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月報 1 2 6 10 14 16 17 18 20 21 22 23 24 26 29 ……… …………………………………… ………………………………………………… ………… …………………………… …………………………………………………………………………………… ………………………………………………………………………… …………………………………………………… CONTENTS 2018/5 巻頭言 先進的なICTの活用による九州経済の活性化 一般社団法人 九州経済連合会 理事・情報通信委員会委員長 小澤 正憲〔西日本電信電話㈱ 取締役九州事業本部長〕 寄稿 「日本式医療ツーリズムの行方」―JCI認証機関25 日本国際病院41に拡大― 国際医療福祉大学大学院教授 水巻 中正 九経連活動紹介 「『稼ぐ力』を高める」をテーマに経団連と意見交換~第70回九州経済懇談会~ ミャンマーの投資環境調査・ビジネス展開支援 ~九州・ミャンマー経済交流ミッション2018 ~  「九州・大学発ベンチャー振興シーズ資金」を設置 ~九州・大学発ベンチャー振興会議~  九経連2018事業計画~九州の稼ぐ力と魅力の向上~ ~第150回理事会~  空港・港湾の連携による更なるインバウンド需要の拡大と確実な取り込みを ~インバウンドを支える空港・港湾に関するセミナー~  日誌(3月) 講演要旨 「アジア×デジタルマーケティング~親日アジア経済圏430万人のコミュニティ」 藤井 大輔(㈱Fun Japan Communications 代表取締役社長) 「米朝、対話か戦争か~ニュースの読み方」 水本 達也(時事通信外信部 編集委員(前ワシントン特派員)) 電池電力貯蔵装置セミナー「低炭素社会実現に向けた二次電池技術の期待」 池谷 知彦((一財)電力中央研究所 材料科学研究所(兼)エネルギーイノベーション創発センター 研究参事) 新入会員紹介 株式会社日田天領水 九州観光推進機構ニュース 感動と物語の九州―歴史と文化を掘り下げる薀蓄の旅文化庁の全国重要伝統的建造物群保存地区を巡る(南九州編) ~守り続ける土地の人への感謝~ 九州・山口地域動向 表紙説明・スケジュール(5月)

2018/5 CONTENTS · クの提供に努めることに加え、iot、aiなどの 最先端ictにも積極的にチャレンジし、九州 ... 50か国で実施されている。医療先進国の米国、

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CONTENTS2018/5

巻頭言

 先進的なICTの活用による九州経済の活性化  一般社団法人 九州経済連合会 理事・情報通信委員会委員長 小澤 正憲〔西日本電信電話㈱ 取締役九州事業本部長〕寄稿

 「日本式医療ツーリズムの行方」―JCI認証機関25 日本国際病院41に拡大―                   国際医療福祉大学大学院教授 水巻 中正九経連活動紹介

 「『稼ぐ力』を高める」をテーマに経団連と意見交換~第70回九州経済懇談会~ ミャンマーの投資環境調査・ビジネス展開支援  ~九州・ミャンマー経済交流ミッション2018 ~  「九州・大学発ベンチャー振興シーズ資金」を設置  ~九州・大学発ベンチャー振興会議~  九経連2018事業計画~九州の稼ぐ力と魅力の向上~ ~第150回理事会~  空港・港湾の連携による更なるインバウンド需要の拡大と確実な取り込みを  ~インバウンドを支える空港・港湾に関するセミナー~ 

 日誌(3月) 

講演要旨

 「アジア×デジタルマーケティング~親日アジア経済圏430万人のコミュニティ」           藤井 大輔(㈱Fun Japan Communications 代表取締役社長) 「米朝、対話か戦争か~ニュースの読み方」           水本 達也(時事通信外信部 編集委員(前ワシントン特派員)) 電池電力貯蔵装置セミナー「低炭素社会実現に向けた二次電池技術の期待」  池谷 知彦((一財)電力中央研究所 材料科学研究所(兼)エネルギーイノベーション創発センター 研究参事)新入会員紹介

 株式会社日田天領水九州観光推進機構ニュース

 感動と物語の九州―歴史と文化を掘り下げる薀蓄の旅㉖  文化庁の全国重要伝統的建造物群保存地区を巡る(南九州編)   ~守り続ける土地の人への感謝~九州・山口地域動向

表紙説明・スケジュール(5月)

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2018/5 九経連月報 1

近年の情報通信技術(ICT)の発展は目覚ましく、数年前まではまだ先の未来のことと考えられていた、IoT、AI、ロボットなどの最新技術が、企業の経済活動や、私たちの日常の生活の一部として取り上げられることが増えてきています。

九州においても、IoT、AI等のICTを活用してビジネス化を狙うベンチャー企業等が次々と新しいサービスを提供し始めています。昨年度は、九州の各地で、農業、工業、水産業などの分野で各種センサー(IoT)やAIを活用した生産性向上の取り組みや、河川の水位測定等の減災・防災の取り組み等が盛んに行われました。

これらの最先端のICTを活用したビジネスの更なる活性化・拡大に向け、技術を持つ企業と、技術を活用したい企業とをマッチングするコミュニティも発足しており、一過性の技術トレンドではなく、継続的な経済成長に寄与する技術としての期待が高まっています。

情報通信委員会でも、一昨年度、産業振興委員会と共同で、IoTを活用したビジネスの普及促進につなげるための『IoTビジネス研究会』を立ち上げ、ビジネス化に向けた20の提言を行いました。昨年度からは、農林・畜産・水産物とインバウンド観光をテーマに更なる深掘りを行っています。

一方、様々なモノがインターネットにつな

がる世の中になると、サイバー攻撃のリスクがこれまで以上に高まることが想定されます。実際に九州でも企業がサイバー攻撃を受けた事例も出てきており、経営者層のサイバーセキュリティの意識の向上は喫緊の課題です。そのため、有識者による『サイバーセキュリティ推進ワーキング』を立ち上げ、経営者向けの普及・啓発活動を展開しています。

また、こういった新しいICTを活用するためには、継続的な人材育成は欠かせません。これまでのインターンシップによる学生向けの人材育成に加え、社会人の育成を重点領域と定め、今年度より産学連携による社会人向け人材育成の取り組みを開始しました。

NTT西日本グループでも、九州経済の活性化に向け、最新のICTの活用を推進しています。昨年度は、政令指定都市の広域整備事例としては日本最大規模のIoTネットワークである、Fukuoka City LoRaWAN TM※を福岡市様と共に提供し、IoT分野における産業育成・活性化の取り組みを開始しました。保育園での温湿度・CO2等の環境の見える化や、児童の見守り等、IoTならではの新たな利用シーンを、様々なパートナー様と共に創出しています。また、AIの分野では、一般車両に搭載した、汎用的なカメラを用いた路面診断サービスの提供を開始しました。路面の画像をAIで分析することにより、ひび割れなどの路面の劣化状態を検出することができ、道路維持管理コストの低減が期待されます。この技術は、街路樹、看板、道路ペイント等の診断への応用も将来的には可能です。

これまでのように安心・安全なネットワークの提供に努めることに加え、IoT、AIなどの最先端ICTにも積極的にチャレンジし、九州全域に広げることにより、情報通信環境を活用して、誰もが安心して暮らせる世界を創出し、九州経済の発展に貢献していきたいと考えています。

※LoRaWAN TMの名称は、Semtech Corporationの商標です。

(一社)九州経済連合会 理事・情報通信委員会委員長

小澤 正憲〔西日本電信電話㈱ 取締役九州事業本部長〕

先進的なICTの活用による九州経済の活性化

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九経連月報 2018/52

経済のグローバリズム、医療の国際交流に伴い、外国人患者の治療・健診を目的とした医療ツーリズム(MedicalTourism)が高まりをみせている。東南アジアに向けては比較的遅れていた日本の取り組みもやっと本格化し、国際的に「競争と連帯の時代」を迎えつつある。「経済最優先」の安倍内閣の日本再興戦略のもと、日本式医療ツーリズム(インバウンド=外国からの渡航患者の受け入れ、およびアウトバウンド=医療技術やサービスを海外へ提供、病院輸出)について国内の日本国際病院

(仮称、別掲)が41病院を数え、海外の医療拠点も20を超える。さらに、訪日外国人の増加が追い風となり、強力な援軍となっている。

医療ツーリズムは医療情報のグローバル化によって、患者が安くて良質な医療を求め国境を越えて動く現象である。近年は最先端医療や優れた医療技術を持つ国、病院を目指す患者が増える一方で、観光を兼ねて健診、治療を受けるいわゆる「医療観光」、さらに健康志向の「ヘルスツーリズム」が増えるなど多様化している。

国際的に医療ツーリズムは、現在、世界約50か国で実施されている。医療先進国の米国、ドイツ、東南アジアではタイ、シンガポール、

韓国をはじめ中東、ヨーロッパ、南米の国で行われ、渡航目的は、最先端の医療技術、より良い品質の医療、待機時間の解消、低コストなど。以前は新興国から先進国への渡航が主流だったが、現在は先進国から新興国へ向かう新たな流れが加わり、医療ツーリズム地図に変化をきたしている。

それを象徴しているのが、JCI(Joint Commission International、本部・米シカゴ)の国際認証の取得状況だ。認証は病院の品質、安全管理を審査し、国際的に認定するというものだが、新興国が競って取得し、その数は飛躍的に増え、約1,000機関(2017年8月現在)に上っている。取得数が一番多いのはアラブ首長国連邦の176機関、次いでサウジアラビア110、中国91、タイ61、ブラジル58、トルコ49と続いている。中近東、アジアが多く、日本は24機関(14位)。お隣の韓国は27(9位)。中国は前年より14増えて堂々の3位、日本、韓国を大きく引き離している。この傾向は2018年になっても続き、日本は1増加の25機関〈3月末〉となっている(表1)。取得機関の多くの病院医師はアメリカで医師免許を取得し、医療機器、医薬品はアメリカ製を使用しており、アメリカの戦略は世界の病院を巻き

国際医療福祉大学大学院教授 水巻 中正

「日本式医療ツーリズムの行方」―JCI認証機関25 日本国際病院41に拡大―

昨年1年間の訪日外国人数は2,869万人と、過去最高を記録した。日本を訪れる外国人の目的の一つとして、近年注目されているのが、医療を目的とした渡航である。健康面に不安のある者にとって、移動の負荷は少ないほど望ましいため、九州における医療ツーリズム受け入れが活性化することは、日本の良質な医療を求めるアジアの人々にとっても、メリットとなると考えられる。今回、日本式医療ツーリズムについて、国際医療福祉大学大学院の水巻中正教授に寄稿いただいた。

寄稿

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2018/5 九経連月報

込み、確実に利潤を得、目的を達成している。

国際認証の取得はブランド力効果が高い。タイの取得病院はアメリカのホテル並みの豪華さで、家族も泊まることができ、治療費はアメリカの2~3割程度。航空運賃をかけても安くつく。観光を売り物にしたツーリズムが人気を呼び、バンコク病院では医療サービスはビジネスである、として広く宣伝し患者

を誘致している。英語、日本語ができる医師、看護師、営業スタッフもタイ、アメリカ、日本、エジプト、ミャンマー人と多彩だ。中国は取得病院数がアジアでトップに躍り出た。国内の共産党幹部、富裕層だけでなく、今後、日本、韓国、シンガポール等との患者の獲得競争が熾烈になるとみられる。「日本国際病院」(仮称)は、一般社団法人メ

ディカル・エクセレンス・ジャパン(MEJ,山本修三理事長)が推進している病院で、外国人患者の受け入れに意欲と能力のある国内医療機関を「日本国際病院」(仮称)として海外に発信するため、2016年7月4日から公募を始めた。対象となる病院は、原則、年間10人以上の渡航受診者の受け入れ実績がある病院。高度医療を専門に提供するなどの理由で、受け入れ実績が年間10人に満たない場合は、評価委員会が調査員の調査報告(書面、訪問)を踏まえて個別に評価し、推奨可否(推奨、保留)を総合的に判定する。推奨と判定された病院は「日本国際病院」リストに掲載し、海外に情報を発信する。推奨期間は3年間。

海外にいる渡航受診者は、日本国際病院の中から病状に応じて最適な医療サービスを提供する病院を選び、渡航受診に必要なサービスを提供する医療渡航支援企業(JTBなどの旅行会社)を通じて来日前に受診予約を行い、通訳が付き添って通院し、安心して受診できるようにする。情報発信から治療に至るまでを一貫してサービスするという新事業だ。インバウンドの推進役としての機能を持ち期待感は大きい。聖路加国際病院〈東京〉、国際医療福祉大学三田病院〈同〉など全国各地で設立され、41病院(2018年3月現在、表2)に膨れ上がっている。

表1 �「日本のJCI認証機関」(※◯印は九州・山口地域の医療機関、2018年3月現在)

