15
( : ) (1) (1) (1) (1) (a) (a) (a) (a) (b) (b) (b) (b) LB (1%Triptone0.5% 1% NaCl1.5% ) ( ) C (1 ) (C (C (C (C) 6 20 5 7 C LB 0.1ml (37 ) 24 (d (d (d (d) 1. 1. 1. 1. 1 3mm 0.1 2.0mm

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微生物学実習微生物学実習微生物学実習微生物学実習 ((((担当担当担当担当::::生体情報学生体情報学生体情報学生体情報学ⅡⅡⅡⅡ講座講座講座講座)))) テーマテーマテーマテーマ(1)(1)(1)(1)環境中環境中環境中環境中のののの微生物微生物微生物微生物のののの採取採取採取採取とととと観察観察観察観察 (a)(a)(a)(a)目的目的目的目的 水や手を培地にさらして培養し、どのような微生物がどれだけ存在するかを調べる。 (b)(b)(b)(b)材料材料材料材料

LB 寒天培地(1%Triptone0.5%、乾燥酵母エキス 1%、NaCl1.5%、寒天)、黎明寮(多人数)の風呂の水、西播磨寮 C棟(1人)の風呂の水、兵庫県立大学書写キャンパスサークル会館前の土、兵庫県立大学播磨科学公園都市キャンパス学生用駐車場からキャンパスに向かう途中の路肩の土

(C(C(C(C))))方法方法方法方法 黎明寮の風呂の水において入浴前は 6月 20日午後 5時ごろ、入浴後は翌日午前 7時ごろ採取した。西播磨学生寮 C 棟の風呂、兵庫県立大学書写キャンパスサークル会館前の土、兵庫県立大学播磨科学公園都市キャンパス学生用駐車場からキャンパスに向かう途中の路肩の土をサンプルとして採取した。各自が持参したサンプルの水をピペットマン、滅菌済みブルーチップを用いて、LB寒天地のプレートに 0.1ml撒き、アルコールで殺菌したコンテージ棒を用いて均一に広げた。手から採取した際は、手の甲、指を直接プレートにつけた。シャーレのふたにグループ名、採取対象をマジックペンで書き込み、プレートを裏返しにしてインキュベータ(37℃)で 24時間培養した。そして培養したプレートのコロニーの大きさ、形、色、表面の状態などに注意しながらスケッチした。

(d(d(d(d))))結果結果結果結果 1.1.1.1.実験者実験者実験者実験者のののの食指食指食指食指

人差し指で触れた部分の培地に約 1~3mmの黄色、円形のコロニーと、約 0.1~2.0mmの

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1

白色、円形のコロニーが観察できた。黄色、白色のコロニーとも光沢があった。特に黄色のコロニーはかなりの厚みがあった。反対側の指で触れなかった培地には何も繁殖していなかった。

2.2.2.2.多人数多人数多人数多人数がががが入浴入浴入浴入浴するするするする前前前前のののの風呂風呂風呂風呂のののの水水水水

1ヶ所のみ黄色、円形のコロニーができているが、他の部分には何の繁殖も見られなかった。

3333....多人数多人数多人数多人数がががが入浴入浴入浴入浴したしたしたした後後後後のののの風呂風呂風呂風呂のののの水水水水

白色、円形のコロニーが培地上に広がっていたが、すべてを埋め尽くすほど密集しておらずところどころ何も繁殖していない隙間があった。コロニーの大きさは約 1~3mmで、表面は滑らかな光沢があった。

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2

4.4.4.4.個人個人個人個人がががが入浴入浴入浴入浴するするするする前前前前のののの風呂風呂風呂風呂のののの水水水水

円形に近い不定形、白色のコロニーが培地ほぼすべてを埋め尽くすように広がっていた。3の培地と比較してひとつひとつのコロニーの大きさが小さく、数も多かった。

5.5.5.5.個人個人個人個人がががが入浴入浴入浴入浴したしたしたした後後後後のののの風呂風呂風呂風呂のののの水水水水

4の培地と同じく円形に近い不定形、白色のコロニーが培地ほぼすべてを埋め尽くすように存在していた。数個の橙色の少し大きな円形のコロニーもできていた。コロニー大きさひとつひとつが 4の培地と比較して少し大きくなっていた。

