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平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデバイス 平成29年3月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線:2155)

平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

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平成28年度

特許出願技術動向調査報告書(概要)

GaNパワーデバイス

平成29年3月

特 許 庁

問い合わせ先

特許庁総務部企画調査課 知財動向班

電話:03-3581-1101(内線:2155)

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第1章 GaN パワーデバイスの技術の概要

本調査は、近年注目されている「GaN パワーデバイス」の特許出願動向から見た技術動向

について調査分析を行うものである。

これまで GaAs(ガリウム・ヒ素)や、Si(シリコン)を材料に用いるトランジスタなど

が衛星通信、移動体通信、レーダなどで使われてきたが、近年、GaN(窒化ガリウム)を材

料とするパワートランジスタの開発が進んでおり、パワー高周波デバイスが携帯電話基地

局などで実用化され、パワースイッチングデバイスも通信機器・情報機器用の電源用途な

どに採用が始まっている。

一方、米国、中国等の海外では、レーダなど、軍用のために開発が進められているとも

言われ、世界的な開発競争が繰り広げられている。

このような背景のもと、GaN を用いたパワーデバイスに関する特許や論文、製品の動向を

調査し、技術革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について検討ことを目的とする。

GaN パワーデバイスの技術俯瞰図を図 1-1 に示す。本調査の調査範囲は、GaN バルク結晶

成長から、GaN パワーデバイスモジュールまでである。ただし、GaN 光デバイスは対象外と

する。

図 1-1 GaN パワーデバイスの技術俯瞰図

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

要素技術の左側に示した結晶の製造プロセスには、バルク結晶成長とエピ成長を含む。

右側に示した GaN デバイスの製造プロセスは、成膜、フォトリソグラフィ、エッチング、

イオン注入などの前工程と、マウンティング、ボンディング、封止といった後工程がある。

さらに、検査・診断技術も調査範囲とする。

要素技術の中央部には、下から上に向かって製造物の流れを示している。GaN パワーデバ

イスを作製するためのベースとなる基板(エピ用基板)には、Si、SiC、サファイアなどが

あり、その上に GaN エピ層を形成する。これらは、例えば GaN on Si のように表記される。

エピ用基板に GaN ウエハを用いたもの、すなわち GaN on GaN は、同じ材料を使用している

ことから、ホモエピ基板と呼ばれる。エピ用基板の上にバッファ層や能動層をエピ成長さ

せる。

その上に形成される素子のタイプには、HEMT、MOSFET(MISFET)、バイポーラトランジス

タ、ダイオードなどがある。これらを形成するための素子構造として、エピ層の構成、電

極、ガードリング、パッシベーションなどがあり、これらを組み立ててディスクリート、

モジュール、MMIC などを形成して GaN パワーデバイス製品が出来上がる。

GaN パワーデバイスの応用分野には、大きく分けてパワースイッチング分野と高周波分

野がある。図中には、パワースイッチング分野では動作周波数と耐電圧、高周波分野では

動作周波数と出力の 2 次元平面に、それぞれ輸送機器、産業機器、電力、民生機器、情報

通信機器及び軍用の特性領域を示している。

これらの技術のベースとなる技術として設計シミュレーションがある。また、これらの

技術の課題は、基板関係としては欠陥減少、成長速度向上、低コスト・製造容易化・歩留り

向上などがあり、デバイス・モジュール関係としては、高耐圧・高破壊耐量、低損失、高速

化・高周波化、小型化・軽量化・集積化、信頼性・長寿命化などがある。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2章 市場環境調査

ワイドバンドギャップ(WBG)半導体である窒化ガリウムを用いたパワーデバイス(GaN

パワーデバイス)は、高効率で高速動作が可能なデバイスとしてエネルギー問題の解決や

高度情報化社会を実現する様々なシステムへの応用が期待されている。

GaN の高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)は、これまで電子管やガリウム・ヒ素(GaAs)

デバイス、シリコン(Si)LDMOS トランジスタなどが使われてきた携帯電話基地局、各種レ

ーダ、マイクロ波無線通信などの通信インフラ向けのパワー高周波デバイスとして、着実

にその採用分野を拡大している。

一方、パワースイッチングなどのパワーエレクトロニクス分野においては、これまでシ

リコン(Si)を材料とする MOSFET やスーパージャンクション(SJ)MOSFET、IGBT、ダイオ

ードなどが使われてきた。近年、WBG 半導体の炭化ケイ素(SiC)を材料としたパワーデバ

イスが次世代パワーデバイスとして、特に高耐圧の応用分野に採用が拡大している。GaN パ

ワースイッチングデバイスは高速性能と高効率特性を生かして、通信機器・情報機器用の

電源、太陽光発電のパワーコンディショナなどへの採用が始まり、将来の市場拡大が期待

されている。

GaN パワーデバイスの現在の市場は、既にかなり普及している GaN パワー高周波デバイ

ス市場と、2014 年頃から本格採用が始まった GaN パワースイッチングデバイス市場から形

成されている。いずれの市場も今後の高成長が期待されているが、応用分野ごとに競合す

るデバイスが異なり、期待される要求特性や許容されるコストは異なっている。

第1節 GaN パワーデバイスの市場環境

1.GaN パワー高周波デバイス市場

(1)GaN パワー高周波デバイスの世界市場と応用分野別世界市場

GaN パワー高周波デバイスの採用が期待される高周波パワーデバイスの応用市場に

関して、動作周波数と出力パワーの関係を図 2-1 に示す。携帯電話基地局や基地局間

マイクロ波通信などのワイヤレス通信インフラ分野、放送分野、電子レンジなどが挙

げられている。

GaN パワー高周波デバイスの応用分野別 2015 年世界市場シェアを図 2-2 に示す。主

な応用分野は携帯電話基地局や基地局間のマイクロ波通信インフラなどのワイヤレス

インフラ(Wireless infrastructure)向けで、全体の 55%と最大である。続いて、レ

ーダや通信などの防衛分野(Defense)向けが 36%となっており、合わせて 91%の市

場を形成している。主力市場であるワイヤレスインフラ向けが市場成長を牽引してい

る。2015 年に中国の「4G」携帯電話基地局向け投資が急拡大し、その後も順調に世界

で成長を示している。

GaN パワー高周波デバイスは、今後も順調な市場成長が予測されている。応用分野別

では、2015 年時点で 50%シェアを超えているワイヤレスインフラ向けがさらにシェア

を伸ばす予測がされている。2020 年前後から、5G 携帯電話基地局向け大型投資が開始

される見込みであり、今後も GaN パワー高周波デバイス市場は、年率平均 14%程度の

成長が予測されている。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 2-1 GaN パワー高周波デバイスの採用が期待される応用市場

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)広報誌「Focus NEDO 第 55 号」より作成。

図 2-2 GaN パワー高周波デバイス世界市場の応用分野別シェア

出典:Yole Developpement, GaN RF Market, Applications, players, devices, and substrates 2016-2022

を基に作成。

2.GaN パワースイッチングデバイス市場

(1)GaN パワースイッチングデバイスの世界市場と応用分野別世界市場

GaN パワースイッチングデバイスの採用が期待されるパワーエレクトロニクス応用

市場に関して、スイッチング動作周波数と出力パワーの関係を図 2-3 に示す。HEV/EV、

スイッチング電源、AC アダプター、汎用インバータなどが挙げられている。

2015 年のパワースイッチングデバイス全体の世界市場は約 122 億ドルと報告されて

いる1。このうち SiC パワーデバイス市場が 1.47 億ドル、GaN パワースイッチングデバ

イス市場は約 7.8 百万ドルである。GaN パワースイッチングデバイスの応用分野別世

界市場シェアを図 2-4 に示す。GaN パワースイッチングデバイスはメガヘルツ(MHz)

1 富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

レベルの高速スイッチングに適しており、電源やパワースイッチング回路の小型化や

高効率化を実現できる。一方、現在の GaN-HEMT 素子は横型トランジスタのため大電流

動作への適用が難しい。このため、家電やテレビなどの民生機器や情報通信機器の電

源、太陽光発電の比較的小型のパワーコンディショナなどから採用が始まっている。

図 2-3 GaN パワースイッチングデバイスの採用が期待されるパワーエレクトロニクス応用市場

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)広報誌「Focus NEDO 第 55 号」より作成。

図 2-4 GaN パワースイッチングデバイスの応用分野別世界市場シェア

出典:富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望を基に作成。

GaN パワースイッチングデバイス市場は未だ黎明期のため、現状はスポット的な販

売が多いとされており、今後、地域別構成比は変化していく可能性が高い。現状、日

本・中国以外のほかアジア地域が約半分のシェア1を占めているが、特に電源メーカー

が集積している台湾が重要市場の一つと思われる。今後、自動車、産業機器向け市場

の立ち上がりにより、日米欧市場の拡大も予想される。

1 富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望

民生機器21%

情報通信

機器47%

新エネル

ギー32%

2015年 7.8百万ドル 民生機器7%

情報通信

機器38%新エネ

ルギー25%

自動車19%

産業機器11%

2020年予測 437.7百万ドル

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

3.GaN ウエハ市場

現在、GaN パワー高周波デバイス向けウエハはほとんど GaN on SiC ウエハで、2015 年

には約 25 百万ドルの市場規模となっている。ワイヤレスインフラ向けが 53%、防衛分

野向けが 39%とされている1。一方、パワースイッチングデバイス向けは未だ黎明期であ

るが、2014 年の約 0.4 百万ドルが、2015 年には 3.1 百万ドルに成長した2。パワースイ

ッチング用 GaN ウエハは、GaN on Si 基板と GaN バルク基板の合計である。

パワースイッチング用ウエハ市場に関して、GaN ウエハと比較用に SiC ウエハの地域

別・国別の世界市場シェアを図 2-5 に示す。SiC ウエハの場合、北米が 73%で圧倒的な

シェアを占めている。これに対して、GaN ウエハ市場は未だ立ち上がり時期ではあるが、

北米と日本メーカーが世界シェアを分けており、日本は 42%を占めている。

GaN 発光素子で GaN エピ基板に実績豊富な日本メーカーは、パワースイッチング用の

GaN on Si のエピ基板でも強みを発揮している。さらに GaN バルク基板の開発でも先行

しており、今後も、日本メーカーが GaN ウエハの供給で継続して主要な位置を占めてい

く可能性が高い。このポジションを生かして、GaN パワーデバイスの量産化開発で世界を

リードする戦略検討も重要である。

図 2-5 パワースイッチング用 GaN ウエハ及び SiC ウエハの国(地域)別世界市場シェア

出典:富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望を基に作成。

1 Yole Developpement, GaN RF Market, Applications, players, devices and substrates, 2016-2022 2 富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望

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目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第2節 GaN パワーデバイス関連製品の市場動向

1.GaN パワーデバイスと競合するパワーデバイスの市場推移/予測、市場シェア

(1)パワー高周波デバイス市場

GaN パワー高周波デバイスの主な市場であるワイヤレス通信インフラ市場では、こ

れまで、シリコンの LDMOS トランジスタを採用したパワー高周波アンプが市場を席巻

してきた。Si-LDMOS は価格性能比に優れているためである。

小型・低消費電力に優れた GaN パワー高周波デバイスは、データ通信速度と大容量

化に対応した 4G 携帯電話システムが導入されるに伴い、スモールセルや無線部をアン

テナ側に設置する RRH 基地局向けなどに採用が拡大している。3GHz 以上の高周波帯で

出力 40W 以上のクラスでは、GaN-HEMT が優位とされている。2014 年のワイヤレスイン

フラ向け GaN パワー高周波デバイスの売上げ規模は約 1.1 億ドルであり、ワイヤレス

インフラ向けパワー高周波デバイス市場全体の約 11%に達している。

世界における GaN パワー高周波デバイスの市場規模の推移/予測を図 2-6 に示す。

2015 年の市場規模は 299 百万ドルで、2016 年から 2022 年にかけて年平均 14%の高成

長を示し、2022 年には約 2.5 倍の 756 百万ドルに達すると予測されている。

図 2-6 GaN パワー高周波デバイスの世界市場規模の推移/予測(百万ドル)

出典:Yole Developpement, GaN RF Market, Applications, players, devices, and substrates 2016-2022

を基に作成。

(2)パワースイッチングデバイス市場

パワースイッチングデバイス全体の世界市場規模推移について、2010 年以降 2015 年

までの実績とその後 10 年間の予測を図 2-7 に示す。なお、電源用パワーIC を除いた

パワーデバイス市場について示している。

パワーエレクトロニクス分野向けのパワースイッチングデバイス全体の市場は、

2015 年から 2020 年の年平均成長率(CAGR)は 3.3%程度と予測されている1。応用分

野別では、自動車、産業機器向けが大きな市場に成長すると見込まれている。

大きな市場として注目される自動車及び産業機器向けパワースイッチングデバイス

市場では、パワーモジュールと SiC パワーデバイスが成長を牽引すると予測されてい

る。GaN パワースイッチングデバイスも 2020 年には SiC に次ぐ成長を示し、2020 年以

降の高成長が期待される。

1 富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望を基に計算したもの

0.0

100.0

200.0

300.0

400.0

500.0

600.0

700.0

800.0

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022

Others

CATV

Satellite communication

Defense

Wireless infrastructure

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

図 2-7 パワースイッチングデバイスの世界市場規模の推移/予測(百万ドル)

出典:富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望、2013 年版次

世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望を基に作成。

2015 年のパワースイッチングデバイス全体の世界市場は約 122 億ドルであるが、こ

のうち GaN パワースイッチングデバイスの市場は約 780 万ドルである。現状の市場規

模のシェアは小さいが、高い成長率を示すとされる新エネルギー分野や、情報通信機

器分野向けなどは有望な応用分野である。

GaN パワースイッチングデバイスの世界市場規模の推移/予測を図 2-8 に示す。2018

年以降に急速に成長し、2020 年には 437 百万ドルに達すると予測されている。

図 2-8 GaN パワースイッチングデバイスの世界市場規模の推移/予測(百万ドル)

出典:富士経済、2016 年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連市場の現状と将来展望を基に作成。

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

2010(実績)

2011(実績)

2012(実績)

2013(実績)

2014(実績)

2015(実績)

2016(見込)

2017(予測)

2018(予測)

2019(予測)

2020(予測)

2021(予測)

2022(予測)

2023(予測)

2024(予測)

2025(予測)

その他WBG

GaN

SiC

パワーモジュール

IGBTディスクリート

サイリスタ

トランジスタ

ダイオード

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

2014(実績)

2015(実績)

2016(見込)

2017(予測)

2018(予測)

2019(予測)

2020(予測)

2021(予測)

2022(予測)

2023(予測)

2024(予測)

2025(予測)

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第3章 特許動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

1.調査対象とした特許出願

GaN パワーデバイスに関する特許出願動向について、全体動向調査、技術区分別動向調

査、出願人別動向調査を行った。

(1)調査対象とした出願先国(地域)

今回調査した特許の出願先国(地域)は、日本、米国、欧州、中国、韓国及び台湾

(以下、日米欧中韓台と略すことがある)である。欧州への出願については、欧州特許

条約(EPC)に基づく欧州特許庁への出願だけでなく、データベースに収録された各出

願先国への出願も対象とした。

(2)使用するデータベース

特許文献の検索に使用したデータベースは、Derwent World Patents Index(トムソ

ンロイター グローバル リゾーシズの登録商標)(WPINDEX(STN)、以下 WPI とする)

