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平成30年度 山地保全調査 (新たな治山・地すべり対策計画手法検討調査) 委託事業 報 告 書 (概要版) 平成31年3月 林野庁

平成30年度 山地保全調査 (新たな治山・地すべり …...平成30年度 山地保全調査 (新たな治山・地すべり対策計画手法検討調査) 委託事業

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平成30年度

山地保全調査

(新たな治山・地すべり対策計画手法検討調査)

委託事業

報 告 書

(概要版)

平成31年3月

林野庁

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はじめに

本業務は、林野庁森林整備部治山課の委託により共同事業体一般財団法人リモート・セ

ンシング技術センターが実施したものである。 管理技術者、担当技術者などは以下の通りである。

【受託者】 一般財団法人リモート・センシング技術センター 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3 丁目 17 番 1 号 電話(代表) 03-6435-6700

【担当者】 (省略) 【再委託】 ⑴国土防災技術株式会社 ⑵(株)フジヤマ 【工期】 平成 30 年 12 月 26 日~平成 31 年 3 月 15 日

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目次 1. 業務概要 ...................................................................................................................... 1

1.1. 契約概要 ............................................................................................................... 1 1.2. 事業実施スケジュール ......................................................................................... 3 1.3. 業務実施体制 ........................................................................................................ 4 1.4. 実施体制図 ........................................................................................................... 4

2. 山地災害発生のリスク評価手法の検討 ....................................................................... 6 2.1. 概要 ...................................................................................................................... 6 2.2. 現地観測データによる危険性の検証 ................................................................... 7 2.3. 現地及びリモートセンシング技術により調査・観測が必要な情報の整理 ......... 8 2.4. 山地災害を引き起こす誘因の評価 ....................................................................... 9 2.5. 平成 28 年熊本地震後に発生した地表面の変状把握 .......................................... 11 2.6. 山地災害発生箇所の分析及びリスク評価 .......................................................... 14

3. 山地災害・調査・モニタリング等に活用する手法の検討・提案 ............................. 17 3.1. 山地災害の調査等に活用可能なリモートセンシング技術に関する情報収集 ... 17 3.2. 山地災害の調査・モニタリング等に活用する手法の検討................................. 19 3.3. 山地災害の調査・モニタリング等に活用する手法の提案................................. 22

4. 山地災害発生時の対応にリモートセンシング技術を用いたモデルケースの構築 ... 23 4.1. 既往の災害におけるリモートセンシング技術の活用状況................................. 23 4.2. モデルケースとリモートセンシング技術を活用した実施案の提案 .................. 23

5. 事業実施段階におけるリモートセンシング技術の活用手法検討 ............................. 34 5.1. 事業実施段階におけるリモートセンシング技術の活用に関する事例の収集 ... 34 5.2. 調査結果の分析等 ............................................................................................... 36

6. 検討委員会の開催 ...................................................................................................... 38 7. 職員向け勉強会の開催 ............................................................................................... 38 8. 電子媒体フォルダ構成 ............................................................................................... 40

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1. 業務概要 1.1. 契約概要

1.1.1. 業務名称

平成 30 年度山地保全調査(新たな治山・地すべり対策計画手法検討調査)委託事業 1.1.2. 履行期間

平成 30 年 12 月 26 日から平成 31 年 3 月 15 日まで

1.1.3. 発注者

東京都千代田区霞が関 1-2-1 林野庁(森林整備部 治山課 施設実行班)

1.1.4. 受注者

一般財団法人リモート・センシング技術センター 東京都港区虎ノ門 3 丁目 17 番 1 号 TOKYU REIT 虎ノ門びル 2F

1.1.5. 業務目的

国土の約 7 割が山地からなる我が国では、急峻な地形、脆弱な地質、厳しい気象条件により、山腹崩

壊や地すべりなどの山地災害が多く発生している。特に近年は、地球温暖化に伴い頻発する集中豪雨や、

多発する大規模地震、活発化する火山活動により山地災害の発生リスクが増大している。このような山

地災害に対して必要な復旧・予防対策を適時適切に講じるためには、豪雨・地震・火山噴火・融雪等( 以下、豪雨・地震等)の発生後における山地災害発生状況の把握や今後の山地災害発生危険性の把握、復

旧計画策定のための詳細調査を迅速かつ効率的に実施することが求められる。 また、豪雨・地震等の発生後における中長期的な現地状況の変化を把握し、実施した対策の効果判定

や必要な対策の検討を行うためには、効率的なモニタリング手法による継続的な調査・観測が必要であ

る。 これらに対し、従来の調査・観測手法に加えて航空機や人工衛星等によるリモートセンシング技術を

用いた調査手法を活用することにより、必要な情報を迅速かつ効率的に入手することが可能となる。ま

た、得られるデータの精度も近年向上していることから、山地災害発生危険性の把握や復旧計画策定の

ための詳細調査にも活用が見込まれる。さらに、中長期的なモニタリングに対しても、作業の効率化や

コスト低減に資するものと考えられる。 平成 27~ 29 年度業務においては、主に豪雨・地震等発生後における山地災害発生状況調査や復旧

計画策定のための詳細調査、豪雨・地震等の発生後における山地災害の発生危険性把握や中長期的な現

地状況のモニタリングに対してリモートセンシング技術を活用する手法について検討し、手引き案を作

成した。 本業務では、平成 29 年度に検討を行った地震後の山地災害発生のリスク評価について、その後の現

地観測データを追加して分析を行う。山地災害発生状況調査、復旧計画策定や中長期的なモニタリング

に対して活用するリモートセンシング技術について、最新の知見に基づき幅広く手法を整理し、それら

の活用方法を検討した上で、効率的かつ経済的に調査や観測を行う手法を提案する。また、災害発生時

の対応にリモートセンシング技術を用いたモデルケースを構築する。さらに、リモートセンシング技術

をはじめとした新技術を活用した調査・設計・施工ならびに点検・診断等、既存施設のメンテナンスに

関する手法について、事例を収集・整理し、治山事業への導入の可能性とその障壁を明らかにした上で、

活用効果を分析する。 これらにより、リモートセンシング技術を活用した山地災害発生状況調査、発生危険性把握、復旧計

画策定、設計・施工、および中長期的なモニタリング等について治山行政に資する情報を整理すること

を目的とする。

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1.1.6. 業務内容

本事業の業務項目を表 1.1.1 に示す。

表 1.1.1 業務内容 (1) 山地災害発生のリスク評価手法の検討

(2) 山地災害の調査・モニタリング等に活用する手法の検討・提案

(3) 山地災害発生時の対応にリモートセンシング技術を用いた

モデルケースの構築

(4) 事業実施段階におけるリモートセンシング技術等の活用手法検討

(5) 検討委員会

(6) 職員向け勉強会の開催

(7) 取りまとめ

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1.2. 事業実施スケジュール

本事業の実施スケジュールを図 1.2.1 に示す。

図 1.2.1 事業の実施スケジュール

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1.3. 業務実施体制

業務実施体制は以下の通りとし、リモートセンシング技術を活用した山地災害発生状況調査、発生危

険性把握、復旧計画策定、設計・施工、および中長期的なモニタリング等について治山行政に資する情

報の整理が行えるよう構成する。 1.4. 実施体制図

(省略)

一般財団法人リモートセンシング技術センター 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-17-1 TOKYU REIT 虎ノ門びル 2F

研究開発部 TEL:03-6435-6735 FAX:03-5777-1581 ソリューション事業部 研修・調査課 TEL:03-6435-6792 FAX:03-5777-1580 つくば事業所 TEL:029-859-5573 FAX:029-859-5574

【契約担当】 一般財団法人リモート・センシング技術センター 経営企画部 業務課 担当:(省略) 〒501-0001 東京都港区虎ノ門 3-17-1 TOKYU REIT 虎ノ門びル 2F TEL:03-6435-6721 FAX:03-5777-1580

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1.4.1. 業務実施担当者一覧

(省略)

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2. 山地災害発生のリスク評価手法の検討 2.1. 概要

リモートセンシング技術を活用し山地災害の発生リスク評価手法を検討するため、平成 28 年に発生

した熊本地震後の航空レーザ計測成果から把握した亀裂箇所等のデータをもとに、山地災害発生に関す

るリスク要因を整理、分析し、リスク評価に必要な情報をとりまとめた。 2.1.1. 検討範囲

本検討は、平成 28 年熊本地震(以下、熊本地震)で甚大な被害が発生した熊本県南阿蘇村立野地区

周辺を対象とした。当該地域は、「平成 29 年度山地保全調査(新たな治山・地すべり対策計画手法検討

調査)」で検討を行った地区である。 昨年度業務では、熊本地震で崩落した阿蘇大橋を含む立野地区の東側部分を対象に検討を行っており、

本年度は、立野地区の西側部分を追加し、より広い範囲で検討を行った。 検討範囲を図 2.1 に示す。

図 2.1 検討範囲位置図

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2.2. 現地観測データによる危険性の検証

引用:H29 山地保全調査報告書

図 2.2 現地観測実施箇所の位置図 林野庁では平成 29 年度以降、「流域山地災害等対策調査業務(地震による亀裂等監視・分析調査)」に

おいて、対象地周辺で地表伸縮計による現地観測を行い、地震で発生した亀裂等の監視を行っている。

本業務では最新の観測結果を用いて亀裂箇所等が有している危険性を検証した。亀裂箇所等の現地観測

実施箇所の位置を図 2.2 に、観測結果のまとめを表 2.1 に示す。本業務の検討範囲に設置されている伸

縮計は、S-1~S6 及び S14 である。 最新の現地観測の結果では、地震で発生した亀裂箇所等に顕著な変動はみられなかったことから、現

時点でこれらの亀裂箇所等が著しい危険性を有している可能性は低いといえる。 表 2.1 地表伸縮計のまとめ

計器

番号

累積

変動量

(mm)

日最大

変動量

(mm)

変動傾向 異常データの原因

S-1 -4.9 1.1 断続的な縮み変動が主体であるため、崩壊に

関わる斜面変動を捉えている可能性は低い 5/17、10/9-11、10/24 ノイズ、

10/25 防護柵設置 S-2 -0.2 ±0.2 変動なし 10/25 防護柵設置

S-3 -2.5 0.8 圧縮変動が主体であるため、崩壊に関わる有

意な斜面変動を捉えている可能性は低い 7/12、10/29、11/4 ノイズ、

9/1 欠測

S-4 +0.2 ±0.1 変動量が小さく、崩壊に関わる有意な斜面変

動を捉えている可能性は低い 10/30 ノイズ、10/31 防護柵

設置

S-5 -5.7 -1.3 圧縮変動が主体であるため、崩壊に関わる有

意な斜面変動を捉えている可能性は低い 8/27 ノイズ、10/25 防護柵設

S-6 -0.7 +0.3 変動量が小さく、崩壊に関わる有意な斜面変

動を捉えている可能性は低い 9/8 電池切れによる欠測

S-14 -3.2 -0.3 変動量が小さく圧縮変動であるため、崩壊に

関わる有意な斜面変動を捉えている可能性

は低い

10/2 ノイズ、 10/22 防護柵設置

地理院地図

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2.3. 現地及びリモートセンシング技術により調査・観測が必要な情報の整理