施設名 認定年 都道府県

1 亀田総合病院 2009 千葉

2 NTT東日本関東病院 2011 東京

3 湘南鎌倉総合病院 2012 神奈川

4 聖隷浜松病院 2012 静岡

5 老健リハビリ横浜 2012 神奈川

6 聖路加国際病院 2012 東京

⑦ 済生会熊本病院 2013 熊本

8 相澤病院 2013 長野

⑨ メディポリス国際陽子線治療センター 2013 鹿児島

10 葉山ハートセンター 2014 神奈川

11 東京ミッドタウンクリニック 2015 東京

12 順天堂医院 2015 東京

13 国際医療福祉大学三田病院 2015 東京

⑭ 南部徳洲会病院 2015 沖縄

15 札幌東徳洲会病院 2015 北海道

16 足利赤十字病院 2015 栃木

17 埼玉医科大学国際医療センター 2015 埼玉

18 倉敷中央病院 2016 岡山

19 McSYL巽病院クリニック 2016 大阪

20 三井記念病院 2016 東京

21 湘南藤沢徳洲会病院 2016 神奈川

22 石巻赤十字病院 2017 岩手

23 彩の国東大宮メディカルセンター 2017 埼玉

㉔ 中部徳洲会病院 2017 沖縄

25 名古屋第2赤十字病院 2018 愛知

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九経連月報 2018/54

一方、アウトバウンドについて政府は、2015年6月に決定した新日本再興戦略で、成長が見込まれる医療機器など医療関連企業・産業を海外に送り込み、日本式医療拠点を10か所程度設けて日本企業の市場を現在の3倍に当たる1兆5,000億円に広げる目標を掲げた。モスクワでがん治療設備を持つ医療センターや循環器病画像診断トレーニングセンターが作られたほか、最新装置を操作できる人材育成に乗り出した。2020年までにがんセンター設立や医師派遣、遠隔画像診断のシステム導入など、約20か国・地域に30を超える事業を始動させる方針。それを担うのがMEJである。

MEJは経済産業省主導の官民による組織として、2011年10月に発足した。会員数は52社。銀行や商社、病院、医療機器メーカーなどが参加している。2016年8月6日、第1回医療国際展開協力フォーラムを都内で開催した。山本修三理事長は国際医療協力を通じて、インバウンドとアウトバウンドを推進し、この二つが両輪となることによって、国際貢献を進めたいとの考えを示し、事業は着実にすすんでいる。

インバウンドは外国人患者が対象のため、日本国内の保険は適用されず、自由診療となる。治療費は診療報酬(1点10円)の1.5倍から3倍を取っている医療関係も多い。聖路加国際病院では外来患者の4%が外国人患者で医療収入は年間約10億円強に上り、外国人患者を8%まで引き上げるために、病院は医療通訳やロシア、中国人の職員を配置し、医療スタッフの充実、きめ細かな医療サービスの提供に力を注いでいる。外国人患者の中には、治療費や入院費を支払わない患者もおり、医療ビザを確認し、前払い制を採用し、不払い

表2 「日本国際病院(仮称)に認定された病院」(※◯印は九州・山口地域の病院、2018年3月現在)

施設名

1 北斗病院

2 仙台厚生病院

3 総合南東北表院

4 足利赤十字病院

5 筑波大学附属病院

6 東京大学医学部附属病院

7 国立がん研究センター中央病院

8 国立国際医療研究センター病院

9 がん研究会有明病院

10 慶應義塾大学病院

11 聖路加国際病院

12 虎ノ門病院

13 東京高輪病院

14 順天堂大学医学部附属順天堂医院

15 国際医療福祉大学三田病院

16 国立生育医療研究センター病院

17 榊原記念病院

18 NTT東日本関東病院

19 国立がん研究センター東病院

20 千葉大学医学部附属病院

21 亀田総合病院

22 相澤病院

23 総合病院 聖隷浜松病院

24 大阪大学医学部附属病院

25 藤田保健衛生大学病院

㉖ 福岡県済生会 福岡総合病院

㉗ 福岡記念病院

㉘ 米盛病院

29 済生会中央病院

30 山王病院

31 日本医科大学千葉北総病院

32 兵庫県立粒子線医療センター

㉝ 福岡山王病院

㉞ 長崎大学病院

35 南部徳洲会病院

36 山形大学医学部附属病院

37 津山中央病院

38 福山医療センター

39 北海道大野記念病院

40 AOI国際病院

41 岡山旭東病院

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2018/5 九経連月報 5

防止に努めている。わが国の医療ツーリズムは民主党政権が医

療分野での国際協力を強化するため、2010年1月に内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置し、国家戦略として取り組む方針を打ち出したのが始まり。その後、安倍内閣はアベノミクス・新旧「三本の矢」でそれをさらに加速、強化し、今日に至っている。日本は遅れをとったが、医療ツーリズムは国際的な競争の激化とともに、国家成長戦略の目玉商品となり、国際協力、貢献の色彩を濃くしている。

日本では2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、多くの外国人がやってくることが予想され、その数は4,000万人に上ると推測している。観光庁では「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」に基づき、外国人旅行者の安心・安全を確保するための受け入れ体制に取り組み、外国人旅行者が日本滞在中に不慮のケガ・病気になった際の対応として受け入れ可能な医療機関のリスト(約320の医療機関)、利用ガイドの作成、海外旅行保険の加入促進、自治体向け「安心・安全対応相談窓口」の設置などを進めている。

観光庁の調査(2013年)では、外国人旅行者の約4%が滞在中に予期せぬケガ・病気になっており、そのうち、41%が医療機関に行く必要性を感じている。訪日客2,000万人の場合、32万人に医療が必要ということになり、4,000万人だとその倍の64万人に上る計算だ。この数字には医療や健診を求めて訪日する外国人患者(日本政策投資銀行の推計では年間43万人、市場規模は約5,500億円)、医療ツーリ

ズムは入っていないため、救急医療や受け入れ病院の整備、充実がこれからの課題となっている。

訪日観光客の増加は日本式医療ツーリズムを活性化させ、推進させると確信する。そのためには、縦割り行政だった省庁と自治体、民間がスクラムを組み、重層的な対応策の構築が急務である。さらに思い切った意識改革と外国人患者への医療サービスのイノベーションが必要だ。まず、医療サービスを皆保険制度内に位置づけ、例えば、診療報酬で支援加算するとか、首都圏や関西圏の国家戦略特区で外国人医師の雇用促進を図り、オリンピック期間前後1年間に限定した都立病院の一部を外国人患者用に開放するなど、規制緩和が必要であろう。

一方、政府は国際・アジア健康構想協議会を発足させ、対外発信を強化し、「日本的介護」の整理〈予防、リハビリ、認知症等〉、人材還流・教育の整理〈技能実習生制度の成立〉に乗り出した。自民党は介護事業者等の海外進出に対して積極的に支援するため、党内に

「国際保健医療戦略特命委員会」(委員長・武見敬三参議院議員)を設け、「予防・健康管理」と「自立支援」に軸足を置いた新しい医療・介護システムの構築を2020年までに目指す。新しい国際交流・貢献の動きが期待される。

参考文献①  水巻中正:「市場原理と医療経営 熾烈な

国際競争時代へ」月刊保団連2011年4月号②  水巻中正:「訪日客2400万人、医療ツーリ

ズムの追い風へ」共済新報2017年2月号

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九経連月報 2018/56

中央経済界との連携を目的に、毎年域内各地で開催している経団連との懇談会を3年ぶりに福岡にて開催した。経団連からは榊原定征会長、岩沙弘道審議員会議長をはじめ11名の副会長を迎え、本会からは麻生泰会長をはじめ8名の副会長を含む150名が出席した。今回は、「『稼ぐ力』を高める~GDP600兆円経済への貢献~」を基本テーマに、3つのテーマを設定。各テーマに対し、九経連から問題提起をし、それに対し経団連から意見をいただくという、意見交換の形で開催した。

「『稼ぐ力』を高める」をテーマに経団連と意見交換〜第70回九州経済懇談会〜 

九経連活動紹介

と き 3月7日(水)

ところ 福岡市・ホテルオークラ福岡

出席者(一社)日本経済団体連合会(経団連)会 長  榊原 定征(東レ 相談役)審議員会議長 岩沙 弘道(三井不動産 会長)副会長  中西 宏明(日立製作所 会長)副会長  木村  康(JXTGホールディングス 会長)副会長  古賀 信行(野村ホールディングス 会長)副会長  飯島 彰己(三井物産 会長)副会長  工藤 泰三(日本郵船 会長)副会長  岡本  毅(東京ガス 会長)副会長  石塚 邦雄(三越伊勢丹ホールディングス 特別顧問)副会長  國部  毅(三井住友フィナンシャルグループ 社長)副会長  進藤 孝生(新日鐵住金 社長)副会長  山西健一郎(三菱電機 会長)副会長  早川  茂(トヨタ自動車 副会長)事務総長  久保田政一常務理事  藤原 清明

(一社)九州経済連合会(九経連)会 長  麻生  泰(麻生セメント 会長)副会長  石原  進(九州旅客鉄道 相談役)副会長  張本 邦雄(TOTO 会長)副会長  姫野 昌治(大分銀行 会長)副会長  甲斐 隆博(肥後銀行 頭取)副会長  竹島 和幸(西日本鉄道 会長)副会長  小池 光一(宮崎銀行 会長)副会長  二橋 岩雄(トヨタ自動車九州 会長)副会長  貫  正義(九州電力 会長)専務理事  長尾 成美常務理事  平井  彰

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2018/5 九経連月報 7

九経連 麻生泰会長開会あいさつ日本の政治は、世界に類なく

非常に安定した状態が続いている。中央の行政機関も変革の必要性を理解し、動き出している。加えて、伸びゆくアジアには、日本への厚い信頼を先輩たちが築いてくれている。こういう恵まれた条件の中で我々経済界には日本を動かすという役割、責任がある。

構造的な煮詰まり感や財政再建という問題の中でどう伸ばしていくか、国や地方自治体と危機感を共有して進めていかなければならない。一方、九州には他の地域にないアドバンテージがある。九州へのインバウンドは4年連続して対前年30%以上の伸びである。東京より伸び率が大きい。伸びゆくアジア、中国や韓国から船で来られるという地理的なアドバンテージもあると思う。また、国は国際クルーズ拠点としての港湾を国内で7つ選んだが、そのうち5つが九州、沖縄である。そしてその港には、外国の船会社が自ら施設を作る。これは海外から客を連れてくることの意思表示でもある。この観光の伸びにチャンスがある。

もうひとつは第一次産業の伸びである。アジアに近いという地理的なメリットもあるので、農産品を輸出していく。養殖業は1割経済と言われる九州が4割のシェアを占めている。養殖の重要性、日本の安全・クリーンさ、おいしさ、そういったものが養殖業でも出てくる。また、九州には、元気な畜産業者がたくさんいる。牛、豚、鶏を海外に出していこう、ハラル対応をしてどんどん出していくんだというオーナーがいる。

大都会で働いている若者が「それだけの収入が得られるならば、九州へ帰るよ」という流れをつくりたい。出ていく若者が悪いのではなく、引き付けられない我々がいけない。ぜひ地方創生のモデルをつくっていきたい。我々には恵みが多い。これはチャンスであり、やりがいであり、責任をもって進めていきたい。

本日の基本テーマは、「稼ぐ力」である。いいものをもっていても売る力がない。これをいかに中央や大手とリンクし、どう伸ばしていくか、それが九州の活性化になり、生産者、観光業者が潤う。それをみて、子ども達が地元に戻ってくるという九州を創っていきたい。

経団連 榊原定征会長あいさつこの5年間で、日本経済は新

しい成長ステージに入りつつある。経団連として重点的に取り組んでいる三つの課題について報告する。第一の課題は、成長戦 略 の 推 進 の た め「Society 5.0」を着実に推進することである。IoT、AI、ビッグデータ、ロボット等の革新技術を最大限活用することによって、経済成長を実現しつつ、人々の暮らしや社会全体を最適化する、そういった未来社会の実現を目指す。

第二の課題は構造改革の推進。その柱は規制改革である。安倍政権の下でいくつかの

「岩盤規制」が打ち破られたが、まだまだ数多くの規制が存在し、日本経済の成長を阻害する大きな要因として残っている。経済の牽引役である企業の活動をさらに促進するために、思い切った規制改革が不可欠である。また、社会保障制度の持続可能性確保や財政健全化の必要性を強く訴えていく。

第三の課題は、経済外交の推進である。経済界の立場から、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に貢献していきたいと考えている。

世界経済は、引き続き、緩やかに成長する見通しではあるものの、保護主義や反グローバリズムの動きにより、不確実性が高まっている。こうした中、貿易を活性化し、海外の活力を取り込んで成長を実現していくためには、経済連携の推進が必須である。アジアにおいて包括的で質の高い経済連携が実現するよう、経済界の立場から働きかけていく。

さらに、アメリカや中国など、わが国の主要経済パートナーとの関係強化にも、積極的に取り組んでいく。アメリカについては、2015年以来、毎年、経済ミッションを派遣し、自由貿易推進の重要性、日本企業の米国経済社会への貢献の実績、そしてビジネス環境の更なる整備・改善の3点をしっかりと発信してきた。日中関係は確実に改善している。去る11月、43回目となる日中経済協会との合同経済ミッションを派遣し、日本の経済界は日中関係の更なる強化に貢献していくというメッセージを直接伝えた。引き続き、日中双方向での経済界の交流を深め、戦略的互恵関係の強化に民間の立場から貢献してまいりたい。

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九経連月報 2018/58

地方創生に向けた課題(経団連・古賀信行副会長)懇談に先立ち、地方創生に向

けた課題について、ご紹介したい。地方創生は、地域の実情を良く知る担い手が一体となって、主体的に行動していくことが重要である。そして、地域ごとに、その特性を踏まえた取り組みを展開する。さらには、その実現に向けて規制改革を働きかける。こうした努力の継続が極めて肝要である。

経団連は今年度、地方創生に二つのキーワードを掲げて活動している。一つは「見える化」、もう一つは「横展開」である。「見える化」は、地域の現状を明らかにすること。客観的な数値データを他の地域と比較することで、自らの地域の特徴、強み・弱みがよりはっきり認識できる。「横展開」は、各地域で行われている地方創生に資する創意工夫を全国的に共有していくことである。「どのように行って」成功事例が導かれたか、その背景を理解し、共有していきたい。

こうした内容について、本日「地方創生に向けた各地域の現状」という小冊子をお配りしている。前半が「見える化」のためのデータ集、後半が「横展開」を図る上での事例集である。本資料は、まだ発展段階であり、本日皆様からお伺いするご当地での取り組みなどを、適宜追加していきたい。

