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内外金利市場動向 米長期金利は緩やかな上昇を予想。国内金利は需給 両面から利回り上昇が抑制された展開を見込む。 2016年前半に日銀は追加緩和を行う可能性 内外株式市場動向 内外株価は先進国を中心に底堅さを維持する見通し。 米国の利上げペースや新興国経済の先行きを巡る不 透明感からリスク回避の動きが強まる局面も 為替市場動向 2016年も世界的なドル高局面が続くと予想。ただし、 新興国経済の先行き不透明感や地政学的リスクの高 まりが波乱要因に 明けましておめでとうございます。 金融市場ウィークリー新春特別号として、「2015 年の回顧と 2016 年の展望」をお届け 致します。 次回 1 8 日号からは通常の内容となります。 本年も宜しくお願い申し上げます。 2015 年の回顧と 2016 年の展望 2016 1 6 金融市場ウィークリー新春特別号

2015 年の回顧と2016 年の展望米10年国債利回りは、2014年末の油価急落を受け て、2015 年初は1.6%台まで低下した。しかし、油 価下落の一巡や、雇用情勢の改善、独長期金利の上

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◆ 内外金利市場動向

米長期金利は緩やかな上昇を予想。国内金利は需給

両面から利回り上昇が抑制された展開を見込む。

2016年前半に日銀は追加緩和を行う可能性

◆ 内外株式市場動向

内外株価は先進国を中心に底堅さを維持する見通し。

米国の利上げペースや新興国経済の先行きを巡る不

透明感からリスク回避の動きが強まる局面も

◆ 為替市場動向

2016年も世界的なドル高局面が続くと予想。ただし、

新興国経済の先行き不透明感や地政学的リスクの高

まりが波乱要因に

明けましておめでとうございます。

金融市場ウィークリー新春特別号として、「2015年の回顧と 2016 年の展望」をお届け

致します。

次回 1月 8日号からは通常の内容となります。

本年も宜しくお願い申し上げます。

2015 年の回顧と 2016 年の展望 2016 年 1 月 6日 金融市場ウィークリー新春特別号

2015年の回顧と 2016年の展望 1

~内外金利市場動向~

2015年の米独長期金利は低水準でのもみ合い

2015 年の米独長期金利は、低水準でのもみ合いと

なった。2015 年末の米 10年国債利回りは 2.2%台後

半、独 10年国債利回りは 0.6%近傍と、年初(各 2.1%

台後半、0.5%台前半)とほぼ同水準に止まった。

2015 年に欧米の国債市場で材料視されたのは、中

央銀行による金融政策の変更や、新興国経済の減速、

原油価格の下落などであった。中国、ロシア、ブラ

ジルといった新興国経済の減速は、世界的な株価下

落や原油価格の急落をもたらした。油価急落はイン

フレ期待の低下を通じて、長期金利を押し下げた。

米 10年国債利回りは、2014 年末の油価急落を受け

て、2015 年初は 1.6%台まで低下した。しかし、油

価下落の一巡や、雇用情勢の改善、独長期金利の上

昇などにより、6 月には 2.4%台まで反転上昇した。

年後半の米 10 年国債利回りは、2.2%を挟んだも

み合いとなった。中国人民銀行による実質的な人民

元切り下げを契機とした世界的な株価下落を受け、

米長期金利は一時 2%を割り込む局面もみられたが、

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ期待が市

場で高まる中、年末にかけては 2.2%台まで小幅にレ

ンジを切り上げた。FRBは、12 月の連邦公開市場

委員会(FOMC)において、0.25%pt の利上げに踏み

切ったが、国債市場は既に織り込み済みで、利上げ

の影響は限定的だった。

欧州では、2015 年初に欧州中央銀行(ECB)が

国債購入を含む量的緩和(QE)策を発表した。ド

イツでは国債不足が懸念され、独 10 年国債は一時

0.1%を割り込んだ。しかし、過度な低金利に対する

水準調整が起こる形で、4月後半から6月初にかけて、

1%を上回る水準まで独長期金利は急上昇した。年央

以降は、ギリシャ情勢の緊迫化に伴うドイツ国債へ

の逃避的な需要が強まり、ドイツ国債利回りは再び

低下に転じた。秋口には世界的な株価下落と油価続

落により、ECBによる追加緩和の思惑が強まり、

独 10年国債利回りは再び 0.5%近傍まで低下した。

ECBは 12月の政策理事会において、QEプログ

ラムの期間延長を含む追加緩和策を発表したが、市

場では緩和の内容が不十分とされ、発表後に長期金

利は上昇した。しかし、長期金利の上昇は続かず、

0.6%近傍での越年となった。

2016 年の米長期金利は緩やかに上昇、独長期金利

は低位推移が続く公算大

2016年の米 10年国債利回りは、緩やかな上昇を予

想している。FRBが 2004年以来の利上げ局面に移

行し、長期金利も利上げペースに即した上昇に転じ

る公算が大きい。

もっとも、FRBの利上げは、過去の利上げ局面

と比較すると非常に緩やかなペースに止まる公算で

ある。利上げは、四半期毎に 0.25%ptのペースとな

り、2016年の累計では 1%ptになると見込まれる。2

年国債利回りも同程度の上昇が予想される一方、米

国債のイールドカーブはベア・フラットニングし、

10年国債利回りは 2016年末に向けて 0.5%pt程度上

昇し、2.7%前後の水準に達すると予想している。

独 10年国債利回りは、2015年同様の低水準での推

移が続くと予想している。ECBは、当面は追加緩

和の効果を見極めるステージに入る公算が大きい。

しかし、油価低迷の長期化が予想される中で、ユー

ロ圏のインフレ率は、緩慢な上昇に止まるであろう。

金融市場ではECBによる追加緩和の思惑が燻り、

独長期金利には低下圧力が掛り易い。

米国では長期金利が緩やかな上昇に転じるとの予

想を踏まえると、米金利上昇に伴う金利上昇圧力と、

追加緩和観測の残存に伴う金利低下圧力が混在する

形で、結果的に独 10年国債利回りは、横ばい圏での

推移が予想される。

波乱要因は油価動向で、新興国経済不安の再燃等

により油価が一段安となれば、米独共に、長期金利

の低下要因となりやすい。 (吉田健一郎)