2.3.1. 熊本地震後に取得されたリモートセンシングデータ

熊本地震発生後、リモートセンシング技術を用いて国や自治体等が様々なデータを取得している。熊

本地震発生後に取得された主なリモートセンシングデータを以下に挙げる。

空中写真(斜め写真を含む) 航空レーザ測量データ(以下、LP データ) 光学衛星画像 マイクロ波衛星画像

熊本地震後に取得されたこれらのデータのうち空中リモートセンシング(空中写真・航空レーザ測量)

について、取得時期、解像度(レーザ測量)等を表 2.2 及び表 2.3 にそれぞれ整理した。

表 2.2 利用可能な空中写真 No 取得時期 区分 取得機関

1 H28/4/16 西原地区正射画像(4/16 撮影) 国土地理院 2 H28/4/20 西原 2 地区正射画像(4/20 撮影) 〃 3 H28/5/31 南阿蘇河陽地区正射画像(5/31 撮影) 〃 4 H28/7/5-24 熊本 2 地区正射画像(7/5~24 撮影) 〃

表 2.3 利用可能な航空レーザ計測成果

No

取得時期 業務名 解像度 取得機関

1 〇 H24 阿蘇外輪山地域航空レーザ測量 1m 国土交通省 2 〇 H24 阿蘇中央火口地域航空レーザ測量 1m 国土交通省 3 〇 H28.4 森林域における航空レーザ計測業務 0.5m 林野庁 4 - H28.4 H28 熊本地震における災害時航空測量業務 1m 国土交通省 5 - H28.5 不明 1m 国土交通省 6 〇 H28.6 森林域における航空レーザ計測業務(豪雨後) 0.5m 林野庁

7 〇 H28.8/9/10 熊本地震に係る航空レーザ計測及び地盤の時系

列変化解析業務 0.5m (独)防災科学

技術研究所 8 - H29/10-11 航空レーザ測量業務 1m 国土交通省 空中写真は、災害直後に国土地理院が取得した画像を正射変換し、地理座標を与えた画像で、国土地

理院がインターネットで公開するウェブ地図「地理院地図」で確認することが出来る。 空中写真から得られる情報は、前震・本震及びその後に発生した地表面の変化のうち、表層崩壊や土

石流等、樹木の移動や地表面の裸地化を伴う変動の有無及び範囲である。 LP データは、林野庁を始めとする国や自治体等が災害の範囲や規模等を捉える目的で取得したデータ

で、0.5m 又は 1m の解像度を有する。既存の LP データは、「航空レーザ測量データポータルサイト:

https://www.sokugikyo.or.jp/laser/portal/kml/area:9」から検索することができ、観測時期、データの

仕様、データの管理者等の情報が開示されている。これらのうち、公共機関が実施した測量成果につい

ては、国土地理院の「測量成果ワンストップサービスサイト:https://onestop.gsi.go.jp/onestopservice/」の「①数値地図、紙地図、空中写真、基盤地図情報等の複製承認申請または使用承認申請」から利用申

請を行うことができる。 本業務で分析対象としたLPデータの取得時期は、地震直後から 1か月に 1回程度、10月頃までと 2017

年 10 月頃の計 6 回である。 このうち、国土地理院が撮影した空中写真は、地理院地図等から誰でも利用しやすく、解像度も高いた

め、災害の全体像を把握するのに優れている。一方、航空レーザ計測は、解像度は空中写真と比べて低

いが、亀裂や崩壊地等の微地形や表土の流亡といった地表面の詳細な状況を把握することができ、地形

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図や断面図等の図面作成もできる利点である。ただし、解像度は 0.5m 程度であるため、亀裂の開きや

変化等を捉えることは困難で、こうした微細な変化は地上観測による必要がある。

2.3.2. 現地及びリモートセンシング技術により調査・観測が必要な情報

山地災害発生状況調査や復旧計画策定において、現地とリモートセンシング技術による調査・観測で

把握できることと把握できないことを認識したうえで、両者を組み合わせて活用する必要がある。そこ

で、現地及びリモートセンシング技術で調査・観測が必要な情報を下表に整理した。現地観測は様々な

手法があるため、カッコ書きで手法を示した。

表 2.4 現地及びリモートセンシング技術により調査・観測が必要な情報 項目 空中写真 航空レーザ計測 現地踏査 現地観測

地表面の状況 〇 〇 〇 ×

微地形の把握 × 〇 〇 ×

高さ方向の変化 × 〇 △ 〇(GPS 観測)

水平方向の移動 × 〇 〇 〇(移動杭、地

表伸縮計)

断面図・平面図等の作成 × 〇 × 〇(測量) ※空中写真は、単画像の場合上記のような評価となるが、立体視を行う場合は微地形の把握、高さ方向の変化、水平方向

の移動について〇~△の評価となる。

2.4. 山地災害を引き起こす誘因の評価

2.4.1. 熊本地震後の降雨状況

熊本地震直後から平成 30 年 12 月までに対象地周辺で発生した降雨状況を整理した(図 2.3 及び図 2.4)。降雨データは、阿蘇地域に設置されている気象観測所のうち対象地に最も近い阿蘇乙姫観測所の

データを使用した。

図 2.3 熊本地震直後から 2018 年 12 月までの降雨状況(日雨量 mm/day)

図 2.4 熊本地震直後から 2018 年 12 月までの降雨状況(時間雨量 mm/h)

0

50

100

150

200

250

300

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2.4.2. 超過確率雨量の規模

立野地区周辺で山地災害を引き起こす可能性がある降雨のポテンシャルを把握するため、過去の降雨

データをもとに超過確率雨量を算出した。算出には、1978 年~2018 年の阿蘇乙姫観測所のデータを使

用し、グンベル法により算出した(表 2.5)。 算出した超過確率雨量を地震後の実績(図 2.3 及び図 2.4)と比較すると、対象地では、熊本地震後

の既往最大日量を記録した 2016 年 6 月 22 日の雨量は 2 年確率規模相当であり、時間雨量では、2017年 7 月 4、6 日の既往最大時間雨量が 5 年確率規模未満であった。

表 2.5 対象地における超過確率雨量

この結果から、対象地では平成 24 年九州北部豪雨のように、時間雨量で 100mm を超える降雨が発

生するポテンシャルがあり、降雨が山地災害を引き起こすリスク要因といえる。 一方、熊本地震後の 2016 年 6 月にもまとまった降雨により地震で影響を受けた山地斜面で崩壊などが

発生しているが、過去に経験したような大規模災害に至る可能性がある規模の降雨はまだ経験していな

いといえる。 2.4.3. 近年の山地災害における降雨状況

近年対象地周辺で発生した大規模な山地災害の概要と、これらの災害で発生した対象地周辺の降雨状

況(阿蘇乙姫)を整理した。 これによると、平成 24 年九州北部豪雨の際、対象地周辺では 50 年確率規模に相当する 90~100mm/

時間の非常に強い雨が観測されており、期間内の総雨量も 800mm に達する豪雨であった。 熊本地震直後の 6 月の豪雨時には、時間雨量は 40mm 程度であるが、総雨量が 900mm を超え、平

成 24 年 7 月九州北部豪雨より多い雨であった。一方、平成 29 年九州北部豪雨の際には、対象地周辺で

5 年確率規模に相当する 60mm/時間の強い雨が観測されているが、総雨量自体は 500mm 程度と、平

成 24 年九州北部豪雨及び熊本地震直後の降雨より少ない降雨であった。 これらの降雨による災害の概要を表 2.6 に整理した。

表 2.7 対象地周辺で発生した山地災害 発生時期 降雨の状況 要因 災害の概要 備考

2012 年 7 月 11 日 ~7 月 14 日

106mm/時(最大) 総雨量 816.5mm

梅雨前線の

停滞による

豪雨

カルデラ壁の東側を中心に

多数の表層崩壊が発生 平成 24 年

九州北部豪雨

2016 年 6 月 16 日 ~6 月 30 日

41.5mm/時(最大) 総雨量 945mm 〃

地震で影響を受けた山地斜

面で新たな崩壊や土砂の二

次移動等が発生

2017 年 7 月 5 日 ~7 月 6 日

63.5mm/時(最大) 総雨量 440.5mm 〃 対象地周辺では大きな山地

災害は報告されていない 平成 29 年

九州北部豪雨 (参考)国土交通省の立野観測局(検討対象地区に最も近い)における 2016 年の降雨は、最大時間雨量

78mm/h、総雨量 1006mm が記録されている。

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対象地の降雨状況をまとめた結果を踏まえ、山地災害を引き起こすリスク要因を以下に整理した。

対象地は比較的降水量が多く、平成 24 年九州北部豪雨のように、時間雨量で 100mm を超える降

雨が発生するポテンシャルも有する。

地震後の 2016 年 6 月に降ったややまとまった降雨により、地震で影響を受けた山地斜面で崩壊

などが発生しており、比較的小規模な降雨でも災害が発生しやすい状況である。

過去に経験したような大規模災害に至る可能性がある規模の降雨は地震後まだ経験していない。

2.4.4. 過去に発生した地震

対象地周辺で過去に発生した震度 4 以上の地震を整理した。震度データは、データ取得期間(1970 年

~2018 年)に熊本県南阿蘇村で観測された最大震度 4 以上の地震を対象とした。 この結果から、対象地における震度 4 以上の地震の発生頻度は比較的低く、1970 年から熊本地震以

前では、震度 4 以上の地震が 11 回、震度 5 以上は 1 回であった。一方、熊本地震以降、震度 4 以上の

地震の発生回数は、2016 年に 24 回であり、このうちの 23 回が 4 月 15 日から 5 月初旬までに発生し

た。一方、2017 年、2018 年は震度 4 以上の地震は 0 回であり、近年発生した地震のほとんどが熊本地

震関連の地震であった。 このことから、対象地周辺では、地震の発生頻度は高くないが、熊本地震を引き起こした布田川断層

をはじめとする活断層が存在するため、地震が山地災害のリスク要因となりうるといえる。 2.5. 平成 28 年熊本地震後に発生した地表面の変状把握

2.5.1. 熊本地震後の地表面変動の状況

前節で整理した利用可能なリモートセンシングデータをもとに、熊本地震で発生した地表面の変状と

地震後に起きたイベントで発生した変状を写真判読及び地形判読により抽出し、これらの発生位置及び

範囲、発生を確認できたデータの取得時期を整理した。抽出した結果を崩壊の発生を確認できたデータ

の取得時期ごとに色分けし、図 2.6、図 2.7 に示した。また抽出した崩壊地数及び崩壊面積を表 2.8 に

示す。

国土地理院による「土砂崩壊分布図」データを地理院地図に重ねて表示

図 2.5 国土地理院による「土砂崩壊分布図」データ

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図 2.6 地震直後から 10 月までに発生した崩壊地の分布

