76
20 3. 3.1 (1) 3.1-1 3.1-1 Law Act Rules Notification Guideline 18 3.1-2 3.1-2 Act The Environment (Protection) Act, 1986, amended 1991 The Wild Life (Protection) Amendment Act, 2006 – The Wild Life (Protection) Amendment Act, 2002 The Indian Wildlife (Protection) Act, 1972, amended 1993 Forest (Conservation) Act, 1980, amended 1988 The Indian Forest Act, 1927 State/Union Territory Minor Forest Produce (Ownership of Forest Dependent Community) Act, 2005 - Draft The Biological Diversity Act, 2002 S.O.753(E)-Coming in to force of sections of the Biodiversity Act, 2002 [01/07/2004] S.O.497(E)-Appointment of non-official members on NBA from 1st October, 2003 [15/04/2004]- S.O.1147(E)-Establishment of National Biodiversity GUIDELINES FOR COMMON HAZARDOUS WASTE INCINERATION 2005 6

3. 調査対象地域における基礎情報の収集 3 · 2019-03-05 · Water (Prevention and control of pollution) Rules, 1975)では中央公害管理局(CPCB) の機能が細かく規定24されている。

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20

3. 調査対象地域における基礎情報の収集 3.1 法律・政策

(1)法制度・政策

インドの環境分野の法体系は、基本的に表 3.1-1 の構造となっている。

表 3.1-1インドにおける環境分野の法体系

内 容 法律 (Law、Act)

国会で承認され、最も上位に位置するもの。義務、罰則等が

伴う。

規則 (Rules)

法に基づいて政府機関(省)が、法の実施にかかる細則を定

めたもの。

通達 (Notification)

規則を補足するためや具体的な手続き、運用の手順を定めた

もの。

ガイドライン (Guideline)

規則の執行代行官である各地方の行政機関による規則の執行

をサポートするため中央の所管官庁が作成18する。法的義務を

伴わないが、推奨されるべき取り組みを示したもの。

インドにおける環境関連の法律は表 3.1-2 のとおりである。

表 3.1-2 インドにおける環境関連の法律(Act)

位置づけ 名称 基本法 ・ The Environment (Protection) Act, 1986, amended 1991

自然 保護

・ The Wild Life (Protection) Amendment Act, 2006 – ・ The Wild Life (Protection) Amendment Act, 2002 ・ The Indian Wildlife (Protection) Act, 1972, amended

1993 個別法 森林 ・ Forest (Conservation) Act, 1980, amended 1988

・ The Indian Forest Act, 1927 ・ State/Union Territory Minor Forest Produce

(Ownership of Forest Dependent Community) Act, 2005 - Draft

生物 多様性

・ The Biological Diversity Act, 2002 ・ S.O.753(E)-Coming in to force of sections of the

Biodiversity Act, 2002 [01/07/2004] ・ S.O.497(E)-Appointment of non-official members on

NBA from 1st October, 2003 [15/04/2004]- ・ S.O.1147(E)-Establishment of National Biodiversity

18 例えば、「GUIDELINES FOR COMMON HAZARDOUS WASTE INCINERATION」は 2005 年 6 月

に中央公害管理局と環境森林省により作成された。

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21

位置づけ 名称 Authority from 1st October, 2003.

・ S.O.1146(E)-Bringing into force Sections 1 and 2; Sections 8 to 17; Sections 48,54,59,62,63,64 and 65 w.e.f. 1st October, 2003.

水 ・ The Water (Prevention and Control of Pollution) Act, 1974, amended 1988

・ The Water (Prevention and Control of Pollution) Cess Act, 1977, amended 1992

・ The Water (Prevention and Control of Pollution) Cess (Amendment) Act, 2003.

大気 ・ The Air (Prevention and Control of Pollution) Act 1981, amended 1987

環境影

響評価 ・ S.O.1533(E) - Environmental Impact Assessement

Notification-2006 [14/09/2006]

石炭灰 ・ S.O.513(E) - Fly ash in construction activities, Responsibilities of Thermal Power Plants and Specifications for use of ash-based products/responsibility of other agencies, Notification, dated 03 April,2007

騒音 ・ S.O.123(E) - Noise Pollution (Regulation and Control) Rules, 2000 [14/2/2000]

出典:環境森林省ウェブサイト「法令(legislations)」関連情報より抜粋19

環境分野の基本法、個別法の制定状況は以下のとおりである。 ①環境保全法(Environment (Protection) Act)1986 年制定、1991 年改定20

環境保全法はインドにおける環境関連の基本法である。環境保全法では環境汚染の防止、

管理及び緩和のための中央政府の責任が規定されている。中央政府には環境保全法の目標

事項を達成するために適切な規則等を作成する権限が与えられている。 表 3.1-3 は、環境保全法の構成で、環境行政に係る権限、関係者の役割、罰則等を定めて

いる。

19 なお、法令以外の規則(Rules)、通達(Notifications)は膨大な量であること、随時新規のものが追加、

又は更新されたものが公表されていることから本表での整理対象とはしていない。同ページを参照された

い。(http://envfor.nic.in/legis/legis.html) 20 資料集「1.関連法規 ①」参照

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22

表 3.1-3 環境保全法の概要

1 章 序

1条 タイトル、範囲、発効

2条 定義

2章 中央政府の権限

3条 環境の保護と改善のための対策を実施する中央政府の権限

4条 担当官の指名及びその権限と機能

5条 指導権限

6条 環境汚染を規制する規則

3 章 環境汚染の防止・規制・緩和

7条 工場を運営する者、操業者は基準を超えて環境汚染物質を排出することの禁止

8条 有害物質を取り扱う手順の遵守

9条 特定分野の監督機関、組織への情報の提供

10条 立入・検査の権限

11条 サンプリング及び手続きに関する権限

12条 環境分析機関

13条 政府の分析官

14条 政府の分析官による報告

15条 本法、規則、命令の条文違反への罰則

16条 企業による違反

17条 政府部局による違反

4 章 その他

18条 本法及び関連法規遵守を目的とした行為の保護

19条 違反の認知

20条 情報、報告、回答の提出

21条 3 条に規定される監督機関の公務員としての要員、職員、雇用者

22条 法の管轄

23条 代行の権限

24条 他の法の効力

25条 規則策定の権限

26条 法に基づく規則の議会への提出

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23

なお、環境保全法に規定する「環境」とは、「水、大気、土地及びそれらと人類、その他

の生命、植物、微生物との間に存在する相互連関性を含む」と定義されている。したがっ

て、この定義による環境に対する汚染、被害を与える諸事象の防止、規制、緩和のための

権限が、環境保全法に規定されている。汚染防止・規制の必要な分野については、中央政

府にそのための規則を定めることのできる権限が、環境保全法の第 3 条、6 条、25 条によ

って付与されている。 ②環境保全規則(Environment (Protection) Rules)1986 年制定21 環境保全規則22は環境保全法に基づいて制定された規則であり、工場等から排出される汚

染物質の排出基準等23が設定されている。当規則は特定の地域における工場等の設置につい

て、汚染物質に対する最大許容値の考慮、古跡・動物保護区等の近隣に設置しないこと等

の条件も規定している(第 5 条)。汚染物質を排出する事業所等による排出物質等の分析デ

ータの関係当局への提出も当規則によって義務付けられている。 ③水質 水(汚染防止及び管理)法(The Water (prevention and control of pollution) Cess Act,

1977 以下「水法」)は水質汚染の防止、管理及び水質の向上を目的とした法律である。水

法の目標の達成のために「中央公害管理局(Central Pollution Control Board: CPCB)」に

必要な権限が与えられた。また、1975 年に制定された水(汚染防止及び管理)規則(The Water (Prevention and control of pollution) Rules, 1975)では中央公害管理局(CPCB)

の機能が細かく規定24されている。

④大気 大気(汚染防止及び管理)法(The Air (Prevention and control of pollution) Act, 1981

以下「大気法」)は大気汚染の防止、管理及び影響緩和の促進を目的とした法律である。中

央公害管理局(CPCB)及び州公害管理局(State Pollution Control Board: SPCB)に大気

法が目標としている事項を達成するための権限を与えている。州公害管理局(SPCB)には

21 改正が随時行われている。環境森林省のウェブサイト(http://envfor.nic.in/legis/legis.html#C)にて最

近の改正内容が確認できる。 22 改正は随時行われており環境森林省のウェブサイトにて公表されている 23 附属書(Schedule)Ⅰに 90 業種の排出基準(排水、排ガス)が記載されている。例えば、#42 のペン

キ製造業の排水基準は pH 6.0-8.5 以下、SS(浮遊物質)は 100mg/l 以下、鉛は 0.1mg/l 以下の基準が設定

されている。業種によって、排出される汚染物質が異なるため、廃水か廃ガス基準のいずれかのみの場合

があり全業種統一ではない。なお、4 章(4.1.2 の(3))に整理されている業種別の排ガス基準と同じもの

である。 24 後述の(2)①の 2)に整理されている。なお、CPCB は設立に際して水質汚染の防止や管理が当初の目的

であったため水質汚染法によりその役割が規定されているが、その他の分野(大気、廃棄物等)における

役割を有していないということではない。

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24

汚染管理地域を指定し、その地域における工業活動を制限する権限25が与えられている。 ⑤廃棄物 インドにおける廃棄物の分類は表 3.1-4 に示すとおり、廃棄物は大きく都市廃棄物

(Municipal Solid Waste: MSW)、有害廃棄物(Hazardous Waste)及び医療廃棄物

(Bio-Medical Waste)に分類されている。

表 3.1-4 インドにおける廃棄物の分類

分類 該当する規則 医療廃棄物 (Bio-Medical Waste)

医療廃棄物管理規則 (The Bio-medical Waste (Management and Handling) Rules, 1998)

有害(産業)廃棄物 (Hazardous Waste)

有害廃棄物管理規則 (The Hazardous Wastes (Management and Handling) Rules, 1989)

都市廃棄物 , オフィス廃棄物

(Municipal Solid Waste) 都市廃棄物 (Municipal Solid Waste)

都市廃棄物管理規則 (The MSW (Management and Handling) Rules, 2000)

事業系廃棄物(都市廃棄物) Commercial Waste (similar to Municipal Solid Waste)

都市廃棄物管理規則 (The MSW (Management and Handling) Rules, 2000)

農業廃棄物、都市廃棄物 (Horticulture / Farm Waste / Municipal Solid Waste)

都市廃棄物管理規則 (The MSW (Management and Handling) Rules, 2000)

有害(産業)廃棄物、 都市廃棄物 (Industrial / Hazardous Waste / Municipal Solid Waste)

都市廃棄物管理規則 (The MSW (Management and Handling) Rules, 2000) 有害廃棄物管理規則 (The Hazardous Wastes (Management and Handling) Rules, 1989)

剪定枝・園芸廃棄物 (Horticulture Waste)

都市廃棄物管理規則 (MSW (Management and Handling) Rules, 2000)

「有害廃棄物」に該当する廃棄物は、「有害廃棄物(管理及び取扱い)に関する規則(有

害廃棄物管理規則)」の規定に従って処分されなければならない。なお、都市廃棄物に関し

ては 2000 年に「都市廃棄物(管理及び取扱い)に関する規則(Municipal Solid Waste (Management and Handling) Rules, 2000: MSW Rules 2000)」が制定されており、都市

廃棄物の管理の基本となっている。 25 21 条に「工場使用の制限(Restrictions on use of certain industrial plants)」の条項があり、第 5 項に

公害防止装置の整備等の条件が提示されており、満たすことができない場合は州当局(State Board)から

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有害廃棄物については、有害廃棄物管理規則の他、有害廃棄物の定義や排出者の責務、

施設の技術基準は各種のガイドラインにて規定されている。 例えば、環境森林省(MoEF)及び中央公害管理局(CPCB)によって 1998-99 年に出さ

れたガイドライン(Guidelines for Setting up of Operating Facility-Hazardous Waste Management, HAZWAMS/11/98-99)では、有害廃棄物の処理方法について直接埋立処分

ができない基準値が示されている。また、Criteria for Hazardous Waste Landfills, HAZWAMS/17/2000-01 では、処分施設の基準が規定された。

しかしながら、同ガイドラインは濃度基準のため、処分場の受け入れ基準(アクセプタ

ンスクライテリア)ではなく、また、適正処理の基準が不明確だったため、以下のガイド

ラインが新たに整備された。 1. Guidelines For Proper Functioning and Upkeep of Disposal Sites (2005-2006

年)有害廃棄物ガイドライン 2. Guidelines For Common Hazardous Waste Incineration(2005 年 6 月)有害廃棄

物焼却ガイドライン 3. Guidelines For Transportation Of Hazardous Wastes(2006 年 9 月)有害廃棄物

の輸送ガイドライン これにより、 ア)有害廃棄物の定義が明確となった(Guidelines For Proper Functioning and

Upkeep of Disposal Sites より)。

• 別表 1:36 の製造プロセス(濃度にかかわらず該当)から排出される廃棄物

(List of Hazardous wastes) • 別表 2:Class A~E に廃棄物分類。基準以上の濃度を有する場合に該当 • 腐敗性、反応性、毒性、引火性、急性毒性に関する定義も加わる(うち、毒

