からの拠出金の使途の一つに市民啓発が規定されており、こ

れに基づいて生産者責任組織が広報の役割を担っている。その他、フランス、ドイツにおいても、

生産者責任組織は目標達成の義務を負うことから、そのために必要な取り組みとして市民啓発の

役割を実践している。但し、ドイツでは現在9つの生産者責任組織が競合しているため、1社が

市民啓発・広報に取り組んでもその効果は社会全体に及び特定の組織の効果として反映されにく

いことから、生産者責任組織が市民啓発・広報を行わなくなったという状況が見られる。

スウェーデンでは、容器包装令に基づき、地方自治体が、容器包装の回収目的、分別排出の義

務、収集システム、リサイクル目標、リサイクル実績について市民に伝達する責務を負っている。

5. リデュースへの取組状況

5.1 EU 廃棄物枠組み指令

5.1.1 経緯

2005 年、廃棄物発生抑制およびリサイクルに関する主題戦略(COM(2005)666)が策定され

たものの、各国レベルでも EU レベルでも廃棄物発生抑制の取り組みの進捗は(実施面でも目

標達成度においても)芳しくなかった。このため、廃棄物発生抑制の達成にはライフサイクル

の各段階における実際の意志決定に影響を及ぼす必要があるとして、製品設計、製造、流通お

よび消費の方法が重要視されることとなった。こうした経緯を踏まえ、2008 年 11 月 22 日に、

EU 改正廃棄物枠組み指令が制定された。

5.1.2 改正廃棄物枠組み指令の概要

(1)廃棄物ヒエラルキーの明記

本改正により、発生抑制の定義が明確にされた上で、「4条廃棄物ヒエラルキー」において、

廃棄物発生抑制及び管理法令及び政策における優先順位が明記された。

(a)発生抑制

46 Vollstandigkeiteserklarung ホームページ

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-60-

(b)リユース

(c)リサイクル

(d)その他のリカバリー

(e)処理

発生抑制の定義(改正廃棄物枠組み指令(2008)(3 条(12)))

「発生抑制(prevention)」とは物質、素材または製品が廃棄物になる前にとられる次の

ような措置;

(a)廃棄物の量の削減。これには製品のリユースや長寿命化を含む

(b)廃棄物となった際に環境や人の健康に与える負の影響の削減

(c)素材や製品に含まれる有害物質の削減

(2)加盟各国への要求事項概要

1)国家廃棄物発生抑制プログラムの策定

同指令では、加盟各国に対し、2013 年 12 月 13 日までに国家廃棄物発生抑制プログラム

(National waste prevention programme)を策定すること、このプログラムは 6 年以内に見直す

ことを求めている。

政策は既存の廃棄物管理計画あるいはその他の環境政策プログラムに組み込んでも、独立

したプログラムとして機能してもよい。統合する場合は、廃棄物発生抑制措置が明確に識別

できなければならない。このプログラムでは廃棄物発生抑制目標(objectives)を定めなけれ

ばならない。また、各国は指令付属書 IV に示された発生抑制措置やその他適切な措置の事例

を既存の廃棄物発生抑制政策と比較し、既存措置の有用性を評価しなければならない。

2)発生抑制目標(targets)と指標(indicators)

指令 29 条(3)により、各国は適用する廃棄物発生抑制措置について、適切かつ特定の定

量的または定性的なベンチマーク(すなわち目標と指標)を定めなければならない。これに

より発生抑制措置の実施状況を監視し、進捗を把握することが求められる。

指令 29 条(4)により、欧州委員会にはコミトロジー手続きを以て特定の廃棄物発生抑制

措置に適用するための指標を設定することが許されている。

各国のプログラム策定を支援するために、指令 29 条(5)により、欧州委員会は廃棄物発

生抑制のベストプラクティス情報共有システムおよびガイドラインを作成することとされる。

3)廃棄物発生抑制措置の具体例

改正廃棄物枠組み指令付属書Ⅳには、各国が策定する廃棄物発生抑制プログラムにおいて

実施する廃棄物発生抑制措置の具体事例を以下のように挙げている。エコデザイン、自主協

定の締結や環境マネジメントシステムの促進等がある。

廃棄物の発生の枠組みに影響を及ぼしうる対策

1. 計画策定及びその他の経済的手法

2. 研究開発及び研究開発の成果の活用

3. 指標の開発

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-61-

製品設計、製造、流通段階に影響を及ぼしうる対策

4. エコデザインの推進

5. 技術情報の普及と BAT の普及

6. 許認可制度における廃棄物発生抑制の考慮

7. 施設導入時の廃棄物発生抑制の考慮

8. 啓発

9. 自主協定の締結

10. 環境マネジメントシステム

消費及び使用段階に影響を及ぼしうる対策

11. クリーンな購入へのインセンティブや特定の品目又は容器包装に対する消費者の支払

い義務等、経済的手法

12. 一般市民又は特定の消費者層に対する普及啓発

13. 信頼性のあるエコラベルの促進

14. 統合製品政策(IPP)の枠組みにて実施されている製品パネルの活用、又は小売業者との

廃棄物発生抑制に関する情報や低環境負荷製品の導入可能性等、産業界との合意

15. 公共及び企業調達における入札・契約基準への環境及び廃棄物発生抑制の組み入れ

16.教育、経済、物流の活用、又は特に人口密集地域における修理・リユースセンターの設

置などの手法による、使用済み製品又はその部品のリユース及び/又は修理の促進。

5.2 容器包装リサイクル指令に基づく発生抑制政策の概要

容器包装指令では、1994 年の制定当初より、「4 条発生抑制(prevention)」、「9 条必須要求事項

(essential requirement)」(ANNEXⅡ含む)において、加盟国への発生抑制措置を求めている。

発生抑制(prevention)の定義(容器包装指令(1994)(3 条(4)))

「発生抑制(prevention)」とは、特にクリーンな製品および技術を開発することによって、

– 包装および包装廃棄物に含まれる材料および物質、

– 製造、販売、流通、利用、廃棄段階での包装および包装廃棄物

の量および環境に対する有害性を軽減することを意味するものとする

5.2.1 必須要求事項の概要

加盟国は、必須要求事項(下記3項目)に適合した容器包装だけが市場に置かれることを

確実にすることが求められている。

容器包装の容量・重量は、包装される製品および消費者の安全性の維持に必要最小限の

量に制限すること。

容器包装は、再利用、リサイクル、リカバリーを可能にし、残留物の処理の環境影響を

最小限にするよう設計・製造・販売されること。

有害で危険な物質・原材料による容器包装の使用後の環境負荷を最小限にすること。*

*カドミウム、水銀、6 価クロム、鉛の許容含有量の合計を、1 パッケージにおいて重量

比で 100ppm 以下とする規定を含む。

なお、容器包装指令 10 条では、下記に関する規格の開発を求めており、2000 年以降、CEN

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-62-

(欧州標準化委員会)による規格の発行が進められている。この規格は、容器包装が上記必

須要求事項に適合することを示す基準となっている。

容器包装の LCA に関する基準および方法

容器包装内の重金属および他の危険物質の存在、および容器包装や包装廃棄物から環境

中へのそれらの放出を測定および評価する方法

適切な種類の容器包装に関して、包装に含まれるリサイクルされた材料の最低量に関す

る基準

リサイクル方法に関する基準

堆肥化する方法および生産された堆肥に関する基準

容器包装のマーキングに関する基準

5.2.2 発生抑制の実績

人口あたり容器包装廃棄物の排出量は EU 全体として増加傾向にある。特徴として、1990

年代後半時点で排出量の多かった国(フランス、イギリス)では増加率が低く、一方で排出

量の低かった国は増加率が高いケースが多いことが挙げられる(図表 2-52)。

図表 2-52 人口あたり容器包装廃棄物の排出量の推移

資料:European Environmental Agency “Generation and recycling of packaging waste” 2010