【 図表 1 原油価格と米独 10 年国債利回り 】

10

20

30

40

50

60

70

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0米10年国債利回り

独10年国債利回り

WTI期近物原油価格(右目盛)

(%) (ドル/バレル)

(年/月)(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

2015年の回顧と 2016年の展望 2

2015 年の国内金利は年後半にかけ低下基調で推移。

海外投資家の日本国債買い越しが増加

2015年の長期金利(10年国債利回り)は、年前半

に一時 0.5%台まで上昇するも、年後半は低下基調で

推移する展開となった。年初は日銀追加緩和期待に

よる金利低下の反動で利回りが上昇した。原油価格

下落による消費者物価上昇率低下を受け、1月の金融

政策決定会合(1/20・21)での追加緩和期待が高ま

り、10 年国債利回りは一時 0.2%を下回った。市場

の一部では日銀当座預金の超過準備に対する付利

(0.1%)引き下げを織り込む動きが見られたが、日

銀が金融政策を据え置くと金利は上昇に転じた。そ

の後も国債入札が低調な結果となったことや米金利

上昇などを受け、市場のボラティリティが大きく高

まり、10 年国債利回りは一時 0.4%台半ばまで上昇

した。日銀が大量の国債買い入れを続ける中で債券

市場の流動性が低下しており、市場のボラティリテ

ィが高まり易くなっている。日銀は 3 月以降、債券

市場の機能度に関するヒアリング調査(債券市場サ

ーベイ)を開始したが、2015 年に行われた 4 回の調

査全てが市場の機能度低下を示す結果となった。

6 月には独 10 年国債利回りの急上昇を受け、日本

の10年国債利回りは一時0.5%台半ばまで上昇した。

金利上昇要因として海外投資家の影響が考えられる。

ECBの量的緩和による欧州金利の低下などから相

対的な日本国債の投資妙味が高まっており、2014 年

に続き 2015年も海外投資家の日本国債投資が大きく

増加した。独国債利回りが上昇したため、海外投資

家が日本国債を売却し独国債を購入する動きが生じ

たことが、10 年国債利回りが上昇する一因になった

と考えられる。

夏場以降は、中国株急落を契機とした世界同時株

安や原油価格下落を背景に、10 年国債利回りはじり

じりと低下する展開となった。12 月 FOMC(12/15・

16)での米利上げ後も原油安などから米国債利回り

の上昇は限定的となり、年末にかけて日本の 10年国

債利回りは 0.3%前後での推移が続いた。日銀が 12

月の金融政策決定会合(12/17・18)で決定した量

的・質的金融緩和の補完措置では、買入れ国債の平

均残存期間が長期化された。超長期ゾーン中心に利

回りが低下しイールドカーブはフラットニングして

いる。

2016 年の国内金利は需給両面で利回り上昇が抑制

される。日銀金融政策と政府の財政運営に注目

2016年の長期金利(10年国債利回り)は需給両面

から利回り上昇が抑制された展開が続くと予想され

る。需要面では日銀の国債買入れ額が増加する見通

しだ。保有国債の償還額増加に伴い、日銀は 1 月以

降国債買入額を増額させている。円調達コストの低

下から海外投資家の円債投資も引き続き増加が見込

まれる。また、日銀の追加緩和期待も金利上昇を抑

制するだろう。消費者物価上昇率は 2015年 11月に 5

カ月ぶりにプラス圏に浮上したが、日銀の物価目標

2%とは依然大きく乖離している。日銀は強気の経

済・物価見通しを維持しているが、原油安などによ

るインフレ期待下振れへの警戒感は強く、春先の賃

金交渉や為替動向などをにらみ、年前半に追加緩和

が行われる可能性が高いと予想している。

一方、供給面では国債発行額の減額が見込まれて

いる。2016年度予算案では一般会計総額が 96.7兆円

と当初予算ベースで過去最大規模となったが、税収

増や借換債減少から国債発行額は減額される計画だ。

新規国債発行額も 2015 年度に続き 30 兆円台が維持

された。もっとも、借換債の減少は国債発行計画で

超長期債の発行が増加し平均償還年限が長期化して

いることに伴うものであることに留意が必要だ。

2016年度のカレンダーベース市中発行額は40年債が

増額される一方、2年、5年債などが減額され平均償

還年限は 9年 2カ月と 2015年度の 9年から長期化さ

れた。財務省によると、借換債の発行額は今後数年

減少傾向が続くが、その後は増加に転じる見通しだ。

年後半にかけての注目は、2017 年 4 月の消費再増

税に向けた政府の財政運営となろう。夏場の参院選

を控え、安倍政権が景気回復を優先し消費増税を先

送りする可能性もゼロではない。仮に増税を行うと

しても、軽減税率に加え低所得者向け対策などで財

政負担が高まる可能性もあり留意が必要だ。政府は

財政健全化計画で 2020年度の基礎的財政収支黒字化

目標を維持しているが、同計画は高い経済成長率を

前提としており、計画通り財政健全化が進むかどう

かは依然不透明だ。S&Pなど主要格付け会社の格

付け見通しは安定的となっているが、再度の消費増

税延期となれば格下げの可能性が高まるだろう。

(野口雄裕)

2015年の回顧と 2016年の展望 3

~内外株式市場動向~ 2015年の株式相場は年後半に総じて軟調な展開に

2015 年のグローバル株式相場は、年前半にかけて

景気回復や金融緩和の継続を背景に、日・欧等で堅

調に推移した。しかし、夏場以降はギリシャ支援を

巡る混乱、約 10年ぶりとなる米国の利上げを控える

中での原油安や中国を始めとする新興国の景気減速

等、懸念材料が相次ぎ、総じて軟調な展開となった。

国別のパフォーマンスでは、日・欧は相対的に良好

であったものの、8月の世界的な株安以降、年前半の

上昇幅を縮小させ、年初来騰落率は 10%を下回った。

米国株は夏場以降の大幅な調整を挟んだ後一部持ち

直したが、2014 年末比ではマイナス圏で終わった。

新興国株は年後半以降に下落基調を強め、2割近い下

落率と軟調さが顕著であった(図表 1)。

【 図表 1 主要株価指数の推移 】

80

90

100

110

120

130

15/01 15/04 15/07 15/10

米ダウ平均ストックス・ヨーロッパ600MSCIエマージング日経平均

(2014年末=100)

(年/月)