である。また、書誌事項の入手には、Shareresearch(株式会社日立製作所の登録商標)、

及び Thomson Innovation を併用した。

(3)調査対象期間

調査対象とした特許文献は、出願年(優先権主張年)を基準に、2000 年から 2014 年

に出願されたものとした。登録についても同様に、出願年(優先権主張年)を基準に、

2000 年から 2014 年に出願されたものを調査対象とした。

(4)調査対象技術範囲

調査対象とした GaN パワーデバイスに関する技術の範囲は、第1章技術の概要の図

1-1 で示したとおり、以下の要素技術を含む。

① 素子タイプ ② 材料 ③ 製造プロセス

④ 課題 ⑤ 適用モジュール ⑥ 使用帯域

(5)その他の留意事項

①出願人国籍(地域)は、日本国籍、米国籍、欧州国籍、中国籍、韓国籍、台湾籍及

びその他の国籍に分けて集計した。出願人国籍(地域)は、原則として筆頭出願人

の住所を基準とした。ただし、米国の公開特許公報のように出願人が明記されて

いない特許文献については、ファミリー特許出願に出願人が明記されたものがな

いかを調査し、見付からない場合は筆頭発明者の住所で代用した。

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要約

第1部

第2部

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第4部

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資料編

第6部

②出願人国籍(地域)別出願動向において、欧州国籍の出願とは、2016 年 12 月 1 日

現在の EPC 加盟国である 38 か国1の国籍の出願人からの出願とする。

③特許の出願先国(地域)によってデータベースに収録されるまでの時間差がある

ため、全ての特許データが収録されている期間が各国で異なっている。このため、

特に 2012 年以降は全データが取得されていない可能性があることに留意が必要

である。

④登録件数の年次推移については、審査請求制度の有無、特許出願から審査請求ま

での期間、及び審査に掛かる期間が各国で異なることを念頭に置いて評価する必

要がある。

⑤出願人別出願件数上位ランキングの集計において、共同出願の場合は筆頭出願人

のみカウントし、筆頭出願人以外の出願人についてはカウントしないこととし、

一出願を一出願人に対応させた。

2.調査方法

GaN パワーデバイスに関する日米欧中韓台への特許出願を WPI で検索し、抽出された

特許文献の内容から、GaN パワーデバイスに関する特許出願が述べている基本事項(基板

の構成、素子タイプ、電流の向き、技術区分)の分類と、応用分野、課題、及び特徴点の

技術分類を行った。技術分類に当たって使用した技術区分表を表 3-1 に示す。

その発明が、特定の応用分野を念頭に置いて創出されたとされる場合は、応用分野の

技術区分表に沿って分類した。

その発明が解決すべき課題としている技術を、課題の技術区分表に沿って分類した。

さらに、特許文献の内容からその発明の特徴点を、大きく素子、モジュール、製造プロ

セス(製造方法と製造装置を含む)に分けて分類した。また、使用帯域として、高周波デ

バイス分野とスイッチングデバイス分野に分けて、明細書に記載された「周波数帯域」

を集計した。さらに、明細書に記載された「耐電圧」を集計した。

基本(基板の構成、素子タイプ、電流の向き)、応用分野、課題、特徴点(素子、モジ

ュール、製造プロセス)及び使用帯域については、それぞれ複数の項目を選択すること

を認めた。また、基本(基板の構成、素子タイプ、電流の向き)については、「明記無し」

を含めてどれか必ず一つ以上選択することとした。基本(技術区分)は、「明記無し」を

含めてどれか必ず一つ選択することとした。

なお、特徴点(素子、モジュール、製造プロセス)については、三つの特徴点の全体か

ら必ず一つ以上選択することとした。

1 EPC 加盟国(2016 年 12 月 1 日現在)は、アルバニア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、スイス、キ

プロス、チェコ、ドイツ、デンマーク、エストニア、スペイン、フィンランド、フランス、イギリス、ギ

リシア、クロアチア、ハンガリー、アイルランド、アイスランド、イタリア、リヒテンシュタイン、リト

アニア、ルクセンブルク、ラトビア、モナコ、マケドニア旧ユーゴスラビア、マルタ、オランダ、ノルウ

ェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スウェーデン、スロベニア、スロバキア、サン

マリノ、トルコの 38 か国である。

https://www.epo.org/about-us/organisation/member-states.html

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第6部

表 3-1 技術区分表(上位項目のみ抜粋)

・大分類:基本 ・大分類:応用分野 ・大分類・課題

中分類 小分類 小分類 細目 中分類 小分類

基板の構成 GaN on Si 輸送機器 基板 欠陥減少 GaN on SiC 自動車 結晶配向制御 GaN on サファイア 鉄道 平坦化 GaN on GaN 航空・宇宙 大口径化 GaN on AlN その他 成長速度向上

明記無し 産業機器

低コスト・製造容易化・歩

留り向上

その他 ロボット・工作機

その他

素子タイプ バイポーラトランジスタ その他 デバイス・

モジュール

高耐圧・高破壊耐量 MOSFET (MISFET) 電力 低損失 IGBT 発電システム 高速化・高周波化 JFET 送配電システム 大電流対応 MESFET 蓄電システム ノーマリーオフ化 サイリスタ ワイヤレス給電 温度変化対策 ダイオード その他 寄生素子対策 明記無し 民生機器 電磁波対策 その他 家電機器 小型化・軽量化・集積化

電流の向き 縦型 空調機 信頼性・長寿命化

横型 照明

低コスト・製造容易化・歩

留り向上 明記無し 映像機器 その他

技術区分 高周波デバイス分野 その他

スイッチングデバイス

分野 情報通信機器

両分野とも記載 パソコン

明記無し サーバ・データセ

ンタ

ミリ波通信 レーダ 携帯端末 基地局 その他

軍用

その他

・大分類:特徴点(素子) ・大分類:特徴点(モジュール)

中分類 小分類 中分類 小分類

半導体領域 ソース/エミッタ部 モノリシック集積回路

ドレイン/コレクタ部

MMIC チャネル/ゲート部

素子レベルでの混載

ドリフト/高抵抗部

回路 その他

その他

電極構造・配線構造 ソース/エミッタ部

パッケージ レイアウト ドレイン/コレクタ部

実装・ボンディング

チャネル/ゲート部

封止・封緘 基板(p型領域)とのコンタクトメタル

多チップ積層・一体化

その他

冷却方法

終端部 メサ・ベベル

リード線・端子 フィールドプレート

回路

ガードリング

その他 その他

パッシベーション

中間層 半導体層 バッファ層 その他

その他

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- 12 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

・大分類:特徴点(製造プロセス)

中分類 小分類 細目 中分類 小分類 細目

GaN バルク結晶成

ウエハプロセス

(前工程)

洗浄

気相法 成膜 HVPE 誘電体膜形成 MOCVD 金属膜形成 その他 その他 液相法 フォトリソグラフィ アモノサーマル法 エッチング フラックス法 イオン注入 その他 n型形成 貼り合わせ p型形成 剥離 分離用 その他 不純物の種類

バッファ層形成 その他 形成条件 熱処理

その他

多 段 階 工 程 ( プロ

セスフロー)

エ ピ 成 長 ( 半 導 体

層)

その他

成長方法 表 面 ・ 形 状 加

工(切断、研磨

等)

切断 スパッタ・蒸着 研磨 気相成長 貼り合わせ 液相成長 その他 その他 ア セ ン ブ リ ー

(後工程)

マウンティング

基板との関係 ボンディング

ホモエピ成長 ダイボンディング

ヘテロエピ成長 ワイヤボンディング

その他 その他

封止・封緘

その他

検査・診断

設 計 ・ シミ ュレ

ーション

・大分類:使用帯域の技術区分表 ・耐電圧の技術区分表

中分類 小分類 中分類 小分類

高周波デバイス分野 3MHz 未満 耐電圧 100V 以下(≦100V) 3≦ <30MHz 200V 級(100< <400V) 30≦ <300MHz 600V 級(400≦ <900V) 300MHz≦ <1GHz 1200V 級(900≦ <2000V) 1≦ <8GHz 3300V 級(2000≦ <4000V) 8≦ <75GHz 6600V 級(4000≦ <9000V) 75GHz≦ <1000GHz 10kV 以上(9000≦) 1THz以上

スイッチングデバイス分野 20kHz 以下 20< <100kHz 100≦ <300kHz 300kHz≦ <1MHz 1≦ <3MHz 3≦ <10MHz 10≦ <30MHz 30≦ <100MHz 100MHz 以上

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- 13 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

884件

41.6%

米国籍

788件

37.1%

欧州国籍

300件

14.1%

中国籍

51件

2.4%

韓国籍

52件

2.4%

台湾籍

5件

0.2%その他

44件

2.1%

合計

2,124 件

4661

71 7894

133

160 154 151 158

174

226 233218

167

50

100

150

200

250

20

40

60

80

100

120

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

日本

6,267件

31.5%

米国

5,653件

28.4%

欧州

2,210件

11.1%

中国

2,685件

13.5%

韓国

1,755件

8.8%

台湾

1,334件

6.7%

合計

19,904 件

682808 762

923

1,0841,375

1,4671,331

1,290

1,4661,647

2,108 2,134

1,755

1,072

500

1,000

1,500

2,000

2,500

100

200

300

400

500

600

700

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 合計

出願先国(地域)

優先権主張

2000-2014年

第2節 全体動向調査

1.PCT 出願動向

出願人国籍(地域)別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率を図 3-1 に示す。

PCT 出願件数の合計は 2,124 件で、2000 年から 2012 年までおおむね増加傾向である。

その中で、2005 年から 2006 年、2011 年から 2012 年の二つの時期に出願件数のピークが

見られる。また 2010 年から 2011 年には、特に日本国籍出願人による出願件数が増加し

ている。

図 3-1 出願人国籍(地域)別 PCT 出願件数推移及び出願件数比率(出願年(優先権主張年)2000-2014 年)

2.全体動向

出願先国(地域)別出願件数推移及び出願件数比率を図 3-2 に示す。

出願件数の合計は 19,904 件で、このうち出願先国(地域)別で最も多いのは日本の

6,267 件で全体の 31.5%を占めている。次いで米国への出願が 5,653 件(28.4%)、中国

への出願が 2,685 件(13.5%)、欧州への出願が 2,210 件(11.1%)と続いている。

2010 年代に入り、特に中国への出願件数が相対的に増加している。

図 3-2 出願先国(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優

先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない可

能性がある。

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- 14 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

台湾42

55 40 44 46

58 55 35 41

50 61 91 61 22 2

韓国42 44

57 62 69 70 78 67 61 54 60 74 86 36 27

中国27 37

53 59 108 80 90 95 108 134 142 138 106 48 36

欧州 62 44

51 54 51 59 56 35 31 44 40 31 19 9 1

米国 184 179 164 229 205 299 289 260 255 285 324 397 343 243 59

日本 108 157 136 181 210 221 285 252 263 296 299 296 150 46 17

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

出願先国

(地域)

出願年(優先権主張年)

優先権主張2000~2014年

日本

2,917件

29.0%

米国

3,715件

36.9%

欧州

587件

5.8%

中国

1,261件

12.5%

韓国

887件

8.8%

台湾

703件

7.0%

合計

10,070 件

日本国籍

10,351件

52.0%

米国籍

4,276件

21.5%

欧州国籍

2,171件

10.9%

中国籍

961件

4.8%

韓国籍

1,276件

6.4%

台湾籍

691件

3.5%その他

178件

0.9%

合計

19,904 件

682808

762

923

1,084

1,375

1,4671,331

1,290

1,466

1,647

2,108 2,134

1,755

1,072

500

1,000

1,500

2,000

2,500

200

400

600

800

1,000

1,200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

出願先国(地域)別登録件数推移及び登録件数比率を図 3-3 に示す。

登録件数の合計は 10,070 件で、このうち出願先国(地域)別で最も多いのは米国の

3,715 件で全体の 36.9%を占めている。次いで日本の 2,917 件(29.0%)、中国の 1,261

件(12.5%)、韓国の 887 件(8.8%)と続いている。

図 3-3 出願先国(地域)別登録件数推移及び登録件数比率(日米欧中韓台での登録、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)調査時点で審査請求前や審査中の出願が存在するため、2014 年に近づくにつれて件数が減少することに

注意すること。

出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率を図 3-4 に示す。

出願人国籍(地域)別で最も多いのは日本国籍出願人の 10,351 件で全体の 52.0%を占

めている。次いで米国籍出願人による特許出願が 4,276 件(21.5%)、欧州国籍出願人に

よる出願が 2,171 件(10.9%)と続いている。2011 年以降、中国籍出願人による出願件

数の増加傾向が見られる。

図 3-4 出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

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- 15 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

台湾

577 386 115 14 21 207 14

韓国

570 295 173 6 668 27 16

中国

981 381 280 835 92 88 28

欧州

771 558 742 16 74 17 32

米国 2,221 2,111

573 67 300 313 68

日本 5,231

545 288 23 121 39 20

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

出願先国

(地域)

出願人国籍(地域)

出願先国(地域)別の出願人国籍(地域)別出願件数を図 3-5 に示す。

日本への出願件数は、日本国籍出願人による件数がほとんどを占め、次いで米国籍、

欧州国籍、韓国籍の出願人による件数と続いている。米国への出願件数は、日本国籍と

米国籍の出願人によるものが多数を占め、次いで欧州国籍、台湾籍、韓国籍の出願人に

よるものが続いている。欧州への出願件数は、主に日本国籍、欧州国籍、米国籍の出願

人から各々ほぼ同規模の件数で出願されている。中国への出願件数は、日本国籍と中国

籍の出願人による出願件数が多数を占め、次いで米国籍、欧州国籍の出願人によるもの

が続いている。韓国への出願件数は、韓国籍、日本国籍の出願人によるものが多く、次

いで、米国籍、欧州国籍の出願人によるものと続いている。台湾への出願件数は、日本

国籍、米国籍の出願人によるものが多く、次いで、台湾籍、欧州国籍の出願人によるも

のが続いている。

図 3-5 出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

日米欧中韓台への出願における出願先国(地域)別出願人国籍(地域)別出願件数収支

を図 3-6 に示す。

日本から米国、欧州、中国、韓国、台湾への各出願件数は、いずれも米国、欧州、中国、

韓国、台湾から日本への出願件数より多い。米国から各国(地域)への出願件数は、欧

州、韓国、台湾に対しては収支がほぼ拮抗しているが、中国への出願件数は中国から米

国への出願件数より多い。欧州から各国(地域)への出願件数は、中国、韓国、台湾への

出願件数が、中国、韓国、台湾から欧州への出願件数より多い。中国から各国(地域)へ

の出願件数は、各国(地域)から中国への出願件数より少ない。韓国と台湾との間の出

願件数は、収支がほぼ拮抗している。

図 3-6 出願先国(地域)別-出願人国籍(地域)別出願件数収支(日米欧中韓台への出願、出願

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- 16 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

5,231件

83.5%

米国籍

545件

8.7%

欧州国籍

288件

4.6%

中国籍

23件

0.4%

韓国籍

121件

1.9%

台湾籍

39件

0.6%

その他

20件

0.3%

日本への出願

6,267件

日本国籍

771件

34.9%

米国籍

558件

25.2%

欧州国籍

742件

33.6%

中国籍

16件

0.7%

韓国籍

74件

3.3%

台湾籍

17件

0.8%

その他

32件

1.4%

欧州への出願

2,210件

日本国籍

981件

36.5%

米国籍

381件

14.2%

欧州国籍

280件

10.4%

中国籍

835件

31.1%

韓国籍

92件

3.4%

台湾籍

88件

3.3% その他

28件

1.0%

中国への出願

2,685件

日本国籍

570件

32.5%

米国籍

295件

16.8%

欧州国籍

173件

9.9%

中国籍

6件

0.3%

韓国籍

668件

38.1%

台湾籍

27件

1.5%

その他

16件

0.9%

韓国への出願

1,755件

日本国籍

577件

43.3%

米国籍

386件

28.9%

欧州国籍

115件

8.6%

中国籍

14件

1.0%

韓国籍

21件

1.6%

台湾籍

207件

15.5%

その他

14件

1.0%

台湾への出願

1,334件

日本国籍

2,221件

39.3%米国籍

2,111件

37.3%

欧州国籍

573件

10.1%

中国籍

67件

1.2%

韓国籍

300件

5.3%

台湾籍

313件

5.5%

その他

68件

1.2%

米国への出願

5,653件

545件2,221件

981件

570件

771件

288件

573件

558件

295件

381件

67件

386件

23件

16件

280件

115件

173件

74件

121件

300件

92件

6件88件

14件

17件

21件27件

39件

313件

577件

年(優先権主張年):2000-2014 年)

3.出願人属性別出願動向

出願人国籍(地域)別-出願人属性別出願件数比率を図 3-7 に示す。日米欧韓国籍出

願人は、7 割以上が企業からの出願であるが、台湾籍は約半数、中国籍は約 3 分の 1 が企

業からの出願で、大学からの出願件数比率が大きくなっている。共同出願の属性別の内

訳を表 3-2 に示す。これによると、中国籍を除く各国籍(地域)出願人で企業と個人の

共同出願が多いが、日本国籍出願人は、企業と大学との共同出願が相当数あることが分

かる。

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- 17 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

企業

8,544件

82.5%

大学

131件

1.3%

研究

機関

126件

1.2%

個人

23件

0.2%

共同

出願

1,527件

14.8%

合計

10,351件

企業

3,092件

72.3%

大学

401件

9.4%

研究

機関

30件

0.7%

個人

48件

1.1%

共同

出願

705件

16.5%

合計

4,276件

企業

1,535件

70.7%

大学

34件

1.6%

研究

機関

200件

9.2%

個人

12件

0.6%

共同

出願

390件

18.0%

合計

2,171件

企業

328件

34.1%

大学

311件

32.4%

研究

機関

182件

18.9%

個人

35件

3.6%

共同

出願

105件

10.9%

合計

961件

企業

912件

71.5%

大学

125件

9.8%

研究

機関

87件

6.8%

個人

10件

0.8%

共同

出願

142件

11.1%

合計

1,276件

企業

349件

50.5%大学

137件

19.8%

研究

機関

38件

5.5%

個人

38件

5.5%

共同

出願

129件

18.7%

合計

691件

図 3-7 出願人国籍(地域)別-出願人属性別出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

a)日本国籍出願人 b)米国籍出願人 c)欧州国籍出願人

d)中国籍出願人 e)韓国籍出願人 f)台湾籍出願人

表 3-2 共同出願の属性別内訳 日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍 韓国籍 台湾籍

共同出願詳細 出願件数 出願件数 出願件数 出願件数 出願件数 出願件数

企 - 企 460 92 117 15 20 10

企 - 大 337 35 28 49 35 15

企 - 研 57 0 40 11 4 0

企 - 個 579 373 128 7 57 70

大 - 大 0 3 0 0 2 0

大 - 研 34 75 27 0 4 0

大 - 個 7 49 2 1 5 13

研 - 研 3 1 7 0 0 0

研 - 個 2 23 13 5 3 7

個 - 個 9 37 8 9 11 12

企 - 研 - 個 5 0 1 0 0 0

大 - 研 - 個 0 9 2 0 0 0

企 - 大 - 研 15 6 12 0 0 0

企 - 大 - 個 19 2 3 8 1 2

企 - 大 - 研 - 個 0 0 2 0 0 0

合計 1,527 705 390 105 142 129

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- 18 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