図 2.7 地震及びその後のイベントで発生した崩壊地の例(拡大図)

表 2.8 熊本地震後に発生した崩壊地数

データの取得時期 崩壊地数 データの区分

H28/4/16 65 正射画像 H28/4/20 3 正射画像 H28/5/31 7 正射画像

H28/7/5-24 23 正射画像 H28/8 4 LP 計 102 -

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2.5.2. 崩壊発生時期の絞り込み

前項までに確認した崩壊地を確認したリモートセンシングデータの取得時期と、地震及び降雨イベン

トの発生時期を図 2.8 に図示した。これをもとに、判読により抽出した崩壊地のおおよその発生時期と

それを引き起こした可能性がある要因を絞り込むことが出来る。その結果を表 2.9 に示す。この結果か

ら、以下のことが明らかになった。 熊本地震直後の 4 月 16 日の空中写真で確認した崩壊地は、熊本地震の前震又は本震によるもので

ある。

7月 5日-24日の空中写真で新たに確認した崩壊地は、5月31日から7月にかけて発生したもので、

特に 6月 20 日~29日にかけて発生した降雨イベントによって発生した可能性が高い。

図 2.8 地震後の降雨及び地震の発生時期とデータの取得時期

表 2.9 データの取得時期から絞り込んだ災害の発生時期

崩壊地を確認した

データの取得時期 災害の発生時期

災害のトリガーとなった

可能性があるイベント

データ

の区分

H28/4/16 H28/4/15-16 熊本地震の 前震又は本震 正射画像

H28/4/20 H28/4/16-20 の期間 熊本地震後の余震 正射画像

H28/5/31 H28/4/20-5/31 の期間 余震又は 4/21 の降雨 正射画像

H28/7/5-24 H28/5/31-7 月の期間 6/20-29 の 降雨 正射画像

H28/8 H28/7 月-8 月の期間 7/8,13 の降雨 LP

H28/9 LP データから把握できる 新たな崩壊地の発生なし - LP

H28/10 〃 - LP ※熊本地震後、崩壊地が特に多く発生した期間を着色

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2.6. 山地災害発生箇所の分析及びリスク評価

2.6.1. 山地災害発生場の特徴の整理

2.5.1 で抽出した崩壊地の発生場の特徴を把握するため、地震前の LP を等間隔のメッシュで表される

数値標高モデル(Digital Elevation Model 以下、DEM)に変換し、メッシュごとに以下の地形量を

算出した。

① 傾斜度

② 曲率

③ 集水面積

④ 斜面位置

また算出したメッシュごとの地形量データについて、判読した崩壊範囲に含まれるメッシュを抽出し、

崩壊地ごとの中央値を図 2.8、図 2.9、図 2.10 にプロットした。4 月 16 日及び 20 日の空中写真で確

認した崩壊地を「地震直後の崩壊地」、それ以降のデータで確認した崩壊地を「地震後の崩壊地」とし

て図示した。地形量算出にあたっては、LP データをそのままの解像度で使用すると地表面の細かな凹

凸やデータに含まれるノイズの影響を受ける可能性があるため、リサンプリングにより解像度を落とし

た 10m のデータを傾斜度及び曲率を算出する際に使用した。 ① 傾斜度 地震前のLPデータより、対象地では40°以上の急傾斜地がカルデラ壁上部に位置し、その下部に30°

以上の斜面が連続する急斜面の多い地形を呈している。熊本地震直後の崩壊地は、ほとんどがこのよう

な 30°以上の急傾斜地で発生している。また地震直後の LP データをみると、地震後に発生した崩壊地

も 35°以上の急斜面で起きており、地震による山地災害と地震後の降雨等による山地災害の発生場は、

概ね共通しているといえる。

図 2.8 地震前の LP による熊本地震後の崩壊地の傾斜度

② 曲率 地震前の LP データより、地震直後の崩壊地は平坦地で主に発生し、次いで全体の 2 割程度が凸地形

(小)での崩壊であった。凹地形は全体の 5%程度で非常に少なく、一般に崩壊が多いとされる 0 次谷

等ではない箇所で発生する割合が多い傾向が見られた。一方、地震直後の LP データより、地震後に発

生した崩壊地も平坦地が最も多いが、凹地形や谷地形でも同程度の割合で崩壊が発生しており、地震に

よる崩壊地とその後の崩壊地では発生場の特徴に差が見られた。

05

101520253035404550

0-5° 5-10° 10-15° 15-20° 20-25° 25-30° 30-35° 35-40° 40-45° 45°-

崩壊

地数

(個

数)

傾斜度(地震前LP)

H28/4/15-16 H28.4.20 H28.5.31 H28/7/5-24 H28/08

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図 2.9 地震前の LP データによる熊本地震後の崩壊地の曲率

③ 集水面積 地震前 LP データより、地震直後の崩壊は集水面積が 20m2未満となる範囲に多く、全体の 4 割を占め

る。次いで 20-40m2の範囲が全体の 15%程度であった。一方、地震後の崩壊は、集水面積が 20m2以上

となる範囲、特に 20-40m2及び 40-60m2に集中し、地震による崩壊と比較して、やや水が集まりやす

い地形に多い傾向が見られた。

図 2.10 地震直後及び地震後の崩壊地における集水面積の比較

④ 斜面位置 抽出した崩壊地は、全体の 65%程度が地震直後に取得された 4 月 16 日の空中写真で把握した箇所で、

多くがカルデラ壁の上部に位置する「斜面上部」を主な発生源とする。崩壊規模は、100-500m2となる

ものが主体であるが、1,000m2以上の崩壊地も全体の 1 割程度見られた。

05

101520253035404550

凹型(大) 凹型(小) 平坦 凸型(小) 凸型(大)

曲率(地震前LP)

H28/4/15-16 H28.4.20 H28.5.31 H28/7/5-24 H28/08

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0-20m2 20-40m2 40-60m2 60-80m2 80-100m2 100m2-

崩壊

地数

(個

数)

H28/4/15-16 H28.4.20 H28.5.31 H28/7/5-24 H28/08

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図 2.11 斜面位置

2.6.2. 対象地における山地災害のリスク評価

対象地で確認した地震直後及び地震後の崩壊地における山地災害発生場の特徴を表 2.に整理した。表 2.には、地震の影響を受ける前の山地災害発生場の特徴として、平成 24 年北部九州豪雨で発生した立

野地区での崩壊地の地形量等を既往の文献より引用した。 表 2.より、地震直後の対象地では一般に崩壊が起きやすいとされる集水地形に関係なく崩壊が多く発

生していることから、地震による山地災害は地形の影響が小さい。 一方、地震の影響を受けた後の対象地では、その後の降雨により凹地形や集水地形で崩壊が多く、降

雨による山地災害の発生には地形の影響が大きいといえる。ただし、一度地震の影響を受けた土地では、

地震で一度崩壊した箇所や隆起、または土砂が堆積している箇所では、山地災害の発生リスクはより高

くなるといえる。

表 2.10 山地災害発生場の特徴

地形項目 地震による

山地災害

地震後の降雨

による山地災害

降雨による

山地災害※2

傾斜 30°以上 30°以上 25°以上 曲率 平坦 凹地形~平坦 谷壁(凹地形) 集水面積 0-20m2

(集水地形なし) 20m2以上

(集水地形あり) 不明

斜面位置 斜面上部 斜面上部・中部 斜面上部 地震による影響の

有無 - 地震による崩壊地及び

隆起、堆積がある箇所 - ※2 引用:「平成 24 年 7 月九州北部豪雨による阿蘇地域の土砂災害」1

1久保田ら(砂防学会誌/65 巻 (2012) 4 号)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

H28/4/15-16 H28.4.20 H28.5.31 H28/7/5-24 H28/08

崩壊

地数

(個

上部 中部 下部

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3. 山地災害・調査・モニタリング等に活用する手法の検討・提案

豪雨・地震・火山噴火等およびそれらに伴う山地災害の発生後における現地状況の調査や、中長期的

なモニタリングにおいて活用するリモートセンシング技術について検討する。

3.1. 山地災害の調査等に活用可能なリモートセンシング技術に関する情報収集

昨年度は、人工衛星や航空機等を用いたリモートセンシング技術およびその解析手法について、研究

段階のものを含め、各種公表資料等に基づき、山地災害の調査・モニタリング等に活用可能と考えられ

る手法を災害ごとに整理したが、今年度は解析手法ごとに整理し直す。また、収集するリモートセンシ

ング技術の候補として新たに、空中電磁探査による比抵抗法と深層学習を加える。空中電磁探査・比抵

抗法を加えたのは、深層崩壊や無降雨期間崩壊の危険性調査の手法に有力視されていること、深層学習

を加えたのは、中長期のモニタリングを行う際に多数のリモートセンシングデータの解析手法として今

後有力であると考えられるためである。 本概要版では、新たに追加した空中電磁探査・比抵抗法と深層学習について概要を述べる。

3.1.1. 空中電磁探査・比抵抗法

空中電磁探査・比抵抗法は、電磁誘導現象を利用する電磁探査の一つで、ヘリコプターに曳航した電

磁探査機器を用いて地中の電磁場応答を測定することで、広域斜面の比抵抗 3 次元構造を把握する探査

手法である。 比抵抗(単位:Ωm)とは電気抵抗率とも呼ばれる物性値であり、単位体積あたりの岩石の電気抵抗

に相当する。比抵抗は伝導性物質の量に依存し、地盤の間隙率、飽和度、粘土含有量、温度、岩盤強度、

地下水の導電率等と定性的な関係を示す。例えば、間隙率が大きく地下水で飽和した地質ほど、あるい

は粘土が多い地質ほど比抵抗は低く、新鮮で間隙が少ないか、間隙率が大きくても地下水が不飽和な地

質ほど比抵抗は高くなる。 電磁探査機器の送信コイルに交流電流を流すと一次磁場が発生し、この一次磁場が地中を透過する際

に磁束の変化を妨げる(打ち消す)ように誘導電流(渦電流)が流れる。誘導電流による二次磁場の強

さを受信コイルで測定し、一次磁場に対する二次磁場の割合から比抵抗を算出する。

図 3.1 空中電磁探査の概要。(坂井ら, 2016)2

2 阿蘇西麓地熱地帯における空中電磁探査を用いた水理地質構造の推定. 砂防学会誌, 69(1), 20-29

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3.1.1.1. 空中電磁探査・比抵抗法活用事例の収集 空中電磁探査・比抵抗法を活用した事例を収集するにあたって、2014 年以降の砂防学会研究発表会概