地域経済の活性化なくして、日本経済の再生はない。経団連はこの認識の下、今後とも九経連の皆様と連携させていただきたい。

懇談会・意見交換基本テーマに基づき「海外への進出、海外

市場の取り込みで稼ぐために」「官民で取り組む具体的成長戦略」「『稼ぐ力』を高めるための環境整備」という3つのテーマを設け、九経連より問題提起を行い、それに対する意見を経団連から述べる形で進めた。

テーマ1:�「海外への進出、海外市場の取り込みで稼ぐために」

九経連より・ 農水産物の輸出拡大に向け、農産物では「売り手」を確保したうえでの輸出、水産物ではアリババを活用した取り組みを進めている。拡大に向けた課題としてコールド

チェーンの確立、中国の非関税障壁の緩和・撤廃がある。(小池光一副会長)

・ 2017年の九州へのインバウンドは約500万人。今後の課題として、九州ブランドイメージの更なるブラッシュアップ、インバウンドの人員増とともに消費額の増、航空路線の維持拡大、これら施策の実行組織の機能強化があげられる。(石原進副会長)経団連より・ 更なる「攻めの戦略」が必要。来訪者の満

足度を向上させ、リピート率をあげ、「稼ぐ力」を最大限に発揮することが重要。「モノ消費」から「コト消費」へのシフトへの対応、外国人でも周遊しやすいルートの整備、地域DMOの連携が必要。(岩沙弘道審議員会議長)

・ 農林水産物・食品の輸出促進は、わが国農業の成長産業化、地域活性化の観点からも極めて重要な取り組みである。ビジネスとして持続的に輸出するには、効率的かつ低コストの物流網の整備は大きな課題であり、また、動植物検疫等の緩和・撤廃も重要である。(飯島彰己副会長)

・ 経団連は訪中団を派遣し、中国の官民リーダーと交流を進めている。また、「日中交流促進実行委員会」を設置し、経済のほか多岐にわたる分野で400件を超える交流事業が進められている。経済界全体でこの動きを確実なものとすべく活動を強化していく。

(進藤孝生副会長)また、関連して九経連の張本邦雄副会長よ

り、販売機会の逸失を防ぐ策として、訪日中国人を対象とした電子決済システムの普及促進の提案と九州における導入事例の紹介が行われた。

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2018/5 九経連月報

テーマ2:「官民で取り組む具体的成長戦略」九経連より・ 九州では官民で取り組んでいる事例として、「九州・山口ベンチャーマーケット」「九州ブランドの海外PR」「スマート農業の推進」がある。官民挙げての取り組みは、地方創生のために不可欠であり、一層のご支援をいただきたい。(貫正義副会長)

・ 九州の大半の県が、サービス産業の労働生産性が極めて低い水準にある。産業内の新陳代謝、地域の中小企業のIT化とそれを担うIT人材の確保による生産性向上への取り組みの強化について政府などへの働きかけが必要である。(姫野昌治副会長)経団連より・ サービス産業でも、ITやRPA活用による業

務効率化、AIによるビッグデータの活用により、生産性の向上を進めることができる。Society5.0実現には現状の特区制度から一歩進んだ規制緩和策が求められる。(山西健一郎副会長)

・ Society5.0の実現には、イノベーションを効率的に生み出す仕組みが重要であり、そのカギは産学官連携である。企業のオープンイノベーションのパートナーとして、大学や研究開発法人との連携が重要であり、大学のイノベーション創出の向上には学長のリーダーシップの強化が必要である。(中西宏明副会長)

・ 個人消費の伸びが十分ではないなか、将来不安の払拭と合わせて働き方改革を通じた時間と心のゆとりの創出が重要として、昨年2月より、官民連携のプロジェクト「プレミアムフライデー」を開始した。認知度は9割まで高まった。各地の先進的な取り組みを広く周知させ、浸透していく段階になるようご協力いただきたい。(石塚邦雄副会長)

テーマ3:「『稼ぐ力』を高めるための環境整備」九経連より・ 九州では12大学、12企業、6経済団体の地

域連合型で大学発ベンチャーを振興する体制を作った。しかし、こうした支援を行う企 業 の 絶 対 数 が 足 り な い。 九 州 の ベ ンチャー支援に経団連も積極的に関与して欲しい。(二橋岩雄副会長)

・ 「稼ぐ力」を一段と高めていくための基礎となる社会インフラ、特に道路、港湾、空港といった交通基盤の整備は、総合的かつ一体的に整備されることが重要。九州は国土強靭化の観点からもまだまだ十分ではない。

(竹島和幸副会長)経団連より・ 大企業においては、ベンチャーとの連携が

競争力向上のカギとなる。ベンチャーの成長・発展には目利きができ、適切に資金提供ができる機関が必要。経団連は、ベンチャー・エコシステムの構築に向け、投資環境の整備、必要な政策提言を行う。(國部毅副会長)

・ 農林水産物の輸出や観光振興において社会資本の整備は極めて重要である。九州では、国際旅客船拠点形成港湾に5つが指定されているが、港湾全体についても20年ぶりに中長期政策の策定に向けた検討が進んでおり、先日、経団連運輸委員会が国と意見交換をした。(工藤泰三副会長)

・ エネルギーは、「稼ぐ力」を高めるために一層整備すべき大事な要素である。省エネや各エネルギー源の組み合わせなど、エネルギー需給の全体を考えることが欠かせない。

「リアリティのあるS+3E」を追及するよう訴えていく。(木村康副会長)

オリンピック・パラリンピック等経済界協議会の取り組み(経団連・早川茂副会長)

配布資料にあるように、2020年へのムーブメントを盛り上げ、レガシーを将来に残すことを目指して経済界を挙げた体制をとっている。また、スポーツ、バリアフリー、日本の魅力、復興五輪などをテーマに全国の自治体と連携した活動を実施している。今後、九州での活動も一層盛り上げたいと考えている。※各発言の要旨については、次号(6月号)にて掲載予定。

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九経連月報 2018/510

はじめに2011年3月の民政移管以降、欧米諸国によ

る経済制裁が解除され、経済改革を打ち出すミャンマーはアジアのラストフロンティアとして脚光を浴びた。そのような中、九州経済連合会は、九州企業の海外ビジネス支援の一環として、2013年2月にミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)とMOUを締結した。

さらに、2015年11月の総選挙ではアウン・サン・スー・チー議長率いる国民民主連盟

(NLD)の大勝、2016年3月30日に新政権発足と内政改革が進む。民政移管時の勢いは落ち着いたとはいえ、ミャンマーは今なおASEAN諸国の中でさらなる経済発展が期待されている。

しかしながら、まだ法制やインフラ等の整備が途上であることを踏まえ、進出は時期尚早であると二の足を踏む日本企業があるのも事実である。だが今回は敢えて、投資環境調査にとどまらず、ビジネス進出の足がかりを得て、九州企業のグローバル展開の好事例とすることを目標に九州経済国際化推進機構としてミッションに臨んだ。

具体的には、1.現地の専門家・関係者を講師とした勉強会・視察等の投資環境調査、2.ビジネスマッチング交流会や関係機関への表敬訪問による個別企業のビジネス展開支援の2つの構成により実施した。

1.投資環境調査(1)�ミャンマー投資環境勉強会及び日系企業

との昼食会3名の講師を迎え勉強会を実施した。まず、ジェトロヤンゴン事務所の田中一史所長より、ミャンマー政府は現在中国等に偏る貿易相手国のバランスを改善したい意向であること、また、政府の公式発表では日本の直接投資額のみが表示され、累計10位と他国に比べプレ

九州経済国際化推進機構団長:(一社)九州経済連合会   会長 麻生  泰顧問:経済産業省九州経済産業局 局長 髙橋 直人

と き 2月4日(日)~9日(金)

ところ ミャンマー(ヤンゴン)

参加者 41名

<ミャンマー基本情報>面積人口首都民族言語宗教政体政府

国会外交方針主要産業名目GDP一人当GDP経済成長率

68万平方キロメートル5,141万人ネーピードービルマ族(約70%)、その他多くの少数民族ミャンマー語仏教(90%)、キリスト教、イスラム教等大統領制、共和制ウィン・ミン大統領(2018年3月30日就任)アウン・サン・スー・チー国家最高顧問・外相 他二院制(民族代表院、国民代表院)非同盟中立、1997年7月ASEANに加盟農業約683億ドル1,307ドル6.3%

出所:外務省ホームページ(2018年3月30日現在)

<行程一覧>日程 概要2月4日

(日)

福岡空港 発 成田経由 ヤンゴン国際空港 着結団式

5日(月)

ミャンマー投資環境勉強会(1)日系企業との昼食会(1)シュエダゴン・パヤー視察在ミャンマー日本国大使館 大使公邸夕食会(1)

6日(火)

日系企業視察(1)九州・ミャンマービジネスマッチング交流会(2)ビジネスマッチング交流会参加者との夕食会(2)

7日(水)

ミャンマー計画財務省 投資企業管理局(DICA)表敬訪問(2)ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI) 表敬訪問(2)

8日(木)

ティラワ経済特区視察(1)解団式 ヤンゴン国際空港 発

9日(金) 成田経由 福岡空港 着

1.投資環境調査、2.ビジネス展開支援

夕暮れのシュエダゴン・パヤー

ミャンマーの投資環境調査・ビジネス展開支援〜九州・ミャンマー経済交流ミッション2018〜 

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2018/5 九経連月報 11

ゼンスが低く見えるが、DICAジャパンデスクの集計によると、第3国経由の間接投資も合わせれば日本の投資額はもっと上位に入ること、及び改正会社法の成立(外資の出資比率が一定限度であれば内資企業として活動可能)や最低賃金の改定(2018年4月施行予定、現行の33%増の約400円)など最新の経済トピックス等について説明があった。未整備の部分がある今だからこそ進出企業は先行者利益を得られるということであった。

次に、DAIICHI� ASIA�CO.LTD. の高柴剛社長より、ハイヤーサービス等の現地法人立ち上げ等の経験に基づき、法制・税制は、欧米日の制度・仕組みを導入しているので、対策が予想可能であること、日本は動きが遅いので他国に出し抜かれやすいこと、自社サービス・製品・社員との相性を考え、中長期的に将来性を判断すべきこと、覚悟さえあれば、市場開拓が無限な国であり、失敗しても引きずらず前進あるのみと団員は励まされた。また、ミャンマー人は真面目で親切な業務態度だが、自主的な創意工夫が出にくいこと、中間管理職が根付いていないため、その機能を理解してもらうのに時間がかかること等従業員を管理する上で具体的な助言があった。

最後に、㈱メトロコンピュータサービスの川崎孝代表取締役より、IT人材開発のためミャンマーに進出された経験に基づき、ミャンマー人はITに関する資質を備えており、今後は女性のみならず男性人材も増えることを期待していること、従業員からの賃上げ要求には、業務評価制度を活用した地道な対応が必要であること等人材育成・確保に関する話を聞くことができた。

団員は、現地機関・企業ならではの実感の

こもった講演に熱心に聴き入り、実態を掴むべく、意欲的に質疑応答を行った。

その後の昼食会では、勉強会の講師陣に加え、大使館及びミャンマー日本商工会議所等現地側十数名の方々に参加いただき、団員は、和やかな雰囲気の中、ミャンマーの生活・ビジネスについて意見交換し交流を深めた。(2)在ミャンマー日本国大使館大使公邸夕食会

公邸夕食会に団員全員を招待いただいた。まず、樋口建史大使より現地情勢に関する講演があった。2016年に、日本政府は今後5年間で官民挙げて8,000億円規模の経済支援を表明、具体的にはヤンゴン都市開発、運輸及び電力開発を協力の3本柱としたこと、ついては、整備計画が示される2018年は、ミャンマー経済曙光の年と信じ、この機を活かすよう団員は鼓舞された。

その後、大使、丸山市郎公使参事官(3月5日大使着任)、田公和幸参事官及び森井一成一等書記官より、各団員の質問に対し丁寧な回答があった。スムーズな進出には良い現地パートナー企業選びが不可欠で、ミャンマー日本商工会議所等に紹介を受けるのも一つの方法であること、また、中国、韓国等と伍していくには、「日本の良い技術は高く売れる」という認識は通用しないこと等、団員はミャンマー進出に関する多くの助言を受けた。(3)日系企業視察

2013年10月、ヤンゴン市北部に位置するミンガラドン工業団地に設立し、2017年に本格始動したIIDA ELECTRONICS (MYANMAR)CO., LTD.の山口隆マネージャーによると、タイプラスワン(タイの産業集積地と周辺国の

ミャンマー投資環境勉強会、昼食会後会場フロアにて

大使公邸にて

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安価な労働力を結びつけるビジネスモデル)として今後10年はミャンマーに豊富な労働力を期待しているとのことであった。質疑応答では、従業員は、主に工業団地内の掲示で公募していること、未経験者の採用が中心ながら、日本語や各技能の研修制度は設けずOJTで教育していること、また、今後の課題にルール等を従業員全員が遵守する管理システムの徹底が挙げられること等について説明があった。

次に、EDMS(電子データ加工サービス)事業の視察では、従業員10~20名毎に管理者を置き、デザイン編集に取り組む様子をガラス越しに見学した。団員は、約400名の従業員を数人で束ねる日本人代表やマネージャーが、工業団地内で現地従業員と共に生活している日常を垣間見て、進出時のイメージを膨らますことができた。(4)ティラワ経済特区視察

日緬の官民共同出資の同特区を運営するMJTD(Myanmar Japan Thilawa Development Ltd.)の清水禎彦社長より最新状況について次のような説明を受けた。・ 契約企業89社中約6割(51社)が内需型(国内市場向け)である。