バルク結晶

分野

4,835件

22.6%

高周波

デバイス

分野

2,756件

12.9%

スイッチング

デバイス

分野

3,996件

18.7%

その他明記

無し

9,779件

45.8%

その他明記無し 377 352 450 472 487 692 720 631 653 714 810 984 966 928 543

スイッチングデバイス分野43 67 52 78 185 224 199 189 207 278

442 636 668 450

278

高周波デバイス分野97 106 54 100 193 178 177 184 148 169 239

320 363 268 160

バルク結晶分野

183

330

227

313 335 396 445 436 361 405 307 368 362

221 146

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

第3節 技術区分別動向

GaN パワーデバイスの特許出願動向を技術区分別に集計するに当たり、デバイス技術

とバルク結晶技術は全く異なる分野であること、さらに、デバイス技術においても高周

波デバイスとスイッチングデバイスでは技術内容が異なるという判断から、バルク結晶

分野、高周波デバイス分野、スイッチングデバイス分野に分けて技術区分別動向を調査

することとした。

高周波デバイス分野とスイッチングデバイス分野は、技術区分(基本)の中にどちら

の分野に関する特許出願か、両方とも記載されているか、どちらとも明記されていない

かを区分する項目を設け、両方とも記載されているものは両方の分野でカウントした。

バルク結晶分野は、特徴点(製造プロセス)の GaN バルク結晶成長の中の技術に該当す

るものをカウントした。これらの出願件数推移と出願件数比率を図 3-8 に示す。これに

よると、どの分野かが明記されておらず、GaN バルク結晶成長技術でもないために、どの

分野にも属さない特許出願が半数近くあることが分かった。このため、分野に分けない

出願動向(全体という)も集計することとした。

図 3-8 分野別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

分野別出願動向によると、バルク結晶分野の出願件数が最も多く、次いでスイッチン

グデバイス分野、高周波デバイス分野の順となっている。出願件数の年次推移を見ると

バルク結晶分野は、2001 年に 330 件となって以降、最高でも 2006 年の 445 件と大きな

増減は見られない。これに対して、高周波デバイス分野は、2000 年の 97 件から 2012 年

の 363 件まで大きく増加していることが分かる。スイッチングデバイス分野についても、

2000 年の 43 件から 2012 年の 668 件まで大きく増加している。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明記無し 565 632 608 685 698 904 1,061 897 841 865 997 1,096 1,162 895 586

横型96 145 112 201

324 399 333 346 351 486 490 800 848 686 419

縦型22 34 51 49 75 88 80 104 113 128 168 232 138 187 73

その他15 13 32 19 13 17 21 15 36 28 17 38 57 22 17

明記無し 481 580 440 600 615 758 906 812 722 736 830 881 895 738 467

ダイオード27 44 56 43 66 83 80 88 121 154 185 239

251 160 92

サイリスタ1 4 25 2 12 5 7 2 13 8 5 30 18 4 1

MESFET102 106 121 144 221

293 264 296 231

343 367 475 558 415 277

JFET4 9 29 14 24 20 33 29 22 77 37 107 49 45 26

IGBT9 2 1 3 10 14 12 11 16 22 42 58 76 46 34

MOSFET (MISFET)67 72 127 135 200

287

240 206 258 335 387 710 546 588 312

バイポーラトランジスタ39 40 52 52 48 58 43 31 30 21 31 34 85 15 22

その他56 96 65 87 77 120 156 88 137 116 137 151 168 123 92

明記無し 252 355 377 442 515 647 699 646 642 677 786 1,095 1,019 835 561

GaN on AlN9 36 24 39 90 59 73 59 65 86 58 60 80 68 38

GaN on GaN69 102 105 122 193 225 242 240 204

264 258 402 379 296 155

GaN on サファイア 277 290 219 218

284 333 304 353 288 324 374 495 516 353 246

GaN on SiC

169 180 130 226 294 308 334 343 304 284 414 516 553 403

238

GaN on Si

159 180 102 151 220 245

297 339 293 374 441 660 708 581 293

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

1.全体の技術区分別動向

全体の技術区分(基本)について、出願件数の年次推移を図 3-9 に示す。基板の構成

では、調査対象期間初期には、GaN on サファイアが最も多く、2010 年以降は、GaN on

SiC が GaN on サファイアを上回っている。GaN on Si は 2008 年以降、GaN on サファイ

アを上回り、2009 年以降 GaN on SiC を上回っている。素子タイプでは、MOSFET(MISFET)、

MESFET の順に出願件数が多く、ダイオード、JFET と続いている。電流の向きでは、横型

は縦型の 4 倍以上と多い。

図 3-9 全体の技術区分(基本)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

全体の技術区分(応用分野)別出願件数の年次推移を図 3-10 に示す。比較的出願件数

が多い情報通信機器の中では、基地局が最も多く、携帯端末、レーダがこれに続いてい

る。輸送機器の中では、自動車が最も多く、全ての応用分野の中でも自動車が最も多く

なっている。年次推移については、自動車と鉄道が、2011 年から 2012 年にかけて大きく

増加し、電力一般、送配電システムも増加しているのに対し、これら以外の応用分野に

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他2 1 1 1 7 11 2 8

16 6 13

軍用5 1 14 9 11 2 3 9

19 5 3 8

その他1 1 2 1 10 10 8 1 7 5

基地局6

15 7 9

22 33 25 38 13

27 21 55 35 29 20

携帯端末 19 9 12 4 12

20 11 13 3 3

27 44 34 23 17

レーダ6

24 4 1 11

27 6 13 9 2 7

30 10

15 15

ミリ波通信5 4 1 7

23 6 3 4 10 12 11 10

サーバ・データセンタ1 2 4 5 4 14

パソコン2 1 5 1 1 7 1 2 2 6 13

情報通信機器一般5 7 5

21 7 5 5 3 4 2 1

38 12 10 8

その他4 2 1 1 3 1

映像機器4 3 2 1 3 8 2

照明5 2 1 10 6 3 7 2

空調機2 3 9 6 13 4 6

家電機器1 2 9 1 8 1 6 9

19 11 5

21

民生機器一般11 1 2 1 3 1 6 5 5 9 6 1

その他1 2 1 6 5 7

ワイヤレス給電

蓄電システム1 1 5 2 1

送配電システム3 1 7 7 7 5 12 12 2

発電システム1 1 1 4 2 6 1 14 3

電力一般6 4 1 4 1

1811 9 7

198

22 313 4

その他1 4 1 4

ロボット・工作機械1 1 1 1 1 8

産業機器一般5 3 2 8 4 13 2 8 8 7 4

その他2 5 1

航空・宇宙1 2 14 9 8 2 2 3 2 14 11 8 3 4

鉄道4 2 4 1 6 7 6 27

9 3

自動車9 1 4 9 14

15 5

29 26 33 70 132 63 26

輸送機器一般3 4

17 5 1 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

おいては、2011 年から 2012 年にかけての増加は見られない。

図 3-10 全体の技術区分(応用分野)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

輸送機器

電力 情報通信機器

産業機器

民生機器

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他33 22 4 2 7

軍用41 10 33 5

その他8 6 11 6 15

基地局 162 106 30 25 14 18

携帯端末 65 107 18 5 46 9 1

レーダ16

97 9 21 35 2

ミリ波通信32 39 11 14

サーバ・データセンタ13 17

パソコン10 27 1 1 2

情報通信機器一般 54 48 5 15 11

その他9 3

映像機器20 1 2

照明22 8 6

空調機36 1 1 5

家電機器 70 12 4 6 1

民生機器一般36 6 6 1 2

その他14 8

ワイヤレス給電

蓄電システム9 1

送配電システム8 30 14 2 2

発電システム14 10 5 3 1

電力一般 8830 21 9

その他5 3 2

ロボット・工作機械8 1 2 2

産業機器一般43 13 5 3

その他8

航空・宇宙4 38 12 13 11 5

鉄道 58 2 6 3

自動車 300 57 20 15 32 11 1

輸送機器一般6 22 1 2

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

技術区分

出願人国籍(地域)

全体の技術区分(応用分野)別出願件数を、出願人国籍(地域)別に 1 枚のバブル図

にまとめて、図 3-11 に示す。日本国籍出願人は、自動車が最も多く、次いで基地局、電

力一般、家電機器、携帯端末の順となっている。米国籍出願人は、携帯端末、基地局、レ

ーダが多く、次いで自動車となっている。韓国籍出願人は、携帯端末、レーダが多い。日

本国籍と欧州国籍出願人は、軍用が 0 件であるのに対し、米国籍出願人は 41 件、韓国籍

出願人は 33 件と出願件数が多い。

図 3-11 全体の技術区分(応用分野)別-出願人国籍(地域)別出願件数(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

輸送機器

電力

情報通信機器

産業機器

民生機器

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他 10 1 3

14 1 4 7

パッケージ外6 1 2 2 5 2 7 8

9 27 43 43 19 16

パッケージ内1 1 1 1 1 6

16 12 22 11 37 30 38 22

リード線・端子1 6 2 4 8 3 4

13 20 8

9

その他1 6 6 4 1 4 1

構造1

16 20 17 17 15 8

23 22 42 24 11

材料 9 11 3

15 5

11 1 2

冷却方法一般4

14 1 2 3 1 4 6 2 4 2 2

その他2 1 4

10 8 1

回路1 6 6

12 6

21 14 34 39 60 43 14

カスコード接続1 2 1 2 1 2

30 39 40 16

ゲートドライバ混載1 8 1 1 8 6

18 6

14

スタック型3 2 3 1 3

18 16 7 8

平置き型7 6

12 6

14 5

14 47 15 51 21 28

多チップ積層・

一体化一般

1 2 3 2 1 11

6 25 10

5 その他

5 1 3 2 2 9

5

ケーシング1 5 2 1 4

11 10 15 7

モールド 9 6

10 1 3 1

20 14 25 29 5

封止・封緘一般1 4 4 8 6

実装・ボンディング 172

9 188 4

15 20 55 35 35 20

その他 96 6 1

配線技術8

9 172

106

10 346

9

実装基板7 6 1 7 1

17 16 136

17

レイアウト一般1 5 3 4 1 3 3 8 5 1

その他4 1 4 1 7 3 8 1 8 9 23

4

回路3 4 1

14 14 6

16 25 27 19 57 59 38 27

素子レベルでの混載 16 13 6

23 20 25 26 32 24 30 59 82 62 69 39

MMIC2 2 7

20 10 10 11 4 3

15 33 15 50 12

モノリシック集積回路

一般

1 7 1 4 2 1 12 9

7 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

全体の技術区分(特徴点・モジュール)について、出願件数の年次推移を図 3-12 に示

す。モノリシック集積回路の素子レベルでの混載及び回路の出願件数が多い。パッケー

ジでは、実装・ボンディング、多チップ積層・一体化、冷却方法、回路の出願件数が多

い。この図の中に幾つかの回路の項目があるが、回路の項目は相対的に件数が多い傾向

にある。年次推移の項目間の比較においては、大きな特徴は見られない。

図 3-12 全体の技術区分(特徴点・モジュール)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

多チップ積層・

一体化

モノリシック

集積回路

冷却方法

回路

パッケージ

レイアウト

封止・封緘

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

10kV以上(9000≦) 15 4 4 1

6600V級(4000≦ <9000V) 4 15 1

3300V級(2000≦ <4000V) 1 6 2 4 15 1

1200V級(900≦ <2000V) 1 5 2 2 4 1 11 20 3 8

600V級(400≦ <900V) 2 1 1 1 4 3 4 13 24 1 6 9

200V級(100< <400V) 2 1 1 1 1 2 3 17 1

100V以下(≦100V)

1

15

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

使用帯域(耐電圧)

出願年(優先権主張年)

10kV以上(9000≦) 1 2 4

6600V級(4000≦ <9000V) 1

3300V級(2000≦ <4000V) 1 1 5 2 3

1200V級(900≦ <2000V) 1 2 6 6 6 4 1 3 8 22 6

600V級(400≦ <900V) 2 1 11 7 19 10 7 4 19 29 27 9

200V級(100< <400V) 2 2 4 13 1 5 7 3 13 18 6

100V以下(≦100V) 2 4 1 5 1 2 7 4 7 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

使用帯域(耐電圧)

出願年(優先権主張年)

全体の技術区分(耐電圧)別の出願件数推移について、縦型デバイスと横型デバイス

に分けて図 3-13 に示す。

縦型デバイスの場合は、3300V 級以上も多く出願されており、10kV を超えるものが 20

件以上あるが、横型デバイスの場合は、3300V 級以上のものはまばらである。年代ととも

に徐々に耐電圧の分布が高い方にシフトしているのではないかと考えて年次推移の集計

を行ったが、明確な変化は認められなかった。

図 3-13 全体の技術区分(耐電圧)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

(a) 縦型デバイスの耐電圧別出願件数

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

(b) 横型デバイスの耐電圧別出願件数

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他7

55 28 70 38 46 63 72 26 87 50 61 35 34 22

低コスト・製造容易化・歩留

り向上55 68 60 81 114 188 172 212 163 165 125 147 169 68 57

成長速度向上

8 7 2

37 23 18

9

28 8 8

18 20 8 7 3

大口径化6 10 8

21 26 6

15 28 10 8

25 10

17 17 5

平坦化1

16 5 8

17 12

26 17 16 12 9

29 19 7 13

結晶配向制御 38 8 9

18 21 8

20 6 14 14 14 1 11 2 4

欠陥減少 58 150 109 67 74 89 131 55 99 87 50 72 59 68 28

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

その他 402

91 129 20 44 1 7

低コスト・製造容易化・

歩留り向上994 241 268

87 169 53 32

成長速度向上

145 33 15 7 4

大口径化

135 48 7 7 10 2 3

平坦化

116 32 8 1 41 8 1

結晶配向制御111 46 13 1 17

欠陥減少 669

196 195 28 70 25 13

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

技術区分

出願人国籍(地域)

2.バルク結晶分野の技術区分別動向

バルク結晶分野における技術区分(課題)別出願件数の年次推移を図 3-14 に示す。最

も出願件数が多いのは低コスト・製造容易化・歩留り向上で、次いで欠陥減少である。

図 3-14 バルク結晶分野における技術区分(課題)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

バルク結晶分野における技術区分(課題)別の出願件数を、出願人国籍(地域)別に図

3-15 に示す。日米欧中韓台共に、欠陥減少、低コスト・製造容易化・歩留り向上が多い。

図 3-15 バルク結晶分野における技術区分(課題)別-出願人国籍(地域)別出願件数(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

基板

基板

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明記無し 56 38 13 24

45 72 71 90 41 46 73 82 93 87 42

横型37

58 38

68 141 101 102 86 104 117 143 228 258 171 116

縦型5 10 5 9 7 5 4 8 5 6 26 14 17 10 4

その他1 1 1 1 4 2 4 1 4 3

明記無し 50 19 10 10 37

60 40 51 36 30

54 30

58 52 26

ダイオード5 4 3 1 1 8 11 10 6 9 24 21 36 10 8

サイリスタ1 1 5 10

MESFET26

48 33

53 98 77 74 107 62 98 117 162 206 95 85

JFET5 10 5 1 1 7 3 19 3 5 9 10 6

IGBT1 1 5 1 1 1 1 8 7 4

MOSFET (MISFET)14 26 7 21

62 51 69 39

53 53 84 177 105 130 61

バイポーラトランジスタ8 14 9 20 10 13 12 7 8 6 11 38 8 10

その他13 25 11 17 24 19 7 14 10 15 20

51 17 21

明記無し12 11 14 32

55 57 65 63 31

54 96 106 132 92 60

GaN on AlN2 19 2 1 33 19 11 8 13 10 15 18 34 9 4

GaN on GaN9 26 8 6

51 42 42 38 28

42 34

82 99 59 31

GaN on サファイア 42 53 16 19

65 53 51 68 52 69 45 134 129 63 55

GaN on SiC26

67 14

49 89 55 75 82 81 75 88 157 159 86 69

GaN on Si33

47 5 17

73 32

43 61 50 61 73 154 147 123 54

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

3.高周波デバイス分野の技術区分別動向

高周波デバイス分野における技術区分(基本)別出願件数推移を図 3-16 に示す。基板

の構成では、GaN on SiC、GaN on Si、GaN on サファイアの順に出願件数が多く、GaN on

GaN、GaN on AlN と続いている。年次推移については、各構成とも同様の傾向を示し、

2003 年から 2012 年まで、GaN on SiC の件数が最も多くなっている。素子タイプでは、

MESFET、MOSFET(MISFET)の順に出願件数が多く、バイポーラトランジスタ、ダイオード

と続いている。電流の向きでは、横型は縦型の 10 倍以上と多い。

図 3-16 高周波デバイス分野における技術区分(基本)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