欧州委員会では、2009 年に容器包装指令の必須要求事項に対する各国の遵守状況に関して

報告書“A Survey on compliance with the Essential Requirements in the Member States”を発行し

ている。

同報告では、発生抑制の取組状況を図る指標として、下記を提案した上で、各国のパフォー

マンス比較を行っている。必須要求事項1(発生抑制)を評価するための指標として下記の

式が用いられている。なお、分母「包装された製品」の指標については、EUROSTAT の収録

する PRODCOM 及び COMEXT という統計データを元にした製品重量、及び GDP の2通りが

利用されている。本報告書では、このいずれについても、本指標に活用する際には課題が残

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-63-

ることを指摘している。

【必須要求事項1(発生抑制)に対する指標】

Σ容器包装

d dt

Σ包装された製品

図表 2-53 発生抑制への要求事項に対する指標トレンド(製品投入量ベース)

0

2

4

6

8

10

12

14

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

イギリス

ドイツ

スペイン

ベルギー

資料:“A Survey on compliance with the Essential Requirements in the Member States”EC DG Environment,2009 を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

図表 2-54 発生抑制への要求事項に対する指標トレンド(GDP ベース)

0

2

4

6

8

10

12

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

スペイン フランス ドイツ

イギリス ベルギー スウェーデン

デンマーク

資料:“A Survey on compliance with the Essential Requirements in the Member States”EC DG Environment,2009 を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

Page 52: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-64-

5.3 各国における発生抑制施策

5.3.1 ドイツ(ワンウェイ容器に対するデポジット制度)

1991 年の制定当初より、容器包装令第 9 条において、リターナブル占有率が 72%(1991 年

の水準)を下回った飲料容器47を対象に、デポジット制度を導入することが定められていた。

これに基づき、毎年容器包装のリターナブル占有率の調査が実施されてきたが、1990 年代後

半にその基準を下回ったため、ビール、ミネラルウォーター、炭酸ガス入り清涼飲料について、

2003 年 1 月から強制的に 25 セントのデポジットが課されることとなった。その後、対象とな

る飲料容器が拡大され、現在の対象は図表 2-55の通りとなっている。

図表 2-55 強制デポジットが課せられる容器/課せられない容器

デポジットが

課せられている容器

ビール及びビールを含む飲料

水(炭酸入り、炭酸無し)

ソフトドリンク(炭酸入り、炭酸無し)

混合アルコール飲料

課せられていない容器 容量が 0.11 リットル以下、及び 3.01 リットル以上のもの

下記のエコロジカル容器

-飲料用カートン

-飲料用ポリエチレン袋

-standing foil bags

-リターナブル容器

(1)リターナブル容器の利用率

リターナブル容器の利用率は、強制デポジットの発動直後の 2003 年に一度上昇したが、そ

の後更に減尐し、2008 年には 50%を割っている(図表 2-56)。これらの実績から鑑み、本制

度はリターナブル容器の利用率を高めるという当初の狙いを達成することは難しいと考えら

れる。

図表 2-56 リターナブル容器の利用率

1991 1998 2000 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008

ミ ネ ラ ル

ウォーター

93.3 87.4 81.0 68.3 73.0 67.6 60.9 52.6 47.0 45.1

炭酸飲料 73.7 77.0 67.0 54.0 65.4 62.2 54.4 47.7 41.9 37.6

炭酸無添加

飲料

34.6 35.7 33.6 29.2 24.0 20.6 17.1 14.0 13.0 11.5

ビール 82.2 76.1 72.8 68.0 89.2 87.8 88.5 87.1 85.2 85.0

ワイン 28.6 26.2 25.0 25.3 24.6 20.0 19.0 17.5 9.1 9.0

上記飲料の

重量平均

71.7 70.1 65.0 56.2 63.6 60.3 56.0 50.64 46.44 44.1

資料:Gesellschaft für Verpackungsmarktforschung mbH(GVM), 2010

47 ビール、炭酸水(泉水、食卓用飲料水、健康水を含む)、炭酸清涼飲料水、天然果汁(果実ネクター、野菜ジュー

ス及びその他の炭酸無添加飲料水を含む)、ワイン(炭酸ワイン、発泡ワイン、ベルモット及び食後ワインを

除く)

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(2)モノの流れ

この強制デポジット制度の発動当初は、「アイランドソリューション」つまり、個々の流通

業者が同一店舗や同一チェーンで販売された容器のみを引き取るというしくみであったが、

2005 年、全国的に統一された清算システムを運営するドイツ・デポジットシステム(DPG:

Deutsche Pfandsystem GmbH)が設立された。図表 2-57のマークのついた容器であれば、実

際に飲料を購入したかどうかを問わず、消費者はどの小売店に容器を返却してもデポジット

料金の返還を受けることができる。

図表 2-57 ワンウェイ容器(強制デポジット対象)用のラベル

資料:DPG(Deutsche Pfandsystem GmbH)

なお、ドイツでは、リターナブル PET ボトルも流通しており、強制デポジットの対象とな

るワンウェイ PET ボトル、及び強制デポジットの対象とならないワンウェイ PET ボトル(軽

量容器としてデュアルシステムにより回収)の3種類が存在する。

リターナブル PET ボトルについては、消費者の識別を容易にするため、リターナブル

(Mehrweg)とボトル上に印字がある他、国内の環境保護団体や飲料業界等により組織され

るリターナブル研究会(Arbeitskreis Mehrweg GbR)48が任意の表示制度(図表 2-58)を普

及している。

図表 2-58 リターナブル容器のマーク

資料:リターナブル研究会

5.3.2 フランス(産業界との自主協定)