・ ミャンマーに行政サービスはないが、同特区では、ワンストップサービスセンターが機能し、手続きがスムーズである。

・ 汚職撲滅宣言書も採択しクリーンな運営を実行している。

・ 敷地内は上下水道、光回線、産廃処理場、税関等が整備されている。

・ さらに円借款でコンテナターミナル、道路の拡張及び橋の増設とインフラ整備が進む予定である。

・ 特区全体の人材開発教育機能を担うべく、㈱フジワークが進出している。

・ 住宅・商業施設も建設中で、住環境整備も進められている。説明後、車窓から敷地内の日系企業を中心

に外観を視察した。内需型では建設、農業、食品、輸出型では縫製、電機、自動車関連等の企業が建ち並ぶ。日系企業45社中19社が中小企業。他国の特区と比して企業進出のスピードが早く、事業拡大を図る企業も操業企

業41社中10社ある。特区内には中小企業にも人気のあるレンタル工場(1ユニット1,500㎡)も完備されている。

次 に、Yusen Logisticsを 訪 問 し、Yusen Logistics Myanmar Co., Ltd.の 三 浦 大 輔Managing Directorより事業概要の説明があった。ミャンマーには保税制度がなく、ティラワ経済特区でのみ認められている。納品時間の短縮や資金繰り改善等メリットがあることから、同社も認可を受けた。同社では、常温のみならず、冷蔵、冷凍、定温エリアでも保税蔵置が可能である。

また、Yusen Logistics Thilawa Co., Ltd.の佐伯龍彦 Managing Directorの案内により、実際の倉庫の様子を視察し、団員は、人材育成も含めた国際物流の海外拠点の状況も学ぶことができた。

2.個別企業のビジネス展開支援(1)�九州・ミャンマービジネスマッチング交

流会及び交流会参加者との夕食会商談に近い形の本交流会は、今回のミッ

ションの挑戦的企画であり、九州地域に広く本企画への参加を募ったところ、農業、インフラ(土木建設、電気、太陽光)、人材(日本語、介護)、卸売・小売(食品)、サービスなど幅広い業種から13社が参加することとなった。それに対し、UMFCCI他の支援の下、ミャンマー側のマッチング企業29社の参加を得ることができた。当日は、西村あさひ法律事務所、KPMG Advisory(Myanmar)Ltd.及びみずほ銀行による相談窓口を設け、各企業のブースには日緬通訳を配して40件の面談を行った。中にはニーズ・技術・環境が見合わず見送る

ティラワ経済特区視察:MJTD1階入口にてお出迎

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案件もあったものの、面談件数の6割である24件が継続交渉となり、想定以上の結果を得ることができた。その後、UMFCCIのゾー・ミン・ウィン会頭ら多くの幹部及びミャンマー側企業にも参加いただいた夕食会では、本交流会が今後の自社及びミャンマーと九州経済の一層の発展につながることを願いつつ、交流を深めた。

(2)�ミャンマー計画財務省投資企業管理局(DICA)表敬訪問

DICAのタン・スウィン・ルイン副局長を表敬し、九州企業2社から各事業(農業、土木建設)計画について説明を行った。進捗に応じた今後の協力依頼をしたところ、2社の資料を確認した副局長より、日本企業の進出を歓迎し、DICAの所掌内で可能な限り応援したい旨の回答があった。

次に、DICAジャパンデスクの田原隆秀アドバイザーより、投資関連組織と外国投資に関す る 概 況 説 明 が あ っ た。 ア ウ ン・ サ ン・スー・チー国家顧問のリーダーシップによる急速な経済発展を期待されがちだが、中長期的視点で捉えていただきたい旨の説明があった。その後、同デスクの上田隆文アドバイ

ザーも含め、今後のビジネス進出に向けた熱心な意見交換があった。(3)�ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)表

敬訪問UMFCCIのゾー・ミン・ウィン会頭を表敬

し、DICAと同様に2社から説明の上協力依頼したところ、会頭より、事業計画の提出があれば関係当局へ繋ぐなど協力可能であること、また、九州経済連合会のMOU締結機関として、2社に限らず、事業計画を以って相談があれば、パートナー企業探し等全面的に進出支援していきたい旨の回答があった。

今後の取り組み参加者多数のミッションであったにもかか

わらず、明朗快活で規律正しい団員の見事なチームワークに支えられ、無事に執り行うことができた。また、各プログラムで精力的に意見交換が行われ、非常に充実したミッションとなった。団員の皆様に心より御礼申し上げたい。実施にあたりご協力いただいた現地機関の皆様にも厚く感謝申し上げる。

今回、個別企業のビジネス展開支援にチャレンジしたが、ミッションを通じて伺った多くのお話から、ミャンマーという国・人々に可能性を感じ、勇気を得ることができた。実際、いくつかの企業では、ビジネスマッチング交流会後に話が進み、前進の兆しがある。これらを含めた24件のビジネス継続案件の動向を追い、九州企業のミャンマーでの事業展開を後押ししたい。

最後に、団員の皆様が、今回のミッションで得たものを各企業・機関で活かしていただくことを期待している。

【国際部 野口】

九州・ミャンマービジネスマッチング交流会

UMFCCI表敬:麻生泰会長(左)とゾー・ミン・ウィン会頭(右)

DICA表敬:タン・スウィン・ルイン副局長(左)と麻生泰会長(右)

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九経連月報 2018/514

1.会議概要開会にあたり九州・大学発ベンチャー振興

会議共同代表の久保千春九州大学総長より、「振興会議の枠組みにおいて大学シーズの発掘を行い、ベンチャー支援の課題や目指すべき組織体制が明らかになった。起業家教育の成果も出始めており、これらを更に推し進めていきたい」との代表挨拶があった。

続いて文部科学省高等教育局国立大学法人支援課長の小山竜司氏より、「政府内でもオープンイノベーションはキーワードの一つであり、企業と大学が様々なリソースを結集して将来のあるべき社会像を共有しつつ本格的産学協同を進めていただきたい」との来賓挨拶

があった。

2.議事結果麻生泰九州経済連合会会長が議長に選任され、

以下の3つの議題について協議、承認された。(1)新メンバー参画

振興会議の新たなメンバーとして、九州・沖縄地銀8行及び新日本製薬の計9社が参画することとなった。(2)平成29年度活動報告

FFGベンチャービジネスパートナーズの山口泰久副社長より平成29年度活動報告(大学シーズの検討結果報告)があり、「平成29年度において、九州の12大学から合計28件のシーズ提案があり3件に投資決定がなされた。今

代 表:久保千春九州大学総長、麻生泰九州経済連合会会長構 成:12大学、11企業、11金融機関、6経済団体事務局:九州地域産業活性化センター、九州経済連合会

と き 3月1日(木)

ところ 福岡市・共創館3階カンファレンス

九州・沖縄地域の大学、産業界、地銀・VCが連携して、産学協力やオープンイノベーションの推進等により大学シーズの速やかな事業化、大学発ベンチャーの育成・振興を目指す「九州・大学発ベンチャー振興会議」を開催した。2度目の開催となる今回は、平成29年度活動報告(大学シーズ28件のフォローアップ状況)、平成30年度活動計画(①九州・大学発ベンチャー振興シーズ育成資金の設置、②ベンチャー教育の充実、③平成30年度シーズ発掘)について協議し、承認された。

文部科学省高等教育局 小山課長

「九州・大学発ベンチャー振興シーズ資金」を設置〜九州・大学発ベンチャー振興会議〜 

九州大学 久保総長

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2018/5 九経連月報 15

後も適切にフォローアップしていく」と報告があった。

(3)平成30年度活動計画①�「九州・大学発ベンチャー振興シーズ育成資金」の設置本資金は研究と事業化の谷間を埋めるいわ

ゆるGAPファンドにあたるもので、九州の各大学と産業界で毎年約5,000万円規模の資金を集め、大学シーズ具現化のための試作品開発などに充当してもらう仕組みを構築することを決定した。

本シーズ資金に係る大学と産業界の拠出割合は原則同率とし、12大学から各1~3件提案される平成30年度シーズより適用され(一部、平成29年度シーズにも適用)、5年後に事業評価を行うこととした。②ベンチャー教育の充実

九州大学起業部など先進モデルを参考として、今後、九州の各大学において起業家教育の充実やビジネスプランコンテストの開催等を強化していくこととした。③�大学の組織的シーズ発掘、ベンチャー支援体制の整備今後も継続的に有望シーズを発掘していく

ため、各大学において組織的なシーズ発掘を行うとともにベンチャー支援体制を強化して

いくこととした。【産業振興部 久保】

九州・大学発ベンチャー振興会議メンバー(平成30年3月現在、敬称略)

  氏名 所属 役職

大学(12)

久保 千春 九州大学 総長尾家 祐二 九州工業大学 学長宮﨑 耕治 佐賀大学 学長河野  茂 長崎大学 学長原田 信志 熊本大学 学長北野 正剛 大分大学 学長池ノ上 克 宮崎大学 学長前田 芳實 鹿児島大学 学長大城  肇 琉球大学 学長山口 政俊 福岡大学 学長永田 見生 久留米大学 学長下村 輝夫 福岡工業大学 学長

企業(11)

宮原 隆和 ㈱エルム 代表取締役後藤 玄利 ジャクール㈱ 代表取締役後藤 孝洋 新日本製薬㈱ 代表取締役隈 扶三郎 ㈱西部技研 社長上田 康弘 ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱ 社長喜多村 円 TOTO㈱ 社長二橋 岩雄 トヨタ自動車九州㈱ 会長正田 英樹 ㈱ハウインターナショナル 社長京谷 忠幸 ㈱ピーエムティー 代表取締役小笠原 浩 ㈱安川電機 社長吉田 哲雄 ㈱ワイビーエム 会長

金融機関(11)

柴戸 隆成 ㈱福岡銀行 頭取谷川 浩道 ㈱西日本シティ銀行 頭取陣内 芳博 ㈱佐賀銀行 頭取森 拓二郎 ㈱十八銀行 頭取甲斐 隆博 ㈱肥後銀行 頭取後藤富一郎 ㈱大分銀行 頭取平野 亘也 ㈱宮崎銀行 頭取上村 基宏 ㈱鹿児島銀行 頭取川上  康 ㈱琉球銀行 頭取玉城 義昭 ㈱沖縄銀行 頭取福田  知 ㈱FFGベンチャービジネスパートナーズ 社長

経済団体(6)

麻生  泰(一社)九州経済連合会 会長貫  正義 九州経済同友会 代表委員竹島 和幸 九州経営者協会 会長礒山 誠二 九州商工会議所連合会 会長髙木 直人(公財)九州経済調査協会 理事長麻生  渡 (一財)九州地域産業活性化センター 会長

FFGベンチャービジネスパートナーズ 山口副社長

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九経連月報 2018/516

理事会を開催し、次の議案について審議を行い、議案通り承認された。

・審議員、諮問委員、顧問選任(案)・2018年度 事業計画(案)・2018年度 収支予算(案)

会議ではまず麻生泰会長が挨拶。「九州は、訪日外国人観光客数が4年連続

30%以上伸びており、農林水産でもアジアへの輸出が拡大しつつある。また、行政と経済界のまとまりが良く、2019年ラグビーワールドカップ等へ向け、来年度、知事会とともに欧州に九州をPRする。次世代が九州に戻る流れができるよう、我々現役が日本全体に明るい実績を示し、勢いをつけていきたい」。

次に、事務局から議案について説明し承認を得た後、報告事項を説明した。

その後の意見交換では、まず事務局から「スマホ決済の導入促進」「海外航空路線の現状及びアウトバウンド促進方策」について説明を行った上でご意見を頂戴した。今後、各委員会活動へ反映させることとしている。

【総務広報部 森内】

と き 3月19日(月)

ところ 福岡市・九経連会議室

出席者 22名

〔2018年度�事業計画 新規事業・最重点事業〕

○新規事業 ★:新規且つ最重点事業

⑴ 外国人観光客等の消費拡大を推進する新たな取り組みを検討・実施

 ★最高級ホテルの誘致 ★旅館の生産性・競争力の向上(別府温泉) ★ 地域振興を目指した温泉街の活性化(原鶴温泉) ★ 社会的ニーズ対応など新たなツーリズムの創

設及び普及

⑵九州の農水産物の国内需要拡大を支援 ★社員食堂での地産地消の推進  (旬の野菜の活用、物産展との連携等) ★ ブロックチェーンを活用した産地履歴追跡の

社会実験実施

⑶ 第1次産業従事者の稼ぐ力と魅力の向上・スマート農業の促進

⑷IoTで農業・観光をつなぐ循環システムを構築 ★ 先進的農林水産業者を軸とした農・観システ

ムのモデルケース創出

⑸ 公共交通空白地域でのライドシェアのあり方を検討

⑹ 地域活性化のため、高速道路からの一時退出を可能とする料金システム及び退出可能ICの拡充

⑺ 経営者と女性管理職が経済問題等を議論することで、双方の理解を深め、女性の管理職登用を促進

⑻ 産業振興に資する人材(セキュリティ関連及びデータサイエンティスト)の育成を支援

⑼ 「専修学校グローバル化対応推進支援事業(文科省事業)」による留学生受け入れ増と就職支援

○最重点事業

⑴ アジアへの九州の農林水産物の輸出拡大を促進

⑵ 生産性向上をもたらす先進技術(IoT、AI、ビッグデータ、ロボット等)の利活用を促進

⑶航空機部品製造産業の振興

⑷ ラグビーW杯・東京五輪等を契機とした九州エリアの活性化

九経連2018事業計画〜九州の稼ぐ力と魅力の向上〜〜第150回理事会〜 

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2018/5 九経連月報 17

平成28年度の「福岡空港等の運営及び地方創生に関する研究会」での成果を受け、平成29年度は福岡空港以外の九州の空港所在地において、「空港を活用した地域振興セミナー」を7月に鹿児島、10月に熊本で開催したが、今回のセミナーは趣向を変え、3年連続で外航クルーズ船の入港が日本一となった博多港を擁する福岡にて「空港と港湾の連携による更なるインバウンド需要の拡大と確実な取り込み」をテーマにセミナーを開催した。