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- 26 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他2

8 2

14 14 22 21 15 6 12 16 13 9 8

低コスト・製造容易化・

歩留り向上22 9 9 26 7 8 14 19 13 22 31 36 23 30 17

その他1 3 2 1

10 1

4 10 3

7 7

TDDB2 1

10 1

4 4

ヒステリシス抑制 5 1

電流コラプスの抑制 6 5 1 2 1

11 6 5 6 2

21 11 9

しきい値変動の抑制 11 2

6 9 1

6

信頼性・長寿命化一般 5 2

9 7 8 4 7 6 14 36 18 11 11

小型化・軽量化・集積化3 2 3

7 8 1

4 5 2

8 14 27 14 8

電磁波対策3

3 1

寄生素子対策 4 4 1 1

9 2

温度変化対策 4 3

6 4 2

4 2

6 11 14 12 8 4

ノーマリーオフ化1

5 3

6 8 12 12 28 45 18 4

大電流対応3 1 2

17 9 3 1 3

6 1 3

4

高速化・高周波化 11 15 14 18 30 23 31 25 12 25 20 37 40 50 29

その他3 1

4 1

8 10 7 6 6 4 4 7 9 11 7

オン抵抗低減2

7 2

4 4 4 12 10 10 6 16 14 13 14

スイッチング損失低減 11 1 2 3

7

低損失一般1

5 9 1

7 12 5 6 15 24 19 3 3

その他1 1 1 3 3

12 102

4

短絡耐量2 1

42

71 1 2

6 4

アバランシェ耐量 4 4 51 1

6 5 53

高耐圧・高破壊耐量一般 71 2 1

11 6 13 9 12 25 14 23 49 24 10

その他 7 1

11 13 5 8 1

7 9 5 7 3

9 1

低コスト・製造容易化・

歩留り向上5

3 2 28 27 19 32

2 10 34 8 17

2 3 成長速度向上

1 1 1 大口径化

1 3 1 3 平坦化

1 1 14

1 5

2 7 12 15 6

結晶配向制御 6 2 1

17 1 1 1

欠陥減少 25 26 7 3 1

9 11 13 12 2 2

10 6 18 7

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

高周波デバイス分野における技術区分(課題)別出願件数推移を図 3-17 に示す。基板

の中では、低コスト・製造容易化・歩留り向上の出願件数が最も多く、次いで欠陥減少

が多くなっている。デバイス・モジュールの中では、高速化・高周波化が最も多く、次い

で低コスト・製造容易化・歩留り向上が多くなっている。高速化・高周波化は、全出願デ

ータを反映していない可能性のある 2013 年の件数においても、2012 年に比べて増加し

ている。

図 3-17 高周波デバイス分野における技術区分(課題)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

基板

高耐圧・

高破壊耐量

信頼性・長寿命化

デバイス・モジュール

低損失

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- 27 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他1

パッケージ外 6 4 1

11 7 5

パッケージ内1 1

5 7 5 1

8 2

8 7

リード線・端子1

6 1 2

その他 6

構造 6 1

5 6 3 6 7 6 5

材料2 1

冷却方法一般 14 1

その他 4 3

回路2

4 1

3 5 16 3 20 1

カスコード接続1 1 1

16 4 1

ゲートドライバ混載1 1

4

スタック型 5 1

平置き型1

3 4 4 22 3 6

多チップ積層・

一体化一般

1 2 その他

1 ケーシング

1 1 1 モールド 5

2 封止・封緘一般

1 4

実装・ボンディング1 2

3 5 3 6 3

その他 6

配線技術1

7 82 2

13 3

実装基板1

71 1

51 1

レイアウト一般 1

その他2 1

6 3 3 7 1

回路1 1

14 6 2

8 5 3 5 3 3 1

3

素子レベルでの混載 16 6 1

14 3 10 1

7 4 4 11 20 19 14 8

MMIC2

12 5 7 7 2

3 5 15 5 20 10

モノリシック集積回路

一般

1 2 1 2

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

高周波デバイス分野における技術区分(特徴点・モジュール)別出願件数推移を図 3-

18 に示す。モノリシック集積回路の素子レベルでの混載、パッケージの多チップ積層・

一体化、及び回路に関する出願件数が、他の項目と比較して多くなっている。モノリシ

ック集積回路では、調査期間の前半、後半で出願件数の差は大きくないが、パッケージ

では、前半より、後半の出願件数が多くなっている。

図 3-18 高周波デバイス分野における技術区分(特徴点・モジュール)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

多チップ積層・

一体化

モノリシック

集積回路

冷却方法

回路

パッケージ

レイアウト

封止・封緘

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- 28 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明記無し6 35 28 28 38

82 74 68 64 85 161 147 233 131 94

横型30 17 19 42

123 127 104 95 105 136 183 342 361 239 153

縦型7 17 7 9 25 19 23 28 40

62 99 152 74 86 33

その他1 3 2 4 3 15 11 9

明記無し5 13 3 22 23

53 33

50 44 40

94 52 132 65 54

ダイオード6 12 18 5 31 34 24 20 41

61 85 159 126 57 50

サイリスタ11 1 6 5 2 2 1 7 5 29 11 3

MESFET16 28 20 32

85 92 103 65 49

100 138 206 215 147 107

JFET5 11 19 3 4 4 5 31 16

75 15 21 8

IGBT1 1 5 8 6 8 11 17 25 42 47 36 19

MOSFET (MISFET)15 13 13 11 48

57 54 64 79 102 175 287 237 227 116

バイポーラトランジスタ1 10 3 11 7 18 4 13 6 2 6 11 31 4 7

その他3 20 3 2 4 21 21 9 20 23 38 36

71 26 21

明記無し10 7 8 32 38

77 47

57 92 104 199 277 306 191 147

GaN on AlN17 4 8 22 22 20 7 11 19 11 25 40 20 11

GaN on GaN2 19 15 10

58 63 60 48 29

70 84 167 161 109 41

GaN on サファイア26

51 33 21

92 76 41

85 51 82 98 175 188 80 69

GaN on SiC12 32 26 26

107 78 85 85 65 76 134 210 205 129 81

GaN on Si8 33 16 7

102 67 62 72 68 75 126 239 243 161 82

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

4.スイッチングデバイス分野の技術区分別動向

スイッチングデバイス分野における技術区分(基本)別出願件数推移を図 3-19 に示す。

基板の構成では、GaN on Si、GaN on SiC、GaN on サファイアの順に出願件数が多く、

GaN on GaN、GaN on AlN と続いている。年次推移については、どの構成も同様の傾向を

示し、2011 年以降、GaN on Si の件数が最も多くなっている。素子タイプでは、MOSFET

(MISFET)、MESFET、ダイオードの順に出願件数が多い。電流の向きでは、横型は縦型の

3 倍以上と多い。素子タイプと電流の向きに関する年次推移には、特に注目すべき特徴は

見られない。

図 3-19 スイッチングデバイス分野における技術区分(基本)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

Page 30: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

- 29 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他1 1 5

12 11 7

20 19 25 54 24 7

低コスト・製造容易化・

歩留り向上

2 1 6 6 5 21

5 7 9 24 44 75 51 46 24

その他2 3 6

12 3 6 8 8

12 9

TDDB7 1 1 5

10 1 8 3

ヒステリシス抑制

電流コラプスの抑制3 3 7 8 7 9 4

12 9

19 19 16

しきい値変動の抑制 10 4 1 2

11 6

15 2

信頼性・長寿命化一般9 6

13 1 1 7

16 18 46 38 15 16

小型化・軽量化・集積化6

11 1

24 10 2 9

17 10 14 29 33 28 17

電磁波対策2 2

寄生素子対策 10 2 1 8 1 1

温度変化対策3 2 1 1

10 5

10 9 7

22 18 33 23 14

ノーマリーオフ化2 3

29 25 27 23 29 28 94 91 43 29

大電流対応3 3 1

33 17 5 2 9

12 22 11 18 19

高速化・高周波化7 6 1 7

14 1 8 4

15 13 16 21 15

その他1 4

14 3 3 7 4

12 11 20 14 11

オン抵抗低減1 2 5 2

11 4

19 14 23 30 31 36 29 35 15

スイッチング損失低減1 1 1 8 5

19 22 22 20 11

低損失一般1

13 6 5 1

11 15 25 34 9

17

その他1 1 4 9 1 2 3

24 193 2 8

短絡耐量1 2 1 1 7 3 4

153 1

アバランシェ耐量7 2

13 109 4

114

13 192

19 169

高耐圧・高破壊耐量一般2 2

14 15 21 32 318

32 46 44 86 99 59 25

その他3 1 4 3 3 1 1 9 6 7

19 8

10

低コスト・製造容易化・

歩留り向上

5 1 3 20 17 14 36

5 8 29 18 17

5 3 成長速度向上

8 2 1 大口径化

1 1 1 平坦化

1 1 7 1 5 1 4 12

3 27

7 結晶配向制御

4 1 7 5 2 1 1 欠陥減少

7 32 10

6 2 9 28

5 8 16 18 21

7 12

6

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

スイッチングデバイス分野における技術区分(課題)別出願件数推移を図 3-20 に示す。

基板の中では、欠陥減少の出願件数が最も多く、次いで低コスト・製造容易化・歩留り

向上が多くなっている。デバイス・モジュールの中では、高耐圧・高破壊耐量が最も多

く、信頼性・長寿命化、ノーマリーオフ化、低コスト・製造容易化・歩留り向上と続いて

いる。年次推移については、課題の項目全般において、スイッチングデバイス分野全体

と同様の傾向であるが、2010 年から 2011 年にかけて、ノーマリーオフ化の増加が顕著で

ある。

図 3-20 スイッチングデバイス分野における技術区分(課題)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

基板

高耐圧・

高破壊耐量

信頼性・長寿命化

デバイス・モジュール

低損失

Page 31: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

- 30 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他2 1 3

パッケージ外 6 1 1 2

5 1 2

8 21 27 33 10 11

パッケージ内1 1 4

8 12 13 10 18 17 24 8

リード線・端子1

6 2 4 3 3 4

5 14 5 5

その他1 1 4 1

構造2

7 2 4

10 6 8 9 13 16 5

材料1 1 1

5 1 1

冷却方法一般4 1

5 1 4 1 1

その他1 4

5 1

回路1 4

5 5 6 10 23 4

44 17 8

カスコード接続1 2 1 1

6 23 22 14

ゲートドライバ混載 8 1

7 3

11 3

8

スタック型3 1 1

13 11 4 4

平置き型4 1

6 5 7 14 2

13 13 13

多チップ積層・

一体化一般

1 3 1 1 3 4 10 9

2 その他 5

1 1 5

ケーシング2 2

5 12 6

モールド 6 3

6 9 10 9 2

封止・封緘一般4 2

実装・ボンディング 74

5 21 16 14 6

その他

配線技術1 1 4 1

7 172 3

実装基板1 1

14 8 73

11

レイアウト一般1 3 3 4 1 1

その他1 1 1 1 1 1

3 13

回路3 2 3 3

9 14 18 34 45 25 12

素子レベルでの混載4 1

16 14 16 8 16 15 31 29 34 23 19

MMIC 7 2 4 1

17 16 6

モノリシック集積回路

一般7

4 4

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

スイッチングデバイス分野における技術区分(特徴点・モジュール)別出願件数推移

を図 3-21 に示す。モノリシック集積回路の素子レベルでの混載、パッケージの多チップ

積層・一体化、及び回路に関する出願件数が他の項目に比較して多くなっている。年次

推移では、モジュール全般において、2004 年以降年々増加する傾向となっているが、パ

ッケージの中のレイアウトと封止・封緘では、2009 年以降出願件数が多くなっている。

図 3-21 スイッチングデバイス分野における技術区分(特徴点・モジュール)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

多チップ積層・

一体化

モノリシック

集積回路

冷却方法

回路

パッケージ

レイアウト

封止・封緘

Page 32: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

- 31 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他2 1 5 2 2 5 1 7 1 2 1

10 2

ヘテロエピ成長1 8

12 5

17 12 9 10 14 27 29 49 40 15 10

ホモエピ成長 11 7

18 26 3 1

基板との関係一般

その他1 1 1

液相成長 3

気相成長 10 33 24 1

19 23 37 15 22 37 60 88 83 49 23

スパッタ・蒸着5 6 6

9 9 2 4

10 18 16 8 6

成長方法一般

エピ成長(半導体層)

一般

その他6 3 7 1 5 3 7 7 2

形成条件5 1 1 1 3 1 3 3 7 5

16 14 9 2

バッファ層形成一般1 3

10 1 7 1 6 5

12 1 3 1

その他5 1 1 1 2 1 2 3 2 5 4 1

剥離1 3 1 7 1 2 2 5 5

10

貼り合わせ3 1 3 1 1

その他3 1

フラックス法6 4 1 1 3

アモノサーマル法1 1 5 1 3 1 2 1

液相法一般6 6 1 1

その他2 1 6 5 4

112 1

MOCVD1 5 1 1 1 1

HVPE6

102

30 98 1 4 2 5

気相法一般3 2

12 14 6 1 1 8

GaNバルク結晶成長一般 15

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

スイッチングデバイス分野における技術区分(特徴点・製造プロセス)別出願件数推

移を図 3-22 に示す。GaN バルク結晶成長の中では、気相法の HVPE の出願件数が最も多

い。エピ成長の中では、成長方法の気相成長が最も多く、次いで基板との関係のヘテロ

エピ成長が多い。GaN バルク結晶成長の年次推移については、HVPE の件数が 2007 年に多

くなっている点を除き、明確な増減傾向は見られない。エピ成長(半導体層)の中の気

相成長とヘテロエピ成長は、調査期間の中期以降、増加傾向が見られる。

図 3-22 スイッチングデバイス分野における技術区分(特徴点・製造プロセス)別-出願件数推移(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

GaN

バルク結晶成長

基板との関係

エピ成長(半導体層)

気相法

バッファ層形成

液相法

成長方法

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- 32 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

設計・シミュレーション 10 3

検査・診断1 1 1 1

その他5

封止・封緘6

15 1 2

9

その他1 2 1

ワイヤボンディング 1 18 4 4 5

ダイボンディング2 1 6 1 5 1 3

ボンディング一般6 1 1 1 2

マウンティング6 1 2 7

20 11 8 5

その他1 5 1 3 5 4 3 1

貼り合わせ3 1 2 1 5 4

8

研磨1 1 1 6

12 7 2 1 3

8 9 3

切断 16 7 1 1 1 1

9 2 3 2

その他3 2 1 1 4 3 4 1 1

17 10 21 3

多段階工程

(プロセスフロー)

2 4 14 14

4 3 3 5 35 30 18 9 8

熱処理1 7

21 4 1 5 2 5

8 5 7 1

その他1 4 1

9

不純物の種類1 1 3

11 3 2

13 6

7 15 28 5 2

分離用5 3

10 2 2 3

9 4 2

p型形成2 4 1 1 1 7 6

132

n型形成2 1 3 1 2

83 1

イオン注入一般6 3 5 7 5

エッチング6 7

13 8 21 17 8 19 10 41 47 24 9 10

フォトリソグラフィ1 7

11 28 7 3

その他1 5 6 1 3 5 4 6

金属膜形成6

8 4 6

33 29 16 5

26 15 34 53 41 23 15

誘電体膜形成5 4 5 3

9 25 20 31 14 39 67 52 37 21

成膜一般

洗浄1 1 5

13

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

ボンディング

ウエハプロセス(前工程)

アセンブリー(後工程)

イオン注入

表面・形状加工

(切断、研磨等)

成膜

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- 33 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

2,721件

56.3%米国籍

747件

15.4%

欧州国籍

663件

13.7%

中国籍

161件

3.3%

韓国籍

384件

7.9%

台湾籍

94件

1.9%

その他

65件

1.3%

合計

4,835 件

183

330

227

313

335

396

445 436

361

405

307

368 362

221

146

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

50

100

150

200

250

300

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

日本国籍

1,232件

44.7%

米国籍

780件

28.3%

欧州国籍

263件

9.5%

中国籍

190件

6.9%

韓国籍

168件

6.1%

台湾籍

82件

3.0%

その他

41件

1.5%

合計

2,756 件

97 106

54

100

193 178 177 184

148

169

239

320

363

268

160

50

100

150

200

250

300

350

400

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

5.技術区分別-出願人国籍(地域)別出願動向

バルク結晶分野における出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率を図 3-

23 に示す。2000 年から 2014 年に日米欧中韓台に出願された GaN バルク基板関係の出願

件数は 4,835 件で、このうち日本国籍出願人が 2,721 件で最も多く全体の 56.3%を占め

ている。おおむね年間、300 件から 400 件で推移している。

図 3-23 バルク結晶分野-出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

高周波デバイス分野における出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率を

図 3-24 に示す。2000 年から 2014 年に日米欧中韓台に出願されたパワー高周波デバイス

関係の出願件数は 2,756 件で、このうち日本国籍出願人が 1,232 件で最も多く全体の

44.7%を占めている。2004 年から 2009 年まで年間 170 件前後で横ばいの後、2010 年か

ら 2012 年にかけて急増している。

図 3-24 高周波デバイス分野-出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

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- 34 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本国籍