グルネル環境会議によって提案された環境目標を受けて、2008 年 10 月、産業界と環境省

との間で容器包装の発生抑制に関する自主協定49が合意された。この自主協定には、産業界

の代表として、エコアンバラージュ、食品産業協会(ANIA)、消費者製品産業リエゾン研究

48 http://www.mehrweg.org/index2.html#

49 http://www.adelphe-recyclage.com/docs/pdf/communique_de_presse.pdf

Page 54: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

-66-

所(ILEC)が名を連ねており、容器包装の発生抑制及びエコデザインの強化により、2012 年

までに原材料を 1,700 万トン節約し、二酸化酸素排出を 1,100 万トン削減することが盛り込ま

れている。

ここでいう発生抑制とは、エコデザインと容器包装の重量及び数量の削減である。また、

容器包装には事業系容器包装が含まれる。

この目標達成のために、輸送用容器包装のリユースに関するパイロットテストを実施し、

エコアンバラージュは容器包装の環境評価に関するツール開発に取り組み、エコデザインを

促進することとされている。

なお、フランスにおけるプラスチック容器包装の投入量は図表 2-59の通りである。

図表 2-59 フランスにおけるプラスチック容器包装の投入量(家庭系のみ)

資料:Valorplast ホームページ50

5.3.3 ベルギー

(1)抑制計画

この抑制計画では、容器包装の量を削減するための手段及び各社が目指す抑制目標を記載す

ることが求められる。

生産者等は、この抑制計画を自社で策定することもできるし、所属する業界団体の策定する

抑制計画に対して専門機関を通じて同意を表明することもできる。

この義務が適用される事業者は下記の通りである。

年間 300 トン以上のワンウェイ容器包装を取り扱う事業者

年間 100 トン以上のワンウェイ容器を用い、製品を包装する各事業者又はベルギー包装

された製品を輸入する事業者

50 http://www.valorplast.com/Front/prix-reprise-emballages_203.php

Page 55: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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図表 2-60 消費者の買い物時の発生抑制に対する意識

資料:FOST Plus ”SORTING AND RECYCLING OF HOUSEHOLD PACKAGING How good are Belgian consumers?”2009

(2)容器包装に対する環境税

ベルギーでは 1993 年より容器包装に対する環境税が適用されている。しかし、その効果は

低く、度重なる改正及び廃止を経て、2004 年 4 月、牛乳以外の使い捨て飲料容器に対する環

境税が導入された。この改正に対して、使い捨て容器を差別的に取り扱うことに対する訴訟

及び無効との判決が出されたため、2007 年 4 月にはリターナブル容器を含む全ての容器包装

を対象とした新たな環境税が導入された。この新制度では、リターナブル容器は使い捨て容

器の7分の1の税額が課せられており、これは、リターナブル容器の一般的な使用回数を考

慮したものとされる51。

さらに、2007 年の新制度では、容器包装の重量に加え、容器包装の製造時の CO2 排出量を

考慮した税額が設定されている点が特徴である。この税額は、容器包装 1kg あたり 0.35 ユー

ロを基本として、素材別の係数(紙はゼロ、ガラスは 1、鉄は 5、PS及び PVCは 7、アルミニ

ウムは 18)を乗じて算出される(例えば、ガラスは 0.35 ユーロ/kg であるのに対し、アル

ミニウムは 6.3ユーロ/kg)。この新たな税制による税収入は年間約 3億ユーロと試算されて

51 EUROPEN “European and National Legislation on Packaging and the Environment” 2007

Page 56: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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いる52。

5.3.4 イギリス(WRAP)

イギリスでは、WRAP(Waste & Resources Action Programme:廃棄物及び資源行動プログラ

ム)という組織が容器包装の発生抑制にむけた業界自主協定の締結支援の他、個別容器包装の

軽量化・使用量の削減等に関するプログラムを実施している。

WRAP は、2000 年に設立され、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルラ

ンド政府資金により運営される非営利企業である。人員は 224 名(2010 年現在)、うち 87%は

プロジェクト採用となっている。WRAP の役割は、下記の3つ。

産業界や消費者が最も効率的な方法で廃棄物発生量の削減や資源の有効利用を進める支

援を行うこと。

英国政府が国内や国際的な約束を遵守し、かつ環境と経済を両立する社会の実現を支援

すること

産業界、地方行政機関、消費者が費用節減でき、より良い資源利用ができるような資源

配分の効率化を支援すること

2008 年からの3ヵ年計画で策定した活動目標は下記の3つ。

廃棄物の埋立量を8百万トン削減

CO2 排出量を5百万トン削減

産業界、地方行政機関、消費者に 11 億£の経済的便益を創出

図表 2-61 WRAP の予算配分計画(単位:百万£)

配分先 2008/09 2009/10 2010/11

材料リサイクル 3.7 3.7 3.2

メーカー 4.6 4.6 4.6

小売業者 6.8 6.8 6.8

地方行政機関 12.5 10.5 9.5

産業界の成長 6.7 6.7 5.7

資金援助プログラム 7.9 6.4 6.4

その他 19.6 21.8 24.3

合 計 62.0 60.5 60.5

資料:WRAP ホームページ

容器包装に関しては、以下のテーマで毎年様々なプログラムを実施している。

図表 2-62 WRAP による容器包装関連のプログラム

テーマ 具体例(公表年)※下記以外にも多数あり

容器包装の最適化 イースター用チョコレートの容器包装削減イニシアティブ

(2011)

過剰包装の一例である同製品について、WRAP がメーカー5

社に容器の軽量化を呼びかけ、容器重量の前年度比較を公

表。

再利用可能な容器 使い捨て/再使用 環境面からの正しい選択(2010)

52 http://www.packagingtoday.co.uk/story.asp?storycode=44242

Page 57: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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LCA を用いた使い捨て/再使用容器包装の比較研究

再生材/容器包装のリサイ

クル可能性

色除去技術(2010 年)

プラスチック容器包装の着色除去技術に関する研究

製造・物流システムの見直

店内ディスペンシングに関する小売店の試行(2011 年)

洗剤の詰め替え容器への小売店内でのディスペンシングの

導入実験

消費者調査 季節もの、贈答品、及び高級品の新たな容器包装に関する消

費者テスト(2009 年)

自主協定 家庭系容器包装・食品の最適化に関する自主協定(2010、2011

年)

WRAP が生産者に呼びかけ、個別製品の発生抑制に関する自

主削減目標を策定。第一フェーズでは 34 社が参加。

容器包装ツールの開発 UK 容器包装ベンチマーク

最軽量、中間、再重量の容器包装を製品群、容器包装の種類・

素材別に検索できるデータベースの提供53 資料:WRAP’Packaging Research Listing’2001 を元に三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング作成