冒頭、本セミナー座長の慶應義塾大学商学部教授の加藤一誠氏による開講挨拶の後、講演第1部では国土交通省九州運輸局髙杉典弘次長より「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備~公共交通の視点~」と題して、ご講演いただいた。

まず、九州の交通基盤とインバウンドの特色の分析に始まり、九州の空港・港湾間の良いとは言えないアクセスの現状や増加している訪日外国人のニーズにどう応えていくべきかといった問題提起と地域公共交通の活用な

ど、九州運輸局での取り組みについてもご報告いただいた。

講演第2部では、一般財団法人みなと総合研究財団山縣宣彦副理事長に「海外クルーズ先進地の現状および我が国におけるクルーズ振興への提案」と題してご講演いただいた。

世界と日本のクルーズマーケットの現状と東アジア、特に中国・韓国のクルーズ拠点とその整備状況についての説明の後、山縣氏自身がクルーズ先進地マイアミ視察により体感した、日本のクルーズマーケットの課題と今後の振興策についての具体的な提案があった。

その後、前出の2名の講師に加藤座長と㈱MK総合研究所代表の幕亮二氏が加わり、参加者からのアンケートをもとにパネルディスカッションを行い、セミナーを終了した。◎空港を活用した地域振興セミナーについて

本会では、平成30年度も福岡空港以外の九州内空港の活性化により地方創生に結び付ける官民双方の取り組みをテーマとしたセミナーを順次実施していく予定である。

【社会基盤部 藤岡】

と き 3月22日(木)

ところ 福岡市・電気ビル共創館 カンファレンスA

開講挨拶:加藤教授 講演:髙杉次長

空港・港湾の連携による更なるインバウンド需要の拡大と確実な取り込みを〜インバウンドを支える空港・港湾に関するセミナー〜 

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九経連月報 2018/518

九州・沖縄地域の大学、産業界、地銀・VCが連携して、産学協力やオープンイノベーションの推進等により大学シーズの速やかな事業化、大学発ベンチャーの育成・振興を目指す「九州・大学発ベンチャー振興会議」を開催した。「九州・大学発ベンチャー振興シーズ育成資金」の設置をはじめ、産学協同による大学発ベンチャー支援体制の強化策について合意を得た。 ※本誌14〜15ページに詳細を掲載

小澤正憲委員長(西日本電信電話㈱ 取締役九州事業本部長)の挨拶の後、平成29年度活動報告と平成30年度事業計画(案)について審議し了承された。続いて総務省総合通信基盤局・野崎雅稔電波政策課長より

「電波政策の最新動向」を、(一社)データサイエンティスト協会・草野隆史代表理事より「AI/IoT時代に求められるデータサイエンティストの役割」をテーマにご講演いただいた。

大分県・広瀬勝貞知事より「大分県版第4次産業革命“OITA4.0”への挑戦」と題した講演、(公財)ハイパーネットワーク社会研究所・青木栄二副所長より「産業(情報)革命時代を生きる企業」と題した講演を聞いた後、麻生泰会長、青木副所長、大分県・神崎忠彦商工労働部長を交えた意見交換を行い、第4次産業革命時代における企業の取り組み、在り方を議論した。

今回は2部構成で開催した。第1部では、会員以外の参加も加え、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師である石崎方規氏より「第4次産業革命・シェアリングエコノミーとは」と題し、具体的な事例紹介とともに、シェアリングエコノミーの可能性についてご講演いただいた。第2部では、九経連・矢野佳秀総務広報部長より、平成30年度の主要事業について説明し、長尾成美専務理事を交え、事業内容について意見交換を行った。

今回はベンチャー企業である㈱オプティム佐賀本店(佐賀大学構内)で見学会も兼ね開催した。部会では、平成29年度産業振興委員会事業報告(案)及び平成30年度産業振興委員会事業計画(案)の審議を行った。講演会では、㈱オプティム・友廣一雄取締役に「オプティムのAI、IoTへの取組みと産学官連携」をテーマにご講演いただき、㈱オプティム佐賀本店内にある広報ルームの見学を行った。

「社食で地産地消」WG(2017年11月~2018年2月)において策定した「社食で地産地消」事業の枠組みのうち、このメニュー策定小WGではメニュー策定を行う。座長は中村学園大学・城田知子名誉教授に前回に引き続きご就任いただいた。初回は、メンバーの給食事業者および栄養士から、地産地消イベントを実施した際の課題について、意見出しを行っていただいた。次回は具体的な地産地消メニューを持ち寄り、本事業のメニュー策定に着手する予定。

中央経済界との連携を目的とする本懇談会は、今回、経団連の榊原定征会長をはじめ審議員会議長、11名の副会長を迎え、「『稼ぐ力』を高める~GDP600兆円経済への貢献~」を基本テーマに、九経連副会長より問題提起を行い、それに対する経団連副会長の発言を求め、意見交換を行った。懇談会後の懇親パーティには、福岡県・小川洋知事にもご来場いただきご挨拶をいただいた。 ※本誌6〜9ページに詳細を掲載

地熱、海洋、水素の各実務者会議の座長によるアクションプランに基づく平成29年度の活動報告及び平成30年度活動計画の報告の後、再エネ産業化推進委員会事務局から九州地域戦略会議に報告する活動報告及びKPI指標の報告を実施。その後、トヨタ自動車㈱先進技術統括部・三谷和久プロフェッショナルパートナーより「トヨタの電動車普及に向けたチャレンジ」と題してご講演いただいた。

九経連・廣瀬香社会基盤部長による主催者挨拶の後、新日本有限責任監査法人・杉山一郎FIDS日本エリアリーダーから「事故対応の経験から考える効果的なサイバーセキュリティへの投資」と題して基調講演を、IPAの平原隆専門委員から「情報セキュリティの最新動向」、江島将和研究員から「SECURITY ACTIONの取り組みについて」と題してご講演いただいた。

野村総合研究所・小林庸至上級研究員より「成長可能性都市・鹿児島市のポテンシャル~次の10年で目指す都市の姿~」と題してご講演いただいた。続いて、九経連・矢野佳秀総務広報部長より、平成30年度の主要事業について説明した。その後、麻生泰会長、小林上級研究員を交え、鹿児島地域としての課題や取り組むべきこと等について意見交換を行った。

全国から59チームが種子島に集結し、第14回種子島ロケットコンテストを開催した。開会初日は、悪天に見舞われ、技術発表会に遅れるチームもいたが、他チームのユニークな発想やチャレンジに多くの参加者が熱心に耳を傾けていた。競技会は、強風のため予定を1日ずらして、10日(土)の早朝から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若手技術者によるモデルロケット打ち上げで幕を開けた。ロケットと衛星部門に分かれてそれぞれの種目で競技が行われ、愛知工業大学のなちゅポテAITチームがロケットコンテスト大賞を受賞した。その後の表彰式・交流会では、コンテスト参加学生と協賛企業、JAXA関係者、地元協力者との交流が活発に行われた。

九州経済国際化推進機構(事務局:九経連、九州経済産業局)は、2009年2月にベトナム計画投資省とMOU締結以降6回目となるミッション団を派遣した。今回のミッションでは、“新たな挑戦”をテーマに、これまで取り組み事例がなかったヘルスケア&ビューティ関連産業に焦点をあてた産業視察や現地バイヤーとの商談会を実施。中部都市ダナンでは市場開拓を目指すとともに、ハノイではベトナム政府機関への表敬訪問で九州のプレゼンス向上に努めた。※次号(6月号)にて詳細を掲載予定

1日(木)� [福岡市・電気ビル共創館]

第2回九州・大学発ベンチャー振興会議出席者:70名

6日(火)� [佐賀市・㈱オプティム佐賀本店]

産業振興委員会第2回企画部会出席者:18名

6日(火)� [福岡市・九経連会議室]

第1回「社食で地産地消」メニュー策定小WG出席者:10名

7日(水)� [福岡市・ホテルオークラ福岡]

第70回九州経済懇談会出席者:150名

7日(水)� [福岡市・九経連会議室]

第2回再生エネルギー産業化推進委員会出席者:34名

2日(金)� [福岡市・電気ビル共創館]

第2回情報通信委員会出席者:63名

2日(金)� [大分市・トキハ会館]

第3回大分地域委員会出席者:42名

8日(木)�[福岡市・福岡市科学館サイエンスホール]

第2回サイバーセキュリティセミナー出席者:170名

5日(月)� [佐賀市・ホテルニューオータニ佐賀]

第2回佐賀地域委員会出席者:34名

8日(木)� [鹿児島市・城山観光ホテル]

第2回鹿児島地域委員会出席者:26名

8日(木)〜10日(土)�[鹿児島県南種子町・種子島宇宙センター]

第14回種子島ロケットコンテスト出席者:218名

日誌

3月

11日(日)〜16日(金)��[ベトナム・ホーチミン、ダナン、ハノイ]

九州・ベトナム経済交流ミッション2018出席者:36名

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2018/5 九経連月報 19

先導的ICT人材育成事業の運営等について、本事業に参画する企業や大学の関係者と意見交換を実施。会議では、アンケート結果を中心に、平成29年度の実施結果の振り返り、平成30年度の実施内容を確認。関係者から、本事業の改善に向けた発言もあり、有意義な意見交換となった。平成30年度も、例年同様、4月から7月までの間にテーマ・参加者の募集及びマッチング、8月から順次インターンシップを開始する予定。

本事業の10周年を記念し、「未来の日本を担うICT人材育成~九州から~」と題して講演会を開催。冒頭、九経連・平井彰常務理事、小澤正憲情報通信委員長が挨拶。第1部の基調講演では、九州工業大学・尾家祐二学長(テーマ「未来の日本を担うICT人材育成」)、経済産業省・大田祐史課長補佐(テーマ「第四次産業革命期におけるIT政策の方向性とIT人材の育成」)が講演。一般講演では、「先導的ICT人材育成事業参画の効果」をテーマに、本事業経験者、大学・企業の関係者の計3名が講演。第2部では、今年度参加学生による成果報告会を開催し、修了証書を授与した。

小池光一委員長(㈱宮崎銀行会長)の開会挨拶では、九州の農林水産業の現状と取り組むべき課題及びTPPをはじめとする貿易協定に関する事などの話があった。第1部の議事では平成29年度活動実績報告及び平成30年度活動計画並びに国への要望案について審議し、承認された。第2部の講演会では、九州運輸局の金平成市環境・物流課長と㈲久保田農園の久保田真透農園長よりそれぞれご講演いただいた。

省エネ効果が高いにもかかわらず、その認知度が低く、普及が低調な状況にある地中熱システムの普及を目指し、研究会を立ち上げ、活動中。今年度は3回目の会議で平成29年度の活動報告、平成30年度事業計画の報告の後、九州での地中熱のメリットを出せる施設の抽出とPRのための地中熱システム提案シート作成について議論を行った。

中山間部を多く抱え、少子高齢化による人口減少も急速に進行している当地域における、地域公共交通確保に向けた行政の取り組み状況について、九州運輸局・本田和久交通政策部長にご講演いただいた後、平成29年度交通委員会事業報告と平成30年度事業計画(案)の説明を行った。最後に、第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム福岡実行委員会より、5月8日~10日の同フォーラムの開催内容についてご説明いただいた。

アジア最大の映像・コンテンツ見本市「香港フィルマート2018」が香港貿易発展局(九経連MOU締結先)の主催にて開催された。九州の放送局・フィルムコミッション・コンテンツ保有会社等からなる14団体30名が「九州パビリオン」として初の共同出展。来場者約8,700名に対して積極的な商談を行った。 ※次号(6月号)にて詳細を掲載予定

麻生泰会長が冒頭挨拶で、九州に観光や農業で強みがあり、行政・経済界のまとまりも良い中で、日本全体に明るい実績を示すことが重要だと説明。次に2018年度事業計画、収支予算等を審議し、議案通り承認された。その後の意見交換では、「スマホ決済導入促進」「海外ミッション」「アウトバウンド促進」等についてご意見を頂戴した。

※本誌16ページに詳細を掲載

平成29年度のまとめとして第1部の委員会では、平成29年度事業報告及び平成30年度事業計画の審議を行った。第2部では、(一財)日本経済研究所・鍋山徹専務理事(チーフエコノミスト)に「第4次産業革命

(IoT/AI/バイオ)と競争戦略~文明の衝突と探検科学のすすめ~」をテーマにご講演いただいた。

空港と港湾の連携による九州のインバウンド需要の更なる拡大と確実な取り込みをテーマに、標記セミナーを開催した。九州運輸局・髙杉典弘次長と(一財)みなと総合研究財団・山縣宣彦副理事長による講演の後、当セミナー座長の慶應義塾大学・加藤一誠教授と㈱MK総合研究所・幕亮二代表も加わり、セミナー参加者からの質問をもとにパネルディスカッションを行った。 ※本誌17ページに詳細を掲載

今回は、東日本大震災により被害を受けた故郷宮城県のイチゴ産業を再生させるため、ITを活用した先端施設園芸を展開している㈱GRA・岩佐大輝代表取締役CEOを招き、農業を通じた地域活性化についてご講演いただいた。匠の技とITの融合による生産性の向上、さらにはインドでの展開等について、実例をもとにお話しいただき、地方から直接世界へ挑戦する可能性に言及した。