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

米国株式相場は、年前半にかけては緩和的な金融

政策継続への期待から底堅く推移した。ドル高や原

油安により企業業績の改善ペースが鈍化したため、

株価の割高感が台頭し上値を抑制したものの、主要 3

指数は史上最高値を更新した。一方、米景気の回復

基調が鮮明化するとともに、FRBが近い将来の利

上げを示唆し始め、利上げへの警戒感が徐々に高ま

った。こうした環境下、8月の中国人民元の切り下げ

をきっかけに中国景気減速への懸念が意識されると、

金融市場では急速に投資家のリスク回避姿勢が強ま

った。ダウ平均株価も一時年初来高値から 15%超下

落する等、大幅な調整となった。金融市場の混乱を

背景に、早ければ 9月の FOMC とも見られていた利上

げは見送られ、利上げの見送りをきっかけに米国株

は上昇基調に復した。その後、米国の経済指標の改

善から年内 12月の利上げの公算が大きくなるも、底

堅さは維持された。一方、利上げを決定した 12月の

FOMC を挟んで原油価格が再び下落基調を強めたこと

もあり、年末に向けては世界経済の先行き不透明感

が米国株の重荷となり、ダウ平均株価の年初来騰落

率は、▲2%と 2008年以来のマイナスとなった。

日本株は年前半に上昇基調を強めたものの後半に

かけて上昇幅を縮小させる展開となった。年前半は、

円安や原油安を背景とした企業業績の改善や企業統

治改革への期待が高まり、株価を押し上げた。日経

平均株価は 2000 年のITバブル期の高値を上回り、

東証 1 部上場企業の時価総額は過去最高値を更新す

る等、堅調さは際立った。しかし、8月以降に中国の

景気減速懸念が高まり、リスク回避の動きが強まる

と日本株も大幅に下落し、年初来高値からの調整幅

は一時 20%近くに及んだ。9 月の海外投資家による

日本株の売り越し金額は現物と先物と併せて 3 兆円

超と統計開始以来の水準となった。相対的に上昇率

の高かった日本株で利益確定の売りが出易かった他、

国内景気に対する慎重な見方が売り材料となった。

その後、2015 年内の米国の利上げが確実視され、為

替市場で円安が進行したことで日本株は一部下げ幅

を取り戻した。しかし、12 月に入ると日銀の金融緩

和の補完措置に対する失望等から再び下落基調に転

じ、年初来騰落率は 9%に留まった。

【 図表 2 日本株投資主体別売買動向 】

▲30

▲20

▲10

0

10

20

30

15/1 15/4 15/7 15/10

信託銀行(年金等)事業法人投資信託個人海外投資家

(千億円)

(年/月)

▲150

▲100

▲50

0

50

100

150

200

05 07 09 11 13 15

(千億円)

買い越し

売り越し

(年)(注1)二市場一・二部合計。

(注2)2015年12月第4週までの合計。

(資料)東京証券取引所より、みずほ総合研究所作成

2015年の回顧と 2016年の展望 4

2016年の株価は先進国を中心に底堅さを維持

2016 年の内外株価は、引き続き先進国を中心に底

堅さを維持する見通しである。一方、米国の利上げ

のペースや中国を含む新興国経済の先行きを巡る不

透明感は残存し、グローバルにリスク回避の動きが

強まる局面も想定されよう。

米国株式相場は、過去の利上げ局面においても利

上げ前後 2~3カ月は株価の不安定な推移が見られて

おり、2016 年前半を中心に株価は停滞すると予想さ

れる。また、今次利上げ局面においては、ドル高や

新興国経済減速の影響から輸出や企業業績に不安要

素が残存している。こうした指標の持ち直しが本格

的な株価反転の条件となるだろう。企業業績につい

ては、2015年後半から減速していた S&P500指数採用

企業の企業業績も 2016年後半を中心に持ち直す見通

しである。当面は慎重な見方が拭えないものの、業

績の改善が確認されれば株価のバリュエーション上

の割高感も後退し、上昇基調に復すだろう(図表 3)。

ただし、今後の利上げペースについて、金融市場と

FRBの想定には差異があり、市場の織り込みより

も速いペースでの利上げが現実的となる局面では、

調整圧力が掛かり易い。また、2015 年に続き、中国

を含む新興国経済の減速、原油等の資源価格の下落

もリスク要因であり、一時的にリスク回避の動きが

強まる可能性には留意が必要だ。

【 図表 3 予想PERの水準による S&P500試算値 】

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

PER15倍のS&P500試算値

PER14倍のS&P500試算値

PER13倍のS&P500試算値

S&P500指数(月中平均値)

(pt)

(年)

(注1)想定株価はS&P500指数の12カ月先予想EPS から逆算したもの。

(注2)12カ月予想EPSは2015年12月末時点のデータ。(資料)Datastream、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

日本株は企業業績の改善を背景に緩やかに上昇 日本株については、ペースは緩やかになるものの、

上昇基調を維持する見通しである。2015 年は、コー

ポレートガバナンス元年とも呼ばれ日本企業に対す

る海外投資家からの期待が膨らんだことや、業績改

善傾向がグローバルに見ても相対的に優位であった

ことが株価を押し上げたが、2016 年にかけて上昇ペ

ースは鈍化するだろう。企業業績は、円安や原油安

のペースが一服することから改善ペースも鈍化が見

込まれる。さらに、中国を始めとする新興国経済の

減速も重荷となるだろう。ただし、日米の金融政策

の方向感の違いを背景に 2016年も緩やかな円安進行

が予想され、輸出企業を中心に業績の押し上げが期

待される。また、2016年後半には 2017年 4月の消費

増税を控えた駆け込み需要の顕現化が好材料となる

だろう。株価水準をバリュエーション面から見てみ

ると、TOPIX の 12 カ月先予想EPS(1 株当たり利

益)からPER(株価収益率)を 15倍、NT倍率(日

経平均/TOPIX)を 12倍と仮定して算出した想定株価

に対し、2015年 12月末時点で株価はやや割安感があ

る(図表 4)。下落局面で日経平均株価が 19,000円を

下回る水準では買戻しが期待されるだろう。需給面

では、海外投資家の日本株への積極的な投資スタン

スが相応に維持されると考えられる。2016 年は 7 月

に参議院選挙を控え、金融政策をはじめ政策期待が

高まり易い。また、年金資金については株式市場へ

の流入に一巡感が出ているが、日本株の下落局面で

は、日銀によるETF購入とともに下値を支えるだ

ろう。懸念材料は、中国景気の動向が挙げられる。

2016 年も緩やかな減速に留まる見込みだが、中国経

済の想定以上の落ち込みは波乱材料となるだろう。

【 図表 4 予想EPSから試算される日経平均株価 】

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000

24,000

14/03 14/09 15/03 15/09 16/03 16/09 17/03

想定株価(PER15倍)