5.3.5 デンマーク

デンマークでは、「容器等の課税に関する法律」に基づき、生産者等が支払うべき消費課税

(punktafgift)が容器包装、使い捨て食器、袋類、PVC ホイル等に対して課せられている。税

金は、新品の容器とその中身に対して課税されるため、再利用された容器の活用を誘引してい

るといえる。

この制度は 1978 年より存在し、1999 年からは容器の重量を削減するため、容器に使用され

ている素材の重量に応じて課税率が設定されている。さらに、環境庁は 2000 年報告書「容器

包装課税の取組に対する環境パラメータ(Miljøparametre til miljøindsats for emballageafgifter)」54

を発行し、容器包装の各素材について LCA に基づく環境インデックスが作成した。これに

基づき、2001 年からの課税率には、重量に加えて素材が環境へ与える影響に応じたものと

なっている55。なお、この法律は税務省が所管しており、国家歳入となる。2008 年改正では、

デポジット制度(Dansk Retursystem A/S)の対象となる商品はついて課税率が軽減された。

デンマークでは、2002 年より前は、「容器に関する一連の要件に関する省令(Bekendtgørelse

om visse krav til emballager)」において、ビールや炭酸飲料等について使い捨て容器を使用する

ことが禁じられていたが、他の EU 諸国からこの規制が貿易障壁にあたるとの指摘があり、欧

州裁判所からの判決も受けて、これが見直されたという経緯がある。2002 年には同省令が大

幅に見直され56、飲料容器を生産者等および消費者が自由に選択できることになり、使い

捨ての容器の利用が認められた。同省令では、容器の素材、含有化学物質等の基準や再生に

関する基準等を定めている。

53 http://www.wrap.org.uk/retail_supply_chain/research_tools/tools/uk_packaging_benchmark/

54 http://www2.mst.dk/udgiv/publikationer/2000/87-7944-169-6/pdf/87-7944-171-8.pdf

55 http://www.skat.dk/SKAT.aspx?oID=110683&chk=203357#pos

http://www.skm.dk/tal_statistik/satser_og_beloeb/207.html

56 https://www.retsinformation.dk/Forms/R0710.aspx?id=12925

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5.3.6 韓国

リサイクル促進法第9条(包装廃棄物の発生抑制)に基づき、韓国環境部は、包装材質・包

装方法に関する基準及び合成樹脂材質(生分解性プラスチック製品を除く)でできた包装材の

年度別削減に関する基準を環境部令として下記の通り定めている。

①容器包装の素材に関する制限

PVC ラミネート、シュリンク包装、コーティングの包装素材を禁止する

合成樹脂からなる容器包装の使用は禁止、又は段階的に廃止する

卵容器及びウズラの卵容器を含む6種の容器包装材料を禁止する

卵パック及び食品皿を含む 5 種の容器包装材を段階的に廃止する

② 容器包装方法に関する制限

過剰包装を防止するため、政府は生産者、輸入者、及び販売者に対し、包装空間比率及び

包装回数に関する基準を適用する(図表 2-63)。

図表 2-63 製品毎の包装方法に関する基準(一例)

製品種類 基準

包装空間比率 包装回数

食品 加工食品 15%以下 2 重以下

飲料 10%以下 1 重以下

酒類 10%以下 2 重以下

菓子類 20%以下

(デコレーションケーキは 35%以下)

2 重以下

補助食品 15%以下 2 重以下

洗剤 10%以下 2 重以下 資料:韓国環境部ホームページ57

③詰め替え容器の使用及び商品の再包装の回避に関する勧告

シャンプー・コンディショナー等の6製品の製造者に対し、レフィル容器の使用を推奨す

る他、売り場面積 33 平方メートル以上の小売店に対して、商品の再包装の回避を奨励する。

なお、上記に関する取り締まりは地方自治体に委ねると規定されており、生産者等に対して、

最低年 1 回の検査が行われるべきとされ、違反事業者に対する罰金制度も規定されている。こ

の取り締まりに関して、いくつかの地方自治体では、地域の市民団体と協力し、市民による通

告を受けて、違反した過剰包装の例を公表するという方策をとっている58。

さらに、リサイクル促進法第 10 条では、飲食店、百貨店等の事業者に対して、使い捨て用

品の使用を抑制し、無償で提供しないことを義務付けており、使い捨て用品のうちレジ袋・

ショッピングバッグについては、その販売代金を消費者からの袋の返却に際する払い戻しやマ

イバッグ利用に際する現金割引等に充てるよう努めることが求められている。

こうした規制の効果として、環境部では、レストラン及び商業施設における割り箸、発砲ス

チロールトレイ、使い捨てかみそり、歯ブラシ、シャンプー等の使用が減尐していることを挙

げている。

57 http://eng.me.go.kr/content.do?method=moveContent&menuCode=pol_rec_pol_control

58 2011 年 1 月環境保護 NPO、資源循環社会連帯(Korea Zero Waste Movement Network)へのヒアリングより。

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第3節 まとめ

1. 調査対象国の分別収集~再商品化に係るシステムの概要

1.1 ドイツ

各主体の役割とモノ・カネの流れ

<収集事業者>収集・運搬

<ソーティングセンター>選別

<再商品化事業者>再生樹脂化

<再商品化製品利用事業者>

<DSD他>

料金徴収、目標達成

<DKR*>

引取り保証

入札・委託

<生産者等>ライセンス料

モノの流れ カネの流れ'逆有償の場合(

<消費者>分別排出

カネの流れ

地方自治体による一般廃棄物の回収システムと並行し、グリーンドットのついた容器包装を回収。

単一素材、色別に選別。

再商品化委託

'混合プラスチック(

【法律上の責務】・定期的な回収を保証し、リサイクル・リカバリー目標を満たす。'第6条3

項(・自治体による既存の収集・再利用システムとの調整'第6条4項(

【法律上の責務】・一つ又は複数の共同のシステムに加入しライセンスを取得する。'第6条1項(

・容器包装の流通者は、使用した容器包装の素材、量、および処理方法を報告する。'第10条1項(

【プラスチック容器包装廃棄物*の性状】

・グリーンドットのついた軽量容器'スチール缶、アルミ缶、紙製容器、プラスチック容器(を一般廃棄物と分別して排出。※プラスチック容器はデポジット対象の容器'果汁、野菜ジュース、牛乳・乳飲料、ワイン・蒸留酒の容器を除くワンウェイ飲料容器(以外が対象。

<自治体>

【法律上の責務】•州政府は、システム運営者の申請により、システムが全域的に構築されていることを確認、公示する。'第6条5項(

<共同機関>市場整備

【法律上の責務】•廃棄物処理業者の地域毎における複数システム間の割り当て容器包装量の算定、合意に基づく副報酬の分配、市場経済上中立的な広告に関する調整'第6条7項2(