2,069件

51.8%

米国籍

1,060件

26.5%

欧州国籍

380件

9.5%

中国籍

158件

4.0%

韓国籍

232件

5.8%

台湾籍

83件

2.1%その他

14件

0.4%

合計

3,996 件

43 67 52 78

185 224 199 189207

278

442

636 668

450

278

100

200

300

400

500

600

700

800

50

100

150

200

250

300

350

400

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

スイッチングデバイス分野における出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数

比率を図 3-25 に示す。2000 年から 2014 年に日米欧中韓台に出願されたパワースイッチ

ングデバイス関係の出願件数は 3,996 件で、このうち日本国籍出願人が 2,069 件で最も

多く全体の 51.8%を占めている。2004年から 2008 年にかけて年間 200 件前後で推移し、

その後、2009 年から増加して、2012 年には 668 件となってピークを示している。

図 3-25 スイッチングデバイス分野-出願人国籍(地域)別出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない

可能性がある。

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- 35 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 出願人別動向

1.全体動向

日米欧中韓台の各国(地域)に出願された特許出願件数を出願人別に合計した、出願

件数上位ランキングを表 3-3 に示す。住友電気工業が 1,531 件で最も多く、以下、富士

通、東芝、パナソニックと日本のデバイスメーカーが続いている。上位 20 者中で大学は

カリフォルニア大学のみ、研究機関は中国科学院のみであり、他の 18 者は企業である。

なお、出願件数上位ランキングは、筆頭出願人のみを集計している。また、インターナ

ショナル・レクチファイアは、インフィニオンと合併しているが、本調査では、旧社名

を採用している。

表 3-3 出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

順位 出願人名称 出願件数

1 住友電気工業 1,531

2 富士通 693

3 東芝 623

4 パナソニック 580

5 クリー(米国) 526

6 三菱電機 504

7 S.O.I. TEC(フランス) 460

8 日本ガイシ 452

9 豊田合成 435

10 インターナショナル・レクチファイア(米国) 415

11 三菱化学 355

12 カリフォルニア大学(米国) 335

13 シャープ 328

14 サムスン電子(韓国) 275

15 古河電気工業 259

16 住友化学 255

17 日立金属 248

18 リコー 235

19 台湾半導体製造(台湾) 190

20 中国科学院(中国) 184

日米欧中韓台に出願された技術区分別の出願人別出願件数上位ランキングを表 3-4 に

示す。

バルク結晶分野(表 3-4(a))では、住友電気工業が 620 件で最も多く、以下、三菱化

学、S.O.I. TEC(フランス)、リコー、日本ガイシと続いている。ポーランドのアンモノ

が 9 位に入っている。

高周波デバイス分野(表 3-4(b))では、富士通が 267 件で最も多く、以下、クリー(米

国)、東芝、パナソニック、住友電気工業と続いている。サムスン電子(韓国)が 8 位に、

住友電気工業の子会社である住友電工デバイス・イノベーションが 9 位に入っている。

スイッチングデバイス分野(表 3-4(c))では、富士通が 364 件で最も多く、以下、三

菱電機、東芝、インターナショナル・レクチファイア(米国)、住友電気工業と続いてい

る。米国のベンチャー企業であるアボジーも 10 位に入っている。

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- 36 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

表 3-4(a) バルク結晶分野の出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

順位 出願人名称 出願件数

1 住友電気工業 620

2 三菱化学 271

3 S.O.I. TEC(フランス) 231

4 リコー 218

5 日本ガイシ 173

6 豊田合成 168

7 日立金属 146

8 住友化学 118

9 アンモノ(ポーランド) 100

10 パナソニック 90

表 3-4(b) 高周波デバイス分野の出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

順位 出願人名称 出願件数

1 富士通 267

2 クリー(米国) 228

3 東芝 179

4 パナソニック 109

5 住友電気工業 80

6 日本ガイシ 71

7 三菱電機 62

8 サムスン電子(韓国) 52

9 住友電工デバイス・イノベーション 39

10 トランスフォーム・ジャパン 38

表 3-4(c) スイッチングデバイス分野の出願人別出願件数上位ランキング(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

順位 出願人名称 出願件数

1 富士通 364

2 三菱電機 260

3 東芝 213

4 インターナショナル・レクチファイア(米国) 178

5 住友電気工業 167

6 クリー(米国) 139

6 パナソニック 139

8 古河電気工業 120

9 インフィニオン・テクノロジーズ(AT)(オーストリア) 93

10 アボジー(米国) 87

10 サムスン電子(韓国) 87

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- 37 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.出願先国(地域)別動向

出願先国(地域)別の全体の出願人別出願件数上位ランキングを表 3-5 に示す。日米

欧中韓台のいずれの出願先においても、住友電気工業が最も多く出願している。その他

多くの出願先国(地域)で上位に入っている出願人として、東芝は、中国以外の出願先

国(地域)で上位 10 位以内に入っている。富士通は、欧州以外の出願先国(地域)で上

位 10 位以内に入っている。S.O.I. TEC(フランス)は、日本以外の出願先国(地域)で

上位 10 位以内に入っている。また、クリー(米国)とカリフォルニア大学(米国)は、

いずれも日本と中国以外の出願先国(地域)で上位 10 位以内に入っている。日本ガイシ

は、韓国と台湾以外の出願先国(地域)で上位 10 位以内に入っている。これらの出願人

は、積極的に国際出願を行っていると考えられる。

表 3-5 [全体]出願先国(地域)別-出願人別出願件数上位ランキング(出願年(優先権主張年):2000-2014 年)

日本への出願 米国への出願 欧州への出願

順位 出願人名称 出願

件数 順位 出願人名称

出願

件数 順位 出願人名称

出願

件数

1住友電気工業 634 1住友電気工業 319 1住友電気工業 159

2パナソニック

288 2インターナショナル・レクチフ

ァイア(米国) 211 2

S.O.I. TEC(フランス) 130

3東芝 266 3東芝 204 3クリー(米国) 111

4三菱電機

248 4富士通

196 4インターナショナル・レクチ

ファイア(米国) 82

5三菱化学 243 5パナソニック 191 5三菱電機 62

6豊田合成 224 6クリー(米国) 179 6日本ガイシ 61

7富士通

218 7カリフォルニア大学(米国)

163 7原子力・ 代替エネルギー

庁(フランス) 53

8日本ガイシ

209 8S.O.I. TEC(フランス)

126 8インフィニオン・テクノロジ

ーズ(AT)(オーストリア) 49

9シャープ 203 9台湾半導体製造(台湾) 101 9東芝 44

10古河電気工業 190 10日本ガイシ 98 10カリフォルニア大学(米国) 39

10豊田合成 98

中国への出願 韓国への出願 台湾への出願

順位 出願人名称 出願

件数 順位 出願人名称

出願

件数 順位 出願人名称

出願

件数

1住友電気工業 186 1住友電気工業 112 1住友電気工業 121

2中国科学院(中国) 175 2サムスン電子(韓国) 89 2富士通 90

3富士通 128 3LG エレクトロニクス(韓国) 69 3クリー(米国) 42

4西安電子科技大学(中国)

78 4サムスン・コーニング精密

素材(韓国) 65 4

S.O.I. TEC(フランス) 40

4中国電子科技集団(中国)

78 5S.O.I. TEC(フランス)

47 5アプライドマテリアルズ

(米国) 33

6三菱電機 70 6カリフォルニア大学(米国) 40 6カリフォルニア大学(米国) 32

7電子科技大学(中国) 58 7クリー(米国) 39 7豊田合成 26

8パナソニック 55 8サムスン電機(韓国) 38 8国立交通大学(台湾) 25

9S.O.I. TEC(フランス) 54 8東芝 38 8東芝 25

10日本ガイシ 49 10富士通 30 10インテル(米国) 23

10台湾半導体製造(台湾) 23

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- 38 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

169

241

479435

379

407

539

453482 501

527

598630 639

575540

100

200

300

400

500

600

700

50

100

150

200

250

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年

2000-2015年日本国籍

1,296件

17.1%

米国籍

2,068件

27.2%

欧州国籍

2,146件

28.3%

中国籍

678件

8.9%

韓国籍

442件

5.8%

台湾籍

368件

4.8%

その他

596件

7.8%

合計

7,594 件

第4章 研究開発動向調査

第1節 調査範囲と調査方法

GaN パワーデバイスに関する論文発表動向からみた研究開発動向について、論文デー

タベース Scopus を用いて調査対象論文を検索、抽出し、全体動向調査、技術区分別動向

調査、研究者所属機関・研究者別動向調査、及び注目論文の変遷に関する調査を行った。

調査対象の論文誌を、委員会の議論を踏まえて主要論文誌 32 誌に限定した。主要論文誌

の中で ISPSD は、2004 年までしか Scopus に収録されていないことが分かったので、IEEE

Enterprise で検索し、差分を調査対象論文に追加した。対象とした論文の範囲は、2000

年~2015 年に発行された論文誌に掲載されたものとした。

検索によって抽出された論文(原著論文、抄録有り)は 12,803 件であった。これらの

論文の英文抄録を読んで、特許動向と同様に目視にて技術分類を行った。そして、発光

デバイスに関する論文などの調査対象外の論文(いわゆるノイズ)を除去した結果、集

計対象とする論文は、7,594 件であった。

研究者所属機関の国籍(地域)は、筆頭著者の所属する研究機関の国籍(地域)とし

た。この際、特許動向と同様に、香港(HK)は中国と合算し、台湾(TW)は分けて集計した。

また、研究者所属機関別論文発表件数上位ランキングは、筆頭著者の所属する研究機関

のみを対象として集計した。

注目論文の調査においては、委員から推薦された論文や、被引用回数が多い論文を注

目論文とみなして、論文誌発行年を基準に時系列に集計した。

第2節 全体動向調査

研究者所属機関国籍(地域)別論文発表件数推移及び論文発表件数比率を図 4-1 に示

す。

図 4-1 研究者所属機関国籍(地域)別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(論文誌発行年:2000-2015 年)

GaN パワーデバイス関係の論文発表件数は、2000 年から 2002 年にかけて急激に増加し

たが、2003 年以降は 2013 年にかけて多少の増減があるものの緩やかな増加傾向を示し

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

0

20

40

60

80

100

120

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

発表件数

論文発表年

バルク結晶分野

高周波デバイス分野

スイッチングデバイス分野

論文発表年

2000-2015年

バルク

結晶

分野

553件

7.2%

高周波

デバイス

分野

1,025件

13.3%

スイッチング

デバイス

分野

416件

5.4%

その他

明記無し

5,685件

74.0%

ており、2013 年に 639 件でピークを示している。研究者所属機関国籍(地域)別にみる

と、欧州国籍が 2,146 件で最も多く、全体の 28.3%を占めている。次いで米国籍 2,068

件(27.2%)、日本国籍 1,296 件(17.1%)と続いている。国籍(地域)別の年次推移を

見ると、2005 年までは 2001 年を除いて米国籍が最も多いが、2006 年以降は、欧州国籍

の研究機関からの発表件数が最も多くなっている。

第3節 技術区分別動向

論文発表動向調査においても特許動向調査と同様に、バルク結晶分野、高周波デバイ

ス分野、スイッチングデバイス分野に分けて集計した。これらの論文発表件数推移と発

表件数比率を図 4-2 に示す。これによると、バルク結晶分野の論文は、おおむね年間 40

件前後で推移しており、大きな変化が見られない。これに対して高周波デバイス分野は、

2000 年から 2012 年にかけて大きく増加しており、2010 年から 2012 年には年間 100 件を

超えている。スイッチングデバイス分野は、増加件数は高周波デバイス分野より少ない

ものの 2000 年から 2015 年にかけて着実に増加しており、2015 年には高周波デバイス分

野と近い件数となっている。

論文の技術分類は、抄録をもとに行っているため、特許の場合と比較して基になる情

報が少なく、どの分野に関する論文かが明記されておらず「明記無し」となるものが多

い。論文全体に占める高周波デバイス分野、スイッチングデバイス分野、バルク結晶分

野及びその他明記無しの比率を示す。調査した論文全体の 74%が明記無しになっており、

分野別の集計は、のこりの 26%に部分に限られていることに注意が必要である。

図 4-2 分野別論文発表件数推移及び論文発表件数比率(論文誌発行年:2000-2015 年)

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明記無し 160 235 457 412 356 383 502 420 449 463 471 564 583 581 514 471

横型6 5 17 20

22 18

31 24 27 35 44 26 40 45 46 41

縦型3 2 5 3 1 6 7 9 6 3 12 8 7 15 16

29

その他 4 3 4 5 4 7 2 4 10 6 8 8 11 7 14

明記無し 127 172 339 278 255 243 311 258 260 263 221 281 266 275 231 200

ダイオード9 7

27 26 20

21 32 26 34 19

29 38 39 44 34 52

サイリスタ 1 1 1

MESFET20

42 86 88 77 97 141 117 128 149 180 182 217 206 191 174

JFET 1 1 1 1 1 1 5 4 5 4 4

IGBT 1 1

MOSFET (MISFET)7 10

27 45 22 45 52 54 62 65 91 96 105 116 121 117

バイポーラトランジスタ10 9 6 5 3 6 4 7 5 5 4 8 4 6 3 3

その他20 8 20 18 8 19

14 14 13 15 19 21

12 10 15 9

明記無し 85 146 291 266 257 230 341 266 312 294 327 370 427 442 367 362

GaN on AlN2 1 2 2 2 2 4 1 6 8 4 8 4 1 2 3

GaN on GaN7 10 16

21 16 17

32 30 27 29 35 55 38 35 32 41

GaN on サファイア 36 47 98 71 54 78 82 74 63 80 61 63 55 52 61 27

GaN on SiC10

23 31 39 22 29 42 39 24 38 35 25 35 23 25 19

GaN on Si12 15

37 36 27 42 38 43 43 55 61 68 80 84 97 91

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

1.全体の技術区分別動向

全体の技術区分(基本)別の論文発表件数推移を図 4-3 に示す。基板の構成では、近

年、GaN on Si に関する論文が増える傾向がある。素子タイプでは、MOSFET(MISFET)と

MESFET が多く、電流の向きは、明記無しが圧倒的に多いものの、縦型に関する論文が増

加傾向にあるとみられる。

図 4-3 全体の技術区分(基本)別-論文発表件数推移(論文誌発行年:2000-2015 年)

2.バルク結晶分野の技術区分別動向

バルク結晶分野における技術区分(課題)別の論文発表件数推移を図 4-4 に示す。欠

陥減少に関する論文が最も多いが、年次推移として明確な傾向はみられない。

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

その他 2 7 10 10 3 7 9 11 7 7 6 6 11 9 8 3

低コスト・製造容易化・

歩留り向上3 3 3 1 7 3 7 13 8 5 2 7 7 3 2

成長速度向上 1 4 6 1 3 6 2 7 3 7 3 1 2 6 2

大口径化 2 3 1 1 3 2 1 1 1 1 2 1

平坦化 2 1 2 1 3 4 1 1 2 4 2 4

結晶配向制御 2 6 2 1 5 3 1 2 5 2 4 4 2 3 2

欠陥減少 8 9 19 11 5 12 5 11 15 16 12 7 11 14 5 6

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

明記無し6

20 22 31 46 35 52 46 45 64 82 95 98 75 56 51

横型4 3 7 9

12 9

11 8 9

13 22 15 16 17 17 16

縦型2 1 3 2 5

その他1 1 2 1 2 5 4 3 1 1

明記無し1 7 2 6 4 1

13 15 11 19 21 11 9

ダイオード2 1 3 2 3 2 2 4 2 2 5 5 4 4

サイリスタ1

MESFET10

17 24 29 40 30 43 39 42 44 61 67 70 51 45 42

JFET1 1 2

IGBT1

MOSFET (MISFET)2 4 6

11 9

15 15 12 9

15 30 27 18 17 15 17

バイポーラトランジスタ1 1 1 1 1 2 1

その他3 2 3 2 1 1 3 2

明記無し5

14 14 16 40 29 37 28 44 47 70 76 95 73 52 51

GaN on AlN1 1 1

GaN on GaN3 1 2 3 2 3 2 6 2 2 3 1 5

GaN on サファイア3 3 5 7 5 8 6 4 7 2 6 3 1 1

GaN on SiC1 7 7 10 8 5

14 15 5

12 15 12 4 10 3 6

GaN on Si1 5 6 5 3 5 4 2 10

13 12 9 8

15 9

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

図 4-4 バルク結晶分野における技術区分(課題)別-論文発表件数推移(論文誌発行年:2000-2015 年)

3.高周波デバイス分野の技術区分別動向

高周波デバイス分野における技術区分(基本)別の論文発表件数推移を図 4-5 に示す。

基板の構成では、GaN on Si と GaN on SiC が多く、大きな差ではないが、2010 年以前は

GaN on SiC が、2014 年以降は GaN on Si が多くなっている。素子タイプは、MESFET が

多い。電流の向きは、明らかに横型が多い。

図 4-5 高周波デバイス分野における技術区分(基本)別-論文発表件数推移(論文誌発行年:2000-2015 年)

