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平成26年度 第2回SGST定期研究会
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2次元検出器を利用したX線回折による残留応力測定手法
2014年 8月29日パルステック工業(株)
野末秀和
名城大学名駅サテライト
2Create New Value
小型部品だけでなく,大型部品から現場まで
・塑性加工:圧延、プレス、金型等・熱処理:焼入れ、焼鈍、サブゼロ処理・溶接:ボディ、シャーシ、マニホールド、マフラー等・切削、研磨品:エンジン、駆動系構成部品・表面改質:ピーニング(ショット,WPC,LD)、ブラスト等々
近年自動車業界では、激化する高燃費競争による部品の軽量化、それとは相反して安全性や性能向上のために、部品の寸法精度や強度向上が急務⇒残留応力の管理や把握、その制御が重要とされている
残留応力の活用
3
残留応力測定
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残留応力の測定
圧縮応力/善玉:強さ(疲労強さ)を増し、疲労破壊を防ぐ効果あり引張応力/悪玉:小さい傷が疲労破壊を促進させる可能性あり
破壊法 試験体を切断や除去した時に生じる弾性変形を定量的に測定
⇒ホールドリル(穿孔)法、リングコア法、⇒ ひずみゲージ
非破壊法 試験体に極力破壊しない状態で測定
⇒X線法,磁気歪み法,硬さ法,腐食法,音弾性法,バルクハウゼン法
ひずみゲージ µーX360(X線法)
4点曲げによる歪ゲージとの比較
4
無応力のサンプルを使い、4点曲げにて歪ゲージと比較
外力外力
歪ゲージ
μ-X360測定
5
鉄のような等方性多結晶構造の様子
• 鉄(Fe)に含まれる多結晶粒の様子
鉄(鋼)は色々な向きの結晶粒がランダムに配置されており、結晶粒の大きさはX線の照射スポットに比べ非常に小さいため、X線は様々な向きの結晶粒(面)に当たります。
結晶粒
試料面
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6
X線の基礎 回折現象について
• Bragg(ブラッグ)の法則
X線波長(λ)が結晶格子面間隔(d)に入射、散乱する際(d)により位相の干渉が発生。この回折現象をBraggの式(Braggの法則)となる。(n)は自然数
ブラッグの法則 (格子面によるX線の散乱による回折)
2dsinn
A
B
C
E
D
θ
dθ
λ
(h
kl)
(h
kl)
O
O’
P
P’
λはX線波長のため不変、そのため力が加わり d が変わるとθが変わるCreate New Value
試料面
入射X線
回折
X線
デバイ環
X線による応力評価とは
外側は引張応力
内側は圧縮応力
外力
鉄球
外力
鉄球で変形された穴を母材が押し戻そうとするため圧縮に転化する。X線により総合的な表面の応力状態の計測が可能
鉄球をサンプルにぶつける※ショットピーニングなど
鋼材
外力をかけると
7
凹む
引張→圧縮
圧縮
X線による応力測定=付加応力+残留応力→残留応力とは、外力が作用しない応力
非破壊測定手段のひとつ『X線法』
切削加工、溶接、表面改質、熱処理等の条件により、残留応力発生・問題となる残留応力そのものを測定・改善するため最適条件選定・工程の管理
8
デバイ環全体を取得し、無応力試料を基準に測定試料のデバイ環との差(歪θ)を求めることで、残留応力を算出sin2ψ法に加えデバイ環の回転角αが計算に加わる
cosα法の測定
• cosα法の概要
回折X線
回折面法線
ε(歪み)
回折面 試料
ψ0
ψ
η
η
2θ
入射X線
デバイ環
Zα
9
cosα法の計算
• cosα法の残留応力(σ)計算
デバイ環全周を取得し、無応力試料との差(歪)を求め、次の計算を行う
)}( ){(2
1 1 -+-
cossin2
1
sin2
1
1
1
0
・・・E
x
応力定数 K 傾きM
)}( ){(2
1 2 ---
inssin
1
sin2
1E 2
0
xy ・・・)1(2
α
εα
επ-αεπ+α
ε-α
cosα法
横軸にcosα(αはデバイ環角度)、縦軸に前頁で計算したεα1でグラフを作ると以下の図になり、 sin2ψ法と同様に直線の傾きが応力となることから、cosα法と呼ばれます。
10
傾きが応力
11
試料距離に応じてデバイ環のサイズが変化
2次元検出器にデバイ環が収まれば計測可能
cosα法の測定(補足)
• cosα法は試料距離がラフでもOK
回折X線
回折面法線
ε(歪み)
回折面 試料
ψ0
ψ
2θ
入射X線
デバイ環
Zα
近い
普通
遠い
フェライトのデバイ環Crkα(156.396deg):測定可能試料距離28-50mm
2次元検出によるメリット
■デバイ環全周取得(500ポイント)
→最大500個のデータを取得することで再現性と信頼性向上
12
①デバイ環
2次元センサー強度分布
③COSα線図
125point
②結果(例)
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2次元検出によるメリット
■『視覚的に確認』
13Create New Value
大きな結晶(集合組織)
配向:圧延による影響
導入事例:自動車部品
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①ギア(ラックピニオン、ハイポイドギア)②エギゾーストマニュホールド③クランクシャフト④サスペンション⑤コンロット⑥ベアリング⑦ドアパネル⑧シャーシ➈ホイル⑩ボールネジ⑪マフラー⑫シートレール⑬タービンブレード
カセット溶接HAZ部測定
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数値化することで
・材料開発
・最適な工程設計
・工程管理
・寿命予測
・シミュレーションとの比較
・品質保証
[熱を発する工程]
鍛造、鋳造、ダイカスト
切削、溶接、熱処理、表層改質
マニホールド ギアマニホールド ギア
クランクシャフト サスペンション
ショットピーニング効果
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①ショットピーニング前 -141MPa ②ショットピーニング後 -459MPa
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・最適条件検討
・工程管理
・品質保証
・余寿命の予測
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溶接による残留応力
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① 局部的な温度変化に伴う熱膨張や縮小が発生② 周囲が拘束された状態となるため変形が妨げられ、溶接近傍に大きな残留応力が発生
③ 残留応力が要因で変形や亀裂等の問題が発生する場合あり
応力測定方向
大型部品や構造材①配管溶接&熱処理部周辺残留応力確認
②タンク溶接部、焼戻し効果確認現物確認と工程改善
③大型工作機械部品高周波焼入れ近傍確認金型の経年変化確認
④重機部品溶接、熱処理ショットピーニング効果確認
溶接線HAZ部測定
溶接線HAZ部測定
溶接線HAZ部測定
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測定事例:現場
①鉄道 レール測定②道路建築現場ケーソン計測③橋梁 ウェブ部、フランジ部④水力発電所 ランナー計測⑤プラントメンテナンス補修溶接後、ショットピーニング処理部計測経年変化確認