性については USEPA の TCLP テストによる溶出基準を超えたもの(別表 1と 2 で規定される有害廃棄物に追加される定義。いずれに該当しない場合で

も溶出基準値を超えれば有害廃棄物と定義される)。ただし、テストの実施義

務はない)

イ)また、各主体の責任も明確にされている。 <排出者の責任> • 廃棄物を処理業者に委託処理しようとする場合、有害廃棄物に関する情報を提供する

義務がある。(規則第 4 条 2 項) • マニフェストを準備、使用し、また、他の州に運ぶ場合には事前に州公害管理局

(SPCB)に届けなければならない。また、輸送者に対して事故時の対応を目的に廃

棄物の情報を提供する義務がある。(規則第 7 条 4 項)

工場稼働の同意を得ることができない(http://envfor.nic.in/legis/air/air1.html)

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26

• 有害廃棄物処理のための施設を処理業者と一緒に確保する責任がある。(規則第 8 条) • 公害管理局の廃棄物に関する報告を年 1 回提出すること。(規則第 9 条 2 項) ===以下、03 年改正規則 20 条に規定=== • 有害廃棄物の処理・リサイクルを委託する場合、処理・リサイクル業者の登録期限が

充分残っていることを確認すること。 • 処理施設で 90 日以上廃棄物が保管されていないことを確認すること等。 <有害廃棄物を取り扱うものの責任(処理者含む)> • 有害廃棄物の適切な収集、受け入れ、処理、保管および処分の責任。(規則第 4 条 1

項) • 有害廃棄物を取扱う者(リサイクルする者を含む)は州公害管理局(SPCB)の

secretary へ許可のため Form1 を使用して申請しなければならない。(規則第 5 条 2項)

• 毎年 1 月 31 日までに Form4 を使用して有害廃棄物の取扱いに関する情報を州公害管

理局(SPCB)へ提出する義務がある。(規則第 6 条 8 項、9 条 1、2 項) • Form9 に基づいて、マニフェスト(6 枚)を作成し、関係者へ提出する(規則第 7 条

4 項) ウ)③廃棄物の処分場への受け入れ基準として「溶出基準」が規定26され、その基準を満た

すための安定化が必要となった。

26 Guidelines For Proper Functioning and Upkeep of Disposal Sites の Annexure�Concentration Limits/Criteria for Acceptance of Hazardous Wastes for Direct Disposal to Secured Landfill (http://www.cpcb.nic.in/Hazardous%20Waste/disposal.pdf)

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27

表 3.1-5 処分場への受け入れ基準(溶出基準)

Leachate Quality * Concentration

PH 4 - 12 Total Phenols < 100 mg/l Arsenic < 1 mg/l Lead < 2 mg/l Cadmium < 0.2 mg/l Chromium-VI < 0.5 mg/l Copper < 10 mg/l Nickel < 3 mg/l Mercury < 0.1 mg/l Zinc < 10 mg/l Fluoride < 50 mg/l Ammonia < 1,000 mg/l Cyanide < 2 mg/l Nitrate < 30 mg/l

Adsorbable organic bound Chlorine < 3 mg/l Water soluble compounds except salts < 10%

Calorific value < 2500 K.Cal/kg Strength

Transversal strength (Vane Testing) > 25 KN/m2 Unconfined Compression Test >50 KN/m2

Axial Deformation < 20 % Degree of Mineralization or Content of Organic Materials (Original Sample) Annealing loss of the dry residue at 550°C < 20% by weight (for non-biodegradable waste)

< 5% by weight (for biodegradable waste) Extractible Lipophilic contents (Oil & Grease) < 4% by weight

Note: Leachate quality is based on Water Leach Test 処分場の技術要件としては、「有害廃棄物処分場クライテリア(Criteria for Hazardous Waste Landfills 27)」(HAZWAMS/17/2000-01)及び「施設建設ガイドライン(The guidelines of MoEF/CPCB(Guidelines for Setting up of Operating Facility- Hazardous Waste Management)」(HAZWAMS/11/98-99)により明確となり、二重ライナー、浸出水

処理施設の整備が必要となった。また、浸出水の放流基準についても規定されるようにな

った。

27 http://www.ospcboard.org/CRITERIA%20FOR%20HAZARDOUS%20WASTE%20LANDFILLS.pdf

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表 3.1-6 浸出水の放流基準

出典:有害廃棄物管理規則(HAZWAMS/17/2000-01)AnnexureⅢ

エ)埋立処分か焼却の判断(焼却対象廃棄物の判断)も明確となった(有害廃棄物焼却ガ

イドライン「GUIDELINES FOR COMMON HAZARDOUS WASTE INCINERATION」)。

処分場受入基準溶出試験等

有害性判定基準(TCLP)

Yes

処分場

熱量2500kcal/kg以上

焼却No Yes

Yes

物理化学処理又は固形化処理

No

(残渣)

(液状物)

(焼却灰)

図 3.1-1 埋立又は焼却の判断フロー

出典:「インド・バンガロール都市圏産業廃棄物処理施設建設調査」

平成 18 年度 地球環境・プラント活性化事業等調査

焼却施設の技術要件としては、焼却ガイドライン(GUIDELINES FOR COMMON

HAZARDOUS WASTEINCINERATION28)が規定され、次の点が明確になった。また、「焼

28http://www.cpcb.nic.in/Hazardous%20Waste/GUIDELINES-FOR-COMMON-HAZARDOUS-WASTEINCINERATION.pdf

Page 10: 3. 調査対象地域における基礎情報の収集 3 · 2019-03-05 · Water (Prevention and control of pollution) Rules, 1975)では中央公害管理局(CPCB) の機能が細かく規定24されている。

29

却が必要となる廃棄物29」として、廃溶剤、廃油、ハロゲン系、硫黄、リン酸、窒素化合物

を含む有機廃棄物等、その他、2,500kcal/kg 以上のカロリーのある廃棄物が例示されてい

る。

• 焼却炉の構造基準(燃焼室、排ガス処理装置、煙突) • 保管、分析、投入メカニズム、モニタリング方法、灰の管理、排ガス処理装置から

の排水管理 • 排ガス基準(以下、参照) • 運転管理基準(以下、一例) 等

2 次燃焼炉温度 1,100℃、滞留時間 2 秒を確保すること 1 年間の運転実績の後、2 週間の連続モニタリングの結果、1,100℃よりも低

い温度で該当基準を満足することを証明できた場合、低温での処理の許可のた

めに州の公害管理局(SPCB)へ申請することができる。しかしどの条件にお

いても、950℃以下、1.5 秒以下の条件は認められない スラグにおける TOC が 3%以下、熱灼減量が 5%(乾燥重量)以下になるよう

運転を行うこと。

表 3.1-7 焼却施設の排ガス基準

出典:GUIDELINES FOR COMMON HAZARDOUS WASTE INCINERATION

29 Typical wastes that would need to be incinerated by the operator of TSDF may include・・・

(GUIDELINES FOR PROPER FUNCTIONING AND UPKEEP OF DISPOSAL SITES)との表記があ

る。

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30

有害廃棄物の排ガス基準案30(PROPOSED EMISSION STANDARDS FOR COMMON HAZARDOUS WASTE INCINERATOR)は、改訂のため 2007 年 9 月にパブリックコメ

ントを受け付け改訂された。 ⑥廃棄物処理・リサイクルの実施状況 実施状況は 3.3、3.4 章に整理の通りであるが、産業由来の有害廃棄物については排出事

業者が有害廃棄物管理規則に則り自らまたは民間の廃棄物処理業者に委託され処理、処分

されるのが一般的である。環境上適正に処理する委託先が確保できない場合は、自社の敷

地内に保管することが規定されている。このため、大手の排出事業者は、自社内の焼却施

設(Captive facility)や保管または埋立施設を保有している31。 また、家庭用電気製品(パソコン、携帯電話等を含む)、自動車、容器包装等の廃製品に

ついては、家庭用電気製品を含む電気電子機器廃棄物(e-waste)の処理ガイドラインが策

定され、2008 年 3 月に公表されている以外、回収、リサイクルのシステムに係る法規制の

備は行われていない32。同ガイドラインでは、収集業者、解体業者、処理業者等が環境上適

正な方法で e-waste を取扱い、金属の回収等のリサイクルを行うことが奨励されている。 (2)行政組織の概要

インドの中央政府は、以下の通り 49 の省庁と計画委員会等の独立の組織が総理大臣の下

に構成されている。

30 http://www.cpcb.nic.in/Hazardous%20Waste/Standards_CHWI.pdf 31 グジャラート州において有害廃棄物業者 6 社が稼動している。これは大手財閥系の排出事業者が処理に

伴う処理費を負担し委託処理を行う形態が成立しているためであると考えられる。 32 インド環境森林省のウェブサイトで策定されている。法規制の整備がないことは P4 に記載されている

(http://www.envfor.nic.in/divisions/hsmd/guidelines-e-waste.pdf)。

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31

図 3.1-2 インド中央政府の組織図

中央政府、州政府及び地方自治体(Urban Local Bodies: ULBs)には環境に関連する省

庁、部局が設置されており、それぞれの主な行政機構、役割は次のとおりである。

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32

①中央政府 中央政府には、環境政策に関連する省庁が複数存在するが、主幹省は環境森林省

(Ministry of Environment and Forests: MoEF)である。その附属組織と位置づけられ政

策実施の役割を担う中央公害管理局(CPCB)33の他、都市部の上下水道、廃棄物インフラ

の整備を担当する都市開発省(Ministry of Urban Development: MoUD)、廃棄物や自然エ

ネルギー等の推進を担当する再生エネルギー省(Ministry of New and Renewable Energy: MNES)等が関連する中央行政機関である。

環境行政に関わる主要省庁の関係は図 3.1-3 に示す通りである。

注)中央公害管理局(CPCB)の下にある地域事務所(Zonal Office)はバンガロール、コルカタ、ラクナ

ウ等の 6 カ所に存在する。州公害管理局(SPCB)の下にある地域事務所(District Office)は各州の主要

行政単位に存在する。

図 3.1-3 インドの環境部門の組織図

以下に環境森林省(MoEF)と公害管理局の役割と組織図を整理する。

(a)環境森林省(MoEF)の役割 環境森林省(MoEF)はインドにおける環境保全、環境関連の計画、調整等の全般を担当

し、環境行政の中核となる行政機関で、環境政策推進の法的枠組みの整備、動植物、森林、

野生生物の保護、環境汚染の防止と管理・規制(control)、荒廃地での植林・再生等、環境

政策推進の枠組みの整備、環境基準、各種ガイドラインの整備や通知の公表、条約の施行

等を行っている。 組織構造は、大別すると環境セクター(Environmental Sector)の部局と森林セクター

(Forestry Sector)の部局に分かれている。大臣(Minister of State)以下、Secretary(次

33 設立時期、根拠法、役割等についてはhttp://www.cpcb.nic.in/about%20us/introduction.htmlに記載があ

る。

環境森林省 他の省庁

中央公害管理局

地方事務所

中央政府 州政府

州公害管理局

地域事務所

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33

官)、次官補(Additional Secretary)、局長(Joint Secretary)、アドバイザー34(Advisor)が置かれている。 表 3.1-8 は、環境セクターにおかれている次官以下の局長、アドバイザーの職掌範囲を示

したものである。

表 3.1-8 環境森林省における環境セクターの主要な部門と職掌範囲

地位 部門35 主な職掌範囲 次 官 補 ( Additional Secretary)

局長(Joint Secretary)

BPN 有害物質管理部(The Hazardous Substances Management Division :HSMD):廃棄物担当 等

GB 生物多様性、ラムサール条約 等 JS POPs(残留性有機汚染物質)、中央

公害管理局の管理 JMM CDM、気候変動、オゾン層保護 Advisor SKS 気候変動、UNFCC の窓口 等 MSG クリーンテクノロジー、LCA、水質

モニタリング 等 GKP 環境保健、NRCP プロジェクト 等 RA フライアッシュ利用 等 AS(次官補)&FA FIN NAEB ( National Afforestation

&Eco Development Board) 等 会計 特別次官 (Special Secretary)

局長(Joint Secretary) SM 広報、研究開発、NGO 等

Advisor RSA 経済関係、国際交渉協議グループ

等 RM エコクラブ、各種プロジェクト SPS ENVIS(情報窓口) 等 出典:環境森林省 Organizational Structure of Ministry of Environment and Forests

(2010 年 1 月 15 日現在)を参考に整理

環境セクター及び森林セクターの組織図は図 3.1-4 及び図 3.1-5 のとおりである。

34 局長(Joint Secretary)と同列で部門の長として置かれている。 35 部門名の略字はヒンズー語又は英語での部門名の省略と考えられるがそれぞれの正式名称は不明。

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34

図 3.1-4 環境森林省の構造(環境セクター)

出典:環境森林省 Organizational Structure of Ministry of Environment and Forests

(環境セクター)

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35

図 3.1-5 環境森林省の構造(森林セクター)

出典:環境森林省 Organizational Structure of Ministry of Environment and Forests

(森林及び野生生物セクター)

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36

環境森林省(MoEF)に関連する独立機関として、中央公害管理局(Central Pollution Control Board:CPCB)36の他、中央動物園管理局(Central Zoo Authority)37、G.B.パン