航空機部品のサブアセンブリーに対応できるQAN企業の増強とプログラムリンクの構築を主な内容とする平成30年度事業案について協議した。また、QAN企業情報の積極的な発信を行うための九航協HP改定を行うとともに、航空宇宙人材の育成と地元定着を促進するため、九州企業による大学・高専生のインターンシップ受入れについても検討することとした。

下関北九州道路建設促進協議会(会長:麻生泰九経連会長)、下関北九州道路整備促進期成同盟会(会長:村岡嗣政山口県知事)等合同で、下関北九州道路整備促進大会を開催し、平成29年度に設立された「下関北九州道路調査検討会」の報告を受け、28日の要望に向けて大会決議を行った。

下関北九州道路建設促進協議会、下関北九州道路整備促進期成同盟会などは、財務省及び国土交通省を訪れ、下関北九州道路の早期実現に向けて、①事業化に向けた計画段階評価への移行②引き続き、国、2県2市、経済界が一体となって調査検討を進めるとともに、必要な予算を確保すること③下関北九州道路を「重要物流道路」として位置づけること、を要望した。

20日(火)� [福岡市・電気ビル共創館]

第2回産業振興委員会出席者:38名

22日(木)� [下関市・シーモールパレス]

第2回山口地域委員会出席者:20名

23日(金)� [福岡市・九経連会議室]

九航協エアロスペース・ネットワーク第6回全体会議出席者:44名

25日(日)� [北九州市・ステーションホテル小倉]

下関北九州道路整備促進大会出席者:約300名

28日(水)� [東京都・国土交通省他]

下関北九州道路中央要望活動出席者:13名

22日(木)� [福岡市・電気ビル共創館]

インバウンドを支える空港・港湾に関するセミナー出席者:102名

13日(火)�[福岡市・TKPガーデンシティPREMIUM博多駅前]

先導的ICT人材育成事業関係者会議出席者:19名

19日(月)� [福岡市・九経連会議室]

第150回理事会出席者:22名

13日(火)�[福岡市・TKPガーデンシティPREMIUM博多駅前]

先導的ICT人材育成事業10周年記念講演会出席者:92名

13日(火)� [福岡市・電気ビル共創館]

第2回農林水産委員会出席者:61名

14日(水)� [福岡市・九経連会議室]

第3回地中熱・九州モデル研究会出席者:18名

15日(木)� [福岡市・九経連会議室]

交通委員会第2回企画部会出席者:22名

18日(日)〜22日(木)��[香港コンベンション&エキシビジョンセンター]

香港フィルマート九州パビリオン出展事業出席者:30名

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九経連月報 2018/520

Fun� Japan�Communicationsのミッション:同社は、インターネット上にアジアの消費者を集客し、海外進出やインバウンドを推進する企業・自治体へデジタルマーケティングによる「売上に繋がる仕掛け」を提供する。アジア各国における消費者と直接繋がるコミュニティづくり。株主を始めとしたアライアンスパートナーとの協業による、情報流・人流・商流・物流といったコンバージョンに必要な機能やサービス。アジア、デジタルマーケティング、ソーシャルネットワークにおいて、専門性の高い人財。これらの要素を組み合わせることで、日本企業や自治体のアジアへの海外展開や、訪日インバウンド外国人の誘客において課題となる、アジアの消費者との接点やプロモーション施策の効果測定、長期的な関係の構築といった課題を解決する。成長著しいアジア圏:2020年に上位中間層以上は7億人近くに達すると予測されており、近年ではASEAN諸国への日本企業のアプローチ数が急増している。

アジア諸国は日本好きの消費者が多く、日本商品が浸透しやすい土壌にある。また、コミュニケーションはスマートフォンを使ったソーシャルネットワークが主流。アジアへ進出する日本企業の課題解決のプラットフォーム:多くは商品展開の過程に様々な課題を抱えており、購買力のある市場へのアプローチと対話が難しい現状がある。たとえば、市場調査・商品開発・販路開拓では、情報サービスのインフラが不十分なため、市場ニーズや消費者の生の声が把握しにくい。販売促進では、認知度向上のための施策は、短期間かつ高コストなものが多く、投資の効果が見えにくい。関係構築では、ターゲットの消費者にリーチが難しく、個人と繋がった長期的な関係を築きにくい。

このような課題を解決し中長期的な売上に繋げるマーケティングプラットフォームを

“Fun! Japan”が担う。マーケティングサービスの全体像:ターゲット層の認知から購買、そしてシェアに至る消費者心理に沿って13のサービスを設定し、強化したい工程にマーケティングサービスを提供する。マーケットリサーチの結果を基に、消費者に刺さる情報をソーシャルの力で拡散させ、展示会で商品を体感することで、購買意欲を高めてテスト販売へと繋げる。

様々な切り口による商品や観光施設の情報をFun! Japanに何度も掲載し、ソーシャルメディアの拡散力を活用し、のべ200万人以上のファンに拡散する。イベント会場近辺のターゲット層年齢ユーザーに集中して展示会情報を配信し、来場意欲の向上と当日の来場者数増加に繋げる。

データを基に、訪日志向が高いユーザーによる現地座談会を開催し、地域商品や観光エリアの実体験・PRが可能。

リサーチ等の結果から、“訪日旅行予定者”や“エリアに興味あるユーザー”記事を繰り返し配信し、認知や興味を高める。

JTBやJALの訪日予約サイトJAPNiCANやJAL PACKページとタイアップし、特定エリアの予約に限定したサイト送客を実施し、訪日へと繋げる。さらなる市場拡大に向けて:地域団体やDMOなどにてエリア資源を取りまとめれば、1社あたりのコストを抑えつつ、認知、興味、そして購買に至るまでの中期的な地域活性化に繋げられる。最新のテクノロジーを取り込みながら、各国において日本商品の購入体験と、訪日による旅行体験を繋げて、国を超えたOnline to Offlineによる互いの市場の拡大が可能となる。

「アジア×デジタルマーケティング~親日アジア経済圏430万人のコミュニティ」(平成30年2月19日(月)�第2回観光委員会での講演)

㈱Fun Japan Communications 代表取締役社長

藤井��大輔

講演要旨

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2018/5 九経連月報 21

北朝鮮の核・ミサイルをめぐる動き北朝鮮の核・ミサイル開発問題は1993年3

月に同国が核拡散防止条約(NPT)を脱退以降、過去25年間、緊張と融和の繰り返しだった。平昌冬季五輪を契機とした今回の融和ムードへの変化もこれまでのパターンの一環とみることができる。報道は北朝鮮のミサイルの発射回数や米国に届くかどうかをクローズアップし、米朝間の緊張に焦点を当てている。しかし日本にとっての危機の本質は、北朝鮮が東京以西の西日本全域を射程距離に収めるスカッドミサイルを1,000発程度保有し、米朝間の有事の際には韓国や日本に向けて発射する可能性を排除できないことだ。現状の分析

北朝鮮が核開発を続けるのは、当初韓国との通常戦力の差を克服するためであり、その後、周辺国からの経済支援を得るための外交カードとなった。米国が過去、ソウルをいつでも攻撃できる北朝鮮に対し軍事行使できなかった事実を考慮すれば、北朝鮮は既に「抑止力」を手にしていることになる。つまり金正恩朝鮮労働党委員長が核開発に固執するのは「核の抑止力」を備えるためではなく、核兵器を保有して米国と対等に渡り合うことで、父親の故金正日総書記からの世襲の正当性を国内で認めさせるためではないか。

一方、米国にとっての真の脅威は北朝鮮によるミサイル保有や核攻撃の可能性というより、その核技術が世界に拡散することだ。核兵器がテロリストに渡ると米国が核攻撃を受ける危険性が高まる。その意味で、米国の戦略目標は北朝鮮に核開発をやめさせることであり、体制崩壊は視野に入れていない。トランプ氏が「軍事行使」に言及するのは、政権の覚悟と本気を示しているのであって、現実的には経済制裁を駆使した外交的な解決を目指していると受け取るべきだろう。関係国・当事国の戦術・戦略

北朝鮮は厳しい制裁逃れを図るとともに、南北首脳会談開催で日米と韓国の分断を図ろうとしている。今後もミサイル発射などの挑発行動はやめない可能性がある。これに対し、日米は国際的な経済制裁体制で北朝鮮を封じ込め、外交交渉に引っ張り出す戦術を取っている。しかし制裁の効果がなく挑発行動がエ

スカレートすれば、米国は北朝鮮へのサイバー攻撃、さらには「鼻血作戦」と呼ばれる限定的な軍事作戦に着手するかもしれない。

日米の温度差もある。北朝鮮の「核」は日本にとっては目の前の脅威だが、米国は長期的な安全保障の問題として捉えている。日本は歴史的な関係や拉致問題があることから、北朝鮮への国民感情を無視できない。一般的な米国人にとって北朝鮮は極東の遠く離れた国で、指導者が国際的なルールを無視して核開発をしているという認識。米メディアは、トランプ氏がこの挑戦に対処できる資質があるかどうかを注視している。

今後、北朝鮮が中止を求めている4月の米韓合同軍事演習をめぐり緊張が高まるのは確実。北朝鮮側の口先だけの非難で終わる場合、南北首脳会談に進む公算が高い。最終的に米朝の対話に結びつく可能性もあるが、予断を許さない。一番望ましい方向は、核開発を凍結する代わりに欧米が経済制裁を解除したイラン核合意型の決着に至ることだが、金正恩氏にとって核開発自体が自己承認の源になっており、簡単ではない。

北朝鮮がミサイル発射や核実験を再開した場合、米国の軍事作戦が現実味を帯びる。北朝鮮からの反撃がなければ、金正恩氏が交渉のテーブルに着くというシナリオもあり得る。反撃があるとすれば、ソウルや東京が標的になる可能性は十分にある。偶発的衝突は、シナリオのない戦争に突入することになる。

朝鮮半島有事の日本への影響としては、韓国からの避難民の流入や外国人観光客の激減。北朝鮮が米海軍の強襲艦の寄港地である佐世保基地などを攻撃する可能性もある。まとめ

平昌五輪の開会式出席に合わせてペンス米副大統領と北朝鮮高官が秘密裏に会談すること で 合 意 し て い た と い う が、 こ れ は よ いニュース。北朝鮮が米国との対話を求め、米国も受け入れた。具体的な協議がなくても、双方のメッセージを伝え合うという意味がある。偶発的な衝突や軍事作戦のリスクが減るのであれば、対話はゼロよりあった方がよい。日本の政府高官も、表向きは強硬姿勢を取っているものの、本音では米朝対話があることを願っているのではないか。

「米朝、対話か戦争か~ニュースの読み方」(平成30年2月23日(金)平成29年度国際委員会での講演)

時事通信外信部 編集委員(前ワシントン特派員)

水本��達也

講演要旨

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九経連月報 2018/522

本日は、「低炭素社会実現に向けた二次電池技術の期待」と題して、電力サイドから見た電力貯蔵用二次電池システムの活用方策について紹介した後、二次電池技術の期待と課題とをユーザの視点から述べる。

低炭素社会の実現には、エネルギー起源のCO2排出量から見ると、エネルギー転換部門・運輸部門の低炭素化が重要で、これに寄与する技術として蓄電技術がある。

特にエネルギー転換部門における再生可能エネルギーによる電源はゼロエミッションだが、不安定で制御不能であることから、蓄電システムによる安定した電力供給が不可欠である。二次電池システムの活用方策

これまでの電力貯蔵二次電池システムは、ピークカット、ピークシフト及びボトムアップなどでの負荷平準化、並びにバックアップ電源・瞬低対策用途であったが、最近は以下の要因から系統安定化用電池システムの導入に期待。① 不安定な再生可能エネルギーの連系のため

の「系統安定化」として、② 計画・想定外の発電設備設置による「送電

容量不足のための対策」として、③ 需給バランス、系統送電容量不足による「昼間余剰電力の貯蔵」として、

④ 夕刻の太陽光発電終了に伴う供給減と、夕方からの需要が重畳して起こる急激な供給増が必要となる「ダックカーブ対策」として、その活用が期待されている。

電力貯蔵用二次電池技術の最近の動き(期待と課題)電力貯蔵用二次電池技術の最近の動きとそ

の期待と課題としては、① 電池のレスポンスの速さから「系統の安定

化」と「送電容量不足のための対策」で、蓄電池システムが導入。

② PV大量導入時の昼間余剰電力の貯蔵とダックカーブ対応、夜間利用に電池電力貯蔵技術が注目。

③ 配電容量不足から家庭用蓄電池が導入。将来は、系統対策としての蓄電池利用から需要家設置蓄電池の活用も注目される。また最近では分散した需要や供給を集めて仮想

の大容量の電源の需要として活用するバーチャルパワープラント(VPP)への動きもみられる。

④ 自動車メーカもEV普及に合わせ、蓄電池システムの販売に参入。

⑤ EV利用後のセカンド利用(リユース)として電力貯蔵の動きもみられるが、電池劣化の評価手法・残存価値評価手法など課題は残る。

⑥ 一方で、ドイツの事故を受け、蓄電池の安全性に懸念。認証制度で輸入電池の安全性を確認すべく、現在、IEC-TC120で、系統連系の分散型電源の安全を提案中。最近の電力貯蔵システムの導入事例紹介

海外では、ドイツ、オーストラリアなどでは、送配電システムの整備費用を削減するための大規模な蓄電システムを導入。

国内でのMW級の蓄電システムの実証事業例としては、周波数調整・系統安定化用途として、レドックスフロー電池15MW(南早来変電所併設)、リチウム電池40MW(西仙台変電所併設)、リチウム電池40MW(南相馬変電所併設)、NaS電池50MW(豊前発電所併設)がある。