6.6.6.6.兵庫県立大学書写兵庫県立大学書写兵庫県立大学書写兵庫県立大学書写キャンパスサークルキャンパスサークルキャンパスサークルキャンパスサークル会館前会館前会館前会館前のののの土土土土

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3

白色の小さなコロニーが培地を埋め尽くすように広がっていた。他の形状のコロニーが見られないことから 1種類の菌の繁殖だと考えられる。

7.7.7.7.兵庫県立大学播磨科学公園都市兵庫県立大学播磨科学公園都市兵庫県立大学播磨科学公園都市兵庫県立大学播磨科学公園都市キャンパスキャンパスキャンパスキャンパス学生用駐車場学生用駐車場学生用駐車場学生用駐車場からからからからキャンパスキャンパスキャンパスキャンパスにかけてにかけてにかけてにかけてのののの路肩路肩路肩路肩のののの土土土土

円形、白色のコロニーと線形、白色のコロニーが培地を埋め尽くすように広がっていた。 (e(e(e(e))))考察考察考察考察 1.1.1.1. 実験者実験者実験者実験者のののの食指食指食指食指 動物は胎内にいるときは皮膚も体内も無菌的であるが、外界へ出てくると、すぐ各種微生物が住み始める。とくに皮膚や粘膜など外界と接する部分には多くの微生物が生息している。これらの微生物は常在微生物叢と呼ばれている。皮膚にはグラム陽性の表皮ブドウ球菌Micrococcus、嫌気性の Propionibacteriumなどが存在する。これらの細菌は皮膚 1cm2当りの菌数は 103~104個程である。消毒を行うと一時的に無菌的な環境になるが、汗腺などから残存した菌が出てくるため元に戻る。今回発見されたコロニーはこの常在微生物叢だと考えられる。

2222....多人数多人数多人数多人数でででで入浴前入浴前入浴前入浴前のののの水水水水とととと入浴後入浴後入浴後入浴後のののの比較比較比較比較 多人数が入浴する前の風呂の水でコロニーが発見されず、入浴後に多くのコロニーが存在したのは塩素殺菌のためだと考えられる。また入浴後に繁殖していた細菌も常在微生物叢であると考えられる。

3333....個人個人個人個人でででで入浴前入浴前入浴前入浴前のののの水水水水とととと入浴後入浴後入浴後入浴後のののの水水水水ののののサンプルサンプルサンプルサンプルのののの比較比較比較比較 個人が入浴する前の風呂の水で、入浴後の風呂の水の培地とほとんどコロニーの状況が変わらなかった。これには 2 つの理由が考えられる。第一に浴槽の洗浄があまり行われていない不衛生な環境が水に影響を与えたという可能性。つぎにサンプル採取後、プレートに移す操作の段階で降下細菌が入った可能性である。繁殖したコロニーの種類も同一であることから、前者の可能性の方が高いと思われる。

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4

4.4.4.4.多人数多人数多人数多人数でででで入浴入浴入浴入浴のののの水水水水とととと個人個人個人個人でででで入浴入浴入浴入浴のののの水水水水のののの比較比較比較比較 個人が入浴する前の風呂の水による培地で多くのコロニーが発見されたのに対して、多人数で入浴する前の水ではほぼ無菌状態だった。これは後者の清掃がよく行き届いているためだと考えられる。