トヒマラヤ環境開発研究所(GBPIHED)38や森林、生物多様性に係る組織が設置されてい

る。 (b)中央公害管理局(Central Pollution Control Board: CPCB)の役割

中央公害管理局(CPCB)は環境汚染の防止、管理及び緩和を目的とした独立機関である。

もともと 1974 年に水法(The Water (Prevention and Control of Pollution) Act)に基づき

設立され、1981 年には大気法(The Air (Prevention and Control of Pollution) Act)によ

り権限や役割が規定された39。その後、1986 年に制定された環境保全法(Environment (Protection) Act)の規定により環境森林省(MoEF)及び州公害管理局(SPCB)に対して

技術的な指導・助言も行うようになった他、公害管理に関する多数の役割を担っており、

各種環境政策の施行、ガイドラインの整備、環境基準・規制等のモニタリング等を行って

いる40。前述のとおり、環境森林省(MoEF)からは独立した機関となっているが同省が所

管する法律の施行や関連政策の推進等において重要な役割を担っている。 ②州政府 州政府に設けられる環境局(Department41)が、各州の環境行政を推進している。州公

害管理局(SPCB)も各州に設置され、州政府(環境局)への技術的な指導・助言の他、環

境保護及び環境汚染の防止等を目的とした各種の取り組みの推進、環境基準の策定、調査

研究等を行っている。 有害廃棄物に関しては、中央政府が策定した法制度がそのまま踏襲されている。

③地方自治体(Local Bodies / Municipalities) 環境保全政策を推進する末端の役割は各地方自治体が担っている。例えば、地方自治体は

「都市廃棄物に関する規則(MSW Rules 2000)」を実行する責任を有しており、都市廃棄

物の収集・運搬、処分を行っている。

36 www.cpcb.nic.in/ 37 www.cza.nic.in/ 38 gbpihed.gov.in/ 39 中央公害管理局の設立は、もともと水法が設立根拠となっている(排水管理を目的に設立された背景か

ら)。その後、環境全般についての汚染管理、緩和等を担うようになった。 40 河川の汚染状況や公害を発生する工場等のモニタリング、調査、分析は州公害管理局(SPCB)が行う

が、全国的な汚染状況のとりまとめ、トレンド、要因分析、レポートの発行、調査研究等は中央公害管理

局(CPCB)が行う。 41 グジャラート州の環境局は、Mangubhai Chhaganbhai Patel 大臣(Minister)以下、SK Nanda 次官

(Principal Secretary)が州政府の内閣、局のトップをそれぞれ担っている

(http://www.gujaratindia.com/whos-who/forest-dept.htm)

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37

(3)グジャラート州における環境政策 グジャラート州においては、現在、主に水分野と大気分野で取組みが多く進められてお

り、環境意識向上のための取組みも並行して進められている。グジャラート州で実行中の

環境政策について表 3.1-9 で、また、環境分野の重点政策を表 3.1-10 にまとめた。

表 3.1-9 グジャラート州における実行中の環境政策

分野 実行している政策内容

全般 ・汚染源への汚染管理対策徹底への命令書の発行 ・新しい産業の汚染管理の観点からの法的立地許可 ・汚染管理に関するトレーニング、セミナー、ワークショップの開

催 ・環境汚染管理に関する市民意識の醸成

水(大気と共通の政

策を含む) ・州に存在する井戸と河川の浄化の推進 ・水と大気の汚染防止・管理に関して州政府へ助言 ・下水・廃水のリユース・リサイクルの促進 ・河川流域のモニタリング ・水と大気の汚染に関わる技術的・統計的データの収集と蓄積 ・液体と気体の汚染物質の排出基準の設定 ・廃液と大気汚染物の処理方法の開発

大気 ・州における大気汚染の防止、管理、除去 ・主要都市の大気質のモニタリング

固体廃棄物 ・危険廃棄物の処分場の確定 出典:”Annual Report 2008-2009,” Gujarat Pollution Control Board

表 3.1-10 グジャラート州における環境分野の重点政策

分野 重点政策の内容

全般 ・新たな産業プロジェクトのためのサイトの選定 ・クリーナープロダクション技術の特定・開発・採用

水 ・深刻な汚染問題の発生源の特定と、廃液の処理及び関係機関・部

署を通じた安全な場所において廃液の処理を行い、その地域にお

ける汚染を最小限に止める。 ・産業集積地における廃水の収集・処理・処分を行う共同施設 ・廃水の流域への排出の最小限化と、灌漑水としての処理水の再利

用とグリーンベルトの開発 大気 ・大気汚染の主要な原因の特定と大気法の条例の執行 固体廃棄物 ・危険廃棄物処分場の場所の選定と開発

出典:”Annual Report 2008-2009,” Gujarat Pollution Control Board

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38

3.2 有害廃棄物の発生状況

ここでは、代表的な環境負荷物質である廃棄物の発生状況について概括する。中でも産業

集積が顕著であるグジャラート州における産業由来の有害廃棄物の発生状況を整理した。

発生状況の把握は、後述するエコタウンの対象事業を検討する基礎資料として活用する。

(1)有害廃棄物発生の概況(他州との比較)

インド全国における産業からの有害廃棄物の発生量は、表 3.2-1 に示すとおり 2009 年 2月に中央公害管理局(CPCB)が発表した調査(National Inventory of Hazardous Wastes

Generating Industries & Hazardous Waste Management in India)によると全国で 3.6 万の工場・

事業所から、約 6.23 百万トン発生していると推計されている。 主な発生場所は、州別の発生量順にみると、グジャラート、マハラシュトラ、アンドラ・

プラデシュ、となっている。なお、同公害管理局が 2003 年に発表した調査によると、総発

生量は 8.2 百万トン発生し、ラジャスタン、マハラシュトラ、グジャラート、アンドラ・プ

ラデッシュの順に発生量が多い結果であった。過去 6 年間で総発生量は減少しているが、

グジャラート州に関しては、2003 年の約 1.3 百万トンから 2009 年には 1.8 百万トンに増加

し、インド全土で最大の排出州となっている。

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39

表 3.2-1インドにおける州別有害廃棄物の発生量

Quantity of Hazardous waste generation (MTA)S. No. Name Of State/UTs

Landfillable Incinerable Recyclable Total1 Andhra Pradesh 211,442 31,660 313,217 556,3192 Assam 3,252 7,480 10,7323 Bihar 3,357 9 73 3,4394 Chhattisgarh 5,277 6,897 283,213 295,3875 Delhi (unverified) 3,338 1,740 203 5,2816 Gujarat 1,107,128 108,622 577,037 1,792,7877 Goa 10,763 8,271 7,614 26,6488 Haryana 30,452 1,429 4,919 36,8009 H.P. 35,519 2,248 4,380 42,147

10 J.& K. 9,946 141 6,867 16,95411 Jharkhand 23,135 9,813 204,236 237,18412 Karnataka 18,366 3,713 54,490 76,56913 Kerala 59,591 223 23,085 82,89914 Madhya Pradesh 34,945 5,036 127,909 167,89015 Maharashtra 568,135 152,791 847,442 1,568,36816 Manipur -- 115 137 25217 Meghalaya 19 697 6,443 7,15918 Mizorum 90 Nil 12 10219 Nagaland 61 Nil 11 7220 Orissa 74,351 4,052 18,427 96,83021 Punjab 13,601 14,831 89,481 117,91322 Rajasthan 165,107 23,025 84,739 272,87123 Tripura 0 30 237 26724 Tamil Nadu 157,909 11,145 89,593 258,64725 Uttar Pradesh 36,370 15,697 117,227 169,29426 Uttaranchal 17,991 580 11 18,58227 West Bengal 120,598 12,583 126,597 259,777

U.T.

1 Daman, Diu, Dadra & NH 17,219 421 56,350 73,990

2 Pondicherry 132 25 36,235 36,3923 Chandigarh 232 -- 723 955

Total 2,728,326 415,794 3,088,387 6,232,507出典:中央公害管理局(CPCB)発行(National Inventory of Hazardous Wastes Generating

Industries & Hazardous Waste Management in India, Feb. 2009)42

42 http://www.cpcb.nic.in/wast/hazardouswast/InventoryofHW.pdf

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40

有害廃棄物の処理・保管・処分施設(TSDF43)については、各州が最低一カ所整備(土

地の確保)し、施設の建設は、排出事業者が行い、環境アセスメントの実施、許可の取得

を行うこととなっているが、前述の調査では、処分場についてはグジャラート、マハラシ

ュトラ、ウッター・プラデシュ、アンドラ・プラデシュ、ヒマーチャル・プラデシュ、メ

ディヤ・プラデシュ、ウェストベンガル、パンジャブ、ラジャスタン、タミルナドの10州に整備されているのみである。焼却施設については、6州でのみ整備が行われ、残りは個別

の排出事業者が敷地内に独自に整備を行っているが、約9万トンの焼却処理能力が不足して

いる状況である44。 また、中央公害管理局(CPCB)は州政府に向けて TSDF 整備に関するガイドラインを

整備しているが、計画中の TSDF の整備が計画通り、迅速に進まないことが課題となって

いる。最近の傾向としては、セメントキルンにて有害廃棄物を代替原燃料として利用する

動きが出始めている。 (2)有害廃棄物発生・処理の概況 グジャラート州での有害廃棄物の排出状況について、次の通りとなっている。 有害廃棄物の品目別排出量、主な排出元となる産業種別のデータは、中央公害管理局

(CPCB)や民間の産業廃棄物処理業者に蓄積されたデータを基に本調査では、地理情報シ

ステム(GIS)を用いて、グジャラート州の廃棄物別、産業別の排出状況を整理した。

1) 分析領域と目的 分析は、以下の通り行った。

(a) 主要な有害廃棄物、処理方法、排出源の産業は、地理的分布と関係づけて

分類した。

(b) 廃棄物の排出状況は行政地区(県/District)の下の行政区分単位である地

区/Sub-district あるいは Taluka 別区分で分析した。

(c) 産業活動別に有害廃棄物の排出状況を分析した。

分析の目的としては、以下の通りである。

(a) 産業と廃棄物排出状況の相互関係の把握

(b) グジャラートにおける地区毎の廃棄物排出状況の主要な特性の把握

(c) 地区単位での廃棄物排出状況に寄与する主要産業の把握

(d) 特定の廃棄物の主要排出源の地理的・空間的な状況把握

2) アプローチと方法論

(a) 目的を達成するためにとられたアプローチを方法論として以下にまとめる。

(b) CPCB と民間廃棄物処理業者から提供された廃棄物排出状況にかかるデー

タの詳細なレビュー

(c) 廃棄物の廃棄物属性を地区別にスプレッドシートに入力し、地理区分への

43 T=Treatment(処理)、S=Storage(保管)、D=Disposal(処分)の頭文字をとり、通常は有害廃棄物

の関連施設を表す。 44 中央公害管理局(CPCB)発行 National Inventory of Hazardous Wastes Generating Industries & Hazardous Waste Management in India, Feb. 2009 の第5章(Chapter 5)に記載あり。

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41

データ分類及び編集

(d) つぎに廃棄物排出量のスプレッドシート分析、図のイメージ化作業、およ

び GIS データ準備化

(e) 上記分析に基づく主題図の作成。

(f) 様々な角度からのデータ分析によって、グジャラート州一般の廃棄物排出

状況の把握と、特定の廃棄物における排出パターン、排出源の原因となる

産業の分析を行った。

なお、本調査での分析内容は以下の 4 つのパート別に整理した。

• PART 1(グジャラート州の廃棄物排出状況について概観)

• PART 2(地理的スケールをより詳細な単位で廃棄物の排出の特性を概観) • PART 3(産業活動と廃棄物排出状況を関係づけ主題図を提供) • PART 4(グジャラート州における主要な産業廃棄物の品目別の詳細な分析)

PART 1

グジャラート州には、石油化学製品、エンジニアリング、テキスタイル、製薬、エネル

ギーと、鉱物加工産業などの産業集積が進んでいる。州内の有害廃棄物の排出量は、約 179万トンとなっている。 有害廃棄物管理規則の分類によると、処分対象の廃棄物が約 62%、焼却対象の廃棄物が

約 6%、リサイクル可能廃棄物が 32%となっている。

焼却対象廃棄物6%

リサイクル対象廃棄物

32%

埋立処分対象廃棄物

62%

図 3.2-1 グジャラート州における有害廃棄物の種類別発生状況

出典:中央公害管理局(CPCB)発行(National Inventory of Hazardous

Wastes Generating Industries & Hazardous Waste Management in India, Feb. 2009)45

州内の主要都市別の排出状況をみると、バルーチ(Bharuch)における有害産業廃棄物

の排出が最も多く、ついでアーメダバード(Ahmedabad)カンダル(Kandla)とムンドラ

45 www.cpcb.nic.in/wast/hazardouswast/InventoryofHW.pdf

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42

(Mundra)地区を含むカッチ(Kutch)での排出が多い状況となっている。 なお、バルーチ、アーメダバードの 2 都市は、インド全土で有害廃棄物の排出が多い都

市の 1、2 番目となっており、全国的に見ても排出量が多くなっている。 上記の都市は、産業集積が顕著に進んでいる都市であり、地区別ではアーメダバードの

Daskroi 地区(24 万 7,863 トン)が最も多く、ついてスーラットの Chorasi 地区(9 万 80 トン)が続き、バルサッド(Valsad)の Pardi(8 万 9,906 トン)が第 3 番目となっている。