*DSDのシステムの場合のみ

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モノの流れ

家庭系一般廃棄物

プラスチック容器、缶、紙製容器、複合材

'軽量容器(

ガラス容器

板紙

軽量容器選別施設

焼却炉熱回収

家庭ごみ残渣

スチール

アルミニウム

飲料カートン

混合プラ

PP

PS

LDPE

HDPE

マテリアルリサイクル

使い捨て飲料容器デポジット回収

エネルギー利用'RPF(

ケミカルリサイクル

'2008年国内マテリ実績(344,800t

資料:連邦環境庁2008

PET

PET

DSによるプラスチックの国内マテリ 359,900t資料:連邦環境庁2008

'参考(軽量容器投入量'プラ含む。申告ベース(2008年 905,471t

2009年 1.556.197t資料:Vollstandigkeiteserklarung; VE

DS分 52,000t'国内(資料:連邦環境庁2008

DS分 440,300t(国内)資料:連邦環境庁2008

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1.2 フランス

各主体の役割とモノ・カネの流れ

<収集事業者>収集・運搬

<ソーティングセンター>選別

<再商品化事業者>再生樹脂化

<再商品化製品利用事業者>

<Eco Emballages>

料金徴収、目標達成自治体支援

<素材別組織>'プラスチック:Valorplast(

引取り保証、輸送

委託

<生産者等>ライセンス料

モノの流れ カネの流れ'逆有償の場合(

<消費者>分別排出カネの流れ

輸送費の負担 34€/t

【法律上の責務】•許認可における付帯規定書において、生産者等及び地方自治体との合意に基づき、目標を記載する'第6条3文(

•活動報告及び包装廃棄物の回収・リカバリー実績の報告'第8条(

【法律上の責務】・容器包装の回収・処理について、費用負担又は引き受け'第4条(

【プラスチック容器包装廃棄物*の性状】

・プラスチック容器包装のうち、ボトル類のみを分別排出。

<自治体>分別収集・選別

多くの場合、自治体からの委託により、容器包装を分別回収。

再生資源売上平均303€/t

<業界団体>

助成金

300~840€/t

Valorplastによる

選別後の容器の引き取り・価格保証平均258€/t 最低50€/t

※ 自治体がValorplastとの引渡し契約をしない場合、自治体

はリサイクル連盟'認定されたリサイクル業者の団体(の加盟事業者との契約'引取り保証・価格は変動(又は、個別リサイクル業者との契約'引取り保証なし(が認められている

※選別後のプラ容器が逆有償の場合、Valorplastが業界団体及びEco Emballagesか

らの支援金を受けて再商品化費用を負担する。但し、現状ではプラスチック素材は有償での取引が行われている。

・包装デクレ上は特に責務を負わないが、一般廃棄物と同様に収集の役割を担う。

委託

単一素材、色別に選別。232箇所'自

動選別、手選別の両ケースあり(

支援金

7€/t

2009年合計支払い額423百万€/

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モノの流れ

<消費者による分別排出>

家庭系一般廃棄物

プラボトル'PET、HDPE(、

缶、板紙等

ガラス容器

選別施設

焼却炉熱回収

家庭ごみ残渣

スチール

アルミニウム

飲料カートン

PET'緑(

HDPE

PET'青(

PET'透明(<家庭向け容器包装の投入>

'2009年(プラスチック容器包装 1,000,000tうちボトル 437,000t

マテリアルリサイクル

28百万t '2004年(うち約11%がプラスチック資料:ADEMEホームページ

リサイクル量'全容器('2009( 2,973百万t資料:エコアンバラージュ”アニュアルレポート2009”

プラスチックボトル回収量226,000t

資料:Valorplastホームページ

'2009年実績(225,000t'22.5%(資料:Valorplast

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1.3 ベルギー

各主体の役割とモノ・カネの流れ

<収集事業者>収集・運搬

<ソーティングセンター>選別

<再商品化事業者>再生樹脂化

<再商品化製品利用事業者>

<FOST Plus>目標達成、料金徴収・配分、全ての関係者との調整

委託

<生産者等>ライセンス料

モノの流れ カネの流れ'逆有償の場合(

<消費者>分別排出

カネの流れ

委託

【法律上の責務】•生産者等に代わり、使用済み容器包装の引き取り、リサイクル・リカバリー目標の達成'13条(

【法律上の責務】•使用済み容器包装の引き取り、リサイクル・リカバリー目標の達成'6条(

•容器包装の市場投入量についてIVCIEへ報告'18条(•3年ごとに発生抑制計画の提出'4条(

【プラスチック容器包装廃棄物*の性状】

・プラスチックボトル'PET、HDPE(、空

き缶、飲料カートンを一括して分別排出。残余物の混入割合は平均15%。

<自治体連合>分別収集・選別

単一素材、色別に選別。'自動選別、手選別の両ケースあり(

再生資源売上PET 200€/t

HDPE 100€/t

'2008年はPET300€/t

HDPE 350€/t(

委託分別収集 194€/t

選別 174€/t

<地域間包装委員会'IVCIE(>監視、認定

【法律上の責務】•一般抑制計画の承認'5条(•生産者責任組織の許可、検査'9条、15条(

<素材別組織>助言、技術的点検・監視

【法律上の責務】•地域廃棄物計画と生産者責任組織の計画する分別回収との適合について答申を出す'28条(

※選別後のプラ容器が逆有償の場合、FOST

Plusが再商品化費用を負担するが、現状では

プラスチック素材は有償での取引が行われている。

FOST Plus 契約recycler

PET 9社'うち国内1社(HDPE 6社'うち国内ゼロ(

2009年合計支払い額52百万€

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モノの流れ

<消費者による分別排出>

家庭系一般廃棄物

プラボトル'PET、HDPE(、

缶、紙製容器包装

'PMD(

ガラス容器

板紙

PMD選別施設

焼却炉熱回収

プラスチック製容器包装の約62%、約13万t'ボトル以外(を含む

PMD回収量計 192,085t

家庭ごみ残渣

スチール

アルミニウム

飲料カートン

PET'緑(

HDPE

PET'青(

PET'透明(

25,086t

<容器包装の市場投入>'2009年実績(プラスチック 200,942tうちボトル・フラスコ 88,630t飲料カートン 19,612t缶 85,179tガラス 311,732t板紙 179,263t容器包装合計 800,828t

マテリアルリサイクル

資料:FOST Plus “Annual report 2009”を元に三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成

'2009年実績(69,027t'37.6%*(うちボトル・フラスコ

61,422t'71.2%*(*FOST Plus契約分の

リサイクル率

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1.4 スウェーデン

各主体の役割とモノ・カネの流れ

<運搬事業者>運搬・選別

<再商品化事業者>再生樹脂化

<再商品化製品利用事業者>

<REPA>

料金徴収・配分<生産者等>

ライセンス料

モノの流れ カネの流れ'逆有償の場合(

<消費者>分別排出

カネの流れ

【法律上の責務】•容器包装の回収システムの構築'4条(

•回収システムについて、地方自治体と協議する'5条(

•選別前の容器包装の輸送し、リユース、リサイクル又はその他の環境に配慮した方法で取り扱われることを確実にする'6条(

•環境庁に対し、容器包装の生産量・輸出入量・販売量、及び回収・リサイクル等の実績を報告'10条(

【プラスチック容器包装廃棄物*

の性状】•消費者がリサイクルステーションに容器包装を持ち込み、分別排出'一部はカーブサイド回収(•ハードプラスチックとソフトプラスチックに分別'ハードのみ回収するケースあり(