想定株価(PER16倍)

実績(月中平均)

(円)

(年/月)

(注1)想定株価はTOPIXの12カ月先予想EPS から逆算したPER15倍、NT倍率12倍のケース。

(注2)12カ月予想EPSは2015年12月末時点のデータ。(資料)Datastream、Bloombergより、みずほ総合研究所作成

(大塚理恵子)

2015年の回顧と 2016年の展望 5

~為替市場動向~

2015年は世界的ドル高も、対円では限定的に

2015 年の為替市場は、一言でいえば世界的なドル

高相場であった。ドルの名目実効為替レート(2通貨

間ではなく、諸通貨に対してドルの強さを示す指標)

は、2015年を通じて 10%近くドル高が進むこととな

った(図表 1)。

2015 年にドル高が進んだ背景には、米国利上げ期

待の高まりに加え、新興国経済の減速があった。2015

年の米国経済が概ね堅調に推移し、雇用環境の改善

がみられるなかで、米国の利上げへの期待が高まり、

市場ではドル買いの動きがみられた。

一方で新興国では中国の経済指標の悪化をきっか

けとした株価急落や、ブラジルの経済低迷に伴う格

下げ、原油価格下落に伴う資源国経済の低迷などが

2015 年に発生した。こうした事象は新興国経済の先

行き不透明感を高め、新興国の資金流出とともに、

米国への資金流入に繋がることとなった。

【 図表 1 ドル名目実効為替とドル(対円、対ユーロ) 】

また先進国通貨間でみても、ドル高が特に対ユー

ロで進展した。その主因は金融政策の方向感の違い

にあった。米国が金融政策の正常化に向かう一方で、

ユーロ圏では 2015年初に量的緩和を導入し、12月に

は追加緩和が実施された。新興国経済減速のユーロ

圏経済への影響懸念や、原油安による物価の伸び悩

みなどが追加緩和判断を促すこととなった。市場は

当面ユーロ圏の金融緩和局面が続くと期待し、ユー

ロ売りドル買いを進めることとなった。

円に対しても 2015年は概ねドル高地合いで推移し

たが、1年を通じてみるとその進展は限定的であった。

日銀は 2015年を通じて量的・質的緩和を継続してお

り、こうした要素は円安圧力となっていた。ただし、

市場が期待した追加緩和は 2015 年内に実施されず、

12 月の緩和補完措置に留まったことから、同要因に

よる円売りは限定的であった。一方で米利上げはド

ル買い円売り要因となっており、利上げ期待が高ま

りをみせた 6 月初旬には、年初来安値となる 1 ドル

=125.86円まで円安ドル高が進んだ(図表 2)。

しかしその後は円高に戻し、米利上げが実施され

た 12月に入っても円は年初来安値を更新することは

なかった。その背景には新興国経済の減速懸念が大

きく 2つの観点で影響したことがあると考えられる。

1 つは安全資産として円がドル以上に買われる動

きがみられた点である。中国株が急落し世界的な株

安が進行した 8 月から 9 月にかけての局面では、円

買いの動きが進むこととなった。また原油価格が 1

バレル=30 ドル台となり、資源国などへの影響が懸

念された局面でも同様に円高圧力がみられた。

2 点目は新興国経済不安が米利上げペースに与え

る影響を市場が意識した点である。9 月 FOMC で利上

げが見送られた際には、声明文において「最近の海

外経済と金融の動向が(米国の)経済活動を幾分抑

制する可能性があり、また短期的にインフレ率に対

して一段の下押し圧力を加え得る」という文言が入

った。市場はこうした観点を強く意識し、新興国経

済の成長減速は 2016年以降の米利上げペースにも影

響するととらえ、こうした要素がドルの上値を重く

したと考えられる。

【 図表 2 ドル円相場とユーロドル相場 】

95

100

105

110

115

120

15/1 15/2 15/3 15/4 15/5 15/6 15/7 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12

ドル(対円)ドル(対ユーロ)ドル名目実効為替レート

(15/1/1 =100)

(年/ 月)

ドル高

ドル安

(資料)Bloomberg、FRBより、みずほ総合研究所作成

0.90

1.00

1.10

1.20

1.30

1.4080

90

100

110

120

130

13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10

ドル円相場

ユーロドル相場(右目盛)

(年/ 月)

(円/ ドル) (ドル/ユーロ)