5555....書写書写書写書写キャンパスキャンパスキャンパスキャンパスでででで採取採取採取採取したしたしたした土土土土とととと播磨科学公園都市播磨科学公園都市播磨科学公園都市播磨科学公園都市キャンパスキャンパスキャンパスキャンパスしたしたしたしたサンプルサンプルサンプルサンプルのののの比較比較比較比較 書写キャンパスで採取したコロニーはひとつひとつのコロニーの判別が難しいほど密集していて、全く隙間のない状況だった。一方、播磨科学公園都市キャンパスで採取した土はコロニーの大きさも大きく、書写では見られなかった線形のコロニーが見られた。 テーマテーマテーマテーマ(2)(2)(2)(2)大腸菌大腸菌大腸菌大腸菌のののの増殖曲線増殖曲線増殖曲線増殖曲線、、、、及及及及びびびび抗生物質抗生物質抗生物質抗生物質によるによるによるによる生育阻害生育阻害生育阻害生育阻害 (a)(a)(a)(a)目的目的目的目的 新鮮な培地において大腸菌がどのような増殖曲線を描くか、抗生物質アンピシリンを加えることでどの程度増殖が抑制されるかを調べる。 (b)(b)(b)(b)材料材料材料材料 液体培地、大腸菌懸濁液、アンピシリン溶液(5mg/ml)

(C(C(C(C))))方法方法方法方法 1番と 2番の 2つ液体培地を用意し、1番は何も加えないまま吸光度を測定し、2番は実験開始から 60分後にアンピシリンを加えて吸光度を測定した。 液体培地が入った三角フラスコから 2ml の液体培地を無菌的に取り出し、キュベットに入れ 660nmの吸光度 A660(濁度)を測定し、これを Blankとした。もう一つの液体培地についても同様の操作を行った。2 個の三角フラスコの液体培地に大腸菌懸濁液をピペットマン、滅菌済みブルーチップを用いて無菌的に取り出し、分光光度計で 660nm の吸光度 A660(濁度) を測定し、これを 0 分の懸度測定とした。37℃で振盪培養を開始し、それぞれの三角フラスコから 20 分毎に 2ml ずつ無菌的に取り出し、同様にして吸光度 A660(濁度) を測定した。培養開始 60分後に片方の液体培地にピペットマン、滅菌済みブルーチップを用いて滅菌的にアンピシリン溶液(5mg/ml)を 0.4ml加え、「アンピシリンなし(1)」と「アンピシリン入り(2)」の液体培地での培養と 20分毎の濁度の測定を 180分まで行った。

(d(d(d(d))))結果結果結果結果 Blankは 1、2それぞれ 0.089、0.091となった。表 1に何も加えない(1)と実験開始から 60分後にアンピシリンを加えた(2)の吸光度を示す。グラフ 1、2はそれぞれ縦軸を通常にとったグラフと対数をとったグラフである。

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表表表表 1111::::アンピシリンアンピシリンアンピシリンアンピシリンなしなしなしなし(1),(1),(1),(1),ありありありあり(2)(2)(2)(2)のののの吸光度測定値吸光度測定値吸光度測定値吸光度測定値 時間(分) 1 の測定結果 真の吸光度 2 の測定結果 真の吸光度 0 0.193 0.104 0.199 0.108 20 0.235 0.146 0.256 0.165 40 0.329 0.240 0.357 0.266 60 0.526 0.437 0.555 0.464 80 0.734 0.645 0.487 0.396 100 1.007 0.918 0.208 0.117 120 1.278 1.189 0.200 0.109 140 1.680 1.591 0.200 0.109 160 1.990 1.901 0.224 0.133 180 2.200 2.111 0.215 0.124 グラフ1.アンピシリン添加による吸光度の変化(通常)

00.511.522.5

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180時間(分)吸光度(nm) アンピシリンなしアンピシリン入り

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グラフ2.アンピシリン添加による吸光度の変化(片対数)

0.1110

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180時間(分)吸光度(nm) アンピシリンなしアンピシリン入り