表 3.2-2 グジャラート州の地区別産業廃棄物排出量と種類別の排出状況(単位:トン)

DISTRICT Landfillable Waste Recyclable Waste Incinerable Waste Total

AHMEDABAD 221,832 134,960 3,692 360,484AMRELI 149 135 460 744ANAND 19,443 44,716 116 64,275

BANASKANTHA 222 1,369 8 1,599BHARUCH 304,345 114,485 48,270 467,100

BHAVNAGAR 3,496 31,917 2,738 38,151DOHAD 1 0 0 1

GANDHINAGAR 38,075 9,723 843 48,641JAMNAGAR 12,956 13,717 199 26,872JUNAGADH 1,949 1,492 0 3,441

KHEDA 512 2,570 829 3,911KUTCH 217,149 40,154 2,903 260,206

MAHESANA 25,678 29,074 1,975 56,727NARMADA 13 20 0 33

NAVSARI 8,434 632 265 9,331PANCHMAHAL 2,504 2,004 5,638 10,146

PATAN 56 662 52 770PORBANDAR 1,643 52 0 1,695

SABARKANTHA 4,570 4,968 123 9,661RAJKOT 3,003 5,052 183 8,238

SURAT 87,456 23,141 2,701 113,298SURENDRANAGAR 581 31 0 612

VADODARA 51,564 88,901 30,769 171,234VALSAD 101,497 27,262 6,858 135,617

Total 1,107,128 577,037 108,622 1,792,787出典:中央公害管理局(CPCB)発行(National Inventory of Hazardous Wastes Generating Industries & Hazardous Waste Management in India, Feb. 2009)

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43

Ahmedabad

Surat

(Unit: MT)

Bharuch

Kutch

Vadodara

Bhavnagar

有害廃棄物発生量34万トン(地区全体)

有害廃棄物発生量14万トン(地区全体)

有害廃棄物発生量47万トン(地区全体)

有害廃棄物発生量11万トン(地区全体)

有害廃棄物発生量3.7万トン(地区全体)

有害廃棄物発生量26万トン(地区全体)

図 3.2-2 産業有害廃棄物の地区別排出状況

グジャラート州における有害廃棄物の TSDF は、下図のように DMIC に沿う形で 6 施設

が整備されている(08 年 3 月に 7 施設)。

3

5

1

6

4

2

図 3.2-3 グジャラート州における有害廃棄物 TSDF の配置状況

出典:Green Gujarat(GSPC 編集)

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44

グジャラート州の TSDF の処理能力は以下の通りで、全施設のうち 3 つは処分施設のみ

を有しており、3 つに焼却施設が整備されている。処分施設の埋立能力は、合計で 6.5 百万

トン程整備されている一方、焼却施設の能力については 1.15 万トンの整備である。同州で

は年間 170 万トンの有害廃棄物が発生しており、1.1 百万トンが埋め立て、11 万トンが焼

却処理対象となっている。従って、埋立処分施設の現有処理容量には余裕があるが、焼却

施設については、処理能力が不足している状況である。

図 3.2-4 グジャラート州における有害廃棄物 TSDF 施設の能力

グジャラート州は TSFD 施設能力を他州のそれと比較すると、全国で最も施設の整備が

進んでいる州である46。 同州の TSDF 施設のうち、最大の処理の処理能力を有するのは、スーラットを拠点とす

る GEPIL 社となっている。 PART 2

グジャラート州において排出されている廃棄物の特性としては、合成染料、染料中間剤、

および顔料など、品目 No.26 に分類される品目が全体の約 26%と多く、次に多い品目とし

ては、品目 No.34 に分類される廃棄物で、廃水処理汚泥で全体の 17%を占めている。 地理的には、染料関係の廃棄物を最も多く排出している地域は図 3.2-6 に示した通り

Daskroi 地区が最も大きい排出地区となっている。また No.34 の有害廃棄物に関しては、

Bharuch 県の Anklesvar 地区がグジャラート州での主要な排出地区となっている(図

3.2-7)。

46出典:中央公害管理局(CPCB)発行(National Inventory of Hazardous Wastes Generating Industries & Hazardous Waste Management in India, Feb. 2009)

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45

図 3.2-5 グジャラート州における有害産業廃棄物排出量の品目別の割合

図 3.2-6 有害産業廃棄物‐品目 No.26(染料関係)の地理空間における排出状況

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46

図 3.2-7 有害産業廃棄物‐品目 No.34(廃水・排気処理物関係)の地理空間における排出状況

地理的な分布でみると、有害廃棄物の大部分は、バルーチとアーメダバード周辺に集中

しており、全排出量の 46%を占めるに至っている。バルーチでは 46 万 6,811 トンの有害廃

棄物が排出されており、このうち 28%が品目 No.34(排煙の浄化からの残渣、有害物資を

含んだイオン交換物質の残渣、廃水装置からの化学物質汚泥、化学物質汚泥、廃油及び潤

滑油の残留物)となっており、17%が品目 No.17(鉱酸の製造過程で排出される残渣、塵埃、

濾過ケーキ、使用済み触媒など)となっている。二番目に排出量の多い県としては、アー

メダバードが挙げられ、33 万 6,531 トンの有害産業廃棄物を排出しており、品目 No.26 が

同都市の 55%を占める主要な廃棄物となっている。

図 3.2-8 グジャラート州における有害産業廃棄物排出量の都市別の割合

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47

PART 3

有害廃棄物の排出傾向を産業部門別に分析することによって、様々な廃棄物の特徴的な

排出環境を把握することができる。よってここでは有害産業廃棄物の発生状況を、主要産

業セクターと関係づけた分析を試みる。まずグジャラート州における産業別分布を主題図

に示すと、以下のようになる。

図 3.2-9 グジャラートにおける主要産業の企業数の分布図

上記の主要産業の分布状況と、主要排出都市における産業別の排出量割合との比較分析

では、都市毎に異なる排出状況が見られる。 産業別の廃棄物の品目についても織物・繊維製品産業の集積が進んだ地域であるアーメ

ダバードやスーラットにおいては、染色産業部門からの排出量が多く、また化学製品や製

薬産業の集積が進むバルーチでは、有害廃棄物の大部分がそれらの産業から排出されてい

る状況となっている。

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48

図 3.2-10 有害産業廃棄物の主要排出県における産業セクター別の割合

BHARUCH

17%

6%

16%

51%

3%2%1%

1%

1%

3%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

KUTCH

30%

44%

5%

3%

3%

14%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

VALSAD

10%

35%

7%

20%

9%

13%

1% 2%1%1%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

SURAT4%

22%

35%

2%

3%

34%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

JAMNAGAR

23%

11%

38%

26%

1%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

AHMEDABAD

11%

56%

1%

1%

24%

5%1%

2%1%

OIL REFINING/PETROLIUM

ENGINEERING

ASBESTOSE

CHLOR-ALKALI

METALS

CHEMICALS

PLASTIC

TEXTILE

DYES

DRUG/PHARMACEUTICALS

PESTICIDE

DRUG/PHARMACEUTICALS

DRUG/PHARMACEUTICALS

PULP & PAPER

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

MISCELLANEOUS

OTHER

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PART 4 有害廃棄物の品目別に、どの地域で排出されているのかを整理した。以下は、グジャ

ラート州における個別の有害産業廃棄物品目別の排出状況について、地理的な排出状況

を図示したものである。 S. No.1

S. No.2

S. No.3

S. No.4

S. No.5

S. No.6

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50

S. No.7

S. No.8

S. No.9

S. No.10

S. No.11

S. No.12

S. No.13

S. No.14

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51

S. No.15

S. No.16

S. No.17

S. No.18

S. No.19

S. No.20

S. No.21

S. No.22

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S. No.23

S. No.24

S. No.25

S. No.26

S. No.27

S. No.28

S. No.29

S. No.30

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S. No.31

S. No.32

S. No.33

S. No.34

S. No.35

S. No.36

(2)まとめ 有害廃棄物の排出が多いのはバルーチ、アーメダバード、スーラット等の都市である。

これらの都市は、産業集積が顕著に進んでいる都市であり、アーメダバードやスーラット

では繊維産業や染色産業、バルーチでは化学、製薬等の集積が顕著で、有害廃棄物の大部

分がそれらの産業から排出されている。

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3.3 非有害廃棄物の発生状況

有害廃棄物管理規則により規定される廃棄物以外の発生状況について整理、リサイクル

の可能性についても整理する。 整理にあたっては、官民連携のエコタウン整備の可能性の観点から、既存の廃棄物処理

事業では手付かずとなっている非有害廃棄物の品目を以下の通り特定しインベントリー調

査を行って、事業化の可能性を調査していくこととした。 リサイクルビジネスの潜在的な担い手となる主たる民間事業主体として、2008 年 11 月

に実施された GDIC の代表を団長とする投資誘致訪日ミッションの一員でもあった産業廃

棄物処理事業者(GEPIL 社)の協力を得て行った。

1 E-Waste(電気電子機器廃棄物) 2 鉄鋼スラグ 3 廃蛍光管 4 廃プラスチック 5 銅スラグ・銅くず 6 廃酸・廃アルカリ 7 廃繊維 8 廃タイヤ

法律では有害廃棄物の分類にはない以下の廃棄物については、今後工業化、都市化、所

得増加等により問題の顕在化が見込まれることから、インベントリー調査を行っていた。

また、民間事業主体のひとつである GEPIL 社が事業化の関心を示している対象でもあり、

調査チームとの協議において優先廃棄物として対象化した。なお、その他グジャラート州

には繊維業が多いことから廃繊維も対象として含めた。 また、廃棄物発生側の状況とともに、それら廃棄物を循環資源として大口ユーザーとなり

うる動脈系産業の状況を把握した。そこで、廃棄物をリサイクルし、それを大口で利活用

しうる動脈産業との連携の可能性についても把握する。例えば、州内には製鋼メーカーや

セメント、銅製錬等の素材産業の立地があることから、廃棄物の産業原燃料利用の観点か

ら調査を実施した。 (1)E-Waste(電気電子機器廃棄物)

廃製品の排出量は多くないが、今後増加の可能性が高くリサイクル事業への対応を優先

的に図りたいとグジャラート側が希望している対象物である。 グジャラート州では、現状は、インフォーマルセクターによる処理が主流となっている。

処理施設(50~52 トン/月発生)。 一方で、デリー地区等では回収された E-Waste の一次解体後、プリント基板が取り外さ

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れ、欧州の非鉄製錬業者(U 社)に貴金属回収目的で輸出されている。 グジャラートでは、廃製品として発生している量の全体像はつかみ切れていないが、一

部では一次解体、プリント基板の取り外し等が行われている。また、銅の製錬(Smelter)業者(B 社)が稼動していることから、多数の精錬業者が存在しており、アクセサリー類製

造端材からの銅回収等は実施されている。また、ATM 等の OA 機器も相当量発生している

との情報もある。 (2)鉄鋼スラグ

年間500万トンの生産を行う製鉄所がハジラにて稼働中(今後900万トンまで増強予定)。 スラグの発生量は 80,000t/月で、鉄の増産計画もあり将来的に更に増えるので、スラグ

の再利用を含め、量の削減は今後必要な状況にある。 発生しているスラグの鉄の含有量は 25~30%で日本の例と同程度である。鉄鋼スラグか

らの鉄回収については現在行っていない。 (3)廃蛍光管

工場地帯からの蛍光管が大量に発生しているが、現在は両端の口金のみ取り外され金属

スクラップとしてリサイクルされている。または、そのまま埋立処分されている。作業は、

負圧状態での解体ではないため、水銀を含む蛍光粉の飛散による環境、健康被害が懸念さ

れる。 有害廃棄物として回収されていないため、全体での発生量がつかめていない状態である

が、24 時間稼動の工場を含め既存事業所からの蛍光管が定常的に排出される状況にある。 (4)廃プラスチック

HDPE(高密度ポリエチレン)、PP 等のプラスチックは、ペレット加工して汎用再生プ

ラスチック原料としてリサイクルされている。ポリエステルについては、繊維業から発生

している。

(5)銅スラグ・銅くず

州内の大手銅製錬工場から年間60~80万トンほどの製錬くずが排出されている。成分は、

銅分 0.7%、鉄分 40%、シリカ分 30%となっている。有効な処理方法を模索している。 また、二次精錬くずのリサイクルが小規模事業者により実施されているが排水や残渣処

理等の公害対策が課題と考えられる (6)廃酸・廃アルカリ

化学工業から大量に発生している。現在は一部中和処理され、埋立処分されている。

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(7)廃繊維

地場産業のひとつである繊維業からポリエステル、ナイロン残渣が多量に発生している。

焼却、埋立以外の方法を模索中である。 約 1,200 トン/月発生するナイロン残渣・ポリエステルは、高付加価値利用の可能性があ

るが、経済性が要件となっている。 (8)廃タイヤ 自動車修理工場、タイヤ販売店等から排出され、燃料としてリサイクルまたは輸出され

ている状況である。 3.4 廃棄物の排出状況(ケーススタディー)