要集を中心に、山地災害への適用事例を収集した。収集した文献のうち、紀伊山地を対象としたものに

ついて以下の事項を中心に整理する。 ●調査方法(調査箇所、空中電磁探査の実施、その他検証のための調査等) ●得られた結果(どのような結果が得られたか、その他調査との比較結果はどうか等)

紀伊山地を対象として同グループによる発表が 3 件あり、このうち、田中ら, 2017 と同内容の文献が

平成 29 年度近畿地方整備局研究発表会においても公表されていたため、この文献も収集リスト(表 3.2および 3.3)に含め、これら2つの文献についてはまとめて整理する。 3.1.2. 深層学習

深層学習(ディープラーニング)とは、十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデ

ータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習のことである。

ディープニューラルネットワークでは、中間層を多層にすることで情報伝達と処理を増やし、特徴量の

精度や汎用性を上げること、予測精度を向上させることが可能である。

図 3.15 ディープラーニングの仕組み3

深層学習を利用する際の主なを留意点以下に挙げる 〇ネットワークが構成されるまでに非常に大量のデータが必要であると同時に、そのデータ量に応

じて、及び、ネットワークのサイズに応じてネットワーク作成時の計算に膨大な時間がかかる可

能性がある。 〇学習済みモデルが実務に耐えうる推論精度を出せるようになるまでは、ネットワーク作成を幾度

となく繰り返して推論結果を評価する試行錯誤が必要となる。 〇作成されたネットワーク全体の意味を解釈することができない。

3.1.2.1. 深層学習活用事例の収集 公表されている事例を収集するにあたって、科学技術振興機構の電子ジャーナルの無料公開システム

(J-STAGE)を用いて、「深層学習(ディープラーニング)」とリモートセンシングに関連する単語 (例えば「光学衛星画像」や「SAR 画像」など)をタイトルまたは本文に含む文献を収集した(表 3.5)。収

集した文献のうち、深層学習を山地災害の調査への、あるいは、森林分野へと活用していることに着目

して事例の選別を行った。3.1.2.2 以降に選別した各事例について次の事項を中心に整理する。 ●データセットの作成と深層学習の適用(データ取得方法、データセットの作成に係る手順、デー

タ量等) ●得られた結果(どのような結果が得られたか、結果をどのように評価しているか等)

公表されている事例のほか、2018 年度の日本写真測量学会誌と秋季学術講演会発表論文集から該当す

る事例の調査を行った。

3 LEAPMIND, https://leapmind.io/blog/2017/06/16/

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3.1.2.2. 山地保全への深層学習の適用可能性 深層学習の適用事例として収集した文献について、リモートセンシングデータを深層学習に適用させ

る目的は、画像データからあるクラスに分類する、あるいは、画像データの中からあるクラスに属する

ものを検出するということにほとんど集約できる。また、今年度整理した事例のように山地や森林を対

象としたリモートセンシング技術に対して深層学習の適用は可能である。すなわち、今後の山地保全へ

の深層学習の適用可能性について、例えば、分類先のクラスとして崩壊危険箇所を学習させ、ある地形

を撮影した画像から崩壊危険箇所であるかどうかを判定するということや広域画像から被災域を精度

よく自動抽出するといった適用が考えられる。 3.2. 山地災害の調査・モニタリング等に活用する手法の検討

リモートセンシング技術を用いて、効率的かつ経済的な山地災害の調査・モニタリング等を実施する

手法を検討する。具体的には、治山対策の必要性を検討する事前調査の段階や、治山施設の効果を確認

する調査の段階でのリモートセンシング技術の利活用手法について検討を行った。 検討に際しては、単独のリモートセンシング技術で活用できるもの、複数の技術を組み合わせること

によって活用できるもの、今後有効性が期待されるものの現時点では活用が困難と考えられるものにつ

いて検討を行った。 また検討にあたっては、直轄地すべり事業を実施している地区において、今年度実施している現地観

測データを用いて、現地観測データから得られる情報とリモートセンシング技術から得られる情報とを

比較し、利活用の可能性について考察する。

3.2.1. リモートセンシング技術を用いた山地災害の調査・モニタリング手法の検討

中分解能(10m~30m)の衛星画像を用いて、定期的に流域の状況を比較することで、山腹崩壊等を

対象として森林⇔裸地の変化をモニタリングし、流域の中長期的な変化の把握手法を提案した。 3.2.1.1. 検討地区の概要 平成 29 年 7 月九州北部豪雨の規模および特徴と災害時の森林や保全対象に対する影響を整理した。

3.2.1.2. モニタリング方法 定期的な中長期のモニタリング手法として定期的に観測がされている、中分解能(10~30m)の光学

衛星画像を用いたモニタリングを試行する。用いた衛星は Landsat-8(30m の可視・近赤外マルチスペ

クトルと 15m のパンクロ)である。同じ場所に戻ってくる回帰周期は、16 日である。 2013 年~2018 年の Landsat-8 画像を用いて、前年度と比較して変化した箇所を判読し、山腹崩壊や

森林伐採などの人工改変箇所を抽出できることが確認できた。しかし、周辺の地物との違いを 1 箇所ご

とに判読するには手間と時間を必要とする。そこで、変化を判読し易くする手法と変化域を自動抽出す

る手法について検討した。

3.2.2. 直轄地すべり対策事業を実施している地区における検討

直轄地すべり事業を実施している岩手県磐井川地区において、平成 27 年度から平成 30 年度までの現

地観測データを用いて、現地観測データから得られる情報と国土地理院が実施している合成開口レーダ

ーの差分干渉解析(以下「InSAR」と称する)結果のうち、地理院地図などにより一般に公開されてい

る画像から得られる情報とを比較し、利活用の可能性について考察した。

3.2.2.1. 直轄地すべり対策事業実施地区の概要 検討対象となる直轄地すべり防止事業区域は、磐井川地区直轄地すべり防止事業区域である。当該区

域は、岩手県一関市厳美町に位置し一級水系北上川の右支川磐井川の支流産女川・ニゴリ沢・井戸沢流

域にまたがっている。地すべり防止事業の事業面積は、産女川地すべり防止区域 677ha、ニゴリ沢地す

べり防止区域 104ha、井戸沢地すべり防止区域 440ha、岡山地区地すべり防止区域 278ha である。

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20

3.2.2.2. 現地観測データの整理 平成 27(2015)年~平成 30(2018)年の産女川区域、ニゴリ沢区域、岡山区域の現地観測データを収集し

た。干渉 SAR と各種地上観測期間の一覧表を作成した。収集した InSAR 解析結果は、地表面変位を検

知することから、地上観測のうち、地すべりの変位を観測する計測器のデータ取得期間を整理した。

3.2.2.3. 検討対象地区周辺降水量データ収集整理 現地観測データ収集期間と同時期の降水量データを収集し時系列のグラフを作成した。収集したのは、

気象庁の祭畤 AMeDAS 観測所(東経 140°51.9′、北緯 39°0.7′)の平成 27 年 1 月 1 日~平成 30年 12 月 31 日の降水量である。

3.2.2.4. 国土地理院差分干渉 SAR データ(InSAR)収集整理 国土地理院では、日本全域を対象として InSAR(JAXA の ALOS/PALSR および ALOS-2/PALSAR-2)

の解析を定常的に行っている。これらのうち地盤沈下、地すべりによる地盤変動や火山活動による地殻

変動が一部地理院地図を通じて一般に公開されている。すべての InSAR 処理結果は、指定行政機関等

公共機関を対象にアクセスを許可がされており、一般に見ることはできない。今回は、一般に誰でもア

クセスできる地理院地図から栗駒山(火山活動による地殻変動監視)の結果を収集し判読結果を整理し

た。

図 3. 39 収集した InSAR の範囲(黄色:地すべり防止区域、青囲:干渉 SAR 範囲)

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表 3. 1 収集した InSAR の組み合わせ4

表 3. 2 InSAR 画像判読結果一覧表 番号 判読結果

1 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。全体的にほとんど変化がない。

2 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

3 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

4 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。全体的にほとんど変化がない。

5 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

6 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

7 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は地形の影響によるものと考えられる。

8 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

9 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。

10 InSAR 画像から地すべり防止事業区域内に地表変動を示す区域は判読でき

ない。色調の変化は水蒸気の影響によるものと考えられる。一部干渉して

いない範囲(例えば左上)が確認される。

判読結果について第 2 回の検討会で報告し、下記のようなコメントを得ている。 森林地区における干渉画像として干渉性が高い良好な解析画像が得られている。 この期間において InSAR 解析結果から地すべり防止区域内で地すべり等地表変動を示す区域は判

読できないという判読結果でよいだろう。 地すべり防止区域外ではあるが、井戸沢川と産女川の間に変位が疑われる箇所がある。他の画像と

4 観測方向の DR、AR の D は南行軌道で観測したことを示し、A は北行軌道で観測したことを示す。R は衛星の移動方

向から見て右側に向かってレーダーを照射する観測を表す。

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比較して干渉解析時のエラーとは考えにくい。 得られたコメントを総合すると、干渉性の良好な画像が得られており、この画像で変位を示す箇所が

判読されなかったことから、干渉画像の期間、地すべり防止区域内に地表の変動を示す結果は得られな

かったと解してよいと考えられる。

3.2.2.5. 光学画像による土砂移動の検討 InSAR 画像の判読結果から、地すべり防止区域内においては地すべり変状を示す変位が確認されなか

った。しかしながら、地すべり防止区域外ではあるが、井戸沢川と産女川の間に変位が疑われる箇所を

検討会で指摘されたことから、この箇所について光学衛星画像を用いて InSAR 画像で変位が疑われる

箇所について検討を行った。 InSAR 画像において特に顕著な変化箇所が判読された期間とほぼ同時期に撮影された光学衛星画像

(Sentinel-2)を比較したが、特に明瞭な森林伐採や人工改変および山腹崩壊は確認されなかった。

InSAR 画像から考えられる原因としては、局所的な水蒸気の擾乱が発生していた可能性がある。いずれ

にせよ、画像解析、判読の結果からは山腹崩壊や地すべり等山地災害による変状によるものとは考えに

くい。 3.2.2.6. 地上観測データの整理 収集した InSAR からは地表面の変位を示す箇所は判読されなかった。また、今回整理した期間の地上

観測において、地すべりによる変位と判断される変化は記録されていない。 これらのことから、地上観測および InSAR の両面から判断して、当該地区において地すべりによる変