グラフ 2 におけるアンピシリンなし(1)の増殖曲線の形状からどの増殖段階であるかを判断する。はじめに 0~20 分かけてはおだやかに細胞数が増加していることがうかがえることから、この間が遅滞期であると判断できる。つぎに 20~100分にかけてほぼ 1次関数のように細胞数が大きく増加していることから、対数期であると判断できる。最後に 100~180分にかけて増殖速度が衰え始めていることから、静止期であると判断した。 グラフ 2 におけるアンピシリンあり(2)の増殖曲線からアンピシリンが増加曲線に与える影響を考える。アンピシリンを加える前までの増殖速度は(1)と一致している。60分の吸光度計測後アンピシリンを加えたところ 80~100 分にかけて増殖速度が急激に減少した。これはアンピシリンによって細菌の細胞壁のペプチドグリカンの架橋合成が阻害され、ペプチドグリカンが薄くなり、細胞の強度が低くなる。そのため、浸透圧により水が細胞内に流入し溶菌し、大腸菌が死滅したことが予想できる。細菌が死滅しても吸光度が Blank 値に戻らない点については考察で述べることとする。 対数期の細胞増殖速度は細胞数をN、増殖速度定数をμとすると

)(lnln 00 ttNN −=− µ で表せる。グラフ 2 の対数期を 1 次関数とみなし、最小二乗法によって傾きを求めれば、増殖速度定数μを求めることができる。 グラフ 2のアンピシリンを入れなかった培地(1)において対数期を 20~100分と判断し、増殖速度定数と世代時間を求める。 表 2の値を以下の式に代入すると増殖速度定数μは

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7

xxxn

yxxyn

∑∑−∑

∑∑−∑=

300300220005

704.430087.1886

×−×

×+×−= 139.0= となる。

よって細菌数が 2倍になるまでの時間の世代時間は、 tµ=2ln で表すことができ、μを代入し tを求めると

)(867.492ln

分==µ

t となった。 表表表表 2222::::増殖速度定数増殖速度定数増殖速度定数増殖速度定数μμμμをををを計算計算計算計算するためにするためにするためにするために 1111のののの培地培地培地培地のののの吸光度吸光度吸光度吸光度をををを変換変換変換変換したしたしたした値値値値 n x x2 y xy 1 20 400 -1.924 -38.48 2 40 1600 -1.427 -57.08 3 60 3600 -0.828 -49.68 4 80 6400 -0.439 -35.12 5 100 10000 -0.086 -8.56 ∑ 300 22000 -4.704 -188.87 グラフ 2よりアンピシリンを測定開始 60分後に入れた培地(2)の対数期を 20~60分と判断し、増殖速度定数と世代時間を求める。 表 3の値を以下の式に代入すると増殖速度定数μは

xxxn

yxxyn

∑∑−∑

∑∑−∑=

12012056003

8944.312055.1433

×−×

×+−×=

0153.0= となる。 同様に tを求めると )(304.45

2ln分==

µt となった。

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表表表表 3333::::増殖速度定数増殖速度定数増殖速度定数増殖速度定数μμμμをををを計算計算計算計算するためにするためにするためにするために 2222のののの培地培地培地培地のののの吸光度吸光度吸光度吸光度をををを変換変換変換変換したしたしたした値値値値 n x x2 y xy 1 20 400 -1.802 -44.51 2 3 40 60 1600 3600 -1.324 -0.768 -52.97 -46.07 ∑ 120 5600 -3.894 -143.55