環境負荷物質のうち、排ガス、廃水については公害防止装置の導入により対応を図るこ

とが可能である一方、廃棄物については第三者へのアウトソーシングが基本であるため環

境上適切な委託先の確保が重要なテーマであり、課題を抱えることが多い。そうした点を

考慮して廃棄物の適正処理とリサイクルの状況、リサイクル資源の利用可能性等について

インドの大手財閥系企業等の他、日系企業を対象に調査した。 (1)インド系企業における状況

産業から排出される廃棄物について、排出事業者における発生、対応状況と処理施設に

おける処理状況等について整理する。対象としたのは以下の通りである。 ① E-Waste ② 鉄鋼スラグ ③ 廃蛍光管 ④ 廃プラスチック ⑤ 銅スラグ・銅くず ⑥ 廃酸・廃アルカリ ⑦ 廃繊維 ⑧ 廃タイヤ

①E-Waste(電気電子機器廃棄物)

現在の流通状況 一般家庭から排出される E-Waste は、個人買取業者もしくは修理工場を経て、仲買人の

手に渡り、最終的には再生業者が購入していく構造となっている。

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図 3.4-1 E-Waste の流通ルートと売却価格

上記の通り、E-Waste は、主に、個人買取業者から仲買人を経て再生事業者に引き渡され

ているが、それぞれの売却価格は以下の表 3.4-1 のような価格帯で売却されている。

表 3.4-1 E-Waste の流通価格

モニター 基板 ハードディスク SMPS ブラウン管

個人買取業者 200 Rs/個 50 Rs /個 25 Rs /個 15 Rs /個 200 Rs /個

仲買人 450 Rs /個 200 Rs /Kg 35 Rs /個 25 Rs /個 250 Rs /個

再生事業者 650 Rs /個 220 Rs /Kg 55 Rs /個 40 Rs /個 300 Rs /個

グジャラート州における E-Waste の主な中継地は、Ahmedabad, Surat, Vapi, Baroda で

あり、そこから Mumbai や Delhi に送られ、貴金属やプラスチックが回収されている。 表 3.4-2 E-Waste の概要

項目 内容

中継地 Gujarat 州 (Ahmedabad, Surat, Vapi, Baroda), Mumbai, Delhi リサイクル先 部品リユースや素材リサイクル、特に 15 インチ CRT は変圧器や基板を

交換して再度テレビとして再製造されている。 リサイクル素材 貴金属やプラスチックを回収

発生量・排出量 インドにおける E-Waste の発生量を以下の表 3.4-3、表 3.4-4 に、それぞれ州単位、都市

単位で多い順に上位 10 件を示す。州単位で見た場合、グジャラート州は 8 位にあたり、都

市単位で見た場合、アーメダバードが 7 位、スーラットが 9 位に位置している。

表 3.4-3 E-Waste の発生量(上位 10 州)

都市名 Maharastra T.N A.P U.P W.Bengal 発生量(t) 20,270 13,486 12,780 10,381 10,059 都市名 Delhi Karnataka Gujarat M.P Punjab 発生量(t) 9,729 9,118 8,994 7,800 6,958

個人買取業者

一般家庭再生業者

輸入

輸出

仲買人

修理工場

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表 3.4-4 E-Waste の発生量(上位 10 都市)

都市名 Maharastra Mumbai Delhi Bangalore Chennai Kolkata 発生量(t) 20,270 11,017 9,730 4,648 4,132 4,025 都市名 Ahmedabad Hyderabad Pune Surat Nagpur 発生量(t) 3,287 2,833 2,584 1,836 1,768

各都市の E-Waste の発生状況は以下の表 3.4-5 の通りとなっており、Mumbai のケース

を除いては小規模の廃品回収業者が一時処理を行い、その後、Delhi, Mumbai, Bangloreといった都市に売却している。その一部はそこから海外へ輸出されている(詳細は表 3.4-7を参照)。

表 3.4-5 各都市の E-Waste の発生状況

都市 内容

Surat さまざまな E-Waste が Mr. Riswan (デリーのスクラップ業者)によっ

てが回収されており、そこからデリーのリサイクル業者や輸出業者に

引き渡されている。 Vapi 小規模な廃品回収業者が E-Waste を回収しており、デリーから仲買人

が来た際に売却している。 Baroda スーラット同様に、スクラップ業者によってが回収されており、そこ

から Delhi, Mumbai, Banglore のリサイクル業者に引き渡されてい

る。 Valsad Valsad には大きな E-Waste 回収業者はなく、個人回収業者が電子廃棄

物を回収しスーラットに供給している。 Ahmedabad Saraspur と呼ばれる地域に集中している 4、5 の廃品回収業者が

E-Waste を回収しており、回収したものはすべてデリーに売却されて

いる。 Mumbai Kurla と呼ばれる場所の廃品回収業者が E-Waste を回収しており、

Delhi, Hydrabad, Banglore に供給している。回収業者の多くはまとま

った数量での回収が可能である。 リサイクル・処分状況 インドにおける E-Waste(電子廃棄物)の構成比率を以下の表 3.4-6 に示す。

表 3.4-6インドにおける E-Waste の構成比率

平均重量 鉄 非鉄 ガラス プラスチック 電子部品 その他

冷蔵庫・

冷凍庫 48 64.4 6 1.4 13 0 15.1

PC 29.6 53.3 8.4 15 23.3 17.3 0.7 テレビ 36.2 5.3 5.4 62 22.9 0.9 3.5 注:単位は平均重量は Kg、その他は%(構成比) 各都市における E-Waste の処理業者とその概要は以下の表 3.4-7 のようになっており、

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特徴としては、デリーの処理業者の規模が他の都市の処理業者の規模よりも大きく、また

その数も多いことが挙げられる。

表 3.4-7 各都市における E-Waste 処理業者

都市 名称 業種 処理能力(月) 価格(単位:ルピー)

Western Trade

スクラップ全

般 Elect.waste – 1.5 ton/month Elect Panel – 1 ton Metal- 5 ton Copper – 5 ton

Elect Panel – 40/ kg Wire – 40/ kg

Jitu Bhai junawal

廃 PC 300 monitor 1 ton

Monitor – 500/piece Hard disc – 45/piece Key board- 8/kg Mother board -50 per piece Body -10/kg

A to Z scrap

スクラップ 変動あり

Delhi scraper

電子廃棄物 11 ton

Monitor – 500 Hard disc – 45 Key board- 8/kg Mother board -50 per piece Body -10/kg TV Color- 300 b/w – 80 Tv scrape- 15/kg

P.C Solution

PC サービス

プロバイダ Power supply-40/piece

Monitor 14inch – 500/Piece 17inch – 400 Cd drive – 20/piece Mother bord-70/piece

Sunny scrap

金属くず、混

合くず Cirkit – 100/kg

Key Board – 8 to 10 /kg

スーラット

Vinod Radio Service Nr. Surat Station, Surat-03

電子廃棄物 TV , CD Player, VCD scrape 7 ton

Auction at every 6 month

Shapan Electronics

電子基板 1.5 ton/ Year バローダ Gulab bhai 電子廃棄物 200 monitor

200 monitor (B/W) 150 TV 1.5 ton power supplier

Monitor – 600/piece Mother board- 100/piece Hard disc- 45 /piece Power supply-40 Key board- 8/kg TV-300/ piece

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60

都市 名称 業種 処理能力(月) 価格(単位:ルピー)

K.T. Computer Pune

電子廃棄物 2000 monitor 6 ton Mother board 2 ton Power Supply 2 ton General parts

Monitor- Rs. 600/ piece Mother board Rs. 200/ kg Power Supply Rs. 75/kg Hard disc Rs. 45/piece Keyboard Rs. 8-10/kg

Babu bhai PC 修理 Power supply-35 piece Monitor 15th – 500/piece Mother bord-70/piece

アンクレシュワー

Yashim bhai

電子廃棄物 1 ton Monitor – 700/piece Mother board – 100/piece Smps – 35/piece Hard disc – 45-50/piece

Mehta Brother

電気店

10 ton/ 4 mnt Power supply-35piece Monitor 15th – 500/piece 17th – 250 Cd drive – 20/piece Mother bord-70/piece

Rajesh Patel

スクラップ

1 ton Monitor – 750/piece Mother board – 100/piece Smps – 35/piece

Hasim bhai

スクラップ

8 ton Monitor – 750/piece Mother board – 100/piece Smps – 35/piece Hard disc – 45-50/piece

アーメダバード

samsu bhai

スクラップ

8 ton Monitor – 750/piece Mother board – 100-110/piece Smps – 35/piece Hard disc – 45-50/piece

Hidayat bhai

電子廃棄物 12 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Samirbhai 電子廃棄物 6 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Hafizullah 電子廃棄物 6 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Hashim khan Arif khan

電子廃棄物 6 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

ムンバイ(M

umbai

Kisan k.Vaish

電子廃棄物 3 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

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都市 名称 業種 処理能力(月) 価格(単位:ルピー)

Shaukat Ch

電子廃棄物 1 ton Monitor – 650/piece Mother board – 200/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Nanee Computer

個人リサイク

ル業者 35 ton Monitor – 600/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece H.disc – 55/piece SIM card – 1000/kg Mobile circuit- 900/kg

Mohmad Aeshan

個人リサイク

ル業者 20 ton Monitor – 600/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece, H.disc – 55/piece Mobile circuit – 900/ kg

Noshad 個人リサイク

ル業者 53 ton Monitor – 650/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece, H.disc – 55/piece

mobin 個人リサイク

ル業者 36 ton Monitor – 650/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Imran 個人リサイク

ル業者 30 ton Monitor – 650/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

monu 個人リサイク

ル業者 30 ton Monitor – 650/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Mohmmad shokeen

個人リサイク

ル業者 35 ton Monitor – 650/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Mr. Armit Jain

個人リサイク

ル業者 45 ton Monitor – 600/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece SIM card- 1,000/kg Mobile circuit – 900/kg

デリー

Mr. Sanjay patel

個人リサイク

ル業者 35 ton Monitor – 600/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece SIM card- 1,000/kg Mobile circuit – 900/kg

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62

都市 名称 業種 処理能力(月) 価格(単位:ルピー)

Mr.Mohd Islam

個人リサイク

ル業者 30 ton Monitor – 600/piece

Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece SIM card- 1,000/kg Mobile circuit – 900/kg

Hiralal 正規取引業者 25 ton Monitor – 200/piece(scrap) Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Mr.Surjeet Singh anand

正規取引業者 25 ton Monitor – 200-300/piece(scrap) Mother board – 220/kg Smps – 40/piece Hard disc – 55/piece

Mr. Sachdev

正規取引業者 25 ton Monitor – 200 300/piece(scrap) Mother board – 220/kg Smps – 40/piece H.disc – 55/piece,Battery – 35/kg

(廃品回収、手解体・分別業者 於 Surat) ・ 店先で機器の部品(金属、プラ、基板、配線等)ごとに解体、分別している。Service Center

から動かない家電を買い取ってきて、基板や PC 部品などはデリーに送っている。 ・ 集まってきている家電は多くなく、中古品として再利用しているものが他に多数あると

推測される(Surat では中古市場が毎週土曜に開催されるとのこと)。

分離されたプリント基板 配線の回収状況

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鉄の分解作業 収集された廃製品の集積状況

②鉄鋼スラグ

現在の排出状況 Hazira の Essar Steel より発生する鉄鋼スラグを対象としており、HBI(Hot Briquetted Iron:直接還元製鉄法)と市中回収スクラップ(原料全体の6%のみ)を原料に電炉による

製鋼(年間 450 万トンの生産能力に対して、360 万トンの生産)を天然ガスを燃料として

使用して行っている。

図 3.4-2 エッサースチールのスラグ発生のプロセス

発生するスラグは年間 60~80 万トンあり、現状では、自社敷地内で埋め立てを行ってい

る。今年6月に新たに高炉が完成予定であり、稼動すれば 500 万トンの製鋼が行われる見

込みでより大量の高炉スラグが新たに定常的に発生するため、スラグの処理は喫緊の課題

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となっている。 表 3.4-8 スラグの概要情報

項目 内容

スラグの発生量 60~80 万トン/年 鉄の含有率 30~35% 現在の処理方法 自社の敷地内に埋立

今後のリサイクルの可能性 現在、電炉スラグのリサイクルの検討を行っており、2 つのフェーズを考えている。第一

フェーズは、路盤材、埋め戻し材、鉄道バラスト、護岸材としての利用、タイル製造を行

うことで物理的な廃棄量の削減を目指している。第二フェーズでは、電炉スラグからの鉄

分を回収し、鉄分のリサイクルを実施していきたいとの希望がある。

表 3.4-9 エッサースチールによるスラグのリサイクルの方向性

項目 内容

第一フェーズ 路盤材、埋め戻し材、鉄道バラスト、護岸材、タイル 第二フェーズ 電炉スラグからの鉄分回収

○その他の廃棄物 ・日本の製鉄所で一般化している廃プラスチックを高炉吹き込み用の還元剤、又はコーク

ス代替として利用する技術や回収ダストからの鉄分回収(現在年間 3.6 万トン発生、鉄含有

は 30~40%)についてもニーズがある。現在、ダストからのレンガ製造については技術的

に可能であることが分かっている。現状はすべて廃棄している。 ・E-Waste についてはエッサースチールだけで 20,000 台のパソコンや LAN 機器が使用さ