位は起こっていないものと判断される。 3.2.2.7. InSAR 技術の利活用方法と今後の見通し 今回用いた InSAR の手法は二時期の画像による InSAR であるが、この他に時系列 InSAR による土

地変状解析技術がある。この代表的な手法として SBAS(Small BAselineSubset method)と PSInSAR(Permanent Scatterers InSAR)がある。SBAS については、平成 28 年度に九州森林管理局、四国

森林管理局、近畿・中国森林管理局で実施された。5 一方、PSInSAR は、長期にわたってコヒーレンスが低下せず、安定した信号を反射する散乱体(点)

を対象に時系列 InSAR の解析結果を抽出し、各点における時系列の変位、積算変化の空間分布などを

算出することにより、より確度の高い変位情報を得ることができる手法である。さらに、研究レベル

では、SBAS で検討された組み合わせを用いた PSInSAR が提案されている。 しかしながら、一般に森林域において、多くの安定した信号を反射する散乱体を取得することが困難

であることから、現状で PSInSAR を地すべりのモニタリングに導入することは困難と考えられる。

安価で劣化せず土地利用に支障を与えない程度の大きさの散乱体を開発する動きがあり、今後適用可

能性が拡がることが期待される。

3.3. 山地災害の調査・モニタリング等に活用する手法の提案

これまでの検討を踏まえ、定期的に、または地震や豪雨後に大きな変状が発生していないかなどを、

効率的かつ経済的に調査・モニタリングする手法を提案する。

3.3.1. 定期的な山地流域の調査・モニタリング手法に関する検討

国有林においては、原則として 5 年に 1 度治山流域調査が行われている。その概査として「3.2.1.リモ

ートセンシング技術を用いた山地災害の調査・モニタリング手法の検討」の項で検討した中分解能の光

学衛星画像を利用した変化域の抽出が有効と考えられる。 まず、このような広域の状況を効率的に把握できる手法を用いて、変化が生じた箇所あるいはその恐

れがある範囲を特定し、現地調査および UAV による詳細な調査に移行し情報の蓄積を図ることが重要

5 平成 29 年度山地保全調査業務報告書 P.83~

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23

である。現地調査の結果は、要調査個所を特定した光学衛星画像判読の結果にフィードバックして、判

読結果の正誤やその原因分析を行うことで判読技術、精度の向上につながる。

3.3.2. 地震や豪雨後の調査・モニタリング手法に関する検討

降雨による災害は、気象庁の気象警報などにより災害発生のリスクの変化に関する情報を時空間的に

得ることができる。 前者は、大雨に関する予警報、土砂災害警戒情報や特別警報という定性的な情報に加え、気象庁のホ

ームページから高解像度降水ナウキャスト、降水短時間予報、土砂災害警戒判定メッシュ情報、大雨警

報(浸水害)の危険度分布、洪水警報の危険度分布を https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/で市町村

単位まで拡大して情報を収集することができる。 後者は、10 分ごとに更新される AMeDAS 観測データの日降水量、1 時間降水量、3 時間降水量、6

時間降水量、12 時間降水量、48 時間降水量および 72 時間降水量を

https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/pre_rct/index24_rct.html で観測所名が分かる範囲ま

で拡大して情報を収集することができる。この際、観測履歴の更新があった観測所にが付され注意を喚

起する。長期降雨(72 時間)、短期降雨(1 時間)の分布状況などから、山腹崩壊が発生している恐れ

のある範囲を特定し、ヘリ調査あるいは合成開口レーダー等人工衛星による広域の調査を立案する。 現在、JAXA では災害時の ALOS-2/PALSAR-2 による合成開口レーダーの緊急観測を行っている。

この体制は、12 時、0 時に撮影機会のある ALOS-2 を用いて、上空を通過する 2 時間前までに指定行

政機関からの緊急観測要請の調整を行い、観測後 1 時間で解析画像、2 時間で災害速報図を提供してい

る。夜間、悪天候の初動時には有効な手法である。 これらの検討を踏まえ、定期的な山地流域の調査・モニタリングフロー、降雨・地震時の対応(初動

時)フローを検討した。

4. 山地災害発生時の対応にリモートセンシング技術を用いたモデルケースの構築 既往の災害を題材として、最新のリモートセンシング技術を用いた場合の具体の対応を示したモデル

ケースを構築する。 既往の災害として下記の災害を題材としてモデルケースを構築する。

①平成 29 年九州北部豪雨災害 ②平成 30 年 7 月豪雨災害 ③平成 30 年北海道胆振東部地震災害

上記災害を対象として、災害当日から数日間の関係機関の初動におけるリモートセンシング技術の活

用状況について整理するとともに、各調査事例を収集整理した。

4.1. 既往の災害におけるリモートセンシング技術の活用状況

4.1.1. 平成 29 年九州北部豪雨災害

(省略) 4.1.2. 平成 30 年西日本豪雨災害

(省略) 4.1.3. 平成 30 年北海道胆振東部地震

(省略) 4.2. モデルケースとリモートセンシング技術を活用した実施案の提案

収集整理した結果を踏まえ平常時および災害対応の初動におけるモデルケースを検討し、モデルケー

スにおける手順と留意事項を整理するとともに、外注により調査を行う事項について仕様書の試案を作

成した。

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24

図 4.26 モデルケースの基本形

4.2.1. 災害事前状況の把握

このフェーズは、通常時の所管範囲のモニタリングを想定している。例えば、治山流域調査における

管内の概査を目的としている。概ね 5 年に一度実施される治山流域調査において、過去 5 年間を対象と

して、所管範囲における植生等の変化に着目して、崩壊地、荒廃林地等を抽出し流域の概要を把握する

とともに、現地調査・UAV 調査等による詳細調査個所の選定を行う。 このフェーズは、以下の項目からなり②は職員による調査、あるいは治山流域調査による実施を想定

するのでここでは省略する。①について仕様書の試案を作成する。 ① 光学リモートセンシングによる概査、崩壊地、荒廃林地の抽出変化の監視 ② 崩壊地、荒廃林地における現地調査・UAV 調査による詳細調査

4.2.1.1. 光学衛星画像を用いた時系列変化情報の収集業務仕様書の試案の検討 光学衛星画像を用いた時系列変化情報の収集業務仕様書の試案を以下に示す。

光学衛星画像を用いた時系列変化情報の収集業務(仮)

1. 業務目的 (略)

2. 業務内容 本業務は、衛星画像収集、衛星画像解析、解析結果の分析・・・からなる。

(1) 山地災害の誘因となる事象に関する資料収集 発注者が指定する期間を対象に業務履行地区を含む範囲において、気象庁、防

災科学研究所、国土交通省等がオンラインで公表している降水量データ、震度

分布情報、気象予警報の情報を収集整理し、衛星画像解析結果により得られる

変化箇所の分析を行う基礎資料を作成する。 解析結果と比較検討ができるよう収集した資料から GIS データを作成するも

のとする。 (2) 衛星画像収集

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(1)-1 発注者が指定する期間を対象に、業務履行地区を含む範囲が観測さ

れた衛星画像のサムネイル画像を取得し、検討対象範囲が良好に判読でき

る画像を選定する。候補の選定にあたっては、できるだけ同じ季節の雲の

少ない画像を選ぶこととし、複数機会の画像が抽出できる場合は、隔年で

同じ季節の画像比較ができない場合に代替する候補としてリストに挙げ

る。上記資料をもとに発注者と協議の上、時系列変化を判読する画像を決

定する。 (1)-2 USGS の EarthExplorer(https://earthexplorer.usgs.gov/)から(2)-1

で特定した画像を入手する。Landsat-8 はオンデマンドで提供される大気

補正、反射率変換された C1 Level-2 画像を用いることを基本とするが、

これによらない場合および Sentinel-2 画像を用いる場合は、大気補正、反

射率の変換に使用するソフトウェアとそのバージョン、モデル名を報告書

に記載するものとする 。 (3) 衛星画像解析

(3)-1 入手した画像データから、カラー画像と NDVI 画像を作成する。 (3)-2 NDVI 画像から基準画像(観測日の古い画像)と比較画像(観測日

の新しい画像)を比較判読し、変化のあった箇所を抽出する。変化を判読

し易くするために、RGB 合成(基準画像:Red、比較画像:Green、比較

画像:Blue)を作成してもよい。 変化箇所抽出の自動処理を行う場合は、アルゴリズムのフローを明示する

こと。 (3)-3 変化抽出箇所は、ポリゴンで出力しシェープファイル(GIS ソフト

で操作が可能なファイル形式)、kmz ファイル(GoogleEarth で操作が可

能なファイル形式)で出力するものとする。 (4) 解析結果の分析

(3)-2 で抽出した変化箇所について、(3)-1 で作成したカラー合成画像と判読

に使用した同じ範囲の画像を並記して、ア)変化が森林伐採によるもの、イ)

土砂移動による裸地化によるもの、ウ)人工改変による変化、およびエ)その

他に分類する。 変化の自動抽出を行った場合、その性能(変化域の大きさ、変化の種類、地

形量など)について検証し、抽出限界としてまとめること。 また、抽出された変化と(1)で収集整理した誘因の情報を比較検討して、誘因

との関係を分析する。 (5) 報告書

(1)~(4)の結果を取りまとめ報告書を作成する。 (6) 納品物

〇報告書 (略) 〇解析結果 以下を電子データで納品する

・カラー合成画像ファイル(GeoTiff 形式)……… 一式 ・NDVI 画像ファイル(GeoTiff 形式)…………… 一式 ・変化抽出箇所ファイル(ポリゴンで出力したシェープファイル (GIS ソフトで操作が可能なファイル形式)……… 一式 ・kmz ファイル(GoogleEarth で操作が可能なファイル形式))… 一式

なお、ダウンロードしたオリジナルの画像ファイルは含めてはならない。

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4.2.2. 災害時の状況把握

このフェーズは、災害時の所管範囲の初期の概要把握を想定している。 ここでは、リモートセンシング技術の活用する前段として、所管範囲のどこを対象として調査を計画

するかを検討する時点から本フェーズを始めている。 このフェーズは、以下の項目からなる。

①災害トリガーとなる気象・地象データによる山腹崩壊発生危険性の高い範囲の把握 ②危険性の高い範囲における JAXA への緊急観測要請 ③JAXA への緊急観測結果の判読 ④気象・地象データおよび緊急観測結果を踏まえたヘリ調査計画 ⑤ヘリ調査の実施 ⑥ルート確保が可能で規模が大きな山腹崩壊・地すべり等箇所における UAV・現地調査

対象範囲を絞る方法について、すでに災害対策計画等により手順が明確化されていると推察されるこ

とから、本フェーズを包括的に実施する災害協定と③について仕様書の試案を作成する。 4.2.2.1. 災害等応急対策業務に関する基本協定説明書の試案の検討

災害等応急対策業務に関する基本協定説明書の試案を以下に示す。

技 術 資 料 等 説 明 書(試案)

