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5-1
5.層流と乱流実験(テーマ-4)
5-1. 実験の目的
河川川や水路など一般的な水の流れは、平均流速の近傍できわめて不規則に変動しなが
ら流体が運動する「乱流」の状態である。しかし、流速や流れの規模が小さい場合には、
流体部分が秩序正しく滑りあって流れる「層流」という状態で流れる。この層流と乱流の
状態はレイノルズ数と呼ばれる無次元数で表すことができる。実験ではレイノルズ数測定
装置を用いて、レイノルズ数を変化させた場合の流体の流れの状態を観察し、レイノルズ
数と流れの状態の関係について理解する。
5-2.実験装置
★ レイノルズ数と流れの状況を観察する。
★ 管路形状が流れの状態に及ぼす影響を観察する。
バルブ
色素
管路
111
レイノルズ数測定装置
80
16
φ2
φ2
1×5
80
60
16
32
46
③
②
④
⑤
色素
①
2019 年度版
5-2
5-3.実験方法
① 水道水から給水を行い、越流堰により水位が一定になるのを待つ。
② バルブを一度開放し、管路内の空気を排気し、水面が安定するのを待つ。
③ 水温を測定する。
④ バルブをゆっくり開放し、管路の中に流れを生じさせる。
⑤ 上流の色素タンクのバルブを開放し染料を投入し、管路内の流れを観察する。
⑥ バルブからの流下量をバケツで受け流量を測定する。
⑦ ④~⑥を繰り返し行い、流れが層流の状態から乱流の状態に移行する状況を観察する。
⑧ 実験は各管路毎に通水を行い管路形状による乱れの状況について観察する。
5-4.実験結果の整理
各管路の着色液の拡散状況についてスケッチし、その時のレイノルズ数との関係につい
て整理する。
VD
Re 動粘性係数
レイノルズ数
:
:Re
動粘性係数表
注) 動粘性係数は温度により比例配分で求める
温度 動粘性係数(cm2/s)
0 ゚c 1.794×10-2
5 ゚c 1.520×10-2
10 ゚c 1.310×10-2
15 ゚c 1.146×10-2
20 ゚c 1.011×10-2
25 ゚c 0.897×10-2
30 ゚c 0.804×10-2
5-3
5-5. レポートの提出
レポートは下記の内容を記述して提出。
① 表紙に、グループ名、学籍番号、氏名、実験名、実験日時を必ず記入。
② 計測した容量から流量を換算し、レイノルズ数を算定する。
③ 記録シートに記入した流況図を清書して、レイノルズ数による流況を図示する。
④ 管路の入り口形状による流れへの影響について図化する。
⑤ 考察について記述する。実験についての感想ではなく、下記の様な内容について記述
する。
・ レイノルズ数による流れの状態について
・ 入り口形状による流れへの影響について
・ 各水路での限界レイノルズ数の推定(どの程度の流れで層流から乱流へ遷移した
かを推察する)
【限界レイノルズ数(Rec)】
水道の蛇口の栓を絞って少量の水を出すと、透き通ったきれいな流出液柱が見られます。しか
し,栓を大きく開いて多量の水を出すと、やや不透明な乱れた流れになってしまいます。前者の
ような流れを層流(laminar flow)といい、後者のような流れを乱流(turbulent flow)といいます。
1883 年レイノルズは管内の層流・乱流について最初の明確な実験を行いました。彼は下の図
に示すように、入り口部に丸みをつけたガラス管内を流れる水に着色液を注入して管内部を観察
しました。すると,着色液は管内流の流量が小さい間は、線状となって秩序よく流れ、つまり管
内流が層流であることを示しましたが(図 a参照)、ある流量を超えると急に乱れて拡散し、つま
り管内流が乱流となっていることを示しました(図 b参照)。
(a) 層流 (Re < Rec )
(b) 乱流 (Re > Rec )
5-4
【データ記録シート】 実験日 :平成 年 月 日 氏名: ○ 管路-1
水温: °C 動粘性係数 ν= cm2/s 管路径 D= 断面積 a= cm2
No. W
(cm3) t (s)
Q=W/t
(cm3/s)
V=Q/a
(cm/s) VD Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
5-5
○ 管路-2
水温: °C 動粘性係数 ν= cm2/s 管路径 D= 断面積 a= cm2
No. W
(cm3) t (s)
Q=W/t
(cm3/s)
V=Q/a
(cm/s) VD Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
5-6
○ 管路-3
水温: °C 動粘性係数 ν= cm2/s 管路径 D= 断面積 a= cm2
No. W
(cm3) t (s)
Q=W/t
(cm3/s)
V=Q/a
(cm/s) VD Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
6-1
6.湾曲水路洗掘実験(テーマ-5)
6-1. 実験の目的
水路の湾曲部においては、遠心力により発生する2次流により湾曲外岸部に洗掘が発生する。河
道の湾曲部において生じる局所洗掘により洪水時に堤防の決壊などが生じるため、最大洗掘深の予
測、洗掘位置の推定などが重要である。
本実験では、単湾曲の水路において生じる河岸洗掘現象について把握するため、流量規模による
洗掘深、洗掘位置、洗掘範囲を計測する。
実験では、通水後の洗掘形状の計測とともに通水中の湾曲部の流れの状況について観察し、2 次
流の流れと砂の動きを確認する。
6-2. 実験装置
実験装置図
★ 2 次流による洗掘状態を把握する。
★ 湾曲部での2次流の発生メカニズムを把握する。
★ 湾曲部の砂州の発生状態を把握する。
水路幅 : 20cm
実験砂 d=0.8mm 比重 2.65
6-2
6-3. 実験方法
① 河床の砂をへらを用いて目印の線の深さに均一に水平に敷きならす。
② 通水前の河床の高さをゲージ(スタッフ)を用いて計測する。
③ ポンプを稼働させ水路に通水を行う。
④ 一定時間通水を行い、染料などを用いて湾曲水路の2次流の状況、河床の洗掘状況、堆積状況
を観察する。
⑤ 通水後洗掘した後の河床高をゲージ(スタッフ)を用いて計測し、洗掘状況を把握する。
⑥ 流量を増加させ③~⑤を再度行い、流量規模によって洗掘位置、洗掘深がどのように変化する
か把握する。
6-4. 実験結果の整理
(1) 洗掘深、洗掘範囲の計測
通水前と通水後にゲージ(スタッフ)を用
いて計測した河床の洗掘深について横断図、
縦断図に整理し、湾曲による洗掘深、洗掘範
囲を把握する。
横断図
基準高
計測位置図
①
⑧
⑯
⑫(1/2)
⑪(1/4)
⑩(1/8)
⑨(1/16)
⑭
6-3
【記録シート 河床横断形状の測定】
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
6-4
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
6-5
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
測点 No.