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

125.8615/6/5

2015年の回顧と 2016年の展望 6

2016 年もドル高地合いだが、新興国経済の先行き

不透明感や地政学的リスクの高まりが波乱要因に

2016 年も世界的なドル高局面はしばらく続くと予

想する。米国経済が当面堅調に推移することが期待

されるなか、米国は緩やかながらも着実に利上げを

実施していくと考えられ、ドル高圧力が高まる要因

となるだろう。

また中国をはじめとする新興国経済の先行き不透

明感はしばらくくすぶる可能性がある。新興国経済

の減速が顕著になるような事態となれば、2015 年に

たびたび見られたような新興国からの資金流出が加

速すると予想され、その場合にはドル高が一段と進

展するだろう。

一方でドル高が急激に進展すれば、ドルの上値を

抑えるような動きを米国がみせる可能性がある。

物価動向を加味したドルの強さを示す実質実効為

替レートは 2015 年 12月時点で 99.4 となり、既に歴

史的にみて高い水準となっている(図表 3)。また昨

年には、米ベージュブックにおいてドル高が製造業

の活動を抑制する要因と指摘されており、米財務省

が公表する為替報告書でも、諸外国への通貨安誘導

を目的とした財政・金融政策をけん制する文言が記

載された。このように米国内では既に昨年からドル

高への懸念が強く意識されていたと考えられる。

更なるドル高が急激に進むような事態となれば、

政府・金融当局がドル高への懸念を示す、いわゆる

口先介入によって市場に働きかける動きや、場合に

よっては利上げペースの見直しに繋がる可能性もあ

るだろう。以上のような動きは、ドル高進展に歯止

めをかける要素となると考えられる。

【 図表 3 ドル実質実効為替レート 】

先進国通貨間においても、米国の金融政策の正常化

に向けた動きはドル高要因だが、新興国の経済減速懸

念や地政学的リスクの高まりが波乱要因となりそう

だ。

ドル円相場は金融政策の方向感の違いが円安ドル

高圧力になるだろう。日本では日銀の量的・質的緩和

は 2016 年も続くと予想され、物価等の市場動向次第

ではもう一段の追加緩和を実施する可能性もある。市

場の日銀追加緩和への期待の高まりは 2016 年におい

ても円売り材料になるだろう。

ただし、新興国経済や原油安に伴う資源国経済の先

行き不透明感は根強く残ると考えられ、こうした要素

は引き続き円高要因となるだろう。また中東において

は足元でサウジアラビアとイランが外交関係を断絶

するなど、緊張関係が高まっている。不安定なシリア

情勢や難民問題などもあり、2016 年は地政学的リス

クが高まりやすい地合いになることが予想される。こ

うした新興国経済不安や地政学的リスクの高まりは

ドル円相場においては円高圧力となるだろう。

以上を踏まえると、ドル円相場は 2015年と同様に、

円安ドル高地合いとなるも、その進展は結果として非

常に緩やかなものに留まると予想する。

ユーロドル相場においても、ドル円相場と同様に金

融政策の違いがドル高ユーロ安圧力となるだろう。

ECBは 2016 年も金融緩和を継続することが予想さ

れ、もう一段の追加緩和の可能性も残しているとみて

いる。

一方で、ユーロドル相場においても、新興国経済不

安の高まりはドル安ユーロ高圧力に繋がる可能性が

ある。2015 年夏頃の中国株下落を起点とした世界同

時株安の際には、安全資産として円やスイスフランと

共にユーロがドル以上に買われる事象がみられた。

以上から、ユーロドル相場は米国の利上げに伴い緩

やかにユーロ安ドル高が進んでいくと予想する。ただ

し新興国経済の減速が顕著になれば、ユーロの下値を

支えることとなろう。

2016 年の為替相場は引き続き米国の金融政策が最

大の焦点ではあるものの、日欧の金融政策とともに、

これまで以上に中国をはじめとする新興国経済の動

向や、地政学的リスクの高まりに目を配る必要がある

だろう。 (有田賢太郎)

80

90

100

110

120

130

140

73 78 83 88 93 98 03 08 13

15/1299.4

02/2112.8

85/3128.4

(資料)Bloombergより、みずほ総合研究所作成

(73/3=100)

(年)

2015年の回顧と 2016年の展望 7

【 2015年の実績 】

2014年末 2015年高値 2015年安値 2015年末 変化幅 変化率(%)

2.484 1.641

2.499 1.636

0.17900 0.16900

- -

0.535 0.200

0.545 0.195

18,312.39 15,666.44

18,351.36 15,370.33

5,218.86 4,506.49

5,231.94 4,292.14

20,868.03 16,795.96

20,952.71 16,592.57

1,691.29 1,357.98

1,702.83 1,343.29

(注)2015年高値・安値・・・上段:終値ベース、下段:取引時間中。債券は利回りで表示。

(資料)Bloomberg

TOPIX(pt)

145.48 126.10

125.86 115.86

1.2109 1.0458

2.171

ダウ平均(㌦)

NASDAQ総合指数(pt)

10年国債(%)

ユーロ円TIBOR3カ月(%)

日経平均(円) 19,033.71

17,823.07

4,736.05

0.330 0.270

17,450.77

17,425.03

5,007.41

1,547.30

1.2098

1,407.51

144.85

119.78

▲ 10.2▲ 0.1236

139.79 9.9

▲ 398.04 ▲ 2.2

271.36 5.7

▲ 9.8▲ 14.21

1,582.94 9.0

0.44 0.3

内外株式

為替

120.22

130.64

1.0862

円/ドル

円/ユーロ

ドル/ユーロ

2.269

0.16900 ▲ 0.01000 -

内外金利

0.098 -

▲ 0.060 -

0.17900

米10年債(%)

【 2016年の予想レンジ 】 2015年末

2.05 ~ 2.55 2.10 ~ 2.70 2.20 ~ 2.80 2.30 ~ 2.90

0.150 ~ 0.200 0.150 ~ 0.200 0.150 ~ 0.200 0.150 ~ 0.200

0.20 ~ 0.40 0.30 ~ 0.50 0.40 ~ 0.60 0.40 ~ 0.60

16,500 ~ 18,500 16,700 ~ 18,700 17,200 ~ 19,200 17,500 ~ 19,500

4,600 ~ 5,400 4,650 ~ 5,450 4,700 ~ 5,500 4,750 ~ 5,550

17,500 ~ 21,000 19,000 ~ 22,000 19,000 ~ 22,000 19,300 ~ 22,300

1,400 ~ 1,700 1,550 ~ 1,800 1,550 ~ 1,800 1,550 ~ 1,800

114 ~ 124 116 ~ 126 118 ~ 128 119 ~ 129

1.02 ~ 1.12 1.01 ~ 1.11 1.00 ~ 1.10 1.00 ~ 1.10

122 ~ 134 123 ~ 135 124 ~ 135 125 ~ 136

(注)  1. 予想レンジの( )内は期中平均値。

2. 米政策金利はFF金利誘導目標、国内政策金利は無担保コールレート翌日物の誘導目標。いずれも各期末値。

1.00~1.25

16年10~12月期

ドル/ユーロ 1.0862(1.07) (1.06)

19,033.71

(18,500)(18,200)

0.75~1.00

17,425.03

(0.50)(0.40)

16年7~9月期

0.270

0~0.10

16年1~3月期 16年4~6月期

(2.70)

1.25~1.50

(1,730)

(5,200)

1,547.30(1,600) (1,700)

(0.50)(0.30)

5,007.41

(17,800) (18,000)ダウ平均(㌦)

日経平均(円)

NASDAQ総合指数(pt)

内外株式

(1,770)

(5,150)

(21,000) (21,300) (21,700)

(5,250)

(2.60)