最近のリチウム電池など、これら蓄電システムは、短時間で組み上げ、運搬と設置が容易なコンテナ型となっている。課題は、低コスト化、コンパクト化、安全性等である。

その他、隠岐諸島、対馬など離島でのマイクログリッドの実証も行われている。まとめ

以上をまとめると、① 低炭素社会実現には、高効率な技術と低炭

素電源の組み合わせ利用が重要である。② 電力供給・電力系統との安定化を備えた電源

の低炭素化には電力貯蔵システムは不可欠。③ 二次電池の活用は、利便性向上からエネル

ギーの高効率化利用に展開・拡大。④ 革新技術として、全固体電池や空気電池な

ど(二次電池の高性能化)の研究が進んでいるが、まだ進展途上。課題は多くあるが、可能性は広がっている。

⑤ 二次電池については、安全と低コスト化、延命活用が課題である。

以上

電池電力貯蔵装置セミナー「低炭素社会実現に向けた二次電池技術の期待」(平成30年1月16日(火)資源エネルギー・環境委員会での講演)

(一財)電力中央研究所材料科学研究所(兼)

エネルギーイノベーション創発センター

研究参事

池谷��知彦

講演要旨

Page 24: 2018/5 CONTENTS · クの提供に努めることに加え、iot、aiなどの 最先端ictにも積極的にチャレンジし、九州 ... 50か国で実施されている。医療先進国の米国、

2018/5 九経連月報 23

<2018年2月6日入会>

新入会員紹介 Introduction of new members

会社概要

ミネラルウォーター「日田天領水」の原水は

もともと淡水魚を養殖する目的で汲み上げ続け

られている深井戸水です。淡水魚の成育が良い

だけではなく、特に滅菌処理等を行わなくても

飲用水として適していることが公的検査機関で

の水質試験でわかってからは、飲用水として無

料開放し、多くの人々に利用されてきました。

この深井戸水を飲まれた方々のすばらしい体

験談が多く寄せられ、この水の良さは口コミで

広がり、日本全国から問い合わせが来るように

なりました。そんな、多くの人からの強い要望

を後押しに、この水を提供することを決意し、

多くの方々の協力を得て1999年「日田天領水」

が誕生しました。バッグインボックスタイプの

製品化の成功とともに、「日田天領水」を安定

的に皆様にお届けするため、株式会社日田天領

水を立ち上げました。製造工場は105億円を投

資し、総合衛生管理製造過程(HACCP)、

ISO22000:2005を経て製造、出荷されてい

ます。

モンドセレクション最高金賞9年受賞、iT

Qiでは優秀味覚賞13年連続受賞と、国際的に

も品質が優れた商品であると認められておりま

す。また、日本が誇るべきすぐれた地方産品を

発掘し、世界に広く伝えていくプロジェクト

「The Wonder 500™」にも認定されました。

日田天領水は天然活性水素水とも呼ばれ、ド

イツ・ノルデナウの水、メキシコ・トラコテの

水と並び幾度となく紹介され、現在もその特異的

な性質について様々な研究が続けられています。

私たちは日本をはじめとする世界の人々の健

康を願い、多くの方のお役に立てるよう、地球

からの貴重な贈り物「日田天領水」を、一日で

も早く知っていただけるように努力し続けてま

いります。

会 社 名

創 業

代 表 者

事 業 内 容

従 業 員 数

本 社 所 在 地

電 話 番 号

関 連 会 社 等

ホームページ

株式会社日田天領水

1999年

代表取締役社長 石井 嘉英

ミネラルウォーター(日田天領水)

の製造・販売

140名

〒877-0074 大分県日田市中ノ島

町647番地

0973-22-7777

http://www.hitatenryosui.co.jp

会�

社�

概�

1999年の発売以

来、多くの方々に支

持され、一般のミネ

ラルウォーターとは

違う実感に多数のお

喜びの声をお寄せい

ただいています。

私たちは、そんな

お客様からのご支持

や信頼を大切にしな

がら、品質を守り続けるとともに、健康や

美を願う、より多くの方々へ「日田天領

水」をお届けしていきたいと考えています。

また、震災など災害時の飲料水の提供など

「水」を扱う会社として社会に貢献できる

企業を目指していきます。

代表取締役社長 石井 嘉英

グリーングループ㈱㈱日田ダイハツグリーン石油㈱グリーンビル日田㈱西の誉銘醸㈱㈱日田淡水魚センター日田天領水の里㈱他計13社

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九経連月報 2018/5

タイ国政府観光庁における観光促進に関する趣意書を締結(2/8:福岡)2018年2月8日、タイの観光庁(ユッタサック・スパ

ソーン総裁)と九州観光推進機構(石原進会長)の観光振

興分野での業務協力に向けた調印式を行い、両者の間に

おいて趣意書の取り交わしを行いました。調印式でユッ

タサック総裁は「趣意書を踏まえ、観光庁は九州の皆さ

んと協力態勢をとって仕事をしたい」との意向を、また

2016年1月に閉鎖した観光庁の福岡事務所を今年中にも

再開させる考えを示されました。当機構、石原会長から

は「趣意書の締結を契機に九州とタイの観光交流がいっ

そう盛んになるよう進めた

い」との意向を伝えており、

今後、相互間で観光誘客の促

進に向けた取組を検討してい

くこととなりました。

◆プレスリリース

https://www.welcomekyushu.jp/kaiin/news/detail/680

九州のひなまつり協議会視察研修(2/13〜14:大分)杵築市で行われた九州のひなまつり広域振興協議会の

視察研修に参加しました。九州のひなまつり協議会事務

局から九州旅ネット内の「ひなの国九州」サイトの改修、

ガイドブックの制作、九州・沖縄春の大観光展覧会(広

島)の出展などについての報告がありました。九州のひな

まつり広域振興協議会の各地区からは、今年度の雛祭り

の開催状況について説明がありました。会議後は、2日

間にわたり杵築の観光名所、養徳寺、佐野家、とまや(煎

茶体験)、磯矢邸、大原邸等

を視察しました。各視察場

所にはひな人形が飾られて

おり、街全体でひなまつり

の告知PRに力を入れられ

ている事を実感しました。ま

た、杵築市では、英語、韓

国語、中国語、タイ語の4

言語の観光案内パンフレッ

トを制作しており訪日外国

人旅行者の受け入れに積極

的に取り組んでいました。

「ひなの国九州」では、九

州各地で開催されているひ

なまつりの情報を発信して

いますので、ぜひご覧くだ

さい。

◆ひなの国九州

https://www.welcomekyushu.jp/attaka/hina/

24

感動と物語の九州―歴史と文化を掘り下げる薀蓄の旅 26

町や都市の開発には、いつも、どこでも保存とリフォームの相反するイデー(施策)にふり廻されるも

のだ。住む人に快適に、利便にということで、町の在り方には「リフォーム」というベクトルが強く働く

傾向にあるものだ。これでは、日本の文化・暮らしに根づいてきた町並みさえも失われてしまう。「保存

しよう」「まるごと」という文化庁の掛け声で重要伝統的建造物群が指定された。

これに応じる市・町村の人たちはそれなりの覚悟が必要とされたことだろう。外観上の規制はもとよ

り、建物のやたらな改築、新築も思いのままにはならない。今の生活パターンと反する面も生じてくる。

それを辛抱して、耐えることの決意が必要とされた――と思われる。

飛驒高山地区、美しい町並みが整然と続く。クーラーの戸外機も見えない。家庭の塵芥の処理も目に触

れない。旅する人には、まことに心地よい、非日常の空間である。併し、その陰には、土地の人は「故郷

の宝物」のためという大儀と、旅する人への「おもてなしの心で」、日常のくらしの不便さに耐えて下

さっていることを忘れてはいけない――かつて飛驒に旅したとき、そう思った。市長は「私たちの務めで

す」と語ってくれた。

南九州編、秘境の椎葉、海辺の美々津、幾度か、このルートにも登場した飫肥、そして薩摩の外城的性

格のある知覧、川内の入来麓、出水の武家屋敷群を訪れるとき、大げさにいえば、現地の人の忍耐(おも

てなしの心)で美しい、この景観が残っていることを、かみしめて歩いてほしい。「かたち」あるものを通

して、その「かたち」を支えている心を学びたいものだ。

文化庁の全国重要伝統的建造物群保存地区を巡る(南九州編)〜守り続ける土地の人への感謝〜

−宮崎県(椎葉村、日向市、日南市)、鹿児島県(知覧町、薩摩川内市、出水市)−

九州観光推進機構ニュース

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2018/5 九経連月報

椎葉村・十根川集落 椎葉村特有の一列型平面形式の母屋と馬屋からなる建築群が、険しい山々の谷間の南下がりの段丘地に形成されている。緑豊かな山林に囲まれて、石垣が重なり合う美しい山村の景観を構成し、また優れた歴史的風致が作られている。わが国にとって失われてはならない貴重な建造物群であり、山村集落として九州初の選定となった。

日向市・美々津 かつて「美々津千軒」とうたわれ廃藩置県時代の美々津県庁跡から一望できる美々津の町並みは、京都や大阪の町家造りを取り入れたものとして注目され、上町、中町、新町の通りは、今なお当時の面影を残しており、道行く人々の心と足を止める。特に昭和55年、日向市に寄贈された市指定文化財「旧廻船問屋、元河内屋」は昭和57年、国、県の補助を受け、復元され日向市歴史民俗資料館として、この町並みに開館。全国的に珍しい河口に面した港のある江戸時代の町家を偲ぶことが出来る。

日南市・飫肥 復元された飫肥城大手門、本丸御殿の松尾の丸をはじめ、藩校や上級武士、中級武士、下級武士の屋敷がそれぞれ配置され、石垣、生垣、門を構えた家並みが続き、静かなたたずまいを残している。

知覧町・麓 町の北部の麓地区には武家屋敷群が整然と続いている。国名勝指定の7つの庭園と、それらを結ぶ土色の歩道は目にも優しい。薩摩の小京都、お茶の産地、平和の町‥‥いろいろの冠がつく知覧は、第一に住む人の心の暖かさだろう。歴史が今に保たれているのはそれが大きい。暖かい風土であるだけに特攻平和会館は胸がしめつけられる。ぜひ、町並みを歩く時間的ゆとりをコースに持たせてほしい。歴史資料館もある。

薩摩川内市・入来麓 四隣に威を張った薩摩藩随一の堅城(山城)である清色城を中心に川原石を使った玉石垣による整然とした区画制、武家屋敷門(茅葺門)、大手門前の濠や広馬場下門口を備えたお仮屋跡など多くの史跡、文化財が残っている。

出水市・出水麓 出水郷に赴任する薩摩藩士の住宅兼陣地として、中世山城である亀ヶ城跡の山すそにあり、中を流れる平良川をはさんで高屋敷と向江屋敷の二つにわかれ、このうち、遺構がよく残っているのが高屋敷の方。町並みは丸石を積んだ石垣の上に生垣を植え込んだものが道の両側に続き、所々に大きな武家屋敷の門が見える。なかでも出水小学校の校門になっている御仮屋門は行政庁が置かれ、藩主が藩内視察の際の宿泊施設でもあった御仮屋の門で、大きく格調の高さをうかがわせている。また、砲術指南役であった伊藤家や大郷士であった税所家など、風格のある家も残る。

25

1日目  各地→阿蘇くまもと空港(熊本駅)→椎葉村(十根川集落)[山村集落]

→日向市(泊)

2日目  日向市美々津[港町]→日南市飫肥[武家屋敷群]→知覧町麓[武家

屋敷群]→指宿温泉(泊)

3日目  指宿温泉→薩摩川内市入来麓[武家屋敷群]→出水市出水麓[武家屋

敷群]→鹿児島空港(鹿児島中央駅)→各地

《問い合わせ先》一般社団法人 九州観光推進機構 TEL:092−751−2943

九州観光推進機構のホームページ http://www.welcomekyushu.jp「九州旅ネット」 も併せてご覧ください。

2泊3日コース

北九州市(戸畑・門司)

鹿児島空港

椎葉村

薩摩川内市

日向市

日南市

知覧町

上椎葉

阿蘇くまもと空港

指宿温泉

出水市

福岡県

佐賀県 大分県

長崎県

鹿児島県

山口県

島根県

熊本県宮崎県

椎葉村・十根川集落

日南市・飫肥

薩摩川内市・入来麓

出水市・出水麓

知覧町・麓

日向市・美々津

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九経連月報 2018/526

この秋「山口ゆめ花博」開催!〜「ゆめの未来公園」山口から発信〜

山口 Yamaguchi

佐賀 Saga

重粒子線がん治療の保険適用と佐賀県のがん対策事業

今年は、明治改元から150年の節目の年。山口県では、明治のチャレンジ精神を今に生かし、

未来につないでいくため、さまざまな取り組みを明治150年プロジェクト「やまぐち未来維新」として展開している。その中核イベントとして、9月14日から11月4日までの52日間、山口市の山口きらら博記念公園で「山口ゆめ花博」を開催する。

東京ドーム15個分の広い会場に、花の谷ゾーンをはじめ、ウェルカム・庭のパビリオン・森のピクニック・山の外遊び・海の外遊びなどの8つのゾーンを設置。1,000万本の山口県の花や、日本一長い竹のコースター、日本一高い木のブランコ、魅力的な夜景が広がるナイトプログラム等、これまでにはない感動と驚きを発見できるイベントなどを用意する。

子どもからご高齢の方まで一日中楽しめる、山口県が提案する「ゆめの未来公園」に、ぜひ、ご来場いただきたい。

現在、前売入場券を好評発売中。また、多くの方に山口ゆめ花博を応援していただけ

るよう「山口ゆめ花博」に特化した「山口ゆめ花博応援ふるさと納税」を受け付けている。寄付金は、会場内のコンテンツなどの充実に活用し、寄付額に応じて、山口県の特産品や「山口ゆめ花博入場券」を返礼品として送付する。《問い合わせ先》「山口ゆめ花博」事務局(第35回全国都市緑化やまぐちフェア実行委員会事務局)TEL:083-933-4805