れており、その他にも、電気機器の廃棄物が出る。現在は依頼できるリサイクル施設が無

い状況で、廃棄されている。

エッサール製鉄ハジラ工場 エッサール製鉄ハジラ工場

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エッサール製鉄ハジラ工場(対岸より) エッサール製鉄ハジラ工場

ハジラ施設の外観(HP より)

③廃蛍光管・ガラス

現在の流通状況 ガラスはそれぞれの排出源から個人や回収業者によって集められ、素材、色によって選

別された後、ガラス原料としてガラス工場に販売されている。

図 3.4-3 廃ガラスの流れ

蛍光灯については、ごく一部回収されてきてはいるものの、ほとんどリサイクルされて

いない。

一般家庭、事業所

個人回収業者

ガラス選別業者

ガラスリサイクル工場

仲買人

ガラスリサ

イクル工場

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発生量・排出量 廃ガラスは各都市とも均一に排出が行われている。ただ、現地調査で確認した結果、グ

ジャラート州では禁酒を行っているにも関わらず、多くのアルコール飲料の空きびんがリ

サイクルされていたため、他の州からの流入も発生していると考えられる。 表 3.4-10 廃ガラスリサイクルの概要

項目 内容 中継地 Vapi, Surat, Kosamba, Ankleshwar, Valsad 廃棄物の発生量 Vapi:400-500 トン/月、Surat: 600-700 トン/月

Kosamba:700-800 トン/月、Ankleshwar:600 トン/月 リサイクル先 ジュース類のびん等、蛍光灯はリサイクルされていない

リサイクル・処分状況(ガラス選別所 於 Vapi) ・ ビンはそのままの形で、色別・用途別に手選別で仕分けられている。 ・ 破断されたビンの口は、口元とラベルのプラを取り出すためにハンマー等で一つ一つ砕

いている(手作業)。 ・ 一部、一緒に搬入されると見られる蛍光管、ペットボトル、金属、硬質プラ等も仕分け

されている。

処理状況47 選別されたペットボトル

ガラスの選別状況 蛍光管

47 ビンの口は、口元とラベルのプラを取り出すためにハンマー等で一つ一つ砕いている(手作業)

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④廃プラスチック

現在の流通状況 下図 3.4-4 の通り、廃プラはごみとして排出されたものを多数の WastePicker が分別回

収することで量が集まり、それを更に仲買人が買い集め、粉砕業者に売却し、粉砕された

廃プラはペレット製造業者に渡り、再生プラの原料となる。

図 3.4-4 廃プラの売却ルートと売却価格

(単位:ルピー/kg)

発生量・排出量 廃プラの発生量は近隣の Vapi が圧倒的に多く、月に約 15,000 トンを処理している。

表 3.4-11 廃プラリサイクルの概要

項目 内容

中継地 Vapi, Surat, Ahemdabad, Kutch, Baroda, Rajkot 廃棄物の発生量 Surat: 800 トン/月、Vapi:14,605 トン/月

Ahemdabad:700 トン/月、Kutch:1,500 トン/月 Rajkot:1,000 トン/月、Baroda:125 トン/月

リサイクル先 フレーク化、ペレット化され、再生プラの原料となる。 インドにおけるプラスチックの種類別の消費割合は以下の表 3.4-12 の通りとなっており、

PP の占める割合が 30%と高くなっている。 表 3.4-12 プラの種類別消費割合

種類 プラの消費 割合(%)

PP 1.8 30 HD 1.1 18 LLD 0.8 13 LD 0.3 5

PVC 1.1 18 その他 0.9 16 合計 6 100

単位:百万トン(2008~2009 年データ)

排出者小規模廃品回

収業者個人回収

業者仲買人

破砕業者ペレット

業者リサイクル

業者

新材

10-11

40-55

13

20-23

15-18

27-42

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リサイクル・処分状況 現在、廃プラは手選別によって分別され表 3.4-13 にある価格で取引されている。

表 3.4-13 廃プラの種類別・品質別価格

種類 廃プラの種類・グレード 廃プラ買取価格(1kg 当たり)

破砕廃プラの買取価格(1kg 当たり)

廃プラペレットの販売価格(1kg 当たり)

HDPE White, blue plastic scrape

33-43 45-50

HDPE blue (1St) 43-45 44-45 HDPE blue (2nd ) 32 38

45-50-55

HD Black (1st) 18-20 40,45 HD Black (2nd ) 13-15-25 25,28,30

40-55

HD White(1st ) 34 45-50

HDPE

HD white(2nd ) 30 40-45

LD(1ST) 40-42-45 50-55 LD(2nd ) 38 35

LD

LLDP 50 60-70 PVC (1st) 27-35,34 (Road

waste ) 31-39 PVC

PVC (2nd ) 14-19, 26(Road waste)

15-22

ABS black 45 ABS Sheet 60

ABS

ABS white 55-60 65 HDPE blue Drums without chemical

45-50 50-55

HDPE blue Drums with chemical

40-45 48-53

HDPE black Drums without chemical

40-45 45-50

HDPE DRUMS

HDPE black Drums with chemical

35-40 43-48

PET Plant waste 23-40 PET PET road waste 15-16 White (Wash) = 27

(Unwash)=25 Color wash =26 Unwash=24

No granulation stage in PET

PP hard 30 Rs. Mix without wash

35Rs., 23-24(Road waste)

35-40 , 30-65,42

PP film transparent Road waste

20

PP

PP film transparent plant waste

55

Ld super = 55 Rs./kg Ld printing & window thin = 60 Rs./kg. Double super ld=70 Rs./kg Plant ld =75 Rs./kg

HM, pp, ld film mix 5-10 Reprocess granuales = 55 Rs. Virgin granuales = 77-80 Rs.

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(廃プラ一次破砕事業所 於 Vapi) ・ 視察した工場は、HDPE をプレペレット化する工場で、ここでの破砕物は次のペレット

化する工場で最終ペレットとなる。 ・ 受け入れ原料はポリタンクのもので機械に入る大きさまで切断(のこぎり)し、破砕機

で粉砕(裁断)する。

プラ破砕業者 受入原料(廃プラ:HDPE)

のこぎりで裁断されたプラスチック 破砕機

洗浄後乾燥されている破砕済みのプラ

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(プラ破砕・ペレット製造業者 於 Vapi) ・ プラスチック製造工場から出る製品屑(廃プラ袋)を購入し、カッター(裁断機)で手

ごろな大きさにし、ペレット化したものをプラスチック製造会社に納入している。プ

ラスチック製造会社では原料に数%、再生ペレットを混合して使用している。具体的

な行き先は不明、中間業者が存在すると推測する。 ・ ペレット化する機械の購入価格は 100 万ルピーで、ところてん状態の長いものに成型し、

その後 5 ミリ程度のペレットに別の機械で裁断する。 ・ 原材料は HDPE(硬質プラ)を集めてきている。 ・ ペレット化時に発生するプラの塊は裁断してまた別の業者に渡る。

ペレット化される原料(廃プラ) ところてん状態の長いものに成型する機械

ところてん状に押出されたプラ プラをペレット状にする本裁断機

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ペレット加工時に発生するプラの塊

(再生プラペレットを使用した再商品化工場 於 Vapi) ・ プラの袋製造ラインからの不合格品を大量に仕入れ、ペレット化し、そのペレットを使

用して、再度、LDPE(プラ袋とその 1 歩手前のロール)を製造している。 ・ 色と品質の調整のため、一部、バージン材を混合している。製品は顧客の要望に応じて

色を付けることができる。ピユアペレットは、海外からの輸入品(80Rps/25kg) ・ リサイクルペレットは Surat 産で(65Rps/25kg 程度)

再生プラスチック

使用している再生ペレット

⑤銅スラグ・銅くず

(銅スラグの溶解成型業者 於 Surat) ・ 銅スラグから銅インゴットを製造し、鋳造業者に販売している。インゴットの純度は約

40%で、50%を超えることができれば、銅製錬メーカーが買ってくれる。スラグはSurat以外から収集している。

・ Bilra Copper のスラグは銅の含有成分が低いので受け入れていない。 ・ 貴金属の抽出は行っていない(他の業者がいる)。

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・ 単純に炉でスラグを溶かし、純度を上げている様子。燃料は石炭を使用している(染織

工場で見たものより上質)。 ・ 銅線、銅くずはスラグより高価なため、仕入れていない。価格さえ合えば、E-Waste を

受け入れてもよい。

溶解炉

使用されていた石炭

(銅くず精錬業者:Chokshi Metal Refinery 於 Surat) ・ 機織り産業から出る貴金属でコーティングした糸くず(ラメ)を購入し、貴金属(銅、

銀、金)を回収している。8~10 の工程を経て精錬された貴金属の純度は、銅と銀は

99.9%、金は 99%である。完成品は必要とする業者が買い付けに来る。(機織り産業が

盛んな Surat であるから成り立っている) ・ 回収している貴金属は銅がほとんどで、銀がその次に回収される。金については、昔は

糸にコーティングしていたが、最近は金を使用しないため、回収量はほとんどない。

1t の糸くずから 10~20kg 程度の貴金属が取回収される。金は汚泥の状態で回収され

る。 ・ 現在、銅線、銅屑などは仕入れていない。価格さえ合えば、E-Waste を受け入れてもよ

い。また、設備的にも問題ない(現在、受け入れている糸くずは比較的均一な成分で

あり、それに比較して E-Waste は、鉄、アルミ、鉛も含むため、技術的に問題がない

か要確認)。 ・ 使用燃料は CNG(排ガスの問題がクリアできるため)を使用しており、プラなどの燃

料利用はない。スラグはほとんど出ないが、出たスラグは上記のスラグ溶解成型業者

に送っている。 ・ 1960 年日本の同和より技術導入した設備で銅を回収している。 ・ 使用燃料は CNG(排ガスの問題がクリアーできるため)。

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有害廃棄物の排出状況表示 前処理機械(圧縮用)

貴金属でコーティングした糸くず 精練用の簡易炉

銀回収設備 銅純度向上を目的とした電気分解

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銅版 銅版

⑥廃酸・廃アルカリ 現在の流通状況 顔料製造時に使われる酸が廃水に含まれており、その中和処理のために石灰を注入する

と石膏ができる。その石膏は一部、セメント原料としてセメント会社に引き取られている

が、現在、大部分は埋め立てられており、その物理的処理が問題となっている。

図 3.4-5 廃スラッジ(汚泥)の流れ

リサイクル・処分状況 (顔料製造工場視察:Suyog Dye Chemie Pvt. Ltd. 於 Ankleshwar) ・ 月 60 トンの顔料を製造 ・ 顔料製造過程で発生する排水に石灰を加え中和、中和後のスラッジは、4 ルピー/kg で

埋め立て処分している。水は 12 ルピー/トンであるのに比べても、処理費が高く困って

いる。 ・ スラッジは 20~30kg/日程度、発生する。 ・ 色付きの廃水は隣の共同廃水処理施設で処理されている。

セメント工場

顔料工場

処理業者 埋立処理

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施設の概要 中和後のスラッジ(青色)

, 表 3.4-14 排出される廃棄物と排出量

危険廃棄物名 排出量(月)

塩化スルホン酸(Chlorosulfuric-acid) 15 トン 三塩化リン(Phosphorus trichloride) 5 トン

(顔料製造工場視察:Huntsman 於:Umraya village, Vadodara) ・ 2007 年にスイス系企業に買収された(旧名:Metrochem Industry) ・ インドにおいて最大規模の染料、顔料、中間材等の製造工場である。 ・ 独自の排水処理施設と焼却炉を持っている(単純焼却で、熱利用は行っていない)。 ・ 染料とその中間製品を製造して主に輸出している。染料の生産能力は 200t/月、中間製

品は 2,300kg/時間の処理能力を持っている。 ・ 色の構成は黒が 60%、残りの 40%がオレンジ、茶色、赤、黄色。 ・ 排水処理は、生物化学処理を行っている。塩化第二鉄、活性炭を用いている。廃水の

色消しとして Activated sand が用いられる。 ・ 自社所有地内で埋立を行っている。埋立前の中間処理として、焼却施設を保有してお

り、規模は 2t/h で一日通常 6 時間程稼動している。焼却施設では、TDS(Total dissolved solids)の高い廃水を吹き込み処理している。

・ 酸のリサイクルを行っており、リサイクルされない酸については(石灰で中和し)石

膏としてセメント会社に渡している。 ・ その他、廃棄物として、酸化鉄汚泥、排水処理汚泥、焼却灰、蒸留残渣が出る。

表 3.4-15 排出される廃棄物と排出量

危険廃棄物名 排出量(月)

石膏 97 トン 酸化鉄汚泥 21 トン

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排水処理汚泥 8 トン 焼却灰 6 トン 蒸留残渣 0.7 トン

工場敷地内 副産物として生成される石膏(仮置き場)

焼却施設 排水処理施設 ⑦廃繊維

現在の流通状況 下の図3.4-6の通り、大きく紡績所から出るものと織物工場から出るものの2つに分かれ、

紡績所から排出される繊維くずで比較的きれいなものはロープの原材料に、汚れているも

のはボイラー燃料となっている。織物工業から出る繊維くずは、ぬいぐるみの詰め物にな

っており、ナイロン繊維くずの場合は、生成ナイロンペレットが作られている。

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繊維くず 繊維くずの分別作業

図 3.4-6 繊維くずの流通概要

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発生量・排出量 スーラット市に所在のある織物工場における生産量と廃棄物の排出量は以下の表 3.4-16の通りである。