3カ月TIBOR(%) 0.16900

米10年債(%)(2.50)

国内政策金利(%) 0~0.10 0~0.10

(2.40)内外金利

0.25~0.5

10年国債(%)

米政策金利(%)

2.269

(120) (122) (124) (125)

(130) (130) (130)

(1.05) (1.05)為替

0.50~0.75

(129)

円/ドル 120.22

円/ユーロ 130.64

(20,000)

(5,100)

TOPIX(pt)

0~0.10

(0.17) (0.17) (0.17) (0.17)

0~0.10

8

2015年

の回

顧と

2016年

の展

【 2015 年の日経平均株価・円長期金利と主な出来事 】

中国天津市にて爆発事故発生、死傷者数700人超

太平洋戦争終戦から70年

自民党総裁選告示、安倍総理の無投票再選が決定日本生命保険、三井生命保険を買収すると発表

S&P、日本国債の格付けを一段階引き下げ(AA-→A+)

安全保障関連法案成立

肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合、持株会社「九州フィナンシャルグループ」設立

TPP交渉、日米など参加12カ国が大筋合意

マイナンバー通知開始

第3次安倍改造内閣が発足常陽銀行と足利ホールディングス、経営統合について基本合意と発表

日本郵政・かんぽ生命・ゆうちょ銀行の日本郵政グループ3社、東証一部上場

習近平主席と馬英九総統、シンガポールで中台分断後初の首脳会談

国産初のジェット旅客機MRJが県営名古屋空港で初飛行

JXホールディングスと東燃ゼネラル石油、経営統合を基本合意

日銀、金融緩和政策の補完措置を決定

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

21,000

22,000

23,000

24,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

日経平均株価(左目盛)

日本10年国債利回り(右目盛)

(注)高値・安値は東京市場クローズベース。

(資料)Bloomberg等各種資料より、みずほ総合研究所作成

(年/月)2015 /

(円) (%)

日経平均株価年初来安値

16,795円(1/14)

日経平均年初来高値

20,868円(6/24)

10年国債利回り年初来高値

0.535%(6/11)

10年国債利回り年初来低値

0.200%(1/19)

1/1

1/1

3/143/25

3/31

4/1

4/3

4/8

4/275/29

6/1

6/12

6/30

7/1

7/5

8/12

8/15

9/89/11

9/16

9/19

10/1

10/5

10/5

10/7 11/2

11/4

11/7

11/11

12/3

12/18

財務省、物価連動国債の個人保有を解禁

相続税及び贈与税の税制改革

北陸新幹線、金沢まで開業日銀宮尾委員任期満了、後任は原田泰氏

AIIB創設メンバー申請締切、参加メンバーは51カ国・地域、米国・日本は参加見送り

軽自動車税、1.5倍の年1万800円 国民年金、月6万4400円から6万5008円に負担増

厚生年金(夫婦2人)21万9066円から22万1507円に_マクロ経済スライドを初実施

東芝、不正会計疑惑発覚

成田空港、LCC専用となる第3旅客ターミナル開業

フィッチ・レーティングス、日本国債の格付けを一段階引き下げ(A+→A)鹿児島県屋久島町の口永良部島の新岳で爆発的噴火

東証、日本版コーポレートガバナンス・コード導入

中国株暴落、ひと月の間に上海証券取引所のA株は株式時価総額の3分の1を失う

日銀森本委員任期満了、後任は布野幸利氏

閏秒が適用、日本標準時では8時59分59秒と9時00分00秒の間に8時59分60秒が追加

第39回世界遺産委員会にて「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界

遺産に登録される

9

2015年

の回

顧と

2016年

の展

【 2015 年のダウ平均株価・米長期金利と主な出来事 】

1.5

1.7

1.9

2.1

2.3

2.5

2.7

2.9

3.1

3.3

3.5

15,000

15,500

16,000

16,500

17,000

17,500

18,000

18,500

19,000

19,500

20,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ダウ平均(左目盛)

米10年国債利回り(右目盛)

2015 /

(注)高値・安値はNYクローズベース。

(資料)Bloomberg等各種資料より、みずほ総合研究所作成

ダウ平均年初来高値

10年国債利回り年初来低値

ダウ平均年初来安値

10年国債利回り年初来高値

2.484%(6/10)

(年/月)

($) (%)

3/31

4/17

6/5

6/12

7/14

7/20

7/21

8/3

8/11

9/9

10/5

10/15

10/15

10/27

10/30

11/2

11/23

11/23

12/4

12/4

12/11

12/15・16

AIIB創設メンバー申請締切、参加メンバーは51カ国・地域、米国・日本は参加見送り

独10年国債利回り、過去 低の0.049%を記録

OPEC、生産目標の据え置きを決定

中国株暴落、ひと月の間に上海証券取引所のA株は株式時価総額の3分の1を失う

イラン核協議、 終合意

アメリカとキューバ、1961年以来54年ぶりに正式に国交回復

アメリカで金融機関の自己勘定取引に関する「ボルカー・ルール」が順守期限を迎える

プエルトリコ、債務不履行に陥ったことを発表

ムーディーズ、ブラジルの信用格付けを一段階引き下げ(Baa2→Baa3)

S&P、ブラジルの信用格付けをBBB-から投資不適格級のBB+へ引き下げ

TPP交渉、日米など参加12カ国が大筋合意

カナダ総選挙、ハーパー首相のカナダ保守党を破り、カナダ自由党が過半数を獲得

フィッチ・レーティング、ブラジルの信用格付けを一段階引き下げ(BBB→BBB-)

アメリカ、駆逐艦を南シナ海の中国人工島12カイリ内に派遣

S&P、サウジアラビアの信用格付けを一段階引き下げ(AA-→A+)