平成@@年度 @@管内災害等応急対策業務に関する基本協定の締結については、関

係法令に定めるもののほか、この技術資料等説明書によるものとする。

1. 公告日 平成@@年@@月@@日 2. 公告者 林野庁@@森林管理局 @@森林管理署 @@ @@

@@県@@市@@@

3. 基本協定の概要等 1) 基本協定の目的

平成@@年度 @@管内災害等応急対策業務に関する基本協定(以下「本協定」

という。)は、 林野庁@@森林管理局 @@森林管理署(以下「当管理署」とい

う。)が管理する国有林等において、治山施設や森林の山腹崩壊等の災害等が発

生、若しくは発生が予測される場合に備え、あらかじめ実施業者を定め協定を

締結することにより、災害等の応急対策工事等を迅速に実施するための体制を

確立し、被害施設等の早期発見、応急復旧及び被害の拡大防止に資することを

目的とするものである。 本協定で各業者と締結する区間は、3.(2)の基本協定締結区間と同一の範囲(表(1

~ 1 0))とするが、@@森林管理局災害対策本部等からの依頼により@@森林管

理署管理国有林以外(他の森林管理署、他の森林管理局、地方自治体)において

災害支援を行う場合がある。 ※災害等とは、災害や交通事故等の通行に支障となる事象等をいい、緊急に対応

する必要がある事象をいう。 2) 基本協定区間及び協定対象業者数等 本協定の対象は、測量・設計等部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影)、地質

調査部門(地質調査・解析)、航空写真撮影部門とし、内容は下記のとおりとする。 ○測量・設計等部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影)

・・・・・当管理署が管理する国有林等において発生した災害対策の点検・調査・

測量・設計・UAV 撮影等

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○地質調査部門(地質調査・解析) ・・・・・当管理署が管理する国有林等において発生した災害対策の地質 調査

及び解析等 ○航空写真撮影部門

・・・・・当管理署が管理する国有林等において発生した災害対策に関する航空

写真撮影等 公募する協定締結区間及びその協定締結業者数は、下記の表(1~10)のとおりと

する。 (表1) 測量・設計部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影)

国有林地区名 基本協定締結範囲 面積 業者数 備考

@社程度

(表2) 地質調査部門(地質調査・解析)

国有林地区名 基本協定締結範囲 面積 業者数 備考

@社程度

(表3) 航空写真撮影部門

国有林地区名 基本協定締結範囲 面積 業者数 備考

@社程度

3) 協定締結期間 平成@@年@月@日(予定) ~ 平成@@年@月@@日

4) 本協定締結後の業務の請負契約 ① 本協定締結後に災害等が発生した場合で、当管理署が業務を実施する必要が

あると判断した場合 は、本協定を締結した業者(以下「協定業者」という。)の

中から業務を実施する協定業者を決定し、 出動の要請を行い、あわせて両者は業

務の請負契約を速やかに締結するものとする。ただし、基本協定における業務の

実施範囲において、震度@以上の地震が発生した場合、出動の要請を待たず直ち

に出動するものとする。 ② 業務の実施に当たっては、関係法令等を遵守するものとする。ただし、本協

定を締結した場合ででも災害等の発生がなかった場合は、業務は行わない。 4. 参加資格要件

(1) 予算決算及び会計令(昭和 22 年勅令第 165 号)(以下「予決令」という。) 第70 条及び第 7 1 条の規定に該当しない者であること。なお、参加する者が未成年

者、被保佐人又は被補助者であって、契約締結のために必要な同意を得ているも

のである場合は、同条の特別の理由がある場合に該当する。

(2) 会社更生法(平成 14 年法律第 154 号)に基づき更生手続開始の申立てがなされ

ている者、又 は民事再生法(平成 11 年法律第 225 号)に基づき再生手続開始の

申立てがなされている者については、手続開始の決定後、当該森林管理局長が別

に定める手続に基づく一般競争参加資格の再認定を受けていること。 また、会社更生法に基づき更生手続開始の申立てがなされている者、又は民事再

生法に基づき再生手続開始の申立てがなされている者(上記の再認定を受けた者

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を除く。)でないこと。

(3) 協定締結参加資格確認申請書(以下「申請書」という。)及び技術資料の提出期

限の日から協定業者決定の時までの期間に、@@森林管理局長から工事請負契約

に係る指名停止等の措置要領(昭和 @@年@@月@@日付け林野庁@第@@号)

に基づく指名停止を受けていないこと。

(4) 警察当局から、暴力団員が実質的に経営を支配する建設業者又、はこれに準ずる

ものとして、林野庁発注工事等からの排除要請があり、当該状態が継続している

者でないこと。

(5) 競争参加資格の認定等 1) 測量・設計等部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影) 2) 地質調査部門(地質調査・解析) 3) 航空写真撮影部門

(6) 本店等の所在地について、下記のとおりとする。 ○測量・設計等部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影) @@県内(対象となる国有林が存する都道府県)に本店又は支店等営業所(一般競

争(指名競争)参加資格審査申請書に記載された本店又は支店等営業所の住所によ

る。)を有していること。

○地質調査部門(地質調査・解析) @@県内(対象となる国有林が存する都道府県)に本店又は支店等営業所(一般競

争(指名競争)参加資格審査申請書に記載された本店又は支店等営業所の住所によ

る。)を有していること。

○航空写真撮影部門 @@森林管理局管内の内、@@県、@@県、@@県内(対象となる国有林が存する

都道府県) に本店又は支店等営業所(一般競争(指名競争)参加資格審査申請書に

記載された本店又は支店等営業所の住所による。)を有していること。

(7) 本協定に基づく請負契約を取り交わす時点において、法定外労働災害補償制度に

加入していること。当補償制度については、元請・下請を問わず補償できる保険

であること。なお、法定外労働災 害補償には、工事現場単位で臨時に加入する

方式と、直前 1 年間の完成工事高により掛金を算出し 保険期間内の工事を保険

対象とする方式とがあるが、いずれの方式であっても差し支えない。 (8) 測量・設計等部門、地質調査部門、航空写真撮影部門においては、@@県内(対

象となる国有林が存する都道府県)おいて、平成 16 年 4 月 1 日以降に国、県、

市、公団が発注した道路又は河川に関する測量・設計業務、地質調査業務、又は

航空写真撮影業務の実績があること。

(9) 測量・設計等部門、地質調査部門、航空写真撮影部門においては、@@森林管理

局の発注した道路、河川に関する測量・設計業務、地質調査業務、又は航空写真

撮影業務のうち、平成 16 年 4 月 1 日以降に完成した業務の実績がある場合にお

いては、当該業務に係る業務成績評定表の評定点の平均が 60 点以上であること。

(10) 測量・設計等部門、地質調査部門、航空写真撮影部門においては、緊急業務に対

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応する体制として、下記の在勤者を早急に対応させることができること。

1) 測量・設計等部門(点検・調査・測量・設計・UAV 撮影) ○測量士 1 名以上、測量士補含め総計が 5 名以上。 ◯UAV 撮影においては、有資格者 1 名以上。 ○下記のいずれかの資格を有する者が 1 名以上 ・技術士(総合技術監理部門(業務に該当する選択科目)又は業務に該当する部

門)又は、これと同等の能力と経験を有する技術者 ・シビルコンサルティングマネージャ(RCCM(業務に該当する部門)) ・林業技士(業務に該当する部門)

2) 地質調査部門(地質調査・解析) ○下記のいずれかの資格を有する者が 1 名以上 ・技術士(総合技術監理部門(森林関連科目、応用理学-地質)、森林部門、応用

理学部門(地質)) ・シビルコンサルティングマネージャ(RCCM(業務に該当する部門)) ・林業技士(業務に該当する部門)

3) 航空写真撮影部門 ○測量士 1 名以上

5. 協定締結参加資格の確認等 (1) 本協定締結の参加希望者は、希望する部門及び、4.に掲げる参加資格要件を

有することを証明するため、次に掲げるところにより申請書及び技術資料を

提出し、参加資格の有無についての確認を受けなければならない。 なお、期限までに申請書及び技術資料を提出しない者並びに参加資格要件が

ないと認められた者は、本協定締結に参加することがでない。 1 提出期間:平成@@年@@月@日(@)から平成@@年@@月@@日(@)まで

の土曜日、日曜日及び祝日を除く毎日、8 時 30 分から 17 時 15 分ま

で。 2 提出場所:公告者の住所・連絡先・所属 3 提出方法:持参又は郵送等(郵送は書留郵便に限る。提出期間内に必着。)に

より提出する。

(2) 参加資格の確認は、申請書及び技術資料の提出期限の日をもって行う。 6. 非特定理由の説明

(1) 特定しなかった旨の通知を受けた業者は、当事務所に対して非特定理由につい

て、次に従い書面にて説明を求めることができる。(様式は自由とする。) 1 提出期限: 2 提出場所:上記 5.(1)2 に同じ。 3 提出方法:FAX 又は持参、郵送等(郵送は書留郵便に限る。提出期間内に必着。)

により提出。 (注)FAX 提出の場合は、上記 5.(1)2 へ電話で確認すること。

(2) 当森林管理署は、説明を求められたときは、平成@@年@@月@@日(@)まで

に説明を求めた者に対し、書面により回答する。 7. 申請書、技術資料の作成要領及び留意事項

測量・設計等部門、地質調査部門、航空写真撮影部門

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記載事項 内容に関する留意事項 (1) 申請書

[様式 1] ①申請書は、別記様式 1 により作成すること。会社の代表印

を押印すること。 (2)業務実績等

[様式 2] ①資格があると判断できる近隣地域内の業務実績を別記様式

2 に記載すること。 ②別記様式 2 に記載された内容等により評価する。 ③記載する業務実績の件数

測量・設計等部門は、設計業務、測量業務各 1 件の併せて

2 件でよい。 1 件で設計業務と測量業務の実績が確認でき

る場合は 1 件でよい。 地質調査部門、航空写真撮影部門は、 実績が確認できる 1件でよい。

④契約図書等の写し 上記の業務実績として記載した業務に係る財団法人日本建

設情報総合センター「業務実績情報システム」(以下、テク

リス)の業務カルテの写しを 添付すること。 ただし、当該業務が、テクリスに登録されていない場合は

契約書の写しを提出すること。 なお、テクリスに登録されている場合でも上記に示した内

容が判断でき ない場合、またはテクリスに登録されていな

い場合には、上記に示した内容を判断できる契約図書等の

写しも併せて提出すること。

(3)保有技術者 [様式 3]

①技術者保有に基づく信頼度 別記様式 3 に企業が雇用して

いる下記の資格を有している人数を記載する。 ・技術士(総合技術監理部門(業務に該当する選択科目)