表 3.4-16 織物工場における廃棄物量

会社名 繊 維 く ず(kg)

生産量(100km) 生産量当たりの廃棄物量 (100km 当たり)

LDPM 7,500 1,700,000 440 kg Ganga Fashion Pvt ltd. 300-400 100,000 300-400 kg Panchchi Processor 9,000 2,700,000 333 kg Pioneer syntex - - 最低 1 % Shailaja 20,000 - - Jay matadi fashion pvt. td. 3,000-4,000 Agrawal textile mills 7,000-8,000 Mansi and manjri 4,500 Yash silk mills 3,000 1,200,000-1,500,000 200-250 kg Rachna 7,000-8,000 1,800,000 350-425 kg リサイクル・処分状況 ○ポリエステル 図 3.4-7 のように、紡績所から排出されたポリエステルの繊維くずは、買取業者へと渡っ

た後、汚れているものはボイラー燃料として売却され、比較的きれいなものはロープ原料

として売却されている。

図 3.4-7 紡績所から出るポリエステル繊維くずの売却ルートと売却価格

12 Rs/Kg

2.25 - 2.70Rs/kg 6.00Rs/Kg

ロープ製造の再生原料 (農家で利用)

汚染されていないもの 汚染されているもの

燃料利用 仲介業者

再利用 (洗浄用や油ふきとり用)

ロープ小売店で利用

1.25 – 1.5 Rs/kg 紡績所 紡績くず 買取業者

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図 3.4-8 廃ポリエステル

また、図 3.4-9 のようにポリエステル繊維を使った織物工場から排出される繊維くずは、

買取業者から仲買人と渡った後、溶かされて再度、ポリエステル繊維が製造されている。

QY = 18-21

Rs/kg

SW= 16-20

Rs/kg

ST =14-16

Rs/kg

QY (Quality Yarn) = 17 -– 20

Rs /kg

SW (Soft Waste) = 15 -19

Rs/kg

SF (Staple Fibers) = 12- 14

Rs/kg

HT (Hard Twisted) = 1.5 – 2.5

織物工場 仲買人 買取業者 ほぐし屋

QY = 20-21

Rs/kg

SW= 20-21

Rs/kg

ST =14-18

Rs/kg

リサイクル業者

ポリエステル繊維: 26-40

Rs/kg

図 3.4-9 織物工場から出るポリエステル繊維くずの売却ルートと売却価格

ポリエステルの繊維くずの中継地は、近郊の Surat, Ankleshwar, Umergaon であり、廃

棄物は、月に紡績くずが 500 トン、糸くずが 700 トン排出されている。これらの廃棄物は

以下の表 3.4-17 のような価格帯で売却されている。

表 3.4-17 ポリエステル繊維くずの概要

項目 内容 中継地 Surat, Ankleshwar, Umergaon 廃棄物の発生量 紡績くず 500 トン/月、糸くず 700 トン/月 リサイクル先 織物工場から出る繊維くずは再度、ほぐされ

て手織物産業の原料や不織布の原料となる。 リサイクル製品の価格 ・ロープ: 15-30 Rs/kg

・ぬいぐるみの詰め物:40-66 Rs./kg ・再生ポリエステル繊維:40 Rs./kg

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○綿製品 図 3.4-10 のように、紡績所から排出された綿の繊維くずは、買取業者へと渡った後、汚

れているものはカーペットやロープ原料として売却され、比較的きれいなものはほぐされ

て再生原料として売却されている。

1 – 1.5 Rs/kg 14 -25 Rs/Kg

仲介業者

汚染していないもの 汚染していないもの

汚れ除去

繊維回収(小さな端切れ)

幅の大きいもの

ロープ製造

3.5 – 10 Rs/kg

1.5

-

22.0 Rs/kg 紡績所

紡績くず

買取業者

ガーネット業者(不純物除去)

18 –35 Rs/kg リサイクル繊維利用業者

(バージン材と混合)

図 3.4-10 紡績所から出る綿の繊維くずの売却ルートと売却価格(ルピー/kg)

また、図 3.4-11 のように、綿繊維を使った織物工場から排出される繊維くずは、買取

業者から仲買人と渡った後、ほぐされて再度、再生原料となっている。

QY = 18 -22

Rs/kg

SW= 16 -18

Rs/kg

SF = 14 -16

Rs/kg

HT = 7 -8

Rs/kg

QY ( Quality Yarn ) =

不 明

SW ( Soft Waste ) =

不 明

SF (Staple Fibers) =

不 明

HT (Hard Twisted)=

不 明

織物工場

仲買人

買取業者

ほぐし屋

QY = 20 -24

Rs/kg

SW= 20 -21

Rs/kg

SF = 15 -18

Rs/kg

HT = 8 -12

Rs/kg

リサイクル

業者

綿繊維: 18- 35 Rs/kg

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図 3.4-11 織物工場から出る綿繊維くずの売却ルートと売却価格

綿の繊維くずの中継地は、Ahmedabad であり、これらの廃棄物は以下の表 3.4-18 のよ

うな価格帯で売却されている。 表 3.4-18 綿繊維くずの概要

項目 内容

中継地 Ahmedabad リサイクル先 織物工場から出る繊維くずは再度、ほぐされ

て再生原料となる。 リサイクル製品の価格 ・ウエス: 18-20 Rs/kg

・再生原料:18-35 Rs./kg. ・ロープ原料:15-25 Rs./kg

⑧廃タイヤ

現在の流通状況 廃タイヤは各排出源から解体業者の元に集められ、そこで、チューブ、ワイヤーの入っ

ている部分、ワイヤーのない部分に分けられた後、仲買人によってそれぞれの利用先に販

売されている。チューブは天然ゴム 100%のため、パキスタン、スリランカ、韓国などに輸

出されている。 自動車修理工場、

タイヤ販売店仲買人

タイヤ解体業者

輸出業者

燃料購入者

図 3.4-12 廃タイヤの流れ

リサイクル・処分状況 (タイヤ解体業者 於 Ankleshwar) ・ ラジアルタイヤは分割せず、そのまま燃料利用している。 ・ タイヤは保管場所(受入/手分割場所)で、ワイヤーを含む箇所等 3 つのパーツに手で

分割(切断)している。

主に燃料利用

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廃タイヤの保管(野積み)状況

タイヤを手で分割(切断)

タイヤチューブ 回収状況

(2)日系企業における状況

グジャラート州へ進出している日系企業は JETRO 資料によると 31 社となっているが、

主な製品製造を行っている企業は以下のとおり 19 社となっている。日系企業の進出地域は

Vadodara や Dahej など、すでに産業集積が進んだ地域となっている。

表 3.4-19 グジャラート州における主な製造系日系企業

日本企業 現地法人 製品/セクター

パナソニック(松下電機) Panasonic Energy India Co. Ltd. バッテリー

DIC DIC Fine Chemicals Pvt. Ltd, プリントインク

テルモ Terumo Penpol Limited 医療機器

ぺんてる Indo Japan Pen Manufacturing Company Pvt Ltd

筆記用具

三菱重工 L&T MHI Boilers Private Limited ボイラー等

エルビスエンジニアリング ERBIS ENGINEERING Co. Ltd 医用機器

サカタインクス Sakata Inx (india) Ltd. インキ

日立ライフ Hitachi India エアコン

日立ディスプレイ JCT Electronics 電子機器

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日本企業 現地法人 製品/セクター

千代田化工 Larsen&Toubro エンジニアリング

住友商事 Sardar Sarovar Narmada Project 水力発電機器

三井物産 Ruchi Soya (Steel) 共同出資

興和(株) Adania Port Ltd. 港湾運営/インフラ

伊藤忠商事 Reliance Industries Ltd. 原油/有機化学製品

リコー Ricoh India Ltd ファクシミリ、印刷機、無線通話機

日本メタルガスケット Banco Products 自動二輪シリンダーガスケット

京都機械 Texprint Engineers 産業機械

日本酸素 Inox India Ltd. 技術提供(低温タンク)

精機工業所 Power Build Elecon Gears Ltd. ギアモーター、ギア減速機

出典:JETRO 「インド進出日系企業リスト」に加筆して作成

有害産業廃棄物の排出状況について、ヒアリング調査を行った日系企業(州内在住の 2社であるが、企業名は公表しないことを条件に調査の協力を得た)では、有害産業廃棄物

を他社に引き渡す際には、十分に気を配り、信頼のおける政府公認を受けたリサイクル業

者(Authorized Recycler)、あるいは廃棄物処理業者に委託処理しているのが基本であった。 また日系企業ではできるだけ最終的に排出される廃棄物量を削減するために、製造工程

自体にも工夫を凝らし、中間製品の再利用、副産物の再活用等、自社内でできるだけ廃棄

物を軽減する企業努力を行っている。また食品くず、蛍光管、紙くずなどの廃棄物につい

ては、公認のリサイクル業者に処理委託を行っている状況である。 以下が調査結果の概要である。

①A 社 Vadodara にある GIDC の工業団地に立地し、2 つの生産拠点を有する。主な製造品はマン

ガン乾電池、鉛電池である。

1)調査実施日時:2009 年1月 19 日 2)場所:グジャラート州バローダ 3)環境負荷物質の排出・処理状況 (a)有害廃棄物処理 有害廃棄物としては、不良品として出る製造品で、自社と契約関係にあるリサイクラー

が回収し、Zinc chloride に加工している。なお、不良品としては年間 6~7million 個程度

発生している状況である。 (b)その他の廃棄物処理 その他の廃棄物としては、食品くず(150~170kg/日)や、蛍光管(100 個/年)、紙くず

(5~6 トン/月)などがあげられるが、これらは場内で分別されたあと、リサイクル業者が

引き取りを行っている。

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(c)排水処理

排水に関しては、場内に排水処理施設を有し生物、化学処理を行っている。排水処理汚

泥は、廃棄物処理業者を通じて埋め立て処分されている。

②B 社

2010 年1月にオフセットプリント用のプリントインクの生産を開始した製造拠点である。製

造量は、30,000mt/年を目指し、欧米市場へ全量輸出を行う予定である。

1)調査実施日時:2009 年1月 19 日 2)場所:グジャラート州ダヘジ 3)環境負荷物質の排出・処理状況 (a)有害廃棄物処理

製造工程から排出されるのは以下の有害廃棄物。1.Oil Contaminated 2.ETP Sludge

3.Empty Dram 4.Jambo Bag(原料の包装用) 5.Paper Bag 6.Cleaning waste。

総量で 70~72kg/日とのこと。なお、植物油脂を使用しているため、有害廃棄物発生は抑えられ

ている。

これらの有害廃棄物は BIEL(Bharuch Enviro Infrastructure Ltd's、民間廃棄物処理業者)

が最終処理を請け負っている。

(b)その他の廃棄物処理

その他の廃棄物としては、食品くず、蛍光管等事業系の廃棄物が出ているが、現在のとこ

ろ発生量はごく少量である。

(c)排水処理

排水に関しては、場内に排水処理施設を有し生物、化学処理を行っている。排水処理汚

泥は、廃棄物処理業者を通じて埋め立て処分されている。

なお、グジャラート州では、日系製造業の進出はこれから加速される見込みであり、今

後、有害廃棄物の発生、処理ニーズの顕在化が予測される。 そこで、デリー・ムンバイ産業大動脈構想に位置する近隣州で既に操業を開始し、有害

廃棄物を排出している製造業における環境管理の状況を参考に、今後顕在化する廃棄物処

理インフラの潜在ニーズについて検討するための情報を整理する48。 ③C 社 48 調査は 2008 年 5月に実施されたものを参考として示している点を留意されたい。

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デリーから南西へ約 30km 離れたグルガオン地区に立地。当工場では年間約 60 万台生産

している。なお、第二工場はマネサールに立地、稼働開始されている。 1)調査実施日時:2008 年 5 月 2)場所:ハリアナ州グルガオン 3)環境負荷物質の排出・処理状況 (a)廃水

• 生産工程からの廃水、生活廃水(オフィス、食堂等)は別系統の処理、処理施設

も別々となっている。 • 工程廃水は、化学、生物処理、二次処理まで実施。処理水は場内散水、トイレ洗

浄等に利用。処理量は約一日あたり 4,000m3である。 (b)固形有害廃棄物 全体で一日あたり約 3.5 トン発生している。

品目 量(割合) 処理方法・委託先 ペイントスラッジ ― 場内焼却 廃水スラッジ 56% 場内焼却 焼却灰 18% 場内埋立 リン酸スラッジ 27% 場内埋立 切削くず ― リサイクル(鉄スクラップと共に)

※2006 年の実績(割合は 1,500 トン/年に対する値)

• ペイントスラッジと廃水処理スラッジは場内の焼却施設で処理し、焼却灰は今の

ところ場内で保管している。 • Landfillable 廃棄物は、埋立することになっているが、今のところ場内で保管して

いる。同社では、Secure Land Fill site(SLF)を整備している。7,500m3の埋立

可能なピットが 3 つある。ひとつは 2002 年から埋立を開始し既に埋立が完了して

いる。

場内の SLF1 場内の SLF2

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• ハリアナ州には TSDF 施設がまだないので、それまで保管する見込み。土地は、