基板

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

明記無し1

5 6 12 3

10 9 8 13 20 17 30 28 45 40 36

横型2 1 4 2 2

5 7 4

6 4

9 2 3

11 11 12

縦型2 1 2 2 1 1 3 2 4 4 4

6 5 14

その他1 1 2 2 1 1

明記無し2 1 1 2

5 4

5 4

10 10 7

ダイオード1 2 3

6 2 2 2 1

5 2 4

8 5 9 7 15

サイリスタ1 1

MESFET2 3

6 4 3

12 10 10 13 10 14 15 17 24 18 23

JFET3 1 2 2 3

IGBT 1 1

MOSFET (MISFET)1 2 3 4 4

6 5 8 6 10 18 23 19

バイポーラトランジスタ2 1 1 1 3 1

その他1 1 1 2

明記無し4

5 9 8 4

8 13 9 15 10 18 23 19 36 26 30

GaN on AlN1 1 1

GaN on GaN 5 1 1 1 2 3 1 2 3

6 10

GaN on サファイア3 3 1 4 1 3 1 2 2 4 3 1 1

GaN on SiC1 1 3 2 2 2 2 1 3 3 4 2 3 3

GaN on Si2 3

6 6 6 9 20 19 19

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

4.スイッチングデバイス分野の技術区分別動向

スイッチングデバイス分野における技術区分(基本)別の論文発表件数推移を図 4-6

に示す。基板の構成では、近年 GaN on Si が多くなっている。素子タイプは、MESFET と

ともに、MOSFET が増加している。電流の向きは、横型が多いが、縦型に関する論文も増

加しており、2015 年には縦型の素子に関する論文の方が多くなっている。

図 4-6 スイッチングデバイス分野における技術区分(基本)別-論文発表件数推移(論文誌発行年:2000-2015 年)

基板の構成

素子タイプ

電流の向き

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第4節 研究者所属機関別動向調査

GaN パワーデバイスに関する論文について、研究者所属機関別論文発表件数上位ラン

キングを表 4-1 に示す。カリフォルニア大学が 291 件で最も多く、次いで中国科学院が

176 件、フロリダ大学が 141 件と続いている。10 位までの国籍(地域)を見ると、米国

が 6 機関、中国が 2 機関、欧州と台湾がそれぞれ 1 機関となっており、日本国籍として

は、19 位の名古屋大学が最も多くなっている。

なお、研究者所属機関別の論文発表件数上位ランキングは、特許の出願人別の出願件

数上位ランキングの際と同様に、筆頭著者の所属する研究機関のみで集計している。

表 4-1 研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文誌発行年:2000-2015 年)

順位 研究者所属機関名(国籍・地域) 発表件数

1 カリフォルニア大学(米国) 291

2 中国科学院(中国) 176

3 フロリダ大学(米国) 141

4 香港科技大学(中国) 122

5 ノースカロライナ州立大学(米国) 101

6 ポーランド科学アカデミー(ポーランド) 88

7 ジョージア工科大学(米国) 86

8 米国海軍研究所(米国) 85

9 国立成功大学(台湾) 74

10 オハイオ州立大学(米国) 73

11 マサチューセッツ工科大学(米国) 72

12 ケンブリッジ大学(イギリス) 70

13 ブリストル大学(イギリス) 69

13 国立交通大学(台湾) 69

13 北京大学(中国) 69

16 フラウンホーファー研究機構(ドイツ) 67

17 フェルディナンド・ブラウン高周波技術研究所(ドイツ) 66

18 レンセラー工科大学(米国) 63

19 名古屋大学 60

20 アリゾナ州立大学(米国) 58

20 大阪大学 58

研究者所属機関別の技術区分別論文発表件数上位ランキングを表 4-2 に示す。

バルク結晶分野では、ポーランド科学アカデミーが 37 件と最も多く論文発表してい

る。以下、東北大学が 29 件、大阪大学が 25 件と続いている。10 位までの研究機関の国

籍(地域)を見ると、欧州国籍が 6 機関、日本国籍が 2 機関、米国籍と中国籍がそれぞ

れ 1 機関となっている。

高周波デバイス分野では、カリフォルニア大学が 64 件と最も多く論文発表している。

以下、フラウンホーファー研究機構が 24 件、HRL 研究所とマサチューセッツ工科大学が

23 件と続いている。9 位までの研究機関の国籍(地域)を見ると、米国籍が 5 機関、欧

州国籍が 5 機関、日本国籍と中国籍がそれぞれ 1 機関となっている。

スイッチングデバイス分野では、香港科技大学が 22 件と最も多く論文発表している。

以下、パナソニックが 18 件、フロリダ大学とレンセラー工科大学が 12 件と続いている。

9 位までの研究機関の国籍(地域)を見ると、米国籍が 4 機関、日本国籍が 3 機関、欧州

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

国籍が 2 機関、中国籍が 1 機関となっている。

表 4-2 技術区分別-研究者所属機関別論文発表件数上位ランキング(論文誌発行年:2000-2015年)

バルク結晶分野 高周波デバイス分野

順位 研究者所属機関名(国籍・地域) 発表

件数

順位 研究者所属機関名(国籍・地域)

発表

件数

1 ポーランド科学アカデミー(ポーランド) 37 1 カリフォルニア大学(米国) 64

2 東北大学 29 2 フラウンホーファー研究機構(ドイツ) 24

3 大阪大学 25 3 HRL 研究所(米国) 23

4 カリフォルニア大学(米国) 21 3 マサチューセッツ工科大学(米国) 23

4 中国科学院(中国) 21 5 IEMN(フランス) 22

6 リンショーピング大学(スウェーデン) 20 6 チャルマース工科大学(スウェーデン) 21

7 フェルディナンド・ブラウン高周波技術研究

所(ドイツ) 10

7

コーネル大学(米国) 17

8 ノッティンガム大学(イギリス) 9 7 香港科技大学(中国) 17

8 フラウンホーファー研究機構(ドイツ) 9 9 イリノイ大学(米国) 15

10 ライプニッツ結晶成長研究所(ドイツ) 8 9 スイス連邦工科大学チューリッヒ校(スイス) 15

9 フェルディナンド・ブラウン高周波技術研究所(ドイツ) 15

9 日本電気 15

スイッチングデバイス分野

順位 研究者所属機関名(国籍・地域) 発表

件数

1 香港科技大学(中国) 22

2 パナソニック 18

3 フロリダ大学(米国) 12

3 レンセラー工科大学(米国) 12

5 フェルディナンド・ブラウン高周波技術研究

所(ドイツ) 11

6 東芝 10

7 IMEC(ベルギー) 9

7 古河電気工業 9

9 アボジー(米国) 8

9 マサチューセッツ工科大学(米国) 8

第5節 特許出願と論文発表の集計結果の比較

特許出願の集計結果と論文発表の集計結果を比較し、特徴的な差異が見られたものに

ついて図 4-7 から図 4-17 に示す。

全体の出願・発表件数推移や分野別の出願・発表件数推移は、類似した傾向を示して

いるが、細かく見ていくと特徴的な差異があることが分かる。

これらは、多く出願、あるいは多く発表しているプレーヤーが異なるため、注目して

いる技術分野が異なることに起因すると考えられるが、特許出願と論文発表の持つ意味

合いの差を含んでおり、興味深い結果である。

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- 45 -

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

特許出願では、日本国籍出願人によるものが52.0%と過半数を占めているが、論文発表は、日本の研究機関からのものは17.1%であり、欧州(28.2%)や米国(27.2%)の研究機関からのものが多い。

日本国籍

10,351件

52.0%

米国籍

4,276件

21.5%

欧州国籍

2,171件

10.9%

中国籍

961件

4.8%

韓国籍

1,276件

6.4%

台湾籍

691件

3.5%その他

178件

0.9%

合計

19,904 件

682 808762

923

1,084

1,375

1,4671,331

1,290

1,466

1,647

2,108 2,134

1,755

1,072

500

1,000

1,500

2,000

2,500

200

400

600

800

1,000

1,200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

特許 論文

日本国籍

1,296件

17.1%

米国籍

2,068件

27.2%

欧州国籍

2,146件

28.3%

中国籍

678件

8.9%

韓国籍

442件

5.8%

台湾籍

368件

4.8%

その他

596件

7.8%

合計

7,594 件

169

241

479435

379

407

539

453482 501

527

598630 639

575540

100

200

300

400

500

600

700

50

100

150

200

250

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年

2000-2015年

輸送機器

電力

情報通信機器

産業機器

民生機器

その他 1 1 4 2 3 4

軍用 1 1 6 1 1 1

その他 1 1 1 5

基地局 1 3 4 7 3 1 5 2 5 6 7 3 2

携帯端末 1 1 1 1 1 3 1 1 1 1

レーダ 1 1 3 1 4 3 8 4 1

ミリ波通信 2 2 3 1 3 3 2 3 2

サーバ・データセンタ

パソコン

情報通信機器一般 1 1 1 2 1 4 2 1

その他 1

映像機器

照明 1

空調機 1

家電機器

民生機器一般 1 1

その他 1 1 1

ワイヤレス給電

蓄電システム 1 2

送配電システム 1

発電システム 1 3

電力一般 1

その他 1

ロボット・工作機械

産業機器一般 1

その他 1

航空・宇宙 1 1 1 2 3 2 3 3 4

鉄道 1

自動車 1 1 2 2 1 3

輸送機器一般 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

輸送機器

電力

情報通信機器

産業機器

民生機器

その他2 1 1 1 7 11 2 8

16 6 13

軍用5 1 14 9 11 2 3 9

19 5 3 8

その他1 1 2 1 10 10 8 1 7 5

基地局6

15 7 9

22 33 25 38 13

27 21 55 35 29 20

携帯端末 19 9 12 4 12

20 11 13 3 3

27 44 34 23 17

レーダ6

24 4 1 11

27 6 13 9 2 7

30 10

15 15

ミリ波通信5 4 1 7

23 6 3 4 10 12 11 10

サーバ・データセンタ1 2 4 5 4 14

パソコン2 1 5 1 1 7 1 2 2 6 13

情報通信機器一般5 7 5

21 7 5 5 3 4 2 1

38 12 10 8

その他4 2 1 1 3 1

映像機器4 3 2 1 3 8 2

照明5 2 1 10 6 3 7 2

空調機2 3 9 6 13 4 6

家電機器1 2 9 1 8 1 6 9

19 11 5

21

民生機器一般11 1 2 1 3 1 6 5 5 9 6 1

その他1 2 1 6 5 7

ワイヤレス給電

蓄電システム1 1 5 2 1

送配電システム3 1 7 7 7 5 12 12 2

発電システム1 1 1 4 2 6 1 14 3

電力一般6 4 1 4 1

1811 9 7

198

22 313 4

その他1 4 1 4

ロボット・工作機械1 1 1 1 1 8

産業機器一般5 3 2 8 4 13 2 8 8 7 4

その他2 5 1

航空・宇宙1 2 14 9 8 2 2 3 2 14 11 8 3 4

鉄道4 2 4 1 6 7 6 27

9 3

自動車9 1 4 9 14

15 5

29 26 33 70 132 63 26

輸送機器一般3 4

17 5 1 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

図 4-7 特許出願と論文発表の集計結果の差異(全体動向)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

図 4-8 特許出願と論文発表の集計結果の差異(応用分野(全体))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

特許は基地局を始めとする情報通信機器と、自動車を中心とした輸送機器が多いが、論文発表では、情報通信機器は多いが、輸送機器はそれほど多くはなく、自動車よりも航空・宇宙の方が多い。

特許

論文

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- 46 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部 設計・シミュレーション 19 37 47 41 53 56 81 60 62 68 82 99 100 98 89 86

検査・診断 39 53 126 107 85 89 128 90 107 113 97 113 129 102 110 108

その他1 1

封止・封緘2 1 1

その他1 1 1

ワイヤボンディング1

ダイボンディング1 1 1 2 1 1 2

ボンディング一般 1

マウンティング1 1 1 2

その他1 1 1 1 2 1 1

貼り合わせ1 1 1

研磨2 2 1 1 3 2 2

5 2 3

4

切断1 2 1

その他 4 3

5 6 6 5 10 12 6 8 9 11 8 10 14 10

多段階工程

(プロセスフロー)1 2 1 1 1 3 3 1 1 3 1 1

熱処理 7 10 24 21 19 8 34 19 21 19 17 17 20 16 16 14

その他1 1 2 2 2 2 1

4 2

不純物の種類1

5 16 19 12 14 15 13 14 13 13 16 12 11 7 17

分離用2 1 3 2 1 1 2 3 3

p型形成 1 4 2 4 2 1 3 3 1 3 1 1 2

n型形成2 3 1 2 3 1 3 2 3 3 1 2 2 1

イオン注入一般1

43 1 2 1 3 2 3 2 1 1 1

エッチング 9 10 15 10 11 10 15 8 22 13 16 23 13 15 9 24

フォトリソグラフィ1 2 2 1 3 2 2 2 3 1 1 2 2 2

その他 1 4 2 5 3 1 5 5 1 3 4

金属膜形成 9 19 47 42 45 47 76 44 36 35 43 50 47 54 43 48

誘電体膜形成2

8 19 38 18 18 26 25 31 35 43 44 57 77 65 65

成膜一般

洗浄2

5 3 2 1 1 1 1

4 1 2 1 2 1 1

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分

論文発表年

設計・シミュレーション1 1 1 12 3 2 1 3

検査・診断1 3 5 4

35 30 11 9 14

18 16 28 8

17

その他1 3 1 5 5

封止・封緘9 2 2 3

18 32 5 7 12

その他3 2 2 4 1

ワイヤボンディング3 6 1 1 1

21 4 8 12

ダイボンディング1 1 2 8 6 10 7 11 9 8 9

ボンディング一般6 2 1 7 1 9 3

マウンティング6 14 5 1 1 2 2 3

15 33 13 14 11

その他11

22 13

41 24 11 11

18 30 21 28 12

17 28 16

貼り合わせ3 2 5 4 6 8 2 4

19 6

53 10

18 3

研磨 22 29 37 87 31 68 101 47 42 85 56 54 55 82 30

切断 32 29 11

77 27 27 28 37 42 18 54 21 26 25 37

その他13

27 24 10

22 33 28 17 36 12

28 37 40 57 25

多段階工程

(プロセスフロー)19

11 9 5 34 31 29 24 25 47 64 58 64 51 18

熱処理 23 24 67 31 41 29 23 49 50 21 37 54 68 40 33

その他1 2 1 1 3 3 11 2

17 4

不純物の種類8 2 8

20 6 13 11 4

27 19 8

22 52 7 3

分離用 17 1 2

31 5 12

39 5 15

22 3

28 14 8 6

p型形成3 3 5 9 13 11 5 1 2 1 7 9

19 16

n型形成3 2 1 1 11 3 11 3 3 3 2 3 11 7 9

イオン注入一般1 1 1 13 3

1612

1715

17 1413 3

エッチング 48 83 77 52 55 88 109 83 110 81 135 161 160 95 63

フォトリソグラフィ 28 22 20 15 15 5

20 34 38 19 35 49 48 26 22

その他1 2 2 2 12 8

18 9 9 8 11 6 11 5

金属膜形成 19 27 34 26 65 91 71 39 75 68 90 89 106 71 62

誘電体膜形成 24 19 29 31 39 61 76 61 84 72 65 120 142 109 71

成膜一般1 8 5 6 7 2 2 9

洗浄2 2 8 15 3 13 12 8 3

19 18 3 4 4

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

技術区分

出願年(優先権主張年)

ボンディング

ウエハプロセス(前工程)

アセンブリー(後工程)

イオン注入

表面・形状加工

(切断、研磨等)

成膜

図 4-9 特許出願と論文発表の集計結果の差異(特徴点・モジュール(全体))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

図 4-10 特許出願と論文発表の集計結果の差異(特徴点・製造プロセス(全体))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

特許出願件数は素子レベルでの混載が最も多いが、論文発表件数はMMICが最も多い。パッケージ関係は、特許は幅広く出願されているが、論文発表件数は比較的少ない。

特徴点・製造プロセスの表面・形状加工(切断・研磨等)は、切断、研磨、貼り合わせのいずれも、特許出願件数は多いが、論文発表件数は少ない。アセンブリー(後工程)も同様の傾向がある。検査・診断、設計・シミュレーションは、特許出願件数は少ないが、論文発表件数は極めて多い。

特許 論文

特許 論文

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- 47 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

バルク

結晶

分野

553件

27.7%

高周波

デバイス

分野

1,025件

51.4%

スイッチング

デバイス

分野

416件

20.9%

バルク

結晶

分野

553件

7.2%

高周波

デバイス

分野

1,025件

13.3%

スイッチング

デバイス

分野

416件

5.4%

その他

明記無し

5,685件

74.0%

特許 論文

明記無しが特許出願では45.8%、論文発表では74.0%と異なっている。

明記されていたものについては、特許出願はバルク結晶分野が最も多く、次いでスイッチングデバイス分野、最も少ないのが高周波デバイス分野であるが、論文発表件数は高周波デバイス分野が51.4%と過半数を占めており、次いでバルク結晶分野、スイッチングデバイス分野の順である。