(e(e(e(e))))考察考察考察考察 アンピシリンを加えた培地(2)での吸光度が Blank値まで下がらない理由を考察する。細菌の死骸が吸光度に与える影響、アンピシリン溶液が吸光度に与える影響、形質転換しアンピシリン耐性をもった大腸菌の出現、実験操作の際にペプチドグリカンをもたない細菌の流入の恐れが挙げられる。 はじめに、細菌の死骸が吸光度に与える影響が挙げられる。Blank と(2)の溶液の違いは大腸菌懸濁液及びアンピシリンを加えているか否かである。大腸菌が全てが死滅したとしても、その成分は培地中に残っているはずなので、これが濁度が Blank まで下がらなかった理由と予想できる。 つぎに、アンピシリン溶液が吸光度に与える影響だがこれは大腸菌を加えない培地にアンピシリンを加えて対照実験を行えば明確な結果が得られるはずである。 さらに、形質転換しアンピシリン耐性をもった大腸菌の出現について考察する。形質転換しアンピシリンに対して耐性をもつ大腸菌が出現すれば、吸光度はいずれ再び上昇し始めるはずである。実際 160~180分にかけてわずかに濁度が上昇し始めている。この先も吸光度を測定し続ければ、対数期になり(1)のような増殖曲線を示したのだろうか。わずか数十分の間に形質転換が起こるほど、大腸菌の環境に対する適応性は高いのだろうかという点が疑問となる。しかしながら形質転換が起こったとすれば、ほかの可能性と比較してこれが最も測定値に影響を与えることとなる。 最後に実験操作の際にペプチドグリカンをもたない細菌の流入の恐れについてである。ペプチドグリカンをもたない細菌にマイコプラズマが挙げられる。しかし、この菌は多くが病原菌であり、実験者に症状をもつものもない点、日常生活ではあまり見る機会がない点から可能性はきわめて低いといえる。

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9

テーマテーマテーマテーマ(3)(3)(3)(3)大腸菌大腸菌大腸菌大腸菌のののの形質転換形質転換形質転換形質転換 (a)(a)(a)(a)目的目的目的目的 新鮮な培地において大腸菌がどのような増殖曲線を描くか、β-ラクタマーゼ遺伝子をもつプラスミド(pBR322)によって形質転換を生じさせ、大腸菌の形質転換効率を求める。 (b)(b)(b)(b)材料材料材料材料 液体培地、プラスミド溶液(pBR322、10ng)、コンピテントセル、希釈用滅菌水

(C(C(C(C))))方法方法方法方法 エッペンドルフチューブ内のコンピテントセルを室温で溶かし、すぐにアイスボックス内に移した。プラスミド溶液(pBR322、10ng)の入ったエッペンドルフチューブ及びプラスミドの入ってない滅菌済みのエッペンドルフチューブに、それぞれコンピテントセルをピペットマンで数回吸ったり吹いたりすることで均一な懸濁液にして分注し、ふたをして攪拌した後すぐにアイスボックス内に移した。次にそれぞれのエッペンドルフチューブにコンピテントセルを 0.2ml ずつ加え、37℃で 1時間震盪培養した後、底に沈んでいる菌体を良く混ぜ、それぞれのサンプルに 0.2mlずつ、準備しておいた 1.8mlの滅菌水に加え 10倍に希釈した。さらに菌体密度が均一になるように攪拌した後、同様の 10倍希釈を 4回繰り返し 10、102、103、104、105倍希釈溶液を作成した。2つのサンプルの 10、103、105倍希釈溶液から 0.1ml ずつ取り出し「アンピシリンなし」と「アンピシリン入り」のプレートに撒き、コンラージ棒を用いて塗り広げ、インキュベーター内で裏返しにして 24時間培養した。その後プレートを取り出しプレート内のコロニー数を測定し、大腸菌の形質転換効率を求めた。

(d(d(d(d))))結果結果結果結果 アンピシリン入り、なし、各希釈倍率による大腸菌のコロニー数の変化を表 4に示す。 表表表表 4444::::各希釈倍率各希釈倍率各希釈倍率各希釈倍率によるによるによるによる大腸菌大腸菌大腸菌大腸菌ののののコロニーコロニーコロニーコロニー数数数数 アンピシリンなし アンピシリンあり 希釈倍率 プラスミドなし プラスミドあり プラスミドなし プラスミドあり ×10 一面 一面 0 7 ×103 546 716 0 0 ×105 7 7 0 0