<自治体>計画策定・啓発・協力

再生資源売上

【法律上の責務】•廃棄物計画において容器包装の分別回収に関する事項を明記(10条b)

•生産者等との分別回収に関する協議に協力する(5条c)

•市民に対し、容器包装の回収目的、分別排出の義務、収集システム、リサイクル目標、リサイクル実績について伝達する'8条(

<素材別組織>'プラスチック:Plastkretsen AB(

引取り保証

<リサイクルステーション>

法律上の責務は規定されず

全国に6000箇所。設

置費用は生産者負担のケースの他、地方自治体や運搬事業者が負担のケースあり。配分

ハードプラスチックはマテリアルリサイクル、ソフトプラスチックは焼却によるエネルギー回収へ

委託

自治体が委託先となる場合がプラで30%程度。

ソーティングセンターは運搬事業者が運営又は委託。ソーティングセンターを経ないケースもあり。

委託'エネルギー回収分(

素材別組織を経ず自由取引のケースもあり。

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1.5 イギリス

各主体の役割とモノ・カネの流れ

<収集・選別事業者>収集・運搬・選別

<再商品化事業者>再生樹脂化

<再商品化製品利用事業者>

委託

<生産者等>

PRN価格、協同リサ

イクル体運営費※

モノの流れ PRNの付与 <消費者>分別排出

カネの流れ

【法律上の責務】•毎年の素材別のリサイクル率目標の達成'一定規模以上の生産者等が対象(

【プラスチック容器包装廃棄物*の性状】

・プラスチックボトル'PET、HDPE(、空

き缶等を一括して分別排出。分別方法は自治体により異なる。

<自治体>分別収集・選別

<Advisory Committee

on Packaging>

DEFRAの支援に基づき、家庭系

使用済み容器包装の回収リサイクルに関するプロトコルを開発。

【法律上の責務】・一般廃棄物の処理責任を有し、家庭廃棄物リサイクル法に基づき、廃棄物の埋立量の削減及び廃棄物のリサイクル目標'素材別ではなく合計重量(の達成責務を有する。

※DEFRA “Packaging Strategy 2009”によれば、家庭系の使用済み容器包装のリサイクルシステムにおいても、生産者がPRNの購入を通じて費用を負担の仕組みは存在するとされるが、一方で、同資料では、生産者等による使用済み容器の回収・リサイクルに対する費用負担の殆どは産業・商業系の容器包装が対象であり、自治体による家庭系容器包装の回収リサイクルを後押しするための生産者による費用負担は殆ど無いとされる。

再生資源売上

PRNの付与

<WRAP>

•容器包装の削減を最優先課題とし、政府と企業'業界(との自主協定の締結支援等を実施。•リサイクルシステムでは、リサイクル促進のための自治体職員教育プログラムや全額補助での支援プログラムを提供。

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モノの流れ

<消費者による分別排出>

家庭系一般廃棄物

プラ'PET、HDPE(、

缶等

焼却炉熱回収

'2009年度(23.7百万t資料:DEFRA” Municipal Waste Management Statistics”

HDPE

PET

<容器包装の市場投入>

'2005年実績(プラスチック 1,216,900tガラス 1,875,000t紙 931,400tスチール 480,200tアルミ 134,400tその他 22,000t容器包装合計 4,659,900t資料:DEFRA “Waste Strategy for England 2007”

マテリアルリサイクル

)自治体毎に分別回収方法は異なる。また、ソーティングセンターへのモノの流れについては確認中である。

家庭系プラスチック容器包装リサイクル率 10%'2006年(うち、プラスチックボトルリサイクル率 35%

資料:DEFRA” Packaging Strategy 2009”

Page 68: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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1.6 韓国

各主体の役割とモノ・カネの流れ

リサイクル事業共済組合'品目別(

生産者等

リサイクル義務の履行方法'法律16条による(

①リサイクル事業共済組合と契約:92.8%

②自社で回収する:0.1%

③廃棄物処理業者等に回収・リサイクルを委託:7.1%

支援金'会員事業者のみ(フィルム類: 110Won/kg

PSP: 200Won/kg

PE,PP,PS: 60Won/kg

PET: 140Won/kg

分担金納付PVC:884Won/kg

PSP: 295Won/kg

単一素材容器'PE,PP,PS(:81Won/kg

複合およびフィルム類:174Won/kg

韓国環境公団

認可

※フィルム類は無償または逆有償

入札

支援金'会員選別事業者のみ('フィルム類について50Won/kg(

韓国環境部

【法律上の責務】自治体は管理区域の特性を考慮し資源循環を促進するための施策を樹立・施行する'4条(

自治体首長は管理区域の特製を考慮した資源循環執行計画を樹立し'7条(

自治体首長は、地域の実情を考慮し、分別回収に必要な措置を取る'13条(

【法律上の責務】規定の業種・規模の生産者は、その製品・包装材のリサイクル義務を負う'16条(

製品に分別排出表示

【法律上の責務】リサイクル義務生産者は、義務を履行するために製品・包装材別にリサイクル事業共済組合を設立できる'27条(

モノの流れ カネの流れ カネの流れ'逆有償(

素材別に選別(プラ類は、PET

ボトル/

発泡スチロール/

PE/ PP/ PS/

複合素材・フィルム類)

<消費者>分別排出

<自治体>分別収集・選別

<民間回収事業者>収集・運搬

<大規模集合住宅管理者>

<事業者>分別排出

<再商品化事業者>再生樹脂化

<民間選別事業者>選別

<再商品化製品利用事業者>

<自治体>分別収集・選別

Page 69: 第2章 我が国と海外の容器包装リサイクル制度の比 … recycling targets for the different packaging materials in the frame of the packaging and packaging waste directive

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モノの流れ

家庭系一般廃棄物

EPR対象品目

家庭系一般廃棄物

EPR対象品目

PETボトル

資源選別場'自治体(

資源選別場'民間(

事業系一般廃棄物

EPR対象品目

発泡スチロール

PE容器

PP容器

PS容器

複合素材・フィルム類

ガラスびん

紙パック

マテリアルリサイクル

エネルギー利用'RPF、油化等(

'2009年度実績(※EPR対象

PVC: 1,997t'80.8%(PSP: 2,695t'32.6%(

その他単一容器およびトレー類:119,047t'78.4%(

複合材質およびフィルム類:

92,732t'58.0%(※EPR非対称を含めると

106,681t

うちMR 37,959t'35.6%(油化 831t'0.78%(

RPF化 67,891t'63.64%(

単独住宅

集合住宅

商店街

商業施設

焼却炉熱回収

残渣

プラスチック容器投入量

'2009年度実績(※EPR対象

PVC: 2,471tPSP: 8,279t

その他単一容器およびトレー類:151,892t

複合材質およびフィルム類:159,847t

合計 322,489t

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2. 日本と比較した調査対象国の全体的特徴

図表 2-64 日本と比較した EU 各国、韓国の全体的特徴

容器包装リサイ

ク ル 制 度 の 背

景・法制度の概

リサイクル率等に係る数値目標が定められている(目標率を達成するため

のシステムは各国に委ねられる)。

EPR として、ドイツ、スウェーデンでは、生産者等に使用済み容器包装の

引き取りが求められる。

韓国の生産者等は、毎年リサイクル義務率の達成責務を負う。未達成の場

合は課徴金。リサイクル義務量の繰越制度がある。

対象物の範囲 ドイツ以外の EU 調査対象国では、実際に回収・リサイクルされるプラス

チック容器包装はボトル等に限定されている。

事業系容器包装に対する回収・リサイクルも法制度の対象である。

ドイツの一部の地域では、容器包装以外のプラスチックの一括回収・選別

がみられる。

分別収集~再商

品化に係るシス

テム

日本では、自治体による中間処理の後、再商品化事業者において、再び選

別等が行われるのが一般的であるのに対し、EU各国では、収集、選別、

再商品化の各工程について事業者への委託(広域での中間処理を含む)に

より運用されている。

一部の国(フランス、スウェーデン)では、生産者責任組織の他に、素材

毎の引き取り保証組織が存在し、廃プラスチックが逆有償となった場合の

価格保証の機能を果たしている。

一部の国(ドイツ、イギリス)で、生産者責任組織間の競争が進む。

分別収集~再商

品化に係る具体

的方法・実態

EU 各国では自動選別機の普及に伴い、選別コストの低減が進む。

EU 各国では選別された廃プラスチック(PP、PE、PET、HDPE

等)の有償化が進む。

発生抑制に向け

た施策

EU指令に基づき、容器包装の減量・減容化、有害物質規制、リサイクル

容易化が進む。

一部の国(ドイツ、スウェーデン他)でワンウェイ容器のデポジット制度

が導入されている。

韓国では環境部令により過剰包装の禁止に関する具体的な規定あり。

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図表 2-65 調査対象国別の特徴

日本との比較分析の観点

自治体のシステム

参加に係る義務

事業系容器包装

の扱い

実際に回収・リ

サイクルされ

るプラ容器

分別収集の責任

主体

中間処理の責任

主体

再商品化手法に係る

優先的取扱い

選別の高度化・効

率化

日本 分別収集の実施は自

治体の任意

法律の対象外 全てのプラ容

自治体

(資金拠出制度

あり)

自治体

(資金拠出制度

あり)

有り

(マテリアル/ケミカル/サーマル)

高コスト

単一素材への選別

は尐ない

ドイツ 自治体は生産者責任

組織又は独自の回収

システムを選択

生産者責任(引

受)

全てのプラ容

生産者等 生産者等 有り

(マテリアル/ケミカル・サーマル)

低コスト化進む

素材別・色別選別

スウェーデン 回収システム構築に

係る生産者責任組織

への協力の義務あり

生産者責任(費

用負担)

全て→PET 中

心へ

生産者等

(自治体への委

託が約 30%)

生産者等

(自治体への委

託が約 30%)

有り

(マテリアル/サーマル)

地域差が大きい

フランス 自治体は生産者責任

組織と分別収集に関

する合意を結ぶ

排出者責任 ボトルのみ 自治体

(生産者等が費

用の約 50%を負

担)

生産者等

(引取り保証組

織に引き渡す場

合は自治体が実

施)

無し 低コスト化進む

素材別・色別選別

ベルギー 自治体は生産者責任

組織と分別収集に関

する合意を結ぶ

生産者責任(費

用負担)

ボトルのみ 生産者等

(生産者等コス

ト負担、自治体

が実施)

生産者等

(生産者等コス

ト負担、自治体

が実施)

無し 低コスト化進む

素材別・色別選別

イギリス 分別回収が義務付け

られている

生産者責任(費

用負担)

ボトルのみ 自治体 生産者等 無し

デンマーク 分別回収が義務付け

られている

排出者責任 自治体によっ

て異なる

自治体

(生産者等が課

徴金の形でコス

ト負担)

自治体

(生産者等が課

徴金の形でコス

ト負担)

有り

(マテリアル/サーマル)

韓国 分別回収が義務付け

られている

生産者責任の対

象は、家庭系・

事 業 者 に よ ら

ず、製品群によ

り規定される。

全てのプラ容

自治体 自治体 無し

(ただし、プラ容器の

エネルギーリカバリーの合計

量をリサイクル量の 70%

以下にする規定あり)

高コスト

素材別・色別選別

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3. 我が国容器包装リサイクル制度への示唆

以上の調査結果を踏まえ、我が国容器包装リサイクル制度の更なる低コスト化・効率化、高付

加価値化、公平性・透明性・安定性の向上、発生抑制・再使用の推進等に向けて、参考としうる

論点の抽出・分析を行った。

3.1 リサイクルシステムの効率化

リサイクル率目標

いずれの調査対象国においても、容器包装の素材別にリサイクル率に関する目標が設定され

ており、その目標達成のために必要な範囲で分別収集の対象物が決定され、リサイクルシステ

ムが構築・運用されている。

プラスチック製容器包装の対象範囲

ドイツ以外の EU 各国では、プラスチック容器包装の分別収集の対象物をボトル類に限定し

ている。そのうち、ベルギーでは、ボトル類の発生量の 70%を超える量を分別回収し、高いリ

サイクル率実績を維持している。選別・リサイクルに適したものを効率的に回収することでリ

サイクルシステムの低コスト化が図られた事例である。

自治体における分別収集方法の効率化

調査対象国において、分別収集の役割を自治体が担う(自治体から収集事業者への委託を含

む)国は多くみられた。その中で、フランスやベルギーでは、生産者責任組織による自治体の

分別収集の低コスト化のための取り組みがみられた。

特に、ベルギーはコスト効率化に最も成功している事例であり、その要因は次の5点。

①Fost Plus の認定基準の内容に、料金表及び回収、選別、リサイクルの標準的な手法(標準

シナリオ)が含まれ、これが認定更新の焦点になっていること、

②回収、選別、リサイクルの標準シナリオに柔軟性を持たせることで各自治体の実情にあっ

たシステムを効率的につくれること、

③自治体にとって Fost Plus との合意へ向けたインセンティブが働く仕組みになっていること、

④国内の回収区分の統一が促進できること及び消費者にとって重要な「分別排出区分の分か

りやすさ」が確保でき、回収資源の高品質化が図れること、

⑤Fost Plus は加盟企業のリサイクル義務を最小コストで果たすというミッションを明確にも

ち、努力していること

一方フランスでは、回収・選別コストの負担率は事業者が 6 割(450 百万ユーロ)、自治体が

4 割となっており、自治体の側にもコスト削減インセンティブが働く点が注目に値する。次の

改正では 8 割(700 百万ユーロ):2 割を予定しているが、企業負担額はドイツより安い。

現在、分別回収システムについては概ね3~4種類に集約してきており、2013 年を目処

に効率化に向けた標準シナリオを設定しようとしており、大きな転換期を迎えている。

分別収集の生産者責任の適用による効率化

ドイツでは、容器包装廃棄物の分別収集から再商品化に至るまでを全て生産者等が行うこと

により、ソーティング等の技術革新が著しく進んだ(かつこの分野の産業を育てた)ことは着

目に値する。一方で、システム全体が民営化されているため、システムの統一性を維持するた

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めの責任が分散し、結果的に全体最適化を図りづらい状態になっている。さらに、DS の独占