福岡県では古くより酒米づくりが盛んで、九州地方最大の河川である筑後川に加え、矢部川や遠賀川といった一級河川が流れ、酒づくりに欠かせない豊かな水に恵まれている。また、県内には多くの蔵元があり、近年では、県産の酒米「山田錦」や「夢一献」な

どを使った酒造りが盛んだ。このたび、福岡県は5月26日(土)、27日(日)、福

岡国際センターで福岡史上最大の酒のイベント「& SAKE FUKUOKA(アンドサケフクオカ)」を初開催する。当日は、県内55の酒蔵の酒と予約困難な県内人気飲食店の限定メニューを楽しむことができる。

この機会に、本県自慢の酒と食を、ぜひお楽しみいただきたい。

〈チケット購入〉前売券:1,800円(専用グラス+飲食コイン10&

アンド※)

当日券:2,300円(専用グラス+飲食コイン10&)販売場所: 参加酒蔵及び飲食店、県内の酒販店(一部)、プ

レイガイド(ローソンチケット、チケットぴあ)※当日使用されるイベント専用の通貨単位。

《主催》 �&�SAKE�FUKUOKA実行委員会 (福岡県、福岡県酒造組合ほか)《問い合わせ先》福岡県酒造組合 TEL:092-651-4591 

今や日本人の2人に1人がかかるといわれるがん。しかし、全がんの5年生存率は約6割、早期のがんであれば約9割となっており、もはや「不治の病」ではなくなっている。

がん治療は近年、様々な選択肢が増えてきている。2013年5月に産官学共同のプロジェクトとして、九州初の重粒子線がん治療施設『九州国際重粒子線がん治療センター』(サガハイマット)が佐賀県鳥栖市に誕生。平成28年度の治療患者数は651人で国内の粒子線がん治療施設の中で最多となった。

2018年4月1日からは、前立腺がんや頭頸部腫瘍の一部にも公的医療保険の適用が拡大。今までは先進医療の治療費として314万円が自己負担となっていたが、高額療養費制度を利用すれば、約10万円前後で重粒子線治療が受診できるようになった。副作用が少なく通院治療が可能という特長があるため、働きながら・子育てしながらのがん治療として、今後ますますサガハイマットの担う役割は大きくなるだろう。

佐賀県は長年肝がんの粗死亡率が全国1位ということもあり、協会けんぽと連携し、職域の肝炎ウイルス検査費を無料化する事業のほか、胃がん対策として県内の中学校に在籍する中学3年生にピロリ菌の検査・治療を行う事業も実施している。また、子宮がん検診の広域化など、女性が「がん検診」を受診しやすい環境づくりにも力を入れている。

県民をがんから守り、がんになったとしても、社会全体で支え、安心して暮らしていける社会をめざす。《問い合わせ先》佐賀県健康増進課 がん撲滅特別対策室TEL:0952-25-7491

福岡 Fukuoka

福岡史上最大の酒イベント「& SAKE FUKUOKA(アンドサケフクオカ)」 初開催!

�ゆめ花博 検索

�アンドサケフクオカ 検索

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2018/5 九経連月報 27

カズオ・イシグロ氏 名誉県民に

長崎 Nagasaki

先端技術イノベーションラボがオープンしました

大分 Oita

長崎県では、昨年12月にノーベル文学賞を受賞し

た長崎市出身の英国人作家、カズオ・イシグロ氏に、

名誉県民の称号を贈呈することを決定した。

イシグロ氏は昭和29年、長崎市に生まれ、5歳まで

同市で過ごした後、英国に移住。昭和57年に第2次世

界大戦直後の長崎を舞台にしたデビュー作「遠い山な

みの光」で本格的に作家活動を開始した後、イギリス

で最も権威ある文学賞・ブッカー賞をはじめ数々の文

学賞を受賞した。その後も大英帝国勲章やフランス芸

術文化勲章を受章するなど、その功績は世界的に高く

評価されている。

また、これまでの卓絶した功績により、昨年、本県

出身者としては2人目となるノーベル賞(文学賞)を

受賞した。

イシグロ氏は、ノーベル賞受賞後に長崎に対する特

別な思いを語るなど、長崎が自身の原点であるとの思

いを持ち続け、今もなお長崎を大切に思いながら活躍

されている。

長崎県名誉県民の称号は、これまで彫刻家の故北きた

村むら

西せいぼう

望氏と故富とみなが

永直なお

樹き

氏、生物学者

でノーベル化学賞受賞者の下しもむらおさむ

村脩

氏、日本画家の故松ま つ お

尾敏と し お

男氏の4

名に贈られており、イシグロ氏で

5人目となる。

《問い合わせ先》長崎県秘書課 TEL:095-895-2015

熊本県では、熊本都市圏と天草地域を結ぶ「熊本天

草幹線道路」の整備を進めており、このたびその一部

区間、宇城市三角町と上天草市大矢野町をつなぐ新し

い橋を含めた三角大矢野道路(全長3.7km)が5月20

日(日)に開通する。

現在、天草地域は陸上交通を天草五橋で結ぶ国道1

本に依存しており、長い間この道路の開通は、地元か

ら待ち望まれていたものである。

この道路は天草の玄関口となる片側1車線の自動車

専用道路であり、開通により、周辺地域の交通混雑の

緩和や災害時のリダンダンシー(多重性)の確保、観

光誘客など多方面にわたる効果が期待されている。

また、道路開通式典時には、公募や人気投票などに

より決定した新しい橋の名前の発表を行うとともに、

開通前後の期間には、上天草市と宇城市とが連携し

て、地域経済の活性化を目指した様々なイベントが行

われる。

主なものとしては、地元開催の開通記念サイクリン

グ、大綱引き大会、マルシェ、花火、ウォーキング大

会、インスタグラムフォトコンテストなどのイベント

が予定されている。

今回開通する区間は無料で通行できるので、ぜひ三

角大矢野道路をご利用い

ただき、魅力あふれる天

草地域をお楽しみいただ

きたい。

《問い合わせ先》熊本県道路整備課TEL:096-333-2497

大分県では、地方から新しいサービス、ビジネス、

雇用等を生みだし、県経済の新たな活力につなげてい

くため、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ド

ローン等を活用した「大分県版第4次産業革命 OI

TA4.0」に取り組んでいる。

この取組の一つとして、大分県産業科学技術セン

ターにドローン産業の成長促進や電磁応用産業の育成

を推進するため「先端技術イノベーションラボ」を本

年4月にオープンした。

先端技術イノベーションラボは、西日本唯一のド

ローン開発拠点として、電波暗室と世界最大級の磁気

シールドルームを備えた電磁環境測定棟、全方位を囲

まれたドローン飛行試験用のテストフィールド、企業

が研究開発を行うリサーチ棟で構成されている。

災害現場での空影や水田での農薬散布、建設現場で

の測量など、近年様々な利活用が進むドローン。大分

県では、西日本唯一のドローン産業・技術の拠点化

と、電磁応用機器関連の産業集積を加速し、ローカル

イノベーションを創出して

いく。

《問い合わせ先》大分県工業振興課 TEL:097-506-3266

天草へとつながる新動脈「三

み す み

角大お お

矢や

野の

道路」5月20日開通!

熊本 Kumamoto

Ⓒ早川書房 早川浩

三角大矢野道路における上天草市と宇城市をつなぐ新しい橋(完成間近H30.3撮影)

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九経連月報 2018/528

「アメリカ映画の祭典」とも言われるアカデミー賞

授賞式の直後に行われる公認パーティーにおいて、宮

崎牛が食材として採用された。特定産地の和牛をパー

ティーメニューで利用するのは初めてのことであり、

世界中の一流食材を用いた60種類以上の料理メニュー

とともに、ノミネート俳優や招待客など約1,500人に

振る舞われた。

県は、本県出身でロサンゼルス在住の映画監督・プ

ロデューサーの曽原三友紀氏の御協力のもと、パー

ティーメニューの考案などを手掛ける世界的有名シェ

フのウルフギャング・パック氏に働きかけを行ってき

た。宮崎牛が全国和牛能力共進会において、3大会連

続で内閣総理大臣賞を獲得した日本一の和牛であるこ

となどを説明した結果、90回目の節目を迎えるアカデ

ミー賞に使用する食材としてふさわしいとのパック氏

の判断により、採用が決定した。

パック氏からは、宮崎牛について「24年間メ

ニューを手掛けてきたが、やっと最高の牛肉に出会え

た。オスカー像を送りたい。各国のスターにも薦めた

い。」と最大級の賛辞をいただいた。

世界が注目する華やかな舞台で、宮崎牛の日本一の

品質が高く評価され、世界

中へ発信されたことは、県

内畜産関係者にとって大き

な励みとなった。

今後も、宮崎牛のブラ

ンド確立と本県の農畜産業

のさらなる活性化に繋がる

取組を進めていく。

《問い合わせ先》宮崎県畜産振興課 TEL:0985-26-7138

鹿児島県では、NHK大河ドラマ「西郷どん」にも

登場した第11代薩摩藩主島津斉彬の興した殖産興業

策「集成館事業」に関連する県内95か所の産業遺産を

紹介するホームページ「かごしま産業遺産の道」を、

同県の観光サイトで新たに公開した。

平成27年、幕末から明治期までの日本の産業化を示

す8県11市の23の資産が「明治日本の産業革命遺産」

として世界文化遺産に登録された。   

鹿児島からは、「集成館事業」に関する「旧集成館」

「寺山炭窯跡」「関吉の疎水溝」の3つが構成資産に

なっているが、実はこのほかにも「集成館事業」にま

つわる多数の遺産が県内各地に残っている。

ホームページでは、これらの遺産を「きっかけは薩

英戦争。近代化への道」などの19のストーリーで、古

写真や絵図を用いて分かりやすく説明しているほか、

建築年代や地表遺構の有無などの詳細情報、「砲台跡

をドライブでGO!」といった周遊モデルコース、さ

らには遺跡近くの観光スポットや温泉なども紹介して

いる。

ぜひこのホームページを

活用して明治維新150周年

に沸く鹿児島の産業遺産を

周遊してみては。

《問い合わせ先》鹿児島県世界文化遺産課 TEL:099-286-2365

若手技能者の技能向上、ものづくり産業の発展、障

害者雇用の促進を図るため開催される技能五輪全国大

会及び全国障害者技能競技大会(全国アビリンピッ

ク)。両大会が、今年11月2日(金)から5日(月)にか

けて沖縄県で初めて開催される。

競技は奥武山公園、沖縄コンベンションセンター、

沖縄県総合運動公園など本島中南部の会場を中心に6

市14カ所で実施し、全国から約3,200名の出場選手及

び関係者が参加する。

期間中は会場と主要地域を結ぶ無料シャトルバスを

運行するほか、県内外から来場する応援・見学者の皆

様も楽しめるよう、観光物産展、子どもも楽しめる

“技”を披露するイベント、アジアの技能者を招聘す

る技能実演交流プログラム、企

業誘致PR事業、障害者ワーク

フェアを実施する。競技・イベ

ントともに見学は無料。

大会が開催される11月は、

日差しがやわらぎたいへん過ご

しやすく、観光地巡りにも適し

た季節であるので、多くの皆様

にご来場いただきたい。

《問い合わせ先》 �おきなわ技能五輪・アビリンピック2018推進協議会事務局 �(沖縄県商工労働部労働政策課 技能五輪・アビリンピック準備室) TEL:098-866-2013 大会ホームページ https://www.okinawa2018.jp/ 大会twitter @okinawa2018

おきなわ技能五輪・アビリンピック2018平成30年11月2日から5日 沖縄初開催!

沖縄 Okinawa

「第90回アカデミー賞授賞式」のアフターパーティで「宮崎牛」を採用!

宮崎 Miyazaki

「かごしま産業遺産の道」ホームページを公開

鹿児島 Kagoshima

主役級の紹介をされる宮崎牛

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2018/5 九経連月報 29

◆九経連ホームページ  http://www.kyukeiren.or.jp ◆九経連メールアドレス [email protected]  月報・ホームページをご覧になったご感想やご意見をお寄せください。

お知らせ:�本誌裏表紙に広告を募集します。詳しくは、本会総務広報部(Tel:092-761-4261)までお問い合わせください。

びわ(長崎県)

表紙説明

 長崎県のびわは、江戸時代に三浦シオという女性が、中国からもたらされた「唐とう

びわ」の種をまいたことから始まり、今や生産量・栽培面積ともに日本一を誇る特産品です。 「長崎びわ」は、「茂木」、「長崎早生」、「福原早生(商品名:長崎甘

あま

香か

)」、「涼風」、「なつたより」等の品種の総称で、本県の温暖な気候を活かして長崎半島を中心にハウス栽培や露地栽培で生産されており、2月上旬から6月中旬まで出荷が続きます。 表紙を飾る「なつたより」は、長崎県産の露地びわのおよそ7割を占める「茂木」が、食味は良いものの果実が小ぶりなため、大玉系の品種が求められたことから、本県が約20年の年月をかけて育成したもので、平成21年に品種登録されました。果肉が軟らかく、果汁が多くて甘いうえ、果実の大きさと食味のよさを併せ持つなど、従来のびわの品種にはない優れた特徴があり、今後、「茂木」に替わる品種として期待されています。

《問い合わせ先》 長崎県農産園芸課 TEL:095-895-2944

スケジュール(5月)

日(曜) 会合名等

2日(水) 九経連創立記念日振替休日

14日(月) 第151回理事会(福岡市・九経連)

14日(月) 産学連携懇談会(福岡市・電気ビル共創館)

23日(水) 第33回九州地域戦略会議(佐賀市・ホテルニューオータニ佐賀)