1.1.1.1.プラスミドプラスミドプラスミドプラスミド 1ng1ng1ng1ngあたりのあたりのあたりのあたりの形質転換形質転換形質転換形質転換したしたしたした細胞数細胞数細胞数細胞数のののの算出算出算出算出 今回使用したプラスミド溶液は 10ngである。希釈倍率 10倍の希釈液中で見つかった形質転換した大腸菌数が 7 個である。10倍希釈液中のプラスミド溶液は 10ng なので、これを

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10

10で割ればいいことになる。計算すると )(7.010

17 個=× がプラスミド 1ngあたりの形質転換した細胞数と考えられる。

2.2.2.2.形質転換形質転換形質転換形質転換したしたしたした細胞細胞細胞細胞のののの割合割合割合割合のののの算出算出算出算出 希釈倍率 10 倍のときにのみ形質転換した大腸菌が見られるが、希釈倍率 10 倍のアンピシリンなしの大腸菌数は膨大で計測できなかった。そこで希釈倍率 103 倍の大腸菌数を 100倍した数をアンピシリンなしで増殖した大腸菌数とする。すると、716×100=71600個がアンピシリンなし、プラスミドありで培養した大腸菌数となる。よって形質転換した細胞の割合を算出すると (%)1078.9100

71600

7 3−×=× となる。

(e(e(e(e))))考察考察考察考察 希釈倍率が 103倍の希釈液中では形質転換してアンピシリンを分解するβ-ラクタマーゼという酵素をもつ大腸菌コロニーが数個見つかったが、希釈倍率が 103倍、105倍の希釈液中では形質転換してアンピシリン耐性をもつ大腸菌はまったく発現しなかった。理論値と比較しても非常に低い値である。これはプラスミド(pBR322)が壊れて、断片化していたためにこのような結果になったと推測できる。 テーマテーマテーマテーマ(4)(4)(4)(4)紫外線照射紫外線照射紫外線照射紫外線照射によるによるによるによる殺菌効果殺菌効果殺菌効果殺菌効果 (a)(a)(a)(a)目的目的目的目的 大腸菌に紫外線を照射し、コロニーを計数し生存曲線を作成し、そのグラフから半減期を求め、大腸菌に対する紫外線の影響を調べる。 (b)(b)(b)(b)材料材料材料材料 大腸菌懸濁液、蛍光灯スタンド

(C(C(C(C))))方法方法方法方法 滅菌した試験管(6本)に希釈用滅菌水を 1.8mlずつ分注し、そこに大腸菌懸濁液 0.2mlを無菌的に取り出し加え 10倍希釈溶液とした。さらに菌体密度が均一になるように攪拌し、10倍希釈を繰り返し行い 10、102、103、104、105、106倍希釈溶液を作成した。次にそれぞれの懸濁液から 0.1ml ずつ採取しプレートに撒き、コンラージ棒と回転台を用いて均一に広げ、原液、103倍希釈のものは 3枚ずつ、106倍希釈のものは 4枚用意した。そしてプレー

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11

トをふたの上にして紫外線滅菌ランプの中央に置き、ランプが点灯したときにプレートのふたを開け、原液、103倍、106倍の 3 枚のプレートそれぞれに 10、20、30 秒間紫外線を照射した。また 106倍希釈のプレート 1枚は紫外線の照射は行わなかった。すべてのプレートを裏返しにして 37℃に設定したインキュベーターで培養し、翌日、コロニー数を数えて生存曲線を描いた。

(d(d(d(d))))結果結果結果結果 希釈濃度と紫外線照射時間の違いによる大腸菌コロニー数の変化を表 5に示す。 表表表表 5555: : : : 希釈濃度希釈濃度希釈濃度希釈濃度、、、、紫外線照射時間紫外線照射時間紫外線照射時間紫外線照射時間のののの違違違違いによるいによるいによるいによる大腸菌大腸菌大腸菌大腸菌コロニーコロニーコロニーコロニー数数数数のののの変化変化変化変化 コロニー数(個) 紫外線照射時間(秒) 原液 ×103 ×106 0 53 10 一面 1924 1 20 3108 9 0 30 47 1 0