バルク結晶

分野

4,835件

22.6%

高周波

デバイス

分野

2,756件

12.9%

スイッチング

デバイス

分野

3,996件

18.7%

その他明記

無し

9,779件

45.8%

バルク結晶

分野

4,835件

41.7%

高周波

デバイス

分野

2,756件

23.8%

スイッチング

デバイス

分野

3,996件

34.5%

図 4-11 特許出願と論文発表の集計結果の差異(技術区分(分野別))

図 4-12 特許出願と論文発表の集計結果の差異(基本・素子タイプ(スイッチングデバイス分野))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

特許出願件数はMESFETよりもMOSFETの方が若干多いが、論文発表件数はMESFETの方

が多い。電流の向きでは、特許出願件数は明らかに横型が多いが、論文発表件数は近い件数となっており、2015年には縦型の件数が上回っている。

特許 論文

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- 48 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 50: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

- 49 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

特許

論文

日本国籍は、特許出願も論文発表もバルク結晶分野が最も多い。米国籍は、特許出願ではスイッチングデバイス分野が最も多く、論文発表では高周波デバイス分野が最も多い。欧州国籍、韓国籍及び台湾籍は、特許出願ではバルク結晶分野が最も多く、論文発表では高周波デバイス分野が最も多い。中国籍は、特許出願も論文発表も高周波デバイス分野が最も多い。

その他明記無し 5,056

2,070 1,028 522 574 453 76

スイッチングデバイス分野

2,069 1,060 380 158 232 83 14

高周波デバイス分野1,232 780 263 190 168 82 41

バルク結晶分野

2,721 747 663 161 384 94 65

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

技術区分

出願人国籍(地域)

その他明記なし 966 1,438 1,548 552 366 315 500

スイッチングデバイス分野

89 146 93 37 26 10 15

高周波デバイス分野

113

392 327 61 37 32 63

バルク結晶分野142 121 199 36 17 14 24

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

技術区分

研究者所属機関国籍(地域)

図 4-13 特許出願と論文発表の集計結果の差異(技術区分(分野別)(国籍(地域)別))

図 4-14 特許出願と論文発表の集計結果の差異(特徴点・製造プロセス(全体)(国籍(地域)別))

アセンブリー(後工程)で、マウンティング、ボンディング、封止・封緘では、特許では各国籍出願人とも少数な

がら出願しているが、論文発表件数は極端に少なくなっている。特に、日本国籍出願人は封止・封緘について

71件出願しているが、論文発表件数は0件である。

特許

論文

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- 50 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

特許 論文

バルク結晶分野への出願人国籍(地域)別特許出願件数比率は、日本国籍56.3%、米国籍15.4%、欧州国籍13.7%であるが、論文発表件数比率は、欧州国籍36.0%、日本国籍25.7%、米国籍21.9%である。

日本国籍

142件

25.7%

米国籍

121件

21.9%

欧州国籍

199件

36.0%

中国籍

36件

6.5%

韓国籍

17件

3.1%

台湾籍

14件

2.5%

その他

24件

4.3%

合計

553 件

17

25

49

35

20

36 37

45 47

37 40

30

3940

34

22

10

20

30

40

50

60

5

10

15

20

25

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年

2000-2015年

日本国籍

2,721件

56.3%米国籍

747件

15.4%

欧州国籍

663件

13.7%

中国籍

161件

3.3%

韓国籍

384件

7.9%

台湾籍

94件

1.9%

その他

65件

1.3%

合計

4,835 件

183

330

227

313335

396

445 436

361

405

307368 362

221

146

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

50

100

150

200

250

300

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

特許 論文

高周波デバイス分野への出願人国籍(地域)別特許出願件数比率は、日本国籍44.7%、米国籍28.3%、欧州国籍9.5%であるが、論文発表件数比率は、米国籍38.2%、欧州国籍31.9%、日本国籍11.0%である。

日本国籍

113件

11.0%

米国籍

392件

38.2%

欧州国籍

327件

31.9%

中国籍

61件

6.0%

韓国籍

37件

3.6%

台湾籍

32件

3.1%

その他

63件

6.1%

合計

1,025 件

10

23

29

40

58

46

64

54 54

77

107 110 114

94

73 72

20

40

60

80

100

120

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年

2000-2015年

日本国籍

1,232件

44.7%

米国籍

780件

28.3%

欧州国籍

263件

9.5%

中国籍

190件

6.9%

韓国籍

168件

6.1%

台湾籍

82件

3.0%

その他

41件

1.5%

合計

2,756 件

97 106

54

100

193 178 177 184

148

169

239

320

363

268

160

50

100

150

200

250

300

350

400

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

図 4-15 特許出願と論文発表の集計結果の差異(国籍(地域)別件数比率(バルク結晶分野))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。 図 4-16 特許出願と論文発表の集計結果の差異(国籍(地域)別件数比率(高周波デバイス分野))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

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- 51 -

本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

特許 論文

スイッチングデバイス分野への出願人国籍(地域)別特許出願件数比率は、日本国籍51.8%、米国籍26.5%、欧州国籍9.5%であるが、論文発表件数比率は、米国籍35.1%、欧州国籍22.4%、日本国籍21.4%である。

日本国籍

89件

21.4%

米国籍

146件

35.1%

欧州国籍

93件

22.4%

中国籍

37件

8.9%

韓国籍

26件

6.3%

台湾籍

10件

2.4%

その他

15件

3.6%

合計

416 件

5 6

1216

6

15 17 15

2124

30

36

35

6156

61

10

20

30

40

50

60

70

5

10

15

20

25

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

論文発表年

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

研究者所属機関国籍(地域)

論文発表年

2000-2015年

日本国籍

2,069件

51.8%

米国籍

1,060件

26.5%

欧州国籍

380件

9.5%

中国籍

158件

4.0%

韓国籍

232件

5.8%

台湾籍

83件

2.1%その他

14件

0.4%

合計

3,996 件

43 67 52 78

185 224 199 189207

278

442

636 668

450

278

100

200

300

400

500

600

700

800

50

100

150

200

250

300

350

400

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国

韓国 台湾 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2000-2014年

図 4-17 特許出願と論文発表の集計結果の差異(国籍(地域)別件数比率(スイッチングデバイス分野))

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

第5章 総合分析と提言

ワイドバンドギャップ(WBG)半導体である窒化ガリウムを用いたパワーデバイス(GaN

パワーデバイス)は、高効率で高速動作が可能なデバイスとしてエネルギー問題の解決や

IoT 時代の高度情報化社会を実現する様々なシステムへの応用が期待されている。現在、

GaN パワーデバイスの市場は、携帯電話基地局や防衛分野向けのように既にかなり普及し

ている GaN パワー高周波デバイス市場と、2014 年頃から本格採用が始まった GaN パワース

イッチングデバイス市場から形成されている。

GaN の高電子移動度トランジスタ(GaN-HEMT)は、これまで電子管やガリウム・ヒ素(GaAs)

デバイス、シリコン(Si)LDMOS トランジスタなどが使われてきた携帯電話基地局、レーダ、

マイクロ波無線通信などの通信インフラ向けにパワー高周波デバイスとして採用が広がっ

ている。かつては、防衛分野などの限られた領域で利用されていたが、着実にその採用分

野を拡大している。また、パワーエレクトロニクス分野においては、これまでシリコン(Si)

を材料とする MOSFET やスーパージャンクション(SJ)MOSFET、IGBT、ダイオード等が使わ

れてきた。近年、WBG 半導体のシリコンカーバイド(SiC)を材料としたパワーデバイスが

次世代パワーデバイスとして特に高耐圧の応用分野で採用が拡大している。GaN パワース

イッチングデバイスは高速性能と高効率特性をいかして、通信機器・情報機器用の電源、

太陽光発電のパワーコンディショナなどへの採用が始まり、将来の市場拡大が期待されて

いる。一方、将来、パワーデバイス市場競争の優劣を分けるポイントとして、高性能(高効

率、小型等)に加え、高信頼性、低コストの同時実現が挙げられる。GaN パワーデバイス研

究開発の現状は、これらの課題に関していまだ十分に解決策が見いだされたとはいえない

状況にある。

以下に、このような状況の下で日本企業等が取り組むべき課題、目指すべき研究開発、

知財戦略の方向性について、技術競争力強化の三つの技術開発領域(アプリケーション技

術開発、デバイスチップ/モジュール技術開発、基板技術開発)に関して提言する。さら

に、日本企業が GaN パワーデバイス関連技術での強みを継続的に進化させ、事業競争力を

確保するために、事業化関連強化に関しても提言する。

図 5-1 提言の構成

技術競争力強化

アプリケーション技術開発 デバイスチップ/モジュール技術開発 基板技術開発

目指すべきアプリケーション

試作段階サンプルの上位レイヤーへの早期な提供

パワーエレクトロニクス技術者向けに使いやすい形での提供

GaNパワーデバイスならではの特徴を発揮するデバイス開発推進

市場立ち上げに向けて解決すべき

主な課題

MMIC化・モジュール化の推進

基板から機器技術までの一貫した研究開発体制の構築

基板コスト低減の研究開発

提言1

提言3

提言2

提言4

提言5

提言6

提言7

提言8

事業化関連強化

提言10

提言11

デバイス研究開発拠点の整備と運営

技術集約型の企業連携による新規アプリケーションの創出

日本における知財戦略の強化提言9

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

1.アプリケーション技術開発における提言

技術区分(応用分野)別の出願件数推移(図 3-10)において、2000 年代の初めからレ

ーダ、基地局等を含む情報通信機器への出願が多く見られ、2010 年以降も増加傾向を示

している。また、自動車、電力、民生機器、情報通信機器一般などの応用への出願件数が

2000 年代後半には増加している。特に、自動車への出願は 2010 年代には最大の出願件数

となっており、将来のアプリケーションとして大きな期待が寄せられていることがうか

がえる(図 3-10)。これは、市場環境調査において 2000 年代中頃に防衛用途向けに GaN

パワー高周波デバイスが実用化され、その後、携帯電話基地局向けに高周波アンプ市場

が立ち上がったことと符合する研究開発の動向である。また、2010 年前後からパワース

イッチングデバイスが各種のパワーエレクトロニクス向けに採用が開始され始めた状況

とも符合している。また、技術区分(応用分野)別の出願人国籍(地域)別出願件数(図

3-11)によると、日本は自動車への出願が最も多く、次いで基地局、電力一般、家電機器

の出願件数が多く、米国は携帯端末、基地局、レーダが多く、次いで自動車となってい

る。

日米を始めとする世界各国は、エネルギー問題の解決や IoT 時代の高度情報化社会を

実現する様々なシステム構築に向けて、高効率な次世代パワーデバイスの開発計画を推

進している。電動自動車やデータセンタ等の電源に用いる AC/DC 変換等の高効率化を実

現するパワースイッチングデバイスの開発や、高速・大容量通信や超低遅延、大量 IoT 端

末の同時接続を支える 5G 携帯電話通信システム向けの高周波・低消費電力動作のパワー

高周波デバイスの開発が重要な研究開発テーマとなっている。高速・高周波動作が可能

で低オン抵抗による高効率動作が特徴の GaN パワーデバイスは、このようなアプリケー

ションへの応用が期待されている。

横型構造の GaN パワーデバイスにとって将来の重要市場は、5G 携帯電話基地局等の通

信インフラ向け高周波デバイスや、サーバー等の情報通信機器用電源、自動車の補機や

充電回路向けなどに動作周波数を上げて小型・軽量化を訴求できるスイッチングデバイ

スと考えられる(図 2-6、図 2-8)。

縦型構造の GaN パワースイッチングデバイスは、理論的には SiC の数分の 1 のオン抵

抗実現が可能と期待されており、車載インバータの空冷化などへの展開が考えられてい

る。しかしながら横型構造に比べて、バルク基板やデバイス開発上の技術成熟化、実用

化に向けたコスト低減などの課題があり、それらの解決が求められている。

提言1:「目指すべきアプリケーション」

産業競争力強化のために、アプリケーションごとに合わせた次世代パワーデバイスの

適用が重要である。実用化が進む横型構造の GaN パワーデバイスにとって重要な市場

は、5G 携帯電話基地局等の通信インフラ向け高周波デバイス、サーバー等の情報通信

機器用電源及び自動車の補機や充電回路など向けスイッチングデバイスである。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

米国のベンチャー企業は、ある程度技術開発が進むと発表して顧客の声を聞いてフィ

ードバックを掛けて製品を開発している(有識者ヒアリング)。米国のベンチャー企業は

GaN パワー高周波デバイスやパワースイッチングデバイスの事業化で先行する事例が多

く見られる(市場環境調査報告)。日本のメーカーは、完成度が高くないと開発品を顧客

に出さない傾向がある。また、メーカーが自社内に応用部門を持っていると自社への供

給を優先する傾向がある。

新材料の GaN を活用したパワーデバイスで新規なアプリケーションの創出を促すには、

デバイス開発を行う日本企業も、試作段階の GaN パワーデバイスチップやパッケージを

早期にサンプル提供し、提供を受けた上位レイヤー側から早期にフィードバックを得て

開発に反映することを推進するべきである。

GaN パワーデバイスの特性を十二分にいかした応用性能の発揮のためには、高周波増

幅やゲートドライバー等の回路技術、さらに、MMIC 技術やモジュール実装技術など様々

な技術の集積が必要である。パワーエレクトロニクスのシステム技術者向けに、いかに

使いやすい製品にできるかが課題である。技術区分(特徴点・モジュール)別の出願件

数推移においても(図 3-12)、モノリシック集積回路における素子レベルでの混載、回路、

パッケージにおける多チップ集積・一体化、パッケージ内外の回路等に関する出願件数

が 2010 年前後より急増している。高周波デバイスではモノリシック集積化が(図 3-18)、

スイッチングデバイスではパッケージでの多チップ集積・一体化やパッケージ内外の回

路に関する出願件数が(図 3-21)増加している。デバイス単体での提供ではなく、複数

のデバイス集積化や、制御回路等を含んだ「すぐに試験・評価できる」モジュール等を

使いやすい形で提供するべきである。

提言2:「試作段階サンプルの上位レイヤーへの早期な提供」

新規材料の GaN を活用したパワーデバイスで新規アプリケーションの創出を促すに

は、試作段階の GaN パワーデバイスチップやパッケージを早期にサンプル提供し、提

供を受けた上位レイヤー側から早期にフィードバックを得て開発に反映することを推

進するべきである。

提言3:「パワーエレクトロニクス技術者向けに使いやすい形での提供」

従来競合製品からの置き換え並びに新規応用先開拓を促すには、デバイス単体だけで

はなく、周辺回路やゲートドライバー回路を含めた「すぐに試験・評価できる」モジ

ュール等を使いやすい形で提供するべきである。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

2.デバイスチップ/モジュール技術開発における提言

個々のアプリケーションに対して、GaN パワーデバイスならではの特徴を発揮できる

デバイス開発を推進するべきである。横型 HEMT 構造の GaN パワートランジスタは、その

高速性をいかし、応用分野からの要求に応えられるデバイス開発が重要である。現在、

GaAs や Si LDMOS パワーデバイスに比べて GaN-HEMT 高周波パワーアンプは、明らかな性

能メリットを持っている。高周波デバイス分野における技術区分(課題)別の出願件数

推移(図 3-17)において、高速化・高周波化の出願件数は継続して増加している。スイ

ッチングデバイス分野においても、高速スイッチングによる小型・軽量化のメリットは

広く知られたところであり、期待も大きい。

縦型トランジスタでは、理論的に優位性のある低オン抵抗、高耐圧、大電流特性が生

きる、縦型ならではの優位性を早期に明確にする必要がある。縦型パワーデバイスにお

ける耐電圧別出願件数では 1200V 級を超える高耐電圧領域の出願件数も増加している

(図 3-13)。

GaN パワーデバイスチップ/モジュールなどの市場立上げや用途拡大のためには、コ

スト力と信頼性の向上が重要課題である。高周波デバイス分野における技術区分(課題)

別の出願件数推移(図 3-17)においても、「高速化・高周波化」「低コスト・製造容易化・

歩留り向上」の出願件数は継続して増加している。2010 年以降は「小型化・軽量化・集

積化」「高耐圧・高破壊耐量」「信頼性・長寿命化」についての出願件数の増加が見られ

る。また、高周波デバイス分野における「基板の構成」の出願件数推移(図 3-16)にお

いて、GaN on SiC 基板に継続して多くの出願が見られていたが、2013 年には GaN on Si

基板への出願件数が 1 位となっており、低コスト化のために GaN on Si 基板を使用した

研究も積極的に進められていることがうかがえる。将来の重要市場である 5G 携帯電話基

提言4:「GaN パワーデバイスならではの特徴を発揮するデバイス開発推進」

個々のアプリケーションに対して、「GaN パワーデバイスならではの特徴」を発揮で

きるデバイス開発を推進するべきである。横型構造の GaN パワーデバイスでは HEMT

の高速性・高周波特性をいかし、応用分野からの要求に応えられる研究開発が重要で

ある。縦型構造の GaN パワーデバイスでは理論的に優位性のある低オン抵抗、高耐

圧、大電流特性が生きる、縦型ならではの優位性を早期に明確にする必要がある。

提言5:「市場立ち上げに向けて解決すべき主な課題」

GaN パワーデバイスチップ/モジュールなどの市場立上げや用途拡大のためには、「低

コスト・製造容易化・歩留り向上」及び「信頼性・長寿命化」が重要課題である。さ

らに、高周波デバイスでは数十 GHz 帯までの高周波応用や小型化・軽量化・集積化を

実現する技術の進展が重要である。スイッチングデバイスではノーマリーオフ化や耐

圧・破壊耐量などの特性向上が重要であり、これら特性とコスト力両立の実用化技術

が重要である。特に縦型構造 GaN パワーデバイスの実用化は、縦型デバイスの製造プ

ロセス研究の進展とバルク結晶のコスト力及び品質にかかっている。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