州政府がファリダバードに選定した(Quarry の跡地)。産業界は処分場問題に対

応するために Haryana Environmental Management Society(HEMS)を大手企

業約 100 社が参画して 2001 年に設立した。常設の事務所も有している。土地の購

入、運営業者の選定等を行ってきたが、地元住民が反対し、周辺地域の一部を購

入して裁判所に訴えた。事業者も選定した(Ramky ではない)。 • 場内の焼却装置は、新しい有害廃棄物焼却施設のガイドラインに基づき改良中で

ある。1 月には完了する見込み。新しい施設は、炉が 2 つ(規模は 150kg/h が 2つ)で、児童投入フィーダー→プライマリーチェンバー→セカンダリーチェンバ

ー→Packed Column→ベンチュリースクラバー→煙突。燃料は CNG を利用し、

炉からの熱は蒸気発生させて、ペイントショップに使っている。炉はプネに本社

がある Thermax 社製。インドでベストの焼却炉だろう。 • 焼却灰はレンガへ加工する試験をやったがうまくいかなかった。溶出試験の結果

は、規制値以下のもの、ボーダラインに近いもの等まちまちだった。 • セメントメーカーとのやりとりは行われており、A 社のプラントがサンプルを受け

取り分析している。グルガオンからは約 250km の輸送が必要。同社からは受け入

れ可能な廃棄物の品質基準(パラメータ)が提供されており、その基準を満たす

ようにブレンドすることが求められている。スズキ側で実施することが条件とな

っている。自前でやるのは、大変だが場内で保管することを考えれば対応できる。

保管場所のスペースも節約できる。ACC は搬出する廃棄物の品質に変動がなく、

コンスタントであることを条件としている(日によって、ETP スラッジの量が多

くなったり、ペイントスラッジの量が多くなったりするのは適当でない)。 • 個人的には、埋立、焼却のいずれよりもセメントの代替燃料として利用すること

が望ましいと思っている。 (c)その他

• 水の 98%は河川水(canal water)を使っており、残りは地下水である。使用

量は 3,500m3/日で、約 50%が工程への再利用を含めて行われている。 • マネサールの第二工場でも廃棄物の処理体系はほぼ同じである。 • 場内の乗り物の燃料に LPG,CNG を使っている。 • 工場スタッフは全部で 5,000 人、うち 2,500 人がラインに関わる。

④D 社 デリーから約 50km 離れたグレーターノイダ工業団地内に立地。Greater Noida Industrial Development Authority (GNIDA)が 1991 年に整備した。同社の他、外資系企業

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を中心に多数操業中49。 同社は四輪車の生産を 1995 年から開始。生産実績は約 50,000 台(2006 年)。表面処理、

塗装、溶接、組み立て工程がある。切削工程はない(第二工場では立ち上げる予定)。エン

ジン、シリンダーボックス等の生産ラインはない。 その他、同社の関連企業は次のとおり。

• 二輪車の製造(生産能力 100 万台/年間)(ハリアナ州グルガオン・マネサール) • 二輪車の製造(ハリアナ州グルガオン、Dharuhera)

1)調査実施日時:2008 年 5 月 2)場所:ウッタープラデッシュ州グレーターノイダ 3)環境負荷物質の排出・処理状況 (a)廃水

• 生産工程からの廃水、生活廃水(オフィス、食堂等)は別系統の処理、処理施設

も別々。 • 化学、生物処理、二次処理まで実施。処理水は場内散水、トイレ洗浄等に利用。

(b)固形有害廃棄物

品目 量 処理方法・委託先 ペイントスラッジ 21.1t 場内焼却 廃水スラッジ 12.9t 場内焼却 焼却灰 36.2t レンガへ加工(Eco Vision 社) リン酸スラッジ 12.5t 保管(今後 Ramky 処分場へ埋立) 廃溶剤 20.2 ltb Industrial Easter&Chemicals ※2006 年の実績(生産台数 50,000 台)

・ ペイントスラッジと廃水処理スラッジは場内の焼却施設で処理し、焼却灰は今後、

Ramky 社処分場(カンプール)に搬出の予定。 ・ 場内には焼却装置が 2 つ(規模は 75kg/h、190kg/h)稼働中。有害なガスを発生さ

せないために高温で燃焼する。重油の消費量がものすごく多い。炉は静岡に本社があ

る青野商会製。 ・ 焼却灰はレンガへ加工して場内の敷石に使用していたが、規制により溶出が懸念さ

れたので壁面にのみ利用。ただ、今後は R 社の処分場へ埋め立てる。なお、TCLP に

より溶出はしないとの分析結果はある。 ・ リン酸スラッジは有害廃棄物になる(重金属含有ある)。処理方法に過去 10 年間困

49 立地企業の情報は GNID のウェブサイトに掲載あり

(http://www.greaternoida.com/greaterNoida.php?content=industrial_4.html)

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ってきた。場内に保管してきたが、ようやく R 社の処分場に搬出できるようになった。

処理費用は今後つめる予定。 ・ セメントメーカーとのやりとりはない。

(c)その他

・ 水はノイダ地域では問題になっていない(ウォーターテーブルが高いので 5m も掘

れば OK)。使用量は 1,800KL/日。工程への再利用はないが、今後の予定には入っ

ている。 ・ 電気が不安定なので大きな問題である。利用電力の 65%は自家発、35%は GNID

から購入している。購入価格はそれぞれ 8R/unit 、4R/unit で自家発は倍のコスト

がかかっている。夏場の繁忙期をしのぐには不可欠。自家発にディーゼルを使うと

CO2負荷としては低くなるが排ガス面でどうなのか不安がある。 ・ 第二工場(ラジャスタン)は 2009 年からの稼働をめざしている50。 ・ 関連会社の廃棄物発生量は分からない。まったく管理体系は別。搬出先も分からな

い。同じかもしれない。 ・ 廃棄物を含めてプラントして環境管理をどうするか、ちょうど議論を始めていると

ころである。第二工場に至ってはまだなにも話していない。 ・ GNID は道路、街灯、雨水廃管のみ整備しており、共通の処理施設(CETP)はな

い。個々のプラントごとの対応となっている。 現在、インドに進出している日系企業により排出されている廃棄物の発生、処理の状況

の特徴を概括すると、業種でみると二輪、四輪車を中心とする輸送機械、電子・電気機器

類の製造が中心となっている。製造形態では鋳造品等の主要部品はタイから輸入されたも

のをを組み立て、塗装工程、部品類の取り付けることが等が一般的となっている。一部で

は鋳造品を国内で製造し、切削まで行う企業もある。発生廃棄物としては、塗装時の表面

処理時のくず、塗装くず、廃水処理時の汚泥等が主なものである。その他、電子・電気機

器類の製造に伴うはんだくず、表面処理時に用いる溶剤類等も発生している。なお、水を

大量に消費する半導体等の精密機械の製造は現在のところ行われていない。 以上廃棄物について、一部の企業では自社に設置された焼却処理にて減容処理した後、

その残さを埋め立てたり、塗装くず、廃水処理汚泥の埋立を自社または委託したり、セメ

ントの代替原燃料に用いる動きも一部ではみられる。

50 第二工場の概要は、http://www.honda.co.jp/news/2007/c070702.html

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3.5 環境産業の現状

(1)代表的な廃水処理施設の状況

①概要 グジャラートには、共同廃水処理施設(Common Effluent Treatment Plants, CETP)が

18 か所あり、下の図 3.5-1 のような形で分布している。

図 3.5-1グジャラート州における共同廃水処理施設の分布

出典:”Green Gujarat,” Gujarat Pollution Control Board

これら 18 施設の処理能力は様々であり、80 ㎥/日の小規模なものから、55,000 ㎥/日の大

規模なものまで存在する。

図 3.5-2 グジャラート州における共同廃水処理施設の処理能力(㎥/日)

出典:”Green Gujarat,” Gujarat Pollution Control Board

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②処理状況 今回、18 施設のなかで、上記図 3.5-1 で★印を付けた Vadodara 市の Nandesari 共同廃

水処理施設を視察した。概要は以下の表 3.5-1 の通りである。

表 3.5-1 Vadodara 市の廃水処理施設の概要 項目 内容

処理施設名 Nandesari Industries Association Secondary Treatment Plant

所在地 Nandesari, Vadodara 処理委託元企業数 166 対象産業 有機系、無機系化学工業、染織・染織中間物産

業 処理能力 5,500 ㎥/日 建設費 6,200 万ルピー 処理概要 物理化学処理を行った後、二次処理、三次処理

を行う。 認定資格 ISO14001

施設の一部(曝気槽) 施設の一部(外部からの廃水受入場所)

廃水の経路は 2 つあり、1 つは近隣の企業と直接パイプラインでつながっており、自社施

設で処理したもので基準を満たすものだけを受け入れている。もう 1 つは運搬用のトラッ

クで廃水処理施設を持たない小規模の工場から運んでくる。トラックで輸送されてきた廃

液は色も濃く、臭気も強いものであったが、パイプラインで送られてくる処理済みの処理

水は若干の白濁は見られるものの、非常に綺麗な状態であった。最終的な処理水は Effluent Channel Project という専用パイプラインを通じて海に流されており、Gujarat でも唯一の

施設ということであった。

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(2)代表的な有害廃棄物処理施設の状況

①概要 有害廃棄物処理施設 6 社のひとつ。トップランナー。本エコタウン事業への民間事業主

体として、出資を表明している。 ②処理状況

・ 有害廃棄物専用処分場(350 万トン)、液体・固形廃棄物保管施設、焼却(1 万トン

/年)、物理化学処理施設(2001 年より事業開始。焼却施設は 2003 年より) ・ ETP Sludge from textiles and dyes and dye intermediate industries (70,000

TPA), Distillation Residue from chemical and pharma industries (8,000 TPA), Aqueous Waste and mother liquor (5,000 TPA), Organic Waste(4,000 PA), Spent Carbon(2,000 TPA).

・ SLF(Secured Land Fill) : 70,000 TPA, Incinerable : 13,000 TPA, Solidification & Stabilization : 5,000 TPA.

・ 今後は、Dahej 地区土地取得済み(環境事業) ・ Eco Textile Industrial Park 整備中(繊維製造、研究開発、排水、焼却処理施設整

備中)

衛生埋立処分場

バーコードによる受入廃棄物の管理 分析施設

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セメント施設供給用燃料の保管施設 スピル防止の舗装

保有している焼却施設は、ロータリーキルン型のもので 13,000t/年の処理能力を有している

ものである。投入物、燃焼温度管理、排ガス冷却、ガスモニタリングの管理が起き届いて

いる。

ロータリーキルン型の焼却炉 排ガスオンラインモニタリング

排ガス急冷関連装置(サイクロン、ガスクエンチャー)

また、同社は、セメントメーカーへの液体廃棄物の供給に係る代替燃料の調合(ブレン

ド)を担っており、ラファージュセメントへの燃料供給を独占的に行う契約を結んでいる。

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(3)他州における有害廃棄物施設の状況(参考)

①概要 ・ バンガロールに立地し、焼却炉を保有している。 ・ 一次燃焼炉、二次燃焼炉、ガス冷却装置、スクラバーからなる焼却炉である。施設は建

屋に格納されている。 ・ 処理能力は、3t/日と小規模のものである。 ・ カルナタカ州公害管理局(KSPCB)より 07 年 7 月に稼動許可を受けている。許可され

た焼却対象物は、有機溶剤の蒸留残渣(36.4)、塗料くず(21.1)、期限切れ薬品(28.3)、油含有残渣(5.2)等である。( )は有害廃棄物管理規則による廃棄物コード。

・ 受け入れられた廃棄物は、いったんピットに保管され、作業員により手分別され焼却炉

へ投入しやすいように袋詰めされている。

焼却施設のフロー

焼却施設の建屋

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②処理状況 ・ 処理費用は、15,000Rs/t(運賃込み) となっている。 ・ 現在は、比較的安定的に燃えやすい油分を含んだ布きれ(ウェス)のみを少量処理して

いる。 ・ 燃焼温度は、二次燃焼炉で 1,200 度まで上昇する。燃焼ガスは、二次燃焼炉からスクラ

バーで 250 から 300 度まで冷却される構造となっている(同温度は、施設の説明資料

に明記されている)。 ・ 所感

焼却施設の技術ガイドラインに基づいて整備されたとの説明だが、燃焼排ガスの

急冷は、誘引ファンにより外気を誘引して冷却しているだけであり、ダイオキシ

ンの生成を防ぐためのガス急冷設備が不十分(上記温度帯は、ダイオキシンが生

成しやすい温度帯)。また、スクラバーシステムも稼働していなかった。 現在は、比較的安定的に燃えやすいウェスを処理しているため、問題は起きてい

ないと考えられる。 焼却施設の技術ガイドラインは、あくまでもガイドラインであり、排ガス管理は

法的義務を伴わないものと解釈されていると考えられる。 燃焼しやすいものを少量焼却するレベルであれば、規模としてはよいが大量に発

生する廃棄物を安全に処理するには不向きな施設と考えられる。

保管用ピット 焼却炉への投入を待つウェス

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焼却処理施設