又は業務に該当する部門) ・シビルコンサルティングマネージャ(RCCM(業務に該当

する部門)) ・林業技士(業務に該当する部門) ・測量士及び測量士補

8. 評価に関する事項等

測量・設計等部門 評価の着目点 評価

企業の

業務実

績等

部 門 登

録 業者登録の状

況 【A】 【B】

左記以外 近 隣 地

域 内 業

務 の 実

対象区域内に

おける過去 15年間の業務実

【A】 @@森林管理局

の発注する測

量・設計業務の実

績がある

【B】 県、市町村、公団

の発注する測量・

設計業務の実績が

ある

【C】 左記以外

地 域 特

性 の 把

業務依頼対象

地域における

本店等の有無

【A】 測量・設計業務に

おいては、業務依

頼対象地域に本

店がある。

【B】 測量・設計業務に

おいては、業務依

頼対象地域に支

店、営業所がある。

【C】 左記以外

技 術 者

保 有 に

基 づ く

信頼度

災害発生等緊

急時に早急な

対応ができる

技 術 士 又 は

RCCM 又は林

業技士の人数

【A】 技術士[総合技術

監理部門(業務関

連科目)、業務に該

当する部門]のい

ずれかの資格を

有する者を 1名以

【B】 RCCM(業務に該当

する部門)又は林業

技士(業務に該当す

る部門)のいずれか

の資格を有する者

を 1 名以上

【C】 左記に該当しな

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上 災害発生等緊

急時に早急な

対応ができる

測量士と測量

士補の人数

【A】 測量士を 5名以上

【B】 測量士(1 名以上)+

測量士補で 5 名以

【C】 左記に該当しな

業 務 成

績 @@森林管理

局(過去 15 ヵ 年度 + 当該年

度 ) の設計業

務の平均点(直轄の実績がな

い場 合、又は

評定通 知を受

けていない場

合は 60 点)

【A】 75 点以上

【B】 70 点以上 75 点未満

【−】 60 点以上 70 点未満

地質調査部門(地質調査・解析)

評価の着目点 評価 企 業 の

業 務 実

績等

部 門 登

録 業者登録の状

況 【A】 【B】

左記以外 近 隣 地

域 内 業

務 の 実

対象区域内に

おける過去 15年間の業務実

【A】 @@森林管理局

の発注する地質

調査業務(地質

調査・解析)の実

績がある

【B】 県、市町村、公団

の発注する地質

調査業務(地質調

査・解析)の実績

がある

【C】 左記以外

地 域 特

性 の 把

業務依頼対象

地域における

本店等の有無

【A】 地質調査業務(地

質調査・解析)においては、業務

依頼対象地域に

本店がある。

【B】 地質調査業務(地

質調査・解析)にお

いては、業務依頼

対象地域に支店、

営業所がある。

【C】 左記以外

技 術 者

保 有 に

基 づ く

信頼度

災害発生等緊

急時に早急な

対応ができる

技 術 士 又 は

RCCM 又は林業

技士の人数

【A】 技術士[総合技術

監理部門(業務関

連科目)、業務に

該当する部門]のいずれかの資格

を有する者を 1名以上

【B】 RCCM(業務に該当

する部門)又は林

業技士(業務に該

当する部門)のい

ずれかの資格を有

する者を 1 名以上

【C】 左記に該当しない

業 務 成

績 @@森林管理

局(過去 15 ヵ 年度 + 当該年

度 ) の設計業

務の平均点(直轄の実績がな

い場 合、又は

評定通 知を受

けていない場

合は 60 点)

【A】 75 点以上

【B】 70 点以上 75 点未満

【−】 60 点以上 70 点未満

航空写真撮影部門

評価の着目点 評価 企 業 の

業 務 実

績等

部 門 登

録 業者登録の状

況 【A】 49 【B】

50 左記以外 近 隣 地 対象区域内に 【A】 【B】 【C】

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域 内 業

務 の 実

おける過去 15年間の業務実

対象区域内で、

@@森林管理局

の発注する測量

業務の実績があ

対象区域内で、県、

市町村、公団の発

注する測量業務の

実績がある

左記以外

地 域 特

性 の 把

業務依頼対象

地域における

本店等の有無

【A】 業務依頼対象地

域に本店があ

る。

【B】 業務依頼対象地域

に支店、営業所が

ある。

【C】 左記以外

技 術 者

保 有 に

基 づ く

信頼度

災害発生等緊

急時に早急な

対応ができる

測量士と測量

士補

【A】 測量士を 1 名以上

【C】 左記に該当しない

業 務 成

績 @@森林管理

局(過去 15 ヵ 年度 + 当該年

度 ) の設計業

務の平均点(直轄の実績がな

い場 合、又は

評定通 知を受

けていない場

合は 60 点)

【A】 75 点以上

【B】 70 点以上 75 点未満

【−】 60 点以上 70 点未満

※測量・設計等部門、地質調査部門(地質調査・解析)、流量検討・河道計画検討等部門、航空

写真撮影 部門の選定方式 ①A 評価の多いものを優先して評価する。A が同数の場合、B 評価の数を優先して評

価する。 ②C 評価があれば非選定とする。 ③A 及び B が同数の場合は、企業の業務成績順(過去 5 ヵ年度及び当該年度の平均)に順位付けする。

業務成績も同点である場合は有資格者名簿の上位順とする。

9. 面接(ヒアリング)について 提出された技術資料に疑義がある場合又は技術力の確認等が必要となった場合に

は、ヒアリングを 実施する。ヒアリングの対象者は提出された配置予定技術者の

うち代表者 1 名とする。 ① 日 時:ヒアリング日時は、必要に応じて連絡する。 ② 場 所:ヒアリング、当事務所又は電話において行う。 ③ 内 容:提出資料に基づき、質疑を行う。

10. 本基本協定に関する手続等

(1) 各部門の担当部局は、下記のとおり。 (2) 技術資料等説明書の交付期間、方法

①交付期間: ②交付方法:

11. 技術資料等説明書に対する質問 (1) この技術資料等説明書に対する質問がある場合においては、次により提出す

ること。 ①提出期間 ②提出場所 ③提出方法

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33

(2) 上記(1)の質問に対する回答は、質問のあった日から 2 日以内に行う。

本協定締結業者の決定及び通知 (1) 本協定の締結業者については、技術資料及び上記 9.ヒアリングに基づき決定

する。 その結果は、平成@@年@@月@@日(@)までに FAX にて通知し、その後郵送に

て送付する。 12. その他

(1) 申請書及び技術資料の作成及び提出に係る費用は、提出者の負担とする。 (2) 当森林管理署は、提出された申請書及び技術資料を、競争参加資格の確認以外

に提出者に無断で使用しない。 (3) 提出された申請書及び技術資料は、返却しない。 (4) 提出期間以降における申請書又は技術資料の差し替え及び再提出は認めない。 (5) 本協定において重複して選定された際は、履行の実効性を確認する場合があ

る。 (6) 技術資料の評価は、@@森林管理署の職員が行う。 (7) 公告に示した参加資格のない者が提出した申請書等、及び虚偽の記載をした者

は決定を取り消す。

4.2.2.2. JAXA の緊急観測結果判読業務仕様書の試案の検討

(本編 P.135~) 以下に JAXA の緊急観測結果判読業務仕様書の試案を示す。

緊急観測画像の判読業務(仮)

1. 業務目的

本業務は、JAXA から提供される緊急観測画像を判読して、山地災害箇所の把握

を行い、緊急調査の実施計画立案のための基礎情報を得ることを目的として実施

するものである。 2. 業務内容

本業務は、発注者が JAXA に緊急観測要請を行うことを想定し、山地災害の誘

因となる気象・地象情報の収集整理、JAXA から提供された緊急観測画像の判読

と判読結果を用いた資料の作成および業務履行期間に発生し資料を作成した災害

に関する分析から構成される。 (1)山地災害の誘因となる気象・地象の収集整理 発注者の指示により、気象庁、防災科学研究所、国土交通省等がオンラインで

公表している降水量データ、震度分布情報、気象予警報の情報を収集整理し、発

注者が JAXA に緊急観測要請を行う範囲を特定するため、山地災害の恐れのある

範囲が分かる資料を作成する。資料は市町村単位で空間分布が確認できるよう作

成するものとする。 資料の提出は、発注者の指示から 1 時間以内とし、発注者は JAXA への緊急観

測要請の期限を踏まえて余裕をもって作業指示を行うものとする。

(2)JAXA から提供された緊急観測画像の判読 JAXA から提供された緊急観測画像を判読し、発注者から指示された範囲に山

地災害の恐れのある土砂移動箇所を抽出する。抽出作業は GIS ソフトで行い、抽

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出箇所をポリゴンデータで保存するものとする。判読にあたっては、参考資料(図

3. 36 NDVI カラー合成画像の見え方と地表の変化イメージ図)に示す変化範囲を

抽出し、その後 SAR の緊急観測と直近の光学衛星画像(例えば Landsat-8、Sentinel-2)と比較し、森林伐採や人工改変による箇所を取り除くものとする。

(3)判読結果の説明資料の作成

(2)で判読抽出した結果の説明資料を作成する。 1. 全体図・・判読範囲全体の緊急観測画像に抽出された変化域を記入した位

置図 2. 箇所図・・判読抽出した箇所ごとに光学衛星画像、緊急観測画像を切り出

し1ページに併記する。各箇所ごとに判読抽出した理由をコメント

する。 説明資料の提出は、緊急観測画像の受け取りから 6 時間以内とし、6 時間を超

えて作業は実施しない。単体変化箇所は個別に抽出、集中域は範囲で抽出する

など適宜工夫を行い、極力判読抽出漏れを防ぐ工夫を行うものとする。

(4) 資料を作成した災害に関する分析 緊急観測画像の判読を実施した災害について、発注者から現地調査資料等の提

供を受けて、判読抽出漏れや過剰抽出などの誤判読、的確だった判読抽出結果

について分析を行い、次年度以降の判読抽出における留意点をとりまとめる。

(5)報告書作成 (1)~(4)までの検討結果をとりまとめる。

4.2.2.3. 災害直後の変化把握業務の仕様書の試案の検討

災害後に、広域災害の概況を把握することを目的として高分解能の衛星画像を利用することを念頭に

仕様書の試案を作成する。仕様書の構成は、高分解能の衛星画像を購入する(新たに観測注文を行う場

合を含む)手順を除けば、基本的に「4.2.1.1.光学衛星画像を用いた時系列変化情報の収集業務」とほぼ

同じ手順となる。

5. 事業実施段階におけるリモートセンシング技術の活用手法検討 リモートセンシング技術の活用を検討するための基礎的な情報を整理した。設計・施工及び検査等の

各段階において、リモートセンシング技術及びその成果の活用にあたって必要な技術(以下、「リモー

トセンシング技術等」という)を活用し、省力化・効率化及びコスト低減を図る手法を検討した。

5.1. 事業実施段階におけるリモートセンシング技術の活用に関する事例の収集

情報収集、収集事例の範囲 以下の項目について、公共事業における活用事例を収集して整理した。

① 調査 ② 設計 ③ 施工 ④ 検査の省力化・効率化・ ⑤ コスト縮減に資する技術・手法に関する情報

5.1.1. 文献調査

情報収集対象 定期刊行物(2016/1~2019/2)