大腸菌数が一桁のサンプルを除き、その計測数に溶液の希釈倍率をかけて希釈しない場合の生存細胞数を求め、表 6に示した。 表表表表 6666::::希釈希釈希釈希釈ししししないないないない場合場合場合場合のののの生存細胞数生存細胞数生存細胞数生存細胞数 紫外線照射時間(秒) コロニー数(個) 0 5.3×107 10 1.924×106 20 3.108×103 30 4.7×10

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12

グラフ3.紫外線照射による生存細胞数の時間変化

1

10

100

1000

10000

100000

1000000

10000000

100000000

0 5 10 15 20 25 30 35

紫外線照射時間(秒)

大腸

菌コロニー数

(個

)

1.1.1.1.半分半分半分半分のののの細胞細胞細胞細胞をををを殺殺殺殺すすすす照射時間照射時間照射時間照射時間のののの算出算出算出算出 ある紫外線(ΔD)を照射したときにある個体数が死亡した(-ΔN)とする。このときの死亡率(-ΔN/N)は照射紫外線量に比例する。

):( 比例定数   αα DN

N∆=

∆− これを微分方程式におきかえると

 DdN

dNα=− となる。被爆紫外線強度が一定なら時間 tの一次関数なので

)( :定数   ββtD = であり、これを代入し変形すると N

dt

dN

tdN

dN

αβ

αβ

−=

=−

)( αβ=−= kkNdt

dN    となる。これからNを求める。

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kdtN

dN−= これを積分すると

):(ln 積分定数  CCktN +−= Ckt eeCktN ⋅=+−= −)exp(

CeN =0 (t=0のときの細胞数)とおくと

kteNN

−= 0 (1) 以上より 02

1NN = となる半減期までの時間を求めることができる。

紫外線照射時間を x、コロニー数(希釈前に換算した数)を yとして、最小二乗法のために変換したものが表 7である。 表表表表 7777::::比例定数比例定数比例定数比例定数 kkkkをををを計算計算計算計算するためにするためにするためにするために表表表表 6666のののの測定値測定値測定値測定値をををを変換変換変換変換したしたしたした値値値値 n x x2 y xy 1 0 0 17.79 0 2 10 100 14.47 144.7 3 20 400 8.04 160.8 4 30 900 3.85 115.5 ∑ 60 1400 44.15 421 表 7より定数 kを求めると

xxxn

yxxynk

∑∑−∑

∑∑−∑=

2 606014004

15.44604214

×−×

×−×=

4825.0−= となる。 細胞数が半減するとき、 0

2

1NN = とすることができる。(1)式を変形すると kt

e−=

2

1

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kt−=2

1ln

2

1ln

1

kt −= となり、 4825.0−=k を代入すると

)(44.1 秒=t となり、半分の細胞を殺す照射時間は 1.44秒となった。

(e(e(e(e))))考考考考察察察察 紫外線の照射時間が 30 秒間行わると、10 秒間紫外線を照射しても無数のコロニーが見られた原液でもわずか 47個のコロニーしかみられなかった。このことから紫外線照射が大腸菌に与える影響は大きいと考えることができる。紫外線照射による殺菌のメカニズムについて記す。紫外線(250nm前後)が細胞内の DNAに吸収され,核酸の 5つの塩基(アデニン、シトシン,グアニン、チミン、ウラシル)が化学変化を起こし 2 量体が形成され、核酸がその複製機能が失われる。これによって細菌は増殖することができなくなる。紫外線照射が無菌的な環境を作り出したいときに非常に有効な手段であると考えることができる。グラム陰性菌である大腸菌を培地上で 99.9%死滅させるのに必要な紫外線量は 5400µw・sec/cm2である。日本では水道水の殺菌は塩素によって行われているが、海外では紫外線による殺菌を行っている国もある。