を解消し競争を導入したことで生産者等が負担するコストは以前に比べ半減したものの、DS

が消費者向けの広報に励まなくなる、ただ乗り事業者が増加する等の弊害が起きている。

選別の効率化・広域化

ドイツやベルギーでは、選別施設の民営化が進んでおり、1施設のカバーする人口規模が大

きくなっている。フランスでは、小さなソーティングセンターが分散している点が非効率であ

るため、選別の工程は自治体の役割から外して、広域集約化を検討中(実証実験中)とのこと

である。2013 年はちょうど設備更新の時期を迎える好機であるとして、エコアンバラージュに

よる公募を通じた選別業務の民間委託が検討されている。

3.2 高付加価値化

プラスチック製容器包装の対象範囲

ベルギー、フランスでは、市民の側に複雑な分別排出をさせることを期待しておらず、素材

を他の成分で汚染させない単純な分別・回収方法を志向している。

一方、ドイツは、マテリアルリサイクルをできるだけ追求する(どのようなマテリアルリサ

イクルであっても燃やしてしまうよりは環境効果が高い)との考えである。

容器包装以外の資源との一括回収

容器包装以外の廃棄物の混合一括回収・リサイクルについて、ドイツでは「マテリアルコン

テナ」の導入に向けた法整備が進んでいる。

選別の高品質化

自治体が選別の役割を担うフランスやベルギーにおいても、日本と同様に選別後の資源の品

質基準が定められているが、選別後の品質を向上させるため、生産者責任組織や素材別組織が

細かな指導を行っている点が特徴である。

また、フランスでは、リサイクル材料の販売収益が自治体の収入となることも、分別回収の

品質を向上しリサイクル材料の高品質化を図らせるインセンティブとなっている。

再商品化の手法

EU 及び韓国共に、マテリアルリサイクルの他に、一定割合のエネルギーリカバリーが認め

られている。

マテリアルリサイクルの用途としては、ドイツでは日本と概ね同様であり、高付加価値リサ

イクル品として自動車部品(バンパー、インパネ、シート等)が挙げられた。また、フランス

では PE の最終用途の 6 割は建材(水道管等)であり、より高付加価値な製品としてはフラス

コ型容器への利用、プール用水槽などが挙げられた。

3.3 公平性・透明性・安定性の向上

費用負担

調査対象国では、選別後の資源の多くが有償で取引されていることもあり、リサイクルシス

テムにおける主な費用は分別収集及び選別の費用となっている。よって、分別収集及び選別の

費用に対して生産者等が全額又は一定割合を負担するケースが多くみられる。

ベルギーでは、回収や選別にかかる住民 1 人当たり費用が年次報告として公開されており、こ

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れが最も有効な情報公開方法だと認識されている。

生産者責任組織

多くの調査対象国において、家庭系容器包装に関する生産者責任組織は1組織による独占又

は寡占状態にある。こうした国においても、定期的な許認可の見直しによって運営の適正化が

図られる仕組みとなっており、例えば、ベルギーFost Plus は地域間包装委員会(IVCIE)の認

可プロセスや公募制度の採用を通じて透明性・公益性の高い組織となっている。また、フラン

スでは認可組織の認可に関わる委員会に省庁、地方自治体、消費者、環境保護団体等が参画し

ており、さらに、公益性を担保するために政府からの監視や公的管理をより強化しようという

議論がある。

ドイツでは、DSD による独占体制から複数の DS の競合へと移行した。DSD の独占問題は、

処理業者が DSD に対し強い支配力をもったことが大きな要因であり、これを排除することと

入札制度の採用により問題は解消されている。現在、競合関係にある DS 運営者は営利企業で

あり、広報活動を行うモチベーションがないことから、分別排出に関する市民啓発活動がおろ

そかになり、結果として回収物の品質低下を招くという問題が生じている。

素材別組織

フランス、ベルギー、及びスウェーデンでは、生産者責任組織の他に、素材毎の引き取り保

証組織が存在する。例えば、フランスでは、事前に契約した自治体に対して、選別後の資源の

引き取り価格を保証している。

生産者等に対するライセンス料

生産者等から生産者責任組織への支払い単価は、容器包装の素材別に異なる設定となってお

り、例えばベルギーでは、リサイクルできない又は熱回収ができない容器包装のライセンス料

を高く設定している。

フリーライダーの防止策

いずれの調査対象国においても、一定のフリーライダーが存在することが見受けられる。ド

イツでは、フリーライダー防止策として量完全証明制度が導入され、DIHK(ドイツ商工会議

所)へ生産者等が容器包装の上市量を自己申告し、量証明する。一方で DS 運営者は「共同機

関」(クリアリングハウス)を設立して回収量の実績と目標の割当を調整している。回収量と

上市量の差異分析は民間の DS 運営者側でやらなければならない。また、「共同機関」では DS

運営者間の考え方の違いにより、調整は必ずしも上手く進んでいない。

また、ベルギーでは家庭系容器包装廃棄物のフリーライダー率が現状で約 8%程度。

廃棄物輸出・資源戦略の考え方

EU では、資源の希尐化傾向を見ながら、廃棄物をどの程度まで資源と見なせるかについて

検討されている。ドイツではグローバルなモノの流れ(海外市場として、あるいは原材料・資

源の海外依存に関する問題として)が注目されている。フランスは国際市場価格の動向を把握

することにより市場の傾向をつかみ、国内市況に活かすことができるとの考え方を持っていた。

一方、韓国では、PET のリサイクル量のうち 80%を国内でリサイクルすることが法律上規定

されている。

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3.4 発生抑制・再使用の促進

発生抑制に関しては、韓国における二重包装の禁止といった直接的な規制の他、ベルギーにお

ける発生抑制計画の策定及びフランスやイギリスにおける自主協定・意識啓発等の自主的取り組

みの促進施策、ベルギー及びデンマーク等における容器包装に対する環境面からの課税制度、さ

らにドイツ、スウェーデン、及びデンマークにおける使い捨て容器包装に対するデポジット制度

など、様々な施策が導入されている。