土木学会誌((公社)土木学会)

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土木施工(㈱オフィス・スぺース) 河川((公社)日本河川協会) 道路((公社)日本道路協会) 日経コンストラクション(日経 BP 社㈱) 土木技術(土木技術社) 測量((公社)日本測量協会) 砂防学会誌((公社)砂防学会) 土木技術資料((一社)土木研究センター) SABO((一社)砂防・地すべり技術センター) 砂防と治水((一社)全国治水砂防協会) 基礎工(㈱総合土木研究所) 地盤工学会誌((公社)地盤工学会) 地質と調査(㈱ジェイスパーク) 土と岩((一社)中部地質調査業協会) 応用地質((一社)日本応用地質学会)

その他に収集した資料(講習会、インターネット等) UAV セミナー(2017,2018) 主催:日本測量協会 国土交通省 i-Construction

http://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html 砂防学会研究発表会概要集(2016,2017,2018) 主催:砂防学会

http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstract/index.html H30 年度富士川砂防事務所安全施工研究発表会論文集

http://www.ktr.mlit.go.jp/fujikawa/fujikawa00262.html 収集した資料は調査票に整理し、個票の電子ファイルを電子媒体として納品した。

以下のキーワードに該当する資料を抽出し、整理して取りまとめた。

i-Constraction CIM リモートセンシング UAV ドローン

5.1.2. 聞き取り調査

実際に現場で測量、設計を行う地方の建設コンサルタントや、治山施設等の施工を行う地方の建設業

者にヒアリング等を行い、現場における現状を把握した。また、発注者にもヒアリングを行い、発注者

側の持っている課題等についても把握し整理して取りまとめた。 測量企業

株式会社みすず綜合コンサルタント(長野県上田市)

株式会社フジヤマ(静岡県浜松市)

設計企業

株式会社みすず綜合コンサルタント(長野県上田市)

株式会社フジヤマ(静岡県浜松市)

施工企業

湯澤工業株式会社(山梨県南アルプス市)

ダイエー工業株式会社(静岡県富士市)

株式会社大塩組(静岡県賀茂郡河津町)

有限会社向田興業(静岡県下田市)

株式会社斉藤組(静岡県伊東市)

西建産業株式会社(岐阜県揖斐郡揖斐川町)

株式会社白鳥建設(静岡県静岡市)

木内建設株式会社(静岡県静岡市)

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発注者

国土交通省沼津河川国道事務所湯ヶ島出張所

国土交通省富士砂防事務所地すべり対策課

国土交通省静岡河川事務所工務課、梅ヶ島出張所

国土交通省越美山系砂防事務所揖斐川砂防出張所

静岡県交通基盤部建設支援局建設技術企画課

静岡県富士土木事務所工事課

静岡県下田土木事務所工事 1課、2課

静岡県熱海土木事務所伊東支所

ICT 建設機械企業

日本キャタピラー合同会社

株式会社ランドログ 小松製作所、NTT ドコモ、SAP ジャパン、オプティムの合弁会社

5.2. 調査結果の分析等

分析にあたっては、実際に現場で測量、設計を行う地方の建設コンサルタントや、治山施設等の施工

を行う地方の建設業者にヒアリング等を行い、現場における現状の把握や、現場からのボトムアップに

よる課題の抽出・整理をした上で分析を行う。 調査結果を踏まえた治山事業への導入について下記の観点から分析を行う。 ① 治山事業への導入可能性、難易度 ② 治山事業への導入に際してのコスト、費用対効果 ③ 治山事業への導入に際して事業の発注者・受注者双方の実務担当者が習熟すべき知識、技術 ④ 治山事業への導入に必要な環境整備・体制構築 ⑤ 治山事業への導入に際しての現地作業の安全性

5.2.1. 治山事業への導入可能性、難易度

表 5.1 治山事業への導入可能性、難易度

工種 導入可能性 難易度 長所 短所

調査

有効である 砂防の領域では標準化され

た技術であり、治山の領域

でも導入の難易度は低い

(GNSS の受信は必要)

工期の短縮化とデ

ータの高度化が可

安全性の点で優れ

初期投資がかかる

金額は使用機材に

より大きく異なる

測量

有効である 砂防の領域では標準化され

た技術であり、治山の領域

でも導入の難易度は低い

(GNSS の受信は必要)

工期の短縮化とデ

ータの高度化が可

安全性の点で優れ

初期投資がかかる

金額は使用機材に

より大きく異なる

設計

現時点での導

入はあまり有

効ではない

平地部の土工事では導入が

進められている(CIM)が、

山間部では施工機械が ICT

に対応していないこともあ

り導入の難易度は高い

施工時にデータ処

理が不要となる

初期投資がかかる

100 万円/3 年

データ処理に熟度

が必要となる

施工

部分的(起工測

量・出来形管

理)に有効であ

起工測量:難易度は低い

データ処理:難易度高い

施工:施工機械が未対応

出来形管理:難易度は低い

起工測量・出来形

管理の際に安全

性・工期短縮の点

で優れる

初期投資がかかる

直 営 で 行 う 場 合

300 万円程度(建機

は除く)

調査・測量・施工(起工測量、出来形管理)に関しては導入の可能性は高い。

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設計に関しては、3DCAD への習熟と建設機械が ICT 工事に対応していないこともあり導入

の可能性は低い。 施工に関しては、建設機械が ICT 工事に対応していない。 いずれの場合にも初期投資が必要である。 GNSS の受信が重要である。

5.2.2. 治山事業への導入に際してのコスト、費用対効果

表 5.2 治山事業への導入に際してのコスト、費用対効果

工種 コスト 費用対効果 備考

調査

使用する機材により初期投資

時のコストは異なる。

UAV(写真)で 300 万円程度

工期の短縮が可能であ

り、費用対効果は高い。

樹木のある場所ではレーザ

が必要となる。

UAV レーザで 1000 万円から

5000 万円程度(機体とレー

ザ)

画像処理に慣れていないと

工期がかかることもある

測量

使用する機材により初期投資

時のコストは異なる。

UAV(写真)で 300 万円程度

工期の短縮が可能であ

り、費用対効果は高い。

設計

3DCADの導入に 100万円/3年程

3D の取り扱いに熟練し

た技術者がいれば費用

対効果は高い

施工

UAV(写真)で 300 万円程度 工期の短縮が可能であ

り、費用対効果は高い。

文献調査では、ほぼすべての

工事で工期が短縮化されて

いる。

調査・測量・施工の段階では工期の短縮が可能であり、長期的な観点から見ると費用対効

果は高い。 データ処理については、熟練した技術者でないと時間がかかる場合もある。

5.2.3. 治山事業への導入に際して事業の発注者・受注者双方の実務担当者が習熟すべき知識、技術

表 5.3 治山事業への導入に際しての実務担当者が習熟すべき知識、技術 工種 習熟すべき知識・技術

全般 関連する法令、基準等に関する理解

調査・測量 対象箇所に適合する UAV 等の性能に関する知識

設計 3DCAD の利用方法と 3DCAD を利用することが妥当であるかについて判

断できるための知識

施工 工事対象箇所が測量機器や建設機器が利用できる場所か判断できるた

めの知識

使用機材の特徴と現場への適合性に関する知識が必要である。 関係法令等の理解は不可欠である。

5.2.4. 治山事業への導入に必要な環境整備・体制構築

表 5.4 治山事業への導入に必要な環境整備・体制構築

工種 必要な環境整備・体制構築 備考

調査・測量 3D 計測用機材、データ処理ソフト、高性能

パソコン、データ処理オペレータ

設計 3DCAD、高性能パソコン、CAD オペレータ

施工

(起工・出来形)

3D 計測用機材、データ処理ソフト、高性能

パソコン、データ処理オペレータ

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施工(本工事) 現時点では未対応(対応する建設機械なし) 0.28m3 クラスの油圧シ

ョベルはある

5.2.5. 治山事業への導入に際しての現地作業の安全性

表 5.5 治山事業への導入に際しての現地作業の安全性

工種 安全性 備考

調査・測量

UAV 等の場合には評定点を置くために現地に

立ち入る必要があるが、現地での作業は大幅

に減る為安全性は高い。

レーザスキャナの場合にもTSに比べると安全

である。→危険な場所に行く必要がない

設計 設計としては現地作業無し -

施工

(起工・出来形)

人間が危険な場所に行く機会が減る(あるい

はなくなる)ため安全性は高い -

施工(本工事)

無人化施工機・クライミングマシーン・小型

重機の開発により安全性は高くなる。

建機メーカーのヒアリ

ングでも現時点では不

明(または社外秘)

すべての段階で安全性の確保が可能である。 施工に関しては現時点では対応する建設機械がない。

5.2.6. 次年度以降検討すべき事項

今回調査した事例を活用するにあたって、次年度以降検討すべき事項を以下に示す。

試験的な ICT 工事の運用 今回収集した事例では、起工測量や出来形管理の段階でコスト縮減・安全性向上・工期短縮などのメ

リットを見ることができた。施工現場に関しても、特に国土交通省の直轄事務所の山腹工(5.1.2 聞き

取りの事例参照)などは治山に類似したフィールドであり、治山への展開についてもかなり有効である

こと予測される。今後は、直轄事業を行うフィールドで UAV レーザやレーザスキャナ等を使った測量

や調査を試験的に行っていくことで、治山事業への適用についての検証を行うことが望ましい。 また、建設機材に関しても 0.28m3 クラスの油圧ショベルは ICT 施工に対応していることから、地

形条件が良好な箇所で起工測量・3D データ作成・施工(土工)・出来形管理についても検証を行ってい

きたい事項である。 聞き取り調査の結果は、調査票に整理して電子媒体として納品をした。

6. 検討委員会の開催 本事業の実施に当たって専門的な見地から検討を行うため、有識者 3 名からなる検討委員会を設置し

た。検討委員会は、2 回実施した。

7. 職員向け勉強会の開催 林野庁職員のリモートセンシング技術に関する理解を深め、今後の活用を促進することを目的に職員

向けの勉強会を開催した。開催日時、対象、参加人数、開催状況は以下の通りであった。

開催日時:平成 31 年 3 月 13 日(火) 13:00~14:00 対象:林野庁職員 参加人数:12 名

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8. 電子媒体フォルダ構成