オバマ大統領、連邦債務の上限引き上げを盛り込んだ2016、17会計年度の予算案に署名

アルゼンチン大統領選、保守派野党候補マウリシオ・マクリ氏当選

製薬大手ファイザー、アイルランドの同業アラガンの買収合意を発表

11月雇用統計、非農業部門雇用者数前月比21.1万人増

OPEC、原油減産見送り

化学大手のダウケミカルとデュポン、合併合意を発表

FOMC、9年半ぶりの利上げ決定

10

2015年の

回顧

と2016年

の展

【 2015 年のドル円相場・ユーロドル相場と主な出来事 】

リトアニア、ユーロを導入

ECB、ユーロ国各国の国債・政府機関債購入を決定

ギリシャ総選挙、反緊縮派の急進左派連合が圧勝ユーロ圏財務相会合、2月末に期限が切れるギリシャ向けの金融支援

を4カ月延長することを決定

ECB、国債購入を開始

英国総選挙、キャメロン首相率いる与党・保守党、単独過半数獲得し

勝利

オバマ大統領がドル高懸念との憶測報道

黒田日銀総裁、外国為替相場について実質実効レートで「さらに円安に振れることはありそうにない」と発言

S&P、ギリシャ国債の格付けを引き下げ(CCC →CCC-)

フィッチ・レーティングス、ギリシャ国債の格付けを引き下げ(CCC→CC)

ムーディーズ、ギリシャ国債の格付けを引き下げ(Caa2→Caa3)

ギリシャ、財政緊縮策への賛否を問う国民投票実施、反対票が賛成票

を大きく上回る

S&P、ギリシャ国債の格付けを二段階引き上げ(CCC- →CCC+)

0.85

0.90

0.95

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25115

117

119

121

123

125

127

129

131

133

135

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ドル円相場(左目盛)

ユーロドル相場(右目盛)

2015 /

円年初来安値

125.86円(6/5)

円年初来高値

115.86円(1/16)

ユーロ年初来高値

1.2109ドル(1/1)

(資料)Bloomberg等各種資料より、みずほ総合研究所作成

ユーロ年初来安値

1.0458ドル(3/13)

(円/ドル) (ドル/ユーロ)

ドル高ユーロ安

ドル安ユーロ高→

円安ドル高

円高ドル安→

1/1

1/22

1/25 2/20

3/9

5/7

6/8

6/10

6/29

6/30

7/1

7/5

7/21

8/7

8/118/18

9/18

9/22

10/4

11/11

11/13 11/24

11/24

12/1

12/3

12/20

IMF、期限が5日に迫っていたギリシャによる3億ユーロ(約420億円)の支払い先送りを

公表

中国、人民元を3日連続で大幅切り下げフィッチ・レーティングス、ギリシャ国債の格付けを引き上げ(CC→CCC)

米環境保護庁、VW社が排ガス規制をクリアするためにディーゼル車に不正なソフト

ウェアを搭載していたと発表

EU司法・内務理事会、12万人の難民を各自で分担して受け入れると決定

ポルトガル総選挙、連立与党が 多議席獲得するも、過半数に届かず

ポルトガル、内閣不信任となり総辞職へ

パリで同時多発テロ事件、120人超の死者が出るトルコ軍、トルコ・シリア国境付近でロシア軍機を撃墜

ポルトガル、左派政権が誕生

IMF、人民元をSDRの構成通貨に加えることを決定

ECB、中銀預金金利引き下げなどの追加緩和を決定

スペイン総選挙、与党が第1党維持するも、過半数に届かず

(年/月)

2015年の回顧と 2016年の展望 11

【 2016年 1~3月期のスケジュール 】 2016年 1月 2月 3月

日 本 5 新車販売台数(12月) 10年利付国債入札 7 30年利付国債入札

8 毎月勤労統計(11月速報) 景気動向指数(11月速報) 12 国際収支(11月速報)

景気ウォッチャー調査(12月) 消費動向調査(12月) 13 マネーストック(12月速報)

10年物価連動国債入札 14 企業物価指数(12月) 機械受注統計(11月)

18 設備稼働率(11月) 第 3次産業活動指数(11月) 19 5年利付国債入札

21 全産業活動指数(11月) 20年利付国債入札 25 貿易統計(12月)

28 商業動態統計(12月速報) 2年利付国債入札 29 鉱工業生産(12月速報)

消費者物価(12月全国・1月都区部) 日銀金融政策決定会合(28・29日) 日銀「経済・物価情勢の展望」(基本的見解)

日銀総裁定例記者会見 家計調査(12月) 労働力調査(12月)

1 新車販売台数(1月) 2 10年利付国債入札 3 消費動向調査(1月)

5 景気動向指数(12月速報) 8 毎月勤労統計(12月速報) 国際収支(12月速報)

景気ウォッチャー調査(1月) 9 マネーストック(1月速報) 30年利付国債入札

10 企業物価指数(1月) 15 GDP(10~12月期 1次速報) 設備稼働率(12月)

第 3次産業活動指数(12月) 16 20年利付国債入札 17 機械受注統計(12月)

18 貿易統計(1月) 5年利付国債入札 19 全産業活動指数(12月)

25 2年利付国債入札 26 消費者物価(1月全国・2月都区部) 29 鉱工業生産(1月速報)

商業動態統計(1月速報)

1 法人企業統計調査(10~12月期) 10年利付国債入札 新車販売台数(2月)

家計調査(1月) 労働力調査(1月) 4 毎月勤労統計(1月速報)

7 景気動向指数(1月速報) 8 GDP(10~12月期 2次速報) 景気ウォッチャー調査(2月)

国際収支(1月速報) 30年利付国債入札 消費動向調査(2月)

9 マネーストック(2月速報) 10 企業物価指数(2月) 5年利付国債入札

11 法人企業景気予測調査(1~3月期) 14 機械受注統計(1月) 15 設備稼働率(1月)

第 3次産業活動指数(1月) 日銀金融政策決定会合(14・15日) 日銀総裁定例記者会見

17 貿易統計(2月) 20年利付国債入札 22 全産業活動指数(1月)

25 消費者物価(2月全国・3月都区部) 2年利付国債入札 29 商業動態統計(2月速報)

家計調査(2月) 労働力調査(2月) 30 鉱工業生産(2月速報)

米 国 4 製造業ISM指数(12月) 6 FOMC議事録(12/15・16) 貿易収支(11月)

非製造業ISM指数(12月) 8 雇用統計(12月) 12 米 3年国債入札

13 米 10年国債入札 連邦財政収支(12月) ベージュブック(地区連銀経済報告)

14 米 30年国債入札 15 鉱工業生産・設備稼働率(12月) 小売売上高(12月)

PPI(12月) ミシガン大学消費者信頼感指数(1月速報) ニューヨーク連銀製造業業況指数(1月)

20 住宅着工・許可件数(12月) CPI(12月) 21 フィラデルフィア連銀製造業業況指数(1月)

22 中古住宅販売件数(12月) 景気先行指数(12月) 26 カンファレンスボード消費者信頼感指数(1月)

米 2年国債入札 S&P/ケース・シラー住宅価格指数(20都市・11月) 27 米 5年国債入札

FOMC(26・27日) 新築住宅販売件数(12月) 28 米 7年国債入札

耐久財受注(12月) 29 GDP(10~12月期速報) 雇用コスト指数(10~12月期)

シカゴPMI指数(1月)

1 個人所得・消費支出(12月) 製造業ISM指数(1月) 3 非製造業ISM指数(1月)

4 労働生産性(10~11月期暫定) 5 貿易収支(12月) 雇用統計(1月)

10 連邦財政収支(1月) 12 小売売上高(1月) ミシガン大学消費者信頼感指数(2月速報)

16 ニューヨーク連銀製造業業況指数(2月) 17 鉱工業生産・設備稼働率(1月) 住宅着工・許可件数(1月)

PPI(1月) 18 フィラデルフィア連銀製造業業況指数(2月) 景気先行指数(1月)

19 CPI(1月) 23 S&P/ケース・シラー住宅価格指数(20都市・12月) 中古住宅販売件数(1月)

カンファレンスボード消費者信頼感指数(2月) 24 新築住宅販売件数(1月) 25 耐久財受注(1月)

26 個人所得・消費支出(1月) GDP(10~12月期暫定) 29 シカゴPMI指数(2月)

1 製造業ISM指数(2月) 2 ベージュブック(地区連銀経済報告) 3 非製造業ISM指数(2月)

労働生産性(10~11月期改訂) 4 貿易収支(1月) 雇用統計(2月)

10 連邦財政収支(2月) 15 小売売上高(2月) PPI(2月)

ニューヨーク連銀製造業業況指数(3月) 16 FOMC(15・16日) 鉱工業生産・設備稼働率(2月)

住宅着工・許可件数(2月) CPI(2月) 17 経常収支(10~12月期)

フィラデルフィア連銀製造業業況指数(3月) 景気先行指数(2月) 18 ミシガン大学消費者信頼感指数(3月速報)

21 中古住宅販売件数(2月) 23 新築住宅販売件数(2月) 24 耐久財受注(2月)

25 企業収益(10~12月期) GDP(10~12月期確定) 28 個人所得・消費支出(2月)

29 S&P/ケース・シラー住宅価格指数(20都市・1月) カンファレンスボード消費者信頼感指数(3月) 31 シカゴPMI指数(3月)

欧 州 14 英中銀金融政策委員会(13・14日) 21 ECB政策理事会

4 英中銀金融政策委員会(3・4日) 10 ECB政策理事会 17 英中銀金融政策委員会(16・17日)

*印は期日未定を示す〔予定は変更の可能性があります〕

2015年の回顧と 2016年の展望 12

【 2016年の政治・経済日程 】

国 際 米 国 欧 州 日 本

1月 (16)台湾総統・議会選挙

(12)オバマ大統領一般教書演説

(26-27)連邦公開市場委員会

(1)ユーロ圏の単一破綻処理メカ

ニズムが始動

(1)オランダがEU議長国就任

(21)ECB政策理事会

(1)マイナンバー利用開始

(4)通常国会召集

(28-29)金融政策決定会合(展望

レポート)

2月 (8)中国・春節(旧正月)

(月内)ミャンマー大統領選挙

(月内)大統領予算教書

(月内)FRB議長半期議会証言

(18-19)EU首脳会議

3月 (5)中国全人民代表大会

(1)スーパー・チューズデー

(米大統領予備選挙集中日)

(15-16)連邦公開市場委員会

(10)ECB政策理事会

(17-18)EU首脳会議

(11)東日本大震災から 5年

(26)北海道新幹線開業

(14-15)金融政策決定会合

4月 (10)ペルー大統領選挙

(13)韓国総選挙

(15)IMF・世銀春季総会(ワシン

トン)

(26-27)連邦公開市場委員会

(21)ECB政策理事会 (1)日銀短観(3月調査)

(1)ジュニアNISA取引開始

(1)電力小売り全面自由化

(1)障害者差別解消法施行

(27-28)金融政策決定会合(展望

レポート)

5月 (2)アジア開発銀行年次総会(ドイ

ツ・フランクフルト)

(9)フィリピン大統領選挙

(26)G7首脳会議(日本・伊勢志摩)

(5)スコットランド議会選

6月 (2)OPEC総会

(14-15)連邦公開市場委員会 (2)ECB政策理事会 (15-16)金融政策決定会合

(19)改正公職選挙法施行(選挙権

年齢が18歳以上へ)

7月 (18)米共和党全国大会

(25)米民主党全国大会

(26-27)連邦公開市場委員会

(月内)FRB議長半期議会証言

(1)スロバキアがEU議長国就任

(21)ECB政策理事会

(1)日銀短観(6月調査)

(28-29)金融政策決定会合(展望

レポート)

(月内)参院選投開票

8月 (5-21)リオデジャネイロ夏季五輪 (11)新たな祝日、山の日

9月 (4-5)G20首脳会議(中国・浙江省

杭州市)

(7-18)リオデジャネイロ夏季パラリ

ンピック

(月内)国連総会

(11)米同時多発テロ事件から 15

(20-21)連邦公開市場委員会

(8)ECB政策理事会 (20-21)金融政策決定会合

10月 (1)中国人民元SDR採用

(7)IMF・世銀年次総会(ワシント

ン)

(上旬)ノーベル賞発表

(20)ECB政策理事会 (3)日銀短観(9月調査)

(6-7)金融政策決定会合

(31-1)金融政策決定会合(展望レ

ポート)

11月 (7)COP22(モロッコ・マラケシ

ュ)

(1-2)連邦公開市場委員会

(8)米大統領選挙

(7)豊洲新市場開場

12月 (月内)中国中央経済工作会議 (13-14)連邦公開市場委員会 (8)ECB政策理事会

(15-16)EU首脳会議

(14)日銀短観(12月調査)

(19-20)金融政策決定会合

年内 APEC首脳会議(ペルー)

(注)1.スケジュールは一部未定

2.( )内は日付

2015年の回顧と 2016年の展望 13

発行/みずほ銀行 みずほ総合研究所

編集/みずほ総合研究所 調査本部

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