縦断距離:
基準高:
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
通水前 通水後 横断距離 河床高読み値 横断距離 河床高読み値
6-1
凡 例
流向 水面 河床 洗掘域 堆積域
流況・河床形状 観察図
6-2
6-5. レポートの提出
レポートは下記の内容を記述して提出。
① 表紙に、グループ名、学籍番号、氏名、実験名、実験日時を必ず記入。
② 記録シートを整理して、河床の横断形状を図化する。
③ 河床の横断図を基に洗掘縦断図(最深河床高、平均河床高、最高河床高)を作成する。
④ 通水時の流況観察図に横断計測の結果を踏まえて、洗掘・堆積区域を図示する。
⑤ 考察について記述する。実験についての感想ではなく、下記の様な内容について記述する。
(ア) 通水時の流況(水面と河床の流向、河床の移動状況)と洗掘区域・堆積区域を比較しどの
ような位置に洗掘・堆積が生じているかを考える。
(イ) 河床縦断図から最大洗掘高、平均河床高、最高河床高の位置と平面的な洗掘位置を比較し、
どのようなカ所に洗掘・堆積が生じているかを考える。
【2次流の発生】
湾曲2次流は水路の湾曲により流れが強制的に流向を変更させられる時に生じる遠心力により
生じる。遠心力は速度に比例し生じるが、底面部では流速が遅いため遠心力も小さいが水面部では
流速が速く遠心力も大きくなる。この、水深により異なる遠心力の差分により湾曲2次流が発生す
る。湾曲2次流が発生すると、2次流により河床の砂が湾曲内岸へ移送させるため、外岸部の洗掘、
内岸への堆積が生じることとなる。
弯曲部の流れ
θ θ1 θ2
b rc
v u
発生域(
Ⅰ)
完全
発達域(
Ⅲ)
発達域(Ⅱ)
遠心力による二次流
二次流による土砂の輸送
外
岸
内
岸
河川における湾曲部の固定砂州形状
ポイントバー
ポイントバー
6-3
水理実験演習提出レポート
(土木実験Ⅰ、Ⅱ)
層流と乱流実験(テーマ-4)
湾曲水路洗掘実験(テーマ-5)
提出者
班番号
学籍番号
実験日
提出種別 新規提出 再提出 (どちらかを○で囲む)
レポート提出日
再提出日
6-4
【テーマ-4】
○ 管路-1
No. Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
○ 管路-2
No. Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
6-5
○ 管路-3
No. Re=VD/ν 着色液の様子
1
2
3
4
5
【考察】
1.各管路の限界レイノルズ数
限界レイノルズ数 設定したその理由
管路-1
管路-2
管路-3
2.下記の用語について調べる
層流と乱流
限界レイノルズ数
動粘性係数
せん断応力
6-6
【テーマ-5】
① 流況・河床形状観察図を 2 ケースについて、河床横断データによる洗掘域、堆積域を参考にし
て、流況、河床変動状況を清書し、解説を加え図示する。
② 河床横断計測データを用いて横断図(計測した断面数分、下図参照)、縦断図を作成し、湾曲
部のどの部分が洗屈し、どこに堆積が生じているかを記述する。
No.■ 横断図
0
5
10
15
20
25
0 5 10 15 20
横断距離
標高
水路
初期河床
通水後河床
最深河床高
平均河床高
最高河床高
凡 例
流向 水面 河床 洗掘域 堆積域
流況図・河床形状 観察図
堆積域
洗掘域
最大洗掘地点
最大堆積地点
参考
参考
6-7
【考察】
1.流況観察から湾曲部の外岸部が洗掘するメカニズムについて自分なりに把握したメカニズム
を解説する。
2.自分の出身県の代表的な河川を1つ選び、実験で観察した砂州が形成されている区間につい
て示し、砂州の形状について解説する。
県名、河川名、対象区間を忘れずに示す(河川の形状は GoogleMap、GoogleEarth などを用
いて PrintScreen でキャプチャーして図に貼り付ける)
2.下記の用語について調べる
2次流
湾曲螺旋流
砂州
ポイントバー
河床高縦断図
0
2
4
6
8
10
12
14
0 50 100 150 200 250
縦断距離
標高
初期河床
最深河床高
最高河床髙
平均河床髙
湾曲部
参考