地局等の通信インフラなど向けに、数十 GHz 帯までの高周波応用や小型・軽量化・集積

化を実現する技術開発の進展が重要である。

スイッチングデバイス分野における技術区分(課題)別の出願件数推移(図 3-20)に

おいて、2010 年以降の出願件数の増加が特徴的であり、「ノーマリーオフ化」「高耐圧・

高破壊耐量」「低コスト・製造容易化・歩留り向上」に加えて、「信頼性・長寿命化」への

出願件数の増加が見られる。スイッチングデバイスは、ノーマリーオフ化や耐圧・破壊

耐量などの品質向上が重要であり、これら特性とコスト力両立の技術開発が重要である。

技術区分(基本)別の出願件数推移(図 3-9)において電流の向きが縦型の出願件数は

継続的に増加している。また、バルク結晶分野における課題別の出願件数推移(図 3-14)

では、「低コスト・製造容易化・歩留り向上」に関して継続的に多数出願されている。し

かし、その実用化はバルク結晶のコスト力、実用化に耐える品質の確保にかかっており、

技術開発の進展次第である。現時点ではチャレンジングであるが、日本はバルク結晶分

野で特許出願や論文発表で世界的に活発な活動をしており(図 3-15、表 3-4(a))、コス

ト削減のブレークスルーと高信頼性を実現するバルク基板の研究開発推進が期待される

(図 3-20)。縦型構造 GaN パワーデバイスの実用化は、イオン注入や MOS 界面あるいは

側壁 HEMT チャネル形成などのデバイスプロセスの確立とバルク基板のコスト力及び品

質にかかっている。

「解決すべき主な課題」解決のためには、デバイス製造の要素プロセスの革新による

デバイス特性の向上とともに、アプリケーションに適した MMIC 化やデバイス・モジュー

ル化を推進するべきである。

高周波デバイスにおいては、エピ成長やウエハプロセス及びモノリシック集積回路に

よる高速化・高周波化への対応、低コスト化・製造容易化・歩留り向上へ対応する出願

が多く見られる。

スイッチングデバイスにおいては、エピ成長やウエハプロセスによる高耐圧・高破壊

耐量、ノーマリーオフへの対応、多チップ積層・一体化や素子レベルでの混載、回路技

術等による小型化・軽量化・集積化、低コスト化・製造容易化・歩留り向上へ対応する出

願が多く見られる。

バルク結晶においては、気相法、液相法、剥離技術による低コスト化・製造容易化・歩

留り向上、欠陥減少へ対応する出願が多く見られる。

提言6:「MMIC 化・モジュール化の推進」

上記の課題解決のために、デバイス製造の要素プロセスの革新によるデバイス特性の

向上とともにに、アプリケーションに適した MMIC 化やモジュール化を推進するべき

である。

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

GaN パワーデバイスの特性を十二分にいかしたアプリケーション実現のためには、高

周波増幅やゲートドライバー等の回路技術、さらに、MMIC 技術、モジュール実装技術、

機器技術など様々な技術の集積が必要である。モジュール化などでいかに使いやすい製

品にできるかが課題である。技術区分(特徴点・モジュール)別の出願件数推移(図 3-

12)において、モノリシック集積回路における素子レベルでの混載、回路、パッケージ

における多チップ集積・一体化、パッケージ内外の回路に関する出願件数が 2010 年前後

から急増している。開発用の基板/デバイスチップ供給体制、さらに高速性に優れる GaN

パワーデバイスを使いこなす機器技術まで連携した研究開発体制の構築を進めるべきで

ある。

GaN デバイスの場合、SiC と違って専用のプロセス装置が少ないためか、ファウンドリ

を利用するファブレスメーカーも出てきた。代表的なファウンドリの台湾半導体製造

(TSMC)は、2008 年以降に出願件数を急増させている。ファウンドリ利用モデルに対抗

する上でも、パワーデバイスだけではなく機器技術まで連携して考える研究開発体制が

重要である。

3.基板技術開発における提言

GaN パワーデバイスの普及のためには、エピウエハ及びバルク基板コストの革新的な

低減が必要である。技術区分(基本)別における「基板の構成」の出願件数推移(図 3-

9)では、2000 年代前半から GaN on サファイアや GaN on SiC 基板への出願が多かった

が、2009 年以降は GaN on Si 基板への出願が最も多く 2012 年まで継続して増加傾向を

示している。論文発表件数推移(図 4-3)においても同様の傾向が見られる。現在、製品

化では GaN on SiC 基板が主流の高周波デバイスでも(図 3-16)、近年は GaN on Si 基板

の件数が増加して 2013 年には出願件数がトップとなった。コストにより厳しいスイッチ

ングデバイスでは、2011 年以降 GaN on Si がトップとなっている(図 3-19)。この期間

は、製造プロセスにおいても(図 3-22)、ヘテロエピ成長、気相成長法への出願件数が急

提言7:「基板から機器技術までの一貫した研究開発体制の構築」

GaN パワーデバイスの特性を十二分にいかしたアプリケーション実現のためには、

高周波増幅やゲートドライバー等の回路技術、さらに、MMIC 技術、モジュール実装

技術、機器技術など様々な技術の集積が必要であり、それら技術領域間の連携に加

えて、開発用の基板/デバイスチップ供給体制をも包含した研究開発体制の構築を

進めるべきである。

提言8:「基板コスト低減の研究開発」

GaN パワーデバイス材料において、基板の品質を確保した上でエピウエハ及びバル

ク基板のコスト低減を可能とする技術を確立すべきである。特に、日本はバルク結

晶分野で特許出願や論文発表で世界的に活発な活動をしており、バルク基板の低欠

陥化とコスト削減を両立する大口径・長尺の高品質結晶成長技術の研究開発を進展

させるべきである。

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本編

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

増している。電流の向きが横型のデバイスでは、GaN on Si 基板が今後の主流となって

いくものとの期待が高い。しかし、現状では Si 基板上へのバッファ層に加えて、歪制御

用の多層構造を設けるなどによるコスト増の課題も指摘されており、品質を確保した上

でエピウエハコストの一層の低減を可能とする技術の確立が必要である。

技術区分(基本)別の出願件数推移(図 3-9)における電流の向きが縦型の出願件数は

継続的に増加している。基板の構成の GaN on GaN も同様の増加傾向を示している。縦型

デバイスの実用化は、バルク結晶技術の進展によるコスト低減次第である。現時点では

チャレンジングであるが、日本はバルク結晶分野で特許出願や論文発表で世界的に活発

な活動をしており(図 3-15、表 3-4(a))、バルク基板の低欠陥化とコスト削減を両立す

る大口径化(6 インチ)で長尺の高品質結晶成長技術の研究開発を推進させるべきである

(図 3-20)。

4.事業化関連領域における提言

GaN パワーデバイスの事業化に関しては、海外ファウンドリ事業、グローバル協業が既

に開始されている状況にある。このような環境下において、日本企業等はその強みを明

確にした上で、グローバル協業の可能性も視野に入れながら、研究開発に取り組む必要

がある。以下、日本企業等が GaN パワーデバイス関連技術での強みを継続的に進化させ、

事業競争力を確保するために、どのような取組が必要かという視点で提言する。

提言9:「日本における知財戦略の強化」

今後、米国及び中国との GaN パワーデバイス技術開発競争が激化すると思われる。特に、

スイッチングデバイス分野の技術開発競争が重要である。日本企業はこれらの技術開発

動向に対応した知財戦略の強化として、自前主義に陥らず大学を含む他者が提供する技

術の活用を図るべきである。

日本の大学には裾の広い技術開発を進めて、基本特許を創造する役割が期待される。こ

のためには、日本の大学における特許出願インセンティブが高まり、出願実績が評価さ

れる体制の強化を図るべきである。これにより、大学による単独出願や大学と研究機関

による共同出願の比率が増加し、大学発技術の事業化が促進され、さらにはベンチャー

企業の創出にも寄与することが期待される。

出願先国(地域)別の出願件数推移及び比率(図 3-2)に見られるように、出願先国(地

域)別で最も多いのは日本(6,267 件、31.5%)である。一方、出願件数推移では 2009

年頃から米国への出願件数が急増し、2012 年には日本向け出願を抜いてトップになって

いる。両国の出願人の研究開発活動が急速に活発になっていることが分かる。また、技

術区分別の出願人国籍(地域)別出願件数推移を見ると(図 3-23、図 3-24、図 3-25)、

2009 年以降に出願件数を増やしているのは高周波デバイスとスイッチングデバイスの両

分野である。スイッチングデバイス分野は 2005 年に合計件数で高周波デバイス分野を超

えた後、2009 年以降 2012 年まで高周波デバイス分野の約 1.8 倍の規模で継続的に出願

件数を増加している。この期間では、スイッチングデバイス分野がより注力される分野

となっている。今後、米国及び中国との GaN パワーデバイス技術開発競争が激化すると

思われる。特に、スイッチングデバイス分野の技術開発競争が重要である。

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要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

日本企業は事業競争力の確保のために、これらの技術開発動向に対応した知財戦略の

強化を図るべきである。企業においては自前主義に陥らず、日本の大学を含む他者が提

供する GaN パワーデバイスに関する技術を活用する知財戦略が期待される。

出願人国籍(地域)別の出願人属性別出願件数が示すように、GaN パワーデバイスにお

ける日本の大学による単独特許出願件数は、米国、中国、台湾に比較して少ない(図 3-

7)。図 5-2 に各国・地域別の大学による特許出願の内訳詳細を示す。2000-2014 年におけ

る各国・地域別の大学による特許出願件数は米国が 1 位(877 件)であり、日本(543 件)、

中国(369 件)が続いており、相対的に日本の大学による出願件数も多い。日本の大学に

は裾の広い技術開発を進めて、基本特許を創造する役割が期待される。

しかし、大学単独の出願件数は 1 位の米国(401 件)に対して、日本は 4 位(131 件)

と低く、中国、台湾に次ぐ位置となっている。日本の大学は共同出願が全体出願件数の

約 76%と高く、そのほとんどは(約 92%)企業と大学による共同出願である。これに対

して、中国、台湾は単独出願比率が 80%以上と非常に高い。米国は共同出願が全体の約

54%となっており、その内訳は大学と研究機関による共同出願件数が最も多く、大学と

企業との共同出願件数の 2 倍以上となっている。

日本の場合、大学による研究開発成果の活用が、共同開発した企業にしか継承されな

いという懸念がある。米国をキャッチアップする知財戦略の策定が重要である。

このためには、日本の大学における特許出願のインセンティブが高まり、出願実績が

評価される体制の強化を図るべきである。例えば、大学による研究開発成果の権利化や

権利活用について、権利化予算も含めて積極的に支援する体制の強化や、継続的に大学

の知財戦略を企画立案する機能の強化が考えられる。これらにより、日本の大学による

単独出願や大学と研究機関による共同出願の比率が増加し、大学発技術を幅広く日本企

業が活用することを可能とするべきである。日本の大学は裾の広い技術開発を進めて基

本特許を創造する役割が期待される。このような知財戦略の推進により、日本において

も大学発技術の事業化が促進され、さらにはベンチャー企業の創出にも寄与することが

期待される。

図 5-2 各国・地域別の大学による特許出願件数(2000-2014 年)

0100200300400500600700800900

1000

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾

大学単独出願

大学共同出願

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資料編

第6部

GaN パワーデバイスにおいて、米国ベンチャーによる市場への早期参入が見られる(市

場環境調査報告)。2000 年前後からカリフォルニア大学のサンタバーバラ校(UCSB)など

が米国国防総省傘下の DARPA の資金を使って GaN パワー高周波デバイスの研究を積極的

に進めてきた(表 4-1)。拠点大学は、クリーンルームを持ちデバイスの試作製造拠点と

なっており、企業も積極的に使っている。そこから、ベンチャー起業が立ち上がってき

た。

GaN パワー高周波デバイス市場では、化合物半導体基板や GaN 発光素子に強みを持つ

メーカー、GaAs を材料とする RF パワーデバイスに強みを持つメーカーが、レーダ等の

防衛用途や携帯電話基地局向け通信インフラ用途などに GaN-HEMT パワーアンプの製品

化で先行している(表 5-1)。また、GaN パワースイッチングデバイス市場では米国企業

が低耐圧の GaN-HEMT の製品化で先行している。米国大学発の技術がベンチャーへ移り、

これらベンチャー企業が研究開発と製品化を活発に進めている(表 5-2)。

表 5-1 GaN パワー高周波デバイス市場(2015 年)の主要メーカー

主要メーカー 主なパワー高周波デバイス事業 特徴

住友電工グループ 化合物基板、GaAs 及び GaN パワーデバイス 化合物基板事業、富士通との

協業

Wolfspeed(米国) SiC Power and GaN RF solutions(クリーより分社) 化合物基板事業

Qorvo(米国) GaN portfolio from TriQuint and RFMD GaN ベンチャーと RF 専業の

合併

MACOM(米国) RF and microwave of GaN on Si (Nitronex)

products GaN ベンチャーの買収

United Monolithic

Semiconductors(フランス) MMIC & GaAs and GaN foundry services 化合物半導体ファウンドリ

Microsemi(米国) aerospace & defense, communications 向け 防衛

Raytheon(米国) GaAs and GaN for defense 防衛

表 5-2 GaN パワースイッチングデバイス市場(2015 年)の主要メーカー

主要メーカー 主なパワースイッチングデバイス事業 特徴

トランスフォーム(米国) 600V 耐圧、カスコード接続

GaN on Si で製品化

GaN on Si エピ開発、

ベンチャー

インフィニオン・テクノロジーズ

(ドイツ) 100V 耐圧で製品化

インターナショナル・レクチファ

イア(米国)を買収

GaN Systems(カナダ) 2008 年に設立された GaN トランジスタの専業メーカー ファブレス・ベンチャー

Efficient Power Conversion

(米国) 2007 年に設立された GaN トランジスタの専業メーカー ファブレス・ベンチャー

日本の大学や研究機関等が提言9の役割を十分に果たすために、日本の大学、研究機

関や企業が利用できる GaN パワーデバイスの試作製造拠点の整備と効率的な運営体制の

構築を推進するべきである。

提言10:「デバイス研究開発拠点の整備と運営」

GaN パワーデバイスにおいても、日本の企業や大学が利用できる試作製造拠点の整備

と効率的な運営体制の構築を推進するべきである。

Page 62: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) GaNパワーデ …€¦ · GaNパワーデバイスの技術俯瞰図を図1-1に示す。本調査の調査範囲は、GaNバルク結晶

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本編

目次

要約

第1部

第2部

第3部

第4部

第5部

資料編

第6部

新規アプリケーションの創出のために、産業界においては、GaN の基板製造、デバイス

製造、モジュール製造のプレーヤーとパワーエレクトロニクス分野のプレーヤーのビジ

ネス連携体制を強化することが重要である。

米国ではニューヨーク州によるパワーエレクトロニクスのプロジェクト「NY-PEMC(New

York – Power Electronics Manufacturing Consortium)」が 2014 年に立ち上げられ、

SiC については、開発・製造される 6 インチの低コスト・高性能ウエハを使った製品化

を、GaN については、ロチェスターで SEMATECH と IBM が中心となり、研究開発を進める

計画となっている。コンソーシアムによる官民参加の研究活動である。

日本においても、SiC では、つくばイノベーションアリーナに研究拠点を設け、SiC ア

ライアンスによるウエハ、デバイス、システムなどの供給サイドと家電、自動車、鉄道、

電力などユーザーサイドとの連携を図る活動の先行事例がある。

GaN についても、2015 年 10 月に「GaN 研究コンソーシアム」が、2016 年 4 月に「産総

研・名大 窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ」が設立された。

これらの枠組みを活用した活動が期待される。

さらに、日本の産業界においては、基板製造、デバイス製造、モジュール製造のプレー

ヤーとパワーエレクトロニクス分野のプレーヤーとのビジネス連携体制を強化すること

で、GaN パワーデバイスの新規なアプリケーション創出を図るべきである。

提言11:「技術集約型の企業連携による新規アプリケーションの創出」

産業界においては、基板製造、デバイス製造、モジュール製造のプレーヤーとパワ

ーエレクトロニクス分野のプレーヤーとのビジネス連携体制を強化することで、GaN

パワーデバイスの新規なアプリケーション創